2025年08月29日

【おすすめ本】 飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか 知られざる戦後書店抗争史』―10年スパンで遭遇する 出版界のビッグイシュー=池田 隆(元出版取次店 勤務)

 読み終えて脳裏に浮かんだのは、1990年代の出版業界が好景気で浮かれ、遅れたバブルを謳歌していると揶揄されていた頃だ。採算など無視の新規出店が毎月30店以上、その陰でつぶれる本屋も毎月30店を超え、配本先書店一覧表の書き換えに追われていた。
 特に評者が出版業界の分岐点となったと思われるのは、1970年代「ブック戦争」、1990年 代の「須坂構想」、20 00年代の「Amazonの日本進出」である。

 「ブック戦争」とはこうだ。日本書店商業組合連合会(日書連)は、自ら 実施した加盟書店1千店の調査で人件費高騰・経営逼迫店が大半と判明したことから72年、取引条件の改訂を出版社と取次店に要望した。
 その実現のため、特定の出版社の本を棚から外すという出版史上、初の書店による13日間のストライキが決行された。その結果、取引条 件の改善は実現したが、 覚書きで交わされた「責任販売制の実施」は、具体的な取り組みがなく放置された。
 「須坂構想」は、長野 県須坂市に述べ6万平方bの出版流通の巨大基地を設け90年代当時、 業界が抱えていた諸課題を、一挙に解決しようとした大プロジェクト。だがこれもまた各業界の思惑が錯綜して、十分な機能を発揮できず頓挫してしまった。
 21世紀初頭の「Amazonの日本進出」は、結果的 には書店が求めていた改善・要望の大半を、3年 間で解消・解決してしまったと、本書は述べる。

 さらに出版業界は「雑誌と書籍の一体流通・取次寡占・再販契約」で成 長してきたが、今や、そ れが改善の阻害要因になってはいないかと、本書は指摘している。(平凡 社新書1200円)
             
「町の本屋はいかにして潰れてきたか」….jpg

                     

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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