日本でラジオ放送が始まって100年目を迎え、放送記念日の式典が行われた3月22日、「NHKメディアの今を考える会」は立教大学砂川ゼミの協力を得て「これからの放送をどうするのか〜NHK文書開示請求訴訟の成果と課題〜」と題する集会を開催した。
この「NHK文書開示請求訴訟」とは、2018年10月に起きた森下経営委員長(当時)による放送法違反の番組干渉と議事録隠し事件のことで、昨年12月原告完全勝利和解で終結。NHKはホームページに、当時不公表としていた議事録を掲載、公表した。
自主と自立
損なわれた
シンポでは、NHK元プロデューサーの長井暁氏が議事録不公表に至った経営委員会の審議経過を詳しく振り返り「本来は番組の自由を守るべき経営委員会が外部勢力と結託し、NHKの放送の自主自立と番組編集の自由が損なわれた」と厳しく批判した。
続いてNHK「クローズアップ現代」の編集長を最長の10年担当した永田浩三氏(元武蔵大教授)が登壇し「番組の企画会議では政治部を通して、政治介入する動きもあったが、それを容認することは恥かしいことなんだとするカルチャーがあった」と指摘。「オープン・ジャーナリズムは当たり前のこと。世の中で起きている問題を市民と共に考える。今回の『クロ現+』事件の意味も市民と一緒に考える必要がある」と強調し、「本日は放送開始百年ですが、こうした報告、議論の場を設けてくれたことに感謝する」と述べた。
電波行政
国民視点で
シンポでは、今後のテレビのあり方にも議論が発展。「テレビ輝け!市民ネットワーク」の杉浦ひとみ弁護士が「テレビは見易いし、よく見るが、どのチャンネルも同じような番組をやっている。どうしてこんなことにことになったのか。宝の持ち腐れになってはいけない」と注文をつけた。
砂川浩慶教授は「G7各国の電波行政については、直接行政が司っているのは日本だけで、各国は韓国、台湾を含め、全ての国で行政府から独立した委員会が運営している。国民にとって、透明性、公明性の観点から必要とするとの考え(に基づく)ものだ」と説明した。
NHKで番組編集の自由が損なわれたETV2001番組改変事件に関する長井、永田両氏の報告は、事件の再発を防ぎ、憲法21条が定める言論・表現の自由を放送の現場で保障するために「放送・通信独立委員会」の一日も早い実現が喫緊の課題であることを示す。
次回テーマ
フジテレビ
同会では次回集会について 「フジテレビ問題から、テレビ放送の未来を考える」(仮題)として、5月25日開催を目指し、準備に入っている。
報告者は田淵俊彦(桜美林大学芸術文化群教授)。「問題はなぜ起きた」「不祥事対応の誤り」などの提起を受け、大島新、村井明日香、砂川の3氏とパネルディスカッションで問題の深層に迫っていく。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年05月13日
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