2025年08月17日

【月刊マスコミ評・新聞】「極右」参政党から目が離せぬ=山田 明

 気候危機を実感させる連日の猛暑の下で、参院選が始まった。「日本は戦後80年の節目を迎え、世界はトランプ米政権による混迷の中にある。主権者たる国民が、これからの政治を選びとる重要な機会となる」(朝日7月3日社説)。

 世界は強権的なトランプ関税と軍拡圧力に振り回されている。トランプ政権からの圧力により、NATOは2035年までに防衛費をGDP比5%に引き上げる目標に合意。米国はアジアの同盟国にも、NATOと同水準まで防衛費を引き上げるよう求めている。日本の防衛費をめぐる議論に影響するのは必至だ(毎日6月26日)。  
 さらなる軍拡予算、軍事研究を加速する動きも懸念される。日本学術会議を特殊法人に改組する法律が成立した。学術会議改組というより、解体するもので、学問の自由を脅かすものだ。戦前の政府による学問・思想弾圧を想起させる。

 読売6月13日社説は、「長年にわたって軍事目的の研究に反対し、軍民共有(デュアルユース)の研究にもブレーキをかけてきた」と学術会議を批判し、「法人化を機に生まれ変われ」と主張。自公とともに法案に賛成した日本維新の会は、法案審議の過程で学術会議に根拠のない中傷を繰り返し、軍事研究への協力を強要した。維新は、自公と医療費年4兆円削減、11万床の病床削減を進めようとしている。

 与党にすり寄り、軍拡・社会保障切り捨てを煽る維新や国民民主党、さらに支持率急伸の参政党から目が離せない。参政党はトランプまがいの「日本人ファースト」を叫ぶ。外国人を敵視する排外主義、女性蔑視、明治憲法復活のような復古的な憲法構想案なるものをまとめている。欧米の「極右」化の日本版で、危険きわまりない。メディアは参政党の主張を紹介するが、正面からの批判は手控えている。選挙報道を含め、メディアのあり方が鋭く問われている。

 今回の参院選は、衆院のように自公が過半数割れするかが最大の焦点だ。既成政党離れが加速する中で、多党化する野党の勢力図にも注目が集まる。
 今年は戦後80年。戦前回帰が強まる中で、自国が戦場になった「鉄の暴風」沖縄戦から学ぶことは多い。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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