2021年03月18日

【スポーツ】 被災地逆なでの聖火リレー=大野晃

 東京五輪の聖火リレーが3月25日に関係者だけの静かな出発式で、密やかに福島県のJヴィレッジをスタート。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策で無観客というが、まるで東日本大震災の被災地を刺激しないように、沿道の大きな歓声が制限される中を聖火が運ばれるようだ。
  大震災から10年たっても復興道半ばで、苦闘が続く被災地には、逆なでする「復興五輪」の宣伝に映りかねない。 被災地支援に動いてきた競技者たちを悩ませる。
 組織委員会によれば、121日間かけて全国859市区町村を巡る予定で、緊急事態宣言などが発令中の地域では、公道でのリレーを見送り、無観客の点火式だけ実施するという。
 しかし、東京周辺で開幕直前に公道以外を走る芸能人ランナーの走行場所確保など、調整は難航しているらしい。
 聖火リレーは、1936年ベルリン五輪へ向けてナチス・ドイツが始めたもので、五輪の政治利用の典型だった。しかし1964年東京五輪へ向け日本が盛大に催し、五輪の重要行事になった。
  筆者も高校生で参加した経験を持つが、五輪の理念や意義を学校で学び、平和の使者を気取って、誇り高く走ったものだ。
 半世紀がすぎて、辞退者が続出する歓迎されない行事に転じてしまった。
 学校や地域で子どもたちに、理念や意義がしっかり教えられることがなく、世界中から多くの人々が集まって交流する機会のない五輪では当然かもしれない。
 強引に政府などが強行する政治的行事が、国民の五輪開催機運に逆効果なのは間違いない。五輪そのものが歓迎されなくなる恐れもあり、競技者は追いつめられる。
 マスメディアは、政治利用を厳しく監視しながら、五輪の意義と競技者、応援する国民の関係を改めて問い直す必要があるだろう。 開催の相乗利益を狙って煽るだけでは、国民の不信を増幅させるばかりだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月09日

【スポーツ】ゲーム以外のスポーツ 楽しさイマイチ続く=大野晃

 緊急事態宣言下の2月20日に、ラグビーのトップリーグが開幕した。
 当初の1月16日開幕が、直前の検査で、新型コロナウイルス感染症に6チーム68人が陽性で1カ月延期されたが、5000人以下の観客制限で実施された。
 期間短縮で8チームずつ2組のリーグ戦と、下部リーグ上位を含めた20チームのトーナメント戦で王座を争う。
 2年前のワールドカップ(W杯)日本大会の熱気を再現し、来年からプロ化した新リーグへ移行するのに弾みをつける狙いの最後のリーグで、W杯で活躍した競技者が多数参加したのが特徴だ。
10人の新人を加え、王者・南アフリカ代表6人、3位ニュージーランド代表7人など、下部リーグも含めてベスト4など7代表計23人が顔をそろえ、日本代表とともに、初戦から高レベルのプレーを見せている。
  ニュージーランド代表を操り、W杯で人気を集めた世界一の技とスピードのバレットがサントリーの進撃に拍車をかけ、同じ代表の守りの要のスミスが神戸製鋼を支えて、W杯の興奮を呼び起こした。W杯人気沸騰で意気込んだところへコロナ禍に襲われ、世界的スターの手助けで、満を持しての開幕だが、観客制限では、プロ化の成否の予測が難しく、悩み多き挑戦である。
 
 プロ野球やJリーグでは、外国人競技者の入国制限に頭が痛い。
国内トップ競技の国際化が進む中で、逆戻りしそうな出入国制限は、東京五輪パラリンピックにも深刻な影響を与えそうだ。
  2月26日にはJリーグも開幕したが、無策の政府による長引く規制で、国内プロ競技の将来が見えにくい。 ラグビーの欧州6カ国対抗戦が無観客で開幕したが、一部延期。
 米国のバスケットは大幅な観客制限で開催されたが、正常化の見通しは立たない。コロナ禍の2年目に入って、競技者やファンは、先の見えない不安を一層高めている。
  一方で、スマホゲームの疑似スポーツが広がっているという。人間的なスポーツの楽しみは、危うさが続く。
 大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月19日

【スポーツ】 理念すら否定の五輪、開催は無理=大野晃

 森喜朗・東京五輪パラリンピック組織委員会長の女性蔑視発言は、五輪パラリンピックの理念を無視し、強引に大会開催を目指す組織委員会や東京都、国、さらには日本オリンピック委員会(JOC)の実態を露呈した。
 森会長の暴言に、抗議も辞任要求もしなかったことで、海外マスメディアなどによる国際的な批判を浴びている。
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は黙認したが、開催関係者による五輪理念の尊重がおざなりだったことを実証し、開催資格に大きな疑義が生まれ、3月のIOC総会に向け、女性が増えたIOC委員や競技者を送り出す各国オリンピック委員会の批判が高まるのは必至だ。
 元首相として10年以上も前からラグビーやサッカーのワールドカップや五輪を連続開催して活力ある日本を示す国家運動を推進してきた森会長は、実利優先で、理念は添え物程度の認識なのだろうが、それ自体が時代錯誤であり、曲がり角の五輪は、国際的信頼を確保するために、理念を重視せざるを得ない。

  性差別撤廃は最重要課題であり、女性参加を促進し、東京五輪全種目の51%に出場可能へと拡大した。
 にもかかわらず、中心的理念に敵対する考えを示すリーダーによる大会の運営は、コロナ禍であえて開催する意義の喪失につながり、競技者はじめ、支援ボランティアたちに、目標を見失わせる許しがたい暴挙である。 
  安倍晋三前首相の原発汚染水処理の欺瞞により開催権を搾取した疑念は消えず、コロナ禍の対応に疑問を抱かせる五輪開催が、理念にすら否定的では、開催は無理と世界は認識したに違いない。
  沈黙するJOCへの不信は、竹田恒和前会長の招致買収疑惑もあって、増幅する可能性がある。理念を軽視して、関係者の監視を怠ったマスメディアの責任は大きい。
 競技者が大きな声をあげない限り、東京五輪パラリンピックは幻の大会となりそうだ。
 大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月08日

【スポーツ】厳しい判断を強いられる春が訪れる=大野晃

 暦の上では立春を過ぎ、春の選抜高校野球の出場校が決まり、プロ野球やサッカーJリーグの開幕前キャンプが始まって、球春が訪れた。
 例年なら、ファンには、わくわくする季節の到来なのだが、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言下で、無観客のキャンプインが強いられ、チームやファンの不安を募らせている。
 スター競技者の仕上がり具合や新戦力の成長などに一喜一憂し、ひいきチームの躍動に胸躍らせて、マスメディアの報道などを基にした予想にかまびすしいのが恒例だったが、今年は、不自由な生活の中で、それどころではない、寂しさだ。
  米大リーグ・ヤンキースから田中将大投手が、東日本大震災から10年の節目に、楽天に復帰するのも話題だが、喜んでばかりはいられない。
 キャンプ地が集中する沖縄では、県独自の緊急事態宣言で、プロ野球巨人がキャンプ参加者のPCR検査センターを提供するなど、地元に配慮しながら、感染拡大防止対策を徹底する練習生活を余儀なくされている。競技者の自律が強く求められ、ファンや地元民との楽しい交流もできない。
 
 2月下旬から4月に向かって、桜の開花と足並みをそろえ、春のスポーツシーズンを迎えるが、その準備は手探りの状態にある。
 2月20日に延期されたラグビーのトップリーグ開幕や26日のJリーグ開幕、3月14日の大阪から東京・国技館に移した大相撲春場所初日、さらに19日の選抜高校野球開幕、そして26日のプロ野球開幕が、正常に進むのかは、いまだ霧の中だ。
  感染拡大状況によっては、中止、延期、中断や無観客、観客制限の覚悟が必要だ。 
 東京五輪・パラリンピックの開催は、国際オリンピック委員会や国、東京都が「予定通り」を繰り返すばかりで、具体策は示されないままにある。国民生活を顧みず、経済利益と面子にこだわって遅れた政府対応のおかげで、スポーツ関係者に厳しい判断が迫られる春が来る。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月21日

【スポーツ】 延期や中断、勇気をもて=大野晃

 1月16日開幕予定のラグビーのトップリーグが、直前の検査で、6チーム計62人の新型コロナウイルス感染症の感染が確認され、あたふたと、2月以降へ延期された。
 来年度からプロ化した新リーグへの移行が計画され、人気盛り上げを狙ったが、予期せぬ感染拡大で、出鼻をくじかれた。
 大相撲は、横綱・白鵬の感染など横綱不在のうえ、4部屋計65力士が感染や濃厚接触の疑いで休場したが、初場所を1月10日から開催した。
 サッカーJリーグやプロ野球は、2月から3月の開幕に向け、1月中から2月1日の春季キャンプ入りを、計画どおり実施する方針という。
 競技団体の多くは、昨年の感染拡大で、中止や大幅な試合減、そして無観客や観客制限を強いられ、今年こそはと意気込んだが、無策な政府の緊急事態宣言下で、元旦からの競技会も無観客や観客制限が継続されて、春からは計画どおりに競技会を開催しようと、はやっているようだ。

 ラグビーや相撲は濃厚接触が特徴の競技であり、競技そのものに感染不安を生んでいる。
 競技者の安全第一の競技会開催とは、わかっていても、若者の無症状が多い感染症だけに、厄介な問題で、判断がむずかしい。
 とはいえ、感染拡大以前の、恒例に沿った開催計画には無理があるようだ。競技会開催には、テレビや新聞などマスメディアの思惑が複雑に絡む。
 それでも、競技団体は、競技会開催計画を全面的に見直す必要があるのではないか。競技者や関係者は、長期的な競技会継続のため、自主的に、延期や中断する勇気が必要だろう。
 マスメディアは商業主義利用を反省し、競技会の存続を危うくする困難さに直面している競技関係者の意志を尊重しなければなるまい。
 東京五輪・パラリンピックも同様だ。競技者や競技団体とともに、マスメディアの危機意識が問われる。
 マスメディアに厳しい目が注がれる年の初めである。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月12日

【スポーツ】 冬の風物詩に異変=大野晃

 元旦から、駅伝、サッカー、ラグビーなど屋外競技の日本一争いに熱戦が続いた。
高校、大学、実業団の競い合いで、プロ競技とは違った、ひたむきな奮闘が特徴だった。サッカー全日本選手権とラグビー高校大会はともに100回目、サッカー高校選手権は99回目、箱根大学駅伝は97回目と、長い歴史と伝統を誇る競技会が集中した。
 それは、高校生や大学生、実業団が挑むアマチュア競技が、古くから日本スポーツをリードしてきたことを物語る。寒風をものともせず、沿道やスタンドで声援を送る多くのファンの姿とともに、正月の風物詩になった。
 アマチュア競技の清新さに触れ、すがすがしさを体験することが、初詣に通じる、年頭の気分一新を国民に実感させたからだろう。
  しかし、節目の今年は、風物詩に異変が起こった。
 都市部での、昨年末からの新型コロナウイルス感染症の爆発的感染拡大により、沿道での応援や観客の大幅な制限、さらに無観客での競技会が強いられた。競技者の家族たちも、晴れの舞台に、多くが臨めなかった。
 心を一新できない不安な年明け。
 集団感染などで昨年、一時的な活動停止に追い込まれた競技者たちが少なくなく、練習不足は否めなかったものの、それでも、静まり返る競技場などで懸命なプレーを展開していた。
  しかし、こたつに入って、テレビなどの映像でしか触れないのでは、臨場感に乏しく、ゲームのように勝ち負けにはこだわっても、感動のシーンをともに歓喜することはできなかった。
 延期された東京五輪の開幕まで200日を切ったが、このままでは五輪を迎える気にはなれないのが、多くの国民の本音だろう。
 五輪を目指す競技者たちにも、動揺は起こっている。スポーツ風景が生活に溶け込んで、季節を感じる時代に、逆行する不幸。
  政府などの無策な感染対応は、日本のスポーツ文化を危うくし、国民の精神生活をも蝕んでいる。
大野晃(スポーツジャーナリスト)


posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月01日

2020年日本と世界のスポーツ回顧2=大野晃

[日本スポーツの特徴]
1、20年東京五輪・パラリンピックの1年延期で膨れる経費など難問続出

 ◎開催延期で、施設の確保などに、ホストタウンを含め、各地で問題が噴出し、延期しても同じコースで行われる予定の聖火リレーにも影響が出ている。
◎東京五輪・パラリンピックの追加経費は、2940億円に上り、東京都が1200億円、国が710億円、大会組織委員会が1030億円を負担することになった。会場施設の追加利用料や人件費など延期経費が1980億円、新型コロナウイルス感染症対策費が960億円で、大会経費の総額は延期前の1兆3500億円から1兆6440億円に増えた。コロナ対策費は都と国で原則2分の1ずつとした。
大会時の感染症対策センターと検査体制整備は国が全額持つ。
組織委は予備費として計上していた270億円を投入し、保険の収入500億円を充て、残りはスポンサーの追加拠出などを見込む。
国が負担するホストタウンへの補助など400億円は直接運営に関わる大会経費から外し、暑さ対策や道路整備などと同じく関連経費扱いとした。大会関連経費を含めれば、3兆円を超えると試算される。
◎代表や代表候補の競技者たちは、国立トレーニングセンターが一時使用できなくなって、練習場を制限され、自宅でのトレーニングなど工夫し、ファンとの通信を通じて、懸命な努力を続けた。

2、バスケットボールも公営ギャンブルに
◎批判の多いサッカーくじの対象にバスケットボールのBリーグを加え、単一試合くじを盛り込んだ法改訂が決まった。
コロナ禍でプロ競技の経営難の中で、公営ギャンブル化が強まった。

3、大坂なおみが人種差別抗議の意志を示しながら全米オープン2回目の優勝
◎テニスの全米オープン女子シングルスで大坂なおみ(22歳)が2年ぶり2回目の優勝を果たした。4大大会での勝利は2019年全豪オープン以来で通算3勝目。
◎大坂は、1回戦から試合の入場時などに、差別を受けた黒人被害者の名前を入れた黒色のマスクを着け、人種差別撤廃へのメッセージを発信し続けた。黒人差別への抗議行動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」への支持を呼び掛け、「私はアスリートである前に黒人女性」と、競技者の社会的使命の重要性を体現した。

4、プロ野球は観客制限で大幅な観客減
◎プロ野球は、約3カ月遅れの6月19日に無観客で開幕し、その後、5000人から、球場定員の50%までの観客制限で、約140日間で120試合をこなした。
セ・リーグは、巨人が2年連続38回目の優勝を飾ったが、総観客数は275万4626人で、前年より約8割の大幅減となった。
◎パ・リーグは、ソフトバンクが3年ぶり19回目の優勝を果たした。
優勝を競り合ったロッテは、終盤に感染者が出て戦力ダウンしたことが響いた。総観客数は206万8952人で、過去最多だった昨季の1166万9891人から激減した。
◎日本シリーズは、ソフトバンクが巨人に初戦から無傷の4連勝で、4年連続11回目の優勝を飾った。
◎労組日本プロ野球選手会は2020年度の年俸調査結果(出来高分を除く)で12球団の支配下登録選手727人の平均年俸が4189万円となったと発表した。前年度比204万円増で1980年の調査開始以来の最高額となり、初めて4000万円台に到達した。しかし、観客減などで、全体のダウンは避けられなくなった。(→続きを読む)

(→続きを読む)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月31日

2020年日本と世界のスポーツ回顧1=大野晃

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、世界スポーツは長い休眠状態に陥った。
 世界保健機構(WHO)は中国での感染拡大で1月末に緊急事態を宣言し、3月初めにはパンデミックを宣言した。
 日本政府は、4月に非常事態宣言し、その後、解除したが、感染は拡大する一方である。年末までに世界の感染者は、8000万人を超え、死者は175万人以上となった。
 日本でも感染者は22万人を超え、死者は3300人に達した。感染拡大防止策で、各国で、出入国制限や移動規制、外出自粛、日常生活での密閉、密集、密接の回避が求められ、人と人とに距離を置くことが強いられた。
 これでは、スポーツは、することも、見ることも自由にできない。
 東京五輪・パラリンピック開催は、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と安倍晋三首相の思惑で1年延期されたが、国際競技会が相次いで中止された。
 五輪やパラリンピックを目指した競技者たちは、練習がままならない生活を余儀なくされた。欧米のサッカー、野球などのプロ競技は、無観客試合から観客制限試合に追い込まれ、試合数の大幅減少などで、大損失の興行が続いた。
 日本でも、一時的な全面禁止から再開されても、プロ興行は無観客から観客制限を強いられ、プロ競技は苦境に立たされた。
 大学、高校スポーツは、一時的に停止され、再開されても、春夏の甲子園の高校野球全国大会など歴史と伝統を持つ多くの競技会が中止された。全国高校総合体育大会も中止となった。市民スポーツは大幅に制限された。
 感染拡大は、第1波から第3波へと激しく進み、年末に最悪の状態となって、国民はコロナ禍で、21年のスポーツライフを展望できない不安に包まれた。
 スポーツ・マスメディアは感染拡大防止策により、自由な取材が制限されたこともあり、真実に迫る姿勢を欠いた。(→続きを読む)


(→続きを読む)
posted by JCJ at 02:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月22日

【スポーツ】 五輪 競技者の意思確認を=大野晃

  果たして2021年東京五輪・パラリンピックは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に収束が見えない中で、開催すべきか。
  世界の五輪・パラリンピック代表競技者の意志が問われる新年となる。開催して欲しいや出場したいだけでなく、大会の意義を重視した、競技者としての判断である。
 バッハ会長など国際オリンピック委員会(IOC)理事会や東京五輪組織委員会は、感染対策を徹底すれば開催できると強調するが、開催すべき理由を明確にしていない。
 「競技者第一」が基本とすれば、代表たちの意志が最重要である。
  日本オリンピック委員会(JOC)などが、代表たちの意志を集約しているかは疑問であり、世界への発信がない。開催運営組織やマスメディアは、開催できるかばかりを探っている。
 五輪などの最大の意義は、競技を通じて世界の競技者が連帯し、世界平和を目指すことにある。大会は、世界の友好と連帯を求めて、多競技の世界中の競技者が、競技の枠を超えて、絆を強固にする舞台である。
 競技力を競うだけなら、世界選手権やワールドカップなどの単一競技会で事足りる。
 競技者の出入国が厳しくチェックされ、選手村滞在がわずかの期間に限られ、毎日のような感染検査漬けのうえ、他競技や他国代表などから隔離され、競技以外の自由が制限されて、友好交流の場と言えるのか。
 開催を断念しても、五輪精神を生かして、連帯を強める他の方法はないのか。まずは、開催国の競技者から問題提起すべきだろう。そして、世界の競技者たちと十分に協議することが不可欠だ。
 JOCや各国のオリンピック委員会などは、競技者の意志を確認する場を作り、尊重しなければなるまい。IOCは、五輪が競技者の努力なしには成功しないことを再認識し、興行優先から脱却する必要がある。
  当事者の沈黙は、五輪・パラリンピックを内から危うくする。
 大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

【スポーツ】 バスケもギャンブル化=大野晃

  批判の多いサッカーくじの対象を、バスケットボールのBリーグにも拡大する法改訂が決まった。
 多くの反対を押し切って強引に導入された、文科省が胴元の公営ギャンブルは、20年余りを経て、反省のないまま対象競技を広げ、試合ごとの賭けなどを認める、より射幸心をあおる姿に変質する危険が強まった。
 2002年ワールドカップ開催をにらみ、スポーツ振興を名目に、Jリーグを対象にして、全試合の勝ち負けを予想する形で始まったサッカーくじだが、当たりが少ないことなどから売り上げが伸びず、スポーツ助成が先細りとなり、一時は廃止の声もあがった。
 それでも、予想を必要としない宝くじのような形など、さまざまな商品が売り出されたが、売り上げは頭打ちで、プロ野球を含め、多くの競技への拡大が企図されていた。
 しかし、ギャンブルだから、八百長の誘いなど競技者への悪影響が懸念され、二の足を踏む競技が多かった。はずれた試合結果に怒って、競技者が中傷される事態も海外では報告された。
 くじ不振の背景には、スポーツ振興は国が責任を果たすべきとの国民意識の高まりがあり、国民のスポーツ権を明記したスポーツ基本法が生まれた。
 しかし、国の振興策は五輪でのメダル獲得に偏重して、国民全体のスポーツの発展は、おざなりにされてきた。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策で観客制限などに追い込まれたJリーグでは、少なくないクラブの存続が危ぶまれ、Bリーグは8割近いクラブが赤字の危機にあるという。
 とりわけ、東京五輪後の国のスポーツ振興策が見えず、公営ギャンブルからの特別の支援を期待しても不思議はない。
 スポーツはギャンブルに頼れ、と言わんばかりの国の姿勢を日本維新の会や立憲民主党までが手助けして、国内競技の将来を危うくしている。
 弱みにつけ込むような、競技者と競技を歪める恐れのある公営ギャンブル化の促進は、カジノ誘致と同様に、健全な国民生活の発展を阻害する
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月24日

【スポーツ】 感染規制で厳冬のプロ=大野晃

  寒さがつのり、新型コロナウイルス感染症の急激な再拡大が懸念される中で、プロ競技界は厳しい越冬を強いられそうだ。
試合減で、無観客から観客制限のプロ野球は、収容人員の50%までの制限が来年2月まで継続され、満員の観衆は夢と消えてシーズンを終える。
 レギュラーシーズン中の総観客数の激減は明らかで、パ・リーグの発表では、昨シーズンのわずか18%にまで、急激な落ち込みが記録された。
 テレビ放映権収入などがあるにせよ、入場料が収入の柱に違いないから、昨シーズンまで上向いてきた球団経営の急降下により、そのしわ寄せが競技者の収入減に及ぶことを予想させる。
 労組日本プロ野球選手会の調査によれば、今年の支配下登録選手727人の平均年俸は4189万円で、初めて4000万円台に到達したという。
 それだけに近づく契約更改が悩ましい。サッカーJリーグは球団も多く、さらに深刻で、球団存続のために、競技者による報酬の一部返納の動きも出ている。
 大相撲でも、稽古不足による休場力士が続出し、収入減は少なくない。
プロ競技ではなくとも、プロ契約の競技者が増加しているから、競技会の中止や観客制限は競技団体の経営を圧迫し、競技者の生活に跳ね返ってきている。
 競技者たちは不自由ながらも、ファンとともに競技ができることを楽しみ、ファンを励ましてきたと自負しているようだが、競技生活の不安は限りなく大きい。
 欧州のサッカー界などでも深刻さを増しているが、各国は対応を検討しているようだ。
 ところが日本は、国が、感染対策とはいえ、規制を求めたのだから補償するのが当然だが、スポーツには対応を示していない。マスメディアもまた、プロ競技の経営や競技生活への関心は鈍い。
 スポーツ文化の担い手たちの国民生活での位置づけに、根本的な問題がありそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月10日

【スポーツ】 五輪拠点で感染騒動=大野 晃

 五輪代表の強化拠点である東京のナショナル・トレーニングセンターで合宿中だった体操の金メダリスト・内村航平さん(31)が、PCR検査で陽性が確認されたと発表された。
 10日後に控えた東京での体操の国際大会を目指す日本代表合宿での2回目の検査結果で、同センターでは初めての新型コロナウイルス感染症の感染確認だった。
 体操ニッポンをリードしてきた実績のあるベテランが五輪拠点で感染したと、五輪代表たちに衝撃を与えた。
 ところが、再検査で一転、陰性が発表され、数日間の個室隔離と体操場の使用禁止にとどまり、関係者は胸をなでおろした。
 同大会は東京五輪延期決定後、初めての国内での五輪競技国際大会で、中国、ロシア、米国からの参加者を含め、毎日の検査で安全を見極める東京五輪の実験の場とされていた。
 競技者を検査漬けにしても、結果次第で競技中断の騒ぎになる難しさを示し、感染対策の万全を期す強化拠点も例外でないことは、選手村のあり方など五輪開催へ不安材料となった。
 横浜スタジアムでの観客制限緩和の技術検証が行われるなど、来年の東京五輪へ向けての開催実験が始められているが、東京などで感染拡大の収束は見えず、危うさをともなっている。
 政府や組織委員会は、さまざまな制限緩和を急いでいるが、競技第一の姿勢が貫かれていると言えるのか。
 競技者やファンの安全、安心を改めて重視することが求められる。
 米大リーグでドジャースが32年ぶりにワールドシリーズを制し、日本も、セ・リーグで独走しながら足踏みしていた巨人が2年連続で、パ・リーグは12連勝したソフトバンクが3年ぶりに王座に就いた。
 ファンには、安全を確認しながらの我慢のシーズンだったが、競技者の熱意を支えてきた。
 競技や観客に負担を強いても五輪開催能力や競技力を誇示しようとする国威にこだわるスポーツ祭典を、競技者やファンは、望んではいない
大野 晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月23日

【スポーツ】 競技者に負担強いる国際大会強行に疑問=大野晃

 国際体操連盟が11月8日に東京で国際大会を開催するという。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大で2020年東京五輪1年延期決定後、国内で初めての五輪競技の国際大会である。
  体操の強豪だが、感染が拡大した中国、ロシア、米国の代表が参加して日本代表と競い2000人までの観客を見込んでいる。
 外国代表は72時間以内のウイルス陰性証明書を持参し、入国時にも検査。入国後2週間の待機は免除されるが、公共交通機関を使わずにホテルと競技場の往復などに行動が制限され、毎日検査を受けるとしている。
 出入国制限している国からの入国を特例で認めるが、延期された東京五輪運営の試験とされていることが気になる。
 東京五輪開催の不安を表面的に消すための政治的色彩が強い。競技者の人体実験とまでは言わないが、強引に安全宣伝するのは、GOTOキャンペーンとどこか似ている。
 五輪開催へ向けて、政府や組織委員会の強引さが目立ち始めている。各国代表を検査漬けにして、五輪開催を強行する腹づもりなのだろうか。国際交流が制約されてトップ競技者が悩んでいるのは、世界中で全競技に共通しているが、安心、安全を犠牲にできない。
 五輪の意義は、世界の競技者が競技を通じて交流し、友好連帯を強めることで世界平和につなげることにある。
 開催国や都市の運営能力や競技力を誇示する場ではない。五輪の観衆が求めているのは、競技者の高い技能や仲間とともに競技に取り組む姿勢を目の当たりにして、人類の到達点や国際協調の重要性を再認識することだろう。
 焦らず、入念に、それらの条件を十分に整えることこそ、五輪開催都市の使命である。
 「アスリート・ファースト」を軽々しく口にして、競技者に負担を強いる強引な開催を目指すのは、感染拡大対策に動かずに、自助を強調する政治姿勢に通じる。厳しい監視が必要だろう。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月13日

【スポーツ】 コロナ禍を契機に競技環境が好転も=大野晃

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策で、観客制限などを余儀なくされたプロ競技が、未曽有のシーズンの大詰めを迎えている。
大坂なおみが全米オープンテニスで2年ぶり2回目の優勝を飾ったのに続き、極端に試合数を減らした米大リーグで、復活したダルビッシュ投手が8勝をあげ、日本人史上初の最多勝に輝いて、カブスの地区優勝に貢献した。感染拡大の勢いが止まらぬ米国で、日本人競技者が活躍した。
 日本のプロ野球では、巨人の菅野投手が開幕から最長新記録の13連勝し、セ・リーグ独走を支えた。
 大相撲では、中止となった夏場所で朝乃山が大関昇進したのに続き、秋場所で正代が初優勝して大関となった。
 一方、プロ野球の阪神は、集団感染の相次ぐ発生で波に乗れず、大相撲は、三段目力士が感染死する不幸に見舞われ、秋場所は両横綱はじめ休場者続出だった。
 コロナ禍の明暗を分けたのは、練習不足が避けられない中での、競技者の気構えと鍛錬の工夫や集団の力を引き出すことにあった。
 総合力を競ったプロ野球では、出場機会を生かした若い力の伸長が目立った。ピンチをチャンスに変える頼もしさを持っていた。それはベテランの冷静な意欲にも表れていた。
 自律的な生活態度とプレーへの集中が重要だった。どこかに甘えやミスがあれば、成功は覚束ない。古い体質からの脱却が不可欠になった。
 観客制限は、貴重な観戦機会となったファンにプレーへの集中を促し、静かだが、熱っぽい応援が続いた。競技者も、ファンも、競技を楽しむ喜びを、改めて実感したようだ。
 それは、球団などの経営に大きな影響を及ぼした。利益優先から、競技者やファン第一の知恵が求められた。中止に追い込まれた社会人、大学、高校では、競技会のあり方が見直されている。
 政府の無策による不自由なコロナ禍を契機に、スポーツ界の先導で、競技環境が好転する可能性もある。
大野晃(スポーツジャーナリスト)

posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月07日

【スポーツ】 人間的な主張が競技者を強くする=大野晃

 全米女子オープンテニスで2年ぶり2回目の優勝を飾った大坂なおみさんの意志の強さが際立った。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、十分な練習ができなかったが、蓄えた力を存分に発揮し、試合中の動揺を抑えて、勝ち抜いた。
 驚かされたのは、人種差別による黒人犠牲者たち一人一人の名前を書いたマスクを着けて、無観客の7試合に姿を見せ続けたことだった。
 静かだが、試合に臨む社会的意志を明確に示し、ミスプレーで投げやりになる悪いクセを乗り越えた黒い肌が耀く22歳である。
 黒人男性が白人警官に銃撃された人種差別に抗議して、前哨戦の準決勝を棄権して騒がせたが、出場し、テレビ映像などでの意志表示に転換し、「差別への問題意識を世界中の人に持ってもらいたかった」と強く訴えた。競技者である前に人間であることの自己表現だ。
 国家利益を優先した競技の政治利用が批判されることは多いが、平和の希求や差別の撤廃は大坂さんが言うように人権問題である。五輪精神の根源でもある。
 スポーツ人気が高い米国では、黒人競技者の活躍が顕著だが、白人社会の差別意識は根深い。
 1968年メキシコ五輪では表彰台での黒人競技者の人種差別抗議が非難された。バスケットなどプロ競技者の人種差別抗議行動も批判されてきた。
 大坂さんを苦々しく思う政治家などはいるだろうが、差別を拒否する競技者の強固な意志は、五輪運動を前進させる。
 人類の発展に寄与するスポーツの価値を高める。
 社会的使命を自覚したトップ競技者の意志は、競技への気構えを鍛え、競技力までも強めることを、大坂さんは証明した。
 競技をそこなう独善的な意思表示は問題をはらむが、人間的な主張を抑えて、自由に競技へ専念することなどありえない。
 社会的人間である競技者を、家族や支援者との関係に閉じ込めようとしてきたマスメディアへの警鐘でもある。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号


posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月16日

【スポーツ】 自由で自主的な文化気運が拡大=大野晃

 6月に3カ月遅れの無観客で開幕し、7月から5000人以下の観客制限で続行されたプロ野球は、9月に入って後半戦の王座争いを迎えた。
 過密日程が総合力の勝負を促した。投手陣のやり繰りがむずかしく、失敗すれば大差の敗北となったが、新戦力の台頭もあって、競り合いの強さが重きをなしている。スリルに富んだ面白さが、ファンの興奮を呼んだ。
 セ・リーグは巨人がリードし、パ・リーグでソフトバンクとロッテが首位を競っているが、大詰めへ向け激戦が続きそうで、王座は予断を許さない。
 新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底し、競技者たちの感染検査を怠らず、自覚的な予防姿勢が白熱戦を生み出している。 
 プレーによる感染の危険は少ないため、濃厚接触の少ない競技では、屋内での競技や市民スポーツでも、競技会などが本格化してきた。
 全国的な感染拡大の地域差は大きく、感染の少ない地域では、濃厚接触の多いラグビーでも、高校生の公式戦がスタートした。
 それでも東京など都市部の感染拡大は収束が見えず、不安は消えない。
 感染拡大対策の最中に、安倍首相が病気を理由に辞任して、投げ出した政府の対策に空白が続き、関連自治体も手をこまねいてきた。
 そんな中で、競技者や競技団体が、自主的に競技を継続させる意欲を見せていることが特徴的だ。スポーツ文化を守る姿勢が広がっている。
 感染拡大が続く欧米だが、競技ファンは多く、過密日程の米大リーグ野球では、復活したダルビッシュ投手(カブス)など日本人競技者が活躍している。
  欧州のサッカーも熱戦が続く。自衛により文化を絶やさない競技者たちの意志は世界共通に違いない。コロナ禍が、自由で自主的なスポーツ気運を拡大している。
  猛暑がおさまりつつあり、台風被害の危険はあるが、スポーツの秋本番に向かい、知恵と工夫のスポーツライフが発展しそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月19日

【スポーツ】 楽しむ環境条件の再検討を=大野晃

 長い梅雨が明けて、猛暑が続いた。
 新型コロナウイルス感染症の感染対策に加え、屋外でのスポーツにも危険をともなう悪条件が重なった。
 それでもプロ野球やサッカーJリーグなどプロ競技は観客制限で継続し、高校野球は、中止となった全国大会の代替試合が炎天下で繰り広げられた。
 さらに、涼しい高原などでの夏季トレーニングはウイルス感染症対策で自粛に追い込まれ、多競技で猛暑の中での鍛錬が続いた。
 マスメディアは、悪条件を乗り越える競技者の強い希望や意志を伝え、美談仕立てでもあった。 しかし、なぜ子どもまでが、悪条件でも競技に挑まざるを得ないかの分析は、表面的に流れていた。
 災害で荒れる梅雨から熱中症の危険をはらむ猛暑へ連続する気象条件は、地球温暖化を背景に、今年特有ではなく、恒常化すると気象関係者は危惧している。
 1年延期された東京五輪・パラリンピックが、悪条件下で開催されることは、十分に予想される。悪条件開催は、巨額資金で放映権を握る米国テレビが引っ張ったと批判するマスメディアだが、猛暑の中での高校野球を推進して顧みない。ご都合主義と映って不思議はない。
 かねてから、学校教育の一環に固執する文科省指導により、夏休み期間限定の全国大会が、不健康な条件下での競技を、子どもたちに強いていると批判されてきたが、一顧だにされなかった。
 極端に短縮された夏休み前の、猛暑の中での体育授業で、熱中症に襲われた児童も出た。ウイルス感染症対策で、競技に取り組む環境条件がさまざまに制約された中でこそ、改めて競技を楽しむ環境条件を多方面から再検討し、健康なスポーツライフを構築する道筋を見出すべきではないのか。
 文科省の硬直した対応をただし、スポーツ基本法に基づくスポーツ庁の行政責任だろう。
 競技団体の最重要課題であり、マスメディアの姿勢も問われる。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月04日

【スポーツ】 運動不足列島≠フ恐れ=大野晃

 新型コロナウイルス感染症の感染再拡大が全国的に進む中で、当初の東京五輪開幕に併せて新設された祭日を加えた4連休を前に、混乱した政府の観光旅行キャンペーンが強行された。
 休校が続いた学校は、極端に短縮された夏休みに入ったところもある。しかし、観光地でも感染不安は消えず、経済・社会活動の復活ばかりを求める行政に批判が高まっている。
 梅雨明けの盛夏は、自然の中で思い切り体を動かし、暑さを吹き飛ばす爽快感を満喫する太陽の季節だが、観光キャンペーンから除外された東京では、再び不健康な巣ごもりを強いられた。
 しかも、海外旅行は特別の理由がなければ禁止されたまま。国内の海水浴場の多くは開設されず、プールも制限付き。山小屋が閉鎖されているので、登山やハイキングも、ままならない。
 プロ野球やJリーグ、大相撲は観客制限解除が見通せず、拍手応援にとどまり、暑気払いの大騒ぎはできない。
 東京の感染再拡大で国立トレーニングセンターでの東京五輪代表の合宿練習を中止する競技が相次ぎ、プロ競技を中心にスポーツが再開されたものの、縮小制限に逆戻りしそうな状況が強まっている。
 政府や東京都の感染対策放置が続き、東京五輪の1年延期開催を危ぶむ深刻な声が広がった。我慢強い国民とはいえ、長引く梅雨のうっとうしさに加え、豪雨災害の危険も消えず、熱中症が気がかりな猛暑の中で、欲求不満が募っている。
 しかし、医療関係者の警告を無視して、新たな対策に動かず、自衛を訴えるだけの政府や自治体に振り回され、判断の迷いが広がり、日常生活の安定化は、さらに遠のいた。
 感染の地域差が目立ち、拡大する一方の都市部と新たな感染がない地域の対立感情すら生んでいる。
 生活にスポーツが欠かせないことが実感されてはいるが、その環境条件は狭小化するばかりで、気軽に取り組めず、運動不足列島となりそうな夏季休暇入りである。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月23日

【スポーツ】 拍手で再開も不安拡大=大野晃

 プロ野球開幕に続き、サッカーJリーグも再開。大相撲7月場所が始まり、限られた観客の応援を受けながらプロ競技が正常化を目指した。大声や大騒ぎは厳禁で、拍手による応援が繰り広げられた。
  大騒ぎしないだけ、試合に見入るファンが多く、プロ競技の応援風景が様変わりした。拍手応援で、新たな競技者との一体感を模索するファンの変化は、競技者と国民の新しい関係を生み出す契機となるかもしれない。
 ところが、プロ競技の再開直後から、東京を中心とした首都圏や大阪などで、自粛要請解除前に逆戻りしたように新型コロナウイルスの感染確認が急増し、国民生活の不安は一気に拡大した。
 しかも、梅雨の豪雨で九州中心に大災害が発生し、政府や自治体は自衛を訴えるばかりで、対策が皆無に近かったから、不安はさらに広がった。
 そのうえ政府は、感染再拡大を過小評価して、観光旅行を促進し、生活不安を無視した姿勢に不満が噴出した。
 見るスポーツや旅行の再開は、さまざまな自粛要請に疲れた国民のストレス解消につながるはずだが、生活不安が募る中で、気軽に楽しめるわけがない。
 安倍政権は、感染対策や災害対策を投げ捨てて、「現実を見ずに適当に楽しめ」と強要するようなもので、国民の安心、安全第一をおざなりにした。
 安心、安全な生活があってこそ、スポーツは楽しめる。だからファンたちは、感染対策のさまざまな制約をがまんしてスタンドに足を運び、指示に従いながら、新しい楽しみ方を試していた。
 マスクを着けてのランニングなど不自由なスポーツスタイルでも受け入れてきた愛好家たちが少なくない。
 経済活動第一の行政姿勢に、裏切られたと思って不思議はない。制限付きのスポーツ再開は、行政と生活の関わりを一変させる動機ともなりそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)

posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月14日

【スポーツ】 再開後に不安つのる=大野晃

 プロ野球が無観客で開幕した。
 パ・リーグでロッテが8連勝を記録するなど新鮮な競い合いや新戦力の活躍が注目を集めた。ホームチームが応援録音を球場に流すなどして、競技者の全力プレーを盛り上げた。
 サッカーのJリーグも無観客で再開され、家庭で映像を目にするだけでもファンの興奮を呼んだようだ。
 テレビ中継やスポーツ・マスメディアに触れる限りでは、プロ野球やJリーグ一色に近い日常が戻ったように錯覚させた。
 ところが、皮肉にも、東京を中心に新型コロナウイルスの感染確認は、自粛解除以前に逆戻りしたように急増が続き、市民生活の不安は高まった。
 安倍政権も小池都政も警戒を訴えるだけで対策を示さずに放置したから、国民の不安は募って、7月10日から観客を入れても、客足が減りかねない。
 スポーツを楽しむには、安全、安心な生活が第一だが、行政の無策は、プロ競技の発展に暗い影を落とした。練習を再開した東京五輪代表たちも見通しが立たないことで、ベテランの引退表明が相次いだ。
 甲子園を目指した高校野球の大会中止による代替試合が始まったが、感染防止対策を徹底して、球児の保護者や関係者だけが見守る寂しさだった。
 長い自宅待機が強いられ、運動不足解消に動き出したい国民が大多数となったが、草の根の市民スポーツは、どう再開するか揺れ動いている。国民に自衛を求めるだけの国や自治体の投げやりな態度は、再開された企業活動や営業だけではなく、国民の日常生活に大きな戸惑いを生んでいる。
  そこへ梅雨の豪雨災害が拡大し、熱中症拡散の恐れも重なり、再開後の不安は広がるばかりで、より一層、将来を見通せなくしている。
 プロ競技再開が生活の励ましになるどころか、競技を見て騒いでいて良いのかとファンを動揺させ、張り切っている競技者をも不安にさせた。
 国や自治体の怠慢が、混乱を長引かせたと言えそうだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
posted by JCJ at 01:00 | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする