2022年09月18日

【今週の風考計】9.18─国連が日本の精神医療などへ90に及ぶ勧告!

障害当事者の切実な声
国連の「障害者権利条約」を推進する委員会から、日本政府に対し精神科への強制入院を認める法律の廃止など、90項目にわたる改善勧告が出された。
 「障害者権利条約」とは2006年に国連が採択し2014年に日本も批准した国際条約である。多くの障害当事者が「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」をスローガンに、条約策定に関わってきた。
今回の勧告に際しても、日本から100人もの障害当事者がジュネーブへ渡航し、権利委員会の委員に日本の現状について訴えた。日本政府に出された主な勧告を拾ってみると、以下の内容が挙げられる。

勧告に盛り込まれた内容
@ 精神科病院に入院している障害者のすべてのケースを見直し、無期限の強制入院や強制治療をやめること。
A 精神を病む人々の尊厳と人間性を尊重し、地域社会で必要な精神保健の支援をうけつつ自立した生活が営めるようにすること。
B 優生思想や能力主義を撲滅するため、津久井やまゆり園事件を検証すること。
C 障害のある子どもに対し差別や分離なく、全ての子どもを受け入れる「インクルーシブ教育」を保障すること。
D 障害者団体と協議をして障害年金の額を見直すこと。
E パリ原則に基づく国内人権機関を設立すること。

人権無視の収容所
とりわけ「ニッポンの精神医療」の異常な実態は、国際的にも指弾されている。なぜ世界標準からかけ離れた、日本特有の精神医療がまかり通っているのか。今年度JCJ賞を受賞した風間直樹ほか『ルポ・収容所列島』(東洋経済新報社)が、閉鎖病棟の恐るべき実態と病巣に迫っている。
 そこは「長期強制入院」のうえ、身体拘束・薬漬け・虐待横行など、驚くべき人権無視の収容所だった。主治医の指示で、親・兄弟・子供との面会も禁止、電話やSNSも駄目。唯一できるのは手紙のみ。しかも「医療保護入院」を決定するのは、家族一人の同意と精神科医の診断だけ。本人の意思は無視。
栃木県・報徳会宇都宮病院で起きた精神障害者2人への暴行・死亡事件に加え、今でも生活保護者を強制入院・治療に引き込み、支給される生活保護費を治療・入院費として巻き上げる病院経営、90歳を超える病院長のアクドさには驚くばかり。

「障害者ビジネス」が横行
行政からの補助金を目当てに精神障害者を食い物にする「障害者ビジネス」も横行している。精神障害者に、その都道府県の最低賃金に労働時間を掛けた分を支払えば、働かせることができる。さらに行政から1日分に該当する補助金6000円が支給される。この制度をうまく使って、精神障害者に少しだけ働かせ賃金支給も抑え、6000円から浮いた差額分を懐に入れる、濡れ手に泡の「儲かる商売」がはびこっている。
 「精神病床が治療目的だけでなく、社会秩序の担保と保安機能を担っている」と公言し、実は「儲かる商売」収容施設の拡充すら主張する日本精神科病院協会の会長には呆れかえる。
今週24日(土)13:00〜 JCJ賞贈賞式が行われる。著者の風間直樹さんもスピーチされる。ぜひ視聴してほしい。https://jcjsyou.peatix.com/ をクリックして、オンライン視聴800円の手続きをしてください。(2022/9/18)
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2022年09月11日

【今週の風考計】9.11─巧妙な「軍事費・倍増11兆円」計画に要警戒!

危ない!<安保3文書>の改定
「国葬」強行で支持率が急低落する岸田首相、その陰で<安保3文書>の改定に向け、有識者会議を急ぎ、年末には方向づけしたいと躍起になっている。国家安全保障戦略・防衛計画大綱・中期防衛力整備計画の3点セットで改訂しようというのだ。
この間の討議要旨が公表されたが、「敵基地攻撃能力」の保有、GDP比2%の目標を「5〜10年で達成」など、自民党の要求をバックアップする意見が目立つ。3文書の改定により、防衛政策が抜本的に変われば、日本は「憲法」改定の手続きなど抜きにして、「戦争ができる国」になってしまう。ああ恐ろしい。

過去最大の軍事費5兆6千億
8月末には国の2023年度予算に関わる各省の概算要求が出そろった。要求総額110兆円超、なかでも防衛費、いや軍事費は過去最大の5兆5947億円にのぼる。
 概算すら示さない「事項要求」を認めたのは岸田首相だが、さっそく防衛省は、調達する兵器などの単価は一切示さない「事項要求」を並べてきた。最終的な予算額は6兆5千億円まで膨らむという。
まさに「どんぶり勘定」の軍事予算だ。年明けの通常国会で野党などが各項目の金額について説明を求めても、その時の経済情勢次第と、のらりくらりの答弁がまかり通るのは必定だ。
予算の明瞭性、厳密性、事前決定の原則が否定され、内閣や行政の自由裁量の幅が広がり、議会による予算審議は形式だけ、行政府を統制・監視するのが困難になってしまう。こうした手法で毎年1兆円ずつ増やしていけば、5年後には約11兆円、「対GDP比2%以上」が実現してしまう。巧妙な仕掛けに他ならない。

まさに臨戦を想定した武器調達
恐ろしいのは「敵基地攻撃能力」を拡充する中身だ。スタンド・オフ防衛能力、総合ミサイル防空能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力、持続性・強靭性等に必要な取組─これら7項目に及ぶ。  
まず「スタンド・オフ防衛能力」の強化とは、敵の射程圏外から攻撃できる射程1000キロを超える地上発射型ミサイルの量産をいう。迎撃が困難な音速の5倍以上で飛ぶ誘導弾の研究も始まる。
 「総合ミサイル防空能力」の拡充に向け、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替となるイージス・システムを搭載した戦艦の能力を拡張する。「無人アセット防衛能力」は空中・水上・海中で使う無人兵器を指し、そのために戦闘用無人機「UAV」や水中の敷設機雷を除去する「無人機雷排除システム」などを購入する。
これらの費用は、どこから捻出するのか。国債などと軽く言うな! いま日本の国債残高は1026兆円、短期の借入金を含めれば「国の借金」は1225兆円まで膨らむ。赤ちゃんからお年寄りまで国民1人当たり1千万円の借金が背負わされているのだ。
 財政規律を度外視した国債を発行して、「軍事費」を捻出すれば、どんな悲劇が生まれたか、あのアジア太平洋戦争の結末を思い起すべきだ。(2022/9/11)
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2022年09月04日

【今週の風考計】9.4─統一教会と「国葬」と天皇に関わる深刻な問題を考える

100億円かかる「国葬」費
岸信介元首相以降、第2の<妖怪>といわれる自民党の二階俊博元幹事長が、「葬式に30億円もかかるのか」といった発言から、大慌てで岸田首相は、急きょ国会で安倍元首相の「国葬」について、釈明せざるを得なくなった。
予備費から捻出する2億5千万円の「国葬」費ですら法外なのに、海外から参列する要人への宿泊・警護の費用を入れると、30億円どころか50億円、いや警察OBは100億円 ともいう。これ全て国民の税金だ。しかも法律で定められていない<国の儀式>として「国葬」を位置づけ、国会で議論もせず、閣議決定だけで挙行するとは言語道断である。

統一教会の安倍元首相・世界葬
先月12日には、統一教会が韓国・ソウルで開催したイベントで、安倍元首相を追悼する式台を設け、世界各国から参加した著名人が、巨大スクリーンに映し出された安倍氏の遺影に向かって、献花するセレモニーが行われた。
 この映像を見れば「安倍家の家族葬は済み、統一教会の世界葬までしたのだから、2カ月も経って、血税を使ってまで国葬するなんて無駄だよ」の声は頷ける。
「国葬」が憲法に抵触するだけでなく、安倍元首相と統一教会の関係を始め、自民党・「勝共議員」の闇を棚上げしたまま、「国葬」を挙行する怖さだ。
 安倍元首相は、ことあるごとに「美しい国」とか「愛国心」を唱えてきたが、統一教会はまったく逆の「反日」組織であり、そことつながっていた事実を、深刻に受け止めねばならない。
統一教会の『原理講論』には、「韓国はアダムの国、日本は罪深いエバの国」「植民地時代の原罪を償うため、日本人は韓国の先祖を苦しみから解放すべし」と、日本の信者から霊感商法や強制による献金で巻き上げ、1999年からの9年間で計4900億円、年約500億円を、日本から韓国に送金していたといわれる。

「国葬」でバカを見るのはだれか
「国葬」の開催を巡り賛否が2分し、今や反対が日増しに多くなっている。にもかかわらず国民統合の象徴である天皇および天皇家を代表して、皇位継承1位の秋篠宮・紀子夫妻を、「国葬」に参列させる方向で準備が進んでいるという。
文鮮明を始祖とするカルト宗教であり、「反日」組織である統一教会とつながりのあった安倍元首相を追悼する「国葬」に、<随神(かんながら)の道>を奉ずる天皇家が、安倍元首相の遺影に頭を下げ献花する姿を見たら、保守本流の人々や運動団体は、どういう気持ちになり、どう言い訳をするのだろうか。
 統一教会側は、自らの組織と密接なつながりのあった人物に、天皇家が頭を下げたとなれば、日本は韓国・統一教会にも頭を下げたと、有頂天になるであろう。
またまた自民党の二階元幹事長は8月24日の講演で、国民の反対があっても「国葬をやめるわけではない。当たり前のことで、やらなかったらバカだ」と言い放った。天皇家が参拝する伊勢神宮にも、自ら参ることだってあったろう。その紀伊半島の和歌山県を地盤とする二階さん、せめて「天皇の宸襟」に思いを寄せ、もう少し深く考えたらどうですか。バカを見るのは、どなたでしょう。(2022/9/4)
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2022年08月28日

【今週の風考計】8.28─とんでもハップン! 原発再稼働の暴挙を許すな

なんで再稼働するのか
突如、岸田首相は<3・11フクシマ>原発事故以来、11年にわたって堅持してきた「脱原発」政策を大転換し、次世代型原発7基の新設と既存10基の再稼働に向けて、本格始動の号令を発した。 
 コロナ感染により公邸で療養中の24日、官邸で開催された第2回「GX実行会議」に、わざわざオンラインで公邸から参加し、原発推進の進軍ラッパを吹いたのだ。
この「GX実行会議」のGXとは、グリーン・トランスフォーメーションの略称で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを議論する。だが討議内容は非公開、「原子力ムラ」の利益を擁護するメンバーが複数、参加している。
そこでの岸田首相の発言内容は「次世代型原発の開発・建設」と「原発の運転期間40年を20年延長」の2つを挙げ、年末までに結論を得るよう、トンデモナイ指示を出した。
 これまで他のテーマでも「検討する」としか言わなかった首相が、国会での議論も経ずに原発の新増設・再稼働の大号令を発するとは言語道断だ。自らに降りかかった統一教会との接点問題をそらすためか。あまりにも独裁的な判断は許されない。

福島原発事故は終わっていない
「脱原発」を目指し地道な努力を続ける企業や国民からは、支持など得られようもない。福島原発事故の責任を巡って、東京地裁は東京電力元会長ら4人の過失を認め、史上最高額となる13兆円の賠償命令の判決が、わずか1カ月半前に出たばかり。
政府が言う次世代型原発にしても、耐震性や炉心冷却の改善・強化を図る装置など、まだまだ実証試験の段階だ。海外でも商業発電として確立した次世代型原発はない。日本の各電力会社は既存原発の再稼働すらままならないのに、新型の原子炉など建設する余力などない、というのが実情だろう。
 また政府は、検査基準は満たしたものの再稼働していない原発7基を、来年の夏以降に再稼働させるというが、テロ対策の不備や侵入検知器の故障、避難計画のズサンなどが挙げられ、稼働できる見込みが立たない。原発稼働の再延長60年を超す運転となれば、再び法改正が必要になる。
「核のごみ」と呼ばれる、原発運転後に発生する高レベル放射性廃棄物・デブリについても、福島第1原発からの取り出しは難航し、目標期限の延長が続き、来年末になるという。その取り出したデブリを、どこに収容・処理するのか、受け入れ先も含め見通しすら立っていない。

読むべし、日野行介さんの最新刊
つい最近、原発再稼働の危険性について著わした本が刊行された。日野行介『原発再稼働─葬られた過酷事故の教訓』(集英社新書)である。長年、原発の実態を丹念な調査で追究してきた著者が、悲劇に学ばない日本の政治家・官僚の実態を告発する。ぜひ読んでほしい。
原発の恐ろしさを忘れてはならない。「安全神話」は吹っ飛んだのだ。なにも地震や大津波による自然災害による過酷事故だけではない。
 ロシアのウクライナ侵攻でハッキリしたように、チェルノブイリ原発やザポリージャ原発を軍事的に占拠し、「原発人質」にして、人類の生命と地球環境を脅かす前代未聞の愚行が展開される、恐ろしき時代なのだ。(2022/8/28)
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2022年08月21日

【今週の風考計】8.21─「カルト規制法」の立案に向け議論を始めよう!

今も続く「特異集団」の活動
★統一教会は、2009年以降、法令順守を徹底してきたという。だが「霊感商法」の被害救済に取り組む全国弁護団は「違法な献金強要や勧誘行為はなくなっていない」と指摘、その被害はコンプライアンス宣言後も13年間で138億円に上るという。
★公安調査庁は、2005年と06年の「内外情勢の回顧と展望」をまとめた報告書に、統一教会を「特異集団」と記載し、「社会通念とかけ離れた特異な主義・主張に基づいて活動を行う集団」と定義した。ところが第1次安倍政権が発足した2007年になるや、「特異集団」の項目が消えている。
★この経過から見ても統一教会への対応の甘さがもたらした弊害は大きい。統一教会と自民党との構造的な癒着や接触が、直近まで続いていた事例が続出している。まさに「特異集団」、いやカルト組織である統一教会が、霊感商法や多額の強制献金を続け、さらに国政に関与し影響力を及ぼしてきたのは間違いない。

フランスの「反カルト法」
★ヨーロッパでも1980年代に統一教会に入信した信者と家族との問題が頻発し、新興宗教に対する規制が真剣に議論されるようになってきた。日本で「霊感商法」や多額の献金が社会問題となっていたころだ。
 そこへ1995年、日本でオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件の深刻な事態が加わり、ヨーロッパ各国でも、カルト宗教に対する本格的な議論が始まったといわれる。
★なかでもフランスは、国は一切の宗教活動に関与してはならないと定め、厳格な政教分離を取っているにもかかわらず、そのフランスがカルト的な宗教活動に対して、どう国は対処すべきか、具体的な立法化の議論を本格化させた。
 その努力が実って「反カルト法」が2001年6月に施行され、以降はカルト的な新興宗教は厳重に取り締りの対象となっている。その主な内容は、「社会に危害を及ぼす狂信的な宗教集団」および「反社会的かつ人権と基本的自由を侵害する宗教集団」を取り締まり、解散などを命ずることができるようになった。
★カルト宗教と認定するには10項目の「危険性の判断基準」があるという。主な項目を挙げると、「法外な金銭的要求」「社会に敵対する説教」「多くの訴訟問題」「国家権力への浸透の企て」などがある。

日本でも制定に向けた議論を
★肝心の日本では、1995年当時、オウム真理教をターゲットとした法律が交付されたものの、それ以上の立法化には至らず、問題が置き去りにされてしまった。
 とりわけ同時期に統一教会の霊感商法や合同結婚式などが、オウム真理教と肩を並べて報道されていたにもかかわらず、オウム真理教の暴走により、逆に統一教会の存在が霞んでしまった。
★さらに1999年以降、創価学会を母体とする公明党が政権に加わり、宗教的な課題への立法化を避けてきたことにも原因がある。
 フランスの反カルト法は、「信教の自由」を守りながら、カルト集団を抑止し被害者を救う法律である。それを参考にしながら、日本版「カルト規制法」をつくるべきだ。本気で法案をつくる議員の努力のみならず、超党派で市民とともに展開する活動が望まれる。(2022/8/21)
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2022年08月14日

【今週の風考計】8.14─戦後77年「8・15」を顧みるに大事な出来事

「標的」にされた植村隆さんの苦闘
8月14日は「慰安婦」記念日だ。今から31年前の1991年8月11日、朝日新聞の記者・植村隆さんが日本軍慰安婦とされた金学順(キム・ハクスン)さんから、その被害事実を初めて聞き出し、朝日新聞大阪版にスクープ報道した。
 韓国では、その日に由来して8月14日を「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」として、2018年以降、国の記念日に制定している。
ここで忘れてならないのは、植村さんのスクープ報道から23年もたった2014年、第2次安倍政権がスタートした直後、突如として植村隆さんに対し「捏造」バッシングが始まったことである。
 西岡力氏が植村さんの記事を、「日本軍によって強制連行されたという内容になっている」と「週刊文春」誌上で問題視し、さらに右派系識者の論難やFAXやSNSによる脅迫・嫌がらせなど、家族にも被害が及ぶ攻撃が執拗に繰り返された事実である。
これに屈した朝日新聞社は同年12月23日、植村さん執筆の記事には<「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」とした部分は誤りであり、おわびして訂正します>と謝罪記事を掲載してしまった。自社の記者を切り捨てたのだ。
 韓国で「女子挺身隊」といえば、「従軍慰安婦」を指すとの理解は常識である。

戦後77年の平和がズタズタにされる
15日は終戦記念日。明治維新(1868年)から敗戦(1945年)までの77年が「戦争の時代」だとすれば、敗戦後から平和憲法のもとに歩んできた戦後77年は「平和の時代」である。
 しかし、いまその歩みに急ブレーキが掛けられている。専守防衛から敵基地攻撃にカジを切り、米国の核兵器を国内に配備し、日米で共同運用する「核共有」に向け、憲法9条をズタズタにする動きが強まっている。
第2次岸田内閣が発足しても、統一教会との関係では閣僚20人のうち7人、副大臣・政務官54人中19人が接点を持っていた。また安倍政権の大軍拡・改憲シフトは継承し、コロナ感染拡大・物価高騰・賃金格差・ジェンダー問題などなど、山積する課題への取り組みは「検討する」のみ。まさに「検討使」内閣だ。

ベーブ・ルースと大谷翔平
16日は「ベーブ・ルース忌」だ。あの野球の神様≠ニいわれた米国の大リーガー、ベーブ・ルースが、今から74年前の1948年に53歳で亡くなった日。
 くしくもこの10日に、エンゼルス大谷翔平投手が、「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」を達成した。元祖二刀流のベーブ・ルースが1918年に達成して以来、104年ぶりである。その快挙への賞賛は世界に拡がる。
 40歳になったベーブ・ルースは、戦前・1934年11月2日に来日している。米国大リーグ選抜チームの一員として、大凶作に見舞われた国内を巡回し全18試合を行った。日本チームは歯が立たず大敗した。

デッチあげられた松川事件
さて、もう一つ、今から73年前、1949年8月17日、松川事件が勃発した。当初から松川事件は、下山事件(7/6)、三鷹事件(7/15)と合わせ、国鉄労組への弾圧であり捏造の疑いが言われていた。
 1963年9月12日、最高裁は無罪を言い渡した。裁判の流れを決定的に変え、無罪を勝ち取る経過には、新証拠の発見とともに、作家広津和郎らによる被告の救済支援活動をはじめ、学者・文化人、市民をも巻き込んだ国民運動の発展があった。日本ジャーナリスト会議も参加している。
こうして振り返ってみると、「8・15」前後には、エポックメイキングな出来事が起きていたのだ。歴史を見つめ今を考える良い機会をいただいた。(2022/8/14)
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2022年08月07日

【今週の風考計】8.7─統一教会と自民党の<癒着の闇>を究めるポイント

安倍晋三・元首相の銃撃事件から1カ月。事件の背景にあるカルト教団・統一教会と自民党との癒着が明らかになってきた。だが国会を3日間で閉じるように、この事件の解明を葬ろうと、報道への圧力も含め、様々な動きが出てきた。要警戒だ。復習もかねて、いま大事なポイントを押さえておきたい。

@ まだまだ闇の統一教会の実態
統一教会は1954年5月に韓国・ソウルで創立された。59年には「日本統一教会」が設立され、64年に宗教法人として認証された。その後、大学などでの「原理運動」の布教活動を通して、若者の学業放棄や家出などが社会問題になり、67年には朝日新聞が初めて「親泣かせの『原理運動』」と告発した(7/7付)。
68年には、統一教会が反共産主義運動を担う政治団体「国際勝共連合」を発足させ、70年安保闘争を意識した自民党や保守勢力とのつながりを強めていく。さらに70年代後半から80年代にかけて、信者に大理石の壺を30万円で売りつける霊感商法や合同結婚式などが、メディアで報じられ社会的批判を浴びる。
 しかし統一教会は巧みな変身で、メディアの批判をかわし信者獲得を続ける。まさに「空白の30年」が経過し、その間の活動の実態は、まだまだ明らかにされていない

A 系統的・組織的な自民党との癒着
統一教会の内部文書には、「安倍首相からじきじきに、自分の子飼い議員に対する選挙応援の依頼があった」との記述が見られる。昨年9月12日には、統一教会の関連団体・天宙平和連合(UPF)の集会に安倍首相がビデオメッセージを寄せ、「韓鶴子総裁をはじめ、みなさまに敬意を表します」と発言していたと報じられている。
 細田博之衆院議長も、今から3年前、統一教会の韓鶴子総裁を迎えた行事にゲスト出演し、スピーチのなかで「会議の内容を安倍(晋三)総理に報告したい」と発言している。
多額の税金が使われている安倍首相主催の「桜を見る会」にも、統一教会の関連団体・世界戦略総合研究所(世界総研)の幹部が、2013年〜2016年まで毎年招待されている。
まさに安倍政権は、閣僚や自民党の派閥の領袖が、反社会的カルト教団・統一教会や関連団体と関係を持ち、国政を動かしていたのだ。
 今や関係した国会議員は野党も含め78人、地方議員は17人に及ぶ。「知らなかった」「挨拶だけ」で済まされる問題ではない。また議員個人だけでなく、組織的に関与している政党としての責任が問われている。

B 統一教会のダミー組織の怖さ
統一教会には数えきれないほどの関連団体、友好団体がある。前川喜平さんが「カメレオンの改名」(<本音のコラム>東京新聞7/31付)と名付けたように、自分たちの正体を隠して信者獲得に走り、さらに政治家への食い込みを図る。まさにカルト宗教のお手本である。
 統一教会は、突如として2015年に名称変更が認められ、いまは「世界平和統一家庭連合」(略称:家庭連合)という。しかも名前を変えた別働隊が数多く組織されている。
「平和」を冠した天宙平和連合、世界平和連合、世界平和宗教連合、世界平和教授アカデミー、世界平和国会議員連合などなど、「平和」を隠れ蓑に、いかにも真面目な組織と思わせるカモフラージュだ。その実態は、文鮮明と韓鶴子を敬い統一教会の「原理」を浸透させることにある。
さらに巧妙なのは、2013年に天宙平和連合がサイクリングイベント「ピースロード」を企画し、地元選出の国会議員や地方議員、自治体に「後援」させるなどして、統一教会の創始者である文鮮明の没後1周年を記念した行事を開催している。以降、毎年開催し自転車に乗るライダーの多くは統一教会の信者2世である。
また学生たちの間にも「JAPAN Guardians」なる団体を創設し、安保法制に反対する学生団体・SEALDsに対抗するかたちで、安倍政権や改憲支持の活動をおこなっている。これまでの国際勝共連合の学生部隊「勝共 UNITE」や「国際勝共連合オピニオンサイトRASINBAN」の別働隊である。

C どう被害者家族の声を掬いあげるか
統一教会の霊感商法は例を見ない悪ドさだ。印鑑21万円、壷70万円、絵画美術品70万円、文鮮明・韓鶴子夫妻を崇める『聖本』3000万円など、信者に購入を義務づける。それのみならず財産は「神様に全てささげなさい」という統一教会の教えで、さらに献金、それも何千万円となれば家庭崩壊は必然だ。
1987〜2021年の35年間で、統一教会の霊感商法による被害額は、約1237億円といわれる。その悲惨な事態に、どう手を差し伸べるか。霊感商法対策弁護士連絡会の取り組みや援助の方法などについて、意見を集め協力することが急がれる。(2022/8/7)
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2022年07月31日

【今週の風考計】7.31─ますます高まるコロナ治療に効く飲み薬への期待

変異株「オミクロン・ケンタウロス」
「第7波」コロナ感染の猛威は、とどまるところを知らない。日本全国が<感染爆発>状態に陥っている。
 しかもコロナウイルスの「オミクロンBA.5」が、さらに3倍の感染力を持つ「オミクロン・ケンタウロス」に置き換わり、ワクチンによる免疫効果を減殺する深刻な事態が進んでいる。
だが政府は、2月の「第6波」以降、必要な準備を怠り、感染抑止の対策や感染者への医療ケアなど、すべて手詰まり。都道府県に判断を委ねるだけ。医学界からの進言にもかかわらず、いまなお行動制限すら発令しない。

ジッとガマンの自宅療養
27日までの自宅療養者は、過去最多の110万人を超えた。感染者の94%が自宅療養に追いこまれている。
 医者による診療も投薬もままならず、じっと10日間、<自存自衛>を旨として、市販の風邪薬を服用し、熱を下げて咳を止め、ノドの痛みを抑える。三食とも配給のレトルトやカップ麺、飲料水に頼る。まさにコロナウイルスの動きに、身も心も支配される日々だ。
2週間ほど前、コロナに感染し自宅療養が強いられ、3日前に自宅療養を終えたばかりの体験者であるだけに、あまりにも悲しく情けない事態に涙が出てくる。
 フォローアップセンターからのマニュアルに従った体調確認もありがたいが、細かい症状までは伝えられない。また10日間の自宅療養解除の2日前には、体調と合わせ服用薬の点検がなされた。もしイブプロフェンが配合された風邪薬を飲んでいると、その服用を止め、さらに72時間の解除延長が言い渡される。
最初の5日間、用心のため市販の風邪薬を飲んでいたが、その風邪薬にイブプロフェンが配合されていたことが判明した。なんと自宅療養が3日延長され、都合13日間が強いられた。「早く言ってよ、イブプロフェンなんて知らないよ、風邪によく効く薬を飲んだだけだよ」と、恨みたくなる。
 ベッドに横たわりながら、市販の風邪薬がダメとなれば、ならばコロナ治療薬はどうなっているのか、開発されているとも聞く。早く提供してよ、つくづくそう思った。

「ゾコーバ」の早い承認を
政府は5月に、コロナ治療薬の迅速な承認に向けて、緊急承認制度を新設した。7月20日、塩野義製薬が開発したコロナ治療の飲み薬「ゾコーバ」について、6月の審議に続き再度の審議がなされた。ところがまたも「継続審議」とされ、承認の可否が先送り。今秋以降では、もう手遅れではないか。
 「ゾコーバ」は軽症のコロナ患者に対し、1日1回、5日間経口投与して使う。臨床試験では服用後にウイルス量が激減し、短い期間で陰性になり、安全性の面でも目立った問題はなかったといわれる。変異株にも効果があるという。
国産品で安定供給される飲み薬をうまく活用すれば、自宅療養での回復にも役立ち、医療や保健の現場を逼迫させずにすむ。その可能性を遮断したとしか思えない。
 全てのコロナ変異ウイルスに効く「ユニバーサルワクチン」が注目されているが、まだ研究・開発中で、実際に使用できる日は遠い。だからこそ「ゾコーバ」への期待は大きい。(2022/7/31)
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2022年07月24日

【今週の風考計】7.24─高をくくっていた「コロナ感染」のテンヤワンヤ

抗原簡易キットで陽性
★3回目のワクチン接種も済んでいるのに、コロナに感染してしまった。15日夕方から咳が出てノドも痛く体がだるい。市販の風邪薬を服用するが、コロナの疑いもよぎる。
 翌16日の朝、熱を測ると36.4度。それでも薬局へ抗原簡易キットを買いにいく。だが購入するには細かい手続きが必要になる。
★キットの使用マニュアルに従い、鼻から採取した粘液を付属の容器に投入・攪拌し、その検体をキットに注ぐ。10分すると、赤い線が2本、現れた。「コロナ陽性」である。
 遂に「罹ったか!」とため息が出る。どうしたらいいのか、不安がよぎる。「ワクチン接種しても罹るんだ!」と、妻の顔を見る。さっそく隔離する部屋を決め、感染予防の措置に入る。さいわい妻は濃厚接触者だが、抗原簡易キットではコロナに感染していない。

救急車を呼ぶも受け入れ病床ナシ
★すぐに医者の診療を受け処方薬をもらうため、緊急外来のある医療機関に電話をかける。全くつながらない。つぎつぎと5カ所にかけるがダメ。つながっても受診は予約がいっぱい、明日以降だという。どうなっているんだ、怒りがわく。
 やむなくベッドに横たわり、トレーに載った夕食をとり、うつらうつら眠りに入る。夜何時ごろだろうか。急に息苦しくなり目が覚める。胸の上部が圧迫されハーハーと息をつくのもしんどい。熱を測ると39.2度。もうダメかと覚悟を決める。
★妻が救急車を呼ぶ。8時半に着いた救急隊員2名のうち一人は、ベッドわきまで来てすぐに人差し指の先にパルスオキシメーターを装着し、数字を確認する。93と告げる。もう一人は自分のケータイに入っている救急医療機関に電話をかけ、受け入れを打診している。年齢や呼吸困難、体温・パルス値などを知らせる。
★傍で聞いていて期待を膨らませるが、どこもダメ。絶望の感が増すばかり。電話をかけた医療機関は都内から八王子・高尾まで含む約38件、約3時間に及ぶ。簡易キッドによるコロナ感染の疑いでは、受け入れはムリだという。
 その後、パルス値は96と上昇。一安心。救急隊員も策が尽きて諦め、退室を了承し帰ってもらう。それにしても日本の医療体制、どうなっているのか。

自宅療養しかない現状
★明けて17日の朝から、発熱外来のある医療機関に、妻にもう一度、電話をかけまくってもらうが全てダメ。午後もダメ。熱は36.4度、咳もなし、痛みもなし、食欲もある。市販の風邪薬を飲みジッとしている。
★3日目の18日、またも朝から電話をかけまくってもらう。遂に午後12時半、電話がつながり受けつけるという。猛暑のなかを、ゆっくり歩いて20分、院内キット検査を受けコロナ陽性と正式に診断された。処方薬は38.5度以上の高熱が出たら飲むカロナール錠200のみ。これでいいのか。不安になる。
★以降3日間、不安はあるものの、さいわい36.2度の平熱が続き咳もナシ。20日には地域の保健所から連絡があり、自宅療養10日間の確認と配食の提供、緊急対応などについてレクチュアーあり。
 21日に段ボール箱2つにレトルトやカップ麺・缶詰・ビスケット・飲料水など54種以上の配食品が届けられた。その量の多さにびっくり、とても使いきれない。
★自宅療養が明ける日まで残り2日。ベッドから窓越しに見える庭の百合を見ながら、正岡子規の<うつむいて 何を思案の 百合の花>を思い浮かべる。(2022/7/24)
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2022年07月17日

【今週の風考計】7.17─開花した<月下美人>、そしてカサブランカ

5年ぶり5時間の儚い命
書斎の出窓に放置しておいたサボテンが、遂に白い大輪の花を咲かせた。<月下美人>である。
 植木鉢の支柱に添って、幅広の昆布に似た茎が80センチほど伸び、先端が垂れている。その垂れた茎の先端に貴重な蕾がつき、次第に伸びているのに気づいたのが6月半ばだったか。
それからは蕾が落ちないよう見守ってきたが、14日の夕方から蕾が膨らんできて、夜中の12時ごろ、ボンボリを思わせる白い花房がいっぱいに開いた。花の中には黄色い絹糸状のオシベがびっしりついている。何ともいえない良い香りが部屋に漂った。
念のため、家で咲いた<月下美人>の映像をみると、8年前の2014年7月2日夜遅く、それから3年後の2017年7月9日の深夜、開花の映像が残っている。
 そして今年の7月15日0:15、なんと5年ぶりに開花した。その生命力に驚くばかり。だが5時間の儚き命。翌朝には筋ばかりが浮きでた花房を見ると悲しくなる。
いま<月下美人>は絶滅危惧種に指定されている。それもかえりみず人間は<月下美人>の花をスープの具に入れ薬膳料理とし、さらに咲いている花をむしり取り、焼酎につけて薬用酒にしてしまうというのだから怖い。

広がるカサブランカの芳香
さて白さでは、わが家の庭に咲くカサブランカも負けてはいない。昨年は15センチほど伸びた若芽を、誤って踏みつぶしてしまい、ダメにしてしまった。今年は根元を囲い、7月初めには1本の茎に6つも蕾がつくようになった。
開花するのを待っていたら、七夕の朝、いちばん下の蕾が開き、白い大きな反り返った花弁から、チョコレート色のオシベや花粉を受けるメシベが突き出ている。甘い香りも漂う。
2日ほどたって茎の中頃を切り、花瓶に挿してリビングに置いた。蕾が開くたびにオシベにあるチョコレート色の細長い花粉を、ティッシュで拭いとる。下から順に5つの蕾が開き、残るはいちばん上の一つだけ。豪華で圧倒される。

可憐な赤いサンタンカ
これまでリビングを彩っていた鉢植えの赤いサンタンカが、カサブランカに圧倒され、ますます小さく見える。6月半ばに園芸店で見つけて購入したものだ。
 濃い緑の葉に長さ2センチほどの小さな尖った赤い花ビラが房状になって、こんもりと半円状に密集して咲いている。
 サンタンカには、品種が400種以上もあるそうだが、わが家のサンタンカは「スーパーキング」、最も赤が映える品種。手間をかけずに長い間、楽しむことができる。沖縄では「三段花」といい、庭木として植栽されているという。
猛暑から梅雨に戻った感のある日々、<月下美人>にしろ、カサブランカやサンタンカも含め、けなげに咲いて私たちの気持ちを癒してくれる自然の恵みに感謝したい。(2022/7/17)
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2022年07月10日

【今週の風考計】7.10─安倍元首相の死去と銃によるテロの世界的風潮

言論封殺の暴挙に抗議する
参院選が終盤に入った8日、街頭で演説中の安倍晋三元首相が凶弾に倒れ死去した。心から冥福を祈り哀悼の意を表する。国の将来を選択する選挙中に、銃弾で言論を抹殺する暴挙に対し、最大限の怒りを込めて非難する。
逮捕された元自衛官の男性は「特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係がある安倍元首相を狙った」という趣旨の供述をしているようだ。だが犯行の動機や背景、手製の銃を作るに必要な部品購入や製作過程など、もっと深く慎重に捜査し解明しなければならない。
併せて安倍元首相への哀悼から自民党への同情が集まり、これまでの政策への批判、選挙公約に掲げる軍事費2倍や改憲などへの反論が委縮するようなことがあってはならない。
 8年8カ月に及んだ安倍政権についても、アベノミクスの功罪を初め、<森友・加計問題、桜を見る会、河井疑惑>も含め、今後も検証が必要なのは間違いない。

世界に広がる銃の暴力支配
さらに憂慮するのは、「物価高・年金減・賃金安」の閉塞感に覆われる今の日本社会が、1930年代の大正から昭和初期にかけた社会状況に、似てきていることである。
 犬養毅首相が殺害された5・15事件や高橋是清大蔵大臣らが殺害された2・26事件を思い起こさせる。
戦前の日本は暗殺やクーデター未遂といった暴力で政党政治が後退。軍部の台頭を許した結果、85年前の1937年7月7日に起こした盧溝橋事件を機に、日本は戦争に突き進んだ。この教訓を忘れてはならない。
 これは決して過去のことではない。今の国会は、安倍元首相の118回のウソに続き、岸田首相も答弁をはぐらかす。野党やメディアの追及も緩い。言葉で言っても無理、「問答無用」で殺害、そんな考え方が広がってはいないか。
政府や一部野党が主張する「敵基地攻撃論」、ロシアのウクライナ侵攻、米国の銃乱射事件、トランプ支持者の国会襲撃事件etc、こうした国の内外に広がる暴力による政治・社会への威嚇は、世界の人々の言論と民主的な行動で封じなければならぬ。(2022/7/10)
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2022年07月03日

【今週の風考計】7.3─参院選の焦点:どうする物価高・年金減・賃金安の三重苦

年内に2万品目が13%も値上げ
猛暑お見舞い申し上げます。連日38度を超える暑さに、心身が疲れはてる。そこへパンや食用油の再値上げ。年内には累計2万品目が1割以上の値上げとくる。米国アップルのiPhone13も2万円の値上げだ。
物価高騰の上に、支給額までカットされた年金生活者にはダブルパンチ、どう対応していいのかお先真っ暗。今年度の年金支給額は、前年度よりマイナス0.4%、夫婦2人の標準モデル世帯で年間約1万1000円も引き下げられる。
原因は、安倍政権下の2016年に成立した「年金減額法」によって、これまであった「物価スライド」という仕組みがなくなり、現役世代の賃金が下がった場合、年金は減らされることになったからだ。
 それだけではない。減った年金から天引きされる後期高齢者の保険料は上がるというのだから始末に負えない。

消費税減税へ自民党からの恫喝
世界91の国・地域では、物価高で火の車に陥る家計を助けるために、消費税の減税を実施もしくは予定している。だが自民党の茂木幹事長は、選挙演説で「野党の皆さんが消費税減税を要求するなら、年金は3割カットしなければ財源は出てこない」と、恫喝まがいの発言をした。
バカ言っちゃいけない。社会保障の財源として消費税を充てるといいながら、実は法人税を減税したために不足した税収の穴埋めに消費税を流用し、肝心の社会保障を削りつづけてきたのが実際ではないか。企業への税優遇を見直すのが先だ。
 その一方で、軍事費は倍増の11兆円。その財源は明らかにせず、困ったあげくに高市政調会長は「短期的には国債発行に頼らざるを得ない」と発言。あの戦時国債を挙げる始末。

貯めに貯め込んだ「内部留保」を賃上げに
肝心の賃金引き上げはどうか。世界で見ても日本だけが、ほぼ30年、賃金は上がらず。いま日本の最低時給は平均930円。地方では800円台の県もある。岸田政権の最低時給も「できる限り早期に1000円を目指す」というだけ。
 いま米国アップルの最低時給が22ドル(2970円)。米国20州が最賃を引き上げている。ドイツでは最低時給9.8ユーロを、今年10月から12ユーロ(約1700円)に引き上げる。
日本の低賃金を招いた原因は、政府・財界が二人三脚で「労働者派遣法」を使いまわし、賃金を「上げない」政策を続けてきたことにある。
 もう企業は貯めに貯め込んだ「内部留保」480兆円、その1割でも働く者のために回したらどうか。家計を温めて、働く意欲や消費を高めたほうが得、ケチるのは止めることだ。

こんな人に税金を使うな!
その間に、安倍政権がもたらした<政治倫理>の堕落もまた極まる。「森友・加計学園問題」から「桜を見る会」、広島で起きた選挙買収の「河井疑惑」などなど、いまだに闇のまま。
18歳女性に飲酒させ、パパ活として4万円の小遣いを渡した自民党の国会議員は、夏のボーナス286万1358円に加え、6月分歳費・旧文通費と合わせ約500万円を懐にした。この8日には7月分歳費100万円と旧文通費50万円も支給される見込みと聞いて呆れる。
 セクハラ疑惑の細田博之衆院議長も夏のボーナス480万円が支給された。私たちの税金が、こんな人たちに使われる政治は、一新しなければならない。(2022/7/3)
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2022年06月26日

【今週の風考計】6.26─参院選の争点、「憲法9条」がズタズタにされる!

『わたしの心のレンズ』を読みながら
★今日までの1週間、大石芳野さんの『わたしの心のレンズ─現場の記憶を紡ぐ』(インターナショナル新書)をゆっくり読み進め、大石さんの文章にシンクロしながら、いま日本や世界で起きている出来事に思いをはせた。
★21日には核兵器禁止条約の第1回締約国会議がウィーンで開かれた。だが被爆国である日本の岸田首相は参加せず。22日、参院選告示。23日は沖縄戦で犠牲となった24万1686人の霊を悼む、77年目の「沖縄慰霊の日」。25日は72年前に朝鮮戦争が勃発した日。
★そして今週の30日は、今から63年前、沖縄の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落。死者17名(うち児童11名)、負傷者210名(うち児童156名)、小学校3教室に加え近隣の住宅17棟・公民館1棟を全焼、さらに住宅8棟・2教室が半焼する戦後最大の大惨事となった。
★どれもみな「戦争」や軍隊に関連して生じた出来事である。ベトナムや沖縄、広島・長崎など、戦争の悲劇に襲われた地で撮影・取材してきた大石さんは、本書の「あとがき」で、プーチンのウクライナ侵攻への抗議とともに、次のように書いている。
<今の時代、紛争は武力ではなく対話や外交でこそ解決に向かうことが世界の約束ではなかったのか(日本国憲法の前文にもあるように)。…中略…永井隆博士が身をもって切に訴える「平和を」という言葉こそが人間としての願いである>

街頭に響く軍拡への大合唱
★だが日本各地での選挙演説から聞こえてくるのは、憲法9条をズタズタにする軍備拡大の恐ろしい大合唱だ。とりわけ日本維新の会は、軍事費の2倍化、核共有、原子力潜水艦の保有、原発再稼働の促進、さらには改憲への日程を決めろとまで言う。まさに自民党顔負け、自民党をけしかける“突撃隊”に変身した。
★岸田総裁も引き下がるわけにはいかない。敵基地攻撃能力の増強、「防衛費」GDP比2%以上を実現し、憲法に自衛隊をしっかり明記すると約束した。公明党や国民民主党も「防衛費」の増額に同調している。
 メディアの表記も含め、よくも「防衛費」などとゴマカスものだ。まさに他国を攻撃する戦争のための「軍事費」ではないか。
★「戦争を放棄し、陸海空軍その他の戦力を保持しない」とする憲法9条を持つ日本が、軍事費を世界1位のアメリカ(104兆円)、2位の中国(38兆円)につづき、第3位11兆円に増強する必要がどこにあるのか。これこそ憲法違反の「戦争ができる国」へのステップに他ならない。

恐ろしい自衛隊の憲法明記論
★また「自衛隊の憲法明記」論も、大きな落とし穴を用意した欺瞞いっぱいの「9条ズタズタ論」に他ならない。なぜか。
 今から7年前、当時の安倍政権がゴリ押しで安全保障法制を成立させた。この法律で自衛隊は、日本が武力攻撃を受けていなくとも、集団的自衛権を行使して、他国の軍隊と一体となって、外国への攻撃ができるようになっているのだ。
★この自衛隊が、憲法9条2項を新設して明記されれば、後にできた法律は前の法律より優位になるという法の一般原則から、元の9条に謳われる恒久平和主義や戦力を持たないという条文が、ほぼ死文化するのは自明である。
★さらに自衛隊が憲法に明記されると、憲政上の重要な機関に位置づけられ、自衛隊の活動は「公共の福祉」に適う事業として、徴兵制や自衛隊のための土地収用も正当化する根拠に使われる危険がある。あな、恐ろしや。大切な一票を「平和」のために。(2022/6/26)
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2022年06月19日

【今週の風考計】6.19─コロナに続いて「サル痘」の襲来か、対策を急げ!

「サル痘」の世界的な広がり
聞きなれない「サル痘」という病気が、この5月以降、世界29カ国1285人に確認された。異例の広がりに危機感が増している。
 「サル痘」は1970年、ザイール(現在のコンゴ民主共和国)で初めて報告されて以降、アフリカ中央部から西部にかけて発生してきた。これまでアフリカ以外では、きわめて感染例が少なかった。
この「サル痘」は、サルやネズミ、リスなどを宿主とするウイルスによるものといわれている。感染した動物に噛まれたり、血液などの体液に触れたりすると人に感染する。日本ではまだ感染例がないものの、これから見つかる恐れは十分にある。
感染した場合、天然痘に似た発疹が、赤い斑点となって皮膚の表面に現れ、水ぶくれとなり、その後カサブタとなって皮膚を覆いつくす。
 天然痘ワクチンの接種を受けた世代では、感染予防、症状の軽症化が知られている。しかし、日本では1976年に天然痘ワクチンの定期接種が中止されている。
そこへ「サル痘」が日本に入ってきたら、もうパニックだ。当面しているコロナ感染だって、収束したとは言えない。国内でのコロナ感染者は1日に1万5千人ずつ増え、累計912万人(6/18現在)、世界では1日に51万人も増え、累計5億4千万人(同)と、いまだに拡大しているのだ。
こうした現実を踏まえ、ついにWHO(世界保健機構)は、恐ろしい「サル痘」の世界的流行の予兆をとらえ、23日に緊急事態宣言の発令が必要かどうか、検討会議を開催する。
 「サル痘」に対して緊急事態宣言が発令されれば、2020年1月30日にコロナ感染症に出されて以来となる。宣言した場合、WHOは加盟国に感染拡大阻止のための措置を勧告し、各国はそれに応じた対策を取る必要がある。

思いつき?「感染症危機管理庁」
岸田政権は、次の感染症危機に備えて、「感染症危機管理庁」を内閣官房に新設する。また米国の疾病対策センター(CDC)の日本版を創設する。
 だが待てよ、デジタル庁や子ども家庭庁といい、名目はかっこいいが、その中身たるやおそまつ限りない。7月10日投票の参院選を視野に「感染症危機管理庁」の新設、ぶちあげたけれど本当に機能するのか。船頭多くして実践プランが伴わず、掛け声倒れの気配が、もう漂ってきている
現に、政府のコロナ感染症対策を検証する有識者会議がまとめた報告書、その一つとっても、これからの感染症対策に役立つ根本的な検討と提案がなされたのか、心もとない限りだ。
 感染症の専門家すら参加せず、首相や閣僚などの政策決定にかかわった関係者への聞き取りも行わず、水際対策の不備、PCR検査の実施遅延、全国一斉休校の是非、安倍元首相が決めた布マスク配布、東京五輪の強行開催など、政策の決定過程にかかわる数多くの疑問にフタをしたままだ。一カ月ほどの拙速議論では、とても検証したとはいえない。
東日本大震災による福島第一原発事故の検証では、国会に第三者委員会が設置され、詳細な検証が行われた。コロナ対策でも第三者委を国会に設置し、検証を続けると同時に、「サル痘」など襲来が予想される「新型感染症」対策に、急ぎ手を打つべきだ。(2022/6/19)
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2022年06月12日

【今週の風考計】6.12─忍び寄る「スタグフレーション」という妖怪

「強制貯蓄」50兆円があるところ
日銀の黒田東彦総裁は、コロナ禍で旅行や遊興に充てる資金が「家計の貯蓄にまわって増えた結果、値上げを受け入れる余地が生まれてきた」という趣旨の発言をした。
 食品や野菜の値上がりに、毎日ヤリクリする国民から、この生活感ゼロの発言に怒りが爆発し、発言撤回・謝罪へと追い込まれた。それも当然だ。秋までにパンやビールなどに加え電気・ガス料金など1万を超える品目が1割以上もアップする。この現実を、どう見ているのか。
そもそも黒田総裁は、コロナ禍によって家計にある「強制貯蓄」50兆円を取り崩せば、値上がりしても商品を購入する消費経済が促進され、その間に低金利による投資刺激策を続けるので、働くものへの賃金も上がり、日本経済は順調に成長するとの考えだ。
待てよ、まず「強制貯蓄」50兆円はどこにあると思っているのか。この2年ほどの間に貯まった50兆円の半分25兆円は、年収800万円以上の高額所得世帯のところにある。400万円以上の所得世帯を合わせれば9割を占める。
 年収200万円未満の世帯では、収入の5.7%しか貯蓄できていないのに、年収1500万円以上の世帯では、収入の65.6%を貯蓄に回している。
すなわち所得が低い家計世帯ほど貯蓄額は低く、しかもその貯蓄を崩してまで物価の値上がりに対応せざるを得ないのだ。しかも低金利で貯蓄の価値が薄れ、コロナ禍がおさまって消費を楽しもうと思っても、虎の子の貯金が目減りしているのだから泣きっ面に蜂だ。
 低所得者も高所得者も区別せず、家計にある50兆円の「強制貯蓄」をテコに、経済成長を図ろうという日銀の発想は、まったく庶民感覚からずれているとしか言いようがない。

どこまで続く<アベノミクス>の泥沼
このほど岸田首相は、「新しい資本主義」の実行計画に基づく「骨太の方針」を閣議決定した。だが、その中身は国と地方の債務残高が1200兆円を超え、赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり100万円の借金を背負わせている現状を放置したままだ。
 プライマリー・バランスの黒字化を目指す財政再建への達成目標すら消えてしまった。
 加えて世界に例を見ない日銀の低金利政策は継続し、<アベノミクス回帰>の財政積極策が一段と強まっている。いつから安倍元首相の軍門に降ったのか。
世界の金融市場は、この事態を見透かしている。円安は加速し、ついに1ドル134円台、20年4カ月ぶりの安値を更新した。円売りドル買いは止まるところを知らない。
 円安が値上げに拍車をかけ、物価高による実質購買力が低下、経済はマイナス成長に陥る「負のスパイラル」が続くのは必至。世界銀行は、日本の2022年の経済成長率は1.7%、今年の1月予測から1.2%も下方修正した。まさに景気低迷と物価上昇が同時に進む「スタグフレーション」が、急速に忍び寄っている。(2022/6/12)
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2022年06月05日

【今週の風考計】6.5─性暴力に賠償命令、もっともっと「その名を暴け」

勝訴判決─女性記者へ1975万円
今から15年前、女性記者が長崎市の平和祈念式典に向けた取材の過程で、市の幹部である原爆被爆対策部長から性暴力を受けた事件が発生。被害者の女性記者が、長崎市に損害賠償を求めた裁判に判決が出た。
 長崎地裁は女性記者に対する当該部長の職権乱用による性暴力を認定し、長崎市に休業補償や慰謝料など1975万円の支払いを命じた。
この長い闘いに取り組んできた女性記者をはじめ、弁護団、新聞労連やMIC、女性民主団体の努力に心から敬意を表したい。そして画期的な勝訴の成果を広げ、「性暴力・加害」を根絶しなければならない。
 先月30日、声明<長崎市性暴力訴訟の勝訴判決を受けて>が発表された。ここには長崎にある18の女性民主団体も加わり、この事件の経過や闘いのポイントが詳述されている。

無責任な対応に終始する長崎市
まず許せないのは、性暴力事件が明るみに出るや、長崎市は事態の本質そらしに走ったことである。当該部長と友人関係にあった市幹部職員らが、市庁舎内および週刊誌メディアなどを利用し、「プライベートな男女関係」という虚偽の風説を流したのである。
 その結果、「性暴力・加害」の事実が隠蔽され、被害者にも責任があるかのように追い込み、被害者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)、あげくに休職せざるを得ない事態に至った。
さらに驚くのは、当該被害者が裁判に提訴する前に、長崎市の了解を得たうえで日弁連に人権救済申立を行い、かつ日弁連が長崎市に勧告したにも関わらず、これを受け入れなかった市の無責任な態度である。
 しかも提訴されてからは、長崎市は性暴力をめぐる事実は不明で、女性記者にも落ち度があったとする「強姦神話」に基づいて「過失相殺」を求め、責任を免れようとした。
こうした経緯を長崎地裁は把握したうえで、長崎市の主張を斥け、女性記者への性暴力と長崎市の損害賠償責任を認定し、判決を下したのである。
 <戦争による核被爆>の長崎市、しかも被爆者救済に取り組む担当部長が、取材に来た女性記者に対して性暴力を振るうなど言語道断だ。当時から現在まで市長を務める田上富久氏らは、この事件の重大さを真摯に受け止めて謝罪し、控訴などせず判決に従うべきだ。

『その名を暴け』─日本も続け!
女性記者や働く女性たちへのセクハラ・性暴力は後を絶たない。ここに書くのもはばかれるような、「週刊文春」が暴くスキャンダルが、永田町でも起きている。
 細田博之・衆議院議長が、女性記者に対して「二人きりで会いたい」「家に来て」とか「添い寝したら教えてあげる」などの発言を、頻繁に口にしているという。また自民党女性職員が、細田先生に「お尻を触られた」と周囲に嘆いているそうだ。
 細田氏は「週刊文春」に対し抗議文書を出し、「通常国会閉会後、訴訟も視野に入れて検討したい」などと反論している。それにしても、もう付ける薬はない。即刻辞任すべきだ。
タイミングよく『その名を暴け』(新潮文庫)も刊行された。サブタイトルに「#Me Tooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」とあるように、「ニューヨーク・タイムズ」紙の女性記者2人が、ハリウッドの卑劣な性的虐待を告発した調査レポートだ。
 口にできず闇に葬られてきた女性たちの性被害や性暴力の告発は、世界の流れだ。もっともっと日本も続け。(2022/6/5)
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2022年05月29日

【今週の風考計】5.29─沖縄の泡盛・イカ墨汁、そして晩酌の一品へ挑戦

息抜きの「読谷食堂」
★日本ジャーナリスト会議の事務所は、東京・JR水道橋駅から徒歩5分、神田・三崎町にある。そこでの会議や作業が終わると、ノドを潤すべく近くの沖縄料理店へ行くことがある。
 「読谷食堂」という。1年半前にオープンした店内には、三線や沖縄民謡が流れる。壁には読谷の残波大獅子という沖縄県内で1番大きなシーサーの写真が貼られている。席に着くと、まずオリオンビールで一息入れる。つまみにスク豆腐。3人ほどになれば、海ぶどう、モズクの天ぷらなどを追加する。
★そして、次は泡盛。定番の<残波プレミアム30度>を頼む。カラカラに2合入って出てくる。この酒器カラカラは、平べったく膨れた腹部の中央に漏斗状の口があり、腹部の端には細長い注ぎ口がついている。沖縄の陶器だ。そこから琉球ガラスでできたグラスに、氷を2かけらほど入れ泡盛を注ぐ。
★ノドが焼けつく心配など無用。スイスイといける。3人ぐらいで飲むと、あっという間にお代わりとなる。腹がすいている御仁は、「ソーキそば」を頼み、ホロホロと肉がこぼれる軟骨ソーキをつまみに、ぐいぐいやっている。泡盛が薄口スープとよく合う。
 筆者は、この店の特番「イカ墨汁入り沖縄そば」を、〆に頼む。なんといっても、沖縄で味わった「イカ墨汁」が忘れられないのだ。

沖縄の味・料理の心
★最近、與那原恵『わたぶんぶん─わたしの「料理沖縄物語」』(講談社文庫)を読んだ。「わたぶんぶん」とは、沖縄の言葉で「おなかいっぱい」。両親が沖縄生まれのノンフィクション作家が、沖縄料理にまつわる思い出を綴るエッセーである。沖縄の本土復帰50周年に合わせて文庫化された。
★長い時間をかけて落花生をすりつぶしてつくる「じーまみ豆腐」。豚の三枚肉をコトコトと炭火で煮込んだ「らふてぇ」。炒め物の味を決めるのは、豚の脂身を大量に鉄鍋でとろとろ煮詰めた「あんだぁ」など、よだれが出てしょうがない。
★続けて古波蔵保好『料理沖縄物語』(講談社文庫)を読む。著者は與那原恵さんの大伯父にあたる。沖縄・首里に生まれ、新聞記者を経てエッセイストとして活躍した著者が、四季折々の沖縄の味を讃え、それを守り育てた沖縄の女性たちの心意気を掬いあげる。

晩酌の一品への挑戦
★さて、こうして書いている筆者は、ただ食べるだけ。料理などしたこともない。このほど伴侶から「晩酌のつまみぐらい、自分でつくりなさい」と、叱られた。参考にと勧められたのが、『笠原将弘のまかないみたいな自宅飯』(主婦の友社)である。
 簡単でつくれそうな一品を探してみると、「豆苗とみょうがの塩こぶあえ」に行き当たった。さっそく挑戦と、スーパーに行く。新玉ねぎが1個150円、2倍の値上がりにはびっくりしつつ、必要な野菜など購入。つくる一品のレシピは次の通り。
 材料1人分:豆苗を半パック、みょうが1個、塩こぶ5グラム、オリーブオイル大さじ1、酢大さじ半分、しょうゆ小さじ半分、炒り白ごま少々。
 つくり方:豆苗の根っこを切り捨て、半分に切る。みょうがは小口切りにする。二つを水にさらして混ぜ合わせ、水けを切る。ボウルに上記の塩こぶ・調味料を入れ混ぜ合わせた後、用意した豆苗とみょうがを加えて和える。器に盛り炒り白ごまを振りかける。
★賞味してみると、意外にうまい。これはいける。ただ、豆苗よりカイワレの方が良いかもしれない。次回には試してみよう。(2022/5/29)
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2022年05月22日

【今週の風考計】5.22─バイデン米大統領が持ってくるお土産≠フ中身

何が話されるのか、長時間の日米首脳会談
「アイペフ」や「クアッド」を引っ提げて、バイデン米大統領が20日から24日にかけ、韓国と日本を訪れる。就任して1年と4カ月、初のアジア訪問となる。米国との同盟関係を深め、ロシアや中国への抑止力を強化するのが狙いだ。
東京では23日、岸田首相との日米首脳会談が行われる。目黒・八芳園でのバイデン大統領への<おもてなし>を、どうするか悩んでいるようだが、それはさておき、「日米で中国を共同抑止」するため、8月に開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、わざわざ中国に対し異例の核軍縮を呼びかける日米共同声明が準備されているという。
さらに岸田首相は、来年、日本で行われる先進7カ国首脳会議(G7サミット)を、初の被爆地・広島で開催するようバイデン大統領に提案する段取りだ。
 待てよ、1カ月後の6月21日から開催される核兵器禁止条約締結国会議へのオブザーバー参加は、ほったらかしか。首相の地元・広島や7月の参院選に向けてのパフォーマンスといわれても無理はない。

バイデン大統領の最大の目的は「アイペフ」設立
さて聞きなれない「アイペフ」や「クアッド」とは何か。「アイペフ」とは、新たに米国が主導して設立する経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を言う。
 日本、オーストラリアに加え韓国や東南アジア諸国の参加を見込んでいる。データ流通のルール作りやサプライチェーンで連携し、地域包括的経済連携(RCEP)に加わる中国への対抗を念頭にした経済圏の構築を目指す。
 バイデン大統領が来日する大きな目的は、トランプ政権時に脱退した「環太平洋連携協定(TPP)」に代わり、この「アイペフ」の設立である。日本としては「ならば米国が唱えたTPPへの復帰を」と考えるのが常識だが、米国は無視。
いまだに「米国第一主義」が蔓延する現状で、もし関税撤廃や引き下げなど、米国市場の開放につながる動きがでれば、米国内からの大反対は必至。バイデン政権といえども、うかつにはTPPへの復帰など口にできない。
 この「アイペフ」という経済圏構想は、米国の関税引き下げがない以上、日本や東南アジア諸国のメリットはわずか。それでも米国に追随して参加とは情けない限り。

「クアッド」がもたらす余波
もう一つ「クアッド」である。米国・日本・オーストラリア・インド4カ国の協力でインド太平洋地域の外交・安全を強化する体制をいう。24日に首相官邸で「QUAD(クアッド)」首脳会合が開かれる。
 しかし、「クアッド」の一員であるインドは、中国を最大の貿易相手国とし、かつ武器やエネルギーをロシアから購入している。中国やロシアへ一定の配慮をしているだけに足並みがそろうのか、メドが立たない。
 オーストラリアも物価高騰に見舞われ、21日の総選挙でモリソン首相が退陣、野党に政権が交代するという混乱が続く。
どれだけ「クアッド」による安全保障が、東アジアの平和に寄与するのか。しかも「クアッド」を発展させ、韓国や台湾、カナダまで加えた「アジア版NATO」構想すら浮かび上がってきているという。
 こうした中国包囲の色彩が強まる軍事戦略的「クアッド」が進めば、中国はどう対応してくるか、これに参加する日本にも、すぐ難題が迫ってくる。(2022/5/22)
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2022年05月15日

【今週の風考計】5.15─「侮辱罪」が狙う危ない内容・その<罪と罰>

現在、施行されている「侮辱罪」を、さらに厳罰化する刑法改正案が、審議に入って間もないのに、18日にも法務委員会で採決される。
 ネット上で中傷を受けた女子プロレスラーの死を受けて、現行の侮辱罪の法定刑「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」を重くし、「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」などの懲役刑を導入し、法定刑の上限を引き上げるという内容だ。
だが、その審議が進むにつれ、「侮辱」の規定のあいまいさや警察が執行する際の判断基準など、恣意的な運用への懸念から批判が高まっている。
 次第に「政治家への正当な批判を萎縮させ」、“権力批判封じ”に利用したい思惑や<言論・表現の自由>を侵害する改悪案の正体が、明らかになりつつある。
とりわけ怖いのは、「侮辱罪」の刑罰の上限が「懲役・禁錮」に引き上げられることにより、警察による現行犯逮捕は「想定せず」との政府統一見解があろうとも、通常逮捕は広く可能になることだ。今までの「侮辱罪」とは全く異質なものになる危険性である。

この間、国会でなされた政府答弁が、如実に、その正体を暴露している。「総理は嘘つき」との発言は、侮辱罪に該当するか? という野党議員の質問に、法務省刑事局長は「侮辱にあたるかどうかは答えられない」と明言を避けた。
 ということは「総理は嘘つき」との発言は、「侮辱」として判断され、場合によっては逮捕され、懲役刑が科される可能性があることを示している。
3年前、安倍元首相が札幌で街頭演説している際、「安倍辞めろ」などのヤジを飛ばした市民が、北海道警の警察官に排除された問題について、札幌地裁が、道警の違法性を認め88万円の支払いを命じる判決を出している。
 それにも関わらず、「北海道警の対応は適切だったのか」との国会議員の質問に、二之湯国家公安委員長は、「北海道警察のヤジ排除の処置は正しかったと思っている」と明言した。これはヤジを飛ばした市民にも、今回の「侮辱罪」が適用され、逮捕のうえ「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」に科せられる事態がありうるのだ。

「侮辱罪」にあたるかどうか判断するのは警察・検察の捜査当局だ。時の権力の恣意的な判断により、市民や政治家のヤジ・言説・論評・批判が弾圧され、逮捕・勾留へとつながる危険性が高まっている。
 さらにライターや出版社に対し、「名誉棄損」を理由とした巨額の損害賠償請求訴訟、いわゆる「スラップ訴訟」が増えている。「侮辱罪」の厳罰化によって、本来尊重されるべき「言論・出版の自由」を脅かす刑事告訴・告発が濫用され、捜査対象になる危険が拡大する。
そもそも「侮辱罪」の厳罰化が、ネット上の誹謗中傷対策になるのだろうか。今回の法改正は、ダイレクトメッセージやメール、LINEなどでの誹謗中傷は処罰対象にはならないといわれている。
 日本弁護士連合会はプロバイダ責任制限法を改正し、発信者の情報を開示する要件の緩和、損害賠償額の適正化など、「民事上の救済手段の一層の充実を図るべき」と訴えている。まず政府は救済策の拡充に取り組むべきだ。(2022/5/15)
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2022年05月08日

【今週の風考計】5.8─「伊東祐親まつり」と世阿弥との不思議な出会い

この連休、伊豆各地をブラリ・のんびり回ってきた。まず伊東駅に降り、バスで小室山へ向かう。海や大島を望む山頂へのリフト乗り場は、すでに長蛇の列。諦めて山の中腹から40種類・約10万本ものツツジを眺める。だが見ごろは過ぎ、北西の方向に富士山が青空を背に雄大な姿を現しているのが、せめてもの救い。
気を取り直し咲き終えたツツジや葉桜の下をくぐり、ツバキが植わった園内にある富士見亭の名がつく庵で小休止すると、姿は見えないがウグイスの鳴き声が聞こえてくる。まわりの木には花もないのに、なぜ木から木へと移って鳴くのだろう、気になった。
市街に戻ると、「伊東祐親まつり」のポスターが目につく。NHK大河ドラマ<鎌倉殿の13人>に登場する伊東祐親だ。すでにドラマでは自害して退場しているが、この14日から15日にイベントが開催される。

伊東祐親について検索してみたら、三女・八重姫が、なんと敵方の源頼朝と恋仲となり千鶴丸を生むものの、祐親の命によって死に追いやられる。さらに頼朝を巡って北条家とも敵対関係に陥る。長男の祐泰は相撲の神様といわれる怪力の持ち主。そしてその子・五郎十郎は父・祐泰および祖父・祐親の仇を討つ「曽我物語」の主人公だと分かった。
この「曽我物語」の由緒にも関わる「伊東祐親まつり」は、有形文化財に指定された東海館を背に、松川の流れに特設舞台を設け、篝火を燃やして伊東祐親を偲びながら、幽玄な「薪能」が繰り広げられる。
 今年の演題は、まず狂言「蟹山伏」、野村萬斎が演ずる。これも検索すると、山伏と強力の二人が山中で蟹の精に出会い、耳を挟まれた強力を助けようと、山伏が懸命に念力をかけるが効かず、山伏まで耳を挟まれるというお話だ。数年前、この舞台で萬斎が演じた「蚊相撲」を見たとき、その軽妙なしぐさが思い浮かぶ。
メインは、能「鵺(ぬえ)」である。またまた調べると、旅の僧が川近くのお堂に泊まった際、源頼政に殺された「鵺」の亡霊が現れ、自らの救いのない滅びへ至る運命を切々と語る。そして「鵺」の亡霊は成仏を願いながら、夜の川波に消え失せる、というストーリー。伊東祐親の運命とも重なる。
 『平家物語』の文章を、ほとんどそのまま生かして作詞がなされ、戦いに敗れた者の悲しみを作曲した、世阿弥の傑作だという。

そして帰宅した翌日の朝刊をめくると、驚くなかれ、世阿弥に触れたエッセイに出会った。愛読している<ねんてん先生の文学のある日々>(赤旗5/6付)である。世阿弥が知られるようになったのは、『風姿花伝』が発見された明治41(1908)年、死後465年もたってからだという。松尾芭蕉も正岡子規も「世阿弥をまったく知らなかったらしい」と、ねんてん先生は驚いている。
筆者もビックリ、伊東で目に入った<祐親まつり>のポスターから、思いが及んだ世阿弥。ますます生涯が知りたくなる。購入しようか迷っていた藤沢周『世阿弥最後の花』(河出書房新社)を、さっそく読んでみよう。(2022/5/8)
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