2025年11月07日

【おすすめ本】早川 タダノリ『「日本スゴイ」の時代 カジュアル化するナショナリズム』―事実や真実おし 潰す 情けない国に成り下がる=鈴木 耕(編集者)

 なにしろスゴイ、誰がなんてったってスゴイ、政府が音頭をとって「クールジャパン」を叫べばテレビや雑誌、書籍、時 には新聞までが呼応する官民挙げての「ニッポン万歳」大合唱。
 かくて日本はスゴイ文化、スゴイ技術、スゴイ 風土、スゴイ国民の一億総スゴイ化に向けて驀進中…と思ったら、もはや化けの皮がバレバレで情けない国に成り下がって…と、本書は「日本スゴ イ」の本質をバッサリ斬り捨てる。

 著者の早川さんは、私なら絶対に手にしないような本や資料を集めまくって、「日本スゴイ」の 実態に迫っていく。いやぁ、その姿勢には感服つかまつった。本気で早川さんスゴイ(これは誉め言葉ですよ)。
 でもこれは昔のことじゃない。かつて大流行したテレビでの「日本スゴイ」が底流となって、今 やSNS上に進出し、政治にまで影響を及ぼすようになったから、見過ごすわけにはいかない。

 そう著者に指摘されれば、まさにその通り。真 偽不明のデマ情報が、次々に伝聞形式で、いつの間にか事実(らしきもの)に成り上がる。最近 の選挙戦の様相などを見ていると、ウソとデマとフェイクが入り混じった言説が、事実や真実を押しつぶし、堂々と情報街道のど真ん中を、そこのけそこのけとばかりに、突っ走っているではないですか。

 粗雑な「日本人論」が 結局戦争への道を開いたことを、本書は丁寧に解説する。その上で「日本 スゴイ」論の危うさを教えてくれるのだ。
 今回の自民党総裁選などは、ウソとフェイクとデマの戦争だった。その結果がアレです。ヤバいよ、ほんとうに。私たち は著者の警告を、心して聞かなければならない。(朝日新書 900円)
          
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posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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