2026年02月15日

【映画の鏡】異国で懸命に生きる姿に共感『在日ミャンマー人―わたしたちの自由―』顔見える関係が排外主義打ち破る=鈴木 賀津彦

 
myanmar_mainc土井敏邦.jpg
                 c土井敏邦

「一瞬の幸せより、一生の幸せ‥‥」。日本に暮らすミャンマーの女性が、土井敏邦監督のインタビューに答えた言葉が心に迫る。2021年2月の国軍によるクーデターから5年。直後から在日ミャンマー人の多くが抗議のデモに立ち上がった。本作はその一人一人の思いに土井監督が迫り克明に描いていく。

 排外主義が台頭する今だからこそ、祖国を離れても民主化運動に奔走する彼らの生きる姿から、私たちが学ぶことが沢山あると痛感した。在日ミャンマー人という総体ではなく、一人一人の生き方を捉えることから共感が生まれ、顔の見える関係が醸成される中から排外主義は打ち砕かれてゆくのだと確信できた。

 例えば1990年生まれの女性レーレールィン。ミャンマー北部のマンダレー市内の看護大学で学び、看護師として病院で働きながら日本への留学を目指し日本語を猛勉強。2013年に来日して日本の看護大学に再入学し、生活費のためのアルバイトをしながら寝る間もなく猛勉強して国家試験に合格、17年に都内の病院に初の外国人看護師として就職する。ところが患者や同僚からの激しい差別の体験も。軍事クーデター後の抗議活動の中で、ミャンマー支援レストラン「春の革命」を創設、看護師とレストラン経営の仕事に奔走する。

 こうした彼女ら3人の本音を映し出す第1部、タイ国境の街に建てた学校への支援活動を追った第2部、軍事政権と日本の関係を掘り下げた第3部。171分の長い作品だが、彼らと共に自由を守る取り組みの大切さを私たちに気付かせてくれる。公開は1月30日から都内で。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号 
posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | 映画の鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック