2022年01月23日

【今週の風考計】1.23─直木賞受賞の今村翔吾さんと出版界

いま大型書店に行くと、「直木賞」を受賞した今村翔吾『塞王の楯』(集英社)と米澤穂信『黒牢城』(KADOKAWA)が、うず高く積まれている。町の本屋さんにとっても、『鬼滅の刃』以降、本の売れ行きがパッとしなかっただけに恵みの雨だ。
 筆者も夢中になって読んだ。とりわけ『塞王の楯』は迫力満点。琵琶湖畔・大津城を舞台に、崩れない石垣を作る石工とどんな城でも落とす鉄砲づくりが、職人の意地を賭けて挑む戦国小説だ。
今村翔吾さんは1984年京都府生まれ。2017年デビューから5年足らずのうちに、ノミネート3回で受賞。「受賞の一報に号泣してしまった。しかも憧れの作家、池波正太郎先生と同い年37歳での受賞は感慨深い。これからも面白い小説を届けていく」と、語っている。

37歳の若さとは知らなかった。2020年の直木賞候補作『じんかん』(講談社)も、戦国の梟雄・松永久秀のイメージを覆す圧巻の歴史ドラマだが、そこで叙述される松永久秀の信念、その道を貫き通すには謀反も辞さず、この高邁な精神を織田信長は認めたとして展開する筆の冴えは、もう老大家の域だ。
しかも今村さんは元ダンス講師で、現在は書店経営も行う異色の作家。大阪・箕面駅近くの書店「きのしたブックセンター」の社長である。昨年4月に閉店寸前までいった書店の事業を引き継ぎ、11月にリニューアルオープンした。今村さんは「ここで100年続く書店を目指したい」と語っている。

書店をめぐる状況は深刻だ。ネットで本を買う人が増えたため、町の本屋さんに行く人が激減している。全国の書店数は2001年に2万1千店あった書店が2020年には1万1024店と半減した。
 本屋さんに来てもらおうと、店頭でイベントを開催したり陳列を工夫したり、懸命な努力が続いている。また取次からのパターン配本でなく、自らの選択による本揃えで営む「独立系書店」も増え、それぞれ健闘している。
その一つが、<Readin' Writin' BOOK STORE>(リーディン・ライティン・ブックストア)だ。2017年4月にオープンした。東京・台東区寿2丁目4−7にある。店主兼従業員の落合博さんは、1958年甲府市生まれ。毎日新聞社での論説委員(スポーツ・体育担当)を最後に退社し本屋を開業。
 昨年9月中旬、『新聞記者、本屋になる』(光文社新書)を出版した。「定年目前58歳、子どもは3歳、書店員経験0からの本屋開業記!」という帯の効果もあって、すぐに重版となった。また本屋を続けていくには「低く、長く、遠く」をモットーにしているという。

何も書店だけではない。小さな出版社も同じだ。永江朗『小さな出版社のつづけ方』(猿江商會)が、10社11人へのロングインタビューから、外からは覗い知れない「小さな出版社」の内幕に迫っていて参考になる。(2022/1/23)
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2022年01月16日

【今週の風考計】1.16─「EABO」で南西諸島にもくろむ危ない日米の軍事計画

通常国会が明日17日から始まる。会期は6月15日までの150日間。コロナ変異株「オミクロン」の急拡大に、どう対応するのか論戦となる。
 政府・与党は7月10日投票の参院選をにらみ、野党の反発が強い法案は見送り、61本に絞り込んで22年度予算の早期成立を目指し、実績づくりに躍起だ。

さらに沖縄は秋まで連続する県・市の首長選挙や議会選挙など、「選挙イヤー」を迎える。その初戦となる名護市長選が16日告示され23日投票に向けて闘われる。
 与党が推薦し辺野古の米軍新基地建設を容認する現職の渡具知武豊氏と玉城デニー知事が支援し辺野古新基地建設に反対する岸本ようへい氏による一騎打ちの「天王山」の戦いとなる。
とりわけ在沖米軍基地内のコロナ感染者が急拡大し、累計6700人(1/13現在)を超える。辺野古の米軍新基地建設への怒りや疑問のみならず、「日米地位協定」の改定を求める声が噴出するのは当然だ。

政府は、ここにきて露骨な「アメと鞭」を使い分けた交付金の支給操作を繰り広げている。たとえば沖縄振興予算を前年度より約300億円も削り、10年ぶりに3千億円を下回る露骨な「玉城県政」ツブシを仕掛ける。これも9月末の沖縄県知事選挙を視野に入れての、汚い対応に他ならない。
過去にも、2010年の名護市長選で、辺野古への基地移設に反対する稲嶺進氏が当選すると、交付金の支給を止めている。そして4年ほど前の2018年4月、辺野古基地建設を容認する現職の市長が当選するや、米軍再編交付金2年分まとめて約30億円を支給した。
 以降、毎年15億円に近い交付金が支給されている。ここまで沖縄を愚弄した「金で面をひっぱたく」差別を続けるとは、怒りも極まる。

沖縄県や名護市だけではない。南西諸島に連なる鹿児島県・馬毛島や沖縄県・石垣市にも及ぶ。
 種子島の西12キロにある約8平方キロの無人島・馬毛島に、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を移す計画および自衛隊基地整備に伴い、防衛省が米軍再編交付金を支給する計画だ。「アメと鞭」の交付金支給を餌に、反対する現在の西之表市長に受け入れを迫る。
 石垣市でも、昨年6月、平得大俣に陸上自衛隊のミサイル基地建設の容認への報償として、防衛予算からゴミ焼却施設の改修費用が支給されている。

台湾有事を視野に、日米両国は鹿児島県の大隅諸島から沖縄県の先島諸島へと連なる南西諸島に軍事網を広げるため、自衛隊と米軍の基地増強・一体化を図る「遠征前進基地作戦」(EABO)の具体化が急速に進んでいる。
 石垣島へ陸自の地対艦・地対空ミサイル両部隊を配備するだけでなく、奄美大島や宮古島にも地対艦ミサイル部隊を置く動きが強まる。今や南西諸島が米中の軍事衝突の最前線、戦場になる危険が迫っている。(2022/1/16)
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2022年01月09日

【今週の風考計】1.9─コロナ「第6波」と米軍基地そして日米地位協定

★コロナ感染拡大は「第6波」に突入した。今日から沖縄・山口・広島の3県に、「まん延防止・重点措置」が、31日まで適用される。
 沖縄県では6日の1日だけで、コロナ新規感染者が981人。昨年12月12日〜18日の1週間を累計した新規感染者は27人、この数字を見ても急拡大の恐ろしさは桁はずれだ。
★沖縄にある米軍基地で発生した昨年12月末のクラスター(感染者集団)は、1月6日現在、合計4027人に達した。米国でクリスマスを過ごし、沖縄の9基地に帰ってきた海兵隊員は、PCR検査もないまま、マスクもつけず基地外に出て飲食を続けてきた。
 沖縄県民の新規感染も、この米軍基地からの「染み出し」感染によるとみられ、基地周辺の住民からは怒りの声が噴出している。

★この事態は、沖縄だけでなく日本全国の米軍基地周辺で広がる。6日までの米軍基地内の感染者は、山口県・岩国基地で529人、静岡県・御殿場の「キャンプ富士」46人。神奈川県の横須賀基地213人、東京都・横田基地85人、青森県・三沢基地133人、ここからの「染み出し」感染が、「第6波」に拍車をかけている。
★これまで米兵や軍関係者には、日本での検疫が免除されていた。まさに「穴の開いたバケツ」状態で入国し、在日米軍基地に着任していたのだ。
 昨年末になってやっと、日本政府の申し入れにより、米軍は日本到着後24時間以内のPCR検査を実施するようになった。

★こうした事態を招いたのも「日米地位協定」があるからだ。在日米軍に対しては、日本の国内法が適用されず、警察の捜査や裁判権が及ばない特権を保障している。1960年に制定されたまま、以来62年間、改定されていない。
 米軍は世界中の80カ国に800カ所を超える軍事基地を持つが、ドイツ・イタリア・ベルギー・イギリスなどの国々は、米軍基地に対して国内法を適用させている。日本だけが唯一、国内法の適用外とは、あまりにも日本の主権を疎かにしてはいないか。
★いまから18年前、日本の全国市長会が<日米地位協定の見直しに関する要望書>を国へ提出している。沖縄県もドイツやイタリアに調査団を派遣し、「日米地位協定」の不平等性を告発し、見直しを強く求めている。

★「日米地位協定」に基づき設置されている日米合同委員会もクセモノだ。日米幹部が米軍や基地の具体的な運用を図るため、実務者協議を隔週で行っている。
 そこでの合意事項は日米双方に拘束力をもつが、協議の内容は非公開、国会への報告義務もない。国民の知らない密約が数多く結ばれているといわれる。
★まさに「日米地位協定が憲法の上にあって、日米合同委員会が国会の上にある」のが実態だ。その実態を、吉田敏浩『追跡! 謎の日米合同委員会』(毎日新聞出版)が、明らかにしている。とりわけ本書の第5章で、<新型コロナと検疫と日米合同委員会の合意と米軍特権>を詳述していて参考になる。(2022/1/9)
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2022年01月02日

【今週の風考計】1.2─年初に起きた歴史的事件から今を考える大切さ

あけましておめでとうございます。4日から開催の第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議が、コロナ感染拡大で延期される。
 核保有国も含め191カ国・地域が加盟し、「核兵器のない世界」の早期実現に向け、具体的な行動へ踏み出す重要な会議が、7年近く開かれていない。残念でならない。
昨年1月22日、核兵器禁止条約に51カ国・地域が批准し発効した。その後、署名・批准は加速し、昨年12月15日までに計144カ国・地域に及んでいる。唯一の戦争被爆国である日本が、いまだに核保有国への「橋渡し役」や「核の傘」論を振り回し、署名も批准もしていないのは腹立たしい限りだ。

さて新年となれば<温故知新>、日本や世界が歩んできた歴史が気になる。手もとにある年表やクロニクルから、90年前にさかのぼり10年ごとに下りつつ辿ってみる。
 まず日本を見てみよう。
1932年1月3日:関東軍、錦州(中国東北部)占領─前年の柳条湖事件デッチ挙げ以降、ハルピンなど満洲の主要都市を占領し、溥儀を擁立して傀儡国家・満州国を強引に建国。さらに軍部の暴走は5・15事件、国際連盟からの脱退へと突っ走る。
1942年1月2日:日本軍、フィリピン・マニラ占領─前年の12・8真珠湾攻撃による日米開戦と同時に、日本軍はフィリピン上陸作戦を始め、年が明けるやマニラを占領。捕虜兵に強いた「バターン死の行進」で約1万人が死亡。また日本軍はフィリピン女性を「慰安婦」に強制動員し、その数は千人を超える。

 次に世界を見てみよう。
1952年1月4日:イギリス軍、エジプトのスエズ運河を封鎖─エジプト政府は、第二次世界大戦後も居すわるイギリス軍の撤退を要求。国民の間でも反イギリス行動が拡大。イギリス軍は住民デモへの発砲やスエズ運河封鎖、施設占領などの強行策に出る。
 その後、国王による妥協策で事態は収拾したが、民衆運動の高揚はエジプトの社会・経済体制の矛盾を浮き彫りにし、6カ月後にはナセルが率いる「エジプト革命」へと発展する。
1962年1月1日:南ベトナム人民革命党の結成─米軍と闘う南ベトナム民族解放戦線の中核となる。ベトナム戦争が激しくなる68年のテト攻勢で、米軍とサイゴン政権軍に大打撃を与え、翌年6月には臨時革命政府樹立への道を開いた。

 最後に50年前の日本に戻ろう。
1972年1月6日:佐藤・ニクソン会談、沖縄返還5月15日決定─3日前の「日米繊維協定」で、日本は米国から大幅な譲歩を強いられ、「糸(繊維)を売って縄(沖縄)を買う」とまで言われる。しかも沖縄返還に際し「核抜き本土並み」はタテマエ、「沖縄への核持ち込み密約」まで押しつけられるに至った。
沖縄の人々が本土復帰に込めた願いは、日本国憲法の下での基本的人権の保障と「基地のない平和な島」の実現だった。
 だが今もって日米両政府は「本土」にある米軍施設面積の7割を沖縄へ押しつけ、さらに県民の民意すら足蹴にして、辺野古に米軍新基地建設を強行する。どこまで沖縄を苦しめれば気が済むのか。新年に際し新たな怒りがわく。(2022/1/2)
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2021年12月26日

【今週の風考計】12.26─ソ連崩壊30年と「大祖国戦争」への想い

ソ連が崩壊して30年。1991年12月25日、69年間続いたソ連が解体した。そのきっかけの大きな一つはチェルノブイリ原発事故にある。1986年4月26日に起きた未曾有の大惨事が、あまりにもひどい情報統制によって、その実態が国民から隠され、政権への大きな怒りへと爆発した。
ゴルバチョフら新指導部は、「情報の公開・言論の自由」を保障するグラスノスチを進めつつ、さらなる根本的な改革・ペレストロイカの必要性を痛感し、秋には知識人や勤労者に向けて大胆に立ち上がるよう呼びかけた。
 1988年末には大統領制を導入し、共産党の一党支配を廃止した。米ソ間の冷戦も終結し、1991年7月には戦略兵器削減条約(START)も調印され、世界の緊張緩和が一段と進んだ。
その結果、ソビエト連邦が解体され、緩やかな国家同盟を形成するロシア連邦が成立したのだ。一党独裁を明確に否定した上で自由選挙を行う共和制多党制国家となった。
 ソビエト連邦のゴルバチョフ大統領は辞任し、これまでの国旗「鎌と鎚の赤旗」に代わって、ロシア連邦の「白・青・赤の三色旗」の国旗がクレムリンに揚げられた。

いまロシアはどうなっているか。2000年に就任したプーチン大統領は、ソ連崩壊後の混乱を収束させ、ロシアを再興に導いたと自信満々。チェチェン共和国の独立紛争も、欧米諸国が企てたロシア解体策動であり、その紛争も終結させロシア解体を防いだと自負する。
 だがプーチン大統領は、国内では政敵への弾圧、独立系メディアへの規制など、強権的な政治姿勢を強め国民との対立が激しくなっている。
国際的にもロシアがウクライナ南部クリミアを強制的に編入し、欧米からの強い非難や制裁を呼んでいる。さらにロシアは、NATOが進めるウクライナでの軍事活動への対抗措置を言い分に、国境へロシア軍を集結させ緊張を高めている。

もともとプーチン大統領は、ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的悲劇」と呼び、「千年以上かけて獲得した領土の4割を失った」と憤慨している。
 現にロシア国民の間では約6割が、「ソ連崩壊を後悔している」と答えている。高齢者では、さらに強まる。いまから80年前、ナチ・ドイツと闘い祖国を守った「大祖国戦争」がよみがえるのだろう。特に1942年6月から8カ月に及ぶスターリングラード攻防戦≠ヨの想いは格別だ。

その想いを私たち日本人が理解するに絶好の新刊本がある。逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』(ハヤカワ書房)だ。舞台は「大祖国戦争」、主人公はソビエト赤軍の女性狙撃兵18歳。ある日、モスクワ近郊の農村がナチスに襲撃され、彼女一人だけ生き残った。
母や村人を殺したナチスに復讐するため、狙撃兵としての特訓を受け、スターリングラード攻防戦≠フ最前線に出ていく。だが戦いの中で、兵士による女性への性暴力、生死をさまよう戦場の地獄を目の当たりにする。
 そんな女性狙撃兵が、地獄巡りの果てに辿りついた先は何か。
 手に汗握るサスペンス、年末年始の休みに、ぜひ読んでほしい。(2021/12/26)
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2021年12月19日

【今週の風考計】12.19─「森友公文書改ざん」裁判に対する卑劣な仕打ち

森友公文書改ざん問題で自死に追い込まれた赤木俊夫さんの国家賠償請求訴訟で、国は急に「認諾」へと舵を切り、1億700万円の賠償金を支払うことで真相究明にフタをした。
 この訴訟裁判は、公文書改ざんの真相を解明するためで、賠償金を目的にしたものではない。1億円以上という高額請求にしたのも、国が裁判での審議を避け「認諾」へ逃げようとするのを防ぐためだった。
妻の赤木雅子さんは、「ふざけるなと思いました。夫は国に殺されて、また何度となく殺されてきましたけど、きょうもまた打ちのめされてしまいました」
 「お金を払えば済む問題じゃないです。私は夫がなぜ死んだのか、何で死ななければならないのか知りたい。そのための裁判でしたので、ふざけんなって思います」と、怒りの声を挙げている。

はっきり言って岸田政権は、安倍晋三・元首相と妻が絡んだ森友問題の「不都合な事実」が暴露されるのを恐れ、「真相」を闇に葬り、安倍夫妻を守ったことに他ならない。こんな卑劣なやり方が、許されていいのか。
 しかも賠償金というが、安倍元首相のみならず、関係した閣僚や官僚は一銭も払わず、1億を超える金額は国民の税金で支払うのだから、開いた口がふさがらない。
 「赤木ファイル」の開示や第三者による再調査は拒否され、いまだに安倍元首相は、改ざんへ至った責任についてはシラを切り、赤木俊夫さん・雅子さんの人権を冒涜し続けてきている。 
だが諦めてはならない。国賠訴訟は終わっても、まだ佐川元理財局長との裁判が残っている。国会も真相解明に力を尽くせ。ましてや野党は、安倍政権時代の「公文書改ざん」を徹底追及し、「第三者による再調査」の実現にむけて全力を挙げるべきだ。

さらに国土交通省が、国の基幹統計の一つである「建設工事受注動態統計」のデータを書き換え、二重計上していた不正問題も、GDPの数値につながる重要統計だけに極めて深刻だ。
 第2次安倍政権下の2013年以降、国交省の官僚自らがデータを改ざん、さらに数値を二重計上までするという、トンデモナイ不正を今年3月まで8年間も続けていたというから驚きだ。
 これも「アベノミクス」の成果を誇るため、GDPを大幅にかさ上げさせる改ざん、すなわち“アベノミクス偽装”ではないかと言われている。

約8年の安倍政権下で繰り広げられた政治の「闇」は深い。<桜を見る会>参加者名簿の廃棄、自衛隊イラク派遣の日程改ざん、2018年末の厚労省「勤労統計」データ偽装など、続発した。
 ここへきて国交省の「建設工事受注統計」データの改ざんまで加わった。さらに国会での<桜を見る会>虚偽答弁は118回にも及び、野党の要求にも関わらず国会を開かす、予算委員会を開けばヤジで応酬するなど、政治の私物化は極まった。
その背景には、<なんでも官邸団>と揶揄されるほど、「一強政治」「官邸支配」がはびこり、安倍元首相への忖度あるいは「アベノミクス」への迎合・配慮が、各省官庁内に陰に陽に働いていたからではないか。
 再度言いたい。野党は「提案型」などと言っている場合ではない。国会で厳しく「真相」を追究し、「迎合・忖度政治」を廃絶しなければダメだ。(2021/12/19)
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2021年12月12日

【今週の風考計】12.12─ノーベル平和賞の2人と「民主主義サミット」と岸田首相

★2021年のノーベル平和賞は2人のジャーナリストに与えられた。一人はフィリッピンのマリア・レッサ女史。彼女はネットメディア「ラップラー」の代表を兼ね、強権的なドゥテルテ政権と闘いながら、取材活動を継続してきた。
★ドゥテルテ大統領が進める過激な「麻薬の取り締まり」は、2016年からの3年間だけで1万2千人から3万人を殺害したと指摘され、<人道に対する罪>への国民的な抗議に発展している。
 さらに民間放送への介入・免許停止などに対し、報道の自由を求めるデモが起きている。こうした状況を綿密に報道している彼女への、弾圧も激しくなっている。

★もう一人は、ロシアのドミトリー・ムラトフ氏。彼は独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」の編集長で、プーチン政権と対峙し、政府高官の汚職、国家権力による弾圧や人権侵害を告発し闘ってきた。
 いまプーチン大統領は、約90の独立系メディアと記者を、スパイ認定扱いにする「外国の代理人」に指定し、当局の監視を強めている。そのためスポンサーが離れ、経営難に陥り、閉鎖に追いやられる事態が相次いでいる。

★10日、オスロで開催の授賞式で、二人は「言論の自由」「報道の自由」が脅かされる現状を訴え、決意を表明した。
 レッサ女史は、「いつ自分も拘束されるかわからない脅威にさらされているものの、ジャーナリスト活動はリスクを負うだけの価値ある仕事だ。とりわけSNSメディアでは、事実よりも怒りや憎しみが込められたウソが早く広がりやすい。事実なしには真理に迫れないし、真理なしには信頼は得られない。信頼がなければ民主主義もない」と、訴えた。

★一方、ムラトフ氏は「ロシアではジャーナリズムが暗黒の時代を迎えている。メディアや人権団体などが人民の敵と位置づけられ、ジャーナリストが命を奪われたりしている。我々の使命は事実とウソを区別することだ」と述べ、権力の不正を追及して命を落としたジャーナリストたちに黙とうを捧げた。

★図らずも9日から10日にかけて、「民主主義サミット」が開催されていた。米国バイデン大統領の呼びかけで、110の国や地域の首脳が集まり、中国やロシアなどの専制主義国家から民主主義を守る意義を強調した。
 だが米国はどうか、トランプ前大統領の言動や郵便投票の制限など、「民主主義が後退している国」に挙がっている。中国も、にわかに「民主」を叫ぶが、テニス女子選手への対応や新疆ウイグル族への弾圧など、誇れる状況ではない。
★岸田首相も「民主主義サミット」で演説し、「自由が抑圧され人権がじゅうりんされる状況が今もなお続いている」と、「有志国が一致してワンボイスで臨んでいかなければならない」と述べた。
 ちょっと待てよ、わが国内はどうか。森友問題で自死した赤木さんの人権は守られたのか、日本の入管で起きたウイシュマさんの死はどうか、さらには学術会議の任命拒否された6人の人権はどうか、まずもって自らが率いる国の現状を変えることから始めよ。(2021/12/12)
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2021年12月05日

【今週の風考計】12.5─いま甦るシンガーソングライター・西岡恭蔵の息吹

これこそページターナー、一気読みした。中部博『プカプカ 西岡恭蔵伝』(小学館)である。448ページもある厚い本を、右親指で押さえつつ、ページをめくってきたせいか、その夜、右手首の筋肉が痛むほどだった。
 フォーク&ポップスが全盛をきわめた1970年代、熱い声援を受けた三重・英虞湾出身のシンガーソングライター・西岡恭蔵の全体像に迫った本格的な初の評伝だ。まさに知られざる生涯が明かされていくにつれ、驚くことしばしば。

書名は、彼が1971年に作曲し、50年たってもすたれない彼の代表曲「プカプカ」からきている。タバコ好きで、いつもプカプカ吸っている奔放な「俺のあん娘」に思いを寄せる男の心情を歌った名曲である。
 だがファンの間では「俺のあん娘」は誰か、モデルをめぐる“謎”が広がっていたそうだ。それを著者は綿密な踏査と取材で解きほぐす。歌詞のサブタイトルにつけた「赤い屋根の女の子」から、謎を解く叙述には説得力がある。
その後、おしかけて来た大柄な田中安希子(KURO)と結婚する。以降、伴侶の作詞家KUROとして、まさに二人三脚でニューヨークやカリブ海、モロッコなど世界中を旅し、名曲を生み出していく。やがて矢沢永吉への歌詞の提供は、KUROとの共同作業になる。
 ところがKUROに乳がんが見つかり、懸命な闘病もかなわず、1997年4月4日46歳で亡くなってしまう。その三回忌が迫るなか、西岡恭蔵もまた、1999年4月3日に世を去ることになった。享年50。

本書は「西岡恭蔵伝」であると同時に、その妻&作詞家だったKUROとの夫婦の物語≠ナもある。いや西岡恭蔵と著者・中部博が共同して紡ぎあげた、KUROに捧げる鎮魂歌でもある。その感動が今も胸に迫ってくる。本書のすばらしさだ。
いま彼のCD「ハーフムーンにラブコラージュ」やCD「西岡恭蔵 ゴールデン☆ベスト」を聴いている。本書を読んだだけに、曲の成り立ちやメロディの受け止めも新鮮に、彼の澄んだ歌声やアコースティック・ギターの音が響いてくる。
 なかでも「サーカスにはピエロが」や「KUROのサンバ」「GOOD NIGHT」「3時の子守歌」がいい。

1970年代といえば、フォークソングがキャンパスや駅ターミナルなどで歌われ、1973年には、南こうせつとかぐや姫が歌った「神田川」が、ミリオンセラーとなった。その作詞家・喜多條忠さんが11月22日、肺がんのため死去した。享年74。
 文化放送で放送作家をしていた喜多條忠さんは、南こうせつから作詞を依頼され、自身の学生時代の下宿体験をヒントに、東京・新宿小滝橋近くの神田川や早稲田界隈の銭湯を作詞にし、電話で読み上げると、すぐに「神田川」の名曲が出来上がったという。
 その後「四畳半フォーク」といわれ、私的な生活や個人の心情を歌う曲が流行していった。そしていま、「フォーク」そのものが、どこへ行っちゃったのか?(2021/12/5)
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2021年11月28日

【今週の風考計】11.28─冬の「オリオン座」から「ランニングマン星雲」へ

日の暮れるのが早い。所用で出かけた帰り道、寒風が吹く冬の夜空を見上げれば、オリオン座がひときわ明るく目に入る。
 その巨人オリオンのベルトあたりに並ぶ三ツ星を軸に、肩のあたりにベテルギウス、左足にはリゲルが輝く。そのベテルギウスとおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んだ「冬の大三角」が、大きく頭上を覆う。
オリオン座流星群が、東の空を飛び交ったのは10月22日〜23日。ハレー彗星が軌道上でまき散らしたチリの帯に、地球が近づいたため、そのチリが地球の上空100km前後で発光して、オリオン座流星群となる。早いもので、もう1カ月になる。

足を止めて、よくよくオリオン座を見ると、巨人オリオンのベルトあたりに並ぶ三つ星のすぐ南に、小さくタテに3つ並ぶ星列がある。そのあたりがモヤモヤした雲みたいなベールがかかっている。いつも気なっていた。
 改めて調べてみると、この星列を「小三ツ星」というそうだ。しかも真ん中のものは星ではなく、鳥が翼を広げたような形の「オリオン座大星雲」と呼ばれ、全体が淡いピンク色をおび、天体望遠鏡で見れば目のさめるような美しさだという。地球からおよそ1500光年先にある。
「オリオン座大星雲」のすぐ隣に、いま注目されている「ランニングマン星雲」があると分かった。星雲の暗い部分の形が、走る人物の姿にも見えることから名づけられている。
 この「ランニングマン」の姿は、電離した水素原子が発する赤い輝きによって描き出され、その周辺は青っぽい恒星の光を反射するガスに覆われているそうだ。

だが「ランニングマン星雲」は、まだまだ解明されていない問題が多い。
 先日、米航空宇宙局(NASA)が、「ランニングマン星雲」から、高温のガスを噴き出しながら、周囲にあるガスと塵の雲に秒速数百kmもの速度で衝突し、明るい衝撃波を生み出す様子をとらえた画像を公開した。
視野全体に漂う雲の中央付近から右上と左下に向かって、間欠的に噴き出すジェットのような構造が写っている。これが生まれて間もない若い“ハービッグ・ハロー天体”だといわれる。
 天文学には知識のない筆者にとっては、星や天体の生まれる経緯が、この映像などを通して、さらに解明されていくことを願うばかりだ。

肉眼で見える「オリオン座」に戻ろう。今日28日の夜明け前、年内最後の「オリオン座流星群」が見られたのだが、寝坊の筆者には無理。
 残されるのは「ふたご座流星群」。「オリオン座」の左に、同じ明るさの星カストルとポルックスが2つ並んでいる。それが「ふたご座」。12月14日ごろを中心に夜半過ぎまで、月から離れた方向を広く見渡せば、たくさんの流れ星が飛ぶという。(2021/11/28)
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2021年11月21日

【今週の風考計】11.21─「ヤマサクラ81」と「オリエント・シールド21」

◆季節外れだが、優しい名前のつく「ヤマサクラ81」が始まる。実はこれ、過去最大規模の日米共同軍事演習の別称なのだ。兵庫県伊丹市の陸上自衛隊・伊丹駐屯地に、臨時に大規模な施設を設置し、12月中旬まで行われる。
 在日米陸軍のシンボルである富士山の「山」と、陸上自衛隊のシンボルである「桜」を合わせて付けたもので、1982年から始まり、年2回、実施されている。
◆すでに今年は2月7日から15日まで、熊本市にある陸上自衛隊の健軍駐屯地で、離島防衛をテーマに「ヤマサクラ」図上演習が実施されている。陸自から約4千人、米側から約千人が参加した。

◆「ヤマサクラ」は、実践的な<戦争ゲーム>を通して、現場の指揮官クラスの状況判断や指揮の力量を向上させ、司令官レベルでの自衛隊・米軍の統合的指揮・統制力を高めることを狙いとした大規模な軍事演習だ。
◆伊丹駐屯地で始まる「ヤマサクラ81」は、陸自の各方面隊と米陸軍の司令部が、対中国を視野に、日本を拠点とする軍事戦略を日米共同して練り上げる。
 10月4日の米英3空母も参加した台湾周辺での6カ国演習に続き、30年ぶりの全陸自部隊が参加する史上最大の演習になる。
◆すでに伊丹駐屯地では、「指揮所に使用する建物と配電設備の建築・レンタル・解体業者を、東京・横田基地の米空軍第374契約中隊が募集。大阪府内の建設業者が9月21日に約1億6700万円で受注」(赤旗11/5付け)と、報じられている。

◆さらに北海道では、陸上自衛隊・矢臼別演習場など5カ所で、初めて米軍オスプレイとの日米共同軍事訓練が、12月5日から17日まで行われる。とりわけ酪農家たちの間では、オスプレイの騒音で乳牛がパニックに陥るのではないかと、不安が広がっている。
 それも当然、6月末には矢臼別演習場で、米陸軍と共同して国内初のロケット砲・実射戦闘訓練「オリエント・シールド21」が行われ、その砲声にびっくりしたばかりだ。
◆「オリエント・シールド21」なるもの、<東洋の盾>とのことだが、これまた陸上自衛隊と米陸軍が共同で実施する、対中国を視野に入れた戦争実動訓練の別称だ。今年は6月18日〜7月11日の期間、奄美駐屯地、伊丹駐屯地、矢臼別演習場など、7カ所で実施された。
 奄美駐屯地では、米陸軍ペトリオット部隊が奄美大島に初展開し、陸上自衛隊の中距離地対空ミサイルを活用しての共同対空戦闘訓練に取り組んだ。陸自から約1400人、米軍から約1600人、合わせて約3000人が参加。

◆政府は「沖縄の基地負担の軽減」を理由に、これら本土各地での日米共同演習を正当化している。しかし実態は、まさに北海道から奄美・沖縄まで日本列島を覆う、日米共同軍事ネットワークを完成させ、日本全体を日米共同管理の軍事基地化へ地ならしをしているのだ。
◆いわゆる「沖縄の基地を本土に引き取る」論があるが、その是非以前に、本土そのものが沖縄化している実態は、見過ごすわけにはいかない。(2011/11/21)
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2021年11月14日

【今週の風考計】11.14─郊外の庭・散歩道・畑にあふれる自然の豊かな実り

庭のセンリョウが色づいた。薄みどり色の葉の上で、鮮やかな橙色の実がこぼれそうだ。赤や黄色の実をつけるセンリョウも、それぞれ見事に輝いている。
 一方、マンリョウは葉の下に赤い実をつける。まだ色づくには早い。どうしたことか野鳥たちがついばむのはセンリョウの実だ。木の下の地面についばみ残した実が、いっぱいこぼれ落ちている。
シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、ムクドリ、スズメなど、庭のヤマモモやボウガシの枝に据えたエサ台めがけて飛んでくる。それはうれしいが、鮮やかな色で庭を明るくしてくれているセンリョウの実をついばむのは、勘弁してほしい。ネットで覆って守ることにした。

そういえば、近くのそば屋のピラカンサス、出入り口の植垣にあるのだが、びっしり赤い実をつけている。たしか昨年は実をつけなかったが、今年はこぼれるほどだ。
 枝の棘をかいくぐって野鳥たちが実をついばむのは、実に含まれる毒が消える冬に入ってからだという。ネットを懸けるのも12月に入ってからだろう。
庭のサザンカも白い花を広げる。ツバキの赤も目に鮮やかだ。今年は異常気象のせいか、サザンカにチャドクガがはびこり、この夏は苦しめられた。
 4〜5日ほど目を離すと、小さな毛虫が葉の下に群生し、繊毛を動かしている。あっという間に葉が食べつくされる。すぐに軍手をはめ殺虫剤オルトランを吹きつける。
 それでも完全には退治できない。毛虫のついた葉を見つけたら、枝ごと切って袋に落とし込み、封をしてゴミ処理するのが一番だ。

さて晴天続きの日々、散歩に出ると道の垣根越しに黄色いミカンが目に入る。そこの住人は、いつミカンをもぐのだろう。酸っぱいのかな、気になってしょうがない。青緑色したミカンもある。これは近くまで行かないと見落としてしまう。もう柿をもいで皮をむき、軒に吊るす家もある。
鯉が泳ぐ野火止用水沿いの道を行けば、色づくカエデやモミジが頭上を覆う。対岸の樹木を見れば、真っ赤に色づいたカラスウリが、かわいい提灯のように、間隔をあけてぶら下がっている。

さらに足を延ばすと、畑に出た。白菜や里芋が植わっている。そこで作業していた小父さんによれば「今年は里芋が豊作でね。夏場に雨がたんと降ってくれたからねー」と言う。
 里芋を一株抜いて、その根っこに里芋がいっぱい着いているのを見せてくれる。けんちん汁やイカと里芋を炊いた煮物を思い出しヨダレが出る。
 空を見上げるとイワシ雲、穏やかな秋晴れの半日を楽しみながら、気候変動・COP26の議論や動きに思いが走る。(2021/11/14)
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2021年11月07日

【今週の風考計】11.7─2021年11月11日=その前後を巡る我が思い

総選挙がすんで1週間。「野党共闘は失敗」キャンペーンに始まり、「3議席増やして有頂天、維新にすりより、与党化に奔る」野党まで出てきた。
 10日には特別国会が召集される。首相指名、両院の正・副議長が決まる。

11日は世界平和記念日。第一次世界大戦が終結した、1918年11月11日を記念する日。もう103年前の戦争だから、その悲惨な実態は、欧米では別としても、日本ではほとんど知られていない。第1次世界大戦で初めて使用した毒ガスによる死者は約10万人に上った。
ドイツの作家・レマルクが著わした、もう古典といってよい『西部戦線異状なし』(新潮文庫)、そこに描かれるリアルな姿が胸を打つ。是非読んでほしい。同名のビデオもある。
新しい本では、フランスのミステリ作家・ルメートル『天国でまた会おう』(ハヤカワ・ミステリ文庫)も、おすすめだ。戦線の膠着で塹壕にこもった兵士が顔に重傷を負い、帰還兵としてパリに戻り、奇想天外な企てに挑む展開にハラハラドキドキ。

11月11日は、いま脚光を浴びている実業家・渋沢栄一(1840〜1931)の没後90年。さらに語呂がいいのか、数多くの記念日が集中する。ある調べによると、61もの記念日があるという。いくつか拾ってみると、
 鮭の日─鮭という漢字のつくりの部分(圭)を分解すると「十一十一」になるから。
 磁気の日─プラス(+)磁気とマイナス(−)磁気が十一に見えるから。
 立ち飲みの日─11と11の形が、「角打ち」で4人が立ち飲みをしているように見えるから。
 下駄の日─下駄の跡が<11 11>に見えることから。
 いささかこじつけとも思えるが、まあ良しとするか。ともあれ恐るべし11月11日。
西暦年標記を加えれば、1が5つ並ぶのは10年ごと、6つ並ぶのは100年ごと、7つ並ぶのは1000年ごとになる。最初になるのは、今から90年後の2111年11月11日だ。

さてもう1度、国会へ戻ろう。12日には第2次岸田内閣がスタートする。さっそく公明党のゴリ押しで、コロナ経済対策と称して、18歳以下の子どもに10万円の現金をバラマキ給付する案の検討に入った。
 つい先日、会計検査院がコロナ対策事業の中で、「アベノマスク保管に6億円」「Go To事業の不正利用」「持続化給付金の不透明な業務委託770億円の使途」「雇用調整助成金の不正受給」など、ズサンな執行に警告を発した。国費の無駄遣いは2108億円に上る。
その反省や検証も抜きにして、あまつさえ財政健全化の議論もそっちのけで、またまた大盤振る舞いの財政出動を図る。それも日銀と二人三脚で、国債の増発に拍車をかけ財政赤字を積み重ねて平気の平左。その<わが亡き後に洪水よ来たれ>の神経や恐るべし。
 軍事費倍増、憲法改悪etc.…これに同調する勢力が衆議院で3分の2以上を占めるようになった。本当に恐るべし! 要注意、要注意!(2021/11/7)
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2021年10月31日

【今週の風考計】10.31─原則「防衛費はGDP比1%以内」を壊す倍増化の妄動!

この11月5日、98歳になる作家の佐藤愛子さん、『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』(小学館)が面白い。私たちもまた、<選挙戦すんで10月終えて>─家計や商売のやりくり、<戦いやまず日は暮れず>の猛烈な日々が続く。愛子センセイの怒りにシンクロして、めげずに立ち向かおう。

まずガソリンの高騰が直撃する。レギュラーガソリンの店頭価格が、全国平均1リットル167.3円、8週連続で値上がり。長崎県の五島列島・福江島では1リットル185円だ。
 経済活動の再開で原油需要が増えるのに、中東・ロシアなどの主要産油国が、増産ペースを抑えているため、世界の原油価格が値上がりし、約7年ぶりに1バレル=85ドル台をつけた。年内に1バレル=100ドルに達するとも言われている。
 暖房用灯油の値上がりも続く。18リットルあたり1910円、前週より50円高い。これも7年ぶり。

ガソリンや灯油だけじゃない! 火力発電の燃料に使う石炭や液化天然ガスの輸入価格が上昇したのを理由に、11月の電気・ガス料金が、3カ月連続してアップする。
 鉄骨などに使われる鋼材も上昇、マンションも最高値が付く。一都三県では、新築マンション1戸当たりの平均価格が6702万円と高嶺の花。
気候変動がもたらす地球環境の悪化は、さまざまな分野に影響をもたらしている。小麦類も不作で19%値上げ。パンやパスタ・うどん、ケーキ類の値段も上がる。コーヒーや大豆油も追随する。
 北海道に赤潮・沖縄に軽石で、漁業に甚大な被害が出ている。サンマとサケは記録的な不漁。サケの切り身(100g)が270円(10%アップ)。野菜・果物類も1割ほど高くなる。

こうした家計への影響を、どう緩和するのか。岸田政権は本当に「聞く耳」を持っているのか、真価が問われる。
 経済対策を盛り込む補正予算を組んでも、追加の財政支出が効果を発揮するのは、どんなに早くても来年2月以降になる。
2022年度予算案も年内編成を目指すという。中国の戦力増強・北朝鮮からの脅威を理由に、総選挙で掲げた「敵基地へのミサイル攻撃能力の開発、防衛費をGDP比 2%に倍増する軍備増強」の行き着く先がどうなるか、不安は増すばかり。

日本の2021年度防衛費は5兆3422億円、7年連続で過去最大を更新した。新型ミサイルや次期戦闘機の開発を強化し、自衛隊の指揮通信システムを守る「サイバー防衛隊」も新設される。さらに極超音速(ハイパーソニック)兵器の開発・研究費として90億円が計上されている。
今から45年前の1976年11月5日、三木武夫内閣で「防衛費は国民総生産(GNP)比1%を超えない」と閣議決定した。以来、日本の歴代内閣は、防衛費を国内総生産(GDP)比で、ほぼ1%以内に収めてきた。
 2020年のGDPは538.7兆円、2021年度の防衛費もギリギリ1%を守ってきた。この原則を、岸田政権はぶち壊すのか。倍増の10兆6800億円の軍事費など、トンデモナイ。絶対に許してはならない。(2021/10/31)
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2021年10月24日

【今週の風考計】10.24─本当にコロナ感染拡大は治まったのか、油断大敵!

飲食店の短縮営業が、25日から全面解除! 酒の提供制限・夜8時も撤廃。11月に入れば「Go To イート」食事券の利用まで再開する。
 観光業界が手ぐすね引いて待つ「Go Toトラベル」も、装いを新たにして始まるだろう。それもこれもコロナ感染拡大が収まり、経済を回していく措置の引き金にするためという。

22日の新規コロナ感染者数は日本全国で325人、死者は12人と激減。東京都ではここ1週間連続で新規感染者が50人を下回り、22日は26人、今年の最少水準となっている。
なぜか。8月以降、急速にワクチン接種が進み、感染拡大にブレーキがかかった、それが減少の要因だと指摘されている。だが医者や感染・疫学の専門家も確定的な理由が挙げられず首を傾げている。
 政府のコロナ対策が急激に進んだとも、繁華街への人流が急減したとも思えないのに、ワクチン接種だけで、こうも激減するのか、もう一つ、頷けない気持ちが誰しも残る。

その一方、北海道や青森などでは「リバウンド」、すなわち再拡大への兆候が見られると、警鐘が鳴る。冬を迎え気温と湿度が下がるにつれ、コロナ感染が広がりやすい環境になるからだ。
 また早めにワクチン接種を受けた人は6カ月が経過、感染予防効果が下がって感染の度合いが高まる。いわゆる「ブレークスルー感染」の危険も増す。
専門家は「第6波は必ず来る!」という。この兆候を早期に掴んで抑え込むには、ワクチン接種の加速、PCR検査の徹底が重要だと呼びかけている。
 あわせてコロナ感染による軽症・中等症への治療対策、宿泊療養の体制を充実させる取り組みが重要になっている。

世界全体でみれば、感染者は1日あたり47万人、死者8千人と増え続ける。ワクチン接種率が高い英国でも再拡大が進み、1日に新規感染者が5万人、若い世代の感染は深刻だ。
ロシアでは、デルタ株より感染力の強い新しい変異型ウイルスが猛威を振るっている。20日、1日あたり新規感染者数は3万4千人を超え、死者も1028人と過去最悪を更新。30日から1週間、ロシア全土で出勤を禁ずる「非労働日」が実施される。
 まだまだコロナは抑え込むどころか、感染拡大が止まらない。日本も世界の現実を直視し、万全を期すべきだ。

期待していいニュースがある。米国のメルク社が開発中の「モルヌピラビル」である。コロナウイルスの増殖を抑える飲み薬で、発症初期の患者が重症化するのを防ぐ効果がある。
 認可されれば世界で初めて実用化される。外来で診断された患者に対し使えれば、医療機関の負担は大幅に軽減できる。
 日本でも導入に向け、政府は力を尽くしてほしい。(2021/10/24)
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2021年10月17日

【今週の風考計】10.17─総選挙のテーマに忘れてならぬ食料自給率37%

★岸田政権が解散・総選挙に打って出た。だが、この4年間、民主主義をことごとく踏みつぶしてきた安倍・菅政権の「悪弊」は、未解決のままだ。
 森友学園問題での公文書改ざんに始まり、<桜を見る会>では安倍元首相の118回に及ぶ国会での虚偽答弁、河井議員夫妻の選挙買収事件など「政治とカネ」に絡む不正、学術会議の6名任命拒否などなど、ほったらかしでよいわけがない。

★岸田政権は、本当に「悪弊」を断ち切れるのか。残念にも、もういち早く「岸田<3Aリモコン>政権」は、解明や説明責任に背を向け、逃げの姿勢へと走っている。
 しかも「所得倍増論」は消え「金融所得への課税強化」も行方不明、その代わり憲法改定には早期の実現を目指し、さらにGDP比2%への軍備増強、敵基地攻撃能力の開発・強化など、タカ派政策を打ち出している。まさに安倍・菅政権の継承ではないか。

★31日の投開票日に向けて、じっくり岸田政権の政策を吟味しよう。アベノミクスの弊害、原発依存、ジェンダー平等社会への取り組み、気候変動とCO2 削減、どう対処し解決への処方箋が示されるのか、野党共闘の力を結集しての論戦も大いに期待したい。そして国民の声が生きる政治へと切り替えたい。
★その際、日本の農業問題もクローズアップしてほしい。16日は国連が定めた「世界食料デー」、月末まで飢餓や食料問題を考え、2030年までに「飢餓ゼロ」の目標に向け行動する。
 いま日本は、コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っている。貯蔵されている過剰米がダブつき、米価が昨年と比べ2割から3割下落し、1俵(60キロ)1万円を下回る銘柄も続出。生産コストに1万5千円を要するのに、これでは破産するしかない。
★米価の回復には、過剰米と新米との連動性を絶ち、米価下落を防ぐ措置、すなわち過剰米を政府が買い上げることがどうしても必要だ。15万トンの買い上げでは追いつかない。

★しかも国内需要の1割に及ぶ77万トンものミニマムアクセス米を、外国から輸入し続けるのは不条理そのもの。もっと日本のコメ農家の悲鳴に向き合うべきではないか。
 もともと国民が必要とし消費するコメなどの食料は、できるだけその国で生産するという、「国消国産」の考え方が根本になければならぬ。
★現在、日本の食料自給率は37%、過去最低の水準だ。安倍政権が進めた「官邸農政」は、世界の競争に強い農業を謳い、大規模化と外国企業の参入に道を開き、日本農業を壊滅状況に追い込んでいる。
★外国や多国籍企業の利益のために、種子法の廃止や種苗法の改悪など、日本の食料主権を譲り渡す農業政策はやめさせねばならぬ。
 減反政策などで一度荒れてしまった農地から、農作物を収穫するには、最初から土づくりや水の管理、病害虫対策など、一からやり直しだ。まさに「農業枯れて国滅ぶ」。(2021/10/17)
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2021年10月10日

【今週の風考計】10.10─米軍のPFAS処理に9千万の税金そして沖縄いじめ

沖縄の米海兵隊が米軍普天間飛行場から、訓練で使用した泡消火剤PFAS(ピーファス)を含む汚染水6万4000リットル・ドラム缶320本分を、低濃度処理したとはいえ、一方的に宜野湾市民が使う公共下水道に流し、大問題になっている。
ご存じPFASは、分解されないまま水中や空気中を漂う。摂取すれば体内に「永遠の化学物質」として残る。しかも人体に肝機能障害、甲状腺疾患、発達障害、がん発症をもたらす。世界各国でPFASの製造・使用が禁止になっている。日本でもこの10月22日に禁止の法令が施行される。

PFAS汚染水は焼却処分が原則なのに、米軍は処理に費用と時間がかかるので、低濃度処理で済ませ、公共下水道を使い基地外に流す、そんな乱暴な計画を日本側に打診していた。日本の環境法令を無視した例外規定を認めさせようという魂胆だったというから、恐れ入る。
 しかも沖縄県が独自に調査する権限は与えられず、米軍が貯蔵している汚染水の量や処理の内容すら確認できないとは、どういうことか。
そこへきて、なんとなんと防衛省が、米軍普天間飛行場内に残る未処理の汚染水、約36万リットル全てを引き取り焼却処分するという。その処分費用9200万円、これも日本が負担するときては、開いた口がふさがらない。
 環境汚染を拡散させ、処理費用まで私たちの税金で負担するというのか。理不尽極まりない。

これら日本政府の米軍迎合、加えて沖縄いじめ″は限度を超える。世界自然遺産登録が予定される「やんばるの森」で活動する、チョウ類研究者の宮城秋乃さんの不当捜査もその一つだ。
 沖縄県・東村高江の米軍北部訓練場で集めた米軍の廃棄物を、メインゲート前に置き通行妨害したとして、威力業務妨害の疑いで、沖縄県警が彼女の自宅を1時間半にわたって家宅捜索した。
これまで同訓練場跡地から火薬入りの弾薬、野戦食の袋や大量の瓶などが見つかり、27年がたった今も大量に放置されている。米軍は沖縄をゴミ捨て場と考えているのか。県民の家宅捜索より、まずゴミ放置に抗議し取り締まるのが先きではないか。

もう一つ、沖縄いじめ″の典型が、沖縄戦で犠牲となった人々の遺骨が混じる土砂を、米軍の辺野古基地建設に利用する企てだ。あまりにも人道を顧みない日本政府の方針は、「戦没者への冒瀆」だとして、数多くの自治体が「遺骨の混じった土砂の埋め立て利用に反対する」意見書を採択している。
先月末までに沖縄県内11、県外45の地方議会から意見書が国へ送付されている。都道府県別では、沖縄以外では大阪の10が全国で最も多い。
 米軍の治外法権を許し、米軍基地を沖縄に押し付ける政治は、本当に変えなければならぬ。(2021/10/10)
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2021年10月03日

【今週の風考計】10.3─岸田<3Aリモコン>政権が陥る危ないカジ取り

明日4日、やっと臨時国会が召集される。約4カ月も国会審議から逃げてきた菅首相に代わり、岸田文雄・新総裁が首班指名を受け、岸田政権がスタートする。
 しかし、総裁選後の自民党役員人事を見れば、「院政・リモコン政権」とか「背後霊のようにキングメーカーに睨まれる政権」とかいわれ、すでに3A(安倍・麻生・甘利)に主導権を握られているのは間違いない。

とりわけ自民党幹事長に就いた甘利明氏は、2016年に建設会社と総額1200万円もの金銭授受疑惑が表面化し、経済再生相を辞めた経緯がある。その後、安倍政権下の黒川検事長の差配により不起訴処分となったが、スネに傷がある身。いまだに説明責任を果たしていない。
2019年の参院選・広島選挙区で繰り広げられた、河井克行・安里夫妻の大規模買収事件を思い起こそう。二階幹事長時代に党本部が提供した1億5000万円、その使途や投入理由は闇のまま。夫妻ともども有罪となったにもかかわらず、独自調査もおこなわず幕引きを狙う。
 幹事長といえば自民党の金庫番。甘利幹事長も自分への疑惑が再燃しないよう、「政治とカネ」をめぐる臭いものにフタをしてしまうつもりだ。

さらに総裁選を争った高市早苗氏は、安倍元首相のお気に入り。岸田政権の立役者、その貢献に報いて政調会長に就く。
 だが、その政治姿勢は超保守。靖国神社への参拝のみならず中国を視野に敵基地攻撃能力の開発を促し、夫婦別姓に反対するなど、保守リベラルを自任する宏池会出身の岸田首相は、どう対応するのか。
菅政権の「2050年カーボンゼロ」政策すら、「再生可能エネルギー最優先」を原則にした基本計画を見直すという高市氏が、政調会長に就任した以上、「それなりに揺り戻しがあるだろう。それが権力闘争の現実だ」と、小泉環境相は1日の記者会見で述べている。

森友学園への国有地払い下げをめぐる疑惑も晴らされていない。「安倍案件」として公文書改ざんまで引き起こし、その作業に従事した近畿財務局の赤木俊夫さんが自死するという痛ましい事件にも、依然としてホッカムリ。
 その麻生財務相は副総裁に横滑りとくるから、「安倍・麻生」ラインはいまだに健在、恐れ入る。
安倍元首相が開催してきた「桜を見る会」への招待者や会費をめぐる疑惑も、闇のまま。
 さらに学術会議の会員6名の任命拒否から、ちょうど1年がたつ。拒否理由さえ説明しない事態が続いている。岸田政権の初仕事は、即時、6人の任命だ。

臨時国会の会期は14日までの、わずか11日間。8日には岸田首相の所信表明演説、11日から3日間、衆参両院で各党の代表質問が行われる。これで終わり。野党が求める予算委員会の開催すら拒否。これで国民の前に岸田政権の政治姿勢が明らかになるだろうか。
 10月から食品が軒並み値上げというのに、生活やコロナ対策への具体案が不透明なまま、総選挙になだれ込むとは、まさに国民を愚弄するのも甚だしい。
14日に国会を解散すれば、衆院選の投開票日は11月7日か14日という。「安倍・菅政権」を継承する「岸田<3Aリモコン>政権」を打ち破るには、実りある野党共闘しかない。ついに立憲民主党と共産党が「新政権」では閣外協力を前提に、選挙協力することで合意した。両党、力を合わせ頑張ってほしい。(2021/10/3)
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2021年09月26日

【今週の風考計】9.26─世界気候アクションに連帯しCO2削減60%へ

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんら世界の若者が、各国首脳が国連総会に集まるのに合わせ、24日、世界1500の都市で「世界気候アクション」に取り組んだ。
 グレタさんが2018年8月に始めた、気候危機への対応を迫る「学校ストライキ」は、その後、地球温暖化を防ぐ<未来のための金曜日>(Fridays For Future=FFF)行動に広がり、2019年9月には185カ国760万人が参加する「史上最大の世界一斉デモ」へと発展した。
日本でも、若者による気候正義ムーブメント「FFFジャパン」が、2019年2月に発足している。同年9月に行われた「グローバル気候マーチ」は、他団体と合わせ全国約5千人が参加する運動となった。
 その後「FFFジャパン」は全国30地域以上にネットワークを広げ、日本政府や企業に積極的な提言を行っている。今年の9月24日は、オンラインで「世界気候アクション」に取り組み、CO2削減に向けた対策の強化を訴えた。

深刻なのは、直近の国連報告書が「このままだと2030年までにCO2排出量は、減るどころか2010年比で16%増える」と指摘し、大幅な削減対策に取り組む緊急性を強調している。
日本政府はどうか、ようやく「2050年カーボンゼロ」を言い出したが、その内容たるや、2030年度までの削減目標は2010年度比で42%、欧米の先進諸国が削減目標50%〜60%を掲げているのに、あまりにも低すぎる。
 加えて石炭火力の新増設に執着し、国内で9件の新設を進め、インドネシア、バングラディシュ、ベトナムに石炭火力の輸出を推進しているのだから呆れる。

中国の習近平国家主席は、21日の国連総会で、今後は海外で新たな石炭火力発電事業は行わないと表明した。続けて「中国は発展途上国のグリーンエネルギー開発に向けて支援を強化する」と述べている。
さらに英国のジョンソン首相は、22日、国連総会で演説し、中国に国内での石炭火力発電を段階的に廃止するよう訴えた。
 英国は10月末に始まるCOP26の開催国だけに、CO2排出削減に向け、2030年までにガソリン車の新車販売を禁止し、電気自動車化や再生可能エネルギーの促進など10項目に120億ポンド(約1兆8千億円)を投じる計画だ。

だが日本は、総裁選で権力争いに明け暮れ、コロナ対策や気候危機に備えるエネルギー対策など、どこかに吹っ飛んでしまった。2030年には危機的な状況に陥るのは目に見えている。
そこへ日本共産党が9月1日、「気候危機を打開する2030戦略」を発表、2030年度までにCO2を50%から最大60%(2010年度比)削減する「野心的目標と取り組み」を明らかにした。
 具体的には省エネでエネルギー消費を40%削減し、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、2030年度までの削減目標は達成できるとしている。しかもこの取り組みによって年間254万人の新規雇用が増え、GDP(国内総生産)を累積205兆円増やす展望が描けるという。
 こうした提言を政府や野党も含め、胸襟を開いて真剣に討議すべき秋だろう。(2021/9/26)
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2021年09月19日

【今週の風考計】9.19─総裁選:百鬼夜行の醜い権力闘争が招くもの

★もう、うんざり。テレビをつければ各チャンネルとも、朝から夜まで、自民党総裁選4候補の「生出演」やら「生直撃」などのワイドショーや報道ばかり。この10日間で流された総裁選がらみの番組は20を超える。
 競馬レースの勝ち馬予想さながら、各派閥の水面下の動きを追いかけ、票割れを狙って刺客を送ったとか、決選投票では野合が組まれるとか、自民党幹部4Aは密約を交わしたとか、あれこれ報じている。

★自民党議員は議員で、派閥の領袖に気を使い、顔色を覗いながら勝ち馬に乗ることばかり考え、右往左往している。しかも安倍前首相は、当選3回以下組の「安倍チルドレン」議員に、派閥を越えて圧力をかけ、<安倍院政>を目論む始末だ。
★国民は「安倍・菅政治を引き継がない」政権を望んでいる(58%)のに、4候補とも安倍キングメーカーを忖度して「継承」に傾き、そろって改憲を言い、原発再稼働を容認する。
 コロナ禍のなか、変異株が広がり病床は逼迫したまま、在宅でのコロナ感染死亡者が8月には全国で250人を超えるのに対策は取らず、国民そっちのけで権力闘争に明け暮れる。もう世も末だ。

★今日9月19日は、今から6年前、安倍政権が憲法9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認める安保法制を強行成立させた日。「平和への思いを忘れない日」である。
 憲法の立憲主義や平和主義が踏みにじられ、後方支援や武器使用の拡大により、自衛隊が海外で武力行使する危険性は増す。
★安倍政権が進めてきた、これらの政策が、今どうなっているのか。分析も総括も抜きに継承されたらたまったものではない。
 もっと深刻なのは「森友・加計」問題や「桜を見る会」で露わになった政治の私物化、公文書改ざんでは自殺者まで生み出した行政の基本を破壊する暴挙、これらの政治家としての個人責任が問われる深刻な問題にソッポを向いて、「無責任の体系」を継承するのは許されない。

★安倍政権を継承した菅政権、あっけなく1年で閉じた。この間、自分の言葉で国民に語りかけたことがあっただろうか。
 コロナ禍であればあるほど、国民の生活や仕事に寄り添って、実際の状況をつかみ、気持ちを寄せる心のこもったメッセージが不可欠だったのに、聞いた覚えはない。
 代わりに聞くのは飲酒禁止、外出抑制、自粛要請など、責任はすべて現場に押しつけるばかりの指令だった。
★しかも野党の招集要求にもかかわらず、国会は開かず、6月9日の党首討論以降、3カ月半も国会審議の場から逃げている。総裁選不出馬の記者会見も2分で打ち切り。

★「ガースーです。好物はパンケーキ」で始まった菅首相、最後っ屁のように、23日から「卒業旅行」よろしく、「Quad」(クアッド)会議に参加するため米国へ外遊する。
 怖いのは、その内容である。日米豪印4カ国の首脳が集まり、海洋安全保障を巡って対中国包囲網を討議する。外交・防衛には経験のない首相が、どんなお荷物を背負わされるのか不安がよぎる。「次の政権に継承する」というが、「置き土産」にされるのではかなわない。(2021/9/19)
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2021年09月12日

【今週の風考計】9.12─90年前の「9・18」:満州事変、軍が暴走するとき

今から90年前、1931年9月18日の夜10時24分、中国東北部・奉天(現在の瀋陽)近郊の柳条湖で、満鉄の線路が爆破された。
 当初、中国兵による不法な襲撃とされたが、実は日本の関東軍が仕組んだ自作自演の謀略だった。大本教の出口王仁三郎は、満州事変の勃発した「一九三一」年を、「戦(一九三=いくさ)の始まり(一)」と、読み取ったという。
この満州事変を機に、関東軍は中国侵略を拡大し、かいらい国家「満州国」の建国、日中全面戦争、そしてアジア・太平洋戦争へと続く15年戦争になだれこんでいく。

いま机のわきに、船戸与一『満州国演義』(全9巻・新潮社、2007年刊行以降2015年完結)と朝日新聞「新聞と戦争」取材班『新聞と戦争』(2008年刊、朝日新聞出版)が積んである。コロナ禍での“巣ごもり”を利用し、時間をかけて再読している。
 船戸与一のシリーズは、満州軍閥の張作霖爆殺に始まり、第二次世界大戦終結までを、「満州国の興亡」を軸に描く長大な歴史ドラマだ。
満州事変を描くのが、第2巻『事変の夜』。架空の敷島四兄弟を登場させて、学術的な歴史書では捉えられない事件のダイナミズムが、関東軍特務や同盟通信記者の動きも加えて、浮き彫りにされている。
 軍部の謀略・陰謀・策略・欲望・権謀術数の凄さに圧倒される。と同時に新聞が軍部に迎合していく実態も描かれている。

満州事変勃発の翌日、新聞は軍部の謀略と虚偽の発表をそのまま報道し、満蒙からの詳報に全力を挙げた。これまで軍縮を主唱していた朝日新聞も、満州事変を機に社論を転換し、戦争動員の世論形成に加担していく。
 『新聞と戦争』は、朝日新聞が自らの「暗部」を、元記者や関係者への聞き取りなど、総力取材で自己点検、2008年にJCJ大賞を受賞した。なかでも「第8章 社論の転換」「第9章 満州開拓」が、詳細に記述している。
「満州」の日本軍に慰問袋2万個を送るキャンペーン、「勇ましい皇軍の活躍」を宣伝する記者派遣、「肉弾3勇士の歌」懸賞募集などなど、戦争協力へ他の同業社と競いながら邁進していく。
 とりわけ新聞・通信社132社が、1932年12月19日、軍部に迎合し「満州国の独立を支持する共同宣言」まで出した責任は、きわめて重い。

思い出すのは「満州事変から30年」の前年、60年安保改定に反対する国民運動が最大限に高揚しているさなか、東京の主要新聞社7社が出した共同宣言である。
 「暴力を排し議会主義を守れ」と題して、全学連などのデモを批判する内容だった。これにより岸内閣を指弾・追究するメディアの筆法が弱まる転機となったため、「新聞は安保で再び死んだ」と指摘された。
そして「満州事変から60年」、1991年には読売新聞の渡辺恒雄主筆が社長に就き、同紙上で憲法9条を骨抜きにする改憲キャンペーンがスタートする。
 さらに「満州事変から80年」の2011年以降、7年半にわたる安倍政権下で、戦前回帰の軍国主義化が加速し、集団的自衛権の行使容認、報道規制を目指してのメディアへの介入、従軍慰安婦問題をめぐる「朝日新聞バッシング」と続く。
 2020年10月、菅政権では安保法制に反対する日本学術会議会員6名の任命拒否へと行き着く。満州事変の火種は、今でも消えてはいないのだ。(2021/9/12)
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