2025年09月07日
【映画の鏡】水があぶない―『ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう』各国の活動つなぐ女性たちの姿描く=鈴木 賀津彦
c2025GODOM沖縄
冒頭のナレーション、平良いずみ監督自らが「私は執念深い」と語り、「許さない」と怒りを強調する。制作者である監督が当事者としての決意を示して始まる、まさに「当事者メディア」としてのドキュメンタリーだ。
供給する水道の水に化学物質PFASが含まれていたと沖縄県が発表したのは2016年。多くの人々は「PFASって何?」という反応だったが、不安に駆られて調べていくと、米国では既に、がん、低体重出生など健康影響が確認されていた。その深刻さに女性たちは気付いていく。汚染源は米軍基地だと見込まれながらも基地内への立ち入り調査が認められず、もう黙ってはいられない。
政治と無縁だった母親が、他の母親たちにも知らせ行政を動かそうと町議選に立候補する姿を、当時はテレビのキャスターだった平良監督は同じ思いで取材を進めた。沖縄だけの問題ではない、岡山県でも、そして東京でも。米軍横田基地が汚染源とみられる都内では、しつこく調査を続けキャンペーン報道を展開する東京新聞の記者にも会い取材。
そして沖縄の女性たちが、人権問題として国連に声を届けに行くのを機に、ドイツやイタリアでもPFAS汚染に立ち向かっている女性たちをカメラに捉えた。米国では、初めてPFAS規制法できたミネソタ州の運動の広がりを紹介、立ち上がる女性たちの姿を描いてゆく。
当事者視点に貫かれた取材で展開するこの映画が、各国で活動する人たちそれぞれの「思い」をつなぎ、国際連帯を呼び掛けているようにも感じられる。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
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