「日本人ファースト」を掲げて差別と分断をあおる参政党は、気に入らないメディアや記者を露骨に選別し排除する。
7月22日の記者会見で、神奈川新聞の石橋学記者を排除した。事前登録がないことを理由にしていたが、2日後には主張を変えた。石橋記者が街頭演説の妨害に加担したと決めつけ、会見の混乱を防ぐ必要があったとした。
石橋記者は8月1日の会見は出席できたが、参政党の神谷宗幣代表は前回の排除への謝罪を拒否。その主張に虚偽があることを石橋記者が問い始めたところで、党スタッフが「1人1問」を理由に質問を制止した。その後も神谷代表は石橋記者を一方的に批判し、反論は許さなかった。
参政党は、会見の場では党の指示に従うことを参加条件にしている。会見場で従わなければ退場させる。気に入らない記者の発言は容易に封じることができる。事実上の「選別と排除」だ。
石橋記者の排除は、沖縄タイムスや琉球新報がいち早く報じた。新聞労連やJCJは抗議の特別決議や声明を発している。「沈黙」は「承認」と受け取られる。石橋記者や神奈川新聞を孤立させないために、新聞界がこぞって声を挙げなければならない。だが新聞協会は8月に入っても「沈黙」を続けた。
「選別と排除」を巡っては新聞界で看過できないことが起きている。
東京地裁は6月30日、5年前の鹿児島県知事の就任記者会見を巡り、地元記者クラブがフリージャーナリストの寺澤有、三宅勝久両氏を排除したことを是認する判決を言い渡した。
寺澤氏らは記者クラブ側の記者たちに立ちふさがれ、会見場に入ることを“実力”で阻止された。記者クラブ幹事社だった共同通信社側に賠償を求め提訴していた。
東京地裁は、会見は記者クラブの主催だと認定。事前登録がないことを理由に寺澤氏らを排除したことに対して、目的は会見の円滑な運営と混乱の防止だと認めて、違法性はないとの判断を示した。
手続き論はともかく、実績豊富なジャーナリストが記者クラブによって記者会見から排除された事実に変わりはない。
「選別と排除」を許さない−。新聞界は足元から問い直すべきだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
2025年09月02日
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