2026年01月09日
【焦点】日本外し≠ナ米中連携も 学会票失い自民ピンチ 維新切り捨て国民民主と連立? 星野氏オンライン講演=橋詰雅博
日中対立、物価急騰、円安でインフレ加速、バラマキによる財政悪化への不安、防衛費増額―悪材料が多いのに高市早苗政権の支持率の高さはちょっと異常だ。初の女性首相、派手なパフォーマンス、ストレートな物言い、対中強硬姿勢が若者や30、40代の働く世代に受けているという。だが高市政権は、内憂外患に違いない。11月24日のJCJオンライン講演に出演した政界を長年ウオッチするTBSコメンテーター・星浩氏は日中関係の展望、1月解散総選挙の有無などを話した。
こじれる日中関係について星氏は「トランプ米大統領は来年4月に訪中する。このとき日中がまだモメ続けていたら中国の習近平国家主席との会談で自国ファーストのトランプ氏は『米中で手を組んでうまくやろうぜと』と持ち掛ける。日本外し≠ニいう最悪の展開になる。この数カ月間で対中関係を修復させる必要がある」と述べた。
とはいえ日本に名案はなく、「高市発言はシミュレーションに過ぎず、『一つの中国』を理解・尊重する1972年の日中共同声明に基づく考えに変わりはないと中国側に言い続けるしかない」と星氏は指摘。ただ、「この問題だけで高市首相が辞任することはない」という。
解散5、6月有力
政権の高支持率、上向く自民党支持率、この機を逃さず高市首相は1月に解散総選挙に踏み込むという見方が広まっている。「1月総選挙では、26年度予算成立が4月にズレ込み、景気が冷え込む可能性が高い。経済界も反対でしょう。5月か6月解散が有力」(星氏)。
自民党は総選挙で勝てるのか。
「公明党の選挙母体、創価学会は、各小選挙区で数千から2万の票を持っている。公明の連立離脱でこの票が自民からごっそり抜ける。それだけではなく、抜けた学会票が立憲民主党にシフトしたら、自民と入れ替わり立憲候補者が当選というケースも出てくる。自公連立解消は、自民に大きなデメリットです」「連立を組んだ日本維新の会の票は、大阪界隈。自民にメリットはない」「国政選挙3回目の参政党は、幸福の科学と浅からぬ関係があるようで、勢いが衰えなければ保守票をさらに奪う。くわれるのは自民です」
「その上に経済低迷なら自民は苦戦する」と星氏は予測した。
維新と組んでもうま味がないと分かれば自民は維新を切り捨て自民に未練がある玉木雄一郎代表が率いる国民民主党と新たに連立を組むかもしれない。
悪くない岡田氏
「平和」と「福祉」の党として原点回帰の公明に関し星氏は「政策が近い立憲と国民民主を公明が束ねることができたならば、政権交代も夢ではない」と述べた。
「台湾有事は日本有事」―高市首相発言を引き出した立憲の岡田克也元外相は「あんな質問した岡田が悪い」とネット空間でバッシングされた。さらに読売新聞は11月13日付社説で岡田氏を批判。星氏の意見はこうだ。
「『しつこく首相に見解ただした』『安保政策を政局に利用するのはもってのほかだ』と社説に書いていた。『しつこく』は主観的な表現で論理的ではない。『安保政策』を問いただすのは野党の最大任務。おかしくない」。
戦争に巻き込まれたくないは庶民の願い。それを叶えるのがメディアの役割ではないか。社説にその視点が欠けているように思えた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年01月02日
【焦点】レアアース回収とミサイル発射 南鳥島で国家事業が始動 対中政策の一環=橋詰雅博
東京から1900qの日本最南端の小笠原諸島・南鳥島が今年2026年、注目される。というのは小さな島内で2つの国家事業が展開されるからだ。一つは内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環としてレアアース(希土類)を含む泥の処理施設が設置される。SIPは、探査船を用いて、1月から南鳥島沖合で泥を回収する試験採鉱を行う。レアアース泥を積んだ運搬船は島まで運ぶ。施設では泥の塊からレアアースを分離・精錬。内閣府は27年2月から本格スタートするこうした実証試験の整備費として25年度補正予算で164億円をSPIに計上した。
南鳥島沖合にはレアアースを含む豊富な泥があることが判明している。EV自動車などハイテク産業に必須のレアアースは、世界の生産量の7割を中国が占める。日米の貿易交渉で有利に進める武器≠ニして中国は利用しようとしている。国産レアアースが安定的に得られたら、中国主導の貿易から逃れられる可能性が高い。
もう一つ、防衛省は陸上自衛隊が保有する「12式地対空ミサイル」の射撃場を整備する。このミサイルは地上から海上の艦艇に攻撃するもので、射程100`を超える射撃場の整備は国内で初めて。すでに小笠原村へは計画を説明済みで、2026年以降、年数回訓練を実施する見込み。台湾有事を視野に入れた演習だ。
実はこの南鳥島は、核のゴミの地層処分の適地に挙げられたことがある。
4年前、文化庁芸術祭優秀賞を受賞したドキュメンタリー番組「ネアンデルタール人は核の夢をみるか〜核のごみ≠ニ科学と民主主義〜」の制作した北海道放送報道部デスクの山ア裕侍氏は、22年1月号のJCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」の寄稿で、こんな秘話を明かしている。
<あるイベント会場で顔を合わせたルポライターの鎌田慧さんが「核のごみの文献調査が進んでいるけど、南鳥島が適地だという説があるのを知っているかい?」と山アさんに尋ねた。山アさんが初めて知ったと答えると、数日後、鎌田さんがファックスで送ってくれたのは南鳥島が適地と紹介した静岡県立大学の尾池和夫学長のエッセイだった。>
番組では南鳥島案を最初に提案した平朝彦・前海洋研究開発機構理事長を取材し、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)がその提案を蹴ったことを明らかにした。
レアアース回収施設とミサイル射撃場を備える南鳥島。核のゴミの地層処分の適地としては残念ながら幻に終わった。
南鳥島沖合にはレアアースを含む豊富な泥があることが判明している。EV自動車などハイテク産業に必須のレアアースは、世界の生産量の7割を中国が占める。日米の貿易交渉で有利に進める武器≠ニして中国は利用しようとしている。国産レアアースが安定的に得られたら、中国主導の貿易から逃れられる可能性が高い。
もう一つ、防衛省は陸上自衛隊が保有する「12式地対空ミサイル」の射撃場を整備する。このミサイルは地上から海上の艦艇に攻撃するもので、射程100`を超える射撃場の整備は国内で初めて。すでに小笠原村へは計画を説明済みで、2026年以降、年数回訓練を実施する見込み。台湾有事を視野に入れた演習だ。
実はこの南鳥島は、核のゴミの地層処分の適地に挙げられたことがある。
4年前、文化庁芸術祭優秀賞を受賞したドキュメンタリー番組「ネアンデルタール人は核の夢をみるか〜核のごみ≠ニ科学と民主主義〜」の制作した北海道放送報道部デスクの山ア裕侍氏は、22年1月号のJCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」の寄稿で、こんな秘話を明かしている。
<あるイベント会場で顔を合わせたルポライターの鎌田慧さんが「核のごみの文献調査が進んでいるけど、南鳥島が適地だという説があるのを知っているかい?」と山アさんに尋ねた。山アさんが初めて知ったと答えると、数日後、鎌田さんがファックスで送ってくれたのは南鳥島が適地と紹介した静岡県立大学の尾池和夫学長のエッセイだった。>
番組では南鳥島案を最初に提案した平朝彦・前海洋研究開発機構理事長を取材し、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)がその提案を蹴ったことを明らかにした。
レアアース回収施設とミサイル射撃場を備える南鳥島。核のゴミの地層処分の適地としては残念ながら幻に終わった。
2025年12月27日
【焦点】「2国家解決」困難 ガザ 無力な対米追従の日本 毎日新聞 大治朋子氏講演=橋詰雅博
ガザ紛争の停戦はまやかしか、それともかの地に希望の光が差し込こむのか――イスラエルによるガザ地区でのパレスチナ人のジェノサイド(集団殺害)に国際社会は非難。これに呼応し英、仏、加、豪のG7がパレスチナ国家承認を国連総会で表明した。日米は非承認だが、国連加盟約8割はパレスチナ国家を承認。トランプ米大統領もノーベル平和賞欲しさからかガザ紛争に和平介入し恒久的停戦に向けて進んでいるかのように見える。国連で採択のパレスチナとイスラエルが共存する「2国家解決」は結実するのか。エルサレム支局長とテルアビブ大学大学院時代などを含めイスラエルに約6年半暮した毎日新聞専門編集委員・大治朋子氏=写真=は10月25日JCJオンラン講演で和平の実現性やイスラエル人の国家観、日本にできることはなどを報告した。
旧約聖書を信じる
ガザ紛争の根源はイスラエルがパレスチナに建国し、パレスチナ人は土地を奪われ難民に―これが一般的な歴史認識だろう。イスラエルは「占領した」に対し二つの理由を挙げて反論していると大治氏はいう。ユダヤ系イスラエル人(人口の約73%)は、ユダヤ教の経典、旧約聖書から立ち上げられた独自の物語の歴史認識を小学生低学年から学んでいる。簡単に言えば、古代イスラエル王国(紀元前1000年ごろから同922年、今と同じエルサレムが首都)は、現在のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸にユダヤ民族が築いたのだから、ユダヤ人が住む権利があるという信仰だ。
大治氏は「来日のイスラエル経済産業大臣に『西岸地区でイスラエル軍が破壊行為していますね』と尋ねると、『旧約聖書ではこの土地はユダヤの民のものです』と答えました。イスラエルではこの歴史認識が共有されている」と述べた。
これが一つ目の理由だが、事実と物語がミックスの旧約聖書が根拠では、非ユダヤ民族は納得できないだろう。
悪いのはどっち?
二つ目は1948年イスラエルの独立に反発したアラブ諸国との第一次中東戦争を止めるため国連で採択されたパレスチナの分割案をアラブ側が拒否したこと。イスラエルは国連案に従わなかった「アラブ側が悪い」としている。しかしこの案はイスラエル側の土地の方が多く、「『いきなり来て建国し、土地を半分も取っちゃって』とパレスチナが思うのは当然でしょう」と大治氏は語った。
この案を作った国連を批判すべきではないか。
第4次まで続いた中東戦争に勝つたびにイスラエルは土地を拡大。93年のイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)がパレスチナ国家建設に協力して取り組む「オスロ合意」は守られず、事実上、破綻。かくしてパレスチナ自治区ヨルダン川西岸とパレスチナ組織ハマスが実行支配するガザ地区の2カ所がイスラエルに点在した。
日本の現実を痛感
23年10月7日のハマス戦闘員による越境攻撃でイスラエルも「安住の地」とは言えなくなったとするユダヤ人のハマスとガザ住民への怒りは消えない。「『ガザに無実の民間人はいない』と回答した人が約3分の2占めたイスラエルの世論調査結果もあります」(大治氏)。
「2国家解決」について、大治氏は「イスラエルのネタニヤフ連立極右政権も国民も「『国家として承認しパレスチナが軍隊を持ったらもっと危なくなるじゃないか』という感覚を持っています。2国家解決の選択肢は全くない」と指摘した。
イスラエルとは経済交流し、パレスチナには資金・物資・人材の支援をする日本は解決に向けて何かできないのか。大治氏は「対米従属の日本が独自にやるというのはまずない」と断言した。
日本の対米追従の現実を改めて思い知らされた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年12月19日
【焦点】吉村代表面目丸つぶれ、定数減成立は不透明 切り捨ての維新、党存亡の危機=橋詰雅博
国会議員定数削減は来年の通常国会で継続審議となった。庶民が求める企業・団体献金禁止の審議を脇に追いやり突然提出した日本維新の会の削減案は、特別国会での成立を維新は主張したが、思惑が完全に外れた。自民党との連立で手柄をたてようとした吉村洋文代表は面目丸つぶれ、低迷する支持率はさらにダウンという可能性もある。
そもそも議員定数を削減する必要があるのだろうか。現在、衆参両院の合計議員定数は713で、ピークの1980年代後半から約50減った。12月5日付日経新聞コラム「十字路」で「議員定数削減で社会は良くなるか」と見出しが付けられた筆者の大和総研常務執行役員の鈴木 準氏によると、人口一人当たりの国会議員数を日本と比べると、ドイツは1・4倍、フランス、イタリア、カナダは2倍前後、英国は3・6倍。米国は日本の4分の1強と非常に少ないが、国立国会図書館の資料では、フルタイム雇用の秘書が議員一人当たり下院で平均15人、上院で30〜50人いて、議員補佐する体制が格段に充実している。
「数十億を浮かせた衆院議員の1割削減を見て留飲を下げる国民は少数だろう」「議会に望まれるのは、国民所得を拡大させて社会の閉塞感を打破する歳出構造をつくる務めを果たすことだ」と述べている。
河野洋平元自民党総裁も「国会議員は国民の代弁者。その代弁者の削減は一考してもらいたい。欧州と比べて日本は多いとはいえない」とメディアのインタビューに答えている。
定数削減にやる気がない自民党なので通常国会でも成立するかどうか不透明。補正予算で国民民主党と公明党が賛成に回ったことで、自民党は維新との連立を解消し本命≠フ国民民主党と新たに連立を組ことに動き出しているようだ。
切り捨ての維新、党存亡の危機に直面か。
そもそも議員定数を削減する必要があるのだろうか。現在、衆参両院の合計議員定数は713で、ピークの1980年代後半から約50減った。12月5日付日経新聞コラム「十字路」で「議員定数削減で社会は良くなるか」と見出しが付けられた筆者の大和総研常務執行役員の鈴木 準氏によると、人口一人当たりの国会議員数を日本と比べると、ドイツは1・4倍、フランス、イタリア、カナダは2倍前後、英国は3・6倍。米国は日本の4分の1強と非常に少ないが、国立国会図書館の資料では、フルタイム雇用の秘書が議員一人当たり下院で平均15人、上院で30〜50人いて、議員補佐する体制が格段に充実している。
「数十億を浮かせた衆院議員の1割削減を見て留飲を下げる国民は少数だろう」「議会に望まれるのは、国民所得を拡大させて社会の閉塞感を打破する歳出構造をつくる務めを果たすことだ」と述べている。
河野洋平元自民党総裁も「国会議員は国民の代弁者。その代弁者の削減は一考してもらいたい。欧州と比べて日本は多いとはいえない」とメディアのインタビューに答えている。
定数削減にやる気がない自民党なので通常国会でも成立するかどうか不透明。補正予算で国民民主党と公明党が賛成に回ったことで、自民党は維新との連立を解消し本命≠フ国民民主党と新たに連立を組ことに動き出しているようだ。
切り捨ての維新、党存亡の危機に直面か。
2025年12月17日
【焦点】公明の連立解消「本当の理由」、「渡りに船」と飛びついた維新の事情=橋詰雅博
11月24日(月祝)JCJオンライン講演に登場したTBSコメンテーター・星浩氏は、26年間の自公連立から公明党が離脱した「本当の理由」を2つ挙げた。
高市早苗首相は神社本庁と保守グループ日本会議が強力な支持基盤。公明の選挙母体の創価学会は、この2つのグループと長年ライバル関係にある。星氏は「神社本庁が本宗(ほんそう,すべての神社の上に立つ)と仰ぐのが伊勢神宮。戦前、創価学会の前身『創価教育学会』初代会長の牧口常三郎氏は、伊勢神宮に対する不敬罪兼治安維持法で逮捕され獄死している」と述べた。日本会議の方は、宗教団体生長の家が母体で、創価学会とは路線の違いからそりが合わなかった。「学会にとって神社本庁も日本会議もいわば宿敵=v「学会の意向で自民との連立は無理でした」―これが星氏の見方だ。
もう一つは、公明の「生みの親」である池田大作創価学会名誉会長が2年前に死去したこと。1969年の言論出版事件などで池田は国会での証人喚問を要求されていた。「池田を証人喚問から守るのが公明の最大ミッション」(星氏)。池田の死去でミッションから解放され、自民と連立を組む理由が消えた。
また星氏は、日本維新の会が自民党と新たに連立を組んだ「事情」も話した。
維新は地盤の大阪から全国に支持拡大をめざし2024年総選挙で候補者164人を擁立した。しかし、当選者は小選挙区で23人、比例区で15人の合計38人と公示前より6議席減だった。全国展開は完全に失敗。落選者は120人を超え、この人たちを次の国政選挙までどう面倒を見るか頭を悩ませていた。「立憲民主党などは落選者に生活費として一定金額を支給しているが、維新にはその余裕がない。途方に暮れる人が多かった」と星氏はいう。
そこに自民から連立の話が持ち込まれ維新には「渡りに船」だった。星氏は「次の総選挙では、小選挙区は連立を組む自民候補者を応援するので、『落選者を推せません』と維新は言い訳ができる。面倒を見る必要がなくなった。つまり切り捨てたのです」と語った。
自民から離れた公明、逆にくっついた維新、次の総選挙でその選択の結果が出る。
高市早苗首相は神社本庁と保守グループ日本会議が強力な支持基盤。公明の選挙母体の創価学会は、この2つのグループと長年ライバル関係にある。星氏は「神社本庁が本宗(ほんそう,すべての神社の上に立つ)と仰ぐのが伊勢神宮。戦前、創価学会の前身『創価教育学会』初代会長の牧口常三郎氏は、伊勢神宮に対する不敬罪兼治安維持法で逮捕され獄死している」と述べた。日本会議の方は、宗教団体生長の家が母体で、創価学会とは路線の違いからそりが合わなかった。「学会にとって神社本庁も日本会議もいわば宿敵=v「学会の意向で自民との連立は無理でした」―これが星氏の見方だ。
もう一つは、公明の「生みの親」である池田大作創価学会名誉会長が2年前に死去したこと。1969年の言論出版事件などで池田は国会での証人喚問を要求されていた。「池田を証人喚問から守るのが公明の最大ミッション」(星氏)。池田の死去でミッションから解放され、自民と連立を組む理由が消えた。
また星氏は、日本維新の会が自民党と新たに連立を組んだ「事情」も話した。
維新は地盤の大阪から全国に支持拡大をめざし2024年総選挙で候補者164人を擁立した。しかし、当選者は小選挙区で23人、比例区で15人の合計38人と公示前より6議席減だった。全国展開は完全に失敗。落選者は120人を超え、この人たちを次の国政選挙までどう面倒を見るか頭を悩ませていた。「立憲民主党などは落選者に生活費として一定金額を支給しているが、維新にはその余裕がない。途方に暮れる人が多かった」と星氏はいう。
そこに自民から連立の話が持ち込まれ維新には「渡りに船」だった。星氏は「次の総選挙では、小選挙区は連立を組む自民候補者を応援するので、『落選者を推せません』と維新は言い訳ができる。面倒を見る必要がなくなった。つまり切り捨てたのです」と語った。
自民から離れた公明、逆にくっついた維新、次の総選挙でその選択の結果が出る。
2025年11月25日
【焦点】中露蜜月関係*{当か 中国は「敵」とみなす―ロシア内部文書で警戒 米NYT報道=橋詰雅博
ウクライナに侵略以降、米欧などから経済制裁を受けるロシアを陰に陽に支援する中国。米国への対抗を隠さない両国は蜜月関係≠ニ言われる。11月17日モスクワ訪問中の中国の李強首相とロシアのプーチン大統領の会談でも、中露の貿易協力を引き続き発展させることを確認した。米欧の制裁でロシア産原油輸出先の先細り打開に向けて輸出継続を探る協力を惜しまないと李首相は約束したとされる。ロシアと中国の友好関係は深まる一方で、軍事・経済の協力は黄金時代≠ノ入ったとプーチン氏は公言しているという。
しかし、ロシアは腹の底では中国を信頼していないどころか「敵」とみなしているというロシアの機密文書を入手した米紙ニューヨーク・タイムズは6月7日付電子版で報じた。NYTと提携する朝日新聞は特集記事翻訳を8月10日付紙面で掲載。それによると、国内治安機関「連邦保安局(FSB)」が2023年から24年初頭にかけて文書を作成されたとみられる。8nの内部文書は、中国情報当局の活動をかつてないほど詳細に明らかにしている。
具体的には@ロシアの政治権力中枢に近い政府関係者や専門家、ジャーナリスト、ビジネス関係者を取り込む、Aウクライナ侵略で西側と戦うロシアの戦争の実態把握、特にドローン活用法や相手国の新型兵器への対抗情報入手に躍起、B遅れている航空技術を挽回するため軍パイロットや航空流体力学、制御システムなどの研究者に接近、C民間軍事会社ワグネルの戦闘員が持つ経験を自国の軍隊や、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカで活動する民間軍事会社に活用する、D自国の工作員が帰国すると、すぐに、ウソ発見器による検査を実施するほか、中国に滞在の2万人ロシア人学生の監視を強化し、中国人配偶者を持つロシア人をスパイ候補として勧誘―などだ。
こうしたことからロシア情報機関幹部らは、中国の情報活動を「潜在的な敵」として心に刻み、中国への警戒心は絶対に解かないとしている。
もちろんロシアも対中国への情報活動を怠っていないはずだ。
国同士の付き合いは信頼と不信とが混じる、これはいつの世も変わらない。蜜月関係をうのみにしてはならないのだ。
しかし、ロシアは腹の底では中国を信頼していないどころか「敵」とみなしているというロシアの機密文書を入手した米紙ニューヨーク・タイムズは6月7日付電子版で報じた。NYTと提携する朝日新聞は特集記事翻訳を8月10日付紙面で掲載。それによると、国内治安機関「連邦保安局(FSB)」が2023年から24年初頭にかけて文書を作成されたとみられる。8nの内部文書は、中国情報当局の活動をかつてないほど詳細に明らかにしている。
具体的には@ロシアの政治権力中枢に近い政府関係者や専門家、ジャーナリスト、ビジネス関係者を取り込む、Aウクライナ侵略で西側と戦うロシアの戦争の実態把握、特にドローン活用法や相手国の新型兵器への対抗情報入手に躍起、B遅れている航空技術を挽回するため軍パイロットや航空流体力学、制御システムなどの研究者に接近、C民間軍事会社ワグネルの戦闘員が持つ経験を自国の軍隊や、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカで活動する民間軍事会社に活用する、D自国の工作員が帰国すると、すぐに、ウソ発見器による検査を実施するほか、中国に滞在の2万人ロシア人学生の監視を強化し、中国人配偶者を持つロシア人をスパイ候補として勧誘―などだ。
こうしたことからロシア情報機関幹部らは、中国の情報活動を「潜在的な敵」として心に刻み、中国への警戒心は絶対に解かないとしている。
もちろんロシアも対中国への情報活動を怠っていないはずだ。
国同士の付き合いは信頼と不信とが混じる、これはいつの世も変わらない。蜜月関係をうのみにしてはならないのだ。
2025年11月21日
【焦点】 議員削減、維新の地盤大阪ではこうなった=橋詰雅博
高市早苗首相と日本維新の会の藤田文武共同代表との11月17日会談で連立合意書に盛り込んだ衆議院定数比例区一割削減について、高市首相は「非常に強い意志を持って両党の約束を果たす」と明言した。民意を十分に反映せず、比例当選が多い中小政党を潰す議員削減を自維政権は実現に意欲を示している。
政治とカネ問題を隅に追いやった維新の議員削減は、地盤の大阪で実行済み。2011年の府議選で過半数を得た維新は、それ以降、定数112議席を15年に109に、23年には79まで減らした。その結果、53選挙区のうち最大4人区は3選挙区、1人区が36と拡大。小選挙区が多数になったことから、支持層が厚い維新有利が確実になった。案の定、23年府議選では、全有権者の26%の得票なのに維新が7割もの議席を占めた。大阪市議会でも23年に81から70に議席減、25%の得票で維新は6割超の議席を得た。
府も市も維新が牛耳る議会に転落し、万博が実行され、カジノ建設が着々と進行中。国からの巨額な税金を投入させ大阪を潤いさせる「副首都構想」実現を自民党にのませた。
「あかん!カジノ」女性事務の川本幹子さんは、こう語っている(新婦人しんぶん11月22日付)。
「維新の『やりたい放題』は驚くべき暮らし破壊。病院の統廃合、病床削減がもたらした医療ぜい弱さが、新型コロナ感染で全国一の死者を出したのです。府立高は3年『定員割れ』になると統廃合の対象という条例で、昨年までで21校、40年までにさらに32校減らす計画です。『公教育にカネをかけるな』と言いたいのでしょう」
維新が議員削減に踏み込んだ大阪。暮らしに悪影響が出ている。衆議員削減はその二の舞にならないだろうか。
政治とカネ問題を隅に追いやった維新の議員削減は、地盤の大阪で実行済み。2011年の府議選で過半数を得た維新は、それ以降、定数112議席を15年に109に、23年には79まで減らした。その結果、53選挙区のうち最大4人区は3選挙区、1人区が36と拡大。小選挙区が多数になったことから、支持層が厚い維新有利が確実になった。案の定、23年府議選では、全有権者の26%の得票なのに維新が7割もの議席を占めた。大阪市議会でも23年に81から70に議席減、25%の得票で維新は6割超の議席を得た。
府も市も維新が牛耳る議会に転落し、万博が実行され、カジノ建設が着々と進行中。国からの巨額な税金を投入させ大阪を潤いさせる「副首都構想」実現を自民党にのませた。
「あかん!カジノ」女性事務の川本幹子さんは、こう語っている(新婦人しんぶん11月22日付)。
「維新の『やりたい放題』は驚くべき暮らし破壊。病院の統廃合、病床削減がもたらした医療ぜい弱さが、新型コロナ感染で全国一の死者を出したのです。府立高は3年『定員割れ』になると統廃合の対象という条例で、昨年までで21校、40年までにさらに32校減らす計画です。『公教育にカネをかけるな』と言いたいのでしょう」
維新が議員削減に踏み込んだ大阪。暮らしに悪影響が出ている。衆議員削減はその二の舞にならないだろうか。
2025年11月17日
【焦点】日本や韓国、サウジアラビア、ポーランド、ドイツが核保有国に!? ウクライナ戦争の結末が核戦略の行方に大きく影響 FT紙報じる=橋詰雅博
韓国の原子力潜水艦保有をトランプ米政権は容認した。対北朝鮮、対中国への軍事的な圧力を高めるのが韓国の狙い。無限潜行が可能な原潜は、相手国にとって驚異となる現代兵器だ。核弾頭ミサイル(SLBM)を搭載すれば核戦略の主力と位置付けられている。
もっとも韓国が保有する原潜は、魚雷や巡航ミサイル搭載型だという。日本の高市早苗政権も原潜保有を安保政策に掲げている。保有したとしても韓国と同じ型の原潜だろう。ただしこれから議論される「非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)」が大幅に見直されたら核弾頭ミサイル発射ができる戦略型原潜に切り替わる可能性はあり得る。ちなみに原潜を保有しているのは、米65隻、露32隻、中国12隻、英10隻、仏9隻、印2隻。いずれも核保有国だ。原潜保有は、核兵器保有に発展する可能性を秘める。
ともあれ核の軍拡路線は急拡大している。日本経済新聞社が買収した英フィナンシャル・タイムズ電子版10日付の翻訳記事「核の軍拡競争復活か」(11日付日経) によると、今日の核軍備増強は、米ソ冷戦時代よりさらに危険になる可能性がある。その理由は@核保有国のロシアによる非核保有国ウクライナの侵攻に加えてトランプ米政権の同盟各国に対する曖昧な姿勢により、米国の核の傘を失うことを恐れる国々の間では、核兵器取得の可能性が議題に上っている、AAI(人口知能)の進歩で、非国家でも世界で最も破壊的な兵器を簡単に製造できるようになりつつある―。そして新たに核保有国になる可能性があるのは、サウジアラビア、韓国、日本、ポーランド、ドイツ、イランを挙げている。
危険な状況下だが、ウクライナ戦争の結末が核の行方を大きく左右する。同記事によれば、ロシアがウクライナで敗北もしくは戦況が膠着状態に陥った場合、核兵器は有用ではないと世界は結論付けるかもしれない。ロシアは使えない核戦力に膨大な資金を費やしたことになる。逆にロシアがウクライナに勝利した場合、核兵器保有は、非核保有国に対して通常兵器で仕掛けることができる一方で自国が侵攻されるリスクもない。
ウクライナ戦争は、核保有の有無に重大な決定が下される紛争になりそうだ。
もっとも韓国が保有する原潜は、魚雷や巡航ミサイル搭載型だという。日本の高市早苗政権も原潜保有を安保政策に掲げている。保有したとしても韓国と同じ型の原潜だろう。ただしこれから議論される「非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)」が大幅に見直されたら核弾頭ミサイル発射ができる戦略型原潜に切り替わる可能性はあり得る。ちなみに原潜を保有しているのは、米65隻、露32隻、中国12隻、英10隻、仏9隻、印2隻。いずれも核保有国だ。原潜保有は、核兵器保有に発展する可能性を秘める。
ともあれ核の軍拡路線は急拡大している。日本経済新聞社が買収した英フィナンシャル・タイムズ電子版10日付の翻訳記事「核の軍拡競争復活か」(11日付日経) によると、今日の核軍備増強は、米ソ冷戦時代よりさらに危険になる可能性がある。その理由は@核保有国のロシアによる非核保有国ウクライナの侵攻に加えてトランプ米政権の同盟各国に対する曖昧な姿勢により、米国の核の傘を失うことを恐れる国々の間では、核兵器取得の可能性が議題に上っている、AAI(人口知能)の進歩で、非国家でも世界で最も破壊的な兵器を簡単に製造できるようになりつつある―。そして新たに核保有国になる可能性があるのは、サウジアラビア、韓国、日本、ポーランド、ドイツ、イランを挙げている。
危険な状況下だが、ウクライナ戦争の結末が核の行方を大きく左右する。同記事によれば、ロシアがウクライナで敗北もしくは戦況が膠着状態に陥った場合、核兵器は有用ではないと世界は結論付けるかもしれない。ロシアは使えない核戦力に膨大な資金を費やしたことになる。逆にロシアがウクライナに勝利した場合、核兵器保有は、非核保有国に対して通常兵器で仕掛けることができる一方で自国が侵攻されるリスクもない。
ウクライナ戦争は、核保有の有無に重大な決定が下される紛争になりそうだ。
2025年10月27日
【焦点】中国台湾統一国是だが、習主席は武力侵攻を回避 ウクライナ侵略のロシアの死傷者数増加にためらう=橋詰雅博
台湾有事を巡る中国の出方について米政権内の見方は二つに分かれている。
トランプ大統領は、10月20日、記者団から中国軍が台湾に侵攻する可能性を問われ「中国はそんなことはしたくないだろう」と答えた。そのうえで「習国家主席にそうした様子はまったくみられない」「台湾は彼にとって非常に重要な存在だろうが、何かが起こるとは思わない」と述べた。一方、米情報機関は2027年までに中国軍が台湾に侵攻できる能力を保有すると分析。これを根拠に侵攻の可能性は高いという武力行使説は少数派だが、根強く残る。
27年といえば、習主席体制の3期目の最後に年に当たる。中華民族の偉大な復興を目指す習主席は、念願の台湾統一を果たすことで27年から32年の4期目の権力の座を確実にしたい。これが習主席の狙いだという。
米国は、中国本土と台湾は不可分という中国の立場は尊重するが、台湾の安全保障に関与するという姿勢を堅持している。だから米中が国交正常化した1972年に制定した台湾関係法の基づき台湾の軍事力支援ため武器を売却してきた。トランプもその方針は崩していない。ただ本当に台湾有事が勃発したらトランプが米軍を前線で中国軍と戦わせるかは不透明だ。代わりに日本がその役割を担うという見方がもっぱらだ。
トランプの見方と同じなのが、台湾有事に関し8月23日にJCJオンライン講演に出演した大東文化大学東洋研究所の鈴木隆教授。鈴木氏は「中国の台湾侵攻の可能性は低い」と前置きしこう語った。
「確かに習氏は台湾統一を唱えていますが、もしも中国軍は負けたら共産党体制は動揺し、自分の地位も危うい。それを常に意識しています。ウクライナに侵攻したロシアの死傷者数は20万以上とされています。20万以上と言えば、日本の自衛隊の人数に匹敵します。台湾侵攻で中国軍に20万以上の犠牲者が出たら永続化を使命とする共産党体制瓦解の恐れがあります。極端な話、中国軍が一人も犠牲にならないならやるかもしれないが、それは担保されていません」
危険な橋は渡らないというのだ。
そもそも台湾住民の半数以上は現状維持を望む。そんなところに軍事進攻して統一を果たせたとても火種≠抱え込む。台湾で反中国派との正面衝突が起こり得る。中国関与の紛争地帯を増やすことになり、本土への影響は計り知れない。
従って習主席は28年の台湾総選挙に向けて軍事的脅威を強め、サイバー攻撃などの工作で自分のいうことを聞く親中国政権を誕生させる作戦というのが鈴木教授の見立てだ。
台湾有事を口実に軍拡に走る日本、軍事力増大にブレーキをかける時期に来ているのではないか。
トランプ大統領は、10月20日、記者団から中国軍が台湾に侵攻する可能性を問われ「中国はそんなことはしたくないだろう」と答えた。そのうえで「習国家主席にそうした様子はまったくみられない」「台湾は彼にとって非常に重要な存在だろうが、何かが起こるとは思わない」と述べた。一方、米情報機関は2027年までに中国軍が台湾に侵攻できる能力を保有すると分析。これを根拠に侵攻の可能性は高いという武力行使説は少数派だが、根強く残る。
27年といえば、習主席体制の3期目の最後に年に当たる。中華民族の偉大な復興を目指す習主席は、念願の台湾統一を果たすことで27年から32年の4期目の権力の座を確実にしたい。これが習主席の狙いだという。
米国は、中国本土と台湾は不可分という中国の立場は尊重するが、台湾の安全保障に関与するという姿勢を堅持している。だから米中が国交正常化した1972年に制定した台湾関係法の基づき台湾の軍事力支援ため武器を売却してきた。トランプもその方針は崩していない。ただ本当に台湾有事が勃発したらトランプが米軍を前線で中国軍と戦わせるかは不透明だ。代わりに日本がその役割を担うという見方がもっぱらだ。
トランプの見方と同じなのが、台湾有事に関し8月23日にJCJオンライン講演に出演した大東文化大学東洋研究所の鈴木隆教授。鈴木氏は「中国の台湾侵攻の可能性は低い」と前置きしこう語った。
「確かに習氏は台湾統一を唱えていますが、もしも中国軍は負けたら共産党体制は動揺し、自分の地位も危うい。それを常に意識しています。ウクライナに侵攻したロシアの死傷者数は20万以上とされています。20万以上と言えば、日本の自衛隊の人数に匹敵します。台湾侵攻で中国軍に20万以上の犠牲者が出たら永続化を使命とする共産党体制瓦解の恐れがあります。極端な話、中国軍が一人も犠牲にならないならやるかもしれないが、それは担保されていません」
危険な橋は渡らないというのだ。
そもそも台湾住民の半数以上は現状維持を望む。そんなところに軍事進攻して統一を果たせたとても火種≠抱え込む。台湾で反中国派との正面衝突が起こり得る。中国関与の紛争地帯を増やすことになり、本土への影響は計り知れない。
従って習主席は28年の台湾総選挙に向けて軍事的脅威を強め、サイバー攻撃などの工作で自分のいうことを聞く親中国政権を誕生させる作戦というのが鈴木教授の見立てだ。
台湾有事を口実に軍拡に走る日本、軍事力増大にブレーキをかける時期に来ているのではないか。
2025年10月12日
【焦点】49年までに米に代わり覇権国 台湾侵攻、共産党体制に動揺 米ロに次ぐ核大国 鈴木隆講演=橋詰雅博
「習近平氏は建国(中華人民共和国)100周年の2049年までに米国に代わって中国が世界の覇権国になるのを本気で追求しています」「台湾有事が起きる可能性は低いと思います。武力統一に踏み切れば、共産党体制を動揺させると習氏は考えています」――。中国の習近平国家主席を長年研究する大東文化大学東洋研究所教授の鈴木隆氏=写真=は8月23日、JCJオンライン講演に出演。対米関係と台湾問題の2つの重大テーマについてこう指摘した。
集団指導体制、高度経済成長、人口増加、この3つが終焉した中国の14億人リーダー、習近平国家主席を@秩序や規律を重んじる保守主義者、A実戦経験のない軍人政治家、B25年間の地方指導者としてのキャリアの持ち主と鈴木氏は分析した。3つの顔≠ェある習主席の政治信条は、「父親が元副首相だったゆえ血統・門閥に対する強い自負、先輩指導者から受け継いだ責任の遂行、中国の歴史、文化、伝統の重視」と鈴木氏はいう。
民主化運動を抑制
そのうえで政治の基本は@中華民族の偉大な復興、A民主化運動の抑制、B領土拡大と海洋進出の積極化―鈴木氏はこう述べた。
Aは共産党体制の永続には不可欠な要素であり、Bは台湾統一や東シナ海の尖閣諸島(中国名、釣魚島)、南シナ海の領有権を念頭に置いている。これにより@の偉大な復興すなわち「最大の資本主義国家の米国を最大の社会主義国家の中国が21世紀半ば(49年)までに追い抜くことが実現できる」と鈴木氏は語った。
最近、権力の低下、健康不安、失脚といった習主席を巡る諸説が流れているが、鈴木氏は「そんなことない」と否定。習主席は世界最高水準の医療を受けており、健康に問題がないから高地、チベット自治区成立60周年式典に8月21日出席したと鈴木氏は見ている。
さらに習体制の政治と軍事両面を含む情報を@歴史、A構造、B制度、C政策、D組織など7項目に分けて検証した鈴木氏は「権力低下も失脚もない」とした。
独裁体制4期目も
となると習独裁体制はいつまで続くのか。「オーストラリア元首相で駐米大使のケヴィン・ラッド氏は、27年から32年の4期目もトップの座にとどまると最新著書で書いています。私もその可能性は高い」と鈴木氏は述べた。
中国による台湾侵攻について鈴木氏は「台湾が独立宣言しない限り武力発動は考えにくい。28年の総統選挙に向けてSNSを用いた工作や軍事的な圧力を増大させて、中国に親和的な総裁誕生を狙う」と予測した。
日中友好は難しい
中国の核戦力増強に関し「ロシアのウクライナ侵攻でプーチン氏の核の脅しが抑止力として有効に働くという教訓を中国は得ました。核弾頭保有数は30年までに1500発に増えるでしょう。中国は米ロに次ぐ核大国になる」と鈴木氏は説明した。
軍拡の日本、軍備増強の中国、現在は日中の友好関係を築くのは困難としたが、鈴木氏は「来日した中国の若者に権力の威圧・脅威がなく普通に暮らせる社会があることを見てもらう。こうした民主化のタネをまけばポスト習近平時代≠ノ新しい可能性が開けるかもしれません。やらないという選択肢はない」とアドバイスした。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年09月01日
出版社、半数が利益出ず 書店は2年後1万以下に 出版コンサルの能勢仁氏報告=橋詰雅博
『出版流通が歩んだ道 近代出版流通誕生150年の軌跡』(出版メディアパル社1月刊行)の3人共著者の一人、出版コンサルタントの能勢仁氏は、「当世出版界事情」を7月25日、日本出版学会産業研究部会で報告した。
出版社増える
経営不振で苦境に立たされる書店について能勢氏は「書店は過去5年間で毎年5%廃業しており、2027年には1万店を切り、9千7、800になるでしょう。全体の売り上げも26年に1兆円を下回り、9680億と推測しています」と厳しい見通しを語った。ただ意外にも大小含め出版社数は増えていて「23年は3900社と、18年より約520社増えた」(能勢氏)と述べた。
能勢氏は帝国データバンク登録の出版社の収益を長年分析している。売上高で3つのグループに分けている。24年度は、10億以上の第一グループは201社で、37社が赤字、4億から10億以下の第二グループ100社のうち18社が赤字、4億以下の第三グループ130社のうち30社が赤字だった。利益ゼロも多く、第一は40社、第二が37社、第三は67社。赤字と利益ゼロを合わせると287社で、全体の約53%は儲かっていないことになる。
その原因は書籍を仕入れる書店の激減と、書籍の単価はそんなに上がっていないためだ。「23年の平均単価は1256円と4年前と比べ89円しか上がっていない。単価の低い文庫と新書が多いからです」と能勢氏は指摘した。
復活に助成金
政府は書店復活をめざすプランに取り組む。@まちづくりファンドから助成金を支援、A自治体と地元の書店・図書館の連携強化、B書籍の返品率ダウン案の作成、C無人化書店の推進などだ。「プランには国交省、経産省、文科省、中小企業庁、公正取引委員会が参加しています。役所が散らばっているので、うまく機能するか心配です」(能勢氏)という。
アマゾン対策
町から書店がどんどん消えたのはネット通販の米アマゾンの日本進出が大きな影響を及ぼした。注文から1日から2日で無料配達される便利さが受け利用者が急増し、根付いた。能勢氏は「アマゾンは日本で事業をさらに拡大しようとしています。金にものを言わせて主要メディアに大宣伝作戦を展開したら市場の席巻もあり得ます」と述べた。
アマゾン拡大阻止への対策はあるのか。「紀伊国屋書店(国内63店舗)やYou Tube登録者数40万突破した有隣堂(同40店舗)といった有力書店によるM&Aで業界再編するのが対抗策ではないか」と能勢氏は提言した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
出版社増える
経営不振で苦境に立たされる書店について能勢氏は「書店は過去5年間で毎年5%廃業しており、2027年には1万店を切り、9千7、800になるでしょう。全体の売り上げも26年に1兆円を下回り、9680億と推測しています」と厳しい見通しを語った。ただ意外にも大小含め出版社数は増えていて「23年は3900社と、18年より約520社増えた」(能勢氏)と述べた。
能勢氏は帝国データバンク登録の出版社の収益を長年分析している。売上高で3つのグループに分けている。24年度は、10億以上の第一グループは201社で、37社が赤字、4億から10億以下の第二グループ100社のうち18社が赤字、4億以下の第三グループ130社のうち30社が赤字だった。利益ゼロも多く、第一は40社、第二が37社、第三は67社。赤字と利益ゼロを合わせると287社で、全体の約53%は儲かっていないことになる。
その原因は書籍を仕入れる書店の激減と、書籍の単価はそんなに上がっていないためだ。「23年の平均単価は1256円と4年前と比べ89円しか上がっていない。単価の低い文庫と新書が多いからです」と能勢氏は指摘した。
復活に助成金
政府は書店復活をめざすプランに取り組む。@まちづくりファンドから助成金を支援、A自治体と地元の書店・図書館の連携強化、B書籍の返品率ダウン案の作成、C無人化書店の推進などだ。「プランには国交省、経産省、文科省、中小企業庁、公正取引委員会が参加しています。役所が散らばっているので、うまく機能するか心配です」(能勢氏)という。
アマゾン対策
町から書店がどんどん消えたのはネット通販の米アマゾンの日本進出が大きな影響を及ぼした。注文から1日から2日で無料配達される便利さが受け利用者が急増し、根付いた。能勢氏は「アマゾンは日本で事業をさらに拡大しようとしています。金にものを言わせて主要メディアに大宣伝作戦を展開したら市場の席巻もあり得ます」と述べた。
アマゾン拡大阻止への対策はあるのか。「紀伊国屋書店(国内63店舗)やYou Tube登録者数40万突破した有隣堂(同40店舗)といった有力書店によるM&Aで業界再編するのが対抗策ではないか」と能勢氏は提言した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
2025年08月09日
【オンライン講演】李大統領 経済回復に躍起 国益重視の実用主義 対米・中両利き外交$ュ権交代の韓国政治 五味洋治氏語る=橋詰雅博
韓国の李在明(イ・ジェミョン)新大統領は、国益重視中心の現実路線に沿う「実用主義」を掲げる。政権交代の国会で革新(進歩)系与党「共に民主党」が圧倒的多数を占め権力盤石の李政権は、国内政治で何をやり、日本を含む外交でどう動くのか。6月28日JCJオンライン講演に登場した元東京新聞ソウル特派員のジャーナリスト・五味洋治氏=写真写真=は、最近の日韓世論調査などに基づき予測した。
AIで経済強国へ
内政
時事通信の世論調査によれば、韓国民の77%は「経済回復」「物価高対策」を求めている。このため李大統領は大規模投資でAI分野において世界第3位をめざし経済力アップを狙う。景気刺激策として国民一人当たり最大55万㌆(約5万8000円)を11月末と使用期限を定めた電子マネーなどで給付を始めた。「物価対策では専従チームを立ち上げ、大統領自ら市場や食堂に出向き現場を視察している」(五味氏)という。これには大統領選での虚偽発言疑惑など3つの裁判で在宅起訴されたうえ2つの疑惑も捜査中という司法リスク≠李氏が抱えていることが背景にある。在宅起訴の裁判は延期されている。
「韓国地上波3社(KBS、MBC、SBS)の出口調査では国民の64%は『裁判は継続』と答えている。経済が低迷(OECDの25年韓国GDP予測は1%)したままなら裁判再開の世論が高まり大統領はピンチに陥る。経済回復に躍起なのはそのためです」(五味氏)
歴史問題スルー?
対日外交
かつて「日本は敵性国家」と過激な発言した李氏だが、大統領になって日本への認識を改めたようだ。
「読売・韓国日報の共同世論調査では、日本に対する『よい』印象が韓国で初めて55%に達し、日本の韓国に対する『よい』印象も52%。保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル) 前政権による日韓関係改善の基調が続いている。23年は日本から韓国に300万、韓国から日本に700万人が訪れている。徴用工問題や慰安婦問題にこだわり良好な日韓関係に悪影響を与えるのはマイナスと李大統領は考えているのではないでしょうか」(五味氏)
カナダG7で石破茂首相と初会談した李大統領は「小さな違いはあるが、両国は協力して役立つ関係にしたい」と述べた。日韓国交正常化から60周年、「李大統領は日本を協力パートナーと見ている」と五味氏はいう。
トランプが警戒
対米
韓国東アジア研究院の調査では、一番重要な外交相手は「米国」と答えた人は90%を超えている。しかし「信頼できる」と回答した人は、24年より4・7ポイント減の68・4%、「信頼できない」は10ポイント増の28・6%。トランプ2・0で米韓安保協力体制が転換するのではないという不安がこの結果につながっていると分析したうえで五味氏はこう話す。「『台湾有事(米中交戦も)は韓国と無関係』と述べたことがある李氏はトランプ氏に警戒されているようです。かといって貿易依存度が高い中国と対立したくない。どちらの国にもいい顔する両利き外交≠ニいう難しい立ち位置で臨むのではないか」
ケンカは避けたい
対中
アジア研究院の同じ調査によれば、中国との関係は「とても重要」と「重要」と答えた人の合計は88・4%と24年より増えた。五味氏は「頭が上がらない中国とケンカは避けたいが李大統領の本音です」と述べた。
対日強硬あり得る
軍事的緊張緩和が対北朝鮮、関係発展が対ロシアとの外交姿勢だ。
五味氏は「李政権は内政で実績を作り、安保は米国、経済は中国と使い分ける。内政でうまく行かない場合、国民の目をそらすため対日強硬に出る可能性もある」と語った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
2025年07月21日
【焦点】台湾有事 戦争回避の道 ASEANと連携強化 米中緊張緩和へGDP4位と6位タッグを 対米追従から独立自尊へ 布施祐仁氏オンライン講演=橋詰雅博
東アジアにおける紛争の火種は台湾有事だ。宿願の統一をめざし中国が台湾に侵攻と喧伝する米国と日本は、軍備増強の中国への抑止力という名の下で日米軍事一体化による対中臨戦態勢を進める。台湾有事では「日本は最前線に立つ」と3月末に来日したヘグセス米国防長官は明言した。敗戦後80年、非戦の日本が戦争に加担しない道はないのか。『従属の代償 日米軍事一体化の真実』(講談社現代新書、昨年9月刊行)の著者のジャーナリスト・布施祐仁氏は=写真=5月20日JCJオンライン講演で「回避の道」を提示した。
米国は台湾が中国の支配下になればアジアでの権益を失うのを恐れる。中国軍の台湾上陸と中国海軍の太平洋進出を阻止する米国の作戦を布施氏はこう語った。沖縄南西諸島、台湾、フィリピン・ルソン島などに配備の地対艦・地対空ミサイルを発射する。日本の自衛隊やフィリピンと台湾の軍隊が主力として最前線で戦う。米軍主導で作戦を遂行する。
石破茂首相は「米国が(中国に)反撃する状況となれば、在日米軍基地はフル活動となるでしょう。そうなれば、日本は中国から直接の脅迫、あるいは武力行使を受ける可能性は高まります」と最新著書『保守政治家 わが政策、わが天命』(講談社、昨年8月刊行)で述べている。
「計算違い」怖い
布施氏によると、臨戦態勢に向けて防衛省は「統合作戦司令部」を3月に東京の陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に新設した。陸海空自衛隊を一元指揮する。米軍も東京・横田基地の在日米軍司令部を「統合軍司令部」に改称。日米の最高司令部が緊密に連携し、台湾有事では一体で行動する。
布施氏は「5月亡くなった米国政治学者のジョセフ・ナイ氏は『米中双方が計算違い≠ノ注意しなければならない。直面する最大のリスクは、我々自身の失敗の可能性なのだ』と語っています。双方が一歩も引かない状態だと、偶発的な事故・事件で戦争につながるリスクがあります。これが怖い」と警鐘を鳴らす。
仲介者かって出る
日本が戦争を回避できる方法について布施氏は、ASEAN(東南アジア諸国連合)との連携を挙げた。ASEANは地域の平和の安定、経済成長の促進などを目的に1967年に設立された。米中どちらの側にもつかず、今ではインドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、シンガポールなど10カ国が加盟する。南シナ海の領土権をめぐり中国との争いはあるものの平和を堅持。19年首脳会議で採択した「インド太平洋に関するASEANアウトルック構想(AOIP)」策定をまとめたインドネシア外相は「米中関係を対抗から対話と協力を促していくために仲介者の役割を果たすと内外に宣言した」と布施氏は述べた。
「ASEANはGDP世界第6位まで成長した。米中ともその実力を認識しています。GDP世界第4位の日本がASEANとタッグを組めば、『第3極』として米中の政策に大きな影響を与えます。それゆえ日本は米国に追従して中国を敵性視する外交安全保障を改め自主外交を展開すべきです」(布施氏)
権威におもねるな
4月27日付朝日新聞の世論調査では、対米外交から「自立」と答えた人が7割にも達した。とはいえ中国を含むアジア諸国との連携強化への転換の賛否は「反対」が66%で、「賛成」は16%にとどまる。自国ファーストのトランプ米政権の影響で世界は多極化にガラリと変わった。気持ちが揺れ動く国民はどうすればいいのか。布施氏は「石橋湛山元首相は『独立自尊』という言葉を好ました。権威におもねらず徹頭徹尾考え、進むべき道を自己決定するという意味です。日本を再び戦場にしないため独立自尊の精神を持ち立ち上がることが必要です」と語った。
外交も「独立自尊」で臨む時が訪れたと布施氏は指摘した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年6月25日号
2025年06月23日
【焦点】朝日批判記事なぜ消えた? 「国が大事」と「個が大事」対話可能 右派雑誌の内幕 梶原麻衣子氏オンライン講演=橋詰 雅博
13年余の体験
昨年11月刊行の『右翼℃G誌の舞台裏』(星海社新書)は、「中公新書大賞2024」で第9位にランクされ、昨年末の朝日新聞夕刊回顧2024論壇コーナーで「興味深い本」として取り上げられた。話題を呼んで4刷と部数を伸ばしたこの本は、梶原麻衣子氏が月刊『WiLL』(ワック)と『Hanada』(飛鳥新社)での13年余の編集体験をまとめたものだ。4月12日JCJオンライン講演に出演した梶原氏は右派思考へのきっかけや雑誌の内幕、右派と左派の対話の可能性などを語った。
蟹工船なみ勤務
梶原氏が右寄り思考になったのは、自衛官だった父親の職業に由来にする。小学生のころ「『父の仕事は公務員です』と言った方がいいよ」と担任教師から言われ、中学ではリベラル系公立高校に向いていないと教員から指示された。中央大学文学部に入学後、小中学時代の経験は「右と左の問題から生じたもの」と気付き、憲法9条問題や台湾と中国の関係などを学んだ。大学時代から保守系雑誌『諸君!』(文藝春秋)、『正論』(産経新聞)の愛読者に。これを引き金に梶原氏は右派思考を深めた。
梶原氏はシステムエンジニアから2005年11月『WiLL』(04年創刊)編集部員に転職。文藝春秋出身の花田紀凱(かずよし)編集長は週刊誌の作法で保守系月刊誌をつくった。その特徴は@朝日新聞など権威に対する庶民目線からのカウンター、A記事の差し替えや特集の組み換えは日常茶飯事、B編集部員が学者などから聞き書きした平易な記事が中心―。
このため作業量はふくれあがり、1週間から10日前後の終電帰りと校了最終日の徹夜を繰り返した。過酷な労働状況を「蟹工船」になぞらえた。発行元社長と花田編集長との編集方針の違いが原因で16年4月雑誌は分裂。花田編集長と一緒に飛鳥新社に移籍し『Hanada』創刊に携わる。一定の論調への作業に限界を感じ、病気もあって19年6月退職した。
ここ数年、売り物の朝日新聞批判記事が両誌に載らなくなった。梶原氏は理由を2つ挙げた。「朝日新聞の論調が変わってきています。かつては中国脅威論に対して過去の反省を考えたら日本はそれを言うべきではないと主張したが、今は軍事大国・中国を前提として論調を展開しています。朝日と保守系雑誌は中国に対する認識が一致したわけで、朝日にカウンターを仕掛ける要素がなくなった」
「軍拡や改憲を進める安倍晋三政権を朝日は強く批判しました。これに対して安倍政権を評価する保守系雑誌は朝日に反撃。しかし7年8カ月に及ぶ安倍長期政権は終わり、そして安倍元首相が亡くなった。朝日による安倍批判はおさまり、雑誌も朝日への反撃をやめました」
「精緻な議論」
右派雑誌の先行きについて梶原氏は「保守派論客内での内輪モメとか陰謀論を取り上げています。数字(部数が増える)がとれているのでやめる動きはない。内ゲバや陰謀論はそのうちに飽きらしまう。これからは精緻な専門的な議論をわかりやすく読者におろす、これをやり続けてもらいたい」と語った。
右派と左派の対話は可能か。「右派は『国家が大事』、これに対し『個人が大事』が左派、ここでぶつかる。私は国を構成する国民を守るため国がやるべきことがあると考えます。対立しないから話はできます。何が違い、何が一緒なのか、お互い分かり合えればいい」と梶原氏は自説を述べた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年05月10日
【焦点】対米従属見直す好機 瓦解パクスアメリカーナ トランプ関税で豊田祐基子氏講演=橋詰雅博
米国の同盟国や友好国に関係なく高関税を発動し各国をパニックに陥らせるトランプ米大統領。米国第一主義による自由貿易を放棄し、貿易戦争を拡大させている。ロイター通信日本支局長の豊田祐基子氏は3月8日のJCJオンライン講演でトランプの思考、願望、米国の行く末や日本の課題などを語った。
高関税狙いは3つ
豊田氏は根拠不明の税率で不当なトランプ関税の狙いを3つ挙げた。@米国に赤字をもたらす国に投資及びモノを買わせて貿易収支を改善、Aトランプ1・0のときビジネス界が非常に喜んだ所得税恒久減税の財源にする、B米国に有利でない取り決めを関税で圧力をかけて是正させるすなわちディール(取引)の道具に使う―。
高関税はトランプの考えが色濃く出ている。「オレが勝つか、オマエが勝つか、オレは負けない、勝つことだけを重視しています。関税政策で世界は混乱しているが、相手が悲鳴をあげれば勝ちというゼロサム(物事の白黒をはっきりさせる)思考が根底にある」「米国は例外が通用する特別な国と思っている」。豊田氏はこう指摘した。
「目標は経済をよくすること。自分の支持層の労働者が安くモノを買えるようにする」(豊田氏)のが最優先事項とトランプ大統領は連邦議会で演説した。
だがゼロサム思考などに基づく強気な関税政策実行は裏目に出た。物価上昇、株価の乱高下、景気後退、ドル安、報復関税やGDP(国内総生産)の大幅押し下げ。
そんなことはおり込み済み、根を上げた相手が譲歩案を提示してきたら軌道修正すれば事態は好転し、やがて国民はハッピーになれる。トランプはそんな風に考えているのかもしれない。
ノーベル賞を願望
ウクライナ戦争は停戦・和平向けて進んでいるように見えるが、トランプは実現できるのか。豊田氏はいう。
「和平にはそんなに関心がないが、オレが出張ってきたのだから言うことをきけという姿勢です。ロシアとウクライナのトップをテーブルにつかせ協議させたい。ただし、そのあと和平に導くことができるのか、それを誰が保つかはあまり関心がない。和平への道を開いたという功績によりノーベル平和賞をもらいたいと本気で思っています。民主党のオバマ元大統領が受け取った同じものを欲しがっている」
トランプ2・0では、連邦職員の大量解雇、不法移民の大量送還と拘束、DEI(多様性、公平性、包摂性)制度の撤廃、石油・ガス生産の拡大規制撤廃など内政はガラリと変わった。外交も高関税発動を始めパリ協定とWTO(世界貿易機構)から離脱、対外援助の凍結などを実施した。
豊田氏は米国の行方をこう予測した。
・広がるゼロサム・ゲームの世界
・同盟国や友好国に圧力、ロシアなど専制主義国家に親近感
・保護貿易主義と不確実性の高まりで経済減速
・軍事産業を潤す軍拡の加速
この結果「自ら主導してきたパクスアメリカーナ(米国の覇権による平和の形成)は破壊に向かう」(豊田氏)という。それを見越してかEU(欧州連合)は米国に頼らないNATO(北大西洋条約機構)再編に積極的に取り組み、敵国ロシアと対峙しようとしている。
豊田氏は日本の課題を挙げた。
・見返りを期待し機嫌をとる朝貢外交はどこまで有効か
・台湾統一に踏み込んでも中国とは戦争しないトランプ政権にどう向き合う
・北朝鮮を「核保有国」と認定した場合の対応は
・米国の「核の傘」が破れ依存できなくなったら
日本は対米従属体制を見直す転換点に立っている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年04月28日
【焦点・反ユダヤ規制2】1・0トランプ政権ではパレスチナを切り捨てた=橋詰雅博
それでは2017年〜21年の第1次トランプ政権の時はどうだったのか。やはり福音派の意向に沿い政策を実行した。つまりパレスチナ切り捨てだった。
安保理決議を覆す
そもそもイスラエルのパレスチナ国家占領に対し、米政府は基本的に1967年の安保理決議242号(占領地からの撤退勧告)支持する姿勢を維持していてきたが、トランプ政権はこれを覆した。占領承認と難民保護政策からの撤退へと舵を切り替えた。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を脱退し、難民支援から手を引いてしまった。
矢継早の政策転換
中東研究者の平井文子氏は4年間に行われたトランプによる矢継ぎ早の政策転換を以下のようにまとめた。
・2017/12/6 イスラエルによるエルサレム首都宣言支持
・2018/1/16 UNRWAへの拠出金凍結。それまで米はUNRWAの予算の3割支援。2017年総額12億4000万ドルのうち、3億6000万を。他の支援国は、EU、サウジ、独、英、日(4000万ドル第7位)。UNRWA支援下に、パレスチナには700の学校、140の診療所がある。UNRWAは難民にとって命綱だった
・2018/5/14 米大使館テルアビブからエルサレムに移転
7/19 イスラエル国会、「ユダヤ人国家法」採択
8/31 米、UNRWA脱退
9/10 ワシントンのパレスチナ自治政府代表部閉鎖
・2019/3シリア領であるゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認
・2019/11/18 マイク・ポンペオ国務長官が、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は国際法に違反していないとの見解を示した
・2020/1/28 中東和平案(「世紀のディール」)発表:イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正当な領土であると認める。
・2020/8/13アブラハム合意発表(アメリカを仲介としたイスラエルとアラブ首長国連邦との和平合意、続いてバーレーンを皮切りとして,その後スーダンやモロッコがこれに倣って陸続としてイスラエルとの関係正常化に踏み出した)
聖書の予言実現か
平井氏は「米キリスト教福音派は現代イスラエル国家の創設と数百万のユダヤ人のイスラエル集住を、イエスの復活が間近であるという聖書の預言の実現とみている。アメリカにおけるキリスト教シオニズム(ユダヤ人が祖先の地とみなすパレスチナをユダヤ国家として建設しようという運動)は今や白人福音派の間では『多数派神学』となっている。キリスト教シオニストの票は数千万にものぼり、大統領選挙にとって大きな票田となっている」と分析する。
2期目のトランプは、1期目以上に福音派の考えを受け入れ政策に取り入れている。
安保理決議を覆す
そもそもイスラエルのパレスチナ国家占領に対し、米政府は基本的に1967年の安保理決議242号(占領地からの撤退勧告)支持する姿勢を維持していてきたが、トランプ政権はこれを覆した。占領承認と難民保護政策からの撤退へと舵を切り替えた。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を脱退し、難民支援から手を引いてしまった。
矢継早の政策転換
中東研究者の平井文子氏は4年間に行われたトランプによる矢継ぎ早の政策転換を以下のようにまとめた。
・2017/12/6 イスラエルによるエルサレム首都宣言支持
・2018/1/16 UNRWAへの拠出金凍結。それまで米はUNRWAの予算の3割支援。2017年総額12億4000万ドルのうち、3億6000万を。他の支援国は、EU、サウジ、独、英、日(4000万ドル第7位)。UNRWA支援下に、パレスチナには700の学校、140の診療所がある。UNRWAは難民にとって命綱だった
・2018/5/14 米大使館テルアビブからエルサレムに移転
7/19 イスラエル国会、「ユダヤ人国家法」採択
8/31 米、UNRWA脱退
9/10 ワシントンのパレスチナ自治政府代表部閉鎖
・2019/3シリア領であるゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認
・2019/11/18 マイク・ポンペオ国務長官が、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は国際法に違反していないとの見解を示した
・2020/1/28 中東和平案(「世紀のディール」)発表:イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正当な領土であると認める。
・2020/8/13アブラハム合意発表(アメリカを仲介としたイスラエルとアラブ首長国連邦との和平合意、続いてバーレーンを皮切りとして,その後スーダンやモロッコがこれに倣って陸続としてイスラエルとの関係正常化に踏み出した)
聖書の予言実現か
平井氏は「米キリスト教福音派は現代イスラエル国家の創設と数百万のユダヤ人のイスラエル集住を、イエスの復活が間近であるという聖書の預言の実現とみている。アメリカにおけるキリスト教シオニズム(ユダヤ人が祖先の地とみなすパレスチナをユダヤ国家として建設しようという運動)は今や白人福音派の間では『多数派神学』となっている。キリスト教シオニストの票は数千万にものぼり、大統領選挙にとって大きな票田となっている」と分析する。
2期目のトランプは、1期目以上に福音派の考えを受け入れ政策に取り入れている。
2025年04月27日
【焦点・反ユダヤ規制1】トランプ政権の政策に強い影響力キリスト教福音派はどんな組織なのか、なぜ意向を反映できるのか=橋詰雅博
トランプ米政権は、リベラル系の大学への締め付けを強化し、それに抗うなら助成金の取り消しなどの措置で圧力をかけている。
著名なエリートを輩出している名門ハーバード大への介入はその代表例だ。反ユダヤ主義的な活動やDEI(多様性、公平性、包摂性)の見直しを拒否した同大への助成金22億ドル(約3100億円)と6000万ドル(約56億円)相当の契約金の支払いを凍結した。さらにトランプはハーバード大が今後も「テロリストを支援するような『病的』な行動を押し進めるなら、免税資格措置を剥奪し政治団体として課税すべきかもしれない」と4月15日自身のSNSに書き込んだ。
圧力屈する大学も
教育機関や宗教団体などが対象になっている連邦所得税の不払いを停止させるとブラフ≠かけた。これに対してハーバード大はトランプ政権による助成金凍結の見直しを求める訴えをマサチューセッツ州連邦地方裁判所に21日起こした。
トランプ大統領の方針を受けた米教育省は、反ユダヤ的活動に対するユダヤ系学生の保護義務違反として約60の大学をリストアップした。ハーバード始めコロンビア、エール、プリンストンなど名門校が並ぶ。コロンビア大は助成金4億ドルを差し止められた。。プリンストンも数十件の研究助成金の凍結・打ち切りをされた。
反DEIについても「違反調査」対象校としてマサチューセッツ工科大(MIT)など有名校など約50校を米教育省は公表。全米大学・カレッジ協会(AAC&U)は「真実の追求や表現の自由など、大学の存在意義の根幹を脅しかねない」と表明した。
しかし助成金を打ち切られたら研究プロジェクトの中止や停止に追い込まれるので、トランプ圧力に屈する大学もある。パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの無差別攻撃に対する抗議デモを起こし全米に広がる起点となったコロンビア大は政権の要求を受け入れ新ガイドラインを作成した。
SNS投稿を審査
外国人の教員や留学生などを対象にSNS上での反ユダヤ主義的な言動取り締まり強化に乗り出した。発見したら永住権申請の外国人教員や学生ビザ(査証)の申請を却下すると移民局は発表。ノーム国土安全保障長官は「(表現の自由を定めた)憲法修正第1条に守られていると思う外国人は考え直せ」と表明した。
カリフォルニア州立大学助教授の大矢英代(はなよ)氏は4月14日付東京新聞コラムで「近い将来、(イスラエルによる)ガザへの大規模攻撃と接収が始まるのではないか、一連の政策はそれに向けたSNS上の自己規制、萎縮効果を狙った事前対策なのではないかと不安でならない」と述べている。
信者1億人に急増
この背景には、トランプら共和党の岩盤支持層でイスラエルを強く支持するキリスト教保守の福音派の意向が反映しているという見方が多い。
米国の政治・外交に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏も「日本で見落とされがちなのが、キリスト教福音派の強い影響だ。気候変動対策の否定や性的マイノリティーの否定、イスラエルの徹底支援など一連の『常識の革命』政策はみな、この教派の主張に沿っている。ここに注目すれば、(トランプ)大統領の行動意味がよくわかる」(日本経済新聞3月19日)とインタビューに答えている。
大注目のキリスト教福音派はどんな組織なのか。簡単に言えば、聖書の一字一句をそのまま信じキリストの教えに基づく信仰生活をしている人たちだ。一般的に宗教保守≠ニ呼ばれ、妊娠中絶や同性婚、教育現場への進化論導入などに強く反対してきた。パレスチナ人を追い出したユダヤ人が創設したイスラエル国家の支援者でもある。米国で約1億人が福音派とみられる。米人口の約3分の1を占める福音派は大統領選挙で共和党支持の積極的な活動をする。レーガンを当選させたのが原点になっている。
著名なエリートを輩出している名門ハーバード大への介入はその代表例だ。反ユダヤ主義的な活動やDEI(多様性、公平性、包摂性)の見直しを拒否した同大への助成金22億ドル(約3100億円)と6000万ドル(約56億円)相当の契約金の支払いを凍結した。さらにトランプはハーバード大が今後も「テロリストを支援するような『病的』な行動を押し進めるなら、免税資格措置を剥奪し政治団体として課税すべきかもしれない」と4月15日自身のSNSに書き込んだ。
圧力屈する大学も
教育機関や宗教団体などが対象になっている連邦所得税の不払いを停止させるとブラフ≠かけた。これに対してハーバード大はトランプ政権による助成金凍結の見直しを求める訴えをマサチューセッツ州連邦地方裁判所に21日起こした。
トランプ大統領の方針を受けた米教育省は、反ユダヤ的活動に対するユダヤ系学生の保護義務違反として約60の大学をリストアップした。ハーバード始めコロンビア、エール、プリンストンなど名門校が並ぶ。コロンビア大は助成金4億ドルを差し止められた。。プリンストンも数十件の研究助成金の凍結・打ち切りをされた。
反DEIについても「違反調査」対象校としてマサチューセッツ工科大(MIT)など有名校など約50校を米教育省は公表。全米大学・カレッジ協会(AAC&U)は「真実の追求や表現の自由など、大学の存在意義の根幹を脅しかねない」と表明した。
しかし助成金を打ち切られたら研究プロジェクトの中止や停止に追い込まれるので、トランプ圧力に屈する大学もある。パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの無差別攻撃に対する抗議デモを起こし全米に広がる起点となったコロンビア大は政権の要求を受け入れ新ガイドラインを作成した。
SNS投稿を審査
外国人の教員や留学生などを対象にSNS上での反ユダヤ主義的な言動取り締まり強化に乗り出した。発見したら永住権申請の外国人教員や学生ビザ(査証)の申請を却下すると移民局は発表。ノーム国土安全保障長官は「(表現の自由を定めた)憲法修正第1条に守られていると思う外国人は考え直せ」と表明した。
カリフォルニア州立大学助教授の大矢英代(はなよ)氏は4月14日付東京新聞コラムで「近い将来、(イスラエルによる)ガザへの大規模攻撃と接収が始まるのではないか、一連の政策はそれに向けたSNS上の自己規制、萎縮効果を狙った事前対策なのではないかと不安でならない」と述べている。
信者1億人に急増
この背景には、トランプら共和党の岩盤支持層でイスラエルを強く支持するキリスト教保守の福音派の意向が反映しているという見方が多い。
米国の政治・外交に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏も「日本で見落とされがちなのが、キリスト教福音派の強い影響だ。気候変動対策の否定や性的マイノリティーの否定、イスラエルの徹底支援など一連の『常識の革命』政策はみな、この教派の主張に沿っている。ここに注目すれば、(トランプ)大統領の行動意味がよくわかる」(日本経済新聞3月19日)とインタビューに答えている。
大注目のキリスト教福音派はどんな組織なのか。簡単に言えば、聖書の一字一句をそのまま信じキリストの教えに基づく信仰生活をしている人たちだ。一般的に宗教保守≠ニ呼ばれ、妊娠中絶や同性婚、教育現場への進化論導入などに強く反対してきた。パレスチナ人を追い出したユダヤ人が創設したイスラエル国家の支援者でもある。米国で約1億人が福音派とみられる。米人口の約3分の1を占める福音派は大統領選挙で共和党支持の積極的な活動をする。レーガンを当選させたのが原点になっている。
2025年04月23日
【焦点】24年死刑執行15カ国で過去最低―アムネスティ発表 国連の廃止に応じない日本は死刑存続の数少ない国=橋詰雅博
国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは、2024年の世界の死刑状況を発表した。24年は15カ国で1,500人以上が処刑され、15年以降、最多の死刑執行数となった。増加は、イラン、イラク、サウジアラビアで急増したことによるもので、この3カ国だけで1,380件に上る。
中東では、死刑判決が人権擁護者、反体制派、抗議者、政敵、少数民族の声を封じる方法として用いられており、特にイランとサウジアラビアではその傾向が顕著。また死刑執行の40%以上は、薬物関連犯罪だ。死刑が麻薬取引の減少につながるかどうか立証されていないにも関わらず、薬物関連の処刑は中国、イラン、サウジアラビア、シンガポールで広く行われている。
死刑執行数が増加した一方で、死刑を執行した国はわずか15カ国。これは2年連続で過去最低だった。現在、113カ国が死刑を全廃しており、法律上または事実上死刑を廃止している国は合わせて145カ国に上る。
24年にはジンバブエで通常の犯罪に対する死刑を廃止する法案が成立。マレーシアでは死刑制度改革により、死刑を宣告されていた1,000人以上が減刑されるなど「世界は死刑廃止に向けて確実に歩みを進めています」とアムネスティは話す。
国連は「死刑の廃止が人間の尊厳の高揚と人権の漸進的な発展に貢献することを信じ」「すべての死刑廃止措置は生命権の享有の上で発展とみなされるべきことを確信」するとして死刑廃止を宣言している。
国連の求めに応じず世界の流れに逆行する死刑存続の日本は、この25年間で100人弱が死刑になった。世論はどう受け止めているのか。
24年の世論調査では8割が死刑制度を支持していると政府は説明する。ただし、調査結果の分析では将来的な死刑廃止を容認している人の割合は全体の45.1%と「将来も死刑を廃止しない」の53.4%に迫る。「国民の8割が死刑制度を支持」が一人歩きし、死刑制度存続の根拠として用いられている。政府は希薄な根拠を盾に制度を継続させている。いつものパターンだ。
日本弁護士連合会は死刑執行の停止を求めたうえで廃止への社会的な論議を呼びかけている。
中東では、死刑判決が人権擁護者、反体制派、抗議者、政敵、少数民族の声を封じる方法として用いられており、特にイランとサウジアラビアではその傾向が顕著。また死刑執行の40%以上は、薬物関連犯罪だ。死刑が麻薬取引の減少につながるかどうか立証されていないにも関わらず、薬物関連の処刑は中国、イラン、サウジアラビア、シンガポールで広く行われている。
死刑執行数が増加した一方で、死刑を執行した国はわずか15カ国。これは2年連続で過去最低だった。現在、113カ国が死刑を全廃しており、法律上または事実上死刑を廃止している国は合わせて145カ国に上る。
24年にはジンバブエで通常の犯罪に対する死刑を廃止する法案が成立。マレーシアでは死刑制度改革により、死刑を宣告されていた1,000人以上が減刑されるなど「世界は死刑廃止に向けて確実に歩みを進めています」とアムネスティは話す。
国連は「死刑の廃止が人間の尊厳の高揚と人権の漸進的な発展に貢献することを信じ」「すべての死刑廃止措置は生命権の享有の上で発展とみなされるべきことを確信」するとして死刑廃止を宣言している。
国連の求めに応じず世界の流れに逆行する死刑存続の日本は、この25年間で100人弱が死刑になった。世論はどう受け止めているのか。
24年の世論調査では8割が死刑制度を支持していると政府は説明する。ただし、調査結果の分析では将来的な死刑廃止を容認している人の割合は全体の45.1%と「将来も死刑を廃止しない」の53.4%に迫る。「国民の8割が死刑制度を支持」が一人歩きし、死刑制度存続の根拠として用いられている。政府は希薄な根拠を盾に制度を継続させている。いつものパターンだ。
日本弁護士連合会は死刑執行の停止を求めたうえで廃止への社会的な論議を呼びかけている。
2025年04月21日
【焦点】サイバー法案 米軍と一体化で戦争準備を加速=橋詰雅博
攻撃を未然に防止するという触れ込みの「能動的サイバー防御」法案は今国会で成立する見込み。水道・電気・ガスなどのインフラ施設を始め銀行、病院など国民生活に密接なものへのサイバー攻撃防止のためと政府は説明する。しかし、通信の秘密を保障する憲法21条と武力による威嚇又は武力行使を禁止した憲法9条に違反する恐れがある法律だと指摘されている。
どういう風に危険なのかわかりづらかったが、4月19日付新婦人しんぶんで宇部雄介弁護士が平易に解説していたので紹介する。
このサイバー法案は<政府が誰と誰がメールをやりとりしているのかといったことを監視することができるようになりますし、中身まで見られてしまうかもしれません>
したがって通信の秘密やプライバシーを侵害するものだというのだ。監視対象を外国経由の通信情報に限るとしているが、先行き国内も含めることもあり得る。
さらに警察や自衛隊が国外のコンピューターシステムに侵入し「無害化=プログラムの停止・削除」が可能になる。<これは日本が外国にサイバー攻撃をするということで、相手国との関係では、主権侵害となりかねないものです。のみならず先制的な武力行使と受け止められる可能性があります。憲法9条に反する「サイバー先制攻撃」というべき危険な法案です>
法案の真の狙いは<米軍と一体化した戦争準備>と宇部弁護士はいう。その理由はこうだ。
2022年1月の日米安全保障協議委員会(2+2)でサイバー脅威への共同対処が日米同盟では必須とされた。同年12月に閣議決定された軍拡、敵基地攻撃能力の保有などからなる安保3文書のうち国家安全保障戦略では「能動的サイバー防御を導入する」としている。24年7月の2+2では脅威に対処する防御的サーバー作戦における緊密な協力を促進するとした。こうした積み重ねの結果、日米が一体となった軍事強化を図り戦争に備える
成立するサイバー法案の裏にはこうした重大な「事実」が表に出てきていない。
どういう風に危険なのかわかりづらかったが、4月19日付新婦人しんぶんで宇部雄介弁護士が平易に解説していたので紹介する。
このサイバー法案は<政府が誰と誰がメールをやりとりしているのかといったことを監視することができるようになりますし、中身まで見られてしまうかもしれません>
したがって通信の秘密やプライバシーを侵害するものだというのだ。監視対象を外国経由の通信情報に限るとしているが、先行き国内も含めることもあり得る。
さらに警察や自衛隊が国外のコンピューターシステムに侵入し「無害化=プログラムの停止・削除」が可能になる。<これは日本が外国にサイバー攻撃をするということで、相手国との関係では、主権侵害となりかねないものです。のみならず先制的な武力行使と受け止められる可能性があります。憲法9条に反する「サイバー先制攻撃」というべき危険な法案です>
法案の真の狙いは<米軍と一体化した戦争準備>と宇部弁護士はいう。その理由はこうだ。
2022年1月の日米安全保障協議委員会(2+2)でサイバー脅威への共同対処が日米同盟では必須とされた。同年12月に閣議決定された軍拡、敵基地攻撃能力の保有などからなる安保3文書のうち国家安全保障戦略では「能動的サイバー防御を導入する」としている。24年7月の2+2では脅威に対処する防御的サーバー作戦における緊密な協力を促進するとした。こうした積み重ねの結果、日米が一体となった軍事強化を図り戦争に備える
成立するサイバー法案の裏にはこうした重大な「事実」が表に出てきていない。
2025年04月16日
【焦点】インボイス実態調査に1万500人超が協力、目標1万を突破 5月下旬に結果公表=橋詰雅博
インボイス制度を考えるフルーランスの会が3月下旬から約2週間行っていたインボイス大規模実態調査は、1万500人超が協力し、目標の1万を突破した。
同会によると「やっと見付けた生きがいを奪わないでほしい」という切実な声が寄せられたのが印象的だったという。「暮らしや仕事、将来の夢を潰すようなインボイス税制は、個人の尊厳を踏みにじるものではないでしょうか。7月の参院選の前に、政治家、国にこの実態を知ってもらわなければなりません」と同会はコメントした。
結果は5月下旬に発表する予定。全国のフリーランスに活用を呼び掛けている。
インボイス制度に反対している政党は立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民の各野党だ。各党の国会議員は2022年11月16日には「インボイス問題検討・超党派議員連盟」設立。同連盟では、インボイス制度の中止を強く訴えた。各党の活動は以下の通り。
立憲民主
インボイス制度を導入しなくても適切な課税ができる政策はあるとして、22年3月30日インボイス制度廃止法案を衆議院に提出。
国民民主
地域支部では意見交換会を実施し、インボイス制度に関する議論を交わしてきた。意見交換会に招いた各種連合会や組合からは、周知不足への指摘や導入後の混乱に対する懸念が寄せられた。インボイス制度は廃業を促す存在との意見もあり、同意する立場を見せた。
共産
22年11月7日に「STOP! インボイス対策チーム」を立ち上げ、インボイス制度の中止を呼びかけている。インボイス制度は個人で活動する、さまざまな業界や人に影響を与えると声を上げてきた。同制度の問題点を訴え、反対の声を取り上げ、中止に向けた世論を高める働きかけをしている。
れいわ新選組
消費税とインボイスの廃止を政策に掲げて活動。また各地で「STOP!インボイス街宣!」を実施し、街頭に設置されたステージで個人が意見を述べ、世論へ訴えかけている。
社会民主
22年10月26日、インボイス制度の反対を訴える集会に党首みずからが参加し、制度導入への反対意見を述べた。また社民党地方議員は22年9月、インボイス制度の中止を求める請願書を作成し、提出している。
同会によると「やっと見付けた生きがいを奪わないでほしい」という切実な声が寄せられたのが印象的だったという。「暮らしや仕事、将来の夢を潰すようなインボイス税制は、個人の尊厳を踏みにじるものではないでしょうか。7月の参院選の前に、政治家、国にこの実態を知ってもらわなければなりません」と同会はコメントした。
結果は5月下旬に発表する予定。全国のフリーランスに活用を呼び掛けている。
インボイス制度に反対している政党は立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民の各野党だ。各党の国会議員は2022年11月16日には「インボイス問題検討・超党派議員連盟」設立。同連盟では、インボイス制度の中止を強く訴えた。各党の活動は以下の通り。
立憲民主
インボイス制度を導入しなくても適切な課税ができる政策はあるとして、22年3月30日インボイス制度廃止法案を衆議院に提出。
国民民主
地域支部では意見交換会を実施し、インボイス制度に関する議論を交わしてきた。意見交換会に招いた各種連合会や組合からは、周知不足への指摘や導入後の混乱に対する懸念が寄せられた。インボイス制度は廃業を促す存在との意見もあり、同意する立場を見せた。
共産
22年11月7日に「STOP! インボイス対策チーム」を立ち上げ、インボイス制度の中止を呼びかけている。インボイス制度は個人で活動する、さまざまな業界や人に影響を与えると声を上げてきた。同制度の問題点を訴え、反対の声を取り上げ、中止に向けた世論を高める働きかけをしている。
れいわ新選組
消費税とインボイスの廃止を政策に掲げて活動。また各地で「STOP!インボイス街宣!」を実施し、街頭に設置されたステージで個人が意見を述べ、世論へ訴えかけている。
社会民主
22年10月26日、インボイス制度の反対を訴える集会に党首みずからが参加し、制度導入への反対意見を述べた。また社民党地方議員は22年9月、インボイス制度の中止を求める請願書を作成し、提出している。

