2022年10月15日

【オンライン講演】シンポジウム「復帰50年 沖縄のいま・これから――沖縄にとって日本とは何か/ジャーナリズムは何をすべきか」 29日(土)午後2時から4時まで 基調提言:作家・池澤夏樹さん

パネリスト:金城正洋さん(ジャーナリスト) 黒島美奈子さん(沖縄タイムス論説副委員長)
司会:米倉外昭さん(琉球新報論説委員)

 今回のシンポは「沖縄の今とこれから」に目を向け、政治・経済に加えて文化的な課題も含めて、沖縄と日本の関係、日本にとって沖縄とは何か、沖縄にとって日本とは何かという、テーマを改めて考える。
  作家の池澤夏樹さんは、1993〜2005年に沖縄に住み、「カデナ」など沖縄を舞台にした小説や多くのエッセーを発表し、政治についても発言してきた。現在、沖縄の文化を世界に向けて発信するサイト「あまくま琉球」に取り組んでいる。池澤さんに、今そしてこれからの沖縄をどのように見ているのか、課題は何か、サイト作りに取り組む理由にも触れながら、基調提言という形で語っていただく。

★参加費:500円 Peatixhttps://imakorekara.peatix.com/?utm_medium=web&utm_medium=%3A%3A%3A1%3A3389235&utm_source=results&utm_campaign=searchを通じてお申込みください。
【なおJCJ会員は無料です。onlinejcj20@gmail.com に別途メールで申し込んでください。】

★パネリスト・司会の略歴
金城正洋さん:1959年、石垣島生まれ。琉球朝日放送記者を経てジャーナリスト
黒島美奈子さん:1970年沖縄県生まれ。93年沖縄タイムス入社。社会部・学芸部・政経部・デジタル編集部を経て現在、論説副委員長
米倉外昭さん:1961年富山県生まれ。1987年琉球新報入社。現在、編集局整理グループ所属、論説委員

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ) 
  電話03−6272−9781(月水金の午後1時から6時まで)
  メール:office@jcj.gr.jp
デイリーJCJ:http://jcj-daily.seesaa.net/
ホームページ:http://jcj.gr.jp
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2022年10月10日

【オンライン講演】学生たちのウィーン報告 核禁条約会議に参加して 「核共有」日本に強い批判 「私たちもメディアを実感」=吉原 功

 8月27日、オンライン講演会「学生たちのウィーン報告:核兵器禁止条約締約国会議に参加して」を開いた。報告者は中村涼香さん、徳田悠希さん、高橋悠太さんの大学生3人。KNOW NUCS TOKYO(KNT)というちょっと変わった名称の活動組織のメンバーだ。KNTには「核のない世界を目指す」「ヒバク(者)の今を知る」「社会課題の解決に新たな一歩を」という思いを込めているという。

「核抑止」論を批判

  結成して約1年、議員との面会、被爆者の証言会開催、署名などの活動をしてきた。6月にウィーンで開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議に向けて資金を集め、メンバー5人が参加した。現地での行動目標は@ウィーンから最新情報を発信するA被爆国日本からメッセージを届けるB若い世代を中心に国際的なネットワーク構築する――だった。
 締約国会議は6月21日からの3日間で、その前後にICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)主催の市民社会フォーラムや、オーストリア政府主催「核兵器の非人道性に関する国際会議」などの企画があった。3人の学生は分担して催しに参加した。
 講演では概要を徳田さんが報告した。注目ポイントは次の4点。@「核抑止」批判が全体を貫いたA核兵器は「今も続く問題」で「被爆2世3世も被害を受けたコミュニティの一員」という認識B太平洋など核実験の被害地からも若者が多数参加C核保有国を巻き込むためにNPT(核兵器不拡散条約)との補完関係の重要性を確認――だった。

市民と政府が対話

 日本に対しては、浮上する「核共有」論への懸念や、「橋渡しをする」といいながら締約国会議にオブザーバー参加しないことへの強い批判があった。
 同会議は「ウィーン宣言――核兵器のない世界へのコミットメント」および50項目の「行動計画」を採択した。そこにもこれら注目ポイントが盛り込まれた。「市民の集まり」と「政府代表」が対等に議論し、その成果が「宣言」「行動計画」に反映されたということだ。
 ICANフォーラムには600人が参加した。その様子について中村さんは「日本の歴史ある反核運動とはかなり性格も雰囲気も違う」「気楽な雰囲気の中で世界中から集まった人々が安全保障の話をし、ネットーワークを広げている」と報告。カジュアルな雰囲気の会議づくりを「日本に持ち帰って生かしたい」と話した。

被爆者の和服借り

  オーストリア政府主催の「非人道会議」では、被爆3世の中村さんが核被害者としてスピーチした。会場に来れなかった被爆者の女性から借りた和服を着ての登壇だった。帯には「和」「ピース」の文字が書いてある。この和服は注目され、各国大使から声をかけられ、民間外交でのアピール力はすごかったと振り返った。
 この「非人道会議」の会場で、日本外務省課長に「締約国会議に参加を」と迫ったのが高橋さんだ。彼はNPT開催中のニューヨークにも飛び、会議傍聴、各国政府代表との面談、ウィーンで出会った若者15団体と「ユース共同ステートメント」の作成・発表などを行った。「望んだわけでも関わったわけでもない私たちは、核兵器があふれる世界に生まれてその議論への参加も許されていない。<国家の安全>のためでなく<私たちの安全>のために、核兵器の廃絶を!」と訴えた。
 高橋さんは今回「自分たちは(世界に情報を発信できる)メディアである」と実感したとも語った。
  吉原 功
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号

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2022年10月08日

【オンライン講演】「国葬」・旧統一教会考えるシンポ 「言論部隊」持つ金集め団体 山口 広氏 幕引き図れば次の事件生む 金平茂紀氏 「国葬」は信者結束させる力に 有田芳生氏

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 「NHKとメディアの今を考える会」は5日、「『安倍国葬』強行は民主主義の汚点!」と題するオンラインシンポジウムを開催した。ズブズブの状態に陥っている自民党と旧統一教会の関係に対する関心は強く、オンラインシンポの参加者は616人に上った。
 シンポジウムには、ジャーナリストの金平茂紀氏と有田芳生氏、弁護士の山口広氏がパネラーとして出席した=写真=。

「旧統一教会」
 当初伝えず

 7月8日の安倍元首相銃撃事件の報道について有田氏は「旧統一教会に関わる事件という情報は得ていた。フランスのフィガロは旧統一教会の名前を出したが、日本のメディアは当初『特定の宗教団体』としか伝えなかった」と批判。
 山口弁護士も「事件当日、あるジャーナリストから『統一教会だよ』と連絡を受け『ホントかよ』と返すほど驚いたが、テレビも新聞も当初、統一教会のトの字も言わない。イギリスの新聞やネットは、旧統一教会をどんどん出しているのに『特定宗教団体』を繰り返すだけだった。」と厳しく批判した。
 金平氏は「特定宗教団体」とリークしたのは奈良県警で、各社の地回り取材で旧統一教会の名前が出ていたが、各社はそれを抑えたと明かした。

 山口弁護士は旧統一教会の特徴と問題点について「統一教会は単なる宗教団体ではない」と述べ、その特徴として「彼らは経済部隊を持ち、献金を集める。献金集めが中心の団体だ。しかも政治部隊を持ち、言論部隊も持っている」と指摘。「創始者の文鮮明は『国際勝共連合』で朴正煕に食い込み、岸信介に食い込み、安倍晋太郎、安倍晋三につなげている」と解き明かした。
 文鮮明はアメリカにも進出、共和党を支援する。ワシントン・タイムズを創刊し、特に父ブッシュ大統領を鼓舞した。韓国でも「世界日報」が一定の全国紙になっている。有田氏は、統一教会がワシントン・タイムズに毎月8億6千万円を送金していた事実を、2007年の統一教会内部資料で明らかにしている。

 1970年から80年代にかけて、統一教会は霊感商法を編み出し、巨額の献金を集めて文鮮明に送金する。しかし、90年代半ば以降、オウム事件などの陰に隠れる形で今日に至る。「空白の30年」ともいわれるが、その間も特に「信仰2世」と呼ばれる子や孫たちが悲惨な人生を強いられる。
 有田氏は「統一教会がカルト集団かどうか。カルトは熱狂的な集団。オウムは破壊的なカルト集団と言われた。統一教会は異常な金集めをやる。70年代半ばに、霊感商法という手口を見つけ、1日20数億円、1か月で2000億円ものカネを集め、文鮮明に送った。統一教会は経済カルトだ」と指摘した。
 信仰2世の容疑
「来るものが来た」

 その結果、信者や信仰2世に何が起きるか。
 山口弁護士は「一番悲惨なのは、信者の子や孫たちの信仰2世だ。安倍襲撃の容疑者が信仰2世と聞き、ついに来るものが来たと思った」と述べた上で「宗教法人法はこのままでいいのか。体系、運用を含めて(旧統一教会のような)宗教法人を解散まで持って行けるのか。何らかの形で法律に盛り込まないといけない」と強調。反社会的な活動を行う団体の解散等に対応できる法整備の必要性を訴えた。
 有田氏は「空白の30年」に関連して、1993年5月に当時の警察庁警備局長が「統一教会と国際勝共連合はやがて大きな社会問題になる」「やがて、摘発する」と明言していたことを明らかにした。
 しかし、山口氏によると、教会本部家宅捜索直前、警察出身の自民党幹部の圧力で「討ち方止め」になったという。金平氏は「ひどい話だ。政治家の圧力が『空白の30年』の要因の一つになったのではないか、というのが有田さんの指摘だ」とコメントした。
 自民党の政治家が旧統一教会と、なぜここまでズブズブの関係になってしまったのか。「そもそも、旧統一教会と自民党政治の目指すものは一致しているのではないのか。根本的な反省なしに、点検とかで幕引きを図ろうとすると、第2、第3の安倍事件が起きるかもしれない」と、金平氏は警鐘を鳴らす。
 反共で結びつき
 政治に入り込む

 有田氏は「文鮮明は1958年に国際勝共連合を創って、反共という接点で自民党と容易に結びついた。旧統一教会の内部資料によると、対策費1億円を計上して女性信者による『PRチーム』を編成し、日本の議員会館で例えば「『子ども庁』ではなく『子ども家庭庁』にしないとダメ」とロビー活動をやっている」と指摘する。
 特に「選挙の支援活動は精力的にやってくれるから、有難い。彼らは自分たちの利益を守るために、日本の政治に入り込もうとしている。自民党の政治家とは深い共存関係はにある」と述べる。金平氏は「自民党と旧統一教会との持ちつ持たれつの関係が、政策を歪める方向に働いている」と、危機感を示す。

 シンポジウムは、岸田首相が強行を企てる「安倍国葬」を議論した。
 まず、有田氏が統一教会の「教え」を引用しながら「山口さんでも私でも、誰でも肉体と霊人体がある。晋三氏は肉体がなくなってこの世にはいないが、霊界では光り輝いている。国葬をやるとさらに光り輝く。国葬をやれば、宗教弾圧を受けている自分たち信者が結束する力になると信じている」と解説。「だから、国葬をやっちゃダメなんです」と力を込めた。
 山口氏は去年9月、安倍氏にこれ以上(旧統一教会との)交流をやめるよう抗議したと明らかにし、「被害者を救済し、被害をこれ以上増やさないために、政治もきちんと節度を持ってやってもらいたい」と岸田首相に強く自粛を求めた。
 金平氏は「国葬となると、法的根拠や人物が国葬にふさわしいかどうかなどを国会で議論すべきだ」と改めて強調し、最近の各社世論調査について「読売が朝日や東京と同様、国葬反対が賛成を上回ったことが興味深い」と述べ、政府に開催を強行しないよう求めた。
  河野慎二
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年09月02日

【オンライン講演】麻生副総裁が政界仕切る 大宏池会を再興 最大派閥へ 鮫島氏が語る=橋詰雅博

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 7月23日のJCJオンラン講演会で、安部晋三元首相亡き後の政治の行方を元朝日新聞記者で政治ジャーナリストの鮫島浩氏=写真=が語った。
 鮫島氏は7月参院選挙の結果をざっと総括した。@63議席獲得した自民党は一人勝ちA公明党は最大の支持団体・創価学会の会員高齢化で組織力が弱体、党勢ジリ貧傾向にB立憲民主党は総選挙に続き惨敗、自民党倒す気力なし、分裂するエネルギーすらも出てこないC日本維新の会も地盤の大阪以外では伸び悩み展望は暗いD求心力がない国民民主党は自公政権に急接近で生き残りへE共産党は野党共闘にこだわり続けいるようでは党勢落ちるFれいわ新選組はゼロから3議席増だが、野党の中心にはなり得ず組織の足腰も弱い―。そのうえで自民党に対抗できる強力な野党第一党をつくる野党再編が急務だと訴えた。

アベ印≠排除へ

 最大のライバルの安倍元首相の銃撃死により政界のドンに上り詰めた麻生太郎副総裁が岸田文雄首相と協力しながら政治を仕切る。アベ印≠フ政治家や官僚を巧妙に要職から外して安倍派(清和会)を弱体化させ基盤を強固にした麻生―岸田体制の下で何をやるのか。憲法改正を参院選の公約に掲げた岸田首相だが、改憲が悲願の安倍元首相がいなくなったことで、政治情勢は一変した。キングメーカーの麻生副総裁は改憲をスルーしそうだ。

維新の活躍を阻止

 「改憲には日本維新の会の協力が絶対に必要です。麻生は維新のブレーンの竹中平蔵、松井一郎代表とパイプが太い菅義偉前首相とはこれまで経済問題などで激しく対立してきた。大嫌いな維新にペコペコし、活躍の場を与え、政敵の菅復活の道筋をつけるのは麻生にとって身の毛がよだつ話。幸い公明党も学会婦人部の突き上げで改憲に慎重な姿勢は変わらない。麻生は改憲を封印する」(鮫島氏)
 消費税増税が最優先だと鮫島氏は言う。
 「財務相を9年間近くもやった麻生を財務省が最も頼る政治家。麻生にとっても最大の権力基盤でもあり、財務省の用心棒%Iな存在。首相官邸には6人の首相秘書官(事務)のうち2人が財務省から送り込まれている。政務首席秘書官の嶋田隆氏は元経済産業省の事務次官だが、財政再建論者で財務省の考えに近い。岸田首相最側近で官房副長官の木原誠二衆院議員も財務省出身だ。安倍・菅政権時代に権力中枢から外れていた財務省は復権し、麻生を押し立て念願の消費税増税を仕掛けてくるだろう」

悪夢の五党合意も

 財務省は野党対策も抜かりがない。社会保障財源確保のため消費税増税を議論する与野党税制会議を開くなどと連合を介して立民をテーブルに誘う。2012年、消費増税を柱にした自公民3党合意に賛成した旧民主党議員が多い立民は弱みがあり話し合いに応じるだろう。外されたくない維新も国民民主も乗る。5党合意で消費増税が進む悪夢のようなことが起きる可能性がある。 
 財務省は24年秋の自民党総裁選前に、消費税法を改正して増税に踏み込む。物価高と消費増税のダブルパンチを受ける国民の反発で岸田内閣支持率の下落は必至だが麻生副総裁織り込み済み。
 「それまでに宏池会を源流とする麻生派、岸田派、谷垣禎一グループを再結集し、大宏池会の再興を麻生は考えている。最大派閥のボスとして総裁選に臨んで、不人気の岸田から岸田派ナンバー2の林芳正外相を新総裁・新首相に据えて解散に出るシナリオを描いている」(鮫島氏)
 旧統一教会とズブズブな関係も露見した安倍派による政治支配は終わった。麻生副総裁は向かうところ敵なしだが、9月下旬82歳に。健康リスクが高まるだけが不安材料か。
 橋詰雅博
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年8月25日号

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2022年08月06日

【オンライン講演】ウクライナと憲法9条 水島朝穂氏講演 軍事介入「仕組まれた」国家でなく諸国民に信頼=須貝道雄

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 ロシアのウクライナ侵攻が進む中、JCJは6月14日、「ウクライナの戦争と憲法9条」と題し、オンライン講演会を開いた。講師の水島朝穂・早大教授(憲法学)は、この戦争に多額の支援をする米国について@プーチンを挑発して、ウクライナに全面侵攻させ、事前にウクライナ側に準備させておいてこれをたたいたAコロナ禍で落ち込んだ米軍需産業の息を吹き返らせる機会にしている――と語り、仕組まれた戦争の側面を指摘した。
 ロシアのプーチン大統領がウクライナに侵攻する「口実」としたのは、親ロ派の多い東部ドンバス地域(ドネツク州・ルハンスク州)における「住民虐殺」だった。2014年から22年にかけて、ウクライナの武装部隊により「1万4千人殺された」(水島氏)とされる。

侵攻誘う狙いは
アフガンと同じ

 こうした東部での戦闘をウクライナが続ける中で、米国は西側の軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大を進めた。これらがロシアを刺激し、軍事行動へと誘い込んでいった、と水島氏は分析する。
ロシアの戦車部隊はウクライナ北部から首都、キーウを狙った。しかし侵攻の前年からウクライナには英米の軍事顧問が入り、対戦車兵器「ジャベリン」の準備をしていた。待ち構えたウクライナ軍がジャベリンで戦車を破壊した。
「相手を軍事介入するように仕向ける、罠に引き寄せるやり方は、かつて旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した時(1979年)も、米国が密かにとった作戦だ。アフガン侵攻の長期化で、ソ連の国力を衰えさせる狙いがあった。今回も同様だろう」

アゾフ連隊の
不都合な真実

  ロシア軍の侵攻後、ジャベリンを製造する米国のロッキード・マーチンとレイセオンの株価は上がった。バイデン米大統領はこれを秋の中間選挙に向け、有利な材料にしようとしている。「5月にバイデン氏は(ロッキード・マーチンの)工場視察をして激励しています。まさに選挙運動、票固めです」と水島氏は語った。
  激情的あるいは感情的に戦争を見て、冷静さを失うことにも警告を発した。ロシアが侵略しているのは紛れもない事実だが、住民に対する殺戮などがすべてロシア軍によるものかどうかは現時点で即断できない面がある。ロシア軍が子どもを多数連行したり、女性が性暴力を受けたという情報もあったが、その発信者だったウクライナの人権監察官、リュドミラ・デニソワ氏は、ウクライナ最高会議から「証拠が確認されていない」として解任された。
 またウクライナの武装組織、アゾフ連隊の「不都合な真実」にも目を向けるべきだという。アゾフ連隊のマークは、ナチスの第2SS装甲師団「ダス・ライヒ」が使ったマークとそっくりだ。「この師団はフランス中南部の村で住民皆殺しをしたことで知られる。アゾフ連隊はそれらと親近性がある。笑ってはいられない問題だ」と話した。

国の内外から
平和の創造を

では、この戦争をどうしたら止めることができるか。水島氏は日本国憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し……」に注目する。「その国の「平和を愛するピープル」と連帯して、内側から平和を創造していくことが大切。ジャーナリズムにも求められる」。ロシアでは「兵士の母の会」が戦争反対の声を上げている。ウクライナでも「前線に立ちたくない」と良心的兵役拒否を訴える人がいる。その力に依拠して平和世論を醸成していく。
 もう一つは、NATOのような集団的自衛権機構(軍事同盟)ではなく、「ミンスク合意」をもたらした地域的集団安全保障の枠組みであるOSCE(欧州安全保障協力機構)の役割がさらに重要になる。日本は米国、G7・NATOに偏った対応に終始しているが、対外政策は、もっと多角的で多様なチャンネルを探るべきだと水島さんは強調した。
 須貝道雄 
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年7月25日号         
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2022年06月08日

【オンライン講演】維新の会なぜ受ける 在阪メディアの劣化 10年余、大阪行政を牛耳る これ以上勢いづかせると危険、松本創さん語る=橋詰雅博

                            
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日本維新の会をウオッチするジャーナリストの松本創(はじむ)さん=写真=は4月16日のJCJオンライン講演会で維新政治や在阪メディアの劣化≠ネどを語った。
  昨年10月の総選挙で公示前の4倍近い41議席を獲得した維新の会。衆院で野党第二党に台頭したこの政党は改憲、軍備拡張、弱者に背を向ける新自由主義を掲げ、ロシアのウクライナ侵攻に乗じた日米による核兵器共有を言い出した。自公政権を補完し、もはや野党とはいえないような党がなぜ国民に受けるのか。

後ろ盾はテレビ
 
松本さんは、維新の地盤である大阪のメディア、とくにテレビが人気に火をつけあおったことが大きな要因と指摘する。維新こそ一番の政敵とみなすれいわ新選組の山本太郎代表は「維新の後ろ盾は完全にテレビなんですよ。維新を怪物にしたのはメディアだなと感じますね」とテレビの責任が重いと断言している。
その典型的な例として毎日放送(MBS、大阪市北区)の今年の元日バラエティー特番「東野&吉田ほっとけない人」を挙げた。出演した維新の創設者の橋下徹元代表、現代表の松井一郎大阪市長、副代表の吉村洋文大阪府知事の3人が吉本興業芸人を相手に「大阪都構想は掲げ続ける」「将来の首相は吉村さん」などと45分にわたり好き勝手に言い放った。政治的な公平性さに欠けるなど局内外からの批判を受けた虫明洋一社長は「問題があった」と認識を示し、社内調査チームを立ち上げた。3月に公表された調査報告書では、維新3人組が出たら面白いからと番組づくりの動機を話した制作スポーツ局担当者らには維新の広報になりかねないという意識すらなかったことが分かった。

報道の意識ない

松本さんはこう言う。
「バラエティー番組が中心の制作スポーツ局ディレクターやプロデューサーは、ジャーナリズム意識を持っていないと思う。だから3人に維新政治を自画自賛させてしまった。若者のテレビ離れが著しいとはいえ、報道に力を入れてきたMBSで視聴率優先の動きが出てきているのは深刻な問題だ。お笑い芸人が司会する在阪民放の報道とバラエティーのミックス番組が維新を盛り立てている」
劣化≠ヘ新聞にも起きた。読売新聞大阪本社は大阪府と府政情報発信など8分野で包括連携協定を昨年暮れに結んだ。権力監視の役割を担う新聞社が監視の対象である大阪府とパートナー関係を築く。大阪を牛耳る維新という権力者へのすり寄りであり、新聞メディアの劣化を象徴する出来事ではないか。
「昨年1月ごろ大阪府に協定の申し入れをした読売は、府の関係機関などへの販売部数拡大と2025年大阪万博への参画による広告・事業収入が狙いではないか。発表で初めて内容を知った読売社内では問題視されなかったという。部数激減で経営が厳しいという背景があるが、新聞が大阪府の広報機関になる恐れがある」(松本さん)

妨げる方策は…

ただし、維新人気は在阪民放の産物という単純な見方はあたらない。関西学院大の善教将大教授は「メディア効果は限定的。吉村知事のテレビ露出で支持が増えたわけではない」と分析。それならば学生から高齢者まで幅広い年代の支持を集める理由は何かと松本さんは、維新支持者らに徹底取材した。明らかになった理由は@国会議員の文書通信交通滞在費(問題に火をつけた吉村知事自身、衆院議員辞職の際、文通費を満額受け取り批判が跳ね返った)や行政組織・労働組合などの既得権益批判と打破A私立高校授業料無償化、公共公園・トイレの改修、中学校給食の導入といった身近な改革B学校の補助金を保護者や生徒に直接給付する新手の行政サービスなどだ。また選挙では維新所属の17人の首長と242人の地方議員が自民党顔負けのどぶ板運動を展開する。大阪の政治行政を10年余も仕切ってきたのでこうしたことが実現できた。

7月参院選を控え維新の勢いを妨げる方策について松本さんは「有権者の4割は態度未定層と見られています。反維新勢力はこの層に働きかけ世論を動かす。主張や理念ではなくファクトで示す。大阪なら例えばカジノが中核のIR(統合型リゾート)施設は、黒字化は54年後という公表データを用いて反対の論陣を張る」と提案した。
維新をこれ以上、勢いづかせると危険だ。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年5月25日号
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2022年04月26日

【オンライン講演】佐渡金山の朝鮮人 強制労働の実情語る 必要機材は自己負担 帰国後に塵肺死亡近も 近代史研究家の竹内康人氏=須貝道雄

佐渡鉱山と朝鮮人の強制労働.jpg

 政府は去る2月1日、新潟県の「佐渡島の金山」を世界文化遺産として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録を申請した。これに対し韓国から、朝鮮人の強制労働の歴史を無視した申請だと強い批判の声が上がっている。実情はどうだったのか。
 この問題について近代史研究家の竹内康人さんが同月28日、オンラインで講演した。演題は「佐渡鉱山・朝鮮人強制労働」。強制動員真相究明ネットワークが主催した。
 様々な資料からわかるは、1940年から45年敗戦までの間に、1500人を超す朝鮮人が佐渡金山に労働のために来たことだ。自主的にではない。そのプロセスは@金山を経営する三菱鉱業が必要な人数を申請A政府が承認B朝鮮総督府が朝鮮半島での募集先を指定C地元の行政・警察と協力し人を集める――という国家ぐるみの作戦で連れてきていた。
 三菱佐渡鉱山の「労務係手記」によれば、有利な募集地を指定してもらうため朝鮮総督府などに「外交戦術」で接したという。今でいう接待攻勢だ。
 佐渡金山で朝鮮人は削岩、支柱、運搬という坑内労働に数多く動員された。坑内は労働環境が厳しく、事故の危険性も高い。1943年の数字を見ると、坑内労働に従事する朝鮮人は473人で、日本人の3倍以上に及んでいる。
 現場からの逃亡は許されなかった。逃げれば警察から指名手配された。竹内さんは一例として、樺太庁警察部の1941年「警察公報」を紹介した。そこには佐渡金山から逃亡した4人の朝鮮人が指名手配されている記事が出ている。出身地や身長に加え、色白・眉大・丸刈りなどと特徴も記している。
 給料が良い、食事が十分あるといった「甘言」に誘われて来た人もいた。実情が違うことに怒り、労働争議も頻発した。1940年4月のストライキで、三菱鉱業は賃上げの要求に応じなかった。それを見て、争議を取り締まる警察側が会社に改善策を示すことまで起きた。
 警察は三菱鉱業に「仕事を軽減させる」「地下足袋の値段を1円80銭のものは1円に下げる」「カーバイド代((携行用カンテラの燃料費)は19銭を15銭にする」と提案した。三菱は仕事に必要な器材も労働者に負担させていた。坑内労働の日給が2円前後であることを考えると、ばかにならない金額だ。
 争議を起こす朝鮮人に対して鉱山側はどう評価したか、記録がある。それによれば「智能理解の程度が想像以上に低き為」に意思疎通が欠けた、「不良分子」の煽動に乗じて「半島人特有の狡猾性付和雷同性」を現わした、など差別意識と偏見に満ちた内容になっている。
 金山に動員された朝鮮人の名簿から、新潟の市民団体が480人をリストアップし、1991年に韓国で「その後」を現地調査した。18歳の頃に強制徴用されて佐渡に来た男性は、賃金は小遣い程度、食事の量が少なく、空腹が辛かったと回顧した。鉱山で微粒子を長期に吸って塵肺(じんはい)を患う人も多く、ある男性は帰国9年後に塵肺で死亡していた。
 もとになった名簿は「煙草配給台帳」と呼ばれ、佐渡のたばこ店が配給のために持っていた。朝鮮人労働者の実情を調べるには貴重な史料だ。しかし佐渡博物館は今年2月から公開を中止したという。
 「働いた人たちの汗、涙、血でこの社会が作られている。それを示すことが大切だ」と竹内さんは話を結んだ。
 須貝道雄
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年3月25日号
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2022年04月21日

【オンライン講演】辻元節℃武リれよく「批判ばかり」にはひるまない 参院選が分水嶺 野党一本化しないと=藤森研

                             
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  JCJは2月19日、辻元清美・前衆院議員(立憲民主党)を招き、「日本の政治はどこへ」をテーマにオンライン講演会を開いた。昨秋の衆院選で落選した辻元さんだが、歯切れのよい「辻元節」は健在だった。 
 昨秋の衆院選の野党の敗因を聞くと、辻元さんは2点を挙げた。@支持率低下の菅首相相手の「敵失」期待から、自民党総裁選で岸田政権へと直前にムードが変わり、切り替えができなかったA野党躍進の事前予測もあって「政権交代」を掲げたが、「すぐには出来ないでしょ。まず与野党伯仲にして健全な国会議論を」と考える民意とにずれがあったー−。
 岸田政権の評価は、「あまりかわり映えしない」。「安倍政権は異常な政権だった。右派イデオロギー、政治の私物化、野党をおとしめるキャンペーン。それに比べれば、岸田政権は旧来の自民党政権型に戻って、その小型みたいな感じ」

 立憲民主党の泉健太・新執行部については、「相当苦労していると思う。昨秋の衆院選で、野党は路線対立と主導権争いの時代に入ってしまった。日本維新の会という異質な野党も存在する」。
 「『政策立案型』と言うが、批判か提案かではなく、必要なのは両方だ。私の頃も政府提出法案の81%には賛成、対決法案は19%だった。対決ばかりがニュースにはなるが。ただし、『野党は批判ばかり』という批判にひるんで、政府を監視する力が鈍ったら野党としては失格だと思う」
 「衆院選で維新が伸びた。維新の選挙はフランチャイズ。緑のジャンパーを着て『身を切る改革』と叫んでるだけ。あと、徹底的にどぶ板をやる。メディアもゴマをすっている感じで、吉村・大阪府知事をお笑い番組などに出し続けている」
 「トランプ対ヒラリーを思い出す。ヒラリーは守旧派に見え、『既存の政治勢力を壊す』と、トランプが出てきた。維新もそんなポジションを取ろうとしている」
 「立憲民主党は自ら変わって行かないといけない。私は、声を形にすること、問題を可視化し、つながって変革していく姿勢が最も大事だと思う。NPO法や被災者生活再建支援法は、そうやって作ってきた」

 「ジェンダー平等も大事。これは自民党も維新にもできないのでは。男女ともが働きやすくなれば経済成長も促す」
 「選挙では維新は別として、野党は一本化しないと、と私は思う。各地域で一本化の議論は始まっている。連合は、政治がどうのこうのと言う前に、もう少し労働運動に頑張ってほしい」
 「いま最大の課題は、気候変動。各国が協力して止めないと人類滅亡さえありうる」
 「日本では、このままだと安易な改憲の道に行きかねない。『台湾有事になったら』などと言うが、それが起きないようにするのが政治だ。強い野党がつくれるか。今度の参院選が日本の分水嶺だと思う」
 「改憲派はコロナを理由に緊急事態条項をと言うが、世界各国は法律で対処しているのだ。よく言うよ、と思う」
語るほどに話は熱を帯びた。閉会しようとする時、参加者たちから辻元さんに対し期せずして「頑張ってください」という声が挙がった。
  藤森研
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年3月25日号
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2022年04月16日

【JCJ(神奈川支部)オンライン講演会】見直しの声強まる!「リニア新幹線」4月23日(土) 午後2時〜4時

                            
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 リニア新幹線への疑念が膨らんでいます。トンネル建設工事では土砂崩れが岐阜、長野と相次ぎ、「大深度地下だから地表には影響が及ばない。固い地盤を選んでいるから安全」との説明は、2020年10月に東京・調布市の東京外環道建設工事で起きた陥没事故によって破綻に追い込まれました。東京・品川区では10月から深さ40メートル超の大深度地下で川崎方面へトンネルを掘る「調査掘進」が始まっています。
 大井川の流量減少に懸念がある静岡工区では12月の国交省有識者会議の中間報告に静岡県が不満を表明して、着工が見通せません。
全線のほとんどがトンネルであるリニア新幹線建設では、膨大な残土が生まれ、その処理についても懸念されます。残土は多くの谷や川筋に積まれる予定ですが、それが熱海市の土石流事故のような災害を誘発する危険性はないのか。リニア新幹線への心配は増すばかりです。
 JCJ神奈川支部では、リニア新幹線沿線住民ネットワーク共同代表でJCJ会員でもある天野捷一さんに、リニア新幹線の危険性について語っていただきます。全国のJCJ会員はじめ、会員以外でもリニア問題に関心のある方ぜひご参加ください。

講師:天野捷一さん(リニア新幹線沿線住民ネットワーク共同代表)
プロフィール:1969年ラジオ関東(現ラジオ日本)入社。報道部記者、制作部ディレクターなどを経て、営業局長、編成局長など。単組委員長、民放労連副委員長も経験。2010年退社、2011年「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」が結成され共同代表。
                            
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参加費:500円
□参加のご希望の方はネットのPeatixで参加費をお支払いください。
(1)https://riniamondai.peatix.com/ をクリック(2)参加券を申し込むをクリック (3)支払いに進む。初めてPeatixを利用する方はアカウントを作成。名前、メルアド、自分独自のパスワードを入力し、ログインする(4)支払い手段の選択(5)Zoomの配信URLを4月22日までにメールでご連絡します。
【注:JCJ会員は参加費無料。onlinejcj20@gmail.com に氏名を明記し、メールでお申し込みください。】
主催 日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部 
問い合わせ :保坂 080‐8024‐2417
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2022年04月01日

【JCJオンライン講演会】「維新政治の深層をえぐる」16日(土)午後2時から4時まで

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講師:松本創さん(ノンフィクションライター)
昨年10月の総選挙の結果で危険な匂い≠感じた。日本維新の会の台頭だ。公示前の4倍近い41議席を獲得したからだ。案の定というべきか、憲法改正に前のめり、ウクライナ危機に乗じ非核三原則を見直して米国の核兵器を国内に配備する「核共有」を言い出した。平和主義を捨て軍拡に向かい、弱肉強食の新自由主義に走る維新。地盤の大阪から全国的に支持を広げようとしている。なぜ維新は支持されるのか。維新政治の本質は何か。『誰が「橋下徹」をつくったか』著者でジャーナリストの松本創さんが解き明かす。

【松本創(はじむ)さん略歴】1970年、大阪府生まれ。神戸新聞記者を経てフリーランスのライター。関西を拠点に政治・行政、都市や文化などをテーマに取材・執筆している。著書に『誰が「橋下徹」をつくったか――大阪都構想とメディアの迷走』(2016年度日本ジャーナリスト会議賞)、『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』(第41回講談社本田靖春ノンフィクション賞)など。最新刊の『地方メディアの逆襲』では、地方紙3紙・地方局3局の奮闘や課題をルポしている。
参加費:500円
□参加のご希望の方はネットのPeatixで参加費をお支払いください。
(1)https://sinsoeguru.peatix.com/ をクリック(2)参加券を申し込むをクリック (3)支払いに進む。初めてPeatixを利用する方はアカウントを作成。名前、メルアド、自分独自のパスワードを入力し、ログインする(4)支払い手段の選択(5)Zoomの配信URLを4月15日までにメールでご連絡します。

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)電話03・6272・9781(月水金の午後1時〜6時) 
メール office@jcj.sakura.ne.jp   ホームページ http://www.jcj.sakura.ne.jp/ 
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2022年03月28日

【JCJ緊急オンライン講演】 写真家・尾崎孝史さんが見た――ウクライナからの報告 31日(木)午後7時半から9時

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 ロシアのウクライナ侵略が始まってから1か月以上が過ぎた。おびただしい数のウクライナ市民が犠牲となっている。1日も早い停戦とロシア軍の撤退を求めたい。市民の命を1人でも救うために。

写真家の尾崎孝史さんは戦火のウクライナに入り、戦争の実情をカメラに収めてきた。最近帰国し、今は家で待機中だ。尾崎さんが見てきたウクライナはどうなっているのか。

参加費500円 参加ご希望の方は下記のPeatixを通じて参加費をお支払いください。
https://ukuraina.peatix.com/ 

◇尾崎孝史(おざき・たかし)さん略歴◇  映像制作者、写真家。NHKでドキュメンタリー番組の映像制作に携わる。「クローズアップ現代+」、「ETV特集」などの番組に写真提供。「おはよう日本」で写真展紹介。著書に『汐凪を捜して 原発の町 大熊の3・11』(かもがわ出版)。組作品『厳冬 警戒区域』で視点賞。写真集『SEALDs untitled stories 未来へつなぐ27の物語』(Canal+)で日隅一雄賞奨励賞。JRP年度賞。2019年5月に岩波書店から「末和 NHK記者はなぜ過労死したのか」を出版。その映像ドキュメンタリー作品も話題を呼んだ。

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話03・6272・9781(月水金の午後1時から6時まで)
メール:office@jcj.sakura.ne.jp
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2022年03月07日

【オンライン講演】「本当のご飯食べたい」伝わるスーチー氏の言葉 軍政下ミャンマー問題で講演=編集部

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 JCJは1月29日、「ミャンマーの今を知るために――『2度の難民』となった私の体験」と題し、ソー・ティ・ナインさんを講師に招いてオンライン講演会を開いた。
  ソーさんはヤンゴン工科大学の学生だった1988年に民主化運動に参加した。その後、タイに逃れ、朝日新聞バンコク支局に勤めた。96年に初めて来日し難民認定を受けた。
 ミャンマーの民政移管に伴い2013年に帰国。しかし21年2月1日の軍事クーデターにより身の安全が脅かされ、同年10月に再び難民として来日した。

拘束先など不明
講演でソーさんは「私の名前は日本語の想定内に似ている」と自己紹介したうえで、ミャンマーでは想定外のことが起きていると語った。1年前の1月29日に触れ「軍のトラックが多く走り、クーデターかと心配し始めたころ」と振り返った。20年の選挙結果で、今後さらに5年続くと喜んだ民主政治はその3日後につぶされた。
クーデターにより、民主派の指導者のアウンサンスーチーさんは軍に拘束され、裁判で相次いで有罪判決を受けている。ソーさんは「スーチーさんはどこにいるかわからない。いくつか場所を変え、自宅軟禁のような状態とみられる」と話した。
弁護士を通じ伝わってきた彼女の言葉は「本当のご飯が食べたい」だったという。「軍政が出すご飯は食べたくない。国民から支持を得た本当のご飯が食べたいという意味だと私は思う。悲しくて、とても残念なことだ」

クーデター後の死者は2200人以上と推定され、1万1000人がつかまり、拷問などを受けている。当初は鍋たたきデモや職務放棄など平和的手段で軍に人々は抵抗した。今は若者を中心に武力闘争の方向へ動いている。
20年の総選挙で選ばれた民主派議員と各地の少数民族は、協力して昨年4月に軍に対抗する国民統一政府(NUG)を樹立し、連邦制を提唱した。国民防衛隊も結成し、秋には武装闘争を宣言した。
「いつまで続くか、行方を心配している。軍は勝てないだろうが、国民も武力では劣る。各地で軍の空爆も激しくなっている。国際社会からの働きかけを求めたい」

先に軍を止めて
ミャンマーとつながりの深い笹川陽平さん(日本財団会長)に対して「軍を止めてほしい。『沈黙の外交』というが、軍が悪いことをしても何も言わない。これでは平和にならない。スーチーさんとも会ってほしい」と注文した。
ミャンマーに進出した日本企業には「操業を再開しても人々はボイコットするだろう。企業が稼働すれば税金は軍に入り、軍政が長引くからだ。外国企業は全部撤退し、民主化した後に戻ってきてもらいたい。それが人々の思いだ」と呼びかけた。

コメンテーターとして参加したジャーナリストの竹内幸史さん(月刊『国際開発ジャーナル』編集委員)は「亡命政府として生まれたNUGは、今まで実現できなかった連邦制の国をつくるという大きな試みを掲げている。日本政府もその点をきちんと理解し対応すべきだ。私たちもミャンマー国際支援機構というNPOをつくり、NUGとのパイプを築き、民主化支援を進める」と語った。講演会では神田外語大学教授の水野孝昭さんが司会を務めた。
 編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年2月25日号
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2022年01月27日

【オンライン講演】「入管行政の闇」をなくせ 約100人が参加 JCJ12月集会=藤森研

  今年のJCJ12月集会として、「入管行政の闇」をテーマに12月12日、オンライン・シンポジウムを開いた。学生24人を含め98人が参加した。
 パネリストは、今年のJCJ大賞を受けた信濃毎日新聞の牛山健一さんと共同通信の平野雄吾さん。それに、外国人・難民支援活動をしている国際基督教大学1年生の宮島ヨハナさんを含めた3人。進行は藤森研(代表委員)が務めた。
 外国人技能実習生らを取材した信濃毎日の連載「五色のメビウス」デスクの牛山さんは、「日本社会はもう、技能実習生ら外国人の労働に頼らざるをえない。しかし実習生たちは低賃金やパワハラの下で働かされているのが現状だ。母国の送り出し機関に70万円以上の借金を負っており、返す目途が立たずに失踪する人も毎年6千人に上る。多額の借金には、送り出し機関が日本の受け入れ団体に渡す裏金も上乗せされている」と話した。
 失踪した人は非正規滞在者となり、捕まれば入管施設に収容される。平野さんは、入管施設の実態を、ちくま新書『ルポ入管』で明らかにした。
 「コロナで最近は減ったが、2019年6月時点で全国17の入管施設に1253人が収容されていた。施設内では、暴力的な『制圧』や、医療放置が横行している。司法審査なしの無期限収容で、最も長い人の収容は8年に及ぶ」と平野さん。裁判で表に出た「制圧」時の動画も紹介した。被収容者1人を、入国警備官の男たちが数人がかりで押さえつけている場面だった。
 入管施設から「仮放免」で社会に戻る人もいるが、医療保険はなく、就労禁止など制約は大きい。     
 宮島さんは、父親が牧師で仮放免者の保証人を引き受けていたため、幼時から外国人と接していたという。英語の家庭教師をしてくれたカメルーン人女性のマイさんは、一時はホームレスも経験していた。がんに罹患し、高額の治療費は支援者たちが支えたが、今年1月に亡くなった。
 「一人ひとりに人権はあると思う。『不法残留』と呼ぶが、在留資格がないというだけで犯罪者のように呼ぶのはおかしい」と宮島さんは言った。
 平野さんが応じて「メディアも変わらなければと思う。共同配信記事で、私は『非正規滞在』と書くことを押し通して、今は社にも認められた」。牛山さんも「『メビウス』では不法残留や不法滞在でなく、非正規滞在と書くことに決めた」と話した。
 今年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが、名古屋入管の医療放置で死亡した。
 平野さんは「ある調査では、被収容者が病院に行きたいと申請してから実際に病院に行くまでにかかる日数は平均14・4日。病院に連れて行くかは『容体観察』と称して職員が判断する。医療放置の大きな要因は、詐病を疑う職員の心理だ」。
 ウィシュマさんの痛ましい死もあって、今年の通常国会で、政府の入管法改正案は廃案となった。
 この改正案の問題を、宮島さんは3点に整理して説明した。「問題の1つ目は送還を拒否した人に刑事罰を科す点。2つ目は監理措置制度の導入。保証人に行動報告を求めるもので、それでは仮放免者と保証人の信頼関係は崩れてしまう。3つ目は、3回以上の難民申請をした人は強制送 還できるとするもので、国際原則に反する。日本の難民認定率はとても低い。改正するなら、抜本改正でなければおかしい」。
 2年前に新設された、労働者として受け入れる「特定技能」については意見が分かれた。「現在の延長上に制度をつくってもあまり変わらないと思う」と平野さんは懐疑的だ。牛山さんは「問題もあるが、特定技能制度をより良くしていく方法もあるのでは」と話した。
 最後に、入管問題に対して、私たちは何をしたらいいのかを聞いた。
 牛山さんは「外国人も私たちもお互いを知り合うこと。各地のボランティアの日本語教室に関わるのもいいし、自治体の交流イベントも知り合うきっかけになる」。
 平野さんは「行政の透明化が大事。情報公開で市民が関心を持ち、みんなが見ているよ、ということが入管も変える」。
 宮島さんは「難民認定を第三者機関がするようにしてほしい。個人個人の向き合い方も大事。さまざまなバックグラウンドの人が日本社会を築き上げているということを認識したい」と話した。
 参加者からは多くの質問が出され、パネリストが丁寧にそれに答えた。
 藤森研
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年12月25日号
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2022年01月15日

ネオ自民∴ロ新が台頭 多党制時代に移り野党再編も 元朝日記者の鮫島さんが語る=橋詰雅博

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 元朝日新聞記者で政治ジャーナリストの鮫島浩さん(写真)が11月のJCJオンライン講演会で総選挙後の政治情勢や先行きの展望などを語った。
 10月の総選挙の結果で「ヤバイ」と思ったのは日本維新の会が公示前の11議席から41議席に増やしたことだ。国政選挙初挑戦した2012年の54議席に及ばないものの14年に獲得した議席と並んだのである。維新は衆院で野党第二党に。自民党よりも右寄りであらゆる分野で競争原理を導入する新自由主義の政党ゆえに危険だ。

一過性でない

ネオ自民≠ェ台頭した理由を鮫島さんは「行政組織や労働組合、マスコミなどの既得権益打破という明確な政策が当たっている。朝日新聞記者時代、私の取材に応じた生みの親の橋下徹は、既得権益に対し怒りと憎しみを強く抱いていた。このとんがった政策が投票率の高い高齢者寄りの政策を掲げる自民党と立憲民主党の2大政党に不満を持つ20代から40代に支持されている。地盤の大阪から全国に支持が広がっている維新の勢いは一過性ではない」と分析した。
 維新の次の狙いは野党第一党である。そのためには立民つぶし≠徹底的に行う作戦だ。立民副代表の辻元清美が落選した原因は、「辻元は何も仕事をしていない」などと維新の猛攻を受けたからである。この先の国政選挙でも立民候補者が出馬する選挙区に狙いを定め落選運動に取り込むだろう。維新の組織力は侮れない。
 「維新は野党第一党の座をつかんだ後、自民党との二大政党政治の実現を目論む。連立も否定できないが、ただ維新は(大阪維新の会含め党歴11年と短く)党内統治能力が弱い不完全な政党だ」。実力以上に議席を獲得すると制御不能に陥るかも。
 改憲勢力の維新は憲法改正論議の促進を岸田文雄政権に提示している。岸田政権も改憲に慎重な与党・公明党へのけん制にもなるので乗ってくるだろう。両党の連携は改憲に向けて弾みがつく恐れがあり要警戒だ。

麻生が牛耳る

 岸田政権は麻生太郎・自民党副総裁が牛耳る。
 「党総裁選の1回目投票で支援した岸田がトップに立ったことで麻生は自信をつけた。党閣僚人事で安倍は最側近の萩生田光一を官房長官に、総裁選で推した高市早苗を幹事長に押し込もうとしたが、実現できなかった。岸田から相談を受けた麻生が拒否したと思う。8年近い長期安倍政権の間、ガマンしてきた麻生は、これからは好きなようにやらせてもらうと思っている。安倍と麻生は盟友関係と言われるが、打算の産物。関係は軋み始めた」
 麻生の野望は同じ宏池会を源流とする岸田派と麻生派の合流により大宏池会≠結成し、キングメーカーとして君臨することだ。チャンス到来と麻生は意気込む。

立民は埋没か

 野党第一党の立民は共産党や山本太郎率いるれいわ新選組に選挙区で譲歩し、強い野党共闘を築くのが役目だ。自分の党だけ議席を増やせばいいという考えは捨てる。しかし一枚岩ではなく展望は開けず。
 来年夏の参院選挙はどうなるのか。
 「自民党は大負けせず、維新と弱者救済に徹するれいわは、それぞれ議席を伸ばす。立民は下手をすると埋没、公明、共産、国民民主は議席減か。選択的夫婦別姓制度の導入などワンイシューに賭ける新党が比例区で議席を獲得する可能性がある」
 多党制時代に移行の政治情勢下で野党再編もあり得る。
 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年12月25日号
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2021年10月11日

【オンライン講演会】台湾有事の危険指摘 「対中、けんか買う行為だ」半田滋さん=須貝道雄

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 JCJは8月22日、防衛ジャーナリストの半田滋さん(元東京新聞論説兼編集委員)を講師に「日本は再び戦争をするのか?」の題でオンライン講演会を開いた。
 台湾海峡をめぐって現在、米中の緊張が高まっている。半田さんは、米国が対中国に備えて開発している新型の中距離ミサイルの詳細を解説した。地上発射型の超音速滑空ミサイル(LRHW)で、軍事専門サイトによると射程は約2775`を超える。23会計年度までに開発を終える予定だ。
 米国のインド太平洋軍は日本円で約2兆9千億円の予算を投じ、沖縄からフィリピンを結ぶ線に沿って、対中ミサイル網を築くとしている。そのミサイルがLRHW。日本や韓国、台湾に配備すれば、中国本土の約1610`以上の目標を攻撃できる。日本には沖縄本島や宮古島、奄美、石垣島への配備を米軍は求めてくるだろと半田さんは見ている。
 台湾有事について米軍高官の発言が相次いでいる。今年3月にインド太平洋軍のデービットソン司令官は「台湾への脅威は今後、6年以内に明白になるだろう」と明言。次期司令官のジョン・アキノリー海軍大将は同月、中国が台湾に侵攻する可能性は「大半の人が考えているよりもはるかに近いと思う」と議会で話した。制服組トップのミリー統合参謀本部議長も「台湾侵攻がここ1、2年で起きる可能性は低い。ただ6年後、8年後は分からない」と述べた。

 こうした環境の中、4月の日米首脳会談でバイデン大統領と菅首相は52年ぶりに台湾に触れた共同声明を発表。「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記した。
 並行して現場が動いている。海上自衛隊は2018年から3年続けて南シナ海、インド洋に訓練部隊を長期に派遣。日米共同作戦に加えて、中国軍を想定した対潜水艦訓練も実施している。
半田さんは「米中対立の南シナ海に、海上自衛隊は護衛艦や潜水艦を恒常的に派遣している。日米の連携は進むものの、けんかを買って出る行為」と危険性を指摘した。
 敵基地攻撃能力を持つ兵器の準備も日本で進んでいる。1988年4月、時の防衛庁長官・瓦力氏は、相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器の保有は憲法が禁じていると国会で答弁。禁止兵器として@大陸間弾道ミサイル(ICBM)A長距離戦略爆撃機B攻撃型空母などを挙げた。
 半田さんによれば、現在は@のICBMは島嶼防衛用高速滑空弾の開発で、Aの長距離戦略爆撃機はスタンド・オフ・ミサイル(射程500〜1000`)の導入で、B攻撃型空母は護衛艦「いずも」の空母化と垂直離着陸ができるF35Bの搭載で、禁止の壁を突破しつつある。
 今、喫緊の課題は米国が対中ミサイル網を築くため、沖縄などに中距離ミサイルの配備を求めたとき、日本はどうするかだ。米中対立に日本が巻き込まれ、参戦するような事態を避けるため「注文をつけることができるはずだ」と半田さん。韓国やASEAN(東南アジア諸国連合)とも連携して、米国と中国に対し無謀な軍事強化、武力行使を辞めるよう働きかけることが大事になると強調した。    
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
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2021年09月14日

【オンライン講演】福島を撮影10年 繰り返される棄民政策 山本宗輔さん語る=伊東良平

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 フォトジャーナリストの山本宗補さんが7月のJCJオンライン講演会で、原発事故後の福島の10年を自身が撮影した写真とともに語った。山本さんは「3・11」の翌日から福島に入り現在にいたるまで現地を撮影して放射線汚染の実態を伝え続けている。

  山本さんが最初に語ったのは2011年の事故発生当時の東京電力勝俣会長が爆発した原子炉の管理を自衛隊に任せようとしていたという無責任発言のことだ。この信じがたい出来事が東電の体質を物語っている。
初動取材は11年3月から立ち入り禁止の警戒区域に入り大手メディアに欠けている情報をネットで拡散した。原発から北西方向は線量計が振り切れるところもあった。
 事故から10年、避難指示区域の7町村では現在でも住民は一部しか戻らず、約7万人いた住民が現在は1万人弱にすぎない。大熊町では大半が今でも帰還困難区域だ。
 
町残しのため
 帰ろうという住民が1割にも達しないのに大川原地区だけが特定復興再生拠点として除染され、30億円をかけて町役場の新庁舎が建設された。山本さんは見かけの復興つまり「町残し」のためだと言う。常磐線は20年3月に全線開通したが、大野駅前の駐車場はイノシシが闊歩していた。この地区に住む木幡さん夫妻は2ヘクタールあった水田での農業と学習塾で生業を立てていたが、どちらも奪われた。敷地にある銀杏の木の下ではまだ861ベクレルもある銀杏の外皮を大好物のイノシシが食べている。

不幸の10年
  「原子力明るい未来のエネルギー」の看板のあった双葉町では標語の入選者が負の遺産も残すべきと看板の撤去に抗議した。現在はすべての看板が撤去されている。復興予算53億円で原子力災害伝承館という箱モノを建てたが、墓地の墓石は倒れたままだ。浪江町も若干住民が戻ったが1割にも満たない。多くが帰還困難区域の津島地区では日中からサルの群れが往来する。
一時帰宅に同行すると家はサルやカモシカなどの動物に荒らされたままで、家主は復興10年ではなく不幸10年と話す。
この津島地区は満蒙開拓団から帰ってきた人たちが戦後多く移住した場所である。約380戸が開拓入植した。ここに住んでいた「希望の牧場ふくしま」の吉澤正巳さんも両親が満蒙開拓団に参加の後にツテを頼って浪江町に移って牧場を始めたが、事故後は毎日牛の死体を片付ける作業に追われて絶望を感じたという。吉澤さんはいま原発反対集会に参加して訴えを続けている。富岡町も1割程度しか住民が戻っていない。

300年必要
 ここにある東京電力廃炉資料館ではモニターで「何世代もつないでいかないとデブリは取り出せない」と説明している。廃炉について、今まで言われてきた30〜40年は非現実的と日本原子力学会廃炉委員会が提言を出した。それによると部分撤去でも300年必要という。大手メディアではほとんど報じていない。大手メディアは被災者の声をもっと拾っていれば、コロナ禍の中で五輪が強行されることはなかったのではないかと山本さんは言う。政府が国民の命と健康に宣戦布告しているとしか思えないとも。

牛がミイラ化
 満蒙開拓も原発も国策ですべて多くの国民を翻弄し棄民してきた。今回は復興五輪の名のもとにまたも国民を欺いている。この講演会で山本さんが撮影した写真が多く示されたが、中で一番インパクトのあったのは餓死した牛のミイラのものであった。沢山の乳牛が牛舎で息絶えてミイラ化していた。国が福島を遺棄した象徴の証のひとつである。
 伊東良平
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年8月25日号(要約版)
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2021年08月02日

【オンライン講演】キッシンジャーが角栄を潰した 米外交戦略上 邪魔だった 春名さんがロ疑獄の核心を語る=橋詰雅博

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 元共同通信記者の春名幹男さんは(写真上)6月のJCJオンライン講演会「ロッキード疑獄から45年 角栄を葬り去ったのは誰だ!」でロ疑獄の核心を語った。
  ロッキード疑獄は全日空に旅客機を買わせる見返りとしてロッキード社から5億円のワイロを受け取った田中角栄前首相が逮捕された事件だ。1976年7月のことで、世界に衝撃を与えた。田中逮捕をめぐり様々な噂が飛び交った。米国のニクソン大統領やキッシンジャー国務長官の陰謀説、独自の供給ルート開拓をめざす田中の資源外交を警戒した米政府の仕掛け説、三木武夫首相による政敵田中≠フ追い落とし説などだ。
春名さんはこれら諸説の真偽を明らかにするため日米で取材。証言を求めて事件関係者に会い、大量に入手した政府公文書を読み込んだ。ロ社副社長のコーチャン回想録『ロッキード売り込み作戦』を始め多くの関連本を熟読した。最終的に浮かび上がったのはキッシンジャーが角栄を潰した―。

内容を事前に確認

15年間の成果をまとめた著書『ロッキード疑獄』によれば、田中ら自民党国会議員名入りロッキード資料は、75年末にロ社が米証券取引委員会(SEC)に提出。76年2月米議会でコーチャンが対日工作証言をする前に、筆頭閣僚の国務長官キッシンジャーは、内容を確認していた。資料の扱いを握るキッシンジャーはロ事件で田中が訴追されても自民党政権はつぶれない、ワイロによる販売攻勢が表面化しイメージダウンだが米企業は海外で競争に負けないと判断。ロ資料はSEC・司法省から4月に東京地検特捜部に渡った。

ジャップと罵った

キッシンジャーはなぜ田中の政治生命を奪ったのか。田中の独自外交が原因と前置きし、春名さんはこう説明した。
「72年9月に日中国交正常化を実現した田中首相は、一つの中国≠ニする中国側の主張を承認し、台湾と断交。しかし、ニクソンの2月訪中で米中関係を改善した米国は、一つの中国に関し立場表明を避けた。つまり日本は米国を追い越した。大統領補佐官(当時)キッシンジャーは『ジャップが上前をはねやがった』と田中とみられる人物らを罵った。
また,北方領土返還を前進させたい田中の対ソ外交にキッシンジャーは待ったをかけた。73年10月日ソ首脳会談前に、駐米ソ連大使を通じた『北方領土問題で譲歩しないでほしい』という要求にブレジネフ共産党書記長は同意。日中国交正常化した田中に報復した」
「田中訪ソ直前に起きた第一次石油ショック時(アラブ諸国とイスラエルとの中東戦争が原因)、石油確保のため中東政策を親アラブ≠ノ舵を切りたい田中と親イスラエル≠フキッシンジャーは正面衝突。田中の親アラブ転換でキッシンジャーの怒りは増した」
米国に従わない田中に頭にきていたキッシンジャーは米外交戦略上、邪魔な田中を嵌めたのだ。

3回面談の理由は

ところでロ事件裁判中、キッシンジャーは田中と東京・目白私邸で3回面談した。面談の理由を春名さんは「殺人現場に戻る犯人と同じような心理状態。自分が裏で糸を引いたのが田中にバレていないか調べるため」と推測した。
名前が出てロ事件モミ消しに動いた中曽根康弘は逮捕を免れた。巨悪は逃げ切った。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年7月25日号

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2021年07月08日

【オンライン講演】ミャンマーはどうなっているか ドキュメンタリー監督 岸田浩和さんが語った=須貝道雄

                       
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JCJは5月15日、「ミャンマーはどうなっているのか」の題でオンライン講演会を開いた。2月の軍部クーデターについて、講師のドキュメンタリー監督、岸田浩和さん(写真)は2点の要因を挙げた。
一つは、軍に有利な現行憲法の改正をアウンサンスーチー国家顧問が主張し始めたこと。もう一つはスーチー氏率いるNLD(国民民主連盟)政権が国境地帯の麻薬取引にメスを入れ、軍幹部に還流する裏金が止まるとの懸念が強まったことだという。
 2020年秋の総選挙でNLDが圧勝した後、民主化が進むとの期待から、スーチー氏に海外の政府・企業が目を向け、軍部に危機感が高まったことも大きいと指摘した。
たとえば、ミャンマー軍と「太いパイプ」を持つ元国会議員で日本ミャンマー協会会長の渡邉秀央氏の行動だ。今年1月に同国を訪れたとき、初めてスーチー氏と先に会い、ミンアウンフライン国軍最高司令官との会談は後にした。「これまで渡邉氏はスーチー氏とは距離を置いていた。付き合い方を変える姿勢が見えた」。軍が会見で「選挙に不正」と言い始めるのはその直後。順位の変化に敏感に反応したことがうかがえる。

欧米からの支援を得るため、軍事政権が「見かけ上の民主化」 を企図したのは2008年から。憲法で議会の25%を軍人議席で固定し、憲法改正など重要問題は75%以上の賛成が必要と定め、何事も軍次第の体制をつくった。
2015年にNLDが選挙で勝利しても、軍は表向きスーチー氏と仲良くした。「理由は国軍系の企業に投資が集まっていたから」。その構造が20年総選挙後に崩れることを恐れたと見られる。
 クーデターに対し、軍部と太いパイプを持ちながら沈黙した人物がいる。日本財団の笹川陽平会長。彼は昨年11月の総選挙で監視団長を務めた。
日本政府は今年5月に食料向けに400万jを同国に無償支援すると発表した。これが市民に届くのか、軍部の懐に入ってしまうのか。地元では「クーデター政権に水をやるのか」と懐疑的な見方が広がってるという。      
岸田さんは1997年から2年間、ヤンゴン外国語大学に留学。ミャンマー取材の経験が長い。
須貝道雄
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号     
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2021年06月21日

【オンライン講演会】スクープの秘訣を語る 文春編集局長 赤旗日曜版編集長が対談=古川英一

                                
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         対談する山本赤旗日曜版編集長(左)と新谷文春編集局長

 菅首相の長男と総務省の幹部との会食問題や、学術会議の任命拒否問題など、政治権力の在り方を世の中に問う大スクープ。「週刊文春」と「しんぶん赤旗」は次々にこうしたスクープで権力の闇を暴いてきた。このメディアとしての「元気さ」はなぜ?4月のJCJのオンライン講演会は「週刊文春」の新谷学編集局長と、「しんぶん赤旗」の山本豊彦日曜版編集長の2人に対談で、「スクープの秘訣」について語ってもらった。聞き手は藤森研JCJ代表委員。
―スクープとは?
 新谷 相手がいかに強かろうが書くものは書く。読者の声援を背に闘い続ける。そして闘い続けるメディアに情報は集まる。世の中に問いたいと思った時に、文春だったら相手に権力があろうが忖度しないだろうと思ってもらえる。なぜスクープを狙うのか、前のめりになって、とことん問い続けている。
 山本 赤旗や文春はタブーなく物が言える。今の日本のメディアにとって、そこが大きな問題ではないか。そして文春や赤旗でしか報じないものが売れる。活字媒体が売れない中で、どうすれば売れるのか、それがスクープ、読んで得になる情報を出していく。
―具体的事例は?
 山本 安倍前首相の「桜を見る会」の問題は、国会で、財務省が予算を毎年増やしていることが明らかにされたことがきっかけ。なぜ増やしているのか、違和感を感じて取材を始めた。公開されている情報になぜ、ほかのメディアが気づかなかったのか。学術会議の問題でも、拒否された学者がフェイスブックに載せたのを見つけ、これは大変だと取材した。ほかの社も書くかと思ったら、記事として出したのは赤旗だけで、スクープに。
 新谷 舛添元東京都知事の、公用車で別荘通いのスクープは、記者がアンテナを張っていた都の幹部がポツリと「公用車の使い方が」とつぶやいたのがきっかけ。そこで情報公開で知事の動きを確かめ、別荘の前で張り込んでいたところ、知事が公用車で現れた。
―どうすれば?
 新谷 問題意識を持つこと。基本的に「週刊文春」はど真ん中を目指す。左右どちらかの主張にとらわれず、フラットな目線で。スクープは、編集長が腹をくくることが必要。甘利大臣の現金受領スクープについても「大臣室で現金を受け取った」という情報が入った時、まさかと思った。でも本当だったら大変なこと。取材には経費や人手もかかるが、そこで一歩を踏み出せるかどうか、編集長の覚悟が問われる。
 山本 記者はやらされている仕事をこなすのではなく、自分で探し、自分の目で確かめていく、「向かっていく」という姿勢を。そして記者は「この問題ならこの人に聞く」という人間関係を持っているかどうか。「桜を見る会」の取材でも保守系の人ともつきあう中で情報を積み上げていった。相手は本気。全人格をかけて勝負しない限りネタは取れない。
―今のメディアは?
 山本 スクープを出せないということはマスメディアの劣化。今求められているのは。「前うち」ではなく「独自ネタ」。大手メディアはそこにシフトできていない。それは記者の問題ではなくデスクや編集幹部の問題ではないか。
新谷 スクープが、組織の小さい文春、とは健全なメディア状況とはいえない。またデジタルの時代に新聞やTVのビジネスモデルは崩壊していると思う。ダイナミックなデジタルシフトが必要ではないか。
―最後に一言
 新谷 後に続く若い人たちにスクープのおもしろさ、気持ちよさを味わってほしい。いろいろなメディアがしのぎを削っていきたい。
 山本 なぜスクープを、それはおもしろいから。おもしろがらないと話が始まらない。そしてメディア全体が元気にならないと。
 古川英一
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号

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2021年06月12日

【オンライン講演】監視強化に進むデジタル法 大住弁護士が講演 個人情報保護は二の次=須貝道雄

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デジタル庁創設などを規定した「デジタル改革関連法」が5月12日、成立した。JCJはそれに先立つ4月24日、同法の問題点を考えるオンライン講演会を開いた。講師の弁護士、大住広太さん(写真)は同法を「デジタル監視法案」と呼ぶのがふさわしいと指摘。政府・警察や企業による個人情報の利活用が優先され、市民のプライバシーは危険にさらされると警鐘を鳴らした。

AIによる悪用
生年月日や住所、健康状態、趣味嗜好といった個人情報が政府や企業によって吸い上げられ、データベース化されると、AI(人工知能)が発達した現在では思わぬ形で利用される。大住弁護士は例をあげて説明した。
 米国の一部裁判所では、いくつかの個人情報をもとにAIで再犯率を計算し、判決で執行猶予を付けるか否かなどの判断材料に採用している。フェイスブックから大量の個人情報入手し、的を絞って政治広告に生かした疑惑(ケンブリッジ・アナリティカ事件)も米大統領選挙であった。日本も例外ではない。就職活動支援で集めた学生らの個人情報を分析し、内定辞退率を企業向けに販売したリクナビ事件は耳に新しい。
  デジタル監視法のもとで創設されるデジタル庁はマイナンバーカードの利用を推進する。同カードは健康保険証、運転免許証、銀行口座、国家資格などと関連付けられる予定で、デジタル庁には膨大な個人情報が集まる。自治体の持つ個人情報も一元管理が可能となる。

政府と警察接近
この情報を誰がどのように利用するかが問題だ。デジタル庁のトップは首相で、強大な権限を持つ。情報機関の内閣情報調査室と連携して仕事をする可能性が高く、かつ内閣官房では警察出身者が要職についている。法律では「相当な理由」があれば行政組織間で個人情報のやり取りができる。個人情報をめぐって「政府と警察の接近が進む」と大住弁護士。市民監視、治安維持に重点利用される可能性が高い。
もう一つは民間のIT企業が食い込む恐れだ。デジタル庁には特別職のデジタル監一人を置き、民間から起用する方針だ。職員(100人程度)も民間から週3日勤務の非常勤で採用する。IT企業の自席からパソコンで役所の仕事をする勤務も可能で、「所属するデジタル企業に有利な政策判断がされやすくなる」
民間企業による個人情報の第三者への提供には@法令にもとづくA国への協力B学術研究の目的――の条件クリアが必要だが、解釈はいかようにもでき、本人同意のないまま個人情報の流出が広がる懸念も強いという。
公的給付金を素早く受け取ることができる、書類の押印を省くなど、デジタル化の利便性を政府は強調する。だがその利点はわずかで、同法の主眼は、中央に吸い上げた個人情報を政府・企業が市民監視や経済目的に円滑に活用できるようにする点にある。情報保護は二の次だ。

データの支配権
これに対しEUには一般データ保護規則(GDPR)があり「自然人は自身の個人データの支配権を持つべきである」(前文)との原則を掲げている。勝手に本人に無断で個人情報を第三者に提供できないよう「情報の自己コントロール権」をうたっているのである。
具体的には情報主体によるアクセス権、消去の権利、自動化による決定(AI活用)の対象とされない権利などだ。今回の日本の法律にはこの権利規定が不十分で「AIが広まった社会に対応していない」と大住弁護士は批判した。
これまで個人情報は各自治体と政府の間で分散して収集・管理していた。デジタル庁で一元管理されるとサイバー攻撃に脆弱となり、情報漏れが起きると被害は甚大になる。こうした難点にも法は目をつぶっている。
端的に表現すると、日本のデジタル化は「欧米型とは異なり、監視社会の中国型」。個人情報の利活用に歯止めをかける適切な規制が不可欠だと提言した。
須貝道雄
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号
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