2025年11月05日

【出版界の動き】読書の秋━<本との出会い>へ各種イベント始まる=出版部会

◆9月期紙の出版物販売額936億5200万円(前年同月比1.8%減)
 その内訳は、書籍597億3100万円(同1.0%増)、雑誌339億2000万円(同6.5%減)。雑誌では月刊誌が同6.9%減、週刊誌が同4.3%減。返品率は書籍が29.3%(同1.6%減)、雑誌は41.2%(同0.9%減)。
 書店店頭での売れ行きは、書籍2%減で、文芸3%増、文庫本ほぼ前年並み、ビジネス書2%増、学参3%減、児童書3%減、新書本7%増。雑誌は定期誌3%減、雑誌扱いコミックス19%減、ムック2%減。
 なお、出版科学研究所による上記の販売金額は取次ルートのみで、近年増加している出版社と書店の直接取引や出版社による直接販売は含まれていない。電子出版市場は1月と7月の年2回発表される。

◆「日刊ゲンダイ」創刊50年 政権批判を恐れぬタブロイド紙
 1975(昭和50)年10月27日に創刊し、このほど50年を迎えた、永久保存版「創刊50周年特別号」を発売した。
「日刊ゲンダイ」といえば一面の長〜い見出し。最近号でも庶民の声を反映し政権批判の<世にもおぞましい短命連立><高市も玉木もろくでなし まともな首相候補はいないのかと庶民の悲鳴><有権者はこの連立に呆然だ>と一面に踊る。ライバルとみなされる「夕刊フジ」は、56年の歴史に幕を閉じ、今年2月6日に休刊したが、「日刊ゲンダイ」は、なぜイエロージャーナリズムが悪い? と意気軒高だ。
 作家の五木寛之さんは、創刊1号から「流されゆく日々」を執筆、10月27日から51年目に入ったことを記念して、漫画家ちばてつや氏と特別対談を行っている。

◆「小学一年生」創刊100年 世相反映した付録の歴史
 1925年に創刊し、今年100周年を迎えた小学館の学習雑誌「小学一年生」。やさしい文章とわかりやすい図解で、子どもたちの学びと好奇心に応え、ピーク時には発行部数128万部を記録した。小学校に入学するピカピカの1年生が読んで楽しい雑誌。毎号、ワクワクするふろく、人気キャラのまんが・パズル、旬の話題など、さまざまなテーマの記事を収載。11月号には創刊&昭和100年━節目記念の付録<組み立て・くろでんわ>をつけている。

◆「オール読物新人賞」休止、藤沢周平ら人気作家を生む
 文芸春秋は、伝統ある公募文学賞「オール読物新人賞」を今年度の第105回で休止すると発表。同賞は優れた短編小説に贈られる文学賞で、1952年の創設。藤沢周平など多くのエンターテインメント系の人気作家を生んだ。
 1962年からはミステリーを対象とした「オール読物推理小説新人賞」も実施し、赤川次郎さんや宮部みゆきさんらを輩出した。2021年の第101回からは、歴史・時代小説に特化した賞になっていた。

◆政府の書店支援の取り組みに対する「評価」70%、期待が募る
 読売新聞社が「秋の読書推進月間」に合わせて実施した、全国世論調査の結果が出た。政府が書店の経営や新たな出店を支援する取り組みを「評価する」と答えた人は70%、「評価しない」の27%を大きく上回った。
 政府は6月、街の書店を地域の重要な文化拠点と位置づけ、減少に歯止めをかける「書店活性化プラン」を公表した。書店の経営効率化を支援し、自治体や図書館を含めた連携を促す取り組み。
 具体的な支援策に関しても、日本の文学作品がもっと世界で知られるよう、外国語への翻訳や海外発信を支援する政府の方針を「評価する」は86%。絵本の知識や読み聞かせの技術を身につけた「絵本専門士」が、子どもの読書活動を推進するために活躍することに「期待する」は87%に上った。

◆「読書の秋の国内最大級イベント」始まる
 「本との新しい出会い、はじまる」をスローガンに今年も「BOOK MEETS NEXT」が始まった。書店が減少し、読書離れが進む時代の中でも、「本が好きな人」をこれまで以上にワクワクさせ、「本との距離感が遠い人」には魅力的な出会いを届けるため、出版業界が一丸となって実施する。今年で4回目を迎える。
 開催期間:2025年10月25日(土)〜11月23日(日) 主なイベントは以下の通り
 BOOKスタンプラリー:全国3千の書店ポスターに表示のQRコードを読み取り、LINEアカウントを友達追加するとスタンプがもらえる。スタンプを貯めると本にちなんだ商品に応募することができる。
 「最強王図鑑」シリーズ店頭フェア:「最強王図鑑」シリーズ(書籍・雑貨)を1冊買うと1枚もらえる。どのデザインが当たるかは引いてのお楽しみ! コレクションしたくなるキラキラカードくじ(全10種、うちレア2種)。配布期間:2025年11月7日(金)〜なくなり次第終了。

◆電通3期連続の赤字見通し━AIで代理店が不要な時代に
 2025年12月期は193億円の最終利益を予想していたものの、660億円もの損失見込みに一転。2023年も赤字の上に、2024年12月期は1922億円もの損失を出していた。その結果、3期連続の赤字見通しとなった。その苦戦の主要な要因はアメリカ事業で、人員削減などに必要な構造改革費用、さらにのれんの減損損失が甚大な影響を与えている。
 アメリカではデジタル広告を中心に広告代理店を通さないインハウス化が進み、その背景にはAIの浸透によって、自前での製作が容易となり、コスト削減へシフトしている。日本の広告業界の未来も暗示しているようだ。
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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