2025年07月20日

【連続公開講座】フジから見えた テレビの未来=河野慎二

「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は5月25日、連続公開講座「フジテレビ問題からテレビの未来を考える」を第1回目として開催した。

業界の3大病巣 
 田淵俊彦・桜美林大学教授(テレビ東京出身)は講演で、「フジは23年5月の事件発生時から、性暴力、性被害の事実を知っていたが、日枝(元社長の支配)体制下で現場が経営にモノが言えない弊害が出て、1年半も事実を隠蔽した」と批判。
 「テレビ業界には@隠ぺい主義A横並び体質B忖度の3大病巣がある」と指摘した上で「今回の問題をテレビがフジだけの『他人ごと』と捉えていると第2第3の『フジ問題』が発生が危惧される」と警鐘を鳴らした。

「権力勾配」が阻害
 続いて講演した大島新・東京工芸大学芸術学部教授は、元フジテレビ社員。「フジのキャッチコピー『楽しくなければテレビじゃない』は、1995年1月の阪神淡路大震災、3月の地下鉄サリン事件で時代に合わなくなり、フジはバブルを象徴するテレビ局になった」と指摘した。

 フジは97年、お台場新社屋に移転。「大手企業」のイメージを強めたが、2022年には100人が早期退職するという異常事態が起きた。
こうした中、タレント依存と他局のマネが強まり、視聴率は4年連続4位と低迷。チャレンジングな作品がなくなり、フジは20年、タレントの中居正広に依存した、何の工夫もないトーク番組を始めた。大島氏はこれを「フジの貧すれば鈍する時代だ」と指摘。中居と女性アナの問題で「フジは中居を選択した。ありえないことだ」と批判した。
 大島氏は入社4年後の98年にフジを退社。周囲は不思議がったが、フジの『上を向いて歩こう』の時代、『上』とは日枝さんだった」語った。
 
 映画監督でもある大島氏は、さらに番組制作現場のテレビ局と制作会社の間には「ピラミッド構造の上下関係がある」と指摘。それを「テレ局の権力勾配」と呼び、テレビの優れた政策能力を阻害する。一日も早くなくすべきだ」と提言した。
              
若い人を活かせ
 村井明日香・昭和女子大学准教授は、フジテレビ問題表面化で学生には「テレビ局は男性優位の社会」「職場環境に恐怖心が多数」などの反応が多かったと報告。「その反面、『女性も番組作りの分野で力を発揮できる』との声もある」。「面白いコンテンツを作りたいという若い人たちが沢山いるが、(テレビ局ではなく)制作会社に集まっている」とも指摘し、「テレビ局が情報発信機能を取り戻すには、若い人材をもっと積極的に採用し、番組に活かすべきだ」と提言した。
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年6月25日号

posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | 放送 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック