2018年08月01日

<月間マスコミ評・新聞>オウム報道「闇」の強調には疑問=六光路弦

 一連のオウム真理教事件で死刑が確定していた教団幹部13人のうち、松本智津夫(教祖名・麻原彰晃)ら7人の刑が7月6日、執行された。教祖の公判は1審で終結し、無差別テロを起こした理由や動機を自ら法廷で語ることはなかった。だからだろう、新聞各紙の報道には多かれ少なかれ「闇」や「謎」を強調するトーンが目についた。7日付朝刊で東京新聞は1面トップに「オウム真相 闇残し」と取り、朝日新聞は社説で「根源の疑問解けぬまま」と掲げる、といった具合だ。
 
 本当にそうだろうか。教祖は口を閉ざしたかもしれないが、教団幹部の中には洗脳が解け、悔悟の念とともに知りうる限りのことを話した者も少なくない。「闇」や「謎」と呼ぶほどのものは残っていないとも思える。
 
 地下鉄サリン事件からでも23年もの時間が経ち、直接事件を知らない世代が増えている。「闇」ばかりが強調されると、いずれは「事件は国家権力による謀略だった」などという陰謀論が広まらないとも限らない。メディアは今後、何が分かっていないかを強調するよりも、分かっていることを語り継ぎ、再発防止につなげるべきだ。
 
 「闇の中」なのは大量処刑の方だ。13人のうちなぜこの7人なのか、なぜこの時期なのか。記者会見した法相は回答を拒否。国民に知らせる必要はないと言わんばかりだ。死刑は究極の国家の強権発動であることを見せつけた。執行の内幕を暴くは報道の課題だ。
 
 各紙とも事件を振りかえる特集記事も掲載したが、捜査のありようを再検証する視点が乏しいように感じた。地下鉄サリン事件の発生で、後手に回った警察当局の捜査は「オウム狩り」とも呼ぶべき苛烈さだった。教団信者なら、マンション駐車場に車を止めれば「住居侵入」、カッターナイフ所持なら「銃刀法違反」で現行犯逮捕。平時なら批判を免れない手法に、新聞も社会も表立って異議を唱えなかった。
 
 今日、「オウム真理教」の代わりに「工作員」でも何でもいい。「社会が攻撃を受ける」と喧伝されれば、同じように人権侵害が起きないだろうか。教祖らの死刑執行は、当時の自らの報道も含めて総括を試みるいい機会だったが、そうした記事が見受けられなかったのは残念だ。次の機会に期待したい。   
posted by JCJ at 21:19 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月15日

≪メディア時評≫ 歴史的会談の歴史的意味―メディアの報道姿勢を問う=梅田正己(歴史研究者)

 2018年6月12日、米朝首脳会談が行われた。
 翌13日の各紙は、もちろん大きく紙面を割いて、その「成果」を報じた。しかし、その報道は、一定の評価をしながらも、そろって具体性に欠けるとして留保をつけていた。
 例えば、朝日3面の横の大見出しは「非核化 あいまい合意」
 読売3―2面の同じく横見出し、「非核化 課題多く 北の姿勢 見極め」
 日経3―2面の横見出し、「非核化 時間稼ぎ懸念 米朝敵対解消を演出」

 社説もそろってそのことを指摘していた。
 まず、朝日から。
「合意は画期的と言うには程遠い薄弱な内容だった」「署名された共同声明をみる限りでは、米国が会談を急ぐ必要があったのか大いに疑問が残る」
 さらには「その軽々しさには驚かされるとともに深い不安を覚える」「重要なのは明文化された行動計画である」
 その「明確な期限を切った工程表」が示されてないから「会談の成果と呼ぶに値」しないというのである。

 毎日の社説も同様の留保をつける。
「固い約束のようだが、懸念は大いに残る」「そもそも北朝鮮がCIVD(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)に同意したかどうかもはっきりしない」

 読売社説も、「評価と批判が相半ばする結果だと言えよう」としながらも、ホンネは批判の方に傾いているようだ。「懸念されるのは、トランプ氏が記者会見で米韓軍事演習の中止や在韓米軍の将来の削減に言及したことだ。和平に前のめりなあまり、譲歩が過ぎるのではないか」

 日経の社説も同様の論調だ。「真に新たな歴史を刻んだとみなすのはまだ早い」と言った上で、同じく米側の前のめりを批判する。
「米側はすでに(北朝鮮の)体制保証で譲歩を余儀なくされた。今秋の米中間選挙を控え、目先の成果を焦るトランプ政権の前のめりな姿勢を、北朝鮮が巧みに利用したといえなくもない」

 以上のように、全国紙各紙は今回の米朝首脳会談について、できるだけその成果を割り引いて評価したいと見ているようだ。テレビにおいても、登場するコメンテーターのほとんどは同様の見方をしているように私には思われた。

 では、両首脳が署名した共同声明を改めて見てみよう。「非核化」に関する部分を見ると、こう書かれている。
 ――「トランプ大統領はDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)に対して安全の保証(security guarantees)を提供することを約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization)に向けた堅固で揺るぎない(firm and unwavering)決意を再確認した」
 ――「3 2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、DPRKは朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization)に向けて取り組むことを約束する」

 各紙の社説も、テレビのコメンテーターたちも口をそろえて、CIVD(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)が具体的に述べられていないから非核化を信じるわけにはいかないという。
 つまり共同声明で2度にわたって明言されている「完全な非核化(complete denuclearization)」では不十分というわけだ。

 しかし、すべての識者が指摘するように、CIVDは厖大かつ複雑な手間と時間がかかる。現有する核爆弾やミサイルを廃棄するほか、関連の研究施設や製造工場などインフラの解体、さらには開発に従事した科学者や技術者の処遇など、山積する問題をすべて処理しなければならないからだ。
 それには、10年、20年の歳月を要するというのがおおかたの認識だ。
 したがって、朝日社説がいうような「明確な期限を切った工程表」を示せという要求そのものが、現時点ではどだいあり得るはずがないのである。
(→続きを読む)
posted by JCJ at 15:14 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月08日

《月間マスコミ評・新聞》神経疑う、読売「安倍改憲賛成」社説=白垣詔男

 今年の憲法記念日の各社社説は安倍政権に対するそれぞれの姿勢が鮮明に出ており、現在の新聞社の姿勢を知るうえでも非常に興味深かった。
朝日新聞の「安倍政権と憲法 改憲を語る資格あるのか」、毎日「引き継ぐべき憲法秩序 首相権力の統制が先決だ」、読売「憲法記念日 自衛隊違憲論の払拭を図れ」、西日本「憲法記念日 国政の危うさを見据えて」――見出しを見ただけで内容が想像できる。
 
中でも最も合点がいったのは朝日が「統治原理ないがしろ」「普遍的価値の軽視」「優先順位を見誤るな」の小見出しで、安倍政権の政治運営を徹底的に批判。「人権、自由、平等といった人類の普遍的価値や民主主義を深化させるのではなく、『とにかく変えたい』という個人的な願望に他ならない。……民意は冷めたままだ」と安倍首相の個人的な野望を冷静に的確に分析している。

 毎日は、国会議論の低調さや安倍首相の国会無視、過剰な権力行使を指摘して、国会に首相権力への統制力強化を求めているのは首肯できる。西日本は安倍政権が現在置かれている状況を「自業自得」「自縄自縛」と断じる。その上で自民党が発表した4項目の改憲案について「今なぜ(憲法)改正を急ぐのか、現行法の枠内で対応が可能ではないか、といった疑問点が多く、拙速感は否めません」と改憲案を批判している。
 
  以上3紙は、いずれも「安倍改憲」に反対の考え方を明確に主張して小気味いい。
 
 これに対し読売は「自民党案をたたき台に」と小見出しをつけ、「安倍首相(自民党総裁)は、昨年の憲法記念日に、自衛隊の根拠規定を設けるための9条改正を政治課題に掲げた」「自民党は……4項目について、改憲の考え方をまとめた。改正項目を絞り、具体的な条文案として提起したのは評価できる」と安倍・自民党改憲案に賛意を示している。西日本や識者の多くが「現行法で対応できる」という自民党案に対する意見には触れていない。
 
 読売社説を、社名を外して読めば、「自画自賛している自民党の文章」ではないかと疑われても仕方がないほどで、新聞社の社説としては偏っていると思う。これほど露骨に政権党寄りの社説を書く神経を疑ってしまう。


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2018年05月23日

【月間マスコミ評・新聞】再開発に警鐘、日経「限界都市」=山田 明

 4月14日、安倍政権に抗議する人たちが国会議事堂前に殺到し、怒りの声がこだました。若者らのやまないコールが響きわたる。国民の怒りは全国に広がり、内閣支持率も急降下しつつある。与党内からも不安と批判が広がり、「安倍一強」なるものにも揺らぎが見え始めた。
 
 森友疑惑の財務省の決済文書改ざん、加計疑惑の「首相案件」文書、防衛省・自衛隊の日報隠し、厚労省のデータ捏造、前川喜平氏講演に対する文科省・自民党政治家の介入、財務次官セクハラ疑惑への「対応」など、政治の私物化、底なしの嘘と隠ぺい、不祥事。こんな安倍政権のもとで、権力監視と国民の利益を守る憲法改悪など許されるはずがない。
 
 行政の信頼を根底から揺るがす疑惑が次々と明るみに出る。
 
 とりわけ公文書改ざんは議会制民主主義、日報隠しは文民統制を揺るがし、戦後政治のなかでも深刻な事態だ。
「もりかけ」疑惑は、安倍首相と昭恵夫人が当事者として直接関わる。一年以上も、国会と国民を欺いてきた政治責任はきわめて大きい。安倍首相はアベ政治を支えるため、高級官僚の人事権の内閣人事局への移管など、首相官邸への権力集中が強引に進められた。そのひずみがいま噴出しつつある。

 メディアへの攻撃と懐柔も、これまでアベ政治を支えてきた。そのメディアにも、世論の動向を反映して変化の兆しも見られる。
 
 産経はともかく、読売の論調に注目したい。放送法4条の撤廃は明示されなかったが、政府の規制改革推進会議の放送制度のあり方議論の行方に注意が必要だ。
 
 
 メディアは権力監視とともに、国内外の構造変化に対応した世論喚起が求められる。
 
 日経「限界都市」シリーズは、そんな問題提起をしている。タワーマンション偏重の大規模再開発などに警鐘を鳴らす。「政府や自治体、企業が明らかにしない重要事実を、独自取材で掘り起こす調査報道を強化します」(3月21日朝刊)と。
 
 政治腐敗だけでなく、持続可能な社会を脅かす社会問題にも大胆に切り込む「調査報道」を期待したい。   
posted by JCJ at 14:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月18日

【月間マスコミ評・放送】「4条擁護」にとどまらぬ議論を=諸川麻衣

 先日、政府が検討している放送制度改革の方針案が明らかにされた。放送を電波からネットに移し、NHK以外の民放は基本不要とし、自由な放送を可能にして新規参入を促すため、政治的公平などを義務づけた放送法4条を撤廃、さらに番組基準策定、番組審議会設置などの規定もなくすという。
 この報道に奇異な感じを抱いた人は多いのではあるまいか。なぜなら、自民党自身が過去、「政治的公平」を錦の御旗にして放送にたびたび圧力をかけてきたからだ。NHKの慰安婦問題の番組に放送前に「公平・公正にやってください」と「注文」をつけて大改ざんに至らしめたのは他ならぬ現党総裁だし、二〇一四年には在京テレビ局に「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」を送り、出演者の選定・発言回数や時間、街角インタビューや資料映像についてまで公平中立を求めて物議を醸した。
 こうしたことから、昨年のデイヴィッド・ケイの調査報告書では、「メディアの独立性を強化するため、政府が放送法4条を見直し廃止することを勧めたい」と提起したほどである。
むろん、今回の方針案は自民党政権の「反省」を示したものとは言えない。ネット放送に自民党寄りの新規事業者が多数参入し、沖縄を取り上げた『ニュース女子』のように、公平など無視したフェイク・ニュースや番組が氾濫すればそれで良いのだろう。
 既に民放の経営者や労組、新聞からは、「放送が果たしてきた公共的、社会的役割について考慮がされていない」、「産業振興の色合いも強く、放送の社会的使命を軽視している」、「放送の不偏不党が損なわれる心配が大きい」などの批判が出ている。
 件の『ニュース女子』を放送倫理違反としたBPO意見は、「伝える情報の正確さの追求、裏付けの徹底、偏見の排除といった、放送人が歳月をかけて培ってきた価値観が尊重されなければならない。それこそが『公平、公正な立場』に立った放送」だと述べる。放送法四条の公平原則の必要性は専門家の間でも意見が分かれる。政府の改革案に単純に「四条擁護」を対置するだけでなく、放送に求められる最低限の質とは何か、それを法律でどう規定し、行政権力を介入させずにどう実現するかを今や本格的に議論するべきではあるまいか。
     
posted by JCJ at 18:50 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月14日

≪月間マスコミ評・新聞≫核軍拡を支持する読売社説に驚き=山田明

 通常国会が始まり、安倍首相の自己中心的な政治姿勢に批判が集まる。安倍首相は「もりかけ疑惑」で追及されると、質問に関係なく、朝日新聞の報道が「ウソ」だと批判ばかりする。
 遅まきながら、森友学園の資料が財務省から次々と公表される。佐川宣寿財務省理財局長、現国税庁長官の「速やかに廃棄した」との国会答弁は明らかに虚偽だ。2月16日から確定申告が始まる中で、納税者の怒りが高まる。
 安倍首相はこんな佐川人事を「適材適所」と自賛する。関与を疑わせる音声データまで公開された安倍昭恵氏、佐川氏の国会証人喚問は欠かせない。
 改憲の動きが加速。 朝日1月23日社説は「際立つ首相の前のめり」と、安倍首相の自己都合の改憲姿勢を批判する。国民の多くは拙速な改憲を望まず、議論も深まっていない。憲法9条改悪は、国民に分断をもたらしかねない。
 沖縄県名護市の市長選で、辺野古移設阻止を訴えた現職が破れた。安倍政権と公明党が全面支援した新人が当選したが、これで辺野古移設が容認されたわけでない。アメとムチにより強引に新基地建設が推進され、米軍の事故が相次いでいる。沖縄県民の怒りは高まるばかりだ。
 米軍機事故では、松本文明内閣府副大臣が議場から「それで何人死んだ」と、ヤジを飛ばす始末。ネット上では、佐賀県の自衛隊機事故の被害者に心ない非難が寄せられている(毎日2月11日)。基地のそばで不安を抱く人たちの気持ちを考えると、心が痛む。「政府や司法 住民より基地重視」という声も(中日8日特報)。
産経は交通事故をめぐり、沖縄2紙が米兵の「救出」を報道しなかったことを非難した。8日に事実確認できなかったと謝罪したが、産経報道のあり方を厳しく問いたい。
安倍政権は沖縄の現実から目をそらす。米トランプ政権に追従する姿勢は、核戦略でも同じだ。核廃絶でなく、核軍拡を進める「核戦略の見直し」を高く評価するとは。唯一の戦争被爆国として、断じて許されない。
 この問題の読売新聞6日社説にも驚いた。「安全保障環境の悪化を踏まえ、米国が核抑止力の強化に乗り出したのはやむを得ない」と。トランプ政権の核戦略、それを評価する安倍政権を支持するものだ。
 揺れ動く政治とメディアの関係が問われている。   
posted by JCJ at 16:12 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月28日

〈月間マスコミ評・出版〉格差拡大を放置し今や階級社会に=荒屋敷 宏

 英国在住の保育士・ライター・コラムニストのブレイディみかこ氏の「ブロークン・ブリテンに聞け」という新連載が文芸誌「群像」3月号(講談社)で始まった。ブレイディ氏は「子どもたちの階級闘争」(みすず書房)、「労働者階級の反乱」(光文社新書)などでも脚光を浴びつつある。
 「群像」編集部が作成した目次いわく「階級が分断され、貧困が蔓延(はびこ)る『壊れた英国』で人々はどう生きるのか。『一億総中流社会』が崩壊した日本の未来/現実はここにある――。」
 ブレイディ氏は、生理中に使用するタンポンやナプキンが買えない貧困層の女性たちを意味する「生理貧困」(ピリオド・ポヴァティ)という聞きなれない言葉を切り口に、18歳の女性たちが「スティグマ」(恥の意識)を乗り越えて立ち上がる英国の姿を紹介している。
 「日本でもこの問題はけっして他人事ではないはずである。/生活保護の生活扶助費引き下げという、まるで英国のような緊縮政策が数カ月前に発表されたばかりではなかったか」とブレイディ氏は締めくくる。
 まさしく、他人事ではない。「賃金と社会保障」1月号(旬報社)の特集「さらなる生活保護引下げ」が便利である。同誌編集部によると、「厚労省の今回の(生活扶助費)引下げ案の考え方は、生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に分けた下位10%の階層)の消費水準と比較し、生活扶助基準が上回っているので引き下げるというもの」という。「一般低所得世帯」の消費支出にあわせて生活扶助基準を変更するという、恐るべき安倍政権の政策である。
 柏木ハルコ氏の漫画「健康で文化的な最低限度の生活」(「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中)が新人ケースワーカーの視点から生活保護を描いて注目されているが、衆院予算委員会でも日本共産党の志位和夫氏が、生活保護は憲法25条(生存権)にもとづく国民の権利であるとして、削減計画の撤回を求め、生活保護法の名称を改めて「生活保障法」とするなどの提案をおこなった。
 橋本健二氏は「新・日本の階級社会」(講談社現代新書)で、1980年前後から始まった「格差拡大」は40年近くも放置され、「一億総中流」はもはや遠い昔と指摘した上で「現代の日本社会は、もはや『格差社会』などという生ぬるい言葉で形容すべきものではない。それは明らかに、『階級社会』なのである」と書いている。大注目の論点であろう。 
posted by JCJ at 11:45 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月17日

【マスコミ評・放送】DHC、確信犯として沖縄を揶揄=岩崎貞明

 昨年12月、NHKと民放が設置する放送の自主規制機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会が、昨年1月に東京都のローカル局、東京メトロポリタンテレビジョン(MX)が放送した番組『ニュース女子』の沖縄特集が「重大な放送倫理違反」だったとの意見を公表した。

 番組は、沖縄の「基地反対派」は「過激派で危険」「日当をもらっている」などという根拠のないデマ情報をレポートし、米軍基地建設反対を訴えて工事現場付近で座り込みの抗議行動を続けている地元の人々を笑い者にするものだった。化粧品製造・販売のディーエイチシーの関連会社が番組を制作し、スポンサー料も付けて放送させるという「持ち込み番組」のスタイルだった。

 BPO放送倫理検証委は、この番組が放送局において適正な考査が行われたかどうかを検証したが、それは沖縄の現地に赴いて関係者に聴き取り調査を行うなど精緻な検証作業を試みたものだった。
 その結果として同委員会は、MXに対して「抗議活動を行う側に対する取材の欠如を問題としなかった」「『救急車を止めた』との放送内容の裏付けを確認しなかった」「『日当』という表現の裏付けを確認しなかった」「『基地の外の』とのスーパーを放置した」「侮蔑的表現のチェックを怠った」「完パケでの考査を行わなかった」という六つの点を指摘し「本件放送には複数の放送倫理上の問題が含まれており、そのような番組を適正な考査を行うことなく放送した点において、TOKYO MXには重大な放送倫理違反があった」と断じている。

 問題は、直接番組制作に携わったディーエイチシー側が、反省どころか開き直りの態度を改めないことだ。基地反対派の取材をしていないことについては「言い分を聞く必要はないと考えます」などと一方的な主張に終始して、まさに確信犯として沖縄の人々を揶揄している。ネット上に蔓延する「沖縄ヘイトスピーチ」は深刻な問題だ。

 この番組をめぐってはもう一件、BPOの放送人権委員会にも人権侵害救済の申し立てが行われている。人権問題であるからには、こちらのほうこそ早急な対応が待たれているはずだ。いずれにせよ、決定を受けたMXの態度が懸念される。
posted by JCJ at 01:14 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月15日

《月間マスコミ評・新聞 》核廃絶運動に平和賞、次につながる=山田 明

 毎年のことだが、年末になると1年を振り返りたくなる。記憶をしっかり記録するためにも。
 世界に目をやると、やはりトランプ米大統領に振り回された1年だった。欧米だけでなく・アジア・中東を揺るがす。国際的にトランプ批判も高まってきたが、安倍首相のトランプ追従ぶりが際立つ。日本外交の姿勢が問われている。
 北朝鮮情勢が緊迫化し、戦争や核への不安が高まるが、平和に向けて明るいニュースも飛び込んだ。今年のノーベル平和賞に国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が選ばれた。核兵器禁止条約の国連採択への貢献が評価された。草の根の運動体、NGOが受賞したことの意味は大きいが、広島・長崎の被爆国である日本政府の対応はあまりに冷たい。
 日本の政治に目を向けると、「安倍一強」政権のもとで、政治の劣化がますます進んできた。何といっても、焦点は森友学園と加計学園をめぐる疑惑だ。日本政治を揺るがす「もりかけ問題」は、安倍首相夫妻が関係する疑惑である。
 そのため政府・自民党は真相隠し、国会審議の先送り、野党の質問時間削減に躍起となった。毎日12月8日社説は、特別国会閉会にあたり、第4次安倍政権の運営方針をただすとともに、「森友・加計」問題の真相を解明すべき国会だったが、その役割を果たしたとは言い難いと。
 先の衆院選は民進党の分裂騒ぎもあり、与党が勝利した。安倍改憲、憲法9条改悪が現実味を帯びてきた。その一方で、市民と野党共闘が全国的に広がりつつある。
 メディアで注目されるのが、NHK受信料に対する最高裁の初判断。読売7日社説も、判決は「NHKがテレビ設置者の理解が得られるように努め」と指摘。政権べったりではなく、NHKは「知る権利」に応えるベきだ。
 朝日10日は1面トップで「リニア入札不正容疑」を大きく伝えた。大手ゼネコン大林組に強制捜査が入り、巨大事業に激震。リニア中央新幹線は環境破壊をはじめ、多くの問題が指摘されている。リニアは公的資金も投入される巨大事業だ。沿線各地の住民が提訴しているが、国会でほとんど議論されていない。メディアもJR東海に遠慮してか、リニア報道が弱い。今回の疑惑など、厳しく追及してほしい。    
  
posted by JCJ at 22:33 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月04日

《月間マスコミ評》NHK記者過労死、当確報道に疑問=諸川麻衣

 2013年7月24日、NHK首都圏放送センターで都議選、参院選取材に当たってきた佐戸未和記者が、月159時間余の時間外労働の末に31歳の若さで過労死した。4年後の今年11月20日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀 過労死と闘い、命を守る」では、冒頭で生前の佐戸さんの活躍や今のご両親の声を紹介、過労死問題は「この番組を作るNHKにとっても大きな課題です」と述べた。
 調べてみると実はNHKは06年度に既に、年間総労働時間2100Hを指標に各職場で働き方を見直すという「働き方総点検」を始めていた。さらに12年度にはこれを「働き方改革」に発展させ、「業務の棚卸し」を課題とした。13年度には、全経営業務量に見合う要員数(約一万)の枠内で各職場の「歪み」を解消するため、要員再配置や業務の調整=「全体最適」に乗り出した。
 翌14年5月に佐戸さんの過労死が認定されたが、この年は改革の重点事項に「過重労働防止による健康確保」を掲げ、記者の勤務制度の議論、「専任職」を労働時間を管理する一般職に移行する、三六協定の上限を超えた勤務を「限度越え」として報告するよう労組が呼びかける、などの動きが見られた。
 その後、番組の編集期間に休日を設けるなども行われ、16年度には全部局で年間総労働時間平均が前年度を下回り、全体最適も達成されたという(ただし「限度越え」報告は14年度以降一貫して増え続けているらしい)。
 そして今年度には記者の「専門業務型裁量労働制」が発足、10月に佐戸さんの過労死がやっと公表された。また12月7日には、NHKグループ全体として「長時間労働に頼らない組織風土をつくります」と宣言した。
 このように、NHKが過重労働問題にまったく無策だったとは言えない。ただし、佐戸さんの件は当初、職場集会参加者に口頭で報告されただけで、一斉周知はされなかったという。「過労死の事実をしっかり伝え、再発防止に役立ててほしい」とのご両親の気持ちは裏切られていたのである。「できるだけ早く当確を打つ」という意義不明な目標のために人材を集中投入する選挙報道のあり方への根本的な見直しも、ほとんど見られない。
 一方で佐戸さんの過労死はメディアの他社でも反響を呼び、選挙取材期間の勤務管理のあり方を見直す動きが出ているという。三年後、五年後、放送の現場が「以前よりは働き方がまともになってきた」と実感できるようになれば、報道人として志半ばで斃れた佐戸さんの無念は少しは晴れるだろうか? 
      
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2017年12月05日

《月間マスコミ時評・出版》この国は本当に大丈夫か?=荒屋敷 宏

 「総選挙」後である。ある財務省幹部は安倍内閣の選挙を意識しながらの政権運営について「自転車操業」と評したという(「日経ビジネス」11月13日号で安藤毅氏)。

 「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)11月21日号で寺島実郎氏は、衆院選を総括し、小選挙区制のもとで野党分裂の選挙が与党優位になるのは当然としたうえで、戦後2番目の低投票率(53・68%)と比例代表区での自民党の得票率(33・3%)と絶対得票率(17・9%)に注意を促している。

 寺島氏は「国民は、現在の政治状況が正当なものではないことに気づき始めている。今後は政策を軸にした『リトマス試験紙』のようなものが重要になる」として、「外交や安全保障問題、特に沖縄の基地問題」を挙げる。寺島氏が地方講演に出向いた際に「地元の経済人から『小選挙区は自民に入れざるを得ない。だが、この国は本当に大丈夫か』と危惧する声をたくさん聞く」という。「自転車操業」への不安がマグマとなって臨界点に近づいている。

 「週刊金曜日」11月10日号の「京都・Xバンドレーダー基地と『戦争加担』」(成澤宗男氏)は読み応えがあった。丹後半島の北端、経ケ岬(京丹後市)から西へ約3キロ離れた断崖の上に、北朝鮮から飛来するミサイルをとらえる特殊なレーダー基地がある。米太平洋陸軍の第94防空砲兵コマンド第14ミサイル防衛中隊がいる。

 丹後半島に米軍レーダー基地建設の話が持ち上がったのは2013年2月末。米軍が特定秘密保護法の整備を急がせた理由がわかる。米軍は現在、朝鮮半島における軍事戦略「OPLAN5015」(2015年決定の戦争計画)にもとづいて動いている。日本各地で米軍や自衛隊が危険な訓練をしている。そこから「戦争計画」の実像も見えてくる。成澤氏は朝鮮戦争の被害状況を簡潔に振り返っているが、もしも朝鮮半島で休戦協定が破棄されれば、かつての戦争以上の破滅的惨禍となることは明らかだろう。

 この国の将来を決める鍵言葉は「憲法」だ。「週刊金曜日」11月3日号が「憲法キャンペーン」を開始し、同誌編集長の小林和子氏が「世界」編集長の清宮美稚子氏、「DAYS JAPAN」編集長の丸井春氏とおこなった鼎談が面白い。題して「憲法が危機なら私たちが誌面を通して憲法をとりもどします」。野党共闘の時代に雑誌媒体が「共闘」することも「あり」だろう。3誌のコラボ企画が楽しみだ。
posted by JCJ at 13:28 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月14日

≪月間マスコミ評・新聞≫日本がどう動いたのか見えない

 核開発やミサイル発射を続ける北朝鮮に対して国連安保理は日本時間9月12日夕、新たな制裁決議を全会一致で採択した。米国は当初の「石油の全面禁輸」から譲歩して中国、ロシアが賛成できる提案になったと報じられた。
 13日朝刊各紙は、このニュースを1面トップで報じ社説でも展開した。この制裁決議について社説では、「決議後の行動が重要だ」(朝日)、「挑発阻止へ結束の維持を」(毎日)、「結束の力を『次の一手』に」(西日本)と確実な実行を促した。読売は「スピード採択で包囲網狭めた」の見出しだが「新たな制裁を徹底して実行せねばならない」と最も強い主張だった。ただ、制裁効果は推測の域を出ていない。

 もう一つ、この間、日本がどう動いたのかが各紙の記事を読んでも見えてこない。北朝鮮のミサイル発射後、核実験後に安倍晋三首相がトランプ米大統領と電話会談した報道があった。また、日韓首脳会談で「北朝鮮問題」を話し合ったニュースも流れた。
 しかし、電話会談や直接会談で「北朝鮮に一段と強い制裁を」という結論だけは明らかにされたが、そこで安倍首相がトランプ大統領や文在寅大統領に何を語ったのか、相手の話に相づちを打っただけなのかは分からない。

 13日の社説では「日米が主張した原油の全面禁輸は入らなかったが」(毎日)、「日米両国が目指した石油の全面禁輸は…現状維持で決着した」(西日本)と、日本が「全面禁輸」を積極的に主張したかのような一節が見受けられた。しかし、「全面禁輸」は、電話会談でトランプ大統領から提案され、安倍首相が賛成しただけなのではないか。今の日米関係を考えると、トランプ大統領が提案して安倍首相がそれに追随したと考えるのが自然だ。この件に関して日本の各紙とも触れていない。
 米国が譲歩したのは、トランプ大統領の強硬な考えを国務長官、国防長官が諫めて譲歩提案をまとめたと考えるほうが理にかなっている。その大統領に安倍首相は、電話会談後いつも、「完全に一致した」と述べていたのだから、日本独自の制裁案を持っていたと考えるのは無理がある。
 そうした日米関係を踏まえても今回、日本がどう動いたのか見えてこない。 白垣詔男
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2017年10月09日

≪月間マスコミ評・出版≫33歳の男と亡霊に振り回される

 33歳の金正恩朝鮮労働党委員長に振り回されている。北朝鮮に詳しい井上智太郎氏は「世界」10月号で、「北朝鮮の核開発は金体制維持のための『抑止力、国際的威信、強制外交を意図したもの』…とみられているが、最近のレトリックからは日米韓三カ国の『デカップリング』(切り離し)を狙う戦略が鮮明だ」という。
 さらに、「北朝鮮が米国との間で互いに核保有国として衝突を回避しようとする核抑止関係が成立したと判断すれば、むしろ周辺国へのふるまいはより攻撃的で大胆になる恐れもある」そうだ。

 「週刊ポスト」9月22日号の「信頼できるのは『Jアラート』よりAアラート=H なぜ安倍首相は『ミサイル発射前日に限って』総理公邸に泊まっていたのか」が面白い。8月29日に北朝鮮のミサイルが通告なしの発射だったのに、安倍首相が「ミサイルの動きを完全に把握していた」と胸を張った一件を取り上げている。
 「安倍首相が8月に公邸に泊まったのは25日と28日の2日のみで、いずれも翌朝に北朝鮮がミサイルを発射していた」。安倍首相は8月25日午後3時ごろから谷内正太郎国家安全保障局長や防衛省の前田哲防衛政策局長、河野克俊統合幕僚長らと面談していた。結局、「国民ができ得る現実的な対策は、通信社や新聞社がインターネットで速報する『首相動静』を見ることかもしれない」とは皮肉だ。その河野統合幕僚長が右翼雑誌の「正論」10月号に登場し、日米で北朝鮮の潜水艦を監視していると語っている。

 「ニューズウィーク日本版」9月19日号によると、「グアム島のアンダーセン米空軍基地に配備されているB1Bランサー爆撃機はこの数カ月、朝鮮半島上空へ飛行する訓練を繰り返しており、急襲に向けた演習ではないかと北朝鮮は神経をとがらせている」という。トランプ外交は稚拙だ。同誌は「冷戦の『抑止の歴史』に学べ」という記事も掲載している。
 「冷戦」とは何だったのか。その点で、渡辺治氏と不破哲三氏の対談「現代史とスターリン」(新日本出版社)が一読に値する。スターリンにとってアメリカの軍事力をヨーロッパからアジアに引っ張りこむことが、朝鮮戦争を起こした主要な目的だ、そのためには、朝鮮戦争にアメリカの軍隊を出させることが必要だった=i同書282ページ)という秘史が紹介されている。スターリンの亡霊が今も日本を振り回しているということなのかもしれない。 
荒屋敷 宏
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2017年08月29日

≪リレー時評≫NHK「クロ現+」にみる権力代弁=白垣詔男

 NHK会長が籾井勝人さんから上田良一さんに代わって半年、7月29日に福岡市で「NHKを考える福岡の会」主催の「NHK これでいいのか? 言いたか放題」と名付けた集会があった。「言いたか」は博多弁で「言いたい」の意味だ。大牟田市や福智町などの遠隔地からも含め50人が参加して発言が途絶えることなく盛況だった。
 初めに「最近のNHK」について事務局の私から2点を報告した。@6月19日午後10時からの「クローズアップ現代+」<波紋広がる特区選定=`独占入手 加計学園新文書=рノついて、文書を入手した社会部が政府の疑惑姿勢≠ノ言及したのに対し政治部・原聖樹記者(首相官邸記者クラブキャップ)が国家戦略特区諮問会議有識者議員の言い分を代弁する解説をしたAテレビを持たなくてもパソコンやスマートフォンを持っている人から受信料を徴取しようという動き―。

 このうち、@の加計学園新文書≠ノついては、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表で東大名誉教授の醍醐聡さんが中心になって7月24日に要旨次のような質問を原記者に送った。
 「原記者が『すべての決定の過程が議事録に残っている』と解説したが、重要な意思決定の過程が議事録に残されておらず、事実に反する。原解説は事実に反する関係者の主張を主体的に検証することなく紹介した」「原解説の中に、諮問会議有識者議員の真実でない発言を冷静に見極めることなく、そのままなぞる内容だったのは『NHK放送ガイドライン2015』(正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。虚構や真実でない事柄が含まれていないか冷静な視線で見極めようとする姿勢が求められる―など)に反する」「原解説は、特区選定の手続きは適正で違法性はないと諮問会議有識者議員の主張をなぞった」―など。
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2017年08月04日

「愛国」おしつける安倍政権の遠謀=清水正文

 小学校の学習指導要領が改訂され、2020年度から、全国一斉に実施される。さらに、来年度からは、初めて「道徳」が小学校で教科に加えられ、授業が必修になる。
 改訂された学習指導要領は、一時期、言われた「ゆとり教育」とは、対極にある「つめこみ教育」を目指す内容となっている。現行の指導要領は、そのまま内容を維持し、さらに小学3・4年生では外国語活動を、5・6年生では教科としての外国語授業を増やしている。

 4年生の授業は、なんと年間1015時間となり、学校6日制であった1989年と同じ時数となっている。今の週5日制で、これを実施すれば、毎日6時間の授業となり、子どもにかかる負担増は、はかりしれない。
 英語教育を早期に行うという方針も、外国語教育の専門家からは、ことごとく反対の声が挙がっている。しかも、小学校で英語教育の免許を持っている教師は、わずか5%でしかない。この実態を踏まえると、「無免許運転」にならざるを得ないとも言われている。

 教育と学校に対する管理強化が進み、幼稚園の教育要領や保育指針にまで、「国歌に親しむ」ことがうたわれ、中学の体育では、相手の喉元や心臓をねらって突く「銃剣道」を取り入れるカリキュラムまで組まれている。あのアジア太平洋戦争での軍事教練を、彷彿とさせる。
 「道徳」の教科化をめぐっては、メディアで報道されてもいるが、呆れた検定が批判を浴びている。その検定の一つ、「パン屋さんを和菓子屋さんに書き換えよ」など、考えられない事態が進んでいる。

    また、安倍内閣は「憲法や教育基本法などに反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることはない」と、教育勅語容認の立場を明らかにする閣議決定を行った。
 すでに「道徳」の教科書が検定され、8社66点が合格している。このうち教育出版が発行する「道徳」教科書について、触れておかねばならない。

 たとえば小学2年生で学ぶ「国旗・国歌」に関しての記述が、他社と比べて異常に大きく、偏った取り上げ方になっている。5年生の「下町ボブスレー」という教材には、わざわざ安倍首相の写真まで載せている。
 なぜこのような記述・内容の教科書になったのか。これまで育鵬社の中学社会科の教科書を編集してきた「日本教育再生機構(八木秀次理事長)」の道徳教育の中心メンバーが、編集執筆者に名を連ね、かつその流れをくむ貝塚茂樹氏(武蔵野大学教授)と柳沼良太氏(岐阜大学大学院准教授)が、この教育出版の「道徳」教科書を監修しているからである。
 育鵬社版のダミーともいうべき教科書が採択され、子どもたちの道徳教育が行われないよう、反対の世論を広げていく必要がある。

(JCJ代表委員)

*JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年7月25日号

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2017年06月03日

暗黙の了解も「共謀」、冤罪増える=守屋龍一

 安倍政権・自公両党と別働隊日本維新の会は、「共謀罪」法案を強行可決。この暴挙を許すな!
 あらためて確認しよう。「共謀罪」法は、犯罪行為の「予備」や「未遂」よりも前の行為を処罰する法律だ。その法でいう「準備行為」とは何か。「組織の変質」は誰が判断するのか。「一般人」に及ばないという規定は、どこにあるのか。
 それらの認定や判断は、全て捜査機関や裁判所に委ねられている。「内心」や「準備行為」を探るには、日常的な監視、メール・LINE の盗み読みが不可欠。さらには逮捕、自白の強要、証拠の捏造すらありうる。「共謀罪」は死刑から懲役4年以上。誰でも「犯罪者」や「死刑囚」になりうる。
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重要さ増す平穏生活権 ネット上の嫌がらせ防ぐ=渡邉知行

 メールなどでの脅迫は「平穏生活権」を侵す。元朝日新聞記者・植村隆さんの名誉棄損訴訟で注目されるこの権利はどのようなものか。成蹊大学法科大学院教授の渡邉知行さんに解説しても らった。

 朝日新聞記者だった植村さんは1991年に従軍慰安婦に関する記事を署名入りで書いた。2013年末には、新聞社を早期退職して大学教授に就任することが内定していた。
 これに対し週刊文春は2014年2月と8月、2回にわたって、植村さんが書いた新聞記事を捏造などと誹謗中傷する記事を掲載した。2月の文春の記事に誘発され、記事を引用し、採用を 取り消すように要求する抗議や脅迫のメールなどが大学に送られた。その結果、採用の契約が解除され、嫌がらせの被害は家族にまで及んだ。
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ナチスを想起、改憲へ東京オリ・パラ利用=大野 晃

 安倍首相が「日本で五輪が開催される2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と改憲五輪を明言した。東京五輪開催を道具とする改憲は明確な五輪の政治利用宣言である。政治利 用を厳しく糾弾する五輪憲章違反であり、バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長ら幹部が容認しても、結集する世界スポーツ界に不信と非難が広がり、国内向け宣言とはいえ、海外派 兵の改憲だけに国際的影響も大きく、東京五輪ボイコットを生みかねない。
 安倍首相は、「そもそも」(閣議決定によれば「基本的に」の意)大都市再開発五輪を狙い、東日本大震災と福島原発事故の混乱で政権を奪うと五輪招致で福島第1原発の「汚染水はコント ロールされている」と原発事故隠し五輪を意図し、国内向けには復興五輪を表明。原発事故の深刻さと遅々として進まぬ復興の現実が表面化して批判されると、「共謀罪法がなければ五輪を開 催できない」と共謀罪五輪を持ち出し、ついに改憲五輪に及んだ。安倍首相の一貫した五輪の政治利用は明白である。
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2017年05月27日

「中立」を隠れ蓑にするな 世界報道自由デー・フォーラム=鈴木賀津彦

 「ヘイトスピーチとメディアの責任―メディアリテラシーの可能性」をテーマに「世界報道自由デー」フォーラムが5月6日、教育関係者や高校生・大学生、研究者やジャーナリストらが参 加して都内の法政大学市ケ谷キャンパスで開かれた。
 国連が定めた3日の「世界報道自由デー」(World Press Freedom Day)に合わせ、アジア太平洋メディア情報リテラシー教育センター(AMILEC、理事長・坂 本旬法政大教授)が主催して企画。JCJも今回初めて共催に加わって協力した。
 川崎市の在日朝鮮人へのヘイトスピーチ問題の取材を続けている神奈川新聞デジタル編集部編集委員の石橋学さんと、生活保護者に対するヘイトを追っている毎日新聞新潟支局の東海林智さ んがメディア側からの問題点と課題を報告。参加者からの質問を受ける形で議論を深めた。
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阪神支局襲撃事件から30年 樋田毅さん講演 朝日記者ゆえに殺された=廣瀬 功

 87年5月3日、朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者2人が散弾銃で殺傷された事件は、発生から今年で30年を迎えた。
 事件と時代状況を改めて問い直し、引き継いで行こうとする集いが4月27日、アジア記者クラブ主催で開かれた。
 会場には、朝日新聞で同事件の取材班キャップとして赤報隊を追い、現在も独自に事件を取材する樋田毅さん(朝日新聞大阪秘書役)が招かれ、事件について語った。
 樋田さんは、襲撃の状況から言えるのは「犯人の明確な殺意だけ。朝日の言論・報道」が標的で、「小尻記者が殺されたのは朝日の記者という以外考えられない」と述べた。
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