2025年05月30日

【横浜市メディア威圧2】多様な言論こそ必要 イチャモン断固はね返せ=藤森 研(JCJ代表委員)

◎8面写真2・市民学習会画像2.jpg
          学習会で発言する藤森 研氏(右)と講師の岩崎貞明氏(左)
 4月12日にはメディア総合研究所事務局長の岩崎貞明氏が講師として参加、「横浜市のメディア介入を考える」学習会を開催した。
 岩崎氏は学習会で「横浜市の対応は明らかに編集への介入」と断定し、「言論の自由や編集の独立の視点からも看過できない、市民も監視を強めるべきだ」とした。会の賛同団体となったJCJ神奈川支部代表の藤森研氏も学習会に参加し「報道の自由侵害は市民の知る権利の蹂躙だ」と発言した。藤森氏の発言の要旨は以下の通り。

 横浜市が、神奈川新聞などに「抗議文」を出した今回の事態は、言論の自由な流通を妨害する行為で、あってはならないことだ。
 山中市長は記者会見で、「抗議文」ではなく「疑義があった点を尋ねた」と語ったが、1か月足らずの間に4回にわたって論調への批判を続け、文書回答を求めるやり方は、圧力そのものである。
 事実の間違いに対する訂正要求ならばあっていい。ジャーナリズムの本質は事実確認の規律だからだ。しかし今回の抗議文は違う。
 たとえば市庁舎に関する記事の「横浜市の閉鎖性は突出している」という記述は、市民団体の主張を丁寧に紹介したものであり、「個人情報保護や防犯のために必要」とする市の反論も併せ載せている。だが、市の抗議文は「極めて一方的である」と決めつけた。

 見解や論調に対する公権力の抗議は、基本的にイチャモンである。社会事象について絶対の「客観」はない。だから民主主義には多様な議論が必要なのであり、だから報道の「自由」こそが、大切なのだ。

 公権力が、自分の意にそわない言論を抑圧する時に何が起きるか。ロシア政府が「気に入らない」と権力を使って潰した「ノーヴァヤ・ガゼータ」紙(ノーベル平和賞受賞)は、ウクライナ侵攻に反対の論陣を張っていた。政府と新聞の、どちらが偏っているのか。

 新聞労連の声明によると、「ここ数年、石川県や山梨県、徳島市、兵庫県(中略)などで、首長や議長が取材活動を妨害したり、制限を加えたりする事態」が相次いでいる。報道の自由への介入・抑圧は、メディアがスクラムを組んで断固はね返さねばならない。
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号





posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 関東・甲信越 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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