2026年01月06日

【月刊マスコミ評・新聞】思わず目を疑った読売の社説=白垣詔男

 高市早苗首相が11月26日、就任後初の国会党首討論に臨んだ。その中で、首相が衆院予算委で発言した「台湾有事について」ただしたのは立憲民主党の野田佳彦代表。日中関係の悪化を改善しなければという意思が感じられた。しかし、首相は自らの責任問題には触れず、予算委で質問した立憲民主党の岡田克也氏の質問内容が適切でなかったかのような自己弁護に終始した。
 
 この党首討論について朝日、読売は翌27日朝刊社説に、毎日は28日朝刊社説で触れた。朝日は「誠実とは遠い首相答弁」の見出しで「自身に問題がなかったかのように開き直る。唐突に論点をずらし切り返す。都合の悪い質問は無視する―。一国の指導者としての責任の重さを同考えているのか」「(予算委で)まるで質問した方に原因があると言わんばかりだ」と痛烈に批判する。毎日も「責任転嫁では解決しない」の見出しで「(こじれた日中関係の)改善につながる道筋を示せなかった」「(予算委での)軽率な答弁で緊張を高めたことへの反省がうかがえない」と指摘した。

 以上2紙はジャーナリズムからの言説で、国民の大多数が納得する内容だった。しかし、読売の社説は、目を疑う内容だった。「(予算委で岡田氏が首相に)答弁を執拗(しつよう)に迫った立民の責任を棚上げし、首相を責め立てる野田氏の姿勢は理解に苦しむ」「野田氏はまた、首相在任中の2012年に尖閣列島を国有化し、中国が猛反発したことに触れ、現状は『(当時の摩擦)より深刻ではないか』と述べた。…どちらが深刻か論じることに何の意味があるのか」と書く。

 以前から「読売は自民党の広報紙か」と思っていたが、今回の社説を読んだとき、その感を確信するとともに、首相の言い分を分析するよりも、質問内容を問題視するとは。こうした「文章を書く論説委員の非常識さに、あぜんとした。
なお、首相が野田氏に、企業・団体献金の規制を「そんなことより定数の削減をやりましょうよ」と言ったことについて、朝日は社説で「『そんなこと』とは何事だろうか」と問題視していたが、他紙は、党首討論後に野田氏や斉藤鉄夫公明党代表が発言したことによって、翌28日の紙面から問題視。政治記者の感度に「?」が付く。
        JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号 


posted by JCJ at 02:00 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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