世界一の原油埋蔵量を抱える南米ベネゼエラから原油を日本が恒常的に輸入していると思ったが、そうではなかった。2017年以降ベネズエラ原油を輸入していないことを石油連盟の木藤俊一会長(出光興産会長)が記者会見で明らかにした。
中東の原油とは性質が違い、ベネズエラ原油は重質で硫黄分が多くいわば質が悪い。このため原油から蒸留・分解装置でガソリン、灯油、軽油、重油などの製品をつくる製油所では、新たに脱硫能力を高めた設備が必要で、コストの負担増になる。
木藤会長は「中東でよほどのことがない限り使うことはないだろう」と語り、米国がベネズエラ原油の増産をしようといている点について「米国の管理下で増産しても日本で使うのは難しい」と指摘した。
そのうえ国営ベネズエラ石油産業の生産設備が老朽化し、多大な投資をしなければ稼働しない状態なのだ。英紙ファイナンシャルタイムズ(FT)1月7日付電子版(提携の日経新聞翻訳版29日付)によると、「壊滅的な状況」で原油貯蔵設備の3分の1程度は休止している。
それなのにトランプ米政権は、米軍を投入しマドゥロ大統領夫妻を拘束し米国に移送までしてベネズエラ石油利権を獲得したのはなぜなのか。
1月6日付記事配信「Wedge(ウェッジ)」<ベネズエラ石油にトランプがこだわる大きな理由>の筆者・山本隆三氏はその謎を解いている
2000年後半のシェールガス革命で米国は世界最大の産油国にのし上がったが、品質にむらがあり、国産原油だけではガソリンなどの製品を低コストで精製することは困難。ベネズエラ産原油を入手すれば、真の自給率100%が達成され石油の安全保障を担保できる。
しかも米国の製油所は、シェール革命前に米国で産出された原油の多くは重質油だったので、それ向けに設計されている。実に7割の製油所は重質油でより効率的に稼働でき、軽質油のシェールガスを使うとコスト増になり結局ガソリン価格などが上昇する。
多くの米国の製油所は、ルイジアナ州からテキサス州のメキシコ湾岸に建設されている。輸入原油の受け入れに便利だからだ。海上輸送距離が短いベネズエラ産原油は、コスト減で価格競争力がある。米国産シェールガスオイルの補完も可能だ。
これがベネズエラ産原油にこだわるトランプの主たる理由ではないか。米国の石油大増産を成し遂げる見返りとしてトランプは業界からの多額の献金と11月の中間選挙での集票を見込む。
2026年02月16日
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