2023年08月18日

【焦点】インボス中止・延期の緊急提言書を財務省に市民団体が9月4日提出=橋詰雅博

 政府が10月1日から導入しようとしている消費税のインボイス(税率や税額が記載された適格請求書)制度に2021年10月から反対運動をスタートした市民団体「インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称:STOP!インボイス)」は9月4日(月)に同制度の中止・延期を求める緊急提言書を財務省や与野党各党らに提出する。

 提言の中身は検討中だが、@安心して事業を継続できる仕組みの構築、A事業者の安全を脅かさないようなシステムの実施、B個人の成長と経済的な成長を妨げ、さらなる増税を招く制度の実施時期の再考、C免税事業者の尊厳を守る発信の実行―が主な柱になっているようだ。
 今回のインボイス制度はこれまで消費税免税の対象だった年間売り上げ1000万円以下の事業者も課税しようとしている。フリーランスとして働くライター、編集者、俳優、声優らの多くは年収1000万以下だから新たな税金の負担増となる。例えば年収300万のフリーランスなどの個人事業者が納める消費税は約14万で、経費、健康保険などの社会保険料や所得税、住民税などを差し引くと、自由になるお金は90万という試算もある。事務作業も煩雑になる。このため「STOP!インボイス」がネットで始めた反対署名は21万筆を超えた。

 国会議員も超党派でインボイス制度の問題を考える議員連盟を22年11月に発足させた。反発が高まる世論の動きにブレーキをかけようと岸田政権は免税事業者から課税事業者に登録したら3年間だけ消費税の納税を最大2割とするなどの緩和措置に踏み切った。しかし、わかりにくい制度をさらに複雑にしただけで、評判は悪く根本的な解決策になっていない。
 そこで「安心」「安全」「成長」「尊厳」という4つの観点から「STOP!インボイス」は提言をまとめようとしている。
 
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2023年08月05日

【焦点】五輪選手村控訴審 住民側敗訴「不当判決」2つの理由 上告へ=橋詰雅博

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         裁判後の原告団の報告集会=8月3日、弁護士会館会議室
 東京五輪選手村用地として晴海の都有地13・39fを公示価格の10分の1以下の1290億6千万円で売却したことに対し、都民29人がその違法性及び土地の適正価格との差額相当の損害賠償を小池百合子都知事らに求めた住民訴訟の控訴審判決が8月3日にあり、東京地裁に引き続き東京高裁も原告の請求を棄却した。住民側は上告する。

 原告弁護団は「不当判決」の主な理由を2つ挙げている。一つは東京都が個人施行(地権者、施行者、認可権者の三役兼ねた)による再開発事業の裏付けとした都市再開発法108条2項の適用を高裁も認めたことだ。そもそも同法2項は竣工後の保留床の処分に関する規定であり、自治体の土地処分に適用されるものではない。これがまかり通ると地方自治法による規制が免れ、脱法的な自治体の財産処分が横行しかねないのである。

 もう一つは土地の評価。「選手村」要因という一般には理解しがたい理由で正式な不動産鑑定が行われずに用地が投げ売りされたことを高裁が平然と認めた。これは都民の財産を著しく毀損したことになる。
 「このような都の行為は再開発制度の濫用、不動産鑑定評価への不信につながるものである。これを司法が追認したことは、その役割を放棄したと言わざるを得ません」と原告弁護団は指摘した。
 
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2023年07月29日

【焦点】リニア開業 2035年か 総事業費9兆円に迫る 工事大幅遅れ 大阪延伸中止も=橋詰雅博

      工事の遅れベスト7
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 JR東海が強引に進める東京・品川―愛知・名古屋間を走らせるリニア中央新幹線。総事業費約7兆円のうち3兆円は政府の財政投融資が活用された。2017年から3年間貸し付けられたこの財投は前年の16年、当時の安倍晋三首相が盟友の葛西敬之JR東海代表取締役名誉会長(22年5月に死去)を支援するために実現させた。担保なし、30年間での元本返済、平均0・86%の低金利という厚遇した案件だ。国策民営事業に転じたリニア新幹線が目指す27年開業は、「困難」と丹羽俊介社長は明言。工事の遅れが理由だが、では開業はいつごろになるのか。また45年に大阪までの延伸は可能なのか。
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 「今の状況から推察すると品川―名古屋間の開業は早くても12年後の2035年ですね」というのは「悪夢の超特急<潟jア中央新幹線」(旬報社、2015年度JCJ賞受賞)の著者でジャーナリストの樫田秀樹氏=写真=だ。

約30カ所で遅れ

「私はJR東海などの公開資料を基づき各工区がどのくらい予定より工事が遅れているかを調べました。表にリストアップしたのは遅れ年数のベスト7で、トップは8年遅れの神奈川のリニア神奈川駅非開削工区。7年遅れの2位は神奈川と岐阜の2区、6年遅れの3位は岐阜と長野の工区が並び、5年遅れの4位はリニア山梨県駅、3年9カ月以上の5位は愛知名城非常口、3年半以上の6位は長野坂島工区、3年5カ月の7位が長野釜沢非常口です。3年、2年、1年の遅れを含めると合計30近くにもなります」
その主な原因は@用地取得ができていない、A停車駅がなかなか決まらなかった、B入札までの作業がスムーズに運ばず工事が未契約、C住民による反対運動、DJR東日本との話し合いが長引いている。

交渉行き詰る静岡

  リニア新幹線と言えば、JR東海と静岡県の川勝平太知事とのケンカ≠ェ有名だ。同県の工事の遅れは3年になる。川勝知事が難題をJR東海に押し付け強硬に工事を阻んでいるのでリニア新幹線は進まないと川勝バッシング≠ヘネットなどで今でも激しい。
樫田氏は「決してリニアに反対派ではない川勝知事は、リニアを進めるにあたり47項目からなる質問書をJR東海に提出している。これには南アルプスのトンネル掘削工事などで水脈が断ち切られ大井川流量が毎秒最大2d減り7市2町が影響を受けるので解決策として水の戻し策要請も含まれている。JR東海の回答をのむことができれば知事は工事を認可します」という。しかし静岡はJR東海から回答をもらっていない。両者の交渉は完全に行き詰っている。このままでは工事は遅れる一方だ。
リニア裁判では国の工事認可取り消しを沿線住民から提起された東京地裁の市原義孝裁判長らは昨年9月に山梨リニア実験場周辺に暮らす原告を含む住民に騒音の状況や日陰・水枯れの有無な、農業への影響などを聞き取り調査した。18日の東京地裁の判決は国の認可取り消しを認めず、住民側の請求を棄却した。
裁判を傍聴してきた樫田氏は「山梨リニア実験線の沿線住民から聞き取り調査までした裁判官への原告の期待は高かった。2月結審から判決まで5カ月間もあったので、意味のある判決が下されると原告弁護団も考えていた。ところが判決文は、国やJR東海の主張をコピペした内容で、現地調査も触れていなかった」と悔しがる。
「不当判決」と訴える原告らは控訴する。
南アルプス市民からJR東海の工事差し止めを求められた甲府地裁の新田和憲裁判長らも9月に同じく山梨リニア実験場の周辺住民に聞き取り調査を2日間行う。判決は来年。

延伸アセス見送る

昨年4月山梨リニア実験場で試乗した岸田文雄首相は名古屋―大阪間の環境影響評価(アセスメント)作成の前倒しを表明したが、JR東海は「今年度は、アセスは見送る」と今年4月に拒否した。品川―名古屋間の工事が大幅に遅れているので、予定通りの延伸は絶望的になったからだ。
  工事の遅れによる経費の増大、人件費・建築資材の高騰などで事業費は膨れ上がる一方。本当にリニア新幹線はできるのか。
「品川―名古屋間の総事業費は7兆円を超えるのは間違いありません。9兆円に迫る可能性もある。となるとリニアがJR東海の経営の足を引っ張ることになる。再び財投がつぎ込まれるかもしれない。名古屋から大阪までの延伸は中止もあり得ます」(樫田氏)
 金食い虫でトラブル多発のリニアにJR東海は振り回され右往左往している。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年7月25日号
 

 
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2023年07月18日

【焦点】神宮外苑事業取り消し訴訟 自治会長が示した損害発生3つのケースとは=橋詰雅博

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      6月29日の裁判後の報告集会
 東京・明治神宮外苑再開発工事の取り消しを求めた住民訴訟の第1回口頭弁論は6月29日に東京地裁で行われた。103号大法廷の傍聴券は抽選となった。原告59人を代表して米国人コンサルタントのカップ・ロッシエルさん=写真中央=に加えて北青山一丁目住宅自治会の会長である近藤良夫さんの2人が意見陳述した。
各メディアはこの反対運動に火をつけたカップさんの陳述を大きく報じていたので、本稿では近藤さんの陳述を取り上げた。

都が指針突然変更

 近藤さんが神宮外苑再開発計画を知ったのは2018年11月下旬だ。青山の自治会・町内の各会長や商店街会長らが集まった港区赤坂総合集会所において「東京2020大会後の神宮外苑地区まちづくり指針」に基づき東京都は、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替えて、その間を広場にすると説明した。この再開発内容を聞いた人たちは都が策定した指針を、再開発事業者が順守するよう指導してくれると信じた。
 ところが都は、この指針を突然変更したとして2021年12月中旬に「神宮外苑地区に関する都市計画変更(案)」を都立青山高校体育館で説明した。参加住民は変更した理由を都に求めたが、「賑わいと活力のあるまちづくり」を実現するためという答えに終始した。高さ制限の撤廃、眺望景観の大幅変更、市民が楽しめるスポーツの場所の消失などについて納得できる説明は一切なかった。要するに再開発事業者が描いた事業計画が容易にできるように都が指針を変更したのだ。

過ち正してほしい

 近藤さんは、この再開発事業によって重大な損害が発生する恐れがあるケースを3つ挙げた。
 第一は新球場の騒音被害だ。新球場の騒音について銀行内(59dB)や郵便局内(60dB)より低い55dBと「影響評価」を作成した事業者が書いているが、その根拠は全く示されていない。新球場から半径300b以内に約900世帯の住宅と中学校があり、最も近い住宅まで約80b。プロやアマを問わず年間500を超える試合やイベントを新球場で開催される予定だ。新たな騒音被害者が生まれるのは明白である。
 第二は風害問題。現在、風の強い日には高さ90bの伊藤忠本社ビルによって大人も歩くことが困難なビル風が起きている。190bに高層化されたら、建物の風が受ける面積が今の倍以上になる。風の影響はほとんど変わらないというのでしょうか。風量をコントロールできるのでしょうか。はなはだ疑問だ。
 最後は人流変化に伴う被害だ。新球場の最寄り駅は外苑前駅と青山一丁目駅の2つ。これら駅に乗降客が集中する。事業者は混乱を避けるため警備員を配置して人流を抑制すると説明したが、地下鉄駅の2駅は入口もホーム狭く、拡張するのも難しい。地元住民は、将来にわたって、駅利用を制限されかねません。
 この3つの重大な損害を避けるために自治会メンバーの全員は東京都の過ちを裁判所に正してもらいたいと提起したのだ。

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2023年07月09日

【焦点】15兆円の「水素利権」むらがる政官民学 脱炭素は絵に描いた餅%d気分解での製造は電力のムダ使い=橋詰雅博

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 地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の排出削減をめざす脱炭素社会の電力源・燃料として水素エネルギーは有力という。燃やしてもCO2を出さないが最大のウリ。さらにいろいろなものから作ることが可能、貯蔵も効くため切り札≠ニ持ち上がられる水素エネに関する新聞報道がここにきて目立つ。ざっとこんな具合だ。

日本が主導して

・岸田政権は官民合わせてこの先15年間で15兆円の投資を計画。
・米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEFアイペフ)」の閣僚会合では水素の導入拡大に向け各国間での技術協力や供給網(サプライチェーン)構築の推進を合意。立ち上げる水素技術で協力する「域内水素イニシアチブ」を日本が主導する。
・水素と空気中から取り込んだ酸素を化学反応させて電気エネルギーに変える燃料電池搭載タクシー(燃料電池車は、走行中は水のみ出る、EVより長い距離を走れる)用の水素ステーションを産業ガス世界最大手の仏エア・リキード社が国内で展開。
・山梨県は甲府市の米倉山に世界的な水素・燃料電池開発のイノベーション拠点づくりを産学官からなる「水素社会実現戦略会議」で具体的に検討する。
・全国最多の15の原発が立地する福井県南部に水素の製造・供給施設の建設を県が計画。
・液体水素が燃料のトヨタ自動車のエンジン車が富士スピードウェイ24時間耐久レースを完走。トヨタは水素エンジン車(燃料電池車)の市販化へ。

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        疑問を指摘する記事は見当たらない

 水素エネルギー社会到来近しというイメージが植え付けられそうだが、そもそも水素は石油・石炭・天然ガスの化石燃料や風力・太陽光などの再生可能エネルギーなどの一次エネルギー(原子力も含む)を加工して得られる。この二次エネルギーの現実的な製造法として2種類あげられる。

CO2貯蔵は困難

 天然ガスなどから抽出したメタンを加工(水蒸気改質と言う)して水素を得る方法が一つだ。安価な水素を製造できるが、メタンを燃やした時と同じ量のCO2が発生するのがネック。これでは脱炭素社会の構築にはまったく役に立たない。そこで発生したCO2を回収・圧縮し地中深く埋めてしまうCCS(Carbon Capture and Storage)方式が検討されている。エネルギー問題に詳しい工学博士の松田智氏(元静岡大学工学部准教授、化学環境工学専攻)はこう解説する。
 「CCSを脱炭素の切り札的手段とマスコミはもてはやしているが、CO2固定・貯留には、コストがかかるし、電力も消費するので、さらにCO2排出が増える。実際、大口発生源の火力発電所で実現できていないのは、CCS方式を使うと発電単価の上昇が避けられないからです。しかもCO2をどこでもいいから埋めればいいかというとそうはいかない。CO2がもれない石油・天然ガスの廃坑とか堅ろうな場所が必要です。CCS方式の実用化は極めて困難です。現に、経産省の資料でも、実用化開始は2030年度からとなっていますが、コストや埋立規模などは明記されていません。「絵に描いた餅」に近いと言えます」

 もう一つは再生エネ電力を使い、水を電気分解して水素を作る方式。製造過程でCO2が発生しないので「グリーン水素」と呼ばれ、日米欧を中心にこの水素製造技術や活用する燃料電池の開発に躍起なのだ。

64%も電力ロス

 「ここでの大きな問題は水の電気分解(水素を発生)と燃料電池による発電(水素の消費)を経るとエネルギー効率は概算で36%まで落ちること(各段階の効率が約60%なので)。いくら貯えることできても製造プロセス段階ですでに64%もの電力をロスしている。実際には水素の輸送・貯蔵でさらにエネルギーを使う。こんな電力の無駄使いをやるより再生エネ電力をストレートに使う方が最も効率的だ」(松田氏)
 問題はさらにある。日本でつくる再生エネ利用のグリーン水素は高くつくので、海外の安価な再生エネ由来の水素を専用船で大量輸入することを政府は考えているが、輸送方法に手間がかかる。

補助金ねらい

 松田氏は「可燃性の水素の爆発リスクを避けるため有機物を反応させて安全な液体状態して運び、日本で水素に戻す方式と、現地でアンモニアに変えて、そのまま燃やす方式を検討している。いずれの方式でも電力ロスは約80%。コストも相当かかる。結局、単価は5倍以上にハネ上がる。現地の発電単価が安くてもこれでは間尺に合わない商売になる」「商売ベースでは多分成立しない。補助金ありきの政策です」と指摘した。

税金食い物に

 問題山積みで水素エネ社会の実現が疑わしいのに水素政策に走る背景について松田氏は「水素利権≠ノ群がる政官民学が税金を食い物にしようというよこしまな思惑がある」と断罪した。
 新たな利権への巨額な税金の投入が始まった。
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年6月25日号
 
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2023年07月01日

【焦点】オランダ「エルミタージュ美術館」改名、実は福島にも同美術館分館計画が。幻に終わる=橋詰雅博

  ロシアのプーチン大統領の故郷サンクトペテルブルクにある世界有数のコレクションを誇るエルミタージュ美術館の別館として2009年に開館したオランダの「アムステルダム・エルミタージュ美術館」が6月26日に「H・ART美術館」に改名した。ロシアのウクライナ侵攻によりロシアの美術館との関係を断ち1年以上半休状態だった。しかし、ロンドンの大英博物館やパリのポンピドーセンター、ワシントンのスミソニアン博物館と提携し9月から新名称で再開する。

 実はこのエルミタージュ美術館の分館が福島に建設される計画が1990年代後半にあった。朝日新聞特別報道部(同部は現在ない)が取材し新聞連載記事をまとめた単行本『原発利権を追う 電力をめぐるカネと権力の構造』(朝日新聞出版2014年9月刊行)で詳しく報じている。それによると東京電力は福島第一原発に7号機と8号機増設の見返りとしてサッカー施設「Jヴィレッジ」と並んでエルミタージュ美術館の分館建設計画を密かに進めた。美術館側と2回交渉し分館用地として福島県猪苗代湖畔を取得することが決まった。その際、美術館側は保証金として5億円求め、東電が5億を寄付したという。この寄付金は利用者の電気料金が原資である。結局、分館誘致は日の目を見ず、福島のエルミタージュ美術館分館は幻に終わった。

 東電が寄付したとされる5億円の行方は不明だ。東電にとって寄付金は原発立地対策の有力な切り札。原発立地自治体への寄付金を差配した元東電担当者はこう証言している。
 「東電は90年前後から2010年まで年度初めに10億から20億円の寄付金の予算枠をとった。必要に応じて増額することも多く、年平均で20億円以上となり、約20年間で総額4百数十億円に達する。金額は県ごとの原発発電量などを目安に配分した」
 カネは「一般寄付」として出されるので東電の名前は出ない。自治体との癒着と批判されるのを避けるためのカモフラージュだ。
 岸田政権は原発再稼働、新設に前のめり。電力会社による原発立地への見返りである寄付金は継続され膨れ上がるだろう。電気料金が原資であることを利用者は忘れてはダメだ。
 
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2023年06月25日

【焦点】核のゴミ処分「南鳥島」最適地  静岡知事が小池都知事に提案 地質学者との対談が引き金=橋詰雅博

 東京の都道府県会館で5月末に開かれた関東地方知事会議で静岡県の川勝平太知事が注目される発言をした。高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のごみ」の最終処分場を都の南東約2千`にある日本最南端の南鳥島(小笠原村の一部)を候補地として検討すべきだと、小池百合子都知事に提案したのだ。静岡県には浜岡原発(5基のうち1、2号基は廃炉、3,4、5基は長期停止中)がある。核のゴミに関心を持つのは当然だけれども、唐突感は否めない。川勝知事がこんな提案をした理由は、同県清水市に施設を構える東海大学海洋研究所の平朝彦所長(地質学者)と、同県発行の雑誌での対談が引き金になっている(今年1月の総合情報誌「ふじのくに」に掲載)。対談で平所長はこう述べている。

 「南鳥島は太平洋プレート(太平洋の海底の大部分を占める岩盤)上にある唯一の日本領土で、周囲6`bの国有地。最大の特徴は地質的な安定性です。地震、火山活動はまず起きない。これは確信を持って断言できます。なおかつ、住民がおらず漁業権など、いろいろな権利が設定されていない。地下へ数`bのボーリングをして、使用済み核燃料を処分するキャニスター(核のゴミの廃液をガラス原料で溶かし合わせたものが入ったステンレス容器)を入れて、セメントで封印することもできます。地球上で最高レベルの安定性があるので、壊れる不安はまずありません」「最適な核廃棄物処理方法だと信じて疑いません」

 川勝知事は「国難を救える島」「モデルケースを日本が提供できれば、世界に誇れる提言にもなりますと」と平所長の研究を称えた。
川勝提案に対し小池都知事は「国がしっかりと対応すると考えている」とそっけない答えだった。
 実は平所長は、南鳥島は核のゴミの地層処分(地下深く埋める)の最適地とローカル局の北海道放送(HBC)からの取材で3年前に提言している。経産省にもこの提言を伝えたが、返事はないそうだ。

 核のゴミの地層処分計画を進める政府は、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で文献調査を進めている。また長崎県の離島・対馬市は核のゴミの最終処分受け入れ誘致に向けて動きだしている。

 地震大国・日本には10万年以上も核のゴミを封じ込める適地はないと言われている状況下で、南鳥島にスポットライトが当たった。筆者は早速、平所長に取材を申し込んだ。残念ながら「南鳥島での地層処分をさらに研究したい」と断られた。

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2023年06月20日

【焦点】神宮外苑事業取り消し訴訟第1回口頭弁論、地裁103号法廷で29日(木)午前11時から開く=橋詰雅博

                        
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 東京・神宮外苑再開発再開事業をめぐり周辺住民や学者、研究者ら約62人が、東京都が認可した事業取り消しと判決確定までの認可執行停止を求め東京地裁に提訴した第1回口頭弁論が今月29日(木)、午前11時から地裁103号法廷で開かれる。
 2月28日に提起された主な訴えの内容は以下の通り。
@神宮外苑再開発事業が行われることにより、いちょう並木をはじめとした景観が大きく阻害され、多様な生態系や神宮外苑の環境を大きく毀損する。
A認可に先だって行われた環境影響評価は、事業者の不十分な情報公開、虚偽の報告のままでの環境影響評価など重大な瑕疵が認められる。
B再開発事業を可能にしているまちづくり指針による再開発事業は、都市計画法の本旨を逸脱又は認容されたものであり違法である。
C神宮外苑の歴史的価値・文化的価値が毀損され、景観利益、騒音や風害や日照権など、周辺住民に様々な被害がもたらされる。また13年にも及ぶ工事期間は住民生活を長期にわたり不便、不利益を与える。
主要な原告は ロッシェル・カップ(オンライン署名発起人・経営コンサルタント)、ロバート・ホワイティング(野球スポーツライター)、明日香壽川(東北大学教授・気候変動)、斎藤幸平(東京大学大学院准教授・経済思想家)、竹内昌義(建築家・東北芸術工科大学教授)、小野りりあん(ファッションモデル・気候アクティビスト)、原有穂(高校生・FFF Yokosuka)、外苑周辺住民。当日はカップさん=写真=らが意見陳述を行う。

 裁判終了後、午後3時30分から衆院第二議員会館1F多目的会議室で報告集会を5時30分まで行う。2時45分から会館入り口で入館証を配布。
■ 第1回弁論の報告
■「神宮外苑再開発の問題点」岩見良太郎氏(埼玉大学名誉教授=都市工学、工学博士=)講演
(報告集会はオンライン参加もできます)
*詳しくはこちらまで
https://www.savejingugaien.com/%E7%A5%9E%E5%AE%AE%E5%A4%96%E8%8B%91%E8%A8%B4%E8%A8%9F%E3%81%AE%E9%96%A2%E9%80%A3%E8%B3%87%E6%96%99/問い合せ先:訴訟団事務局 2012t.road @ gmail.com (長谷川)(送信の時、スペースを消して下さい)
https://www.savejingugaien.com/
 103号法廷は傍聴者が100人近く入る大法廷。ぜひ満席にして裁判官にプレッシャーをかけましょう。なお傍聴希望者が多い場合、抽選になるかも。

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2023年06月10日

【焦点】世田谷区 区史発刊で対立 大学教員 執筆者の権利奪う 不当労働行為で都労委へ=橋詰雅博                 

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  東京・世田谷区の区史発刊を巡り区は執筆するはずだった青山学院大学文学部史学科準教授・谷口雄太氏=写真=と対立を深めている。
 この問題の経緯はこうだ。区制施行90年を記念して地域の歴史を書いた区史を新たに作成するため区から編さん委員を2016年に委嘱された谷口氏は、唯一人の専門家とされる世田谷を支配した吉良一族の盛衰を含め中世史部分を担当した。執筆に向けて翌17年から調査・研究活動を始めた。ところが今年2月に事前の話し合いもなくいきなり40人の編さん委員に執筆の条件として区史(24年から各部門を順次発刊)の著作権無償譲渡に加えて著作者人格権の不行使(行政が無断で原稿内容を変えても文句は言えない)の契約を締結することを区は要請した。40人のうち一人は他の仕事があるという理由で辞退し、谷口氏だけが契約を拒否した。

史実の書き換えも
 谷口氏はこう説明する。
 「著作権の無償譲渡は民間なら大きな問題になりますが、自治体の場合、執筆者らに無償譲渡を求めることはよくあります。行政ならヘンな行為はしないだろうという性善説に立つので執筆者らは承諾するケースが多い。問題は著作者人格権不行使の要請です。認めてしまえば、区の学芸員らの解釈で史実が書き換えられる、あるいは削除されても抗議はできないし、修正も受け付けてくれません。著作権譲渡と著作者人格権不行使の2つを求めた自治体は世田谷区が初めだと思う。歴史修正につながり、悪しき世田谷モデル≠ェ自治体に広がる可能性もある。撤回してもらいたい」
 実は区は区史発刊に向けた準備として17年8月に冊子『往古来今』を作ったが、執筆者の谷口氏が著作者人格権と著作権の両方を侵害したとして抗議した。谷口氏は「人格権侵害については原稿を800カ所修正、著作権侵害の方は『世田谷デジタルミュージアム』に冊子を無断で転載」と問題点を指摘した。これに対して区は著作者人格権を含む著作権について誠実に対応すると答えた。
 その約束≠反故にするやり方の背景には「2つの権利を奪えば、執筆者とのトラブルは防げる」(谷口氏)という区の強引な姿勢がうかがえる。20年に区史を発行した港区は柔軟な対応をしている。改訂の可能性があると執筆者が反対したため著作権譲渡を取り下げた区は、独自判断で転載と引用だけはできるということで執筆者と合意した。

労組の支援受ける

 谷口氏は区史編さん担当職員と2月末に話し合ったが、不調に終わる。協議を打ち切った区は3月31日に谷口氏の委員を解任した。谷口氏は調査・研究の成果を発表する場を失った。
フリーランスとして業務委託契約を区と結んだ谷口氏は、フリーランスの編集者らが集まるユニオン出版ネットワーク(略称出版ネッツ)に入った。世田谷区による編さん委員の解任と正当な理由がない話し合い拒否について谷口氏への不当労働行為と判断した出版ネッツは、4月中旬に東京都労働員会に救済を申し立てた。
 谷口氏は「『区長選挙が終わったら対応したい』と保坂区長は言ったそうですが、いまだに何もありません。区長が世田谷モデル撤回を決断すれば問題は解決します。区政に汚点を残したくないならぜひそうしてください」と訴えた。
 4選を果たしたリベラルが売り物の保坂区長、どうする。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年5月25日号
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2023年05月16日

【焦点】「五輪災害」で反対運動 パリで過激化 日本も「外苑」再燃=橋詰雅博

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  2020年東京オリンピック開催(コロナ禍で1年延期)が決まった13年に巨額な財政負担や施設建設に伴う環境破壊、IOC(国際オリンピック委員会)のカネ儲け主義などを理由に結成された市民グループ・反五輪の会は、「東京そしてパリ終わらないオリンピック災害」と題した集会を3月25日に都内で開いた。
 フランスのパリ夏季五輪は来年7月下旬から8月上旬の日程で開催される。パリ五輪が決定した15年から「IOC解体」などを掲げて五輪反対活動を始めたグループの一員の佐々木夏子さんは=写真=(ライター兼翻訳者)パリ五輪災害≠フケースとして5つ挙げた。
★選手村建設のため外国人労働者アパートを取り壊す
NPO法人が1960年代から運営していた単身の黒人やアラブ人ら外国人労働者が住むアパートを選手村建設ためサン・トゥアン市は取り壊した。追い出された住人は仮設住宅で生活。五輪終了後に前の場所で暮らしたいと行政とオリンピック施設整備公社に訴えたが、交渉は不調に終わる。
★学校の真横に建設の高速道路ICへの反対運動起きた
選手村とパリ五輪競技場を結ぶためサンド・トニ市に新たに高速道路ICが幼稚園と小学校の真横に建設に。大量の排気ガスによる児童への健康被害を心配した保護者が中心となりIC反対運動が展開された。裁判で保護者側は敗訴した。
★メディアセンター建設が県立公園に悪影響及ぼす
メディアセンターはEU指定の県立公園に隣接。木が伐採され緑地は縮小、鳥やカエルなど生態系にも悪影響があると住民らは建設中止を求めて裁判を起こしたが敗訴した。
★五輪水泳選手の練習用プール建設で市民菜園消滅
練習用プールがつくられることで、1世紀近い歴史があるオーベルヴィリエ市の市民菜園が壊されることが判明。菜園利用者や近隣住民、戦闘的な環境保護団体「守るべき土地」の活動家らが菜園を占拠した。テントや小屋に寝泊まりする活動家は、住民登録し工事を阻止。しかし裁判で負けて菜園は消滅したが、昨年9月にパリ行政控訴院は、工事計画の見直しを命令した。
★AI監視カメラが合法化され監視社会が強化に
群衆の中で不審な行動者を検知するAI搭載監視カメラ導入を含む「オリンピック法案」をフランス議会は3月に可決。人権を侵害するとEUの各市民団体が法案撤回を求めていたが、議会は押し切った。五輪終了後もAI監視システムのもとで国民は暮らす。
 佐々木さんは「五輪支持の共産党影響下にある労組や市民団体以外の人たちによる練習用プール工事の阻止や選手村工事現場の停電を仕掛けるといったラディカルな妨害行動が起きている。ブルジョアの高学歴の若い白人が目立ちます」と過激になる反対運動を心配した。
 東京五輪災害と言えば、神宮外苑再開発が代表例だ。五輪口実に外苑一帯の諸規制を東京都は大幅に緩和し新国立競技場が建設された。さらに三井不動産が主導する秩父宮ラグビー場と神宮球場の建て替え、高層ビル建設などを盛り込んだ事業計画を小池百合子都知事は認可した。自然環境保全運動にも積極的に取り組んでいた故坂本龍一さんは大量の樹木が伐採されると再開発に反対し、周辺住民らも事業計画認可取り消しを求め東京地裁に提訴した。
 「五輪災害」に真剣に向き合う時がきた。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年4月25日号
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2023年04月10日

【焦点】神宮外苑再開発 認可取り消し求め提訴 伐採知事≠フ正体は=橋詰雅博

                        
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 東京・明治神宮外苑の再開発事業をめぐり事態が大きく動いた。住民ら約60人が東京都の施行認可の手続きは違法だとして東京地裁に2月28日に提訴した。と同時に判決確定までの認可の執行停止も申し立てた。大量の樹木の伐採による景観悪化、建設される超高層ビルのビル風や日照の減少、工事に伴う騒音などの理由で1年前ほどから始まった再開発反対の住民運動は高まり、事業見直しを求めるオンライン署名も12万筆を突破した。しかし、小池百合子都知事は2月17日に認可し、工事着工へゴーサインを出した。住民は反対の声を無視する小池知事に対し反撃≠ノ出た。
 訴状の主な内容は@神宮外苑の環境を大きく毀損、A事業者の不十分な情報公開、虚偽の報告のままでの環境影響評価など重大な瑕疵がある、B13年にも及ぶ工事期間は住民生活を長期にわたり不便、不利益を与える―。

 小池知事はなぜ住民の声を黙殺するのか。反対運動を展開する住民団体が主催した2月21日のオンライン講演で元都庁幹部職員の澤 章氏=写真上=はこう解説した。
 「そもそもこの再開発事業計画は2005年夏の森喜朗元首相と石原慎太郎都知事との都庁での会談が発端。その後、庁内に東京が2度目の五輪開催を目指すという噂が流れた。後日聞いた話だが、電通がつくったとされる神宮外苑再開発に関する企画提案書(04年ごろに出回る)を森元首相は持参したという。老朽化した国立競技場の移転(当初は晴海に新競技場を建てる予定)、都営霞ヶ丘アパートの取り壊し、複合スポーツ施設や業務施設の建設などを行う外苑再開発実現のため五輪招致を2者会談で決めたようです。森元首相が電通案に乗ったのか、案作成を指示したのかは不明です。元文科相で自民党の萩生田光一現政調会長(東京24区選出)も絡んでいる。小池さんはこの案件と『私は関係ない』という姿勢です。反対の声に耳を傾けず無視を貫けるのは、3年前の都知事選で290万票獲得した自信に由来していると思います」

 知事本局計画調整部長や中央卸売市場次長などを歴任した澤氏は、20年3月出版した『築地と豊洲』で小池都政を批判したことで東京都環境公社理事長を解任された。「批判を許さず」が小池知事のやり方だという。都庁で33年間働いた澤氏は神宮外苑再開発計画の裏側で政治家や事業者などの意向を汲んだ都市整備局が暗躍したと断言する。
 「外苑再開発事業を進めるには用途地域の変更、容積率アップ、緑の量をどのくらいにするなど都市計画の大幅な変更が絶対必要です。これを司る都市整備局が各方面に根回し。ダークサイドの仕事として少数の幹部だけが関知できる案件だと思います」(澤氏)
                       
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 小池知事の「正体」を澤氏は「小池さんは、偉くなること、政敵を追い落とすこと、政治家としてランク上げることが目的化していて、何をするかが一切ないちょっと異様な人です。女性の味方や子ども味方、地球温暖化の女性戦士みたいな仮面をかぶっていますが、理想とか理念とかに裏付けられているではなくて、その着ぐるみをどう見せるか、どうカッコよく見せるか、その時々のトレンドを追っているにしか過ぎないが私の見立てです」(2月22日、自身のYouTube『都庁watchTV』)と底が浅いと指摘した。
 葛西臨海公園や日比谷公園の樹木なども都は切る計画だ。伐採知事≠フ暴走は止まらず―。
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年3月25日号
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2023年03月16日

【焦点】「上昇が目的、何するかがない」小池都知事評―『安倍晋三 回顧録』でダメ出し=橋詰雅博

 住民の反対を完全無視して東京・神宮外苑再開発事業を認可した小池百合子都知事。この仕打ちに約60人の住民は東京地裁に認可取り消しを求める行政訴訟を起こし対抗した。小池知事という政治家を知るうえで参考になるのは近刊『安倍晋三 回顧録』だ。安倍元首相は小池知事をこんな風に見ていた。

 <彼女を支えている原動力は、上昇志向だと思う。誰だって上昇志向を持つことは大切だが、上昇して何をするのかが、彼女の場合、見えてこない。上昇すること自体が目的になってしまっている。上昇する過程では、小池さんは関係者を徹底的に追い落としてきましたね>(同書264ページ)
 安倍元首相を政治家として評価しないがと前置きし、ただ小池評は正鵠を射ているというのは、元都庁幹部職員の澤章氏だ。自身のYouTube『都庁WatchTV』でこう語っている。
 「小池さんというのは、中身は何もありません。政治の世界において、着ぐるみをどうやって価値を挙げていくか、もうそれだけが目的、もうそれしかない。政治家であれば、自己中だったり、わがままだったり、上昇志向があって、それは当然ですけど、小池さんの場合、それが度を越しているというか、ちょっと異様な人です」

 外苑再開発事業の樹木伐採問題でも、当初は約1000本と説明していたが、ふたを開けてみると新宿区エリアだけでも3000本もの木が切り落とされることが事業者の計画で判明した。小池知事は当然事前に知っていたはずなのに触れずじまい。説明は一切ない。法令に則り手続きが問題なければ、認可する、あとは事業者任せという極めて不誠実な対応だ。おそらく、外苑再開発事業全体では3000本をはるかに超える木が切れるであろう。

 反対の声は少数と切り捨て冷酷な判断で事業を促進させる小池知事の野望は、政界での頂≠ゥ。しかし単なる「異様な人」で終わるかも。来年夏の都知事選挙に注目だ。
 
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2023年03月04日

【焦点】「対中戦争準備国」への恐怖 台湾有事を煽る米国に追従 大軍拡で経済衰退は急加速 岡田充氏オンライン講演=橋詰雅博

                            
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 米中両国を中心に政治をウオッチする元共同通信論説委員でジャーナリストの岡田充(たかし)氏(=写真=)は日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)連帯委員会が1月26日開いたオンライン学習会で「台湾有事はどう作られたか―日本衰退が加速する大軍拡」をテーマに講演した。

一極覇権への回帰

 中国が武力で台湾を統一する―。中国の軍事的脅威論を米国が意図的に演出し、煽っていると岡田氏は指摘する。中国の台頭を阻み、日本を筆頭とした同盟国を巻き込んで米国がアジア太平洋地域に君臨し、ひいては「米国による一極覇権の回帰が狙いだ」という。その先鞭がバイデン政権発足直後の2021年3月の前米インド太平洋軍司令官のデビットソン海軍大将の上院軍事委員会での証言だ。「中国軍が27年までに台湾に進行する可能性がある」と述べたことについて岡田氏は「日米首脳会談に向け台湾問題で日本を主体的に関与させるための地ならし≠ニ、中国の軍事的な脅威を煽る対日世論工作だ」と分析した。
 米国の思惑に沿い日本は対米追従をさらに強めた。4月のワシントンで開かれた菅義偉とバイデンとの首脳会談で@半世紀ぶりに台湾問題を共同声明に明記、A台湾有事に備えた日米共同軍事作戦の策定―などに合意した。続く22年5月の東京での岸田文雄・バイデン会談の共同声明では@日米同盟の抑止力、対処力の早急な強化、A日本の防衛力を抜本的に強化、防衛費増額を確保、B米側は日本防衛への関与と、核を含む拡大抑止の再確認をうたった。

トマホーク5百発

 こうしたことを踏まえて岸田政権は「国家安全保障戦略」の改訂など安保3文書を昨年12月に閣議決定する。敵基地攻撃能力の保有(米国製巡行ミサイル・トマホーク500発を購入予定など)、防衛費を27年にGDP(国内総生産)比2%に倍増などの決定は、日本の防衛戦略の基本姿勢である専守防衛政策を骨抜きにし、戦争する国家に移行させる安保政策の大転換に舵を切った。
 「21年春からメディアを通じて台湾有事と中国脅威論を煽った米国の狙い通りに日本は防衛力を大強化した。わずか2年で対中国戦争準備国≠ノ移行した日本の変質は、驚きを通り越し恐怖すら感じる」(岡田氏)
 それでは中国は台湾の武力統一に動くのだろうか。習近平総書記長は昨年10月の中国共産党第20回党大会の演説で「完全な統一は必ず実現できる」と台湾統一を強調した。この演説についてNHKを始め多くの日本のメディアは、武力行使も辞さずと報じた。中国が台湾に武力行使を強行する条件は「3つ」と岡田氏は語る。その3条件は台湾独立宣言など中国から離れる事実がつくられたとき、外国干渉を含む分離をもたらしかねない重大事変が発生、平和統一の可能性が完全に失われたときだ。
 メディアは台湾有事を煽っているが、これらの条件に当てはまる危ない事態は起きていない。
 そもそも武力統一は「最悪の選択」だという。岡田氏はその理由をいつくか挙げた。
 「米中の軍事衝突が起きる可能性があり、核戦争まで発展しかねない。キシンジャーは21年4月、『(米中衝突は)世界の終末の脅威が倍増』と警告している。
統一支持が少ない台湾の民意に逆らって武力制圧しても、新たな分裂勢力を抱えるだけで統一の果実がない。武力行使への国際的な反発と経済制裁は、一帯一路計画にもブレーキがかかり経済発展の足を引っ張る。結局、武力行使は共産党の一党支配を揺るがす悪手中の悪手です」

軍事「金食い虫」

 大軍拡は日本経済の衰退を加速させる。一口に防衛費といっても、兵器開発・購入費や購入ローンの返済、訓練費、人件費、弾薬や燃料の備蓄費など多岐にわたる。生み出すものが少なく生産性が低いのに莫大な金だけが費やされる金食い虫≠ェ防衛費。すでに日本の一人当たりのGDPはピークの1997年世界4位から21年に27位まで落ちた。米大手金融グループのゴールドマン・サックスは75年の日本のGDPを世界12位に転落と予測したが、防衛費膨張によりさらにダウンするかもしれない。となるともはや先進国とはいえないだろう。
 対米追従の大軍拡が行き着き先は日本の国力の著しい低下だ。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
 
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2023年02月25日

【焦点】「インボイス中止を」フリーランスら直撃 重い納税、消費増税の布石=橋詰雅博

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 政府が10月から実施するという消費税のインボイス(税率や税額が記載された適格請求書)制度。「廃業」につながる死活問題ゆえにフリーランスなど個人事業者を中心に反対の声が日増しに高まっている。フリーランスとして働く人が多い出版、アニメ、演劇、映画、俳優・声優などの各団体やフリーランスなどからなる市民グループ「インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称:STOP!インボイス)」は相次いで反対声明を出し中止を岸田政権に迫っている。地方経済に悪影響が及ぶと延期や中止を求める意見書を採決した地方議会も急増中だ。
 反対運動に火をつけた「STOP!インボイス」の呼びかけ人の小泉なつみさん(ライター兼編集者)はこう言う。
「一昨年10月、インボイス制度導入で私の負担はどのくらいになるかを税理士さんに尋ねたら驚くほどの金額を提示されました。夫も同業者ですからこれでは家計が立ち行かなくなるとショックでした。インボイスの実態を書いた私のツイッターへの反響は大きく何かアクションを求めていると感じ導入反対を求めるネット署名を12月にスタート。アッと言う間に3万筆も集まり、財務省に提出しました。クラウドファンディングを介して寄せられた約100万円で日比谷野音での反対集会を昨年10月に開いたとき、10万筆を超えたことを報告(=写真上=)。現在15万5000筆に増えています」

仕事がなくなる
 消費税は消費者が支払っていると思いがちだが、実は事業者が税務署に納めている。3%の消費税が導入された1989年は年間売り上げ(年収)が3千万以下の事業者は免税だったが、2004年から1千万以下に引き下げられた。今回のインボス制度実施では1千万以下も課税対象となる。例えば年収300万のフリーランスなどの個人事業者が納める消費税は約14万で、経費、健康保険などの社会保険料や所得税、住民税などを差し引くと、自由になるお金は約90万という試算もある。その上に事務作業も煩雑になる。
 納税を避けるため税務署に課税事業者登録をせず、免税事業者として留まる方法もあるが、報酬ダウンや仕事を失う可能性がある。なぜそうなるのかを小泉さんは「出版社と下請けのライターとの関係で言えば、未登録のライターは、インボスを発行できませんから出版社がライターの消費税を被ります。従って出版社はそのライターへの仕事の発注では、従前より安い原稿料で依頼することがあり得ます。あるいはインボイスに登録済みの課税事業者に仕事を回すことも考えられ、インボイスを発行できないライターは仕事がなくなる可能性がある」と説明する。発注元の出版社から課税事業者への登録要請があれば、ライターは飲まざるを得ない。実際、登録依頼の要請とともに、未登録なら取引価格の変更の可能性があると書かれた文書をライターに郵送した出版社もある(=写真下=)。
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仕事の仲間を分断
 ただ世論の反発は根強く、国会議員も超党派でインボイス制度の問題を考える議員連盟を昨年11月下旬に発足させた。このため岸田政権は免税事業者から課税事業者に転換したら3年間だけ消費税の納税を最大2割とするなどの緩和措置を打ち出した。
 「反対世論の勢いが止まないので少し緩めてやろうというのがこの措置ですが、もともと複雑な制度をさらに複雑化させています。抜本的な解決策とは言い難い。仕事仲間との間に分断を生み、重い納税と事務負担で若手の成長も阻むインボイス制度は中止すべきです」(小泉さん)
 課税事業者への登録は9月中までの予定だ。インボイス制度導入の背景には免税事業者をなくし消費税増税をめざす財務省の思惑が潜んでいる。
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年1月25日号

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2023年02月17日

【焦点】来年1月の台湾総統選はゲームチェンジャーになり得る=橋詰雅博

 中国は2027年までに軍事力で台湾に攻め込み統一を実現するのではないかと米国や日本などで喧伝されている中で、台湾の政治情勢に注目が集まっている。というのは2024年1月に総統選挙(1996年直接選挙が行われて以降4年に1回実施)が行われるからだ。この選挙で中国と距離を置き独立志向が根強い与党・民進党から親中国派の最大野党・国民党に政権が交代したら、
声高に言われている今の台湾有事の勢いが止まる可能性がある。

 次の総統選では民進党は頼清徳副総裁が最有力候補だ。昨年11月の統一地方選で敗北した責任を取り主席を辞任した蔡英文総統の則近で、20年5月から副総裁を務める。副総裁就任前は、「一つの中国」を認めない対中強硬派と見られていたが、主席就任の記者会見では「台湾はすでに独立国家だと現実的に位置付けている。改めて台湾独立を宣言する必要はない」と述べ、蔡総統路線を継承する方針だ。

 一方、国民党はまだ正式な候補者は決まっていないが、朱立倫主席や新北市長の候友宣、大手電機メーカー・ホンハイ精密工業の創業者・郭台銘らの名前が挙がっている。
 対中関係が争点となる総統選では、統一地方選の結果がそのまま反映しないという見方があるが、国民党の政権奪還はあり得る。

 1月下旬にオンライン講演した元共同通信論説委員でジャーナリスト・岡田充氏(香港、台北、モスクワ各特派員を務めた)はこう言った。
 「統一地方選で民進党が惨敗したのは、蔡政権の抗中保台$ュ策が国民の離反を招いたからです。従って来年1月の総統選でも対中関係の見直しの世論が高まれば、政権交代の可能性はあります。そうなったら緊張関係を続けてきた中台関係は大きく改善する。『有事』が宙に浮きます。まさに総統選はゲームチェンジャーになる」

 となると米国の戦略に沿い大軍拡に走る岸田政権への風当たりが強まり、軍事力増強路線に疑念が生まれる。岡田氏は「進めるべきは、中国敵視をやめて、停止状態の日中首脳交流を再開して信頼醸成を図ること。外交を正常に戻すことです」と強調した。
 台湾有事を煽り中国の台頭を阻む米戦略への追従は日本の国益を大きく損なうのである。
 

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2023年01月30日

【東京五輪選手村訴訟】第3回控訴審は3月14日に開く、原告側の不動産鑑定意見書が証拠採用=橋詰雅博

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原告側らが発行する最新会報誌


  都民が小池百合子都知事らを相手取った東京五輪選手村訴訟の控訴審第3回口頭弁論は3月14日(火)午前11時20分から101号法廷で開かれる。

 昨年12月15日開かれた第2回口頭弁論では選手村土地を9割引とした日本不動産研究所の価格評価の間違いを明らかにした田原拓治不動産鑑定士の鑑定意見書が証拠として採用された。原告側には大きな収穫だ。原告団からこの報告を聞いた田原氏は「よくぞ裁判官に証拠として採用させたと、その努力に敬服いたします。少し明るい光が見えてきたように感じられますと」と感想を述べた。
 被控訴人(都側)は田原意見書への反論書を裁判所に2月末まで提出するが、被告がよりどころとした選手村要因を考慮した土地価格は開発法でしか算出できない点について、田原意見書はこう指摘している。ちなみに開発法はこの土地にマンションなどを建てて販売したら、いくら儲かるかを基準としたデベロッパー目線による評価方式だ。

 <選手村要因は建物の工事費の問題であり、土地価格への影響を考慮して判断すべきという前提自体が誤り。従って、取引事例比較法による正常価格を出せるし、これと方法が違う開発法のみでの価格決定は複数の手法で価格評価すべしという鑑定基準に違反する。また近隣の公示価格とも比べないのは公示価格法違反である>
 裁判長は、被告の反論書をみてから田原氏の法廷での証人尋問が必要かどうか判断するという。
 被告・東京都の反論書の内容が見ものだ。

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2023年01月07日

【焦点】洗脳から目覚めた二世 旧統一教会信者、過酷な体験 『カルトの花嫁』に綴る 「いのちの電話」で再生へ=橋詰雅博

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                  音声だけで出演
 旧統一教会元信者が自らの過酷な体験を綴った『カルトの花嫁』(合同出版社)が話題を呼んでいる。信者の母親の強要により高校生の頃に入信し、合同結婚式に2度参加した著者の冠木結心さん(かぶらぎ・けいこ=写真上=)は、いずれも韓国人男性とマッチングされた。最初の夫にはDVで、2度目はアルコール依存症で借金漬けの夫に苦しめられ壮絶な結婚生活を送る。2012年9月、教祖・文鮮明の死亡を機に洗脳から目覚め脱会した彼女は翌13年に2人の子ども(異父姉妹)と共に韓国から逃げるように帰国した。40代の今はシングルマザーとして暮らす冠木さんと、元信者で脱会支援活動を37年間も続けている牧師の竹迫之さん(たけさこ・いたる==)が11月19日オンラインで対談(合同出版主催)した。
 1995年8月25日ソウルオリンピックスタジアムでの合同結婚式に参加した冠木さんは21歳の当時を振り返ってこう語った。

子どもを守るため

 「統一教会では男女間の自由恋愛は禁止していますので、1回も恋愛経験はありません。19歳の韓国人とマッチングされた時、愛する人を与えてくださったのでうれしかったです。幸せな毎日が待っていると思いましたが、幻想でした。韓国で住む家も仕事もない彼との結婚生活は私が働き日本でスタートしましたが、夫は自分の気に入らないことがあると、私を殴り、蹴ったりした。信仰の信の字もない夫に驚いた。日本で悪霊(サタン)がついたから夫は暴力をふるうと韓国人教区長などから諭され日本人として罪の意識もありじっと耐えました。でも結婚3年目に生まれた子どもに夫の暴力が向かうと心配になり離婚を母に伝えました。『祝福家庭が壊れるのは、サタンが一番喜ぶこと』と反対されましたが、子どもの身を守るため離婚を決意しました」
 だが彼女は2002年2月の2度目の合同結婚式に参加。なぜ再婚したのかについて「御父母様(文鮮明夫婦、教会内での愛称)から祝福を受けたいという洗脳を解くことをできずにいたから」とその時の心境を述べた。相手は14歳年上で日雇いの仕事をしていた。マッチングの際、年齢、学齢、仕事を偽っていた。
                       
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 「万物復帰」(信仰の訓練として福祉ボランティアを装った信者が一般の人に物を売りつける行為。売り上げは統一教会に入る)と呼ばれる活動として竹迫さんはハンカチを売った。
 「ホーム(献身した男女が宿泊施設で共同生活を送る)で朝5時に起きると、皆、今日の売り上げ目標を自己申告する。昨日2万円売れたから3万とか4万と言うと『そんなはした金で世界が救えるか』と幹部から恫喝される。20万、30万と無理な目標を申告してしまう。訪問販売が恥ずかしいという気持ちが生まれるのは堕落でありサタンにつけこまれるとマインドコントロールされているので、訪問先で歌なんか歌い芸を披露する。精神を集中して売った」

母親と縁を切った

 12年肺炎であっさり死亡した文鮮明がただの人間だと気づいた冠木さんは洗脳から目覚め脱会し、ダメ夫を捨て去り2人の子どもと共に帰国した。20年に及んだ洗脳と、元夫が彼女のクレジットカードを使いつくった多額の借金の返済から抜け出すきっかけは「いのちの電話」の相談員から受けた2つのアドバイスだった。大学の心理療法室と法テラスの利用だ。紹介された心理療法室に通う一方で弁護士の力を借りて自己破産し経済的なピンチを脱した。
 脱会支援をサポートする竹迫さんは「かつては信者の脱会に専念したが、うまくいかなかった。今は、信者とその家族とが再び交流できるように努め、両者の分断が修正されて信者の脱会につながれば」と話した。
 子どもが旧統一教会に引きずり込まれるのを阻むため母親とは縁を切った冠木さんは、心理療法士のカウンセリングを受けながら再生の道を歩んでいる。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年12月25日号
 
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2022年12月19日

【焦点】「拉致問題本 充実を」文科省「図書館の自由」に介入 図書館協会など撤回求める=橋詰雅博

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 文部科学省が都道府県の教育委員会などに出した事務連絡に反発が広がっている。問題の文書は「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力等について」と題し、「若い世代に対する拉致問題への更なる理解促進のため図書館、学校図書館において、拉致問題に関する図書等の充実」(=写真=)を求めた。12月10日から16日の北朝鮮人権侵害問題啓発週間に向けて内閣官房拉致問題対策本部から依頼を受けた文科省が8月末に通知した。これに対して「権力の介入」と批判した図書館業界などは依頼の撤回を要求した。

自由宣言を採択

 図書館業界が反発するのは理由がある。戦前・戦中の図書館は政府が掲げる「思想善導」(国家が反体制思想を排除する政策)に沿い国民の知る自由(知る権利)を妨げる役割を果たし、戦争に協力した。こうした反省の上に立ち公立図書館や小中高の学校図書館などが加盟する日本図書館協会は、1954年(昭和29年)に「図書館の自由に関する宣言」を採択した。この宣言では、図書館は権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、収集した資料と整備された施設の提供を行うとしている。併せて「利用者の秘密保持」や「検閲の反対」もうたわれた。
 今回の文科省の文書は図書館の自由宣言をないがしろにする危険性がある。このため図書館や教育現場から批判が相次いでいるのだ。いち早く9月8日、全日本教職員組合は「内容やテーマを指定した図書の充実や展示を求めるのは、子ども、国民の思想を縛るきわめて危険なことである」として事務連絡の撤回を文科省に申し入れた。日本図書館協会も「国民の知る自由を保障するうえで、とても危険なこと。文科省の文書は是認することはできません」と10月11日に意見表明した。

不当な支配にも

 日本図書館協会の岡部幸祐常務理事は「図書館として拉致問題の理解促進に協力するのは重要です。そうであっても拉致をテーマした図書の充実をという文科省の通知連絡は、図書館の自由宣言の理念から逸脱する行為だと考えられます。今一度、宣言を守ってほしいというメッセージが必要と考えて意見表明しました」と話す。
 また改めて自由宣言を読み直してほしいと加盟の図書館に同協会が文書を出した理由を岡部常務理事はこう説明する。
 「文科省の事務連絡を指示文書のように受け取ることを懸念したからです。というのは、司書は非常勤が多く、学校を掛け持ちしている司書もいます。少ないですが司書不在の学校図書館もあります。こうした事情から図書館での主体的な取り組みが難しくなる恐れが生じると考えて、関係者に宣言の読み直しをお願いしました」
 図書館員や個人ボランティアなどからなる図書館問題研究会の中沢孝之委員長は「多くの図書館は、拉致問題の早期解決を願っており、収集した拉致関係の図書を展示しています。それなのに国はこんな文書を提示する。図書館の自由宣言の侵害であり、権力介入の危機感を覚えます。教育基本法第16条『不当な支配』に該当する恐れもあります。事務連絡の撤回と今後こうした要請を行わないことを文科省に求めました」と語る。
「強制の意図はない」と国は釈明するが、図書館の自由宣言を軽視しているのでは……。
  橋詰雅博
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2022年11月12日

【焦点】新法 今国会で成立見通し フリーランスは本当に保護されるのか 実効性の確保が問題 公取委など官庁連携も必要=橋詰雅博

  出版、IT、メディア、スポーツ、広報、運送、芸能などさまざまな分野で仕事するフリーランスが安定して働けるという新法律「フリーランス保護法案」が臨時国会の会期末12月10日までに成立する見通しだ。

多い泣き寝入り

 日本でも462万人と急増するフリーランスが、報酬の支払い遅延、突然の契約解除、一方的な仕事の内容の変更などで泣き寝入りするケースが増えている。トラブル防止をめざす法案には、これまで資本金1千万円を超える企業に適用されていた下請法(代金の支払い遅延や代金の買いたたきなどの禁止、申告された違反者への指導・勧告など)を、フリーランスと取引が多い資本金1千万円以下の企業にも適用に加えて新たにハラスメント対策などが盛り込まれた。

下請法と保護法案が発注者に義務付けた取引の適正化に関する主な中身は次の通り。
▼業務委託する際、仕事の内容、納期、報酬額、報酬の支払い時期
など8項目を記した書面の交付あるいはメールをする。
▼中途解約または契約期間更新しない場合、30日前に予告。
▼報酬は仕事が完了した日から60日以内に支払う。
▼報酬減額、返品、不当に低い報酬、指定する物の購入強制、報酬内容の変更などの禁止。
 この取引の適正化に関し下請法の対象外の企業も、法制化により違反すれば指導、勧告、公表などが行われる。フリーランスも国に違反申告ができ、それを理由に契約解除はされない。

 新たに加わる発注者が取り組むべき就業環境の整備の内容は@ハラスメント行為について、適切に対応するため体制の整備、その他の必要な措置を講じる、
Aフリーランスの申し出に応じ、出産・育児・介護と仕事の両立との観点から必要な配慮をする。
ようやく着手されたこの新法案で不安定な立場のフリーランスは本当に保護されるだろうか。

守る姿勢と問題点

  厚生労働省などに新法案について要望を提示してきた日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)フリーランス連絡会の北健一氏は「下請法の全企業への適用と、就業環境整備からなる法案は十分な内容ではないが、フリーランスを守る姿勢が示された」と評価した。
 一方では問題もある。
 「保護法が成立しても守らない企業が出てきます。それを防ぐには実効性の確保が重要なポイントです。法案にはどの官庁が違反した発注者の指導、勧告、公表を行うのかは明示されていません。下請法の監督官庁は公正取引委員会ですが、地方に7カ所の拠点しかなく、マンパワーも不足しています。全国に拠点がある労働基準法違反を調べる労働基準監督署と比べると規模が小さい。保護法も公取委が担当となると、労基署のように広範な指導、勧告などができる体制になっていません。これでは違反する企業を防止できませんので、公取委の増員を内閣官房(首相の補佐・支援が役目)にMICは要望しています」(北氏)
  保護法の実効性を高めるため北氏はこんな提案をする。
 「厚労省が所管し、東京第二弁護士会が運営する常設の『フリーランス110番』(20年11月に開設)との連携は有効だと思います。フリーランスから電話やメールで毎月300から500件相談を受け、弁護士が和解あっせんにも取り組んでいます。公取委と厚労省の連携でこのような110番システムを地方に展開すれば、保護法の実効性がアップするのではないでしょうか」
 雇用契約を結んでいないので労働基準法の適用外のフリーランスは労働者に該当しない。しかし個人事業主とはいえ生身の労働者であることに変わらない。北氏は「今回のような取引ルールに加えてけがや病気のときなどカバーしてもらえる労働法的な保護の拡張も検討してほしい」と政府に要望する。
 橋詰雅博
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号
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2022年10月31日

【焦点】五輪選手村訴訟の第1回控訴審で2回と3回目の日程決まる、原告が提示した3点の要求の採否に注目=橋詰雅博

 東京・晴海の五輪選手村訴訟の控訴審第1回口頭弁論が10月11日に開かれ、次回第2回弁論は12月15日(木)午後1時40分、第3回は来年2023年3月14日(火)午前11時20分に開かれることが決まった。いずれも101号の大法廷で行われる。
 この日、口頭陳述した原告の中野幸則団長は「都市再開発法を濫用・誤用して合法性を装って、129億6千万円という著しく廉価な譲渡価格を都議会にも財産価格審議会にもかけずに秘密裏に決定したことは地方自治体法違反の財務会計行為」と述べ、控訴審での厳正な審判を求めた。
 原告側代理人の淵脇みどり弁護士は「五輪から1年を経過し、6月に収支報告書が出ましたが、本件住民訴訟で損害賠償を求めている1000億円を超える選手村敷地の土地差額は経費支出として計上されていません。この隠された支出は特定建築業者(土地を取得した三井不動産など11社)の利益となりました」と述べて、「本件は五輪利権をめぐる地方自治体の本質に関わる重要な訴訟」だから司法の場で十分な審議をすべきだと訴えた。
 原告が提示した@小池百合子都知事ら6人の証人申請、A不動産鑑定士の田原拓治氏の意見書の採用、B非開示している都と事業協力者(三井不動産など13社)の協議議事録の命令申立書の採否を裁判長は次回法廷で明らかにする。
 裁判の行方を決まるだけに裁判長がこれら採否をどう判断するのか注目される。
 橋詰雅博
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