2021年04月06日

【東京オリパラ】森発言に五輪スポンサー反発 名乗った朝日 辞任強く要求 読毎日経「表明せず」=橋詰雅博

                              
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 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言に対してスポンサー企業からも遺憾の声明が次々と出され問題が大きくなった折、2月9日付朝日新聞でオヤッと思う記事を見つけた。その記事はこう書いてあった。<オフィシャルパートナーの1社である朝日新聞社の広報部は「森氏の女性差別発言について、組織委会長をすみやかに辞任するよう求める社説を2月5日付に掲載しています」とコメント。社説では「女性全般を侮辱した責任は極めて重い」と指摘した。>
 朝日の記者が自社の広報部に取材し、それを紙面に載せた形だ。東京オリパラの国内スポンサーはゴールドパートナー(15社)、オフィシャルパートナー(32社)、オフィシャルサポーター(21社)に分かれる。各社は大会組織委と契約し、大会エンブレムを使う権利などが与えられる。オフィシャルパートナーのうち新聞社は朝日以外では読売、毎日、日経も名を連ねる。 
ほかの3社は朝日のようなスタイルで記事を載せているのだろうかと気になったので、読売、毎日、日経に問い合わせた。3社ともそうしたスタイルで記事を載せていないと答えた。ただ、社説でこの問題を取り上げており、3社は明確に示すものとして5日付社説をあげた。読売の見出しは<森氏の決断遅れが混乱広げた>、毎日は<五輪責任者として失格だ>、日経は<あまりにお粗末な森五輪会長の女性発言>。朝日は<森会長の辞任を求める>だ。
 朝日は、森会長辞任を強く要求した。
東京五輪問題に詳しい著述家の本間龍さんはこう言う。
「スポンサー企業が森会長への反論を相次いで発表した。それに触発された朝日はオフィシャルパートナーとして何か言わなければという思いがああいう紙面になったのでしょう。加えて組織委でやりたい放題だった森会長に一矢報いたいという動機も考えられます。ほかの3社はそこまでの熱意≠ヘなかったのでしょうね。ともあれ大手新聞社が組織委に多額の契約金を支払ってオフィシャルパートナーになったのは、五輪に便乗した紙面づくりで広告をたくさん集めるのが大きな理由です」
 これでは五輪開催の可否など鋭くついた記事を載せられないのは当然だ。
 橋詰雅博
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号

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2021年03月01日

五輪開催の是非問えぬメディア スポンサーゆえ腰砕け 使命忘れおざなり報道=後藤逸郎

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 新型コロナウイルス感染拡大が、東京オリンピック・パラリンピック大会と日本の報道機関の存在意義を揺るがせている。
 開催予定日まで半年を切っても世界で感染収束しないのに、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会、政府が推進一点張りに対し、日本の世論は冷ややかな目を向けている。コロナ禍前は「世界一のスポーツ大会」と誰もが認めたオリンピックのブランド価値は今や地に落ちた。そして、国民の視線の先には、感染症流行中のオリンピック開催の是非を問えない報道機関がいる。

足元大きく揺らぐ
 組織委の森喜朗会長の女性蔑視発言と辞任を巡る報道は、オリンピックを相対化できない日本の報道機関の体たらくを浮き彫りにした。
 最終的に森会長は2月12日辞任したが、きっかけとなった日本オリンピック委員会(JOC)での3日の発言の初報は小さかった。翌日の朝日新聞と毎日新聞の社会面3〜4段相当はもとより、読売新聞は第三社会面ベタ記事だった。NHKは3日夜のニュースで女性蔑視発言に触れず、4日早朝に海外の報道を引用する形でようやく伝えた。
 日本の報道機関が批判のトーンを上げたのは、森会長が同日、発言撤回の会見を開いてからだ。ただ、報道の中心は、IOCやスポンサー、米三大ネットワークNBCの動きを伝える形で「批判の声が高まっている」とした。要はオリンピック開催を錦の御旗に、森会長発言を否定してみせた。オリンピックにかこつけなければ批判できない報道機関の足元は、大きく揺らいでいる。
 森会長の問題発言とはこれまでも繰り返されてきた。森会長は1月12日、「世論調査にはタイミングと条件がある」と述べ、共同通信が電話世論調査でオリンピックの延期・中止を望むとの回答が8割だったと報道したことに噛みついた。NHKは翌日、共同とほぼ同数値の世論調査結果を公表し、報道機関の面目を保ったかに見えた。

設問3択から4択
 ところが、森会長の問題発言後の2月8日、NHKと読売が公表した世論調査は異様なものだった。NHKは、オリンピックを「これまでと同様に行う」が8%、「観客の人数を制限して行う」が29%、「無観客で行う」が23%、「中止する」が38%との調査結果を発表した。1月と昨年10月の調査時は「開催」「延期」「中止」の三択の設問だったのを、2月は四択に変更したのだ。
 読売は8日付2面で「五輪『開催』36%、『中止』28%」と報道。設問は四択で、「予定通り開催」が8%、「観客を入れずに開催」が28%、「再び延期」が33%、「中止」が28%だった。昨年3月調査は三択で、「予定通り開催」が17%、「延期」が69%、「中止」が8%で、見出しは「延期が69%」だった。
 いずれの社も調査手法に連続性がなく、統計的な正確さに欠ける。読売の8日付報道は、最も回答が多かった「再延期」も、延期と中止を合わせて開催否定が5割も見出しに取らず、2種類の「開催」の回答を合算し、「中止」を上回る数字を印象づけるものだ。オリンピックが絡むと、報道姿勢が揺らぐのが日本の現状だ。

命運が尽きるかも
 読売、朝日、毎日、日経、産経、北海道新聞がオリンピックのスポンサーを務め、テレビ局が巨額の放映権料をIOCに支払っていることは、周知の事実だ。だが、「平和の祭典」として歓迎されたオリンピックはもはや、感染爆発リスクの高い集客イベントのひとつにすぎない。イベントへの資金提供と自社媒体報道という旧来のビジネスモデルは、コロナで終わった。
 コロナの世界的流行が収まらない中、世界から観客や選手を招いて、なお感染爆発は防ぐ方法をIOCも組織委も政府も示さない。これで開催にまい進するのは、感染爆発リスクと国民の生命・健康を天秤にかける所業だ。有効な対策がない以上、オリンピック中止こそ、これ以上のコロナ感染拡大を食い止める唯一の選択肢だ。
 支持率が低下した菅義偉首相は政権浮揚の手段としてオリンピック開催に縋る。オリンピックの政治利用を止め、国民の生命・健康を守ることは報道機関の使命だ。オリンピックビジネスを優先し続けるなら、日本の報道機関はコロナ収束前に命運が尽きるだろう。
後藤逸郎(ジャーナリスト)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年2月25日号

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2020年12月12日

【東京五輪・パラリンピック】 IOC 五輪中止を打診か 報じない大手メディア 自らスポンサーでは=本間龍

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電通や東京五輪組織委員会内の協力者から、IOC(国際オリンピック委員会)が日本政府、組織委、電通に対し、東京五輪中止の打診をしたという驚くべき内部情報が入ったのは、10月20日だった。
IOCのバッハ会長が、予定通り菅義偉総理大臣との11月16日の会談で正式に伝達したかは分からない。仮に伝達したとしても日本政府が直ちにそれを発表するかどうかは不明だ。正式発表は来年1月頃という情報が流れている。
 その情報が入る前の9月中は、バッハ会長やコーツ副会長は、盛んに東京五輪の実施を吹聴していた。コロナがあっても五輪はやれる、というような楽観的見通しであり、それを受けて日本側の森喜朗組織委会長や菅首相も、五輪は必ずやるという発言を繰り返していた。それがなぜ急に変わったのか。

コロナ猛威で転換
それは、欧州のコロナ感染者が、10月の第2週以降から爆発的に増え始めたからだ。その増加は凄まじく、11月に入ると、主要国のほとんどで外出禁止令やロックダウンが実施された。
 第一波の感染爆発の際に優等生であったドイツも例外ではなく、コロナ対策の司令塔である保健相までもが感染した。 
IOCの本部はスイスのローザンヌにあるが、スイス国内の感染者数も爆発的に増加している。IOC幹部もコロナの猛威を目の当たりにして、認識を改めざるを得なかったに違いない。

32年再度立候補
 10月21日に私がこの情報をツイートし、YouTubeチャンネルで発表すると、予想以上の拡散を見せた。特に反応が早かったのは海外メディアで、米ブルームバーグ、米AP通信、仏ルモンド、独国営第一放送(ARD)などから相次いで取材が入った。国内では日刊ゲンダイがすぐに私に取材し、五輪中止の見通しと2032年への再度の立候補という、電通内で検討されている仰天プランもすっぱ抜いて、さらに話題を集めた。
だが、国内で沸き立ったのはゲンダイとネットメディアだけで、11月になっても大手メディア(全国紙、テレビ局)はスルーを決め込んでいる。全国紙5紙はいずれも五輪スポンサーになっており、新聞社とクロスオーナーシップで結ばれているテレビ局も、間接的に五輪翼賛側に属しているため、中止可能性を深追いしたくないのだ。

仕切る電通に忖度
 ではなぜ大手メディアはこの重要情報をスルーするのか。それは、記事にするためには私に取材しなければならず、そうなると情報元が組織委内部と電通であると書かなければならなくなるのが嫌なのだ(メディアは電通の名を極力報道したくない)。さらに、組織委の側に立ってこの情報を否定すると、もし本当に中止になった場合、取り返しがつかなくなる。
五輪推進の立場からは真っ先にガセネタとして否定したいのだが、私の情報の信憑性を崩す取材力もなく、あからさまに否定もできない。世界中のメディアがどんどん取材に来ているのに、日本国内のメディアが全く動かないのは、異様としか言いようがない。
もちろん、全国紙が中立の立場だったら、そんな心配をする必要はない。ここへ来て、スポンサーになってしまっていることが、まともな報道が出来ない重い足かせになっているのだ。
ちなみに、過去の五輪で報道機関がスポンサーになった例はない。だから今回のように、一社どころか全国紙全部がスポンサーになっているのは、極めて異常な状況なのだ。

伝える責任果たせ
 だが日本政府は、「WITHコロナ五輪」などという世迷い言をキャッチフレーズに、徹底した感染予防をすれば五輪が開催出来るようなプロパガンダを展開している。しかし、そのためには莫大な追加予算と人的資源(医療従事者)の確保が必要であり、所詮、絵に描いた餅に過ぎない。
 招致時に7千億円としていた開催費は、すでに3兆円を超えると言われ、その大半は国民の税金である。そこにさらにコロナ対策費が青天井で計上されるなど、許されるはずがない。メディアはそのことを国民に伝える責任があり、今それをしなければ、報道機関としての信頼を決定的に失うだろう。
 本間龍(著述家)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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posted by JCJ at 01:00 | 東京五輪・パラリンピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月04日

【焦点】 「従来のような五輪の開催は無理」東京都医師会長が発言=橋詰雅博

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  東京都医師会の尾崎治夫会長と言えば、安倍晋三首相のコロナ対策に不満をぶちまけた医師だ。自民党支持者でありながら、「無為無策」と痛烈に批判した上で「国には頼らない」とまで言い切った。その尾崎会長、来年の東京五輪・パラリンピック開催について、朝日新聞が主催した8月7日のオンラインイベントでこんな発言をしている。
 「日本だけならコロナを封じ込めることができるかもしれない。しかし、五輪では世界中から選手や役員、観客などが大勢の人が、日本にやってくる。世界のコロナ感染状況は、欧米を始めアフリカ、中東、アジアなどで広がっている。とりわけアフリカの感染者数はそれが本当かどうか不明だ。7月、8月は、はしかや風疹、熱中症などにかかる人が出ます。それにコロナ患者が加わります。これらの患者に対応できる医療体制が心配です。やれる体力が残っていますかね」
 極めて有効なワクチンが出来ない限り「かなり(規模を)制限された五輪にならざるを得ない。皆さんが従来からイメージする五輪ができるかというと無理だと思う」。
 残念だったのは、東京五輪は再延期かあるいは中止にすべきかと会長に対して、朝日の記者が突っ込んだ質問をしなかったことだ。
 橋詰雅博
 
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