高山正之氏が連載「変見自在」(『週刊新潮』7月31日号)で「創氏改名2・0」と題して徐浩予氏や東北大教授の明日香壽川氏を差別し、作家の深沢潮氏や俳優の水原希子氏に対して「日本名で日本人をあたかも内部告発するような言い方」「日本名を使うな」と恫喝して、外国にルーツを持つ人々を差別し、人権を侵害する文章を発表した。
新潮社からデビューした深沢潮氏は8月4日、都内で記者会見し、同社に謝罪を求めた。第一に新潮社がコラムの問題点を総括して差別と人権侵害について文書で謝罪すること、第二に当該コラムに反論し、批判をする最低8ページ分のスペースを提供することを要求した。新潮社は同社ホームページに「深沢潮様の心を傷つけ、多大な精神的苦痛を負わせてしまったことをたいへん申し訳なく思っております。深くお詫び申し上げます」との「お詫び」を発表し、「今後は執筆の依頼をする時点および原稿を頂戴した時点で、必ず世論の変化や社会の要請について筆者に詳しくお伝えしていく所存」とした。
高山コラム批判は、投稿サイトのX(旧ツイッター)に詳しい。新潮社の「お詫び」は、深沢氏以外に謝罪せず、高山氏の名前を出さず、「人権デューデリジェンス」という用語で企業のリスク回避の努力目標を述べたにすぎない。コラムを執筆した高山氏は反省していない。かろうじて、当該コラムのロゴデザインを手がけた故・平野甲賀氏の遺族の抗議を受けて、8月14・21日夏季特大号からロゴが変更になっただけである。
『月刊Hanada』『月刊WiLL』など極右雑誌に等しいコラムを長年掲載し続けている『週刊新潮』は「世論の変化や社会の要請」を一体どう考えているのだろうか? 極右政党の国政選挙での躍進を踏まえているとでもいうのだろうか。
『地平』9月号の特集「東アジアの不再戦のために」が優れている。河野洋平氏へのインタビュー、加治宏基氏、岡本厚氏、文京洙氏らの論考には、中国や北朝鮮の最近の動向が事実にもとづく分析で示され、具体的な提案も示されている。新潮社と地平社の雑誌を比較するのもおこがましいが、かつて、朝鮮の人々に「創氏改名」と「日本語」を強制し、連行し、徴用し、徴兵した侵略戦争の歴史を踏まえているかどうかの違いもあるだろう。戦後80年の8月は、不再戦のジャーナリズムの決意を問いかけている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
2025年09月04日
この記事へのトラックバック


