2025年11月08日
【第68回JCJ賞贈賞式】戦争 虐殺 腐敗に迫る
日本ジャーナリスト会議(JCJ)は9月27日、東京の全水道会館で戦後80年、JCJ創設70年の第68回2025年JCJ賞贈賞式を開いた。
今年の大賞受賞者は、 ノンフィクションライタ ーの安田浩一氏。関東大 震災での自警団や在郷軍 人、警察による朝鮮人、 中国人や誤認された日本 人を含めた「虐殺」がな ぜ起きたをテーマに『地 震と虐殺 1923―2 024』(中央公論新社) を著し、日本社会の底流 にある構造的な「差別と 偏見」に迫り、虐殺を煽 った排外主義に警鐘を鳴 らした。
式では中村梧郎JC J代表委員がこの一年の メディアと政治の在り様 を振り返り、「安保法制 強行採決から10年目、集 団的自衛権は相手国に日 本攻撃の名分を与える。 敵基地攻撃の反撃対象は 日本全土で逃げ場はない。 米中対立の最前線の日本 で、自民が成立を目指し、 参政、維新、国民民主が 同調する『スパイ防止法』 は100年前の治安維持 法の復活で、40年前は廃 案に」。「真偽の検証も ないフェイク報道が投票 にも影響。戦後80年、メ ディアの危うさが指摘さ れている」と開会あいさ つ。「ジャーナリズムと は何か、時の権力といか なる距離をとっているか、 圧力やしがらみから、い かに自由にものを言うか だ。記者魂に期待したい」 と受賞者に語りかけた。
続く記念講演では「戦 後80年・映画『黒川の女 たち』から伝えたいこと」 と題し、映画を監督した 松原文枝さん(テレビ朝 日)が、戦後70数年間、 黙殺、封印されてきた戦 時の国策で旧満州に渡っ た満蒙開拓団が敗戦で逃 げ場を失い、「団を守る ため」と、身内の女性た ちをソ連兵に差し出し性 暴力にさらした凄惨な事 実を「埋もれさせてはい けない」と声を上げた女 性たちの世代を越えた連 帯、尊厳回復の道筋を紹 介した。
藤森研JCJ賞選考 委員の講評のあと、JC J賞贈呈が行われた。
受賞スピーチは、被爆 80年企画「ヒロシマドキ ュメント」の中国新聞社 は水川恭輔編集委員、沖 縄戦80年企画「新しい戦 前にしない」キャンペー ンの琉球新報社は中村万 里子編集委員、鹿児島県 警情報漏洩事件をめぐる 一連の報道の鹿児島テレ ビ放送は前田慎伍ディレ クター、選挙運動費用・ 政治資金を巡る一連の報 道と「選挙費用データベ ース」構築の調査報道グ ループ・フロントライン プレスとスローニュース 社は、高田昌幸フロント ラインプレス代表、デー タベースを構築した安野 修右・日大准教授、熊田 安伸スローニュース社プ ロデューサーの3氏が登 壇。取材の狙いや、受賞 の思いを語った。
また、特別賞の萩原健 氏は、本を書いた止むに 止まれぬ思いや、ガザ現 地で実際に起きていたこ とを報告し、イスラエル の非人道的行為を批判。
最後に登壇した大賞 の安田浩一氏は「虐殺は 人間を、地域を、社会を 壊す。これ以上、社会を 壊されてたまるか。差別、 偏見、排外主義は日本人 の問題だ」と強く訴えた。
*1〜4面に掲載のJC J賞贈賞式写真は武馬怜 子が撮影しました。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
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