【要約】
新潟県が実施した柏崎刈羽原発の再稼働についての「県民意識調査」は、質問順による回答誘導や誘導的な説明文など、社会調査の手法として避けるべき基本に反している。
そのような誘導にもかかわらず、再稼働へのさまざまな面での懸念を示す回答が多数を占め、再稼働容認が県民の総意であると解釈するのは無理がある。
知事が重視するとした論点も解消されておらず、この調査を根拠とする再稼働容認判断は妥当性および正当性を欠き、県政と日本の原子力政策に重大な禍根を残す。
●新潟県による「県民意識調査」には、質問配置によるキャリーオーバー効果、一面的で誘導的な説明、複数論点を一問に含むダブルバレル質問など、社会調査として看過できない重大な欠陥をはらむ。
●調査結果からは、安全性・防災対策・東京電力への信頼性のいずれも県民の懸念が強く、「再稼働の条件が整っている」との回答は37%に留まる。
●知事が重視するとした「必要性・安全性・東電への信頼」の3論点のうち、少なくとも安全性と信頼性は解消されていない。
____________________________________
【本文】
2025年11月21日に、花角英世・新潟県知事は東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を容認するとの判断を表明した。知事は、この判断に至る過程で、県内市町村長の意向とともに、県が主催した公聴会と県民意識調査の結果をふまえてきたという。
しかし、2025年9月〜11月に県が実施した「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査」(以下、県民意識調査)には、以下に記すような問題がある。この調査結果とその解釈をもって、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民の意識を、実像に迫る形で把握できたとは言い難い。今回の知事の判断は不適切である。
県民意識調査は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題について、県民の多様な意見を把握するため、地域・年代・性別等の幅広い属性を対象に実施されたもので、県内30市町村の6,000人に調査票を送付した大規模なものである。10月〜11月にはPAZ・UPZ地域を対象とした追加(補足)調査を6,000人に実施した。
県民の意見を広く把握しようとする試みは基本的に歓迎すべきものである。しかし、仮に調査設計が対象者に特定の結論を誘導しかねないものであったり、調査結果が恣意的に解釈されたりするようなことがあれば、その価値はたちまち失墜する。多額の公金を投じる意義も問われ、県民生活の安全を守る県の立場は厳しく問われるであろう。
脱原発をめざす市民や技術者、研究者らによって組織された原子力市民委員会には、社会調査の経験を積んだ社会学者・社会科学者が委員やアドバイザーとして複数参画している。私たちは県が公表している調査票や報告書の内容を精査し、以下の問題点を確認した。新潟県が行った県民意識調査は、社会調査や科学の基本的な作法から逸脱しており、この調査結果から、県民が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に理解を示しているとは言い難い。知事の判断は、正当性がなく、新潟県にとっても、また日本の原子力エネルギー政策全体にとっても大きな禍根を残すものである。
1.調査票の設計に関する問題
「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民の意識調査 調査票」には、以下の問題点がある。なお、調査票は11の大問からなるが、細分化された小問や小項目をカウントすると、調査対象者は総計43の質問に回答するものとなっている。
1.1 前の質問が次の質問に影響を与える「キャリーオーバー効果」を引き起こす配置になっている
調査票は最初の質問(問1)で「柏崎刈羽原子力発電所に限らず、日本における原子力発電所の必要性」について問うている。
この質問の配置は、前の質問の回答が続く質問への回答に影響を与えてしまう「キャリーオーバー効果」を引き起こすおそれがある。具体的に言えば、続く質問で聞かれた柏崎刈羽原子力発電所に関する評価が、日本における原子力発電所の必要性に関する回答と矛盾しないように、一定数の回答者に意識させてしまった可能性がある。
社会調査法に関する教科書の多くで、キャリーオーバー効果は影響を与えそうな質問の順番を変えることで避けられるとしている 。柏崎刈羽原子力発電所という県民意識調査の主題の範疇を超える質問は調査票の終盤にまわすなど、調査票設計上の工夫の余地は十分あった。「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民の意識調査」をうたいながら、調査票の冒頭で「日本における原子力発電所の必要性」という、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題の範疇を超える一般論に関する意識を問うたことは社会調査の基本的作法からみて誤りである。
1.2 誘導的な内容が含まれている
問4-2は、柏崎刈羽原子力発電所の「防災対策」に関して、避難計画の策定から防災訓練の実施まで8つの取り組みに対する認知度を問うている。調査票には8つの取り組みに関する補足の情報が各項目の下部に記載されているが、避難計画や避難路の整備、除排雪体制の強化などの内実については、それぞれに多様な評価が存在し、公聴会等においても論点となってきた。にもかかわらず「訓練等を通じて連携を深めています」(項目(3))といった一面的な評価が含まれた説明が施されている点は、調査対象者の意識をある方向へと誘導することにつながりかねない。
続く問4-3では、防災への取り組みの実施度に関する評価を問うており、誘導的な内容を含む質問への回答が、上述したキャリーオーバー効果を引き起こすおそれもある。問3-1と問3-2の関係も同様である。
なお、問4-2には誘導質問となる可能性の他にも問題がある。それは、項目と説明が併記され、説明の情報量が多く複数の論点にまたがるため、回答者は何について「知っている」「知らない」を判断すればよいか、にわかに識別し難い。質問の中に複数の論点や対象を盛り込むことは「ダブルバ−レル」と呼ばれ、一般に避けるべきであることは社会調査の基本的作法である。
2.調査結果の解釈に関する問題
新潟県が公表した報告書の集計結果をそのまま読めば、県が主題とした「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題」に関わるポイントは以下の3点にまとめることができるだろう。
2.1 柏崎刈羽原子力発電所の安全性や防災への取り組みに対する評価は低い
1.で見たように、問1などキャリーオーバー効果が生じているおそれがある、または問4-2など誘導的な内容となっているおそれがある質問を含む調査票で実施された調査にもかかわらず、回答者の多数は、安全性や防災への取り組みに対する懐疑的な意識、または「わからない」とする意識を有していることが明らかである。
例を挙げよう。
・柏崎刈羽原子力発電所で実施されている対策により、安全性が「十分/おおむね確保されている」と回答した県民は44%にとどまる(問3-2)。
・防災への取り組みは「十分/おおむね実施できている」と回答した県民は36%にとどまる(問4-3)。
この結果を、県(ならびに事業者、事業監督者)は重く受けとめなければならない。
2.2 再稼働の条件は現状では整っていない
問5-1は柏崎刈羽原子力発電所6号機・7号機の再稼働に関する考え方を複数例示し、それぞれに同意するかを問うている。同意する(「そう思う」と「どちらかと言えばそう思う」の合計)割合の多い順は次の通りであり、使用済核燃料の問題や原子力災害の発生に対する不安感がほとんどの回答者に認識されている。
(12)「使用済核燃料が増えていくことが問題だ」(92%が同意)
(5)「豪雪時に安全に避難/屋内退避できるよう、除雪体制のさらなる整備が必要だ」(同91%)
(10)「原子力災害が発生した場合、風評被害が起きないか心配だ」(同91%)
(11)「原子力災害が発生した場合、十分な補償が受けられるか心配だ」(同91%)
一方で、問5-1において同意する割合の最も少ない考えが、(14)「再稼働の条件は現状で整っている」(同37%)であったという事実を無視してはならない。
2.3 知事が認識する3つの論点のうち、少なくとも2つは解消されていない
加えて、問5-1の結果は次のような内容が含まれている。
(8)「地域経済や雇用に良い影響がある」(同67%)
(9)「自分の住む地域にさらなる具体的なメリットが必要だ」(同69%)
これらの経済的メリットに関する期待や同意は過半を超えている。しかし、花角知事は2024年9月4日の記者会見で、再稼働をめぐる論点は原発の必要性と安全性、東京電力への信頼性の3つであり、経済的メリットはこれら3つの論点とは水準が異なるとの認識を自ら示している 。
東京電力が柏崎刈羽原発を運転することについては、以下のような結果がでている。
(2)「東京電力が柏崎刈羽原子力発電所を運転することは心配だ」(同69%)
知事が認識する3つの論点のうち少なくとも2つ、すなわち原発の安全性と東京電力への信頼性は、解消されていないことが明白である。
3.県民意識調査は、新潟県知事の再稼働容認の根拠にならない
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関わる県民の意識はある程度明確に示されている。とりわけ問5-1(14)において、「再稼働の条件は現状で整っている」との考えに同意する回答者は全体の37%にとどまったことは重大である。
にもかかわらず、報告書では安全対策や防災対策に関する認知度、つまり県民の知識量が増えるほど「再稼働の条件は現状で整っている」と思う割合が高くなる傾向にある(報告書、p.91-92)といった「詳細分析」が繰り返されている。これは人々の科学技術に関する知識の欠如が問題が解決されない原因であるとみなし、知識を増やせば問題が解決するという「欠如モデル」に基づく仮説である。この考え方は、科学技術社会論や科学技術コミュニケーションの領域では、すでに有効性を失っているものである。
県民意識調査の結果は、今般の知事の判断の根拠とはならない。東京電力が柏崎刈羽原発を再稼働することは、新潟県民の意思から乖離しており、許されない。
以上
https://www.ccnejapan.com/statement/19780/
※ 県民意識調査について
・調査票は以下のウェブサイトで確認することができる
新潟県「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査の実施について」(2025年9月3日更新)
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/genshiryoku/kashiwazakikariwa-kenminishikityosa-tyousakaishi.html
・調査結果は以下のウェブサイトで確認することができる
新潟県「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題に関する県民意識調査の結果」(2025年11月11日更新)
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/genshiryoku/kashiwazakikariwa-kenminishikityosa-kekka.html
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2025年07月07日
【原発・エネルギー編】前回総選挙の各党マニュフェストと今回のそれを比較検証した=FoE Japan
国際環境NGO「FoE Japan」は、前回の国政選挙24年衆院選の各党マニュフェスト原発・エネルギー編と今回参院選マニュフェストを比較検証した。自民は衆院選マニュフェストとほぼ変わりがない。公明は、「原発依存度を低減」「将来的に原子力発電に依存しない社会をめざす」という前回マニフェストの記載を削除し、「次世代革新炉の開発・設置に取り組む」を追加。自民のストッパーとしての役割は、もはや期待できなくなった。立憲民主は、前回よりもさらに原発ゼロ色を薄めたものの、「2050年までのできるだけ早い時期に原発ゼロ」「新増設は行わない」は維持している。原発推進派の維新は廃炉とロードマップの見直しをうたい自民より前のめり。「電力・ガス取引監視等委員会を公取委と同じ三条委員会に格上げ」は注目すべき点だ。都議選で勢いづいた参政は、「パリ協定からの離脱」「脱・脱炭素政策」「再エネを止める」としている。原発に関しては「次世代型小型原発や核融合など新たな原子力活用技術の研究開発を推進」と述べている。各党の主な内容は以下の通り。
自民党
今回の参院選ではかなり簡略なマニフェストしか公開されていません。
原発に関しては「安全性を大前提に原発再稼働など電力供給力対策を講じ、国民生活を守ります」とあるだけで、詳細は昨年の衆議院選挙で発表された「政権マニフェスト」を継続しているものと解釈しました。政府方針と同じです。
• 徹底した省エネ・再エネの最大限の導入、原子力の活用
• 原子力規制委員会により厳しい安全性基準への適合が認められた原子力発電所については、再稼働を進めていく
• 核燃料サイクル推進、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定を着実に進める
• 次世代革新炉の開発・建設に取り組む
• 火力については、次世代化、高効率化、水素・アンモニアの混焼やCCUS、カーボンリサイクル等による脱炭素化に向けた取組みを加速度的に推進
参照:今回マニフェスト…重点政策 | 自由民主党 前回マニフェスト…自民党 令和6年 政権公約
立憲民主党
目標とする年限は明記せず、「2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル達成を目指す」としています。昨年のマニフェストに盛り込まれていた「全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指す」「核燃料サイクルの中止に向けた枠組み構築」「原発に頼らない地域経済の確立やそのための支援」などは見当たらず、さらに脱原発色を薄めた感じです。
ポイントは以下の通りです。
• 今後10年で省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現
• 再生可能エネルギーを最大限活用することで、年間20兆円を超える資源輸入のための国富流出を止める
• 熱利用の拡大、排熱利用、電熱併給のコジェネレーションの導入、断熱の徹底など
• 原子力発電所の新増設は認めない
• 実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めない
昨年は「「子ども・被災者支援法」の下、福島県外避難者に対して、その生活実態を踏まえ、支援を継続・拡充」とかなり具体的に書かれていた原発事故被災者支援も、「東日本大震災・原発事故の被災地の復興と被災者の生活再建支援」と丸められてしまいました。
参照:立憲民主党2025年政策パンフレット
日本維新の会
総じて、原発に関しては前のめりの内容です。廃炉やロードマップの見直し、電力・ガス取引監視等委員会を公取委と同じ三条委員会に格上げなど、興味深い記述も見受けられます。
前回のマニフェストでは「民間の責任を有限化する」という文言が入っており、原子力事業者にとっては、都合のいい話だなと思いましたが、今回は削除されている。
ポイントは以下の通りです。
• 原子力規制委員会の審査の効率性
• 原発の早期再稼働
• 既存原発の運転期間の延長や次世代革新炉への建て替え
• 国・地方自治体・事業者の責任を法的に明確化
• 高レベル放射性廃棄物の最終処分場確定を着実に進めるための期限を明示した工程表を作成
• 原子力人材の確保
• 次世代型原子炉の実用化に向けた研究開発
• 除染廃棄物を30年以内に福島県外に撤去する目標を見直し、実行可能なロードマップを策定
• 福島県民への甲状腺検査は希望者のみとし、過剰診断と風評による負の影響を無くす
• 電力・ガス取引監視等委員会を公取委と同じ三条委員会に格上げ
参照:日本維新の会2025 参院選マニフェスト
公明党
昨年のマニフェストでは原発の新増設については書いていないことが自民との違いでしたが、今回は、「新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・設置に取り組む」と明記しました。
また、昨年のマニフェストにあった「可能な限り原発依存度を低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会をめざします」は削除されました。
自民との違いはなくなり、ストッパーとしての役割は期待できなくなりました。
その他、総じて、政府の方針と同じ内容です。
参照:公明党2025政策集
国民民主党
原発推進姿勢が鮮明です。「原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊による原子力施設の迅速な保護」などとしているのが特徴です。
ポイントは以下の通りです。
• 安全基準を満たした原子力発電所の早期再稼働
• 運転期間は運転開始から原則40年としつつ、科学的・技術的根拠に基づく厳格な運転期間を適用
• 次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、高温ガス炉、核融合炉、浮体式原子力発電等次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)の推進
• 放射性廃棄物の処理や使用済燃料の再処理の推進
• 原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊による迅速な保護を可能に
参照:政策各論 2.自分の国は「自分で守る」 | 国民民主党 第27回参議院議員通常選挙 特設サイト
共産党
「すみやかに原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、30年度にゼロに」としています。ポイントは以下の通りです。
• 「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現する
• 廃炉の「中長期ロードマップ」は現実を踏まえ見直し
• 「処理水」の海洋放出の中止、発生抑制、関係者が納得ができる解決を
• 賠償打ち切りを撤回し、全面賠償と除染をすすめる
• 事故の後始末費用は汚染者負担原則で
• 原発を再稼働させず、新増設も輸出も認めない
• 原発・核燃料サイクルからただちに撤退する
• 原発立地地域も再エネ関連産業で再生をはかる
参照:日本共産党2025参議院選挙 各分野の政策
れいわ新選組
原発については即時廃止するという従来の方針を変えていません。
ポイントは以下の通りです。
• 原発の即時廃止、国が事業者から買い上げ、慎重に廃炉を進める
• エネルギーの自給率を高めることで安全保障を強化する
• 「脱原発!グリーンニューディール」で250万人の雇用を創出
• 高効率ガス発電を当面の主力エネルギー源としながら、再エネの普及で2030年に温室効果ガスを70%以上削減
• 地域の自然と暮らしと調和した分散型の再エネの普及
• 原発事故被害者に徹底した賠償、医療費、保険料の減免措置の継続と拡大
• 福島第一原発の汚染水の海洋投棄を中止
参照:れいわ新選組 参院選2025マニフェスト
参政党
「脱・脱炭素政策で、電気料金高騰・環境破壊・資本流出を助長する再エネ推進を止める」としています。また、パリ協定離脱ともしています。
原発については、前回マニフェストに書かれていた「既存原発の活用」はなくなっています。
「次世代型小型原発や核融合など新たな原子力活用技術の研究開発を推進」としています。
参照:参政党 政策カタログ一覧
社民党
従来の脱原発、自然エネルギー100%の方針を踏襲しています。
• 福島第一原発事故の教訓を風化させず、脱原発を進める
• 被災者、避難者への生活保障と被ばく管理
• 処理汚染水の海洋放出を中止する
• 「グリーンリカバリー」 (環境と両立する産業を育成し雇用を創出する)を推進
参照:社民党25年参院選選挙公約
日本保守党
「日本の優れた省エネ技術の活用。過度な再エネ依存の見直し」とし、再エネ賦課金の廃止、わが国の持つ優れた火力発電技術の有効活用などとしています。
参照:日本保守党の重点政策項目
2023年04月04日
【原発】「依存」に回帰 逆行する政策大転換=編集部
岸田政権は2月10日、次世代原発への建て替えを含む新増設や、運転期間延長を盛り込んだ原発の基本方針を閣議決定した。私たちはこの決定が、人事をテコに学問・研究全体を統制下に置こうと狙う学術会議改変」と同様、安倍政権以来の戦後政治の大転換と連動することを見すえる必要があろう。
民意無視の大転換
閣議決定された基本方針は、@原発再稼働推進に向け、再生可能エネルギーや「脱炭素」への動きを最大限活用、A老朽原発の60年超の運転を可能化、B廃炉を決めた原発敷地内での立て替えを具体化、C次世代型原発の開発・建設への取り組み、D高レベル放射性廃棄物の最終処分地決定に向けた文献調査を受け入れた自治体支援、Eエネルギー基本計画を踏まえ、必要な規模で原発を持続的活用―など。これは3・11に学んだ国民の意思に背を向けた大転換に他ならない。
議論なき危機便乗
「フクシマ」は、米のスリーマイル島(1979年3月)、ウクライナ(当時ロシア)のチェルノブイリ(86年4月)に続く世界的な大事故だ。日本が最悪の悲惨を免れたのは偶然だった。世界では事故後、ドイツが「脱原発」に転換、英国、スウェーデンなども原発新設再検討に動いた。日本では「脱原発」の世論が広がり、事故後の12年、政権復帰した安倍政権も「依存度を可能な限り低減」と明記した。
だが、岸田内閣は地球温暖化の「脱炭素」や、ロシアのウクライナ侵攻で生じた欧州のエネルギー危機に便乗。原発の使用年限や新増設規制などを撤廃し、原発の電源構成比率を2030年に20〜22%(20年3・9%)とした。この動きに、新聞各社は、読売、産経、日経が賛成。朝日、毎日、東京が反対と二分した。
メディアの役割は
東京新聞の「原発転換、実現に疑問」(22年8月25日記事)は諸課題を指摘、@新増設の次世代原子炉技術は未確立、A既存原発の運転期間延長は危険、B既存原発再稼働への地元の反対―を挙げる。
問題は岸田政権の閣議決定が、課題と真摯に向き合っていないことに、及び腰のメディアだ。
「大転換」に関して昨年12月実施したパブリック・コメントで3966件の意思が寄せられ、多数が反対だったが、大きく報道したのは1社のみ。2月8日、原発の60年超延長に向けた原子力規制員会は委員5人のうち1人が「安全側への改変と言えない」と新制度案に反対。13日、異例の多数決で決定したが、8日の議論をきちんと報道したのも1社だけだった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
民意無視の大転換
閣議決定された基本方針は、@原発再稼働推進に向け、再生可能エネルギーや「脱炭素」への動きを最大限活用、A老朽原発の60年超の運転を可能化、B廃炉を決めた原発敷地内での立て替えを具体化、C次世代型原発の開発・建設への取り組み、D高レベル放射性廃棄物の最終処分地決定に向けた文献調査を受け入れた自治体支援、Eエネルギー基本計画を踏まえ、必要な規模で原発を持続的活用―など。これは3・11に学んだ国民の意思に背を向けた大転換に他ならない。
議論なき危機便乗
「フクシマ」は、米のスリーマイル島(1979年3月)、ウクライナ(当時ロシア)のチェルノブイリ(86年4月)に続く世界的な大事故だ。日本が最悪の悲惨を免れたのは偶然だった。世界では事故後、ドイツが「脱原発」に転換、英国、スウェーデンなども原発新設再検討に動いた。日本では「脱原発」の世論が広がり、事故後の12年、政権復帰した安倍政権も「依存度を可能な限り低減」と明記した。
だが、岸田内閣は地球温暖化の「脱炭素」や、ロシアのウクライナ侵攻で生じた欧州のエネルギー危機に便乗。原発の使用年限や新増設規制などを撤廃し、原発の電源構成比率を2030年に20〜22%(20年3・9%)とした。この動きに、新聞各社は、読売、産経、日経が賛成。朝日、毎日、東京が反対と二分した。
メディアの役割は
東京新聞の「原発転換、実現に疑問」(22年8月25日記事)は諸課題を指摘、@新増設の次世代原子炉技術は未確立、A既存原発の運転期間延長は危険、B既存原発再稼働への地元の反対―を挙げる。
問題は岸田政権の閣議決定が、課題と真摯に向き合っていないことに、及び腰のメディアだ。
「大転換」に関して昨年12月実施したパブリック・コメントで3966件の意思が寄せられ、多数が反対だったが、大きく報道したのは1社のみ。2月8日、原発の60年超延長に向けた原子力規制員会は委員5人のうち1人が「安全側への改変と言えない」と新制度案に反対。13日、異例の多数決で決定したが、8日の議論をきちんと報道したのも1社だけだった。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
2023年02月23日
【原発回帰】事故の教訓、反省も法も無視 脱原発首長会議が緊急声明=佐藤和雄(「脱原発をめざす首長会議」事務局長)
岸田文雄政権が昨年12月22日のGX実行会議で決定した「原発回帰」政策に対し、全国の基礎自治体首長と首長経験者でつくる「脱原発をめざす首長会議」は12月26日、緊急声明を発出するとともに、松下玲子・東京都武蔵野市長や村上達也・元茨城県東海村長ら共同世話人4人が記者会見し、「主権者である国民の合意がないままに、原発政策を転換することは許されない」などと厳しく批判した。
「脱原発をめざす首長会議」は、2011年3月の東京電力福島第一原発事故をきっかけに、その翌年に原発立地自治体や周辺自治体も含む全国の首長らが結集して発足した。現在の会員数は94人。
◇
緊急声明は、「自治体の首長および首長経験者の立場からなお二つの問題が未解決であることをまず強調したい」として、(1)2021年3月に水戸地裁が運転を認めない判決を下した東海第二原発にみられるように、自治体の避難計画の実効性が確保されていないこと。(2)原発から生まれる高レベル放射性廃棄物の最終処分地が未決定であり、その候補地選定によって自治体内で住民の間に深刻な分裂をもたらしていること――を挙げた。
さらに「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻では原発が占領され、原発の存在が安全保障上も大きな問題となっていること」も指摘。そのうえで「災害対策基本法によって『住民の生命、身体および財産を災害から保護する』責務を有している立場から、『原発回帰』政策に断固として反対する」と述べている。
記者会見で松下玲子・武蔵野市長は「主権者である国民の合意がない中で、政府が大きな方針の転換をし、『原発を最大限活用』という言葉で新規の建設、そして運転期間の延長を行うことは認められない。2021年は衆院選挙もあったが、(自民党は)政策としても争点としても掲げていない。非常に強い憤りをもっていることを基礎自治体の首長として示したい」と語った。
また、被災地の自治体首長として過酷な経験をした桜井勝延・元福島県南相馬市長(現在は同市議)は「南相馬市をはじめとして被災地の住民は、まったく復興の途上でしかない。住民の感覚と政権の感覚があまりにもずれている」と発言。原発立地自体である東海村の村上達也・元村長は「エネルギーだけの観点、あるいはカネだけの観点でああいう政策を発表したことに憤っている。腹立たしくてならない」と怒りを露わにした。
さらに、三上元・前静岡県湖西市長(現在は同市議)は、「ウクライナでの戦争で原発は国防上も大きな問題があると分かった。それにも関わらず『原発回帰』という政策は考えられない。また、民主党政権時代は各地で討論集会を開き、そのうえで(脱原発の)方針を決定した。自民党もそれは反対していなかった。十分な討論も経ず、閣議決定だけでやろうとしている。民主主義的手続きを十分に踏んでおらず、許せない」と問題点を指摘した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年1月25日号
「脱原発をめざす首長会議」は、2011年3月の東京電力福島第一原発事故をきっかけに、その翌年に原発立地自治体や周辺自治体も含む全国の首長らが結集して発足した。現在の会員数は94人。
◇
緊急声明は、「自治体の首長および首長経験者の立場からなお二つの問題が未解決であることをまず強調したい」として、(1)2021年3月に水戸地裁が運転を認めない判決を下した東海第二原発にみられるように、自治体の避難計画の実効性が確保されていないこと。(2)原発から生まれる高レベル放射性廃棄物の最終処分地が未決定であり、その候補地選定によって自治体内で住民の間に深刻な分裂をもたらしていること――を挙げた。
さらに「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻では原発が占領され、原発の存在が安全保障上も大きな問題となっていること」も指摘。そのうえで「災害対策基本法によって『住民の生命、身体および財産を災害から保護する』責務を有している立場から、『原発回帰』政策に断固として反対する」と述べている。
記者会見で松下玲子・武蔵野市長は「主権者である国民の合意がない中で、政府が大きな方針の転換をし、『原発を最大限活用』という言葉で新規の建設、そして運転期間の延長を行うことは認められない。2021年は衆院選挙もあったが、(自民党は)政策としても争点としても掲げていない。非常に強い憤りをもっていることを基礎自治体の首長として示したい」と語った。
また、被災地の自治体首長として過酷な経験をした桜井勝延・元福島県南相馬市長(現在は同市議)は「南相馬市をはじめとして被災地の住民は、まったく復興の途上でしかない。住民の感覚と政権の感覚があまりにもずれている」と発言。原発立地自体である東海村の村上達也・元村長は「エネルギーだけの観点、あるいはカネだけの観点でああいう政策を発表したことに憤っている。腹立たしくてならない」と怒りを露わにした。
さらに、三上元・前静岡県湖西市長(現在は同市議)は、「ウクライナでの戦争で原発は国防上も大きな問題があると分かった。それにも関わらず『原発回帰』という政策は考えられない。また、民主党政権時代は各地で討論集会を開き、そのうえで(脱原発の)方針を決定した。自民党もそれは反対していなかった。十分な討論も経ず、閣議決定だけでやろうとしている。民主主義的手続きを十分に踏んでおらず、許せない」と問題点を指摘した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年1月25日号

