2022年12月04日

【今週の風考計】12.4─「敵基地攻撃」へ突っ走る岸田政権の悲劇的末路

<12・8真珠湾攻撃>の悲劇
▼やっぱり公明党は、<下駄の雪>よろしく自民党につき従い、ミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力の保有」を容認した。これを受けて政府は年内に改定の「安保3文書」に保有を明記する。国会での論議も経ずに、戦争放棄を謳う「憲法9条」をズタズタにする暴挙の恐ろしさは極まりない。
▼いかに公明党が、「敵基地攻撃能力」を自衛権行使の「反撃能力」と言い換え、「先制攻撃」はしないと弁明しても、「相手国が攻撃に出る前に敵基地をたたく」自衛隊の軍事的行為を、どうやって「先制攻撃」でないと証明するのか。詭弁もいいところだ。
▼81年前の<12・8真珠湾攻撃>を思い浮かべたらいい。日本軍が敵国である米軍のハワイ・オアフ島の真珠湾にある米軍基地や艦隊へ、奇襲の「先制攻撃」をかけた。ところが米国の大反撃を食らい、泥沼の太平洋戦争から敗戦へと至った悲劇を、噛みしめたらいい。

購入するトマホーク500発
▼この太平洋戦争の苦い教訓など、どこ吹く風。岸田政権は前のめりに、「敵基地攻撃能力」強化へと突っ走る。長距離巡航ミサイル「トマホーク」500発(約1千億円) を、2027年までに米国から購入する。
 トマホークの射程距離は1600キロ、日本に配備されれば北朝鮮を含む朝鮮半島全域、中国本土の一部も射程内に入る。トマホークは全地球測位システム(GPS)を搭載し、ピンポイントで目標を攻撃できる。
▼1991年の湾岸戦争でイラクの軍事施設を破壊するのに使用され、その後はシリア攻撃などの実戦で多用されてきた。そのトマホークを日本のイージス艦に搭載し、沖縄の南西諸島に配備する予定だ。
 さらに政府は、陸海空からの発射を視野に、国産も含め10種以上の多様なミサイルの導入を図る。近いうちに国産改良型ミサイル(射程2千キロ)を富士山付近に、北海道にも射程距離3千キロの超音速ミサイルなど、総額5兆円かけて配備する計画を立てている。
▼宇宙空間の軍事利用にも拍車がかかる。2年後には軍事衛星50基を打ち上げ、一体的に運用して情報収集のうえ攻撃目標を特定する。この「衛星コンステレーション」計画により、敵国の軍事施設や海上にある艦艇の位置をリアルタイムで把握し、迅速な武力行使に役立てるという。

メディアと戦争責任
▼さてさて、こうした岸田政権による「防衛費GDP比2%」への暴走を、止めるどころか推進したのが「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」である。その10人のメンバーに、現役のメディア幹部・元幹部が少なくない数を占めているのを、私たちは見過ごしてはならない。
▼政権や軍部への迎合・癒着などの反省から、メディアは「戦争のためにペン・カメラ・マイクを持たない」と誓ったにもかかわらず、「憲法9条」を反故にする「敵基地攻撃能力の保有」を補完するため、さらに「5年以内に十分な数のミサイルを装備すべき」「武器輸出の解禁」「軍拡へ贈税」などの提言をまとめ同意するとは言語道断だ。(2022/12/4)
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2022年11月27日

【今週の風考計】11.27─「日本の海」で伊勢エビ・アワビが泣いている

伊勢エビが激減
地球温暖化の大波は日本の海にも押し寄せ、魚介類や海藻など60種以上の生物が危機にさらされている。水温上昇で進出してきた南方系の魚による食害で藻場が減少し、魚が棲めない深刻な事態が進んでいる。
三重県志摩市の和具漁港では、伊勢エビの水揚げが6年前には年間40トン、今や7トン。水温が上昇したための「磯焼け」が原因という。
 アラメやミルなどの海藻が全滅し、見るも無残な<海の砂漠>を見るにつけ、潜ってもアワビやサザエが獲れない海女さんの嘆きが痛いほど分かる。海藻を食べるブダイや毒ウニのガンガゼ、さらには伊勢エビを食いかじるウツボの駆除など対処もいいが、地球温暖化を止める根本的な取り組みが急がれる。

日本でサケが獲れなくなる日
日本近海の海面水温(年平均)は、100年で1.16℃上昇。その率は世界平均が0.56℃の上昇だから、約2倍のスピードだ。日本の外気温の上昇率1.26℃とほぼ同じである。
 海水温が上昇すると、千葉や茨城を北限とするブリが北海道で獲れたり、瀬戸内海や東シナ海が主な産地のサワラが東北でも水揚げされたり、魚種が様変わりする。それだけではない。2050年にはオホーツク海はサケが棲めない高温となり、北海道や東北の河川へとサケが回遊するルートが消失、日本でサケが獲れなくなる日が来るかもしれないのだ。
日本海の深層でも水温が上昇し、かつ酸素濃度が低下しているため、キンメダイやカニといった深海性の生物、さらに死骸などを分解するバクテリアが死滅し、生態系のバランスが崩れ、日本海の恵みが失われる可能性が高まる。

怖い海の酸性化
「黒潮大蛇行」の動きも要注意だ。紀伊半島沖で南に大きく迂回し、その後、東海から関東に近づく大きな黒潮の流れである。この大蛇行は今も継続中で過去最長5年4カ月になる。暖流の黒潮が流れる海は水温が高く、その一方、蛇行の内側では水温が低く、静岡のシラス漁は漁獲量が大きく減っている。
さらに地球温暖化は海の酸性化を加速する。海水は平均8.1pHの弱アルカリ性だが、大気中の二酸化炭素(2020年の吸収量は29億トン)を吸収し続けている。海水が酸性化すれば、炭酸カルシウムの形成が難しくなり、骨格や殻をつくるホタテやアサリなどの貝類、カニやエビなどの甲殻類、サンゴの成長に悪影響をおよぼす。

気候変動による被害140兆円
気候変動による被害額は、2050年時点で年1兆ドル(約140兆円)に及ぶとの試算がある。この20日、「COP27」が気候変動の悪影響に対して脆弱な途上国を支援するための基金の設立を決め、閉幕した。
あわせて世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5℃内に抑えるためには、さらなる努力を追求し、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を2019年比で43%削減するとした。
 クリーンエネルギーによる発電やエネルギー効率化を促進し、石炭火力発電の段階的削減、化石燃料補助金の段階的廃止に向けた取組みも加速することが盛り込まれた。
だが岸田首相は「COP27」に出席せず、「石炭火力発電の廃止や再生エネの導入目標引き上げ」についても沈黙したままだ。来年、日本で開催する主要7カ国(G7)会議の議長国として、脱炭素に向けた取り組みを、もっと積極的に進める義務がある。(2022/11/27)
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2022年11月20日

【今週の風考計】11.20─いま目が離せない永田町とドーハで起きていること

補正予算29兆円に膨張
今週から12月初めにかけて、永田町とドーハに釘付けになる。一つは日本の国会の動きだ。二つはカタールでのサッカーW杯である。
 まず日本では、10月の消費者物価が3.6%上昇、40年半ぶりの歴史的な上昇幅となった。国民の悲鳴は日増しに高まるばかり。東南アジア歴訪を終えた岸田首相は、支持率30%台が続くなか、寺田稔総務相の「政治とカネ」疑惑が深まり更迭の決断が迫られる。
さらに国会では21日から第2次補正予算案の審議に入る。その歳出総額29兆円。その財源は約8割を新規発行の国債22兆8520億円で賄う。今年度の新規国債発行は62兆4789億円に膨らみ、22年度末には発行残高1042兆4千億円となる。
とりわけ今度の補正予算で組まれた防衛費は、鹿児島県の馬毛島基地整備・地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の維持費など4464億円が新たに計上された。補正は突発的な災害や不況対策で組まれるもので、その財政規律を無視して防衛費を積み増し。防衛費は当初予算と合わせ5兆8469億円に膨張した。
 しかもその財源を、さらなる増税、すなわち復興特別税の援用や消費税・法人税などのアップで賄うというのだから、国民が怒るのも無理はない。国会での討論から目を離せない。

カタールW杯の陰で
もう一つは、4年に1度のサッカーW杯である。カタールの5都市8競技場で開幕した。国土は秋田県ほどしかない小国に120万人が訪れ、世界で50億人がTVで視聴する。
 筆者も日本チームの活躍を願い、29年前の<ドーハの悲劇>を払拭する勝利に向け、ワクワク・ハラハラだ。だがW杯カタール大会には深刻な問題が潜在しているのを、これまた忘れてはならない。
人口約250万人のカタールは急速な経済成長を遂げてきた。それは豊富な天然ガスと人口の9割を占める南アジアやアフリカからの移民労働者の低賃金によるものだ。
実際、40度Cを超える熱暑のカタールがW杯開催地と決まった2010年12月以降、砂漠地に44兆円もの巨額な経費を投入し、空港や地下鉄、スポーツ施設を急ぎ造るため移民労働者が動員された。
 炎天下、低賃金で働かされているW杯スタジアムの工事現場は「地獄のような環境」で、まさに奴隷労働に等しいと告発されている。
 これまで移民労働者を監視するため、転職や出国の管理規制制度まで設けていたが、国際的な批判を受けて2年前から転職の自由を認め、最低賃金制度を導入した。

共通する「生活と人権」に思いを
しかし英紙ガーディアンが、「W杯の開催決定後、6751人の移民労働者が死亡」と報道し、W杯参加国からボイコットの動きすら出るに及び、カタール側は「W杯関連で亡くなった労働者は会場建設に携わった3人」と反論、さらに<スポーツと政治>の分離を持ち出し、沈静化を図っている。
 それにしても隠し切れない過酷な実態に、欧州サッカーチームの主将らが彼らへの未払い賃金の支給やLGBTQ支援に向けての行動計画など、非難や抗議活動を加速させている。
 14日には数千人の移民労働者がドーハで集会を開催した。19日には英国にあるカタール大使館付近で、人権団体による大規模なデモも行われるという。
こうしてみると、永田町もカタールも国民生活や人権にかかわる重要なテーマが、同時に俎上に載っているのを痛感する。ボールにばかり目がいけば、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られそうだ。(2022/11/20)
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2022年11月13日

【今週の風考計】11.13─奄美から与那国を覆う日米共同・軍事演習10日間の怖さ

「キーン・ソード23」
★最大規模の日米共同・統合実動演習「キーン・ソード23」が始まった。日本の陸・海・空3自衛隊と米軍が、中国からの「武力攻撃事態」を想定し、沖縄南西諸島を舞台にして、10日から19日まで10日間、実弾射撃演習や補給などの後方支援を含む共同演習が展開されている。弾道ミサイル発射への対処や宇宙、サイバー、電磁波領域での作戦も訓練する。
★この演習には、自衛隊から2万6千人・艦艇20隻・航空機250機が参加。米軍も1万人・艦艇10隻・航空機120機、さらに米軍宇宙軍も加わる。またオーストラリア軍から艦艇1隻とP-8A哨戒機1機、カナダ軍から艦艇2隻とCP-140哨戒機1機が参加する。
★沖縄では、県内にある自衛隊駐屯地・米軍基地に配備された軍備一式のみならず、本土の各地にある自衛隊や米軍の陸・海・空の軍備品が数多く沖縄島しょに運び込まれている。まさに奄美諸島から与那国島まで、南西諸島全体が戦争体制に組み込まれたような事態が広がる。
 「本土決戦」に備えるための捨て石にされた、77年前の「沖縄戦」を思い起こさずにはいられない。

本土の軍備一式が沖縄へ
★鹿児島県・奄美大島では自衛隊の地対艦誘導弾と米軍の高機動ロケット砲システムを組み合わせた訓練を行い、徳之島では南西諸島で初めて日米のオスプレイ連携の実習に入る。
 また防衛省はチャーターした民間船「はくおう」を使い、鹿児島港で自衛隊員や車両73台を登載し、奄美大島の名瀬港を経て沖縄・中城湾港の西埠頭に運び込んだ。沖縄に運ばれた車両は、国道58号など一般道を使い、陸自の那覇駐屯地などへ輸送される様子が確認されている。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)に関連した車両も運搬されたという。
★米軍も負けずにアラスカ空軍基地所属のF22Aラプターステルス戦闘機6機を、米空軍嘉手納基地に着陸させ、巡回配備を計14機に増強して軍事演習「キーン・ソード23」に備える。在沖米海兵隊も陸上自衛隊の水陸機動団と共同で訓練する。
 那覇軍港に船で陸揚げされた米海兵隊のMV22オスプレイ3機は、米軍普天間飛行場に移動し準備を整える。米空軍輸送機C17で自衛隊の中距離地対空ミサイルを発射地点に運搬する訓練も、嘉手納基地や東京の横田基地で行う。

「沖縄戦」の悲劇を繰り返すな
★「キーン・ソード23」の最終盤には、陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)を、C2輸送機で福岡・築城基地から那覇空港を経て、台湾に近い与那国駐屯地まで運び込むという。しかも与那国町の一般道路を使っての走行訓練も行う。このMCVは105ミリ砲を登載した最新鋭の装輪装甲車である。
 与那国島での戦闘を想定しているかのような日米軍事演習を活発化させれば、米中対立の火種となる台湾情勢を刺激するのは間違いない。
★改めて言おう。あの「沖縄戦」を繰り返してはならない。一度、ネットを開いて「キーン・ソード23」と入れて検索し、そこにある<「キーン・ソード23」の画像をすべて見る>をクリックすれば、ずらっと並ぶ画像に背筋が寒くなる。自衛隊・米軍が運び込んだ「敵基地攻撃能力」を持つ、陸・海・空3軍の実態が掴め、その怖さが一気に迫ってくる。(2022/11/13)
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2022年11月06日

【今週の風考計】11.6─秋の絶景を満喫した2年半ぶりの<紅葉紀行>

<ねずこの森>と秋
紅葉が見たくて、2年半ぶりに奥信越への旅に出た。あずさ5号、観光バス、ロープウェイを乗り継ぎ、まずは白馬・岩岳山頂テラスへ。近年、人気が急上昇する場所だ。
 標高1289m、周囲の山肌を彩る黄色のブナやミズナラ、真っ赤なモミジやウルシ、そこへヒマラヤスギの緑がアクセントをつけ、『鬼滅の刃』の聖地<ねずこの森>へと、錦秋が広がる。
目を上げれば左に唐松岳、そして右へ白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳の三山が、雪をかぶって延びる。「山頂の冠雪」と「中腹の紅葉」から「山麓の緑」、まさに北アルプス「三段紅葉」を満喫した。

絶景の苗場ドラゴンドラ
次はスキーで有名な新潟県魚沼にある苗場へ。床の一部がガラス張りの田代ロープウェイに乗り、眼下にエメラルドグリーンの湖水を湛えた二居湖や田代湖を望む。山頂駅で降りれば目の前に草紅葉が広がる苗場山や上越国境の雄大な山々が見渡せる。
 500mほど歩いて、日本最長5481m・約25分の空中散歩を楽しむ「苗場ドラゴンドラ」に乗る。眼下に広がる紅葉は、ブナやカラマツ、ミネカエデだろう。その鮮やかなオレンジ色が陽に輝き、赤い実をつけたナナカマド、モミジの赤も際立つ。

スティーヴィー・ワンダーへの想い
その日は、越後湯沢駅から東へ魚野川を越えて岩原ゲレンデにあるリゾートホテルを予約済み。部屋に入ると、広い窓から越後湯沢の街並み、その先に大源太山、さらに奥は谷川連峰の山並みが見渡せる。温泉もヒノキ風呂と岩づくりの露天風呂にたっぷり、そこからの絶景がいい。
それよりもホテル内にあるミュージックバー<VINIL LOUNGE73>に驚いた。マニアがうらやむ1980年代の名機JBL4343の巨大スピーカーが据えられ、マッキントッシュのアンプを駆動し、収蔵された1,000枚以上のレコードから、Djの選曲したジャズが流れ、ワインやスピリッツと共に堪能できるのだ。
ちょうどマイルス・デイヴィスの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」のレコードジャケットが置かれ、曲が流れていた。そして上を見れば、スティーヴィー・ワンダーの「Hotter Than July」が目に入る。
 おお、やるじゃないか。スティーヴィーといえば、1976年にリリースされた「キー・オブ・ライフ」に夢中になった筆者だけに、目の見えない彼が歌うアルバムには思い入れがたっぷりある。
選曲や音量調整に余念のない、歳のほどは息子ぐらいのDjに声をかけ、「キー・オブ・ライフ」をかけてもらう。さらに筆者が若いころ、ジャズ喫茶での交遊や往年のブルーノート盤を収集した経験など、自慢げに語ってしまったが、彼は嫌な顔せずに聞いてくれる。なんと彼の出身地は筆者の住む町の隣という奇遇。

奥只見湖と燧ケ岳
熟睡した翌朝、またも快晴。最後の紅葉地・奥只見湖に向かう。352号線を経て奥只見シルバーラインの中間・銀山平で降り、外輪船ファンタジア号に乗って40分の遊覧である。
 左右の山並みを彩る紅葉が人造湖をとり囲む。終点の奥只見ダム近くに来て、進む船から振り返れば、間隔のあいた両耳がピンと突き出た姿の山に目がいく。これぞ尾瀬沼を懐にする燧ケ岳の裏面だ。特徴ある裏の山容が望めるのはここしかない。絶好ポイントだ。
 「大きい秋」を見つけた<紅葉紀行>─ここで閉めるのが潮時。筆を擱く。(2022/11/6)
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2022年10月30日

【今週の風考計】10.30─目に余る「ミャンマー国軍」の暴挙へ制裁を!

パカン空爆で死者63人
ミャンマー国軍の暴挙が止まらない。去年2月1日のクーデターで実権を握って以降、市民への弾圧は拡大するばかり。
 ミャンマー国軍は、23日、北部カチン州パカンで開催されていたコンサート会場を空爆。国軍に抗するカチン独立機構(KIO)の創設62周年を祝う祭典を標的にしたものだ。カチン独立軍幹部や観客・歌手ら死者63人、負傷者61人に上った。その悲惨な映像には目を覆う。
 そのほかにも最大都市ヤンゴンのインセイン刑務所での爆発や東部カイン州や西部ラカイン州などでの紛争も、国軍の暴挙に起因している。

ASEAN緊急声明
こうしたミャンマー国軍の暴挙に、ASEAN(東南アジア諸国連合)は、27日、緊急に特別外相会議を開き協議した。その結果、去年4月にミャンマー国軍とも合意した「暴力の即時停止」などの5項目が履行されていないとし、「具体的・実践的で期限を定めた行動」を通じ、履行を迫る方針を確認した。
日本でも、26日、ミャンマー・ヤンゴンで軍に対する抗議デモを取材中に現場で拘束され、合計10年の禁錮刑を言い渡されたドキュメンタリー制作者・久保田徹さんを巡り、フリージャーナリストらが記者会見し、「無条件での即時解放」を訴えた。
 7月30日に拘束された久保田さんは現在、ヤンゴンにあるインセイン刑務所に収監中。現地の日本大使館が家族との電話仲介や差し入れをしており、今のところ元気だという。

アウンサンスーチー勢力の撲滅
さてアウンサンスーチー氏(77)は、今どうしているだろうか。6月22日、住宅での軟禁状態から、首都ネピドーにある刑務所の独居房へと移された。9月2日の裁判では、スーチー氏に選挙違反の罪で禁錮3年の判決を言い渡した。これまでに下された判決10件とあわせ禁錮刑は計20年になる。
 ミャンマー軍政はスーチー氏を一生拘束するのが狙い。すべての罪状で有罪の判決を下し、計190年以上の実刑判決をもくろむ算段だ。
7月22日には、内外からの制止の声も聞かず、現在、拘束されているスーチー氏が率いた国民民主連盟(NLD)の元議員や民主活動家ら4人に対し死刑が執行された。政治犯への執行は1976年以降で初めて。
 すでに死刑の判決が下されている民主派は117人に上る。加えて約1万2千人が拘束中で、拷問に苦しむ人もいるという。

日本は「二枚舌外交」を止めよ
だが日本政府は、ミャンマーに対するODA(政府開発援助)を、既存に限り継続しているため、ミャンマー国軍の利益につながり、少しも経済制裁になっていない。しかも軍政が任命した外交官5人のみならず、新たに留学生4人を防衛大学校などに受け入れ、安倍晋三元首相・国葬への招待案内まで送っている。
 日本はこうした「二枚舌外交」を止め、ミャンマー国軍の暴力行為の停止、人権の尊重、民主主義体制の回復を厳しく求め、経済制裁に踏み込むべきだ。(2022/10/30)
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2022年10月23日

【今週の風考計】10.23─<パンダ外交>から習近平「個人崇拝・強権政治」へ

パンダが日本に来た日
日中国交正常化を記念して、中国からパンダ2頭が日本へ寄贈されたのが、1972年10月28日。当時、田中角栄と周恩来の両首相による演出もあり、パンダフィーバーが起きた。パンダ来日─「あれから50年」。
 その後、1984年にはケ小平がパンダを贈与する方針から貸与へと切り替え、貸与期間も10年から2年へと短縮。1頭につき年間50万ドル(約8千万円)のレンタル料を支払うこととなった。
現在、日本ではパンダ13頭が3つの場所で飼育されている。上野動物園5頭、和歌山県ワールドベンチャー7頭、神戸市立王子動物園1頭。パンダへの人気は衰えず集客力は抜群だが、13頭の年間レンタル料は計算してみれば約10億円に上る。
 飼料の竹の準備や病気予防など、飼育員の苦労は計り知れない。生まれたパンダも所有権は中国にあり、もし死亡でもすれば50万ドルの罰金を支払い、遺体も中国に返還しなければならない。
 これらを計算に入れれば中国の<パンダ外交>は、成果並々ならぬものがある。

習近平氏の強権的手法
さて中国共産党の第20回党大会が22日閉幕した。習近平党総書記(国家主席)が3期目も続投する。しかも憲法で定めた2期10年の制限を撤廃して就いただけに、「終身国家主席」への道を拓いた意味は極めて重い。
 毛沢東の文化大革命が起こした悲劇を教訓として、個人崇拝を厳しく戒めているにもかかわらず、自らに忠誠心の高い側近たちで固め、中国独自の発展モデル「中国式現代化」による社会主義「強国」の建設に邁進する。
しかし習近平氏の強権的手法では、長年にわたって未解決の国内問題、すなわち新疆ウイグルとチベット両自治区や香港の人権問題は、解決が遠のくばかり。
 国外に向けても、その強権的手法はとどまるところを知らない。「台湾への軍事的威嚇」をはじめ、東・南シナ海への海洋進出など、米国や東南アジア諸国から指弾の声が挙がる。 ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の態度もまた、国際的な批判を呼び起こしている。

日中首脳会議を開け
いま中国は新型コロナの封じ込めに躍起の「ゼロコロナ」政策に加え、不動産不況が長期化し景気停滞が長引いている。中国政府が3月に掲げた成長目標「5・5%前後」の達成は困難であるのが確実となり、党大会開催中にGDPの発表をやめたのは、あまりにも「不都合な数字」が浮上してきたためだ。
 現に7〜9月期の成長率の市場予測は3・5%前後、年間成長率も3%台にとどまるのは避けられない状況に陥っている。
今年は日中国交回復50年。ところがここ数年、日中間の対話は滞ったまま。日中両国とも武力を背景にした威嚇の外交ではなく、もう一度「パンダ外交」の精神をよみがえらせ、早期に首脳間の対話を再開し、意思疎通を図らねばならぬ。(2022/10/23)
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2022年10月16日

【今週の風考計】10.16─生活に根差した女性議員が増えれば日本は良くなる

北谷町議会の快挙
★「沖縄タイムス」の報道(10/13付)で知ったのだが、9月の沖縄・統一地方選を経て、新たに構成された北谷(ちゃたん)町議会(定数19人)は、女性議員の割合が36.8%、那覇市の32.5%を抜いてトップとなった。おそらく日本全国でも上位に入るのではないか。
★その北谷町議会で「女性だけの委員会」が誕生した。町の教育や福祉施策などを審議する「文教厚生常任委員会」の全委員6人が、30〜70代までの現職や元職、新人など女性だ。
 沖縄県内41市町村議会でも例がないという。子育てや介護などを経験している若手や中堅、ベテランの委員が、様々な角度から議案を審議している。
★女性議員が増え委員会での討議も活発になれば、保育や介護などの関連施策や男女の賃金格差解消、女性が安心して働ける環境整備に向けた取り組み、また女性特有の病気へのケアなど、女性であるがゆえに直面する課題への政策が具体化され、実現性が高まるのは明白である。

女性議員の比率は最低レベル
★現在、日本の地方議会に占める女性議員の割合は、都道府県議会11.8%、市区議会17.5%、町村議会11.7%でしかない。平均すると13.7%。女性議員がゼロの議会は、いまだに全体の3割を占める。
★国会ではどうか。女性国会議員が占める割合は衆院9.9%、参院25.8%、衆参両院合わせて15.4%、議員713人のうち女性議員は110人、7人に1人しかいない。依然として先進国の中では最低レベルという実態である。
★初めて女性の国会議員が誕生したのは戦後の1946年。39名の女性議員が誕生し、衆議院の議席の8.4%を占めた。以来76年を経て、ようやく2倍にも満たない15%になってきた現状は、誇れるどころか情けないとしか言いようがない。

急がれるクオータ制の導入
★この7月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、2022年度版の「Global Gender Gap Report」(世界男女格差報告書)では、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中116位、先進国で構成されるG7の中で最下位だった。
 とりわけ日本が他国の平均から大きく遅れをとっているのが、政治分野における女性活躍の項目である。なんと146カ国中139位。
★政治分野での女性活躍が顕著な上位3カ国は、この報告書でも34歳の若き女性大統領が誕生したフィンランド、アイスランド、ノルウェーと北欧が占めている。「誰もが政治家になりやすい」風土が基盤になっているからだ。
★この風土を、どうやって作るかだ。一つの試みが、「クオータ制」と呼ばれる仕組みの導入である。議員や閣僚などの一定数を、社会的・構造的に不利益な扱いを受けている人に割り当てる「クオータ制」は、すでに世界118の国と地域で導入されている。
 フランスでは「パリテ(男女同数)法」と呼ばれるクオータ制が2000年に制定され、2002年には12.3%だった女性下院議員の割合が、2020年には39.5%にまで増加している。
 韓国も2000年にクオータ制を導入し、比例代表候補者の50%を女性にする義務、小選挙区の30%以上を女性に割り当てる努力をして、政治分野での女性の活躍を促進している。
★遅れに遅れたが、やっと日本政府も2025年までに、せめて全政党が衆参両院の議員候補者を決める際、女性の割合を35%にする目標値を掲げた。それをテコに女性議員を増やし、生活に根差した政策を実現させよう。それにしても岸田政権を支える自民党と公明党、まず隗より始めるのが先決だ。まあ無理か。(2022/10/16)
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2022年10月09日

【今週の風考計】10.9─芭蕉「おくの細道」を巡って思い出すこと

嵐山光三郎さんの検証
10月12日は「芭蕉忌」。俳諧師・松尾芭蕉が、江戸時代も初期、将軍・綱吉が統治する元禄7(1694)年、旅先の大坂で病気にかかり51歳で死去した日だ。辞世の句が<旅に病んで夢は枯れ野をかけ廻る>。
 つい最近、嵐山光三郎『超訳 芭蕉百句』(ちくま新書)を読み終えたばかり。思いが広がる。本書は芭蕉の句から100句を選び、句の解釈も含め、現場を足で辿って得た新しい発見を加えた力作である。
芭蕉は伊賀上野で生まれ、江戸・深川に移住して以降、幕府から掘割の水道工事を請け負ってきただけに、芭蕉の忍者・隠密説が言われてきた。嵐山さんもこの説を受け入れ、「おくのほそ道」の旅が、仙台藩の探索も兼ねた旅であったとする。
 日光東照宮の工事費がかさむ仙台藩の謀反を警戒する幕府が、旅に出る芭蕉に諜報の仕事を下命し、同行した門人の曾良は、仙台藩の動向を記録する役だったという。
また嵐山さんの「現場検証」による新発見の一つは、江戸・深川で詠まれた<古池や蛙飛こむ水の音>を聴くため、近辺を歩き清澄庭園の池で観察すると、カエルは音を立てずに池の端から水中に入るのに気づき、芭蕉の創作だったことを挙げている。

黒羽と立石寺へ二人旅
さて「芭蕉好き」の筆者の思いも触れよう。「おくの細道」を全踏破している旅行作家の山本偦さんと、別の企画で仕事をした際、彼と共に栃木・黒羽へ行き、そして日を置いて山形の立石寺を訪れた際の思い出だ。
 JR東北本線西那須野駅からバスで「芭蕉の里」黒羽へ行く。芭蕉はここで14日、驚くほど長く滞在している。黒羽藩城代家老・浄法寺桃雪兄弟のもてなしもあったのだろう。
筆者たち2人はバスで城下から東へ約12キロの山中にある臨済宗・雲巌寺へ。芭蕉の<木啄も庵はやぶらす夏木立>の句碑がある。
 戻って常念寺には<野を横に馬牽むけよほととぎす>、修験光明寺跡には<夏山に足駄を拝む首途哉>の句碑と数多い。那珂川で育った天然アユの塩焼きにかぶりつき、「うるか」をアテに飲む地酒「旭興」が旨かった。
山形の立石寺へは、千段を超える石段に四苦八苦、休み休み登ったシンドイ思いが先立つ。<閑さや岩にしみ入蟬の聲>など、どうでもいいやの気分。
 後で加賀乙彦『わたしの芭蕉』(講談社)を読むと、この句について加賀さんは、「一気に完成させたのではない」という。推敲に推敲を重ねて、決定句へと昇華していった芭蕉の心の動きを丁寧にひも解き、納得したものだ。嵐山さんは、25歳で死去した俳人・蟬吟を追悼する句だという。

居酒屋「憂陀」の女主人
もう一つ、『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く』『芭蕉「おくの細道」の旅』(共に角川書店)の著者・金森敦子さんにまつわるエピソードを添えたい。
 新宿・神楽坂にあった居酒屋「憂陀」の女主人が金森敦子さん。画家の夫と共にカウンターに入り、酔人への応対に務めていた。筆者もここへよく飲みに行ったものだ。地域のなじみ客や絵描き、編集者らで満員。店での敦子さんは学者顔などせずに、いつもニコニコ。もう21年以上も前に閉鎖して店はないが、今はどうしているのかなー。(2022/10/9)
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2022年10月02日

【今週の風考計】10.2─ああ、年金生活者に強いる‶悲惨な老後″

イチジクを巡って
我が家の朝食には、健康に気を使ってサラダがよく添えられる。先日、ベビーリーフやトマト、梨に交じって、一口大に切ったイチジクを口にした。やわらかい果肉の甘みが口いっぱいに広がった。
 ふっくらと丸みを帯び、濃い紫色した不老長寿の果物イチジク。昔は庭や道に伸びた樹から、葉の下に熟れて尻が割れたイチジクをもぎ取り、皮をむいてカブリついたものだ。
 またイチジクの葉や茎を切ると、その切り口から牛乳のような白い汁が出る。それをイボに塗ると、とても効き目があった。
今は、とんとイチジクの樹を見かけないが、食料品やビールなど買い溜めすべく、妻とスーパーに行くと、果物コーナーの隅にイチジクを見つけた。3〜4個入った1パックが550円、なんと1個180円もする。昔は勝手にもぎ取って食べても、怒られなかったのに、もう貴重で高級な果物になっていたのに驚くばかり。
ついでに魚コーナーへ行ってみると、秋の味覚・サンマが出ている。よく見れば北海道産の新物と表示されている。だが姿かたちは貧弱な細身で、1尾310円の値がついている。ため息が出る。昔は体長35センチもある脂ののったサンマが3尾、一皿に盛られて200円だった。

医療費負担3万4千円の増
さてさて10月に入るや、すべて軒並み値上げ。生活用品2万点が16%も高くなる。家計への負担は年間7万円を超える。
 物価高騰の上に、年金支給額までカットされた年金生活者は、どうしたらいいのか。すでに夫婦2人の標準モデル世帯で年間約1万3000円も削られたのだ。
そのうえ10月から、75歳以上の高齢者の医療費負担が、1割から2割へ倍増する。一人暮らしであれば、年金収入も含め年収が200万円を超えると、医療費の2割を病院の窓口で支払わなければならぬ。
 夫婦2人世帯なら年収320万円以上で、奥さんも医療費の負担が2割になる。その負担額は年間8万3千円から11万7千円、3万4千円も増え、深刻な事態に直面する。これでは病院に行きたくともガマンし、生きるのを諦めるしかなくなるではないか。

とことん国会で追究を
少子高齢化といわれ、出産・育児への手当や制度の拡充は欠かせない。それは認めるものの、出産育児一時金42万円を引き上げるため、その財源を、これまで負担がなかった75歳以上の高齢者に求める計画が、急きょ進行している。この計画、ひどすぎやしませんか。
 年金生活者の社会保障は削りに削ったうえ、さらに負担を強いるのでは、もう老後は真っ暗、死ぬのを待つしかない─そんな叫びを、岸田首相は「聞く力」もないのですか。
3日から始まる臨時国会、とことん討議してほしいテーマは数多い。統一教会と自民党の関係はもちろん、「国葬」経費16億円、軍事費6兆円、企業の内部留保516兆円、これらの数字だけ見ても、なぜ国民に負担ばかり強いるのか、許せるはずがない。
 原発推進、安保3文書改訂、「国債」増発の是認、予備費の使いまわし、どれも国会での議論を棚上げにして、政権の一存による政策遂行ではないか。国会軽視も極まる。とことん国会で追究してほしい。(2022/10/2)
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2022年09月25日

【今週の風考計】9.25─徹底捜査で<五輪汚職>の全貌を明らかにせよ!

出てくるわ、出てくるわ
<五輪汚職>は、底なしの泥沼に陥った。かわいい大会マスコットのぬいぐるみ「ミライトワ」「ソメイティ」にまで疑惑が波及し、東京地検は捜査に入った。ぬいぐるみ製造・販売会社「サン・アロー」が、組織委元理事・高橋治之容疑者(元電通専務)に800万円を提供した疑惑を解明するためである。
高橋容疑者はAOKI側から5100万円、KADOKAWA側からも約7600万円の受託収賄容疑で逮捕されている。さらに広告代理店・大広が絡む疑惑も深刻だ。大広は電通を補助する「販売協力代理店」に参画するため、高橋容疑者の電通時代の後輩が経営するコンサル会社「コモンズ2」に約1400万円を送金。これが賄賂にあたるとして捜査の対象になっている。
また大会の駐車場サービスに関わる「パーク24」のスポンサー契約に関連して、広告代理店・ADKホールディングス(旧アサツーディ・ケイ)にも捜査の手が伸びている。
 これらの広告会社に、連続して捜査が入るのは、この27日に勾留期限がくる高橋容疑者に対し、さらなる受託収賄容疑を視野に入れているからだ。

巨額の金が動いた背景
東京地検特捜部は、竹田恒和・JOC前会長を参考人聴取し、組織委員会の会長を務めていた森喜朗・元首相にも、AOKI会長から「現金200万円を手渡した」との供述を受け、8月中旬から9月初旬にかけて複数回にわたり任意聴取している。
肝心要の元電通専務・高橋容疑者とはどんな人物か。慶応大学出身で4年後輩にJOC竹田恒和・前会長がいて、2人は昵懇の関係にある。高橋容疑者は世田谷に230坪の豪邸を構え、外出には2千万円を超える高級車メルセデス・マイバッハを使いまわす。
 自ら経営する六本木アークヒルズ1階にあるステーキ店「そらしお」は、安倍晋三・菅義偉の2人の元・前首相や電通出身の平井卓也前デジタル大臣などが利用し、AOKIとの会食もここだ。だが8月31日をもって突然に閉店した。
もともとスポーツビジネスに辣腕を振るってきた高橋容疑者、彼を五輪プロジェクトに引き込んだのは安倍元首相である。東京五輪の招致に執念を燃やしていた安倍元首相サイドは、高橋容疑者が経営するコンサル会社「コモンズ」に、招致工作の裏金として9億6000万円も振り込んでいる。
 IOC総会プレゼンで「福島原発はアンダーコントロールされている」とウソをつき、さらに2016年リオ五輪の閉会式では、スーパーマリオに扮してまで入れあげた。組織委員・定数34人に、あえて追加して高橋容疑者を35人目に入れたのも、安倍元首相だ。

「電通事件」という視点の重要性
<五輪汚職>の追求と合わせ、五輪史上もっとも高い大会経費3兆円の闇も晴らさねばならぬ。メイン会場・新国立競技場の建設・整備費用1569億円。競技場の維持運営費だって年間24億円という。
 大会経費が膨張した背景には、IOC「五輪貴族」からの要請、電通やパソナグループなどの五輪経費の中抜き・ピンハネの横行がある。開閉式の費用に限ってみても、電通による制作に五輪史上最高額の165億円を使っている。まさに「電通オリンピック」とも言われ、「電通に丸投げ」から生じた事件・事態ともいえる。だが、この視点から電通に対する責任追及の動きは、大手メディアも含め皆無といってよい。
IOCのトーマス・バッハ会長は、27日の安倍元首相「国葬儀」いや「酷葬」に参列するが、IOCの名誉にかけても東京<五輪汚職>への解明にハッパをかけてほしい。まあ無理か。(2022/9/25)
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2022年09月18日

【今週の風考計】9.18─国連が日本の精神医療などへ90に及ぶ勧告!

障害当事者の切実な声
国連の「障害者権利条約」を推進する委員会から、日本政府に対し精神科への強制入院を認める法律の廃止など、90項目にわたる改善勧告が出された。
 「障害者権利条約」とは2006年に国連が採択し2014年に日本も批准した国際条約である。多くの障害当事者が「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」をスローガンに、条約策定に関わってきた。
今回の勧告に際しても、日本から100人もの障害当事者がジュネーブへ渡航し、権利委員会の委員に日本の現状について訴えた。日本政府に出された主な勧告を拾ってみると、以下の内容が挙げられる。

勧告に盛り込まれた内容
@ 精神科病院に入院している障害者のすべてのケースを見直し、無期限の強制入院や強制治療をやめること。
A 精神を病む人々の尊厳と人間性を尊重し、地域社会で必要な精神保健の支援をうけつつ自立した生活が営めるようにすること。
B 優生思想や能力主義を撲滅するため、津久井やまゆり園事件を検証すること。
C 障害のある子どもに対し差別や分離なく、全ての子どもを受け入れる「インクルーシブ教育」を保障すること。
D 障害者団体と協議をして障害年金の額を見直すこと。
E パリ原則に基づく国内人権機関を設立すること。

人権無視の収容所
とりわけ「ニッポンの精神医療」の異常な実態は、国際的にも指弾されている。なぜ世界標準からかけ離れた、日本特有の精神医療がまかり通っているのか。今年度JCJ賞を受賞した風間直樹ほか『ルポ・収容所列島』(東洋経済新報社)が、閉鎖病棟の恐るべき実態と病巣に迫っている。
 そこは「長期強制入院」のうえ、身体拘束・薬漬け・虐待横行など、驚くべき人権無視の収容所だった。主治医の指示で、親・兄弟・子供との面会も禁止、電話やSNSも駄目。唯一できるのは手紙のみ。しかも「医療保護入院」を決定するのは、家族一人の同意と精神科医の診断だけ。本人の意思は無視。
栃木県・報徳会宇都宮病院で起きた精神障害者2人への暴行・死亡事件に加え、今でも生活保護者を強制入院・治療に引き込み、支給される生活保護費を治療・入院費として巻き上げる病院経営、90歳を超える病院長のアクドさには驚くばかり。

「障害者ビジネス」が横行
行政からの補助金を目当てに精神障害者を食い物にする「障害者ビジネス」も横行している。精神障害者に、その都道府県の最低賃金に労働時間を掛けた分を支払えば、働かせることができる。さらに行政から1日分に該当する補助金6000円が支給される。この制度をうまく使って、精神障害者に少しだけ働かせ賃金支給も抑え、6000円から浮いた差額分を懐に入れる、濡れ手に泡の「儲かる商売」がはびこっている。
 「精神病床が治療目的だけでなく、社会秩序の担保と保安機能を担っている」と公言し、実は「儲かる商売」収容施設の拡充すら主張する日本精神科病院協会の会長には呆れかえる。
今週24日(土)13:00〜 JCJ賞贈賞式が行われる。著者の風間直樹さんもスピーチされる。ぜひ視聴してほしい。https://jcjsyou.peatix.com/ をクリックして、オンライン視聴800円の手続きをしてください。(2022/9/18)
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2022年09月11日

【今週の風考計】9.11─巧妙な「軍事費・倍増11兆円」計画に要警戒!

危ない!<安保3文書>の改定
「国葬」強行で支持率が急低落する岸田首相、その陰で<安保3文書>の改定に向け、有識者会議を急ぎ、年末には方向づけしたいと躍起になっている。国家安全保障戦略・防衛計画大綱・中期防衛力整備計画の3点セットで改訂しようというのだ。
この間の討議要旨が公表されたが、「敵基地攻撃能力」の保有、GDP比2%の目標を「5〜10年で達成」など、自民党の要求をバックアップする意見が目立つ。3文書の改定により、防衛政策が抜本的に変われば、日本は「憲法」改定の手続きなど抜きにして、「戦争ができる国」になってしまう。ああ恐ろしい。

過去最大の軍事費5兆6千億
8月末には国の2023年度予算に関わる各省の概算要求が出そろった。要求総額110兆円超、なかでも防衛費、いや軍事費は過去最大の5兆5947億円にのぼる。
 概算すら示さない「事項要求」を認めたのは岸田首相だが、さっそく防衛省は、調達する兵器などの単価は一切示さない「事項要求」を並べてきた。最終的な予算額は6兆5千億円まで膨らむという。
まさに「どんぶり勘定」の軍事予算だ。年明けの通常国会で野党などが各項目の金額について説明を求めても、その時の経済情勢次第と、のらりくらりの答弁がまかり通るのは必定だ。
予算の明瞭性、厳密性、事前決定の原則が否定され、内閣や行政の自由裁量の幅が広がり、議会による予算審議は形式だけ、行政府を統制・監視するのが困難になってしまう。こうした手法で毎年1兆円ずつ増やしていけば、5年後には約11兆円、「対GDP比2%以上」が実現してしまう。巧妙な仕掛けに他ならない。

まさに臨戦を想定した武器調達
恐ろしいのは「敵基地攻撃能力」を拡充する中身だ。スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、持続性・強靭性等に必要な取組─これら7項目に及ぶ。  
まず「スタンド・オフ防衛能力」の強化とは、敵の射程圏外から攻撃できる射程1000キロを超える地上発射型ミサイルの量産をいう。迎撃が困難な音速の5倍以上で飛ぶ誘導弾の研究も始まる。
 「総合ミサイル防空能力」の拡充に向け、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替となるイージス・システムを搭載した戦艦の能力を拡張する。「無人アセット防衛能力」は空中・水上・海中で使う無人兵器を指し、そのために戦闘用無人機「UAV」や水中の敷設機雷を除去する「無人機雷排除システム」などを購入する。
これらの費用は、どこから捻出するのか。国債などと軽く言うな! いま日本の国債残高は1026兆円、短期の借入金を含めれば「国の借金」は1225兆円まで膨らむ。赤ちゃんからお年寄りまで国民1人当たり1千万円の借金が背負わされているのだ。
 財政規律を度外視した国債を発行して、「軍事費」を捻出すれば、どんな悲劇が生まれたか、あのアジア太平洋戦争の結末を思い起すべきだ。(2022/9/11)
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2022年09月04日

【今週の風考計】9.4─統一教会と「国葬」と天皇に関わる深刻な問題を考える

100億円かかる「国葬」費
岸信介元首相以降、第2の<妖怪>といわれる自民党の二階俊博元幹事長が、「葬式に30億円もかかるのか」といった発言から、大慌てで岸田首相は、急きょ国会で安倍元首相の「国葬」について、釈明せざるを得なくなった。
予備費から捻出する2億5千万円の「国葬」費ですら法外なのに、海外から参列する要人への宿泊・警護の費用を入れると、30億円どころか50億円、いや警察OBは100億円 ともいう。これ全て国民の税金だ。しかも法律で定められていない<国の儀式>として「国葬」を位置づけ、国会で議論もせず、閣議決定だけで挙行するとは言語道断である。

統一教会の安倍元首相・世界葬
先月12日には、統一教会が韓国・ソウルで開催したイベントで、安倍元首相を追悼する式台を設け、世界各国から参加した著名人が、巨大スクリーンに映し出された安倍氏の遺影に向かって、献花するセレモニーが行われた。
 この映像を見れば「安倍家の家族葬は済み、統一教会の世界葬までしたのだから、2カ月も経って、血税を使ってまで国葬するなんて無駄だよ」の声は頷ける。
「国葬」が憲法に抵触するだけでなく、安倍元首相と統一教会の関係を始め、自民党・「勝共議員」の闇を棚上げしたまま、「国葬」を挙行する怖さだ。
 安倍元首相は、ことあるごとに「美しい国」とか「愛国心」を唱えてきたが、統一教会はまったく逆の「反日」組織であり、そことつながっていた事実を、深刻に受け止めねばならない。
統一教会の『原理講論』には、「韓国はアダムの国、日本は罪深いエバの国」「植民地時代の原罪を償うため、日本人は韓国の先祖を苦しみから解放すべし」と、日本の信者から霊感商法や強制による献金で巻き上げ、1999年からの9年間で計4900億円、年約500億円を、日本から韓国に送金していたといわれる。

「国葬」でバカを見るのはだれか
「国葬」の開催を巡り賛否が2分し、今や反対が日増しに多くなっている。にもかかわらず国民統合の象徴である天皇および天皇家を代表して、皇位継承1位の秋篠宮・紀子夫妻を、「国葬」に参列させる方向で準備が進んでいるという。
文鮮明を始祖とするカルト宗教であり、「反日」組織である統一教会とつながりのあった安倍元首相を追悼する「国葬」に、<随神(かんながら)の道>を奉ずる天皇家が、安倍元首相の遺影に頭を下げ献花する姿を見たら、保守本流の人々や運動団体は、どういう気持ちになり、どう言い訳をするのだろうか。
 統一教会側は、自らの組織と密接なつながりのあった人物に、天皇家が頭を下げたとなれば、日本は韓国・統一教会にも頭を下げたと、有頂天になるであろう。
またまた自民党の二階元幹事長は8月24日の講演で、国民の反対があっても「国葬をやめるわけではない。当たり前のことで、やらなかったらバカだ」と言い放った。天皇家が参拝する伊勢神宮にも、自ら参ることだってあったろう。その紀伊半島の和歌山県を地盤とする二階さん、せめて「天皇の宸襟」に思いを寄せ、もう少し深く考えたらどうですか。バカを見るのは、どなたでしょう。(2022/9/4)
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2022年08月28日

【今週の風考計】8.28─とんでもハップン! 原発再稼働の暴挙を許すな

なんで再稼働するのか
突如、岸田首相は<3・11フクシマ>原発事故以来、11年にわたって堅持してきた「脱原発」政策を大転換し、次世代型原発7基の新設と既存10基の再稼働に向けて、本格始動の号令を発した。 
 コロナ感染により公邸で療養中の24日、官邸で開催された第2回「GX実行会議」に、わざわざオンラインで公邸から参加し、原発推進の進軍ラッパを吹いたのだ。
この「GX実行会議」のGXとは、グリーン・トランスフォーメーションの略称で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを議論する。だが討議内容は非公開、「原子力ムラ」の利益を擁護するメンバーが複数、参加している。
そこでの岸田首相の発言内容は「次世代型原発の開発・建設」と「原発の運転期間40年を20年延長」の2つを挙げ、年末までに結論を得るよう、トンデモナイ指示を出した。
 これまで他のテーマでも「検討する」としか言わなかった首相が、国会での議論も経ずに原発の新増設・再稼働の大号令を発するとは言語道断だ。自らに降りかかった統一教会との接点問題をそらすためか。あまりにも独裁的な判断は許されない。

福島原発事故は終わっていない
「脱原発」を目指し地道な努力を続ける企業や国民からは、支持など得られようもない。福島原発事故の責任を巡って、東京地裁は東京電力元会長ら4人の過失を認め、史上最高額となる13兆円の賠償命令の判決が、わずか1カ月半前に出たばかり。
政府が言う次世代型原発にしても、耐震性や炉心冷却の改善・強化を図る装置など、まだまだ実証試験の段階だ。海外でも商業発電として確立した次世代型原発はない。日本の各電力会社は既存原発の再稼働すらままならないのに、新型の原子炉など建設する余力などない、というのが実情だろう。
 また政府は、検査基準は満たしたものの再稼働していない原発7基を、来年の夏以降に再稼働させるというが、テロ対策の不備や侵入検知器の故障、避難計画のズサンなどが挙げられ、稼働できる見込みが立たない。原発稼働の再延長60年を超す運転となれば、再び法改正が必要になる。
「核のごみ」と呼ばれる、原発運転後に発生する高レベル放射性廃棄物・デブリについても、福島第1原発からの取り出しは難航し、目標期限の延長が続き、来年末になるという。その取り出したデブリを、どこに収容・処理するのか、受け入れ先も含め見通しすら立っていない。

読むべし、日野行介さんの最新刊
つい最近、原発再稼働の危険性について著わした本が刊行された。日野行介『原発再稼働─葬られた過酷事故の教訓』(集英社新書)である。長年、原発の実態を丹念な調査で追究してきた著者が、悲劇に学ばない日本の政治家・官僚の実態を告発する。ぜひ読んでほしい。
原発の恐ろしさを忘れてはならない。「安全神話」は吹っ飛んだのだ。なにも地震や大津波による自然災害による過酷事故だけではない。
 ロシアのウクライナ侵攻でハッキリしたように、チェルノブイリ原発やザポリージャ原発を軍事的に占拠し、「原発人質」にして、人類の生命と地球環境を脅かす前代未聞の愚行が展開される、恐ろしき時代なのだ。(2022/8/28)
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2022年08月21日

【今週の風考計】8.21─「カルト規制法」の立案に向け議論を始めよう!

今も続く「特異集団」の活動
★統一教会は、2009年以降、法令順守を徹底してきたという。だが「霊感商法」の被害救済に取り組む全国弁護団は「違法な献金強要や勧誘行為はなくなっていない」と指摘、その被害はコンプライアンス宣言後も13年間で138億円に上るという。
★公安調査庁は、2005年と06年の「内外情勢の回顧と展望」をまとめた報告書に、統一教会を「特異集団」と記載し、「社会通念とかけ離れた特異な主義・主張に基づいて活動を行う集団」と定義した。ところが第1次安倍政権が発足した2007年になるや、「特異集団」の項目が消えている。
★この経過から見ても統一教会への対応の甘さがもたらした弊害は大きい。統一教会と自民党との構造的な癒着や接触が、直近まで続いていた事例が続出している。まさに「特異集団」、いやカルト組織である統一教会が、霊感商法や多額の強制献金を続け、さらに国政に関与し影響力を及ぼしてきたのは間違いない。

フランスの「反カルト法」
★ヨーロッパでも1980年代に統一教会に入信した信者と家族との問題が頻発し、新興宗教に対する規制が真剣に議論されるようになってきた。日本で「霊感商法」や多額の献金が社会問題となっていたころだ。
 そこへ1995年、日本でオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件の深刻な事態が加わり、ヨーロッパ各国でも、カルト宗教に対する本格的な議論が始まったといわれる。
★なかでもフランスは、国は一切の宗教活動に関与してはならないと定め、厳格な政教分離を取っているにもかかわらず、そのフランスがカルト的な宗教活動に対して、どう国は対処すべきか、具体的な立法化の議論を本格化させた。
 その努力が実って「反カルト法」が2001年6月に施行され、以降はカルト的な新興宗教は厳重に取り締りの対象となっている。その主な内容は、「社会に危害を及ぼす狂信的な宗教集団」および「反社会的かつ人権と基本的自由を侵害する宗教集団」を取り締まり、解散などを命ずることができるようになった。
★カルト宗教と認定するには10項目の「危険性の判断基準」があるという。主な項目を挙げると、「法外な金銭的要求」「社会に敵対する説教」「多くの訴訟問題」「国家権力への浸透の企て」などがある。

日本でも制定に向けた議論を
★肝心の日本では、1995年当時、オウム真理教をターゲットとした法律が交付されたものの、それ以上の立法化には至らず、問題が置き去りにされてしまった。
 とりわけ同時期に統一教会の霊感商法や合同結婚式などが、オウム真理教と肩を並べて報道されていたにもかかわらず、オウム真理教の暴走により、逆に統一教会の存在が霞んでしまった。
★さらに1999年以降、創価学会を母体とする公明党が政権に加わり、宗教的な課題への立法化を避けてきたことにも原因がある。
 フランスの反カルト法は、「信教の自由」を守りながら、カルト集団を抑止し被害者を救う法律である。それを参考にしながら、日本版「カルト規制法」をつくるべきだ。本気で法案をつくる議員の努力のみならず、超党派で市民とともに展開する活動が望まれる。(2022/8/21)
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2022年08月14日

【今週の風考計】8.14─戦後77年「8・15」を顧みるに大事な出来事

「標的」にされた植村隆さんの苦闘
8月14日は「慰安婦」記念日だ。今から31年前の1991年8月11日、朝日新聞の記者・植村隆さんが日本軍慰安婦とされた金学順(キム・ハクスン)さんから、その被害事実を初めて聞き出し、朝日新聞大阪版にスクープ報道した。
 韓国では、その日に由来して8月14日を「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」として、2018年以降、国の記念日に制定している。
ここで忘れてならないのは、植村さんのスクープ報道から23年もたった2014年、第2次安倍政権がスタートした直後、突如として植村隆さんに対し「捏造」バッシングが始まったことである。
 西岡力氏が植村さんの記事を、「日本軍によって強制連行されたという内容になっている」と「週刊文春」誌上で問題視し、さらに右派系識者の論難やFAXやSNSによる脅迫・嫌がらせなど、家族にも被害が及ぶ攻撃が執拗に繰り返された事実である。
これに屈した朝日新聞社は同年12月23日、植村さん執筆の記事には<「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」とした部分は誤りであり、おわびして訂正します>と謝罪記事を掲載してしまった。自社の記者を切り捨てたのだ。
 韓国で「女子挺身隊」といえば、「従軍慰安婦」を指すとの理解は常識である。

戦後77年の平和がズタズタにされる
15日は終戦記念日。明治維新(1868年)から敗戦(1945年)までの77年が「戦争の時代」だとすれば、敗戦後から平和憲法のもとに歩んできた戦後77年は「平和の時代」である。
 しかし、いまその歩みに急ブレーキが掛けられている。専守防衛から敵基地攻撃にカジを切り、米国の核兵器を国内に配備し、日米で共同運用する「核共有」に向け、憲法9条をズタズタにする動きが強まっている。
第2次岸田内閣が発足しても、統一教会との関係では閣僚20人のうち7人、副大臣・政務官54人中19人が接点を持っていた。また安倍政権の大軍拡・改憲シフトは継承し、コロナ感染拡大・物価高騰・賃金格差・ジェンダー問題などなど、山積する課題への取り組みは「検討する」のみ。まさに「検討使」内閣だ。

ベーブ・ルースと大谷翔平
16日は「ベーブ・ルース忌」だ。あの野球の神様≠ニいわれた米国の大リーガー、ベーブ・ルースが、今から74年前の1948年に53歳で亡くなった日。
 くしくもこの10日に、エンゼルス大谷翔平投手が、「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」を達成した。元祖二刀流のベーブ・ルースが1918年に達成して以来、104年ぶりである。その快挙への賞賛は世界に拡がる。
 40歳になったベーブ・ルースは、戦前・1934年11月2日に来日している。米国大リーグ選抜チームの一員として、大凶作に見舞われた国内を巡回し全18試合を行った。日本チームは歯が立たず大敗した。

デッチあげられた松川事件
さて、もう一つ、今から73年前、1949年8月17日、松川事件が勃発した。当初から松川事件は、下山事件(7/6)、三鷹事件(7/15)と合わせ、国鉄労組への弾圧であり捏造の疑いが言われていた。
 1963年9月12日、最高裁は無罪を言い渡した。裁判の流れを決定的に変え、無罪を勝ち取る経過には、新証拠の発見とともに、作家広津和郎らによる被告の救済支援活動をはじめ、学者・文化人、市民をも巻き込んだ国民運動の発展があった。日本ジャーナリスト会議も参加している。
こうして振り返ってみると、「8・15」前後には、エポックメイキングな出来事が起きていたのだ。歴史を見つめ今を考える良い機会をいただいた。(2022/8/14)
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2022年08月07日

【今週の風考計】8.7─統一教会と自民党の<癒着の闇>を究めるポイント

安倍晋三・元首相の銃撃事件から1カ月。事件の背景にあるカルト教団・統一教会と自民党との癒着が明らかになってきた。だが国会を3日間で閉じるように、この事件の解明を葬ろうと、報道への圧力も含め、様々な動きが出てきた。要警戒だ。復習もかねて、いま大事なポイントを押さえておきたい。

@ まだまだ闇の統一教会の実態
統一教会は1954年5月に韓国・ソウルで創立された。59年には「日本統一教会」が設立され、64年に宗教法人として認証された。その後、大学などでの「原理運動」の布教活動を通して、若者の学業放棄や家出などが社会問題になり、67年には朝日新聞が初めて「親泣かせの『原理運動』」と告発した(7/7付)。
68年には、統一教会が反共産主義運動を担う政治団体「国際勝共連合」を発足させ、70年安保闘争を意識した自民党や保守勢力とのつながりを強めていく。さらに70年代後半から80年代にかけて、信者に大理石の壺を30万円で売りつける霊感商法や合同結婚式などが、メディアで報じられ社会的批判を浴びる。
 しかし統一教会は巧みな変身で、メディアの批判をかわし信者獲得を続ける。まさに「空白の30年」が経過し、その間の活動の実態は、まだまだ明らかにされていない

A 系統的・組織的な自民党との癒着
統一教会の内部文書には、「安倍首相からじきじきに、自分の子飼い議員に対する選挙応援の依頼があった」との記述が見られる。昨年9月12日には、統一教会の関連団体・天宙平和連合(UPF)の集会に安倍首相がビデオメッセージを寄せ、「韓鶴子総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します」と発言していたと報じられている。
 細田博之衆院議長も、今から3年前、統一教会の韓鶴子総裁を迎えた行事にゲスト出演し、スピーチのなかで「会議の内容を安倍(晋三)総理に報告したい」と発言している。
多額の税金が使われている安倍首相主催の「桜を見る会」にも、統一教会の関連団体・世界戦略総合研究所(世界総研)の幹部が、2013年〜2016年まで毎年招待されている。
まさに安倍政権は、閣僚や自民党の派閥の領袖が、反社会的カルト教団・統一教会や関連団体と関係を持ち、国政を動かしていたのだ。
 今や関係した国会議員は野党も含め78人、地方議員は17人に及ぶ。「知らなかった」「挨拶だけ」で済まされる問題ではない。また議員個人だけでなく、組織的に関与している政党としての責任が問われている。

B 統一教会のダミー組織の怖さ
統一教会には数えきれないほどの関連団体、友好団体がある。前川喜平さんが「カメレオンの改名」(<本音のコラム>東京新聞7/31付)と名付けたように、自分たちの正体を隠して信者獲得に走り、さらに政治家への食い込みを図る。まさにカルト宗教のお手本である。
 統一教会は、突如として2015年に名称変更が認められ、いまは「世界平和統一家庭連合」(略称:家庭連合)という。しかも名前を変えた別働隊が数多く組織されている。
「平和」を冠した天宙平和連合、世界平和連合、世界平和宗教連合、世界平和教授アカデミー、世界平和国会議員連合などなど、「平和」を隠れ蓑に、いかにも真面目な組織と思わせるカモフラージュだ。その実態は、文鮮明と韓鶴子を敬い統一教会の「原理」を浸透させることにある。
さらに巧妙なのは、2013年に天宙平和連合がサイクリングイベント「ピースロード」を企画し、地元選出の国会議員や地方議員、自治体に「後援」させるなどして、統一教会の創始者である文鮮明の没後1周年を記念した行事を開催している。以降、毎年開催し自転車に乗るライダーの多くは統一教会の信者2世である。
また学生たちの間にも「JAPAN Guardians」なる団体を創設し、安保法制に反対する学生団体・SEALDsに対抗するかたちで、安倍政権や改憲支持の活動をおこなっている。これまでの国際勝共連合の学生部隊「勝共 UNITE」や「国際勝共連合オピニオンサイトRASINBAN」の別働隊である。

C どう被害者家族の声を掬いあげるか
統一教会の霊感商法は例を見ない悪ドさだ。印鑑21万円、壷70万円、絵画美術品70万円、文鮮明・韓鶴子夫妻を崇める『聖本』3000万円など、信者に購入を義務づける。それのみならず財産は「神様に全てささげなさい」という統一教会の教えで、さらに献金、それも何千万円となれば家庭崩壊は必然だ。
1987〜2021年の35年間で、統一教会の霊感商法による被害額は、約1237億円といわれる。その悲惨な事態に、どう手を差し伸べるか。霊感商法対策弁護士連絡会の取り組みや援助の方法などについて、意見を集め協力することが急がれる。(2022/8/7)
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2022年07月31日

【今週の風考計】7.31─ますます高まるコロナ治療に効く飲み薬への期待

変異株「オミクロン・ケンタウロス」
「第7波」コロナ感染の猛威は、とどまるところを知らない。日本全国が<感染爆発>状態に陥っている。
 しかもコロナウイルスの「オミクロンBA.5」が、さらに3倍の感染力を持つ「オミクロン・ケンタウロス」に置き換わり、ワクチンによる免疫効果を減殺する深刻な事態が進んでいる。
だが政府は、2月の「第6波」以降、必要な準備を怠り、感染抑止の対策や感染者への医療ケアなど、すべて手詰まり。都道府県に判断を委ねるだけ。医学界からの進言にもかかわらず、いまなお行動制限すら発令しない。

ジッとガマンの自宅療養
27日までの自宅療養者は、過去最多の110万人を超えた。感染者の94%が自宅療養に追いこまれている。
 医者による診療も投薬もままならず、じっと10日間、<自存自衛>を旨として、市販の風邪薬を服用し、熱を下げて咳を止め、ノドの痛みを抑える。三食とも配給のレトルトやカップ麺、飲料水に頼る。まさにコロナウイルスの動きに、身も心も支配される日々だ。
2週間ほど前、コロナに感染し自宅療養が強いられ、3日前に自宅療養を終えたばかりの体験者であるだけに、あまりにも悲しく情けない事態に涙が出てくる。
 フォローアップセンターからのマニュアルに従った体調確認もありがたいが、細かい症状までは伝えられない。また10日間の自宅療養解除の2日前には、体調と合わせ服用薬の点検がなされた。もしイブプロフェンが配合された風邪薬を飲んでいると、その服用を止め、さらに72時間の解除延長が言い渡される。
最初の5日間、用心のため市販の風邪薬を飲んでいたが、その風邪薬にイブプロフェンが配合されていたことが判明した。なんと自宅療養が3日延長され、都合13日間が強いられた。「早く言ってよ、イブプロフェンなんて知らないよ、風邪によく効く薬を飲んだだけだよ」と、恨みたくなる。
 ベッドに横たわりながら、市販の風邪薬がダメとなれば、ならばコロナ治療薬はどうなっているのか、開発されているとも聞く。早く提供してよ、つくづくそう思った。

「ゾコーバ」の早い承認を
政府は5月に、コロナ治療薬の迅速な承認に向けて、緊急承認制度を新設した。7月20日、塩野義製薬が開発したコロナ治療の飲み薬「ゾコーバ」について、6月の審議に続き再度の審議がなされた。ところがまたも「継続審議」とされ、承認の可否が先送り。今秋以降では、もう手遅れではないか。
 「ゾコーバ」は軽症のコロナ患者に対し、1日1回、5日間経口投与して使う。臨床試験では服用後にウイルス量が激減し、短い期間で陰性になり、安全性の面でも目立った問題はなかったといわれる。変異株にも効果があるという。
国産品で安定供給される飲み薬をうまく活用すれば、自宅療養での回復にも役立ち、医療や保健の現場を逼迫させずにすむ。その可能性を遮断したとしか思えない。
 全てのコロナ変異ウイルスに効く「ユニバーサルワクチン」が注目されているが、まだ研究・開発中で、実際に使用できる日は遠い。だからこそ「ゾコーバ」への期待は大きい。(2022/7/31)
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2022年07月24日

【今週の風考計】7.24─高をくくっていた「コロナ感染」のテンヤワンヤ

抗原簡易キットで陽性
★3回目のワクチン接種も済んでいるのに、コロナに感染してしまった。15日夕方から咳が出てノドも痛く体がだるい。市販の風邪薬を服用するが、コロナの疑いもよぎる。
 翌16日の朝、熱を測ると36.4度。それでも薬局へ抗原簡易キットを買いにいく。だが購入するには細かい手続きが必要になる。
★キットの使用マニュアルに従い、鼻から採取した粘液を付属の容器に投入・攪拌し、その検体をキットに注ぐ。10分すると、赤い線が2本、現れた。「コロナ陽性」である。
 遂に「罹ったか!」とため息が出る。どうしたらいいのか、不安がよぎる。「ワクチン接種しても罹るんだ!」と、妻の顔を見る。さっそく隔離する部屋を決め、感染予防の措置に入る。さいわい妻は濃厚接触者だが、抗原簡易キットではコロナに感染していない。

救急車を呼ぶも受け入れ病床ナシ
★すぐに医者の診療を受け処方薬をもらうため、緊急外来のある医療機関に電話をかける。全くつながらない。つぎつぎと5カ所にかけるがダメ。つながっても受診は予約がいっぱい、明日以降だという。どうなっているんだ、怒りがわく。
 やむなくベッドに横たわり、トレーに載った夕食をとり、うつらうつら眠りに入る。夜何時ごろだろうか。急に息苦しくなり目が覚める。胸の上部が圧迫されハーハーと息をつくのもしんどい。熱を測ると39.2度。もうダメかと覚悟を決める。
★妻が救急車を呼ぶ。8時半に着いた救急隊員2名のうち一人は、ベッドわきまで来てすぐに人差し指の先にパルスオキシメーターを装着し、数字を確認する。93と告げる。もう一人は自分のケータイに入っている救急医療機関に電話をかけ、受け入れを打診している。年齢や呼吸困難、体温・パルス値などを知らせる。
★傍で聞いていて期待を膨らませるが、どこもダメ。絶望の感が増すばかり。電話をかけた医療機関は都内から八王子・高尾まで含む約38件、約3時間に及ぶ。簡易キッドによるコロナ感染の疑いでは、受け入れはムリだという。
 その後、パルス値は96と上昇。一安心。救急隊員も策が尽きて諦め、退室を了承し帰ってもらう。それにしても日本の医療体制、どうなっているのか。

自宅療養しかない現状
★明けて17日の朝から、発熱外来のある医療機関に、妻にもう一度、電話をかけまくってもらうが全てダメ。午後もダメ。熱は36.4度、咳もなし、痛みもなし、食欲もある。市販の風邪薬を飲みジッとしている。
★3日目の18日、またも朝から電話をかけまくってもらう。遂に午後12時半、電話がつながり受けつけるという。猛暑のなかを、ゆっくり歩いて20分、院内キット検査を受けコロナ陽性と正式に診断された。処方薬は38.5度以上の高熱が出たら飲むカロナール錠200のみ。これでいいのか。不安になる。
★以降3日間、不安はあるものの、さいわい36.2度の平熱が続き咳もナシ。20日には地域の保健所から連絡があり、自宅療養10日間の確認と配食の提供、緊急対応などについてレクチュアーあり。
 21日に段ボール箱2つにレトルトやカップ麺・缶詰・ビスケット・飲料水など54種以上の配食品が届けられた。その量の多さにびっくり、とても使いきれない。
★自宅療養が明ける日まで残り2日。ベッドから窓越しに見える庭の百合を見ながら、正岡子規の<うつむいて 何を思案の 百合の花>を思い浮かべる。(2022/7/24)
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