石破茂首相が、9月7日、辞意を表明した。翌8日の朝刊各紙は、「大ニュース」として紙面を大展開した。しかし、そこには、当然のように、これからも少数与党の「自民党主導の政権」が前提で、各紙の社説でも「政権交代」はおろか、野党の動向については全く触れていなかった。
「国民不在の党内抗争」(朝日)、「けじめ遅れ混乱深めた」(毎日)、「自民再建へ正念場の総裁選に 連立拡大で政治の安定を図れ」(読売)、「政治停滞招いた責任は重い」(西日本)と、社説の見出しを見る限り、軸足は「自民」から1ミリも動かしていない。
読売に至っては「(通常国会で)政府・与党が野党の手柄争いに翻弄(ほんろう)された結果…政治は混乱した。/秋の臨時国会以降、そうした混乱を繰り返さないためには、連立の枠組みを拡大し、衆参で過半数を得ることが欠かせない」とまで踏み込む。「自民からの発想」以外、考えられないのだろう。自民が混迷を極めている状況を見せられても、読売は「自民支持」をあからさまに見せつける。
また、各紙とも、今回の参議院選で各党が掲げたスローガンを、どう実現するのかについては触れずじまいだ。与野党協議を進めて、国民に対する約束でもある「給付金支給」(自公)、「消費税などの減税」(各野党)を一刻も早く実現するのが、「国民本位の政治」、選挙で選ばれた議員の最初の仕事ではないか。
自民の迷走を横目で見ながら、しかし、自らの選挙スローガンの実現にも動かない野党各党について、何も言わないのは、「自民党の政局」以外、考えも及ばないからだろう。
そこに触れないのは、新聞各紙が、選挙スローガンは「叫ぶだけの空約束」と見ていることの証左ではないか。「選挙の際のスローガンと実の政治活動は別物」といった、建前的な考え方を、政治家と同様に新聞社もしていると言外に言っているようなものだ。
これでは、国民・有権者が選択した各党の選挙公約を、ないがしろにするもので、政治不信に拍車をかける。
政治は与党ばかりが進めるものではないのは、言うまでもない。しかし、8日の各社の社説を読む限り、野党をなおざりにしているとしか思えない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年10月03日
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