万博中もIR用地工事が進む
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに158の国・地域が参加した2025年大阪・関西万博が閉幕した。会期中の4月13日から10月13日までの184日間に訪れた一般来場者は2557万8986人。会場運営費は230億円から280億円の黒字の見通しと、関係者からは「成功」との声が上がる。
一方で、会場建設費は当初計画の1250億円から1・9倍の2350億円まで膨張した。インフラ整備も含めた総費用に見合う成果はあったか、安全は確保できていたか、テーマにふさわしいレガシーとは何なのか、印象論でない検証が必要だ。
25年日本国際博覧会協会(万博協会)の石毛博行事務総長は10月7日、成功の必要条件としていた「大きな事故を起こさない」「赤字を出さない」「できるだけ多くの人に来てもらう」の3点をクリアしたこと、厳しい世界情勢・経済環境の中で「大きなイベントをやり終えたこと」を成果に挙げた。
SNSの後押しの中、多くの来場者が万博を楽しんだことは事実だが、全体の収支は未定で、跡地活用やレガシー継承も議論の段階だ。11の海外パビリオンの建設に関連して工賃未払いの相談があり、経営難の企業が出ている中、万博推進側が「成功」を喧伝するのは早計ではないか。
■安全確保検証は
安全面で検証が必要な事例には、8月13日の大阪メトロ中央線停電トラブルがある。万博協会の推計では3万8千人が足止めされ、1万1千人が会場に泊まり、36人が救急搬送された。現場関係者は「雑踏事故を防ぐため帰宅困難者の安全を大阪府警が確保した」と話す。大事故にならなかったのは現場スタッフの奮闘だ。楽観視できる状況ではなかった。
会場の夢洲へのアクセスルートは夢咲トンネルと夢舞大橋の二つ。来場者輸送の6割から7割を大阪メトロ中央線が担っており、足止め人数が拡大した。大阪湾を埋め立てた埋立地特有の軟弱地盤が工期遅れの一因との指摘もある。
多くの問題が夢洲という悪条件に起因する。夢洲開催の是非、IR・カジノとの関連も検証すべきだろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年12月25日
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