ノンフィクション・ジャンルからチョイスした本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆今尾恵介+金田章裕『地図と読む 日本の街道』帝国書院 10/9刊 1800円
日本各地にある街道の地理的、歴史的な変遷をたどる道案内。古代から残る街道、江戸時代に整備された街道、鉄道開通後の近代の街道…など、時代ごとに解説する。 地図や地理関連の本を多数執筆する著者ならではの視点で読み解く一冊。
著者の今尾氏は1959年横浜市生まれ。地図研究家。現在、地図情報センター評議員を務める。地図や地形、鉄道に関する著作が多数。
◆堀部貴紀『サボテンは世界をつくり出す━「緑の哲学者」の知られざる生態』朝日新書 10/10刊 950円
日本で数少ないサボテン博士である著者が、その驚異のしくみを解き明かし、温暖化防止効果や食料の可能性にまで触れ、文化・社会・技術・信仰の交差点を行き交うサボテンの多義性を詳述し、生物の存在について思索する。サボテンのワンダーワールドを描く!
著者は中部大学准教授。専門は園芸学、植物生理学など。岐阜放送報道部に勤務後、研究の道に戻り、現在は中部大学でサボテンを研究中。
◆岡口基一『裁判官はなぜ葬られたか━絶望の弾劾裁判』講談社 10/10刊 1800円
あの裁判官をクビにしろ! 陰謀、世論、怨念、裁判官ムラ……専門書など数多くの著書を執筆してきた有名判事が、SNS投稿を理由に戦後8人目の罷免判決を受けた。裁判官が「法の良心」より大事にする「暗黙の規範」とは? 前代未聞の弾劾裁判が明らかにしたものとは? 裁判官を国会議員が裁くとは? ツイッター投稿から「罷免」にいたるまでいったい何があったのか?
第一級の裁判官が当事者として冷静に分析し、日本社会の危うさを可視化する必読の一冊。
◆鈴木宣弘『令和の米騒動━食糧敗戦はなぜ起きたか? 』 文春新書 10/17刊 900円
スーパーからコメが消え、過去最高の小売価格を記録する「令和の米騒動」。政府備蓄米の放出などによって沈静化したかに見えたが、構造的に市場へのコメ供給が足りないのが明白になった。長年にわたって推し進められてきた生産調整政策の限界、低い米価による農家の疲弊、高齢化問題などに積極的な策を講じてこなかった農政の失敗という構造的な要因だ。真に日本の農と食を救う具体策はあるのか。第一人者の著者による構造分析と未来への緊急提言!
著者は1958年三重県生まれ。東京大学教授。「食料安全保障推進財団」理事長。著書に『食の戦争』など。
◆藤井敏嗣『富士山噴火━その日に備える』岩波新書 10/20刊 1000円
富士山はいつ噴火しても不思議ではない。活発に噴火を繰り返して現在の姿に成長した富士山は、いまだに若い活火山なのだ。どんな噴火が起こりえるのか、どう備えるのか。富士山の噴火予測はなぜ難しく、そのマグマが特異であるのはなぜなのか。火山学をリードしてきた著者が富士山の成り立ちとマグマの科学を解説し、噴火への心構えを説く
著者は1946年福岡県生まれ。東京大学名誉教授、山梨県富士山科学研究所所長。著書に『火山――地球の脈動と人との関わり』など。
◆小林麻衣子『西村賢太殺人事件』飛鳥新社 10/23刊 1727円
恋人が綴った、西村賢太との3547日。「自分の人生に責任、持てよ」─彼が残したこの言葉がなかったら、ここまで書けなかった。私のせいで西村賢太<けんけん>が殺された、との認識が、突然背後から鈍器で殴りかかってきた――瞬間、左のみぞおちが反り返るようにグググと引き攣って、洗面台に駆け寄って嘔吐(えず)いていた――『西村賢太殺人事件』の爆誕である。
著者は、1974年東京都生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。現在、立教女学院短大准教授。著書に『近世スコットランドの王権』
2025年10月23日
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