2021年09月26日

【今週の風考計】9.26─世界気候アクションに連帯しCO2削減60%へ

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんら世界の若者が、各国首脳が国連総会に集まるのに合わせ、24日、世界1500の都市で「世界気候アクション」に取り組んだ。
 グレタさんが2018年8月に始めた、気候危機への対応を迫る「学校ストライキ」は、その後、地球温暖化を防ぐ<未来のための金曜日>(Fridays For Future=FFF)行動に広がり、2019年9月には185カ国760万人が参加する「史上最大の世界一斉デモ」へと発展した。
日本でも、若者による気候正義ムーブメント「FFFジャパン」が、2019年2月に発足している。同年9月に行われた「グローバル気候マーチ」は、他団体と合わせ全国約5千人が参加する運動となった。
 その後「FFFジャパン」は全国30地域以上にネットワークを広げ、日本政府や企業に積極的な提言を行っている。今年の9月24日は、オンラインで「世界気候アクション」に取り組み、CO2削減に向けた対策の強化を訴えた。

深刻なのは、直近の国連報告書が「このままだと2030年までにCO2排出量は、減るどころか2010年比で16%増える」と指摘し、大幅な削減対策に取り組む緊急性を強調している。
日本政府はどうか、ようやく「2050年カーボンゼロ」を言い出したが、その内容たるや、2030年度までの削減目標は2010年度比で42%、欧米の先進諸国が削減目標50%〜60%を掲げているのに、あまりにも低すぎる。
 加えて石炭火力の新増設に執着し、国内で9件の新設を進め、インドネシア、バングラディシュ、ベトナムに石炭火力の輸出を推進しているのだから呆れる。

中国の習近平国家主席は、21日の国連総会で、今後は海外で新たな石炭火力発電事業は行わないと表明した。続けて「中国は発展途上国のグリーンエネルギー開発に向けて支援を強化する」と述べている。
さらに英国のジョンソン首相は、22日、国連総会で演説し、中国に国内での石炭火力発電を段階的に廃止するよう訴えた。
 英国は10月末に始まるCOP26の開催国だけに、CO2排出削減に向け、2030年までにガソリン車の新車販売を禁止し、電気自動車化や再生可能エネルギーの促進など10項目に120億ポンド(約1兆8千億円)を投じる計画だ。

だが日本は、総裁選で権力争いに明け暮れ、コロナ対策や気候危機に備えるエネルギー対策など、どこかに吹っ飛んでしまった。2030年には危機的な状況に陥るのは目に見えている。
そこへ日本共産党が9月1日、「気候危機を打開する2030戦略」を発表、2030年度までにCO2を50%から最大60%(2010年度比)削減する「野心的目標と取り組み」を明らかにした。
 具体的には省エネでエネルギー消費を40%削減し、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、2030年度までの削減目標は達成できるとしている。しかもこの取り組みによって年間254万人の新規雇用が増え、GDP(国内総生産)を累積205兆円増やす展望が描けるという。
 こうした提言を政府や野党も含め、胸襟を開いて真剣に討議すべき秋だろう。(2021/9/26)
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2021年09月19日

【今週の風考計】9.19─総裁選:百鬼夜行の醜い権力闘争が招くもの

★もう、うんざり。テレビをつければ各チャンネルとも、朝から夜まで、自民党総裁選4候補の「生出演」やら「生直撃」などのワイドショーや報道ばかり。この10日間で流された総裁選がらみの番組は20を超える。
 競馬レースの勝ち馬予想さながら、各派閥の水面下の動きを追いかけ、票割れを狙って刺客を送ったとか、決選投票では野合が組まれるとか、自民党幹部4Aは密約を交わしたとか、あれこれ報じている。

★自民党議員は議員で、派閥の領袖に気を使い、顔色を覗いながら勝ち馬に乗ることばかり考え、右往左往している。しかも安倍前首相は、当選3回以下組の「安倍チルドレン」議員に、派閥を越えて圧力をかけ、<安倍院政>を目論む始末だ。
★国民は「安倍・菅政治を引き継がない」政権を望んでいる(58%)のに、4候補とも安倍キングメーカーを忖度して「継承」に傾き、そろって改憲を言い、原発再稼働を容認する。
 コロナ禍のなか、変異株が広がり病床は逼迫したまま、在宅でのコロナ感染死亡者が8月には全国で250人を超えるのに対策は取らず、国民そっちのけで権力闘争に明け暮れる。もう世も末だ。

★今日9月19日は、今から6年前、安倍政権が憲法9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認める安保法制を強行成立させた日。「平和への思いを忘れない日」である。
 憲法の立憲主義や平和主義が踏みにじられ、後方支援や武器使用の拡大により、自衛隊が海外で武力行使する危険性は増す。
★安倍政権が進めてきた、これらの政策が、今どうなっているのか。分析も総括も抜きに継承されたらたまったものではない。
 もっと深刻なのは「森友・加計」問題や「桜を見る会」で露わになった政治の私物化、公文書改ざんでは自殺者まで生み出した行政の基本を破壊する暴挙、これらの政治家としての個人責任が問われる深刻な問題にソッポを向いて、「無責任の体系」を継承するのは許されない。

★安倍政権を継承した菅政権、あっけなく1年で閉じた。この間、自分の言葉で国民に語りかけたことがあっただろうか。
 コロナ禍であればあるほど、国民の生活や仕事に寄り添って、実際の状況をつかみ、気持ちを寄せる心のこもったメッセージが不可欠だったのに、聞いた覚えはない。
 代わりに聞くのは飲酒禁止、外出抑制、自粛要請など、責任はすべて現場に押しつけるばかりの指令だった。
★しかも野党の招集要求にもかかわらず、国会は開かず、6月9日の党首討論以降、3カ月半も国会審議の場から逃げている。総裁選不出馬の記者会見も2分で打ち切り。

★「ガースーです。好物はパンケーキ」で始まった菅首相、最後っ屁のように、23日から「卒業旅行」よろしく、「Quad」(クアッド)会議に参加するため米国へ外遊する。
 怖いのは、その内容である。日米豪印4カ国の首脳が集まり、海洋安全保障を巡って対中国包囲網を討議する。外交・防衛には経験のない首相が、どんなお荷物を背負わされるのか不安がよぎる。「次の政権に継承する」というが、「置き土産」にされるのではかなわない。(2021/9/19)
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2021年09月12日

【今週の風考計】9.12─90年前の「9・18」:満州事変、軍が暴走するとき

今から90年前、1931年9月18日の夜10時24分、中国東北部・奉天(現在の瀋陽)近郊の柳条湖で、満鉄の線路が爆破された。
 当初、中国兵による不法な襲撃とされたが、実は日本の関東軍が仕組んだ自作自演の謀略だった。大本教の出口王仁三郎は、満州事変の勃発した「一九三一」年を、「戦(一九三=いくさ)の始まり(一)」と、読み取ったという。
この満州事変を機に、関東軍は中国侵略を拡大し、かいらい国家「満州国」の建国、日中全面戦争、そしてアジア・太平洋戦争へと続く15年戦争になだれこんでいく。

いま机のわきに、船戸与一『満州国演義』(全9巻・新潮社、2007年刊行以降2015年完結)と朝日新聞「新聞と戦争」取材班『新聞と戦争』(2008年刊、朝日新聞出版)が積んである。コロナ禍での“巣ごもり”を利用し、時間をかけて再読している。
 船戸与一のシリーズは、満州軍閥の張作霖爆殺に始まり、第二次世界大戦終結までを、「満州国の興亡」を軸に描く長大な歴史ドラマだ。
満州事変を描くのが、第2巻『事変の夜』。架空の敷島四兄弟を登場させて、学術的な歴史書では捉えられない事件のダイナミズムが、関東軍特務や同盟通信記者の動きも加えて、浮き彫りにされている。
 軍部の謀略・陰謀・策略・欲望・権謀術数の凄さに圧倒される。と同時に新聞が軍部に迎合していく実態も描かれている。

満州事変勃発の翌日、新聞は軍部の謀略と虚偽の発表をそのまま報道し、満蒙からの詳報に全力を挙げた。これまで軍縮を主唱していた朝日新聞も、満州事変を機に社論を転換し、戦争動員の世論形成に加担していく。
 『新聞と戦争』は、朝日新聞が自らの「暗部」を、元記者や関係者への聞き取りなど、総力取材で自己点検、2008年にJCJ大賞を受賞した。なかでも「第8章 社論の転換」「第9章 満州開拓」が、詳細に記述している。
「満州」の日本軍に慰問袋2万個を送るキャンペーン、「勇ましい皇軍の活躍」を宣伝する記者派遣、「肉弾3勇士の歌」懸賞募集などなど、戦争協力へ他の同業社と競いながら邁進していく。
 とりわけ新聞・通信社132社が、1932年12月19日、軍部に迎合し「満州国の独立を支持する共同宣言」まで出した責任は、きわめて重い。

思い出すのは「満州事変から30年」の前年、60年安保改定に反対する国民運動が最大限に高揚しているさなか、東京の主要新聞社7社が出した共同宣言である。
 「暴力を排し議会主義を守れ」と題して、全学連などのデモを批判する内容だった。これにより岸内閣を指弾・追究するメディアの筆法が弱まる転機となったため、「新聞は安保で再び死んだ」と指摘された。
そして「満州事変から60年」、1991年には読売新聞の渡辺恒雄主筆が社長に就き、同紙上で憲法9条を骨抜きにする改憲キャンペーンがスタートする。
 さらに「満州事変から80年」の2011年以降、7年半にわたる安倍政権下で、戦前回帰の軍国主義化が加速し、集団的自衛権の行使容認、報道規制を目指してのメディアへの介入、従軍慰安婦問題をめぐる「朝日新聞バッシング」と続く。
 2020年10月、菅政権では安保法制に反対する日本学術会議会員6名の任命拒否へと行き着く。満州事変の火種は、今でも消えてはいないのだ。(2021/9/12)
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2021年09月05日

【今週の風考計】9.5─20年目の「9・11」:タリバン政権復活が示唆するもの

「9・11」米国同時多発テロをきっかけに、米国が始めた「米国史上最長の戦争」にピリオドが打たれた。
 20年前の9月11日、炎上するニューヨーク世界貿易センタービル、その衝撃的な映像が今でも甦る。国際テロ組織アルカイダのメンバーが、航空機をハイジャックしビルに突撃した。米国の中枢部が外国から攻撃される事態は、初めてだけに衝撃は大きかった。

当時のブッシュ政権は、アフガニスタンのタリバン政権に、テロを計画したアルカイダ指導部の引き渡しを要求したが拒否され、2001年10月、アフガニスタン攻撃を開始。12月、タリバン政権を壊滅させた。
 以降、米国や同盟国による「対テロ戦争」が、「不朽の自由」作戦と称して展開され、激化のうえ泥沼化していく。日本も自衛隊を派遣し米軍へ洋上給油し、協力した「参戦国」の一つである責任を忘れてはならない。
米国はアルカイダの最高指導者オサマ・ビン・ラディンを執拗に追いかけ、2011年5月2日、パキスタンのアボッタバードで米軍の特殊部隊によって殺害した。だが、そのビン・ラディンを育てたのは、米国ではないかといわれている。
 ソ連が1979年にアフガン侵攻を始めた際、それに対抗するイスラム戦士の支援を目的に、米国は「敵の敵は味方」という思惑で、ビン・ラディンに武器の供与や資金援助を行い、アルカイダ結成に一役買っているのだ。その「飼い犬」に手をかまれたのが、米国に他ならない。

さらにはテロを支援し、大量破壊兵器の獲得を目指す国家を「悪の枢軸」と呼び、北朝鮮・イラン・イラクの3国を名指しで非難した。
 イラクには「大量破壊兵器」を隠し持っているとの理由で、イラク各地で大規模な空爆を行った。
そしてフセイン政権を崩壊させ、イラク国内では米占領軍に対する自爆テロなどを惹起し、多数の民間人が犠牲となった。
 その後、イラクには大量破壊兵器は存在せず、開発計画もなかったと、米国の調査団による最終報告書が結論づけている。まさにデッチアゲの理由で戦争を仕掛けたことになる。

アフガニスタンでも「テロ組織の掃討」という大義がどこかに行って、イスラム教徒の心情や価値観を無視し、米国流の十字軍的発想による「自由主義国家」の建設を、政権に押し付けてきたのではないか。
 中村哲医師が地元の人びと共に灌漑工事を進めてきたのも、自国民の手で国を作り上げていくという地道な作業と段取りに他ならない。米国はその努力を省いて、外からのフレームをはめ込もうとした悲劇が、今のアフガニスタンの姿ではないか。
皮肉にも米軍が撤退した今、アフガニスタンではタリバン政権が復活し、撲滅を目指したアルカイダは残存し、タリバンはその勢力と友好関係を築いている。
 米国が対テロ戦争に要したコストは、20年で8兆ドル(880兆円)、戦争による死者は米兵7千人、敵兵30万人、市民38万人という。代償はあまりにも大きい。(2021/9/5)
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2021年08月29日

【今週の風考計】8.29─「ざわざわ森」のセミと米国の「ブルードX」

東京都心は35℃、厳しい猛暑が続く。さらにコロナ感染者は142万人、入院・療養中は23万7千人、自宅療養11万8千人、死者1万6千人、感染拡大はとどまるところを知らない。菅首相の言う「明かり」など、どこに見えるのか。
 「ガースー」の顔が一面に踊る新聞を見るたびに憂鬱になるが、今日も朝、新聞を取りに玄関ドアを開ける。
なんと目の前で、セミが腹を上に向け、脚を動かし必死にもがいている。見ればアブラゼミ。すぐにひっくり返してやる。勢いよく飛んでいった。そういえば「今年はセミが鳴かないなー」、ふと気づく。
 これも気候温暖化、異常気象の影響か。昔は、セミが庭の樹木や道路の電信柱に止まって、よく鳴いていたものだ。捕虫網を伸ばして取ろうとすると、セミにおしっこをひっかけられ、取り損ねたのを思い出す。

本当にセミはいなくなったのか。気になって住まいから近い「ざわざわ森」へ行ってみた。2年前の森には、ドングリの実がなる広葉樹の他に、幼いタラノキが数本、2カ所に育っていたが、タラの芽を全部摘み取ってしまった不届き者のため、幼木全体が枯れてしまった。寂しい限り。
でも、ほっと安心、ここではセミが一斉に鳴いている。もちろん全てオス。メスへの求愛のためだ。
 クヌギやコナラの森を占領するように、「ジージー」と鳴くアブラゼミ。それに割り込むように「ミーン・ミーン…ミー」のミンミンゼミ、そして時々、「オーシンツク・オーシンツク…モーイイヨー」のツクツクボウシ、まさに競演を繰り広げている。
 セミは幼虫として地中で3年から17年、地上に出て1カ月、オスはあらん限りに鳴いて短い生涯を終える。

米国では、今年は17年ゼミ「ブルードX」が、地下から数十億匹も出てくる年になっている。17年に一度のサイクルで、地面の温度が約18度になる5月下旬ごろから発生する。米国南部から北上し、大西洋岸に沿ってペンシルバニア州やニュージャージー州まで広がっていく。
米国の昆虫学者が、その様子を観察ノートに記している。
 「太陽が昇り、幼虫は穴から這い出してきて、木や茂み、ベランダの家具など、手近な背の高い物体を探してよじ登る。そして体が強く硬くなるまで数時間、セミは茶色い殻を脱ぎ捨て成虫へと姿を変える。
 大きなカエデの幹が、遠目にはニキビにでも覆われているように見える。近づくと、そのデコボコはセミの群れ。上の枝の安全な場所に向かって懸命に登っている。
 成虫になったセミの体は黒ずみ、目は真っ赤になり、銅色の力強い羽根が生える。そして一刻も早く交尾したいと、力いっぱい鳴きだす。その期間は約1カ月半。」
 米国も日本も、セミの寿命に変わりはない。(2021/8/29)
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2021年08月22日

【今週の風考計】8.22─入管庁:黒塗り1万5113枚と手数料15万円の醜悪さ

★スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が、名古屋の入管収容施設で死亡した事件に関連し、遺族側が17日に会見を開いた。
 名古屋入管は10日に発表した、対応を正当化し死因を特定しない96ページの最終報告書に続き、遺族側が求めていた真相究明に必要な公文書の開示請求に対し、関連の行政文書を開示した。だが肝心の監視カメラ映像は不開示とされた。その経緯に関する会見だ。

★8月2日、段ボール3箱が遺族側に届いた。開封して点検してみると、なんと1万5113枚に及ぶ文書のほぼ全てが、黒塗り状態だった。その一部が会見場の後ろの壁に貼られた。その白い壁が真っ黒な暗幕に覆われているような光景に唖然とした。
 ウィシュマさんの妹ポールニマさん(27)は17日の会見で、「文書がこんなに黒塗りされたら、報告書の内容も信用できない。入管は姉が殺されたことを隠したいのではないか」と不信感をあらわにし、「入管は意味のある部分は黒塗りした紙にし、映像も含めブラックボックスに入れ、何も情報を出さない。まったく反省していない」と、遺族側が反論した。当然だ。

★しかも入管庁は「開示実施手数料」として、遺族側に15万円を超す金額を請求し納入させている。ジャーナリストの北丸雄二さんが、この15万円について触れている(東京新聞「本音のコラム」8/20付)。
 「行政文書の開示請求に係る手数料」の規定に従った措置だとしても、黒塗りの行政文書を、「行政文書の開示」だと強弁するにも程がある。文字が真っ黒に消された1万5113枚の紙に、15万円も支払う義務があるのか。
★名古屋入管職員は、上司の顔色を窺い、黙々と命令に従い、1万5113枚に及ぶ文書の黒塗りに、Acrobat Proを使うか他の作業を加えて、懸命になっていた姿を思うと、どこか歪んでいるとしか言いようがない。誰か一人でも、異を唱える人はいなかったのか。
 ウィシュマさんの死という痛ましい事件への反省や責任、そしてこれからの対応に腐心すべきだと、進言する者はいなかったのか。

★思い返そう3月6日、ウィシュマさんは食事や薬が服用できなくなり、死亡直前にもかかわらず、収容施設の職員から「鼻から牛乳や」「ねえ、薬きまってる?」などの嘲笑が浴びせられていた。身動きできなくなる彼女を目の前にしながら病院にさえ、連れていかなかった。
 ウィシュマさんの悲痛な叫びと失われた命への想いが、半年もたたないのに、名古屋入管職員の黒塗り作業で封じられるのでは、あまりにも悲しすぎる。
★「2007年以降、ウィシュマさんを含め17人が入管施設で命を落としている。現在、日本には288万人を超える在留外国人がいる。この人たちなくして日本の経済社会は成り立たない。彼らは異質な人びとではなく、共生していく仲間なのだ」(望月衣塑子)。
 入管庁も私達も、失われた在留外国人の命の重さを、真剣に受け止めねばならない。(2021/8/22)
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2021年08月15日

【今週の風考計】8.15─クラウドファンディング:コロナ禍で出会った「忘れたくない本」

コロナ感染拡大が深刻となり、13日には東京の感染者が5773人、1日当たり過去最多となった。新聞1面には「制御不能、病床ほぼ枯渇、自分で身を守る段階」の大見出しが躍る。
 もし罹ったら、どう対応したらよいか、自宅待機・療養というが、もし病状が悪くなったら、どこが受け入れてくれるのか、不安は限りなく募る。
帰省どころか、家に蟄居するしかない。無策の政府に腹が立つ。実態を隠した数値を振り回し、ワクチン供給は滞り、病床確保の対策はとらず、自粛・我慢の掛け声だけ。すべて責任を現場に押しつけてやり過ごす。もう「ガースー政権」は死に体、誰も信頼しないのははっきりした。

感染しないよう“巣ごもり”の日々、ツンドク本の中から、興味を覚えた数冊を手もとに置き、読書にふける。都心から郊外の筆者宅に避難してきた小学4年の孫は、コミック「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」に夢中だ。
 これまで勤めてきた出版界だけに、コロナの影響が気になる。このほど今年上半期(1〜6月期)の出版物の販売金額が発表された。紙と電子を合わせ8632億円(前年比8.6%増)となった。
とりわけ電子版出版物の売り上げが2187億円(同24.1%増)となり、全体の4分の1を占める。どうもコロナの影響はないかに見える。
 だが町の本屋さんは緊急事態宣言により営業時間の短縮や休業を強いられただけでなく、営業収益が減り、この1年間で484店が閉鎖に追い込まれた。大型書店の郊外チェーン店も、「閉店ドミノ・閉店ラッシュ」から逃れる術はなく、その結果、これまで駅の近くに必ずあった本屋さんが一軒もない事態となった。

本屋さんがなくなれば、本と出会う機会も減る。でも若い人には本を読んでほしい、感銘を受けた本を広く伝えたい、どうしたらよいか。そんな願いに応える企画が立ち上がった。
 日本出版クラブが主宰する「忘れたくない本のはなし 未来にのこすブックガイド」と銘打ったクラウドファンディングの登場だ。
コロナという未曾有の災禍の日々で出会った、「忘れたくない本」に関する話をまとめ、1冊の本をつくるプロジェクトだ。イタリアの作家パオロ・ジョルダーノの「コロナの時代の僕ら」というエッセイに刺激されて誕生した企画だという。
 目標額は100万円。支援金の調達期間は8月31日まで。その後、9月1日から10月31日までメッセージを募集し、11月1日から来年4月までにデジタルアーカイブとブックガイドを制作。4月末までにメッセージの公開とブックガイドを発送する予定という。詳細は下記にアクセスを!(2021/8/15)
https://www.kickstarter.com/projects/nihon-shuppan-club/660435252?lang=ja
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2021年08月08日

【今週の風考計】8.8─「見上げてごらん」、上空のキノコ雲からオスプレイまで。

今週は空を見る日が続く。広島・長崎に原爆が投下されて76年。あの晴れた夏の青い空に立ちのぼるキノコ雲の写真を見るたびに、胸が締めつけられる。
 唯一の戦争被曝国・日本なのに、政府は「核兵器完全禁止条約」に背を向けて恥じない。今年1月に発効し、今や55の国と地域が批准している。「橋渡し」役などと詭弁を弄する姿勢に腹が立つ。

36年前の8月12日、午後7時ごろ、日航ジャンボ機が群馬県・上野村の御巣鷹山に墜落、乗客乗員520人が亡くなった。
 歌手の坂本九さんも犠牲となり、43歳の生涯を閉じた。今もなお天国から、私たちを見守っているだろう。代表曲「見上げてごらん夜の星を」のフレーズが、口をついて声に出る。
そうだ今年の8月13日は、ペルセウス座流星群が、8年に1度の好条件で観測できる。午前4時過ぎの空全体を広く見渡せば、流れ星が北東の空の放射点から1時間に50個ほど、放射状に飛び出すのを肉眼で見ることができる。
 こうした流星群シヨーは手放しで鑑賞できるが、空から降る航空機事故は絶対にダメ。しかも米軍が「日米安保」を盾に、日本の上空を我が物顔に飛び回り、事故を起こしているのは許せない。

今から17年前の8月13日、沖縄県宜野湾市にある沖縄国際大学の構内に、米軍の大型輸送ヘリが墜落した。
 墜落直後、隣の普天間基地から海兵隊員が大挙して大学構内に押し入り、機体やストロンチウム90による汚染土壌まで、すべて米軍が勝手に持ち去った。
 原因究明もできず、日本の法律も及ばず、まさに米軍は「治外法権」の横暴を働いたにも関わらず、日本政府は黙認してしまう。この現実が、いまだに続いている。

現に米軍横田基地のオスプレイが、7月初旬に青森県の小川原湖で、湖面すれすれの低空飛行訓練を繰り返している。日本政府への事前通告もない。一歩間違えば大惨事につながりかねない。
 在日米軍ヘリによる無法な低空飛行は、全国各地で激化している。東京都心の上空でも米軍ヘリが約200メートルの高度で通過、高層ビルを縫うような飛行を続けている。米軍に日本の航空法を適用させ、低空飛行の中止を求める課題が緊急になっている。
 成田や羽田空港での民間航空機の離着陸に際し、ニアミスや緊急事態が起きる危険性に続き、墜落惨事が起きてからでは遅い。(2021/8/8)
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2021年08月01日

【今週の風考計】8.1─〈‘21緑陰図書〉コロナ禍のなか、心洗われる本3冊

暑中お見舞い申し上げます。コロナに翻弄され、夏休みに入っても巣ごもり≠ェ強いられるなか、少しでも涼風の通る場所で、頁をひも解くに良い本3冊を紹介したい。
倉本聰『古木巡礼』(新潮社)─<北の国から>を演出した倉本さんが、多忙な日々の傍ら、全国各地の古木を訪ね、静かに囁く古木の声を詩という形で掬いあげ、さらに古木をカラーの点描画にして添える、ユニークな詩画集。
 開けると途端、森や林のフィトンチッドが香ってくるようだ。詩のフレーズも、倉本さんの思いのたけがいっぱい、心地よく響いてくる。
 そして古木が育んできた悠久の歴史に思いを馳せながら、私たちが開発だといって、〈鎮守の森〉を潰し、地球温暖化を導き、あげくに新型ウイルスの蔓延という事態に至った現在に目を向ける。
7月13日夜、日本テレビのラジオ特番「倉本聰・古木巡礼〜森のささやきが聞こえますか」がオンエアされた。その2時間番組のなかで、倉本さんは今の事態を見ると、「文明の進め方が間違っていた」と語っている。
 
堂場瞬一『沈黙の終わり』(上下・角川春樹事務所)─著者デビュー20年を記念する書下ろし社会派ミステリー。関東近郊で起きた幼女誘拐連続殺人事件が、30年間も隠されてきた。その理由は何か、真相を暴く。
 新鋭とベテラン、正義とプライドをかけた二人の新聞記者が、警察の隠ぺいに抗し粘り強く点と線を追い、遂に大物政治家へと辿り着く。だが官邸詰めの同僚記者から圧力が…。
 それと闘う二人の共有する信念が、今のメディア状況を顧みるとき、きわめて潔く尊い。

矢部太郎『ぼくのお父さん』(新潮社)─全編オールカラー、ほのぼのとした感動の家族マンガ。コロナ禍の重苦しさが吹き飛ぶ。
 6月30日で44歳になった矢部太郎さん。今も東京・東村山の実家に近い築50年の賃貸マンションで暮らしている。
舞台は40年前の東村山、いつも家にいる絵本作家の父・やべみつのりさんとの生活が描かれる。
 「八国山には、よく父とつくしを採りに行きました。ビニール袋にいっぱい詰めて持ち帰り、つくだ煮にして食べました。僕にとって八国山はつくしの名産地です」
 また小学1年生の友達と北山公園でザリガニを取ったり、家族そろって屋根に上がり西武園の花火を眺めたり、1頁8コマ・見開き2頁をめくるたびに、心温まる情景が溢れんばかり。
お父さんだけではない、お母さんのさっちゃんも素晴らしい。「お母さんの床屋さん」「ひょうたんと入院」に描かれる、お母さんの姿も見落とすわけにはいかない。
 子どもを見守りながら、同じ目線でともに遊び、ともに考え、ともに親自身も成長していく。なんとも新鮮な感動に胸が熱くなる。(2021/8/1)
おすすめ本3冊.JPG
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2021年07月25日

【今週の風考計】7.25─大会経費が3兆円を超える<東京五輪の闇>

★「東京五輪」が開幕した。コロナの再パンデミックが猛威を広げ、東京でも4回目の緊急事態宣言が発令、第5波の襲来がいわれている。その最中に開催を強行した。
 政府やIOCは、医療従事者や専門家の意見を無視し、中止や再延期を求める国内外からの大きな声にも、耳を傾けず突っ走った。
★閉幕する8月8日までに、コロナ変異株が若い世代へ急拡大するのは間違いない。とりわけ今夏の異常な暑さに、熱中症の頻発も重なり、医療従事者の負担や病床のひっ迫は避けられない。

★「安心・安全の祭典」どころか、入国した選手や関係者の間で、もう123人ものコロナ感染者が出ている。「バブル方式」で防ぐなど幻想だ。いかに拡大させないか、国名や氏名の公表も含め厳重管理が不可欠になっている。
 閉幕して帰国する際には、「東京五輪発」の変異株ウイルスを持ち帰らないよう、細心のチェックも必要だろう。もしアスリート人生に支障でも生じ、損害賠償などの請求が来たら、どうするのか。杞憂で済まされない。

★さらに見過ごしてならないのは、「東京五輪」の開催費用である。<#五輪の「闇」>というハッシュタグまでついて、その不明朗な実態を追究する動きが起きている。
 2013年に日本の招致委員会がIOCに行った説明では、競技会場や選手村を集約し、「世界一コンパクト」な会場による開催を計画し、開催費用も7300億円程度としていた。
★しかし、何度も経費の上積みを重ね、2019年末で1兆3500億円、2020年末には新型コロナによる延期と感染防止対策の2940億円を加え、約1兆6440億円に膨れ上がった。なんと当初の2.2倍だ。
 関連経費を加えると大会経費は3兆円を超え、五輪史上もっとも経費のかかる大会となる。この赤字の尻拭いは税金。つまり背負わされるのは国民だ。

★大会経費が膨張した背景には、IOC「五輪貴族」からの要請、電通やパソナグループなどの大企業による五輪経費の中抜き、ピンハネの横行がある。開閉式の費用に限ってみても、電通による制作に5輪史上最高額の165億円を支払う。
 メイン会場・新国立競技場の建設費用は1530億円。当時の猪瀬直樹都知事が「40年前の五輪施設を使うので世界一コンパクトな会場」との公言は、どこにいったのか。
 競技場の維持運営費だって年間24億円という。五輪が終わったら、あまりにも高い経費がネックとなり、閉鎖となりかねない。

★今や五輪は、コロナ禍でもやめられないほど、利権が絡む「巨大なスポーツ興業」と化した。IOCと契約する米国のテレビ局NBCや巨大スポンサーの意向は無視できない。開催するだけで約1300億円のテレビ・マネーが懐に入る。こうした「五輪の闇」を晴らさなければ、五輪の未来はない。(2021/7/25)
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2021年07月18日

【今週の風考計】7.18─<世界最悪の経営者>ベゾスの地球帰還を許すな!

amazonのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が、7月5日付で退任した。退任して会長に就くや否や、20日には有人宇宙船「ニューシェパード」で宇宙旅行へ出発する。この「ニューシェパード」は、ベゾス自身が起こした会社が開発し、今回が処女飛行となる。
 すでに11日には、米国の大富豪リチャード・ブランソンが自分の企業グループ・バージンが開発した有人宇宙船で、いち早く宇宙旅行に出ている。大富豪同士の意地の張り合い、どうぞ宇宙で好き勝手にやってチョウダイ!

それより問題なのは、地球上で繰り広げるamazonのアコギな税逃れと劣悪な労働条件の押しつけである。その事態が深刻になるにつれ、amazon やベゾスへの反感は募るばかりだ。
 米国で「ベゾスの地球帰還を許すな」と銘打った、怒りの署名運動が展開され、1カ月も経たずに14万人を超す署名が集まっている。宇宙旅行をするなら、どうぞそのまま「もう戻ってくるな、地球外で遊覧していてくれ」そんな気持ちの表れだろう。
無理もない。2014年に国際労働組合総連合(ITUC)が、ベゾスを<世界最悪の経営者>に認定して以来、少しも改善されていないからだ。
 2年前までamazonの倉庫で働く人々はロボット同然の扱い、トイレに行く自由もなく、持参した飲料ビンへの用足しや紙おむつの着用を強いられていた。これが暴かれ世界各地で問題化した。今年4月には米国アラバマ州の物流倉庫の労働者に圧力をかけ、労働組合の結成を阻害している。

amazon創業は1994年、書籍のネット通販からはじめ、30年足らずで時価総額185兆円を超す巨大企業に発展した。今では2億人を超える通販会員を擁し、クラウドサービスなど新たな事業開発に注力している。
 ベゾスの総資産は日本円で21兆円。ペルーやギリシャ、ニュージランドのGDPに匹敵する。だが法人税や消費税などの税金は払わず、慈善事業が嫌いで“守銭奴”の異名がつく。
フリーランスの横田増生さんが、神奈川・小田原にあるamazonの巨大物流センターに潜入し、監視カメラが設置され、秒刻みで仕事がチェックされる作業員の実態や5年間で5人も死亡事故が起きた過酷な労働現場を告発している(『潜入ルポamazon帝国』小学館)。
 世界では175カ所以上の物流センターがある。日本国内では2020年現在20カ所、7年間で倍増している。その売り上げは1兆5千億円をこえる。日本で最大の物流会社になっている。

24時間の受付、翌日には配送してくれるamazon サービスの裏に、過酷な労働による犠牲があることを忘れてはならない。しかもベゾスは米国の新聞ワシントン・ポストも所有し、amazonに批判的な記事は徹底的に排除し、メディア支配を狙っていることも肝に銘ずべきだ。(2021/7/18)
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2021年07月11日

【今週の風考計】7.11─「ソーバーキュリアス」の陰で居酒屋の悲鳴

「ソーバーキュリアス」なる語句を知った。英語で「Sober Curious」。酒は飲めるのだが、あえて飲まない人たちを指す。「Sober=しらふ」「Curious=ふりをする」を組み合わせた造語だ。
 欧米の若者を中心に、トレンドになっているそうだ。日本も例外ではないという。日本の若者の半分以上は、ソーバーキュリアス的なライフスタイルを選択しているとか。
「本当にそうかい?」─疑問に思ってしまう。緊急事態宣言が発せられ、酒類の販売禁止が要請されているのに、渋谷や歌舞伎町など繁華街の路上で、缶酎ハイや缶ビールを座り飲み、酔っぱらっている若者の映像が、テレビから流れる。これは例外か。

それにしても巣ごもり″を強いられる我が身にあっては、家での晩酌、ビールのロング缶は欠かせない。サラリーマンや労働者だって、帰りがけに「ちょっと一杯」の息抜きは必要だろう。ストレスの多い毎日にあって、「ソーバーキュリアス」などと洒落ている<優雅な一日>はないだろう、それが実態だと思う。

東京都に4度目の緊急事態宣言が発令された。12日から8月22日までの6週間だ。再び飲食店に酒類提供の全面禁止が要請される。
 居酒屋は「また酒が悪者にされるのか」と怒りの声を挙げる。「五輪をやるなら、居酒屋もやらせてくれ、酒がダメなら潰れるしかない」と憤るのも無理はない。
 しかも政府は、金融機関に対し、酒の提供禁止に歯向かう居酒屋・酒卸業者に「金を貸すな」みたいな脅し・締め付けを依頼しようなどという。まさに言語道断、撤回するのは当然だ。

筆者も時には行く、東京・新宿のビア&カフェ「ベルグ」副店長・迫川尚子さんの<酒に罪はない─新宿駅最後の小さなお店の悲鳴>という一文を読んだ。
 「時短営業、酒類の提供自粛は本当に厳しく、赤字は何百万円にも上ります。創業して50年たちますが、最も危機的な状況です。…コロナ対策は万全を期したうえ、…うちは仕事帰りの労働者が立ち飲みで、さくっと飲んで、ちょっと摘まんでさっと帰るというスタイルの店、お酒に罪はないですし、軽く一杯、というささやかな楽しみまで奪わなくても良いのではないかと思うのです」(「女性のひろば」8月号)

顧みれば、コロナ感染防止を目的に飲食店や居酒屋に発令された規制は、時短要請や酒類の販売自粛・禁止など、昨年11月28日から今年の8月22日まで、連続して6か月間に及ぶ。
 コロナ対策の全てが「現場に尻ぬぐいさせる」対応では、誰も政府の緊急事態宣言など、信用しなくなるのは当たり前。
 「ああいえば上祐」じゃないが、「いずれにせよガースー」の菅政権の発令など、信頼はもう吹きとんだ。退場してもらうしかない。(2021/7/11)
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2021年07月04日

【今週の風考計】7.4─日本を襲う「線状降水帯」と気候崩壊への対応

ちょうど1年前の7月4日、熊本県南部地域を襲った集中豪雨は甚大な被害をもたらした。今なお多くが仮住まい生活だ。これも「線状降水帯」が原因だという。その長さは約277キロ、総降水量は最大値633.3ミリに及んだ。
 そして今年もまた、集中豪雨が太平洋側に沿って、沖縄から四国、近畿、伊豆半島、熱海、箱根、房総地方まで連続して襲っている。
「線状降水帯」とは、発達した複数の積乱雲が線状になって並び、数時間にわたり同じ地域に停滞するか、通過しながら数百ミリの大雨をもたらす。台風を除けば、日本で起きた集中豪雨の約3分の2が「線状降水帯」によるものだという。
 なぜ発生するのか、大まかには地球温暖化による気候変動によるものの、詳細なメカニズムの解明や予測はできていない。

目を転じれば、カナダ西部が熱波による記録的な猛暑に見舞われ、6月29日の気温は49.6℃に上昇。ブリティッシュコロンビアでは1週間に719件の突然死が報告されている。もともと6月の当地域は平均気温が25℃ほど、2倍の暑さが襲ったことになる。
米国・北西部のオレゴン州ポートランドでも6月28日の気温が46.7℃、63人が死亡。ワシントン州シアトルでも42℃超を記録し、アスファルト道路が歪み、送電線が溶けたという。
 このような異常気象がカナダや米国北西部を襲い、熱波と干ばつの影響で山火事の発生数が今年、過去最高を更新するとの警告まで出ている。
昨年、シベリアの気温が過去最高の38℃まで上昇し、北極圏の永久凍土が急速に融解している。地球の冷却機能は失われ、平均気温の上昇につながっている。

いまや世界は異常気象に包まれ、気候変動どころか気候崩壊にさらされているのが実態だ。これも私たち人類が、無制限に二酸化炭素CO2を排出し続けた結果なのだ。
 米国のジャーナリストであるデイビッド・ウォレス・ウェルズが著わした『地球に住めなくなる日─「気候崩壊」の避けられない真実』(NHK出版)が、世界で大反響を呼んだ。
現状の温室効果ガス・CO2の排出ペースが続けば、今世紀末までに平均気温は4℃上昇するという。今でも2030年には地球の気温が1.5℃上昇するといわれる。
 さらに2050年までには、世界で100都市以上が浸水し、熱波、大洪水、大気汚染、経済破綻などが広がり、数億人が貧困にあえぐ壊滅的な危機に至ると予測している。 

それでは私たちはどうしたらよいか。この6月初旬に刊行された宇佐美誠『気候崩壊─次世代とともに考える』(岩波ブックレット)が、「気候正義」という概念を提起して、グローバルな視点から示唆に富む提言をしている。
 しかも次の世代を担う若い人びととの対話を通じて、理解と認識を共有する作業は貴重だ。ぜひ読んでほしい。(2021/7/4)
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2021年06月27日

【今週の風考計】6.27─<赤木ファイル>─公文書改ざん「指揮・命令」の闇を暴け!

★近畿財務局に勤務した赤木俊夫さんの死から3年。いまだに麻生太郎財務相は線香すらあげに来ない。安倍前首相の夫人・昭恵さんも、昨年5月中旬、残された妻の雅子さん宛てに「いつかお線香をあげに伺わせてください」とのメッセージを、LINEで発したまま。その後はナシの礫だという。
 「赤木ファイル」が、やっと妻の雅子さんや国会に開示された。赤木俊夫さんが「森友学園」に関する公文書改ざんを苦に、2018年3月7日、自死する間に財務省と交わされた518ページに及ぶ記録には、貴重な記述が並ぶ。

★財務省が2017年2月26日、係長名で近畿財務局に「森友学園」関連文書の改ざんに関するメールを発信。安倍首相の妻・昭恵氏や政治家などの記述に、「削除した方が良いと思われる箇所があります。マーキングしておきました」と、この箇所を「できる限り早急に」削除するよう求めている事実が記されている。
 この指示を受けた赤木俊夫さんは「既に意思決定した調書を修正することに疑問が残る」と、財務省本省に直接抗議し、かつ「今回の対応は、本省理財局が全責任を負う」などと説明されても納得できないとして、「備忘として記録しておく」とファイル作成の経緯を記していた。
★改ざん指示のメールがくる9日前の2月17日。安倍首相は国会で、国有地を8億円も値引きして森友学園に売却した「森友問題」に、自分や妻が関係していた場合は「首相も国会議員も辞める」と答弁した。この答弁が契機となり、慌てふためいた官邸や財務省が、公文書の改ざんに猛進した構造が浮かび上がる。
 当時の佐川宣寿理財局長も、3月20日には「国会答弁を踏まえたうえで、修正するよう」直接指示している。この「国会答弁」とは、安倍首相の答弁を指すのは言うまでもない。
 そもそも「森友問題」は、開校予定の小学校の名誉校長に就いた安倍昭恵さんが、国有地売却に絡む打合せの際、<「2014年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)>との記述が発端なのだ。

★開示されたとはいえ「赤木ファイル」の写しは、幹部職員以外の名も含め墨塗りが400ケ所もある。別添の資料は開示されていない。財務省「調査報告」との食い違いはもとより、公文書改ざんの指揮・命令系統は、いまだ「闇」のままだ。第三者委員会の設置など、再調査は不可欠だ。
 その際、肝心なのは、最初に改ざんを指示したのは誰か、その解明である。すべてを佐川宣寿理財局長におっかぶせているが、一介の理財局長が独断で、このような大規模な公文書改ざんという作業を指示できるわけがない。
★2017年2月17日の「首相も国会議員も辞める」との<安倍答弁>から、5日後の22日、当時の菅義偉官房長官は、財務省の佐川理財局長、中村稔・総務課長、太田充・大臣官房総括審議官と面談し、改ざんを命じた可能性が濃いとの報道もある(LITERA6/22付)。
 この糸口に切り込み、公文書改ざんへの指揮・命令の道筋と全容を暴いてほしい。(2021/6/27)
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2021年06月20日

【今週の風考計】6.20─下田・本土寺・明月院のアジサイをめぐる対話

10日ほど前、思い切って伊豆・下田公園のアジサイを見に行った。安政元(1854)年、日米和親条約を結んだ了仙寺の境内に咲く、アメリカン・ジャスミンに足を止める。
 さらに柳しなだれるペリーロードを歩き、日本初の商業写真家・下岡蓮杖の像を脇にして、アジサイ群落の広がる山道を登る。
その数、なんと約15万株300万輪! 種類もウズアジサイ・ガクアジサイ・墨田の花火など、100種以上。山肌に広がる薄い青・紫・黄・ピンクの大輪の先に、下田市街や下田内港・稲生沢川に舫う舟が一望できる。穏やかな山容の下田冨士も望める。
 下田城址をめぐるアジサイロードを南へ下ると、お茶ケ崎展望台に出る。左手に犬走島、眼下にイルカが遊泳する海中水族館、さらに右には赤根島や和歌の浦が見渡せる。

帰ってきて数日後、地元の一膳めし屋に行く。「カツ煮定食」ができるまでの間、こあがりの壁にかかる、額に入った2枚の大きなカラー写真に見入った。
 五重塔の前にアジサイのピンクの大輪が咲き誇る。もう1枚は広い屋根を持つ建物の前に広がる、青いアジサイの群落だ。こんなに見事にアジサイの大輪が咲く寺は、どこなのか。分からないだけに興味津々。

来客が途切れたのを捉え、訊いてみると、「松戸のホンドジ」だという。調理場から出てきた親爺の説明により、JR常磐線北小金駅から徒歩10分にある、日蓮宗・本土寺であるのが分かった。境内には1万株が植栽され、松戸のアジサイ寺として有名だという。
店の老いた親爺は大のカメラ好き。このアングルが最高で、何枚も取った中のベストを伸ばしたものという。ひとしきりカメラと風景写真の蘊蓄を聞いた後、下田のアジサイに話を振ると、得たりや応と、「あそこはいいアングルがたくさんある」と頷く。

さらには「鎌倉のアジサイ、ここも外せない」と、話を続ける。とりわけ北鎌倉の明月院、そこのアジサイは「明月ブルー」といわれ、カメラ好きには腕の見せ所。構える角度やシャッターに神経を集中する、という。
 6月ごろから、自生するタマアジサイが、大きな丸い蕾が弾けるように開花する。その澄んだ藍色は吸い込まれそうなほど。今年はコロナで行けないのが悔しくて…という。
鎌倉には建長寺や長谷寺、浄智寺、妙本寺、稲村ケ崎などなど、アジサイの名所は尽きない。コロナが終息したら、ぜひ回ってこいと勧められる。

さて14日、関東甲信地方にも梅雨入り宣言が出た。だが今年の梅雨は梅雨前線の活動が活発で大雨が多くなるという。まさに、<紫陽花や壁のくづれをしぶく雨─正岡子規>となろうか。梅雨晴れを狙って、近在の寺や公園に咲くアジサイでも見物に行こうかと思うが、それも容易ではなそうだ。(2021/6/20)
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2021年06月13日

【今週の風考計】6.13─「墨汁一滴」から田辺聖子「十八歳の日の記録」へ

<ねんてん先生の文学のある日々>を、いつも楽しみに読んでいる。俳人・坪内稔典が「赤旗」文化欄に、毎月第一金曜日、執筆している。
 この4日付の75回では、正岡子規の「墨汁一滴」に触れて、子規と漱石との交遊を綴っている。
興味を覚え、書棚から170ページの岩波文庫を引っ張り出して再読。あらためて脊椎カリエスに苦しみながら、毎日、「墨汁一滴」分の文章を、一年半も書き続けてきた精神の強靭さに心打たれる。
<この頃は左の肺の中でブツブツブツブツといふ音が絶えず聞える。これは「怫々々々」と不平を鳴らして居るのであらうか。あるいは「仏々々々」と念仏を唱へて居るのであらうか。あるいは「物々々々」と唯物説でも主張して居るのであらうか。>(四月七日)
 東京市下谷区上根岸の寓居で書く、この一文は鬼気迫る。

子規への想いを膨らましているところに、<田辺聖子「18歳の日の記録」没後2年、押し入れから出てきた一冊のノート>というニュースである。そういえば6月6日が命日、享年91。今年は3回忌に当たる。
見つかった日記ノートは、田辺聖子が18歳になったばかりの昭和20年4月1日から書き初め、22年3月までの日々を綴った記録である。とりわけ昭和20年6月1日の「大阪大空襲」に遭った際の詳細な記録は、その後の「聖子の原点」を彷彿とさせる。
10日発売の雑誌「文藝春秋」7月号に掲載された田辺聖子「十八歳の日の記録」から、恐縮だが引用させていただくと、
<お父さんも、私が帰ったときいて、ぬれしょぼれた格好で向うからやって来られた。「そうか、帰って来たのか、家、焼けたよ。ははっは。これも戦争じゃ戦争じゃ、仕様がないわい、しかしこれで皆、無事に揃うて、まず目出度いとせなあかん」とお父さんは、快活に言った。私はたとえ、それが不自然であっても、しおれた皆を元気づけようとする心がうれしかった。>(六月二日)
 とあり、大阪市此花区にあった父が経営する田辺写真館が燃え落ち、家族は一睡もできない夜を過ごした状況が描かれている。

また敗戦の「八月十五日」には、万年筆で丁寧に書かれた他のページとは違い、「墨汁一滴」墨文字が一気呵成に躍っているという。
<何事ぞ! 悲憤慷慨その極を知らず、痛恨の涙滂沱として流れ肺腑はえぐらるるばかりである。我等一億同胞胸に銘記すべき八月十四日。嗚呼、遂に帝国は無条件降伏を宣言したのである。>
愛国心いっぱいの軍国女学生の思いが、ほとばしる。だが翌年の大晦日には、二十歳を前にして、こう綴る。
<来年も、勉強して小説を書こう。私はもう、この道しか、進むべき道はない。そう、信じている。来年もまた、幸福な精神生活が送れますように。>

さて、ここまで書いてきた筆者の誕生日は6月12日。もう一度「墨汁一滴」を繰ってみる。今からちょうど120年前の同日、34歳の子規は病床から、次のように書いている。
<植木屋二人来て病室の前に高き棚を作る。日おさへの役は糸瓜殿夕顔殿に頼むつもり。碧梧桐来て謡曲二番謡ひ去る。曰く清経曰く蟻通。>(六月十二日)
 猛暑に備えて、梅雨どきの庭の植栽に心を配る子規、そこへ見舞いに訪れた俳人・河東碧梧桐が謡う能「清経」「蟻通」の一節が響く。おお、この情景と余韻、サイコー!(2021/6/13)
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2021年06月06日

【今週の風考計】6.6─いま必要な“変異ウイルスの災典”を避ける決断

『オリンピック 反対する側の論理』(作品社)という本が注目されている。著者のジュールズ・ボイコフは元五輪選手で、米パシフィック大学政治学教授を務める。
 五輪開催に伴う膨大な経費、開催都市の再開発がもたらす環境破壊、選手を使い捨てにする過度な商業化など、その弊害を告発し、世界に広がる五輪反対の動き、その論理と背景を明らかにしている。

7月23日の東京五輪開会式まで50日を切る中、世界各国のメディアが「東京五輪中止」の記事や論評を発信する度合いが加速している。
 この3日には、英国の高級紙「ガーディアン」が東京五輪中止を報道。同日、フランスのニュース専門放送局「LCI」が、新型コロナ禍での東京五輪について「大失敗のリスクがある」と強い警鐘を鳴らし中止を強く要請した。
それも当然、様々な変異ウイルスが東京五輪に持ち込まれるリスクは否定できない。平和の祭典のはずの東京五輪が、“変異ウイルスの災典”になりかねない。IOC“ぼったくり男爵”バッハ会長への批判も強まるばかりだ。

東京五輪・パラに世界各国から選手が1万5千人、そして大会役員・報道陣など7万8千人が一緒にやってくる。海外の選手・大会関係者9万3千人は「特例入国」扱いとなり、コロナ検疫のための施設隔離、すなわち「停留」が免除され、入国後ただちに練習などができる。
 開催中は東京・晴海の「選手村」やホテルに選手・関係者を隔離し、外部との接触を制限する「バブル方式」で感染を防ぐという。
だがこの隔離「バブル方式」に、延べ30万人の通訳、警備、運転、清掃などに携わる国内関係者が、公共交通機関で自宅などから通い仕事に就くことが判明した(東京新聞6/4付)。30万人中、ワクチンの用意は2万人分しかない。
 これでは「停留」免除されている選手や関係者が、新たな変異株を持ち込む可能性に加え、外部と隔離する「バブル方式」のほころびが、会場や「選手村」などに出入りする国内関係者に感染を広げる危険性は避けられない。

コロナ感染対策・分科会の尾身茂会長は、「パンデミックの状況では、普通は五輪開催はない…、なぜやるのか、国がはっきりとしたビジョンと開催理由を述べることが重要だ」と、菅首相による説明のみならず、JOCの責任についても言及した。
 さらに海外から来た「選手や大会関係者が日本で感染し、医療制度や検査体制が非常に脆弱な発展途上国に持ち帰るリスクがある」とも指摘した。
コロナ対策の専門家らが、近日中に開催に伴うリスク評価の提言をする。感染爆発の「ステージ4」では開催は難しい。感染急増の「ステージ3」なら最低でも無観客にというのが、大勢になってきた。
「観客もいない、選手は隔離の五輪って、塀の中の運動会みたいじゃない!」─これじゃあ、中止!それしかない。(2021/6/6)
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2021年05月30日

【今週の風考計】5.30─住民を監視する「土地規制法案」の危ない内容

自分が持っている土地・建物は自分のものだ。なぜ政府が調査・監督に入り、個人情報を収集のうえ、売買までチェックするのか。
 6月16日の会期末まで残りわずか。ワクチン接種で大変な最中、国会では基本的人権を制限するトンデモナイ法案が、強行採決されようとしている。「土地規制法案」だ。

政府は、同案の目的は「安全保障の点から重要な施設の機能阻害行為が行われるリスクに対応する」ため、海外からのスパイ潜入や拠点づくり、破壊行為を未然に防ぐ目的で、土地や建物の購入・売買に規制をかけるという。
 自衛隊や米軍の基地、海上保安庁の施設、原発などの「重要施設」がある、周囲1キロ以内の土地や建物、さらには国境の離島などを加え計450カ所以上を「注視区域」に指定し、区域内の土地・建物を利用・売買する場合には、所有者や法人などに調査が入り、売買・利用の中止について勧告や命令を出すことができる。
さらに司令部機能を有する基地や施設周辺150カ所以上は「特別注視区域」に指定し、一定規模の土地・建物を売買する際には、事前の届け出を義務づけ、監督官庁からの査察や調査を受けなければならない。従わなければ、懲役2年以下または罰金200万円以下の刑事罰を科す。

しかも集めた個人や法人の調査情報を、内閣情報調査室や公安調査庁など政府機関の協力のもと必要な分析に回す扱いを否定しない。名前や住所、国籍、土地の利用状況にとどまらず思想・信条や所属団体、交友関係、海外渡航歴など、際限なく広がる恐れがある。
 肝心の「機能を阻害する行為」の内容がアイマイだからだ。法成立後に「基本方針」を閣議決定し、その内容に基づき施行するという。これでは国会のチェック機能は働かず、恣意的な運用のみならず、日常的に市民が監視され、人権侵害につながる危険は極めて大きい。

防衛省本庁のある東京・市ケ谷を考えてみよう。まず周辺1キロ以内は「特別注視区域」に指定されるから、既存のコンビニやビルを売買する際には、事前の届け出が義務づけられ、政府官庁から売買の相手先などの調査が入る。
 個人の土地や建物の売買だって、スパイの購入防止という目的からすれば、事前提出・調査のプロセスは免れない。それを懸念して、すでに不動産の売却価格が下落している。
 埼玉県にある米軍・所沢通信基地の周辺1キロには、並木通り団地800戸の住宅が密集している。その住民を国が情報収集の対象にして監視するのだから、穏やかではない。

多くの米軍基地や自衛隊施設がある沖縄県民に至っては、誰もが調査規制対象となり、知らないうちに監視下に置かれる。
 あの自民党の杉田水脈議員が、鉄面皮にも「土地規制法案」を審議する委員会で、「辺野古基地建設に反対する市民の食べた弁当ゴミが、米軍基地の機能を阻害する恐れがある」と、同法案の拡充を求める発言までしている。狙いがはっきりした、廃案しかない。(2021/5/30)
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2021年05月23日

【今週の風考計】5.23─自民党・政治家の暴言や“逆ギレ”弾圧を許すな

★菅政権の幹部や自民党議員から、驚くべき内容の発言が続く。しかも説明責任は果たさず、メディアへ抗議や圧力をかけるとは何事か。政治家たるもの、事実を無視し、無知による誤った認識に基づく発言は許されない。

★山谷えり子参議院議員は、LGBT法案をめぐる自民党の会合で、「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、アメリカなんかでは女子陸上競技に参加してしまってダーッとメダルを取るとか、ばかげたことが起きている」などと、性自認に対する悪質な発言をした。
★さらには「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」など、性的マイノリティを差別する驚くべき発言が、他の自民党議員から繰り返された。

★自民党・林幹事長代理も、「根掘り葉掘り、党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と、参院選の広島選挙区・河井案里陣営へ提供した1億5千万円問題にフタをした。資金提供を決めたのは誰か。自民党・二階幹事長は「自分は関与していない」という。
 当時の甘利明・選挙対策委員長も、「私は1ミクロンも関わっていない」と否定。裁判中の河井克行被告も、「妻の選挙買収には1円も使わなかった」という。
 誰が決め、何に使ったのか、そのうち1億2千万円が国民の税金からなる政党交付金である以上、その使い道を国民の前に明らかにするのは当然だ。フタをさせないためにも、「根掘り葉掘り」糺す必要がある。

★自民党の細田博之元官房長官は、党内の会合で沖縄でのコロナ感染拡大に関連して、「緊急事態とか、まん延防止とか、そんなものに頼っても駄目。沖縄県こそ来県する人への規制、県境封鎖などコロナ対策は独自に取るべきだ。国に頼るべきではない」と、国の責任は棚上げにして、沖縄県に特別な対策を強いる差別的発言をしている。

★岸信夫防衛大臣は、<ワクチン予約システムに欠陥>と指摘する数多くの報道に対し、「悪質な行為であり、極めて遺憾だ」と語り、抗議文を朝日新聞出版と毎日新聞の2社に限って郵送した。
 河野太郎・ワクチン接種担当大臣も「面白半分」の妨害行為であるかのような発言を口にしている。
 さらに岸防衛相の実兄・安倍晋三前首相が、ツイッターに「朝日、毎日は極めて悪質な妨害愉快犯と言える。防衛省の抗議に両社がどう答えるか注目」と投稿。
★これには開いた口が塞がらない。呆れるばかり。安倍前首相こそ森友問題で139回、「桜を見る会」関連で118回の虚偽答弁をおこない、国会審議を1年以上も空費させた「極めて悪質な妨害愉快犯」ではないか。「もり・カケ・桜」の疑惑に答えるのが先だ。

★政治家として、欠陥が明らかにされたら真摯に反省し、解決に向けてどう対応するか、国民に開示すべきで、メディアへ抗議するとは筋違いも甚だしい。驕りたかぶった“逆ギレ”弾圧や発言・投稿を許してはならない。(2021/5/23)
posted by JCJ at 07:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月16日

【今週の風考計】5.16─ワクチン接種をめぐるドロナワ処方箋の行方

<7月末までにワクチン2回接種、1日の接種100万回!>─政府の大号令ラッパが鳴り響く。だが「ワクチン狂騒曲」に翻弄される自治体や65歳以上の高齢者3600万人は、テンワヤンワの騒動に放り込まれた。
 接種券が届いても、予約の電話がつながらず、ネットのサイトも停止、役所の窓口には予約を求めて高齢者が殺到し、右往左往するばかり。

世界各国は、1年前からワクチン接種へのロードマップを作り、スムーズな実施に向け全力を挙げてきた。米国では、18歳以上の約1億900万人がワクチン接種を終え、接種率は45.8%だ。
 日本はどうか。ワクチン接種率は2.1%、世界で129位、OECD加盟国37カ国の中で最下位。韓国は7.1%の世界98位、日本はミャンマーの3.2%よりも低い。
緊急事態宣言3回目になって、大慌てでワクチン接種の大号令、だが対策はドロナワで混乱を招くばかり。医療従事者への先行接種すら終わらず、1回でも接種を受けた高齢者は1%程度にすぎない。
 接種の遅れや政府の対応に、楽天・三木谷社長も東京五輪の開催は「自殺行為だ」と声を上げる事態。さらに専門家の怒りも爆発、1道2県に緊急事態宣言が追加発令された。

急きょ防衛省が東京・大阪に設けたワクチン接種大規模センター、17日から予約を受け付ける。自衛隊の医官・看護官280人が中核を担うとはいえ、会場の衛生保持のノウハウがないので、結局は民間3事業者に計36億8千万円で委託する。
 大手町の東京会場は「日本旅行」と約19億5千万円で、中之島の大阪会場は「東武トップツアーズ」と約9億7千万円で契約し、会場運営などを委託。民間看護師1日200人の確保は、人材派遣会社「キャリア」と約7億6千万円で入札契約している。
1日当たり東京で1万人、大阪で5千人へ認可申請中の米国モデルナ社製ワクチン接種を見込むが、どこまでスムーズに対応できるか予断を許さない。2重予約や異なる製造会社のワクチン接種による副反応の心配もある。
 さらに政府はコロナ・ワクチン確保のため、5120億円の追加支出を決定した。米国のファイザー、モデルナ、ノババックス3社から計2億5千万回分のワクチン購入に充てるという。だがその配分や使い分けは見えてこない。

変異株の英国型や南ア型に続きインド型の猛威が広がり、従来のワクチンが効くか不安が増している。ある研究機関の抗体検査によると、2回ワクチン接種した人の9割には、変異型の感染にも予防効果があるとのうれしい報告も発表された。
とはいえ「ワクチン狂騒曲」が終演するのはスズ虫が鳴く秋ごろと、予測する有識者の意見は無視できない。ワクチン接種のドロナワ対応のツケに他ならない。(2021/5/16)
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