2025年09月29日

【被爆・戦後80年】ヒロシマが再び「軍都」に? 高校生交え議論 7・5トークセッション=井上 俊逸(広島支部)

 「ヒロシマが再び『軍都』になるの?」――被爆と戦後80年の節目≠迎えた広島のありようを問うトークセッション「高校生たちと共に考える私たちの未来」が7月5日開かれ、約230人が議論に耳を傾けた。主催は地元と日本パグウオッシュ会議、日本ペンクラブ。別会場の「新聞や原爆の絵展示」などには高校生が協力した。

 セッションの第一部は金平茂紀氏(ジャーナリスト・日本ペンクラブ言論表現委員長)、半田滋氏(防衛ジャーナリスト)、鈴木達治郎氏(パグウオッシュ会議執行委員長・長崎大客員教授)、新田秀樹氏(ピースリンク広島・呉・岩国世話人)、平岡敬氏(元広島市長)が意見を交わし合った。
 金平氏は議論の冒頭、「トランプ大統領は『広島、長崎への原爆投下が戦争を終結させた』と6月22日のイラン核施設攻撃を正当化した」。だが、「広島市長の反応は鈍かった」と問題提起。半田氏は「広島、長崎への原爆投下の必要などなかった。米の原爆投下はソ連に脅威を見せつけ優位に立つため」。平岡氏も「人体実験の意味も」と、投下の不当を指摘した。

 新田氏は「大量破壊や虐殺の正当化は許されない。松井一実・広島市長の態度や行政の対応にも憤りを禁じ得ない」。鈴木氏は「イスラエルと米のイラン爆撃は国連憲章違反。問題は日本政府の二重基準対応。イスラエルには『極めて遺憾』(外務大臣談話)、米には『イランの核兵器保有阻止の決意と承知している』とした」と語気を強めた。

 呉市の日鉄跡地を巡る防衛省の海自基地「多機能複合防衛拠点」化計画の議論で、半田氏は「戦時の最初の攻撃対象は出撃拠点基地。これが世界の常識だ。基地で抑止力が高まるなどありえない」と説き、新田氏も「原爆投下や大空襲は基地や軍需工場で繁栄した広島の歴史の中であった。巨大化した呉基地は戦争に不可欠な存在になる」と危機感を露わにした。

 続く第二部「いま、ヒロシマで起きていること」は、小山美砂氏(ジャーナリスト・元毎日新聞記者)、岸直人氏(教科書ネット)、難波健治氏(JCJ)、久野成章氏(8・6ヒロシマ平和へのつどい実行委)と平岡氏、崇徳高校新聞部員3人も加わり語り合った。

 岸氏らは、@広島市平和学習教材からの「はだしのゲン」、「第五福竜丸」の記述削除A平和公園と米パールハーバーとの姉妹公園協定締結B同公園の「8・6入場規制」など、多くの問題を過去の経緯も含め説明した。
 岸氏は「教育が核廃絶から核抑止へ、米の原爆投下責任や戦争の原因を考えない方向へと変わった。日米双方が過去を不問にし、核兵器とその使用を『広島市民が認めた』形にするのが狙い」と指摘。難波氏は「平和公園入場規制は市民の思いや表現の制限と介入だ。平和へのメッセージ発信を市長の『平和宣言』だけにするのか」と問うた。

 平岡氏は「広島市政変質の転機はオバマ大統領来広とG7サミット」。広島は「米の『原爆投下は正しかった』を絶対に認めてはいけない」。「広島の役割は『不当で間違った行為』と指摘し続けることだ」と強調した。
小山氏は「核廃絶、反戦・平和の訴えに加え、権利の制限、逆行する流れに抗うことが真の平和づくりにつながるのでは」と締めくくった。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 中国・四国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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