2025年09月01日

出版社、半数が利益出ず 書店は2年後1万以下に 出版コンサルの能勢仁氏報告=橋詰雅博

 『出版流通が歩んだ道 近代出版流通誕生150年の軌跡』(出版メディアパル社1月刊行)の3人共著者の一人、出版コンサルタントの能勢仁氏は、「当世出版界事情」を7月25日、日本出版学会産業研究部会で報告した。

出版社増える

 経営不振で苦境に立たされる書店について能勢氏は「書店は過去5年間で毎年5%廃業しており、2027年には1万店を切り、9千7、800になるでしょう。全体の売り上げも26年に1兆円を下回り、9680億と推測しています」と厳しい見通しを語った。ただ意外にも大小含め出版社数は増えていて「23年は3900社と、18年より約520社増えた」(能勢氏)と述べた。
 能勢氏は帝国データバンク登録の出版社の収益を長年分析している。売上高で3つのグループに分けている。24年度は、10億以上の第一グループは201社で、37社が赤字、4億から10億以下の第二グループ100社のうち18社が赤字、4億以下の第三グループ130社のうち30社が赤字だった。利益ゼロも多く、第一は40社、第二が37社、第三は67社。赤字と利益ゼロを合わせると287社で、全体の約53%は儲かっていないことになる。
 その原因は書籍を仕入れる書店の激減と、書籍の単価はそんなに上がっていないためだ。「23年の平均単価は1256円と4年前と比べ89円しか上がっていない。単価の低い文庫と新書が多いからです」と能勢氏は指摘した。
 

復活に助成金

 政府は書店復活をめざすプランに取り組む。@まちづくりファンドから助成金を支援、A自治体と地元の書店・図書館の連携強化、B書籍の返品率ダウン案の作成、C無人化書店の推進などだ。「プランには国交省、経産省、文科省、中小企業庁、公正取引委員会が参加しています。役所が散らばっているので、うまく機能するか心配です」(能勢氏)という。

アマゾン対策
 町から書店がどんどん消えたのはネット通販の米アマゾンの日本進出が大きな影響を及ぼした。注文から1日から2日で無料配達される便利さが受け利用者が急増し、根付いた。能勢氏は「アマゾンは日本で事業をさらに拡大しようとしています。金にものを言わせて主要メディアに大宣伝作戦を展開したら市場の席巻もあり得ます」と述べた。
 アマゾン拡大阻止への対策はあるのか。「紀伊国屋書店(国内63店舗)やYou Tube登録者数40万突破した有隣堂(同40店舗)といった有力書店によるM&Aで業界再編するのが対抗策ではないか」と能勢氏は提言した。
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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