2025年12月07日
【25年JCJ賞受賞者スピーチ】取材プロセスを全て公開 データベースは報道を底上げ プロントラインプレス スローニュース
高田昌幸さん
私が述べたいのは2つです。一つ目はなぜこのようなことをやっているかです。2019年にスタートしたフロントラインプレスは、当初から政治資金と選挙資金を底引き網のように集めた情報を分析し、ネットで発信しています。その意義はまず、絶大な権力を持ち、法律や条例を作る議員たちに、きちんと「監視」されていることを示すことです。
またネットは「ウソを言った者勝ち」状態です。これからのジャーナリズム活動の大きな柱はウソでない情報を伝える。これが2つ目です。それにはどんな取材を経て記事や番組、動画になったかを提示する。ニセ情報とは違う内容を見せるのが大事なポイントです。
公開した政治資金と選挙資金データから記事が生まれ、最後に政治家たちのコメントを取るというのは、ものすごく分かりやすくシンプルです。公文書を整理整頓すれば、誰がやっても多分同じ結論に達します。
最後にJCJ賞受賞は3回目です。25年間勤めた北海道新聞記者時代の1996年、取材メンバーだった北海道庁公費乱用報道で奨励賞、04年は北海道警察裏金問題の取材代表として大賞をいただきました。
きちんと取材をし、きちんと伝えるジャーナリズムの王道をまっすぐ歩みたいと思ってきました。1つのことを変わらずに続ける力、それによって様々な場所で起きる化学反応の力を信じて、曲がりなりにも調査報道を続け、この場に立てたことを嬉しく思っています。その意味で嬉しい1日になりました。
安野修右さん
選挙運動費用データベースは宝の山です。政治的な現実と照らし合わせてどうなのという問題が列挙されています。どんどん使ってください。
話は変わりますが、賢しらな言説を表立だって言い募りながら、自己の利益を獲得しようとするさまを、故郷の広島弁では「公平げ」「公平っぽい」と馬鹿にします。
今年、参院選の参政党データによると、東日本の大卒者率の高い自治体は同党比例区の投票率が低く、西日本、特に中国地方では大卒者率の高い自治体ほど投票率が高くなっています。
最近の政党の言説が「公平げ」かは論評しませんが今、「公平げ」な言説があふれています。受賞作の報道内容はみな公平だと思います。公平な言説が世の中に広まることに力を尽くします。
熊田安伸さん
実は前職のNHK時代に「政治マガジン」というウェブメディアを開発運営しました。ジャーナリストを支援するデータベースも公開したかったのですがダメでした。
スマートニュースの子会社スローニュースは、独自の調査報道やノンフィクションを発信しています。高田さんたちに「これやんないか」と言われた時には「やった」と思いました。
「予算オーバーかもしれませんが、絶対いい話だからやりましょう」と提案、即座に始めました。私たちのミッションは、ジャーナリズム全体を底上げしアップデートしていくことです。そうでないと情報やデータを握る権力に対して戦えません。
データベースでは、すごい分量の情報が横断検索できます。森友事件の財務省文書も公開しました。受賞で素晴らしいツールを広く知ってもらえて感謝しています。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年10月25日号
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