2025年11月09日

【おすすめ本】橋本健二『新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の果て>』━5つの階級に分かれた格差社会の実態を詳細に暴く=栩木 誠(元日経新聞編集委員)

 いまや日本社会の‟代名詞“ともなったのが、1980年代前後から顕在化してきた「格差拡大」である。格差が固定化され「新しい階級社会」が 創出されたのである。
 前著『新・日本の階級社会』で、その実態を描いた著者が、「2020年三大都市圏調査」など、新たな調査データを駆使し、社会的分断が深刻化する「現実」を提示したのが本書である。

 所得や雇用形態などの分析から、現在日本が資本家、新中産、正規労働者など、5つの階級に分かれていることを示す。特に「労働者階級の一部ではあるが、労働者階級としての基本的要件すら欠いているために、極端に貧困で、多くの困難を抱えている人々」を、著者は、「新しい下層階級=アンダークラス」と位置づけ、焦点を当てる。

 日本は米国とともに、相対的貧困率の高い先進国だが、資本主義社会の最下層階級である、「ア ンダークラス」の人数は約890万人、就業人口の13.9%を占める。
 5つの階級構造が形成された要因、固定化しつつある現実、格差を巡る対立構造。男女間格差。 本書は豊富な調査資料・データの丹念な分析を基に、深刻化する日本の現実に切り込んでいるだけに、説得力がある。

 ただ「最大多数である『リベラル』の人々を支持基盤とする野党と『伝統保守』の人々を支持基盤とする自民党を、二大勢力とする政党システムが実現すれば、日本社会は大きく変わるだろう」という、楽観的な結論付けには、やや疑問符が付く。それまでトレースしてきた、格差社会の実相との論理的な落差が、あまりにも大きいからである。(講談社現代新書1200円)
              
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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