◆KADOKAWA、サイバー攻撃で減益
25年3月期の連結決算の概要は、売上高2779億1500万円(前年比7.7%増)、経常利益177億4200万円(同12.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、サイバー攻撃の調査・復旧作業やニコニコのクリエイター補償などの費用24億円を特別損失として計上したため、73億9200万円(同35.1%減)の増収減益決算となった。
中でも影響が大きかったのは、国内出版事業とWebサービス部門。出版事業はサイバー攻撃を受けた際、被害拡大を防ぐため関連サーバをシャットダウンしたことで製造・物流システムが停止。約2カ月にわたり本の生産や出荷に影響が出た。
同じくサイバー攻撃の影響を大きく受けたWebサービスは減収。ニコニコ関連事業はサービス停止で6〜8月の売上を逸失した。
その一方、アニメと実写を含む映像事業やゲーム事業は過去最高の売上高と営業利益をはじきだしている。
◆講談社─新幹線で大型広告展開
外国を旅行している際に観光客がぶつかる悩みとしては、「言語」に次いで「文化・風習」やマナーがあると言われる。そこで講談社は、東海道新幹線のJR東京駅・品川駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅の構内に、同社刊行のコミック17作品のキャラクターを活用した広告「MANGA MANNERS」(漫画マナーズ)を、4月24日から6月30日まで展開。
訪日する外国人客に対して、日常生活やレストラン、公共交通機関などにかかわる17のマナーを英語で紹介し、海外でも有名な同社のコミック作品をカットに添えることで、楽しく理解できるようにしている。
◆トーハン、Nebraskaと無人書店協業
トーハンはNebraskaと連携し、無人営業化ソリューション「デジテールストア(旧称MUJIN書店)」を、ジュンク堂書店 プレスセンター店に導入した。都心のオフィスビル内書店としては初のハイブリッド営業が始まった。
従来の11時から20時までの9時間営業から、朝9時から夜22時までの13時間営業へと移行した。うち、朝2時間と夜3時間の計5時間が無人営業となる。これにより、通勤前や退勤後に来店する顧客のニーズに対応し、売上拡大を狙う。さらに土曜も無人で営業、週の稼働日数が増加。
店舗は日本プレスセンタービルの1階に位置し、メディア関係者や周辺の公務員、ビジネスパーソンの利用が多い。新たな営業形態の導入により、日々の多様なライフスタイルに応じた柔軟な買い物体験が提供される。
◆TSUTAYA カンボジアに進出
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と双日の合弁会社であるTSUTAYA BOOKS malaysiaは、カンボジアでデベロッパー事業などを展開するアーバン・リビング・ソリューションズとフランチャイズ契約を結び、同国における初出店となる「TSUTAYA BOOKSTORE イオンモール プノンペン」をオープンした。
首都プノンペンの中心部に位置する商業施設「イオンモール プノンペン」の2階に出店。ニューファミリーをメインターゲットに、466坪の売場で児童書や学習参考書、日本の英訳コミック、様々な分野の書籍を7万冊取り揃える。CCCによると、同国最大級の在庫数と広さの書店という。
◆子供の不読率さらに上昇
東京都教育委員会が、24年度「子供読書活動推進に関する調査」の結果を発表。同年9月、都内公立学校の小学1・3・5年生、中学2年生、高校2年生を対象に調査。「1か月間、まったく本を読んでいない」不読者の割合が、22年度の前回調査から全学年で上昇。
小学1年生は7.6%(前回比3.1%増)、3年生は7.4%(2.8%増)、5年生は7.4%(2.3%増)。中学2年生は11.6%(1.3%増)、高校2年生は36.3%(2.9%増)。
「1カ月で1冊以上読了した」子供は小中高全体で63.4%、冊数は平均11.6冊。児童・生徒間で読書量の差が生じている。
◆フリーランスも労災対象に
フリーランスを労働災害の保護対象として加える改正労働安全衛生法が5月8日の衆院本会議で可決・成立した。仕事の発注者に業務で起きた死亡やけがなどを労働基準監督署に報告するよう義務づける。高齢労働者の労災対策も強化する。精神障害などを予防するためのストレスチェックを、すべての企業に義務づける。改正法の主な部分は26年4月から施行される。
改正法は労働者を雇用せず事業を行う個人事業主を保護の対象とする。建設業の一人親方なども対象となる。フリーランス側も危険な業務を請け負う際は業務に対応した特別教育を受けることが義務となる。
ストレスチェックはこれまで従業員数50人未満の企業は努力義務だった。高齢労働者の労災防止へ必要な措置を講じることを企業の努力義務とする。職場の段差を減らすなど働く環境の改善などを求める。フリーランスを巡っては24年11月に労災保険に特別加入できる制度も始まっている。
◆トランプ、米議会図書館長解任
5月6日、トランプ大統領が同国の図書館トップであるアフリカ系女性のカーラ・ヘイデン議会図書館長を解任。トランプ氏の解任理由は、彼女は多様性・公平性・包摂性(DEI)を推進する「懸念すべき」プログラムを実施し、「児童向けとしては不適切な書籍を議会図書館に設置した」という内容である。
民主党下院トップのハキーム・ジェフリーズ院内総務は、ヘイデン氏の解任を「恥ずべき行為であり、書籍の禁書化、米国の歴史のホワイトウォッシュ、そして時計の針を逆戻りさせようとする(トランプ氏による)継続的な取り組みの新たな一手だ」と批判。
「議会図書館は米国民の図書館だ。米国の生活様式に対するこの前例のない攻撃に対する責任は、遅かれ早かれ問われるだろう」と続けた。
2025年05月24日
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