2025年11月06日
【映画の鏡】核の脅威を伝え続ける人々『はだしのゲンはまだ怒っている』熱く深く浸みわたるメッセージ=伊東良平
BS12 トゥエルビ
近年、テレビで放送された番組を映画化する動きが盛んだ。本作も「『はだしのゲン』の熱伝導〜原爆漫画を伝える人々〜」(24年9月放送、BS12スペシャル)の映画化で、不朽の反戦「漫画」誕生から現在を見つめた。
「はだしのゲン」は6歳で被爆体験した漫画家・故中沢啓治さんの自伝的な作品で代表作だ。73年の連載開始から半世紀、25カ国で翻訳出版され、米で漫画のアカデミー賞と呼ばれるアイズナー賞にも輝いた。だが、日本ではこのところ「描写が過激」「間違った歴史認識」と閲覧制限を求める動きや、図書館から撤去、広島市の教育教材からの削除も起きた。
「はだしのゲン」の翻訳版の企画し、2年がかりで完成させた編集者の大嶋賢洋さん。講談で40年近くゲンを伝える講談師の神田香織さん。生前の中沢さんから直接体験を聞いた渡部久仁子さんは、あの8月6日の中沢さんの絵を持って案内するフィールドワークに取り組む。
被爆体験を腹話術で伝え続ける小谷孝子さんは、中沢さんと同じ6歳で被爆した。相棒の人形は3歳で被爆し、亡くなった弟だ。80代の現在も年間50回を超す活動を続ける小谷さんは「次世代へ伝えつづけていくこと、そこから希望が生まれる」と話す。
映画は核の脅威を伝え続ける人たちの様々な活動を描き、中沢さんが描いたゲンの原爆への怒り、悲しみ、その熱量が広がり浸透した様子を映し出す。
11月14日より広島サロンシネマ、11月15日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
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