2025 年10月21 日、自民党と維新の会の連立合意を受けて、高市早苗自民党総裁が首相 に指名され、高市内閣が発足しました。「戦後」を根底から覆す極右政権の登場です。
高市政権は、昨年衆院選での自民党大敗による改憲勢力の3分の2割れと市民の頑張り で停滞を余儀なくされていた明文改憲を、本命の9条改憲を主軸に据えて強行する方針を 打ち出しました。
自民党と維新の会の連立政権合意に、「憲法9条改正」と「緊急事態条項」 に関する「両党の条文起草協議会」を設置すること、「 緊急事態条項」については「2026 年度中に条文案の国会提出を目指す」こと、「衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設する」ことなどを明記したのです。中国を念頭に置いた戦争体制づくりを一層加速するには9条の明文を改変しなければならないという判断による企てです。
高市政権は、戦争体制づくりのための9条破壊をさらに加速させようとしています。「安 保3文書の前倒し改定」、「反撃能力(敵基地攻撃能力)をもつ長射程ミサイル」の整備、 陸上展開の着実な進展と、「原子力潜水艦」と見られる「次世代動力を活用した潜水艦の保有を推進」するなどの大軍拡のスピードアップを図り、それを支えるべく防衛費のGDP比 2%への増額を2年前倒しし、補正予算で今年度中に実施する方針を打ち出しました。軍需産業の育成を加速するため、「防衛装備移転3原則の運用指針の緩和」、「武器輸出を認める5類型」の撤廃も狙っています。
いわゆる「スパイ防止」法に関しては、2027 年度末までに「対外情報庁」(仮称)と情報要員養成機関の創設、「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」の年内検討開始と早急な成立、内閣情報調査室の「国家情報局」への格上げによって、「スパイ防止」の名目で市民に対する監視体制を強化して、戦争国家体制をより一層固めようとしています。
こうした憲法破壊の政治をより「迅速に」強行するため、高市政権が衆議院議員の比例定数削減案を臨時国会に提出し成立させようとしていることも見逃せません。少数意見、 少数政党を排除し、民意の国会への反映を妨げる、議会制民主主義を根本から破壊する暴挙です。さらに、高市政権は、選択的夫婦別姓の否定、排外主義を煽る外国人規制強化など憲法で保障される人権をあからさまに否定する政策をも強行しようとしています。
高市自維政権の登場で、いま、日本の「戦後」、憲法が岐路に立っています。憲法9条に とどまらず、人権、民主主義が危機に晒されています。高市政権の企てに危惧を持つ全ての市民が声を上げましょう。全国各地の市民が一斉に立ち上がり、これに抗する世論を巻き起こし、高市政権の危険な策動を阻止し、はねのけましょう。九条の会もその先頭に立つことを決意します。
2025年10月29日
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