2008年03月11日

相次ぐ米兵による犯罪――防止には、差別的な「地位協定」の撤廃こそ急務

 米海兵隊員による女子中学生暴行事件から1カ月、米兵による犯罪はあとを絶たない。日米両政府は、日米地位協定の改定へと事態が突き進むのを途中でせき止めようとしている。かわりに日米両政府は、次の再発防止策として日本の警察と米軍の「共同パトロール」の導入を検討している。(JCJふらっしゅ:Y記者の「ニュースの検証」)

 しかし日米地位協定がいきたままでは、米軍と日本の警察が同時に米兵の逮捕現場に居合わせた場合、逮捕は米軍に委ねねばならない。毎日新聞によると、日米両政府は、「一度手を着けたら他国にも及び、際限なく続く」(自民党国防族議員)として協定見直し論議を何より嫌っているという。

 時代錯誤の不平等協定の存続に、なぜ日本の政府・与党が手をかす必要があるのか。なぜ「一度手を着けたら他国にも及び、際限なく続く」と、米国側になりかわって日本の政治家がそんな心配を肩代わりするのか。ブッシュの戦争追従、「米軍再編」に伴う利権に群がる与党政治家の腐敗ぶりを象徴する発言だ。

 朝日新聞によると、あの安倍内閣当時に防衛政務官を務めた自民党の大前繁雄衆院議員(兵庫7区)が、神戸市内で8日にあった党兵庫県連の会合で、イージス艦による操業漁船衝突破壊事件に関連して「漁船側に重大な過失がある」などと発言していたことがわかった。

 同議員は「公正な調べによる原因究明を求め、事故の再発防止を訴える趣旨だったが、軽率だった」と話しているというが、「公正な調べによる原因究明」と「事故の再発防止」の話がなぜ「漁船側に重大な過失」発言になるのか。

 これも自公与党のブッシュの戦争賛成姿勢と裏でしっかりとつながった発言である。米兵による重大犯罪も、米軍とつながったイージス艦が引き起こした重大事件についても、こうした自己保身のみを志向する輩たちは「被害者が悪い」と言い始めてやまない。その拡声器の役割を担う雑誌なども一部に存在する。政治家、編集者失格、亡国の輩といわざるを得ない。
 
 毎日新聞は「沖縄米兵暴行1カ月 くすぶる地位協定」の記事で、「在日米軍による事件・事故は、02〜06年度に全国で起きた9193件のうち、5193件(約56%)が沖縄に集中する」と告発、沖縄県警幹部の「米軍がまず考えるのは自国民の保護。政府間で運用改善を決めても現場まで徹底されない。共同パトロール案は机上の議論だ」(毎日新聞)との指摘を紹介し、「あくまで協定改定を求める機運が出ている」としている。

 沖縄県警が「共同パトロール案」を拒むのは、米軍とのパトロールがたとえ捜査権を持つ米軍憲兵でなく、「生活指導巡回の一般米兵(CP)との共同パトロール案」であっても、「事情聴取の間に憲兵が到着したら身柄は米軍に引き渡される」(同)からだ。

 職務に忠実であろうとすれば当然出てくるまっとうな判断と異なり、自己保身に凝り固まり「被害者が悪い」「漁船側に重大な過失」と口から妙な発言がついつい飛び出してしまうお歴々。その違いは明白である。自分の利益のことしか頭になく与党ズレしきった、全国各地に巣食う腐敗した政治家に「退場」をつきつけるときが迫っているように思えてならない。

 21世紀における日本の平和主義、民主主義、人権尊重社会の実現には、腐敗政治家の一掃による政治の再構築と、メディアの作りかえが欠かせない。いま市民の手で、日本総体の民主的改革をなし遂げなければ、日本の未来に漆黒の闇を広げるだけである。

 琉球新報が12日日付社説「地位協定要請 占領の残滓、不平等解消を」で、独米地位協定にあたるボン補足協定や米韓地位協定のほか、イタリアではすべての米軍基地がイタリアの司令官の下に置かれていることを実例として挙げている。

クローズアップ2008:沖縄米兵暴行1カ月 くすぶる地位協定(毎日新聞)
「漁船側に重大過失」自民・大前議員、地元会合で発言(朝日新聞)

地位協定要請 占領の残滓、不平等解消を(琉球新報)

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JCJふらっしゅ ・Y記者の「ニュースの検証」=小鷲順造
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posted by JCJ at 17:15 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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