2017年10月12日

≪おすすめ本≫平 和博『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』既存メディアへの不信が嘘ニュースや情報をはびこらせる=河野慎二

 虚実をないまぜにしたフェイク(嘘)ニュースが世界を席巻している。昨年の米大統領選では「ローマ法王がトランプ支持」などのフェイクニュースが、ニューヨークタイムズやCNNなど、既存メディアと同程度の拡散規模となり、トランプ氏を大統領に押し上げた。
 フェイクニュースの影響力は深刻だ。「児童性愛にヒラリー・クリントン氏が関与している」という嘘ニュースを信じた男による発砲事件(「ピザゲート事件」)が、ホワイトハウスに近いレストランで発生した。
 トランプ支持のフェイクニュースについては、ロシアからの発信疑惑が米FBIの捜査対象になり、トランプがFBI長官を解任するなど、国際謀略戦の渦中にある。

 今年春のフランス大統領選でも、フェイクニュースがマクロン候補を攻撃した。攻撃を仕掛けた一人は「ピザゲート事件」を引き起こすフェイクニュースを拡散したトランプ支持の人物だ。
 だが、右派勢力の野望は、フランスメディアの連携した報道によって打ち砕かれた。ルモンドやリベラシオンなど、34の組織が作ったファクトチェック機関の「クロスチェック」が、フェイクニュースがマクロン追い落としの決め手とした文書が偽造であることを突き止め、ネットで速報。極右のルペン候補当選を阻止した。

 日本でも今後、フェイクニュースの跋扈が懸念される。著者はフェイクニュースが氾濫する背景に既存メディアへの不信があると指摘する。
 ジャーナリストはその指摘を真摯に受け止め、チェック体制を整える必要がある。
(朝日新書760円)
posted by JCJ at 10:24 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月04日

≪おすすめ本≫「負けるな北星!の会」記録編集委員会『北星学園大学バッシング 市民は かく闘った 』マスコミと大学人というリベラル派の限界を突破した闘う市民の記録=徃住嘉文(JCJ北海道支部)

 2014年、日本軍「慰安婦」を歴史から削除したい勢力が、三つの大学に、気にくわない教員をクビにするよう要求した。爆破、殺人予告もあった。神戸松蔭女子学院大と帝塚山学院大は、結果として要求を呑んだ。最後に残った札幌の北星学園大も陥落寸前だった。本書は、これを覆した市民運動の記録だ。
 教員は、元朝日新聞記者植村隆氏。1991年、元慰安婦・金学順さんの存在を報じた。これを「捏造」とする勢力の攻撃で、北星大の非常勤講師職を奪われそうになる。阻止のため市民が急遽作ったのが「負けるな北星!の会」だ。

 本書の第一の特徴は、運動の成果を誇るというより、頼りにしたマスコミと大学人というリベラル派が、いかに「弱虫」だったかを突いた点にある。原正衛北星大経済学部長は、学内リベラル派の実態を率直に報告している。@植村氏を守るため警察が学内に入るAすると自分の研究が国家権力の監視下に入るBだから植村氏に辞めてもらうしかない、といった論法がまかり通っていた。
 取材に当たった現場の記者たちも「あの手この手で書き直しても原稿はボツだった」と、自らの恥と罪を語っている。

 第二の特徴は、「本当の敵を見失うな」とするノーマ・フィールド米シカゴ大名誉教授ら60人を超す執筆陣。「札幌だから闘えた」(中野晃一上智大教授)などシンポジウムの記録もある。
(A4判247頁・頒価500円。注文はFAX011−351−5310かメール:makerunakai@gmail.comで。送料は着払い。本代はゆうちょ銀行振替口座02720−4 番号70218 マケルナ会に振り込む )
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posted by JCJ at 12:16 | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする