2008年03月25日

署名集めに懲役5年の実刑判決 中国黒竜江省の裁判所

―ギリシャの採火式中の妨害行為は「国境なき記者団」のメンバー
 中国黒竜江省の裁判所が、「五輪より人権を」と訴えて1万人余りの署名を集めた楊春林氏に対し、「国家政権転覆扇動罪」で懲役5年の実刑判決を下した。枠の下へ続く
 また福島香織・産経新聞中国総局記者が、自身のブログ「北京趣聞博客」(ぺきんこねたぶろぐ)で、中国知識人30人が連名で中国公式メディアの偏った宣伝的報道に関する意見を表明したことを伝えている。
 24日、ギリシャのオリンピアで北京五輪の聖火採火式中に妨害行為があったが、騒ぎを起こしたのは「国境なき記者団」(本部パリ)のメンバー3人だったことがわかった(→時事通信)。3人のうち1人は、同団体創設者のロベール・メナール事務局長で、23日にサルコジ大統領から仏最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受けたばかりだったという。25日の中国国営メディアはこの出来事を一切伝えず「採火式は大成功」と報じている。

 中国で、多数の中国人ジャーナリストが拘禁されている。「国境なき記者団」は、およそ30人のジャーナリストと50のインターネット利用者が、中国で現在も拘禁されつづけていると告発している。中国のブログサービスは、検閲官が「破壊的である」と思われるキーワードにひっかかれば閲覧をブロックされ、「政権転覆」や「名誉毀損」のを罰をおっかぶせて収監していること、外国のジャーナリストに対する規則は緩和されたが、国際的なメディアが中国のジャーナリストを雇用したり、チベットと新疆で自由に動き回ることはまだ不可能だと、自らのサイトで伝えている。
 また、依然「オリンピックが中国の正常な人権感覚を前進させる」と期待している民主主義国の政府は間違っていると指摘、IOCは8月8日の開会式よりも前に、人権状況の改善を要求すべきであるなどと呼びかけている。「民主主義のないオリンピックなど存在しない!」として―。

「五輪より人権」訴えた中国活動家に懲役5年(朝日新聞)
チベットとその周辺で今まで何が起きたか(つづき)(北京趣聞博客)
国境なき記者団が妨害行為=「人権は聖火より神聖」(時事通信)
中国のジャーナリスト拘禁 五輪報道の自由は 世界新聞協会「抗議広告を」(産経新聞)
Repression continues in China, six months before Olympic Games(「国境なき記者団)

□■チベット独立運動のゆくえ□■

 中国チベット自治区での騒乱以降、初めてダライ・ラマと会談した外国の要人は米下院のペロシ議長(民主党)だった。ペロシ議長は21日、インド北部ダラムサのチベット亡命政府を訪問して、ダライ・ラマ14世と会談。会談後、「チベット情勢は世界の良心に対する挑戦だ」と語った(AP通信→共同通信)。

 一方中国の楊外相は20日、ライス米国務長官と電話で会談、「ダライ・ラマ集団が念入りに画策、扇動し、国内外のチベット独立運動勢力が互いに結託して(暴動を)引き起こした」と説明して、ダライ・ラマ14世を批判している。また中国の国営新華社通信は20日、四川省アバ県の暴動で16日、抗議参加者に警察が発砲し負傷者を出したこと、あわせて逮捕者が出ていることも認める報道をした。

 だが、AFPによると米国とインドに拠点を置く学生組織「チベット自由化を目指す学生たち」からは「現時点では、中国当局の声明はいっさい信用できない。わたしたちはたしかに(死者の)写真を見た」、米国のチベット支援団体「チベットのための国際キャンペーン」からはチベット当局がラサでの暴動で発砲はなかったと主張しているのと同様、まったく信用できないとの批判が出ている。

 また、ダライ・ラマは16日、中国のチベット統治を「恐怖による統治」、「文化的虐殺」などと評して非難したが、北京五輪については「良きホスト国となるよう心がけるべきだ」と諭すのみで、ボイコットは呼びかけなかったため、チベット独立を主張する「チベット青年会議」は、ダライ・ラマの姿勢を公然と批判し、チベット独立を求める抗議活動を継続すると主張しているという報道もある(→AFP)。

 中国のチベット統治への抗議デモ、発砲、死者を出す騒乱、そして外国要人を巻き込んだ情報戦へと事態は拡大している。毎日新聞は見出しに「IT駆使し情報戦」と打っている。それはごく近未来に控えているのか、それとも遠い未来をみすえているのかは定かではないが、チベット独立運動は反中国でとどまらず、もともと内包してきた脱亡命政府の志向を強めていく可能性も否定できない。

 経済・情報のグローバルと中国の高度経済成長のひずみが今回の事態の根源に横たわっているとすれば、チベットの民衆統治のありようにも批判の矛先がそのまま向かってもおかしくはないからだ(だがそのエネルギーのすべてが自滅的な暴徒のかたちに至るとも思えない―)。

 インド・ニューデリーで21日、チベットの旗を持った約50人の亡命チベット人が中国大使館施設に突入を図り、インド警察当局と大使館警備員によって拘束されたという(→AFP)。この手の動きが騒然たる状況の中から発生した激情による行動なのか、あるいは何らかの狙いを有する恣意的な行為なのかは依然不明だ。

 混沌とした事態のなかで混沌とした言動や報道が飛び交う。そのなかで、6年目に突入するイラク戦争。軍産複合体を抱える大国が、「人権」の名のもとに、戦争へと足を踏み出してきた歴史。それを忘れることなく、チベット民衆の胎動を注視していきたい。人の命が軽視され、横に追いやられることだけは許容するわけにはいかないのである。

 米国か中国かではなく、米国も中国も、その他の国もである。高度な交通・移送技術の発展と情報通信革命によって、地球上の国と国、地域と地域、人と人の距離ははどんどん狭まっている。

米下院議長、ダライ・ラマと会談 「良心への挑戦」、中国反発も21日
中国外相が暴動を非難 米長官に電話で説明(共同通信)21日
亡命チベット人、インド・ニューデリーの中国大使館に突入図る(AFP)
<チベット暴動>新華社、4人「射殺」を「負傷」に訂正(毎日新聞)21日
チベット暴動、四川省で「負傷者4人」報道を支援団体が非難(AFP)
<チベット暴動>IT駆使し情報戦 「作為」でかく乱も(毎日新聞)21日
ダライ・ラマの「中道主義」、チベット人強硬派は非難(AFP)

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JCJふらっしゅ ・Y記者の「ニュースの検証」=小鷲順造
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posted by JCJ at 13:36 | TrackBack(0) | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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