2017年12月10日

【今週の風考計】12.10─福島・原発事故が残す尽きない危険!

6年9カ月前、福島第一原発3号機は核爆発を起こし、最大で毎時2千ミリ・シーベルトの放射線量を放出、甚大な被害をもたらした。
いま廃墟となった原子炉建屋内にある貯蔵プールから、使用済み核燃料566本を、来年6月ごろには取り出せるよう準備が進んでいる。ドーム型の屋根が設置され、収納容器を吊り上げ地上までおろすクレーンは長さ約17m・重さ約90トンに及ぶ。

しかし、取り出したはいいが、どこで処理するのか、何も決まっていない。1号機・2号機の使用済み核燃料の取り出しに至っては、「2023年度を目途」にというだけ。タービン建屋内の復水器にたまった高濃度汚染水の抜き取りも、やっと18日に終える。その汚染水の合計1020トン、セシウム137濃度は5億ベクレル/ℓという。貯蔵するタンク850基はもう満杯。しかもそのうち約730基が、あの製品データ改ざん事件を起こした神戸製鋼の部品が使われている。漏れださないとも限らない。

原発事故による汚染など、福島県内の指定廃棄物は17万2千トン。それを埋める最終処分場が富岡町に設けられ、搬入が始まった。今後、6年かけてこの最終処分場に集約される。ただし、県内の除染で出た汚染土や10万ベクレル/sを超える廃棄物については、10月に稼働したコンクリート構造の中間貯蔵施設(双葉町・大熊町)に、最長30年間、保管される。
その後、県外で最終処分する方針だが、具体策は決まっていない。なし崩しに福島県外7県の汚染土・47万㎥が持ち込まれてしまうのではないかと、住民の不安は尽きない。(2017/12/10)
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2017年12月03日

【今週の風考計】12.3─「日本維新の会」と<加計マネー>疑惑

「日本維新の会」の足立康史衆院議員は、11月30日の衆院憲法審査会で、またまた朝日新聞を名指しして「捏造、誤報、偏向のオンパレード」と、何ら具体的な根拠も示さず、誹謗中傷きわまる暴言を吐いた。さらに憲法改正国民投票について、「最近のマスメディアの偏向ぶりを見るにつけ、マスメディアを正すか、信頼度を引き下げることに取り組むことが、国民投票に必要な環境整備だ」とまで述べた。

足立議員は11月12日、朝日新聞の<加計問題>に関連する社説を巡って、ツイッターに「朝日新聞、死ね。」と投稿した御仁。10月23日投票の衆院選で小選挙区では落選したが比例復活して現在3期目。元通産・経産官僚。国会の場でも、加計疑惑を追及する立憲民主党など3党の議員の名前を挙げ、あっせん収賄罪に該当する「犯罪者」とまで発言、謝罪に追い込まれた。

ここにきて、足立議員が所属する「日本維新の会」に、<加計マネー>疑惑が浮上してきた。加計学園の加計孝太郎理事長と息子で副理事長の加計役氏から、片山虎之助・共同代表に政治献金がなされていた事実が、日刊ゲンダイの調べで発覚した。
なるほど、それで「日本維新の会」の各議員は、国会で<加計問題>を追及しないのか。納得。加計学園が運営する岡山理科大学獣医学部は、愛媛県今治市から37億円の土地を無償譲渡され、その上に県と市から96億の建設補助金まで得て開設される。この財源はすべて税金だ。もし経営破綻したら責任は誰がとるのか。

「認可したから終わり」では済まない。加計理事長以下、関係者を全員、国会に呼んで、徹底して国家戦略特区諮問会議の真相を解明すべきだ。(2017/12/3)
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2017年11月26日

【今週の風考計】11.26─DVと性暴力による被害救済へ法改正を

◆1960年11月25日、ドミニカ独裁政権と闘ったミラバル姉妹が殺害された。その日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」と定め、12月10日の「世界人権デー」まで、16日間、世界中でキャンペーンが張られている。

◆さて日本での女性に対する暴力の実態はどうか。日本では3日に1人、妻が夫によって殺され、成人女性の3人に1人がドメスティックバイオレンス(DV)被害を体験しているといわれる。現に、昨年1年間のDVは6万9908件(10.7%増)と最多を更新し、13年連続の増加である。

◆だが、DV被害から逃れるための一時保護所・シェルターへの入所率は33県が40%未満、秋田県は入所率が5.8%と全国で最も低い。「夫の暴力で骨折させられても一時保護所に入れなかった」との証言が複数ある。
◆さらに首を絞められた痕や殴られた痕がある女性は入所しやすいが、精神的に追い詰められるモラルハラスメントなどは、見た目では分からないので、相談員の判断任せ。かつ相談員の「生活保護や児童扶養手当のために偽装離婚したいんでしょう」といった、心ない言葉に深く傷つくケースも多くある。
◆若い世代での「デートDV」も深刻だ。10代カップルの3組に1組で起きている。ストーカー被害は2万2737件、4年連続で2万件を超え前年比3.5%増だ。

◆安倍政権は「すべての女性が輝く社会」をうたうが、日本は国際社会から「女、子どもが家の中で殺される危険の高い社会」だと批判され、DV加害者を処罰するよう法律の改正が求められている。DV防止法が制定されて16年、我が国はDVと性暴力による被害救済の面で、国際的にも最後進国となっている。(2017/11/26)
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2017年11月19日

【今週の風考計】11.19─世界から日本へ、218もの人権改善勧告

国連の人権理事会が、日本の人権状況に関して、約5年ぶり3回目の定期審査を行った。このほど世界106カ国から出された218の勧告が報告書にまとめられた。多かったのが人種や男女差別、性や地域少数者への差別をなくす取り組みへの勧告だった。

特筆すべきは、沖縄の人々の人権や社会権の保障を促す勧告が、初めて盛り込まれたことである。翁長・沖縄県知事が国連で訴えた「基地押し付けの構造的差別や人権侵害」、また山城博治議長の長期拘束への異常さなど、世界が認識したからである。
慰安婦問題では中国や韓国などから「深く謝罪し、被害者に補償せよ」との勧告が出されている。福島第一原発事故に関連して、被災者の命を守る措置を拡大し、子どもが放射線被ばくによって受ける被害の大きさについて、正確な情報を学校教材に記載するよう求めている。

メディアに関連するテーマでは、「報道の自由」が萎縮しないよう、特定秘密保護法の法改正などを求める勧告、また政府によるメディア規制が、放送法4条を恣意的に使って、進められていることが批判され、この放送法第4条の「廃止」とともに、独立した第三者による監督機関の設立を求める提起が米国から出された。
いまやテレビでは安倍政権を代弁するかのようなコメンテーターばかりが重宝され、放送メディアは完全に腰砕け。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという体制が完成してしまっている。公権力のウォッチ・ドッグ=監視役としての「報道の自由」が阻害されている。

これらの勧告に、どう日本政府は対応するのか。受け入れるのか否か、来年3月までに態度表明しなければならない。またも木で鼻をくくったような弁明を繰り返せば、物笑いの種になるだけ。(2017/11/19)
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2017年11月12日

【今週の風考計】11.12─国民の血税を勝手にプレゼントするな!

「税を考える週間」があるとは知らなかった。国税庁は11日から17日までキャンペーンを張る。アクセスしてみると<租税の意義、役割や税務行政の現状について、より深く理解し…、自発的かつ適正に納税義務を履行していただく…>とある。

ちょっと待てよ。確か国税庁トップは、あの佐川宣寿さんではなかったか。国会で「森友問題」をめぐり厳しく追及された財務省理財局長、ご当人である。「森友」への国有地払い下げに関し、「書類や記録は廃棄済み、電子データも復元できない」と公言し続けてきた。
その御仁が栄転し、国税庁長官に就いている。記者会見も開かず、国民に謝罪するどころか、自分は書類を廃棄しておいて、納税者には書類は隠すな!では、誰がまじめに「納税義務を履行して」いけるか。

このほど会計検査院は「森友」への国有地払い下げ6億円の値引きは、過大であったと指摘した。値引きした6億円の損失を血税で穴埋め!冗談じゃない。
安倍首相も同じ穴のムジナだといいたい。トランプ大統領の娘イバンカさんが来日するやいなや、「イバンカ基金に約57億円拠出する」とブチあげた。自分の財布でもないのに、「国民の血税」を使って、勝手にプレゼントする。「いい加減にしてくれ」との声が広がる。

さらに「米国から導入するF35Aや新型迎撃ミサイルに加え、イージス艦の量・質も拡充したいので、さらに武器購入を増やしていく」と、シンゾーはドナルドに尻尾を振る。霞が関も永田町も国民の血税を、なんと心得る!(2017/11/12)
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2017年11月05日

【今週の風考計】11.5─読書しない高校生へ、この漫画は逃すな!

▼「読書週間」が始まっている。70回目を迎える。だが電車の中はスマホばかり。全員が指操作に夢中の車両もマレではない。▼高校生が本を読まない割合は57.1%、5人中3人が本をまったく読まない事態だ。読書時間が世界1位のインドでは週10.7時間、日本はその半分以下の週4.1時間である。もはや読書習慣すらない。

▼出版界の現状にも反映する。今年の出版物の販売金額は1兆4千億円前後と予測される。 1996年のピーク時の2兆6563億円に比べれば、この20年間で販売額は半減してしまった。加えて雑誌の売り上げは前年比マイナス14.1%に加え、返品率は最悪の40%を続けている。深刻な事態となっている。
▼書店数も半減し1万店を割るのも近い。書店がゼロの自治体・行政区は420にものぼる。全体の2割に及ぶ。町の本屋さんがつぶれているからだ。嘆くだけでは能がない。じゃあ、どうするか。

▼80年前の1937年に刊行された吉野源三郎『君たちはどう生きるか』を、マガジンハウスが漫画化して刊行した。発売して2カ月で33万部の売り上げを示すヒット作になった。いまなお売れ続けている。先月25日に「異例の10万部重版」(8刷)を決めた。8刷分は11月6日から市場に投入される。
▼読み継がれてきた名著を、新しい感覚で一工夫しての刊行が、若い世代にアピールした好例である。はじめから読書が嫌いなのではない。58回を迎える神田古本まつりも、東京・神保町で開かれている。この宝の山から、名著を新たに掘り起こし復活させるのもいい。(2017/11/5)
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2017年10月29日

【今週の風考計】10.29─ジャーナリスト殺害事件と「産経抄」

去る16日、マルタ島の女性記者ダフネ・カルアナガリチアさんが、移動中の車ごと爆殺された。彼女はタックスヘイブンに関わる「パナマ文書」の調査報道に参加していた。また同国ムスカット首相の妻が、パナマに会社を設け資産を隠していた経緯も追求していた。

この事件を、なんと19日の産経新聞1面コラム「産経抄」が、「日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない」と書いた。江川紹子さんは、ツイッターで「人でなし、とはこんなものを書く人のことを言うのだろう。人の無残な死を、同業の者として、まずは悼むということが、せめてできないのだろうか」と。同感。

24日、ジャーナリストの伊藤詩織さんが会見し、同業ジャーナリストが自分に加えた性暴力被害の実態を明かし、日本の司法・社会システムのありかたについて課題を提起した。

ジャーナリストへの脅しや殺害の脅迫、そして暴力は世界中に広がっている。この10年だけでも800人近くが死亡している。7割近くは「銃撃戦や危険な取材活動によって命を落としたのではなく、むしろ政府の腐敗、犯罪、麻薬取引、反体制派の活動を取材した報道内容に対する<報復>として殺害されている」という。かつ犯人は見つからず、見つかっても処罰されず、放置されている。
こうした事態を解決するため、国連は11月2日を「ジャーナリストへの犯罪に対し、不処罰をなくす国際デー」と宣言。今年は4年目となる。世界各地のジャーナリストに安全な環境を整備し、表現の自由を守り人権を前進させ、民主主義を強めるアクションプランを展開している。「産経抄」の筆者も煎じて飲むとよい。(2017/10/29)
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2017年10月22日

【今週の風考計】10.22─没後80年の中原中也と<私はもう、嘘をつく心には倦き果てた!>

22日は、詩人・中原中也が没して80年。そして今年、生誕110年になる。青春の切なさや人生の悲しみを詠む詩が多い。<思へば遠く来たもんだ 十二の冬のあの夕べ…>を始め、<汚れつちまつた悲しみに…>など、今でも口ずさむ。自分の悲しみと響き合い、ひたひたと心に染みてくる。

だが忘れてならないのは、死の前年に起きた2・26事件や戦争へと傾斜するキナ臭い世相に、オノマトペや擬態語を混ぜ込みながら、「時代に抗する道化の精神」を、詩に結晶させてきた中也の感性である。佐々木幹郎『中原中也』(岩波新書)を読んで教えられた。

「嘘つきに」と題された詩がある。<私はもう、嘘をつく心には倦きはてた。/なんにも慈むことがなく、うすっぺらな心をもち、/そのくせビクビクしながら、面白半分ばかりして、/それにまことしやかな理窟をつける。…私はもう、嘘をつく心には倦き果てた!>─オッと待って、これは中也の自戒じゃない。当時の軍と議会の馴れ合いがはびこる世相に向けた痛烈なプロテストだ。そう捉えたい。

さて今の日本、何が起きているか。神戸製鋼では自社製品の品質保証データを改ざんし、日産自動車では安全点検の不正、116万台のリコールという前代未聞の事件が起きている。東芝の粉飾会計から商工中金の不正融資まで、まさに嘘のカタマリじゃないか。いやいや永田町・安倍政権が進める国会運営も、嘘と詭弁とごまかしのオンパレード。PKO日報隠し、「森友・加計」疑惑、出した資料はすべてスミヌリ、一つも明らかになっていない。まさに政官財の嘘つきトライアングル。本当に<嘘をつく心には倦き果てた!> (2017/10/22)
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2017年10月15日

【今週の風考計】10.15─炎上CH53Eヘリとストロンチウム90

◆沖縄県東村の私有牧草地に墜落し、大破・炎上した米軍ヘリコプターは、6月に久米島空港へ緊急着陸したヘリと同一機。◆このCH53E大型ヘリには、放射性物質が収納されている。7枚の回転翼ブレードを持ち、それぞれの根元付近に、放射性物質ストロンチウム90が入った計器を備える。空洞になっている回転翼ブレード内の圧力変化を、飛行中でも常に検知し、劣化や氷結による亀裂などの異常が発生していないか確認している。

◆13年前、沖縄国際大に墜落したヘリも、今度の事故と同系のCH53Dだ。回転翼などからストロンチウム90が検出されている。

◆いま事故機体のストロンチウム90が飛散した現場周辺では、不安が広がる。事故後、現場で消火作業にあたった国頭消防隊員も「被曝したのでは?」と、精神的な不安や緊張にさらされている。
◆現場の西約300メートルの地点3カ所で、放射線調査を実施した矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授は、「1u当たり81ベクレルのベータ線が検出された」という。人体にはほとんど影響がないレベルというが、牧草地の所有者は、これから刈り入れする牧草や飼育している豚50頭の出荷に影響が出ると心配する。

◆沖縄防衛局と県は、現場への立ち入りを申請している。だが<日米地位協定>に阻まれ、日本政府や沖縄県の調査は拒否され、またも泣き寝入りが強いられるのは必定だ。沖縄から基地をなくせ! まさに総選挙の争点、やまとんちゅうの一票が問われている。(2017/10/15)
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2017年10月08日

【今週の風考計】10.8─核廃絶に背を向ける被爆国・日本の悲劇

ICAN、YOUCAN、All Together CAN!─と叫びたくなるほど、反核団体「ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーン」の10年に及ぶ活動に、ノーベル平和賞が授与され、うれしくて嬉しくてたまらない。北朝鮮やイランの核開発が深刻化する今、「核兵器が使われれば人類は破滅的な結末を迎えると注意を喚起し、核兵器禁止条約の実現にむけて、果たしてきた画期的な努力」が高い評価を受けた。広島と長崎への原爆投下から70年以上、いまだに1万5千発の核兵器が世界に存在し、核保有9カ国は廃棄への願いを踏みにじり続けてきた。

今年7月の国連では、加盟193カ国のうち122の国と地域が賛成し、核兵器禁止条約が採択された。その中心的な役割を担ったのがICANだ。唯一の戦争による被爆国日本との関係も深い。日本の被爆者団体と連携しながら、核兵器禁止条約制定に向けたキャンペーンを展開してきた。まさに被爆者とICANの共同受賞といってよい。

だが日本政府はコメントすら出さない。被爆国の政府が、米国の「核の傘」の下にあるという理由で、条約制定の会議や交渉にも参加しない。いまや核廃絶に向けた議論をリードするどころか、被爆者からも各国のNGOからも信用されなくなっている悲劇、それこそ深刻な問題だ。あまつさえ安倍首相は、北朝鮮の脅威を「国難」といいつのり、核ミサイルの廃棄に向けて対話を促すどころか、圧力と制裁ばかりを口にして、自分の政権延命をもくろむ総選挙に血道をあげる。掲げる公約には、「核廃絶」の文字はどこにもない。(2017/10/8)

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