2025年12月02日

【25年JCJ賞受賞者スピーチ】信頼される報道をする 県警の不祥事隠ぺい追う=前田慎伍さん(鹿児島テレビ放送)

3面ー鹿児島テレビ-前田慎吾.jpg

 鹿児島県警の情報漏洩事件は、私たちが経験したことのない、ありえない状況の連続でした。本来は悪いことをした人を逮捕する警察が、悪事を取り締まる警察官を次々と逮捕するという異例の事態。その逮捕容疑も驚かされました。メディアに情報を流した、という私たちの日ごろの取材行為そのものを取り締まることができるという信じられないものでした。

 さらに逮捕された元生活安全部長は、その動機を「本部長が警察職員の犯罪行為を隠ぺいしようとしたことを許せなかった」と組織のトップを名指しで糾弾しました。本当に驚きました。
 今日ここに参加できなかったプロデューサーの四元良隆からのコメントを代読します。
 今回の一連の問題は警察の組織の問題だけでなく、私たちメディアの在り方が問われた問題になりました。実は今回の事件、鹿児島のメディアではなく、ほかの県のジャーナリストたちに寄せられた情報で発覚したものでした。

 私たちメディアは、地域の人たちに信頼される存在なのか、そんな重い問いかけを突きつけられました。何のために、誰のために私たちは報道しているのか―。ダメな自分たちを認め、地域のメディアの存在意義と向き合いながら、この問題と対峙することになりました。プロデューサー、ディレクター、記者、全員で現場に向かい、一つひとつ悩みながら取材し、繰り返し放送しました。

 ある警察官のインタビューに4カ月もかかりました。鹿児島の人たちに信頼される報道をする、そんな思いで60本を超えるニュースや企画を放送し、ドキュメンタリー番組へと繋げてきました。
 今回、私たちのような小さな報道がこの賞を頂けた意味は、「故郷のためにモノ言うテレビでありなさい」、今回の受賞は、小さな地方局でもジャーナリズムを忘れずに、弱者視点に立って伝えることが大切だと激励を受けたような気がします。これからも南の鹿児島から地域の人々のために頑張りたいと思います]

 元生活安全部長が逮捕されて1年3カ月以上経ちますが、裁判の日程すら出ていない状況です。同部長が行った行為が公益通報なのか否か、元本部長が隠ぺい行為に携わったのかどうか、これからも取材を一つひとつしていきます。
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 25年JCJ賞受賞者スピーチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック