2025年12月09日

【月刊マスコミ評・新聞】首相に問うべきは自国の主権と人権=六光寺 弦

 高市早苗首相は10月28日、トランプ米大統領との初の首脳会談で軍事力強化に取り組む決意を表明。「日米同盟の新たな黄金時代をともに作りたい」と述べた。
 強調したのは安倍晋三元首相との近さ。「安倍氏に対する長きにわたる友情に感謝している」「大統領のダイナミックな外交について話を聞いていた」(読売新聞)と、大統領への賞賛も込めた。
 「シンゾーの後継者」にトランプ大統領は満足しただろう。専用ヘリに同乗させて、米国の軍事力の象徴である原子力空母へ。そこでのやり取りは各紙とも詳しい。

 「米軍兵らを前に演説していたトランプ氏は『この女性は勝者だ』と首相を壇上に招いた。首相の肩を抱き『日本の歴史上初の女性首相だ』と紹介。笑顔の首相は右拳を挙げて小躍りしながらぐるりと回り、拍手を浴びた」(朝日新聞)。
 対米追随姿勢を、毎日新聞や東京新聞は社説で批判したが、問題はそれで済まない。トランプ大統領が移動に都心の米軍施設のヘリポートを使ったこと、高市首相もヘリに同乗したことには、日本の主権にかかわる重大な意味がある。
 この施設は「米陸軍赤坂プレスセンター」。大統領は羽田空港から入国し、ヘリでこの場所に移動。車に乗り換え天皇との会見に向かった。米空母への移動にもこのヘリポートを使った。

 地元の東京都港区は返還を求めているが米国は応じない。80年前の敗戦による軍事占領が続いている点で、沖縄の米軍基地と同じだ。日本の主権が及ばないそんな場所から、高市首相は大統領専用ヘリに同乗し米空母を訪ねた。
 東京の空は沖縄の空につながっている。基地の過剰な負担の解消を求める沖縄の民意を分かっているのか―。首相に問うべきは、自国の主権と自国民の人権への意識のはずだ。

 会談翌日、東京発行の新聞各紙の朝刊1面トップは、日米首脳会談でそろった。いくつもの紙面の見出しに「黄金時代」が踊っていることに驚いた。朝日新聞は「首相『日米 新黄金時代を』」、読売新聞も「日米同盟『黄金時代を』」が主見出し。産経、東京両紙も2本目の見出しに取った。
 「黄金時代」は何を指すのか不明。勇ましいだけの空疎な言葉だ。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号 

posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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