2024年03月17日

【お知らせ】2024 年度(第67 回) ⽇本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞) 応募と推薦のお願い=JCJ賞推薦委員会

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、年間のすぐれたジャーナリズム活動を顕彰するため、1958年以来「JCJ賞」を設け、贈賞してきました。
 今年は第67回となります。自薦または他薦によって応募といたします。今年度も優れた労作の多数応募を期待しています。
  
■日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)募集規定
〈募集ジャンルと応募資格〉
 新聞、放送、出版、写真作品、ネットメディア作品のほか、市民運動や地域活動なども含み、個人・グループを問いません。
 提出期限までの1年以内に発表された作品 (連載の場合は同期間に発表したもの) を対象とします。

〈提出条件〉
 ◆ 書籍は、その現物1冊。放送作品はDVDを1本です。

 ◆ 雑誌、新聞は、その掲載部分のコピー(カラーの場合はカラーで)の1セットです。
  上記の2項目については、1作品に1枚エントリーシートを必ず同封。特に連絡先、担当者、
  電話、メールアドレスは必ず明記。郵送または宅急便で下記の提出先にお送りください。
  なお、FAX、メールによる送稿は受け付けません。

 ◆ネットメディア作品は、閲覧出来るURLをお知らせ下さい。
  1作品に1枚エントリーシートを必ず明記。特に連絡先、担当者、電話、メールアドレスは必須です。
  そしてメール(office@jcj.gr.jp)による受け付けをいたします。

 ○応募要項、エントリーシートはJCJホームページからダウンロードできます。
  このシートはword形式ですので文章を打ち込むことができます。 

〈提出期限〉
 ◆新聞、出版作品は5月17日(金) 
 ◆放送・ネットメディア・その他作品は5月24日(金)です。郵送の場合は当日消印までが有効です。

〈提出先〉
  〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町3−10−15富士ビル501号
   日本ジャーナリスト会議 「JCJ賞」 応募作品係 (赤で目立つように表記してください)

 ○応募作品は返却いたしません。選考経過,理由などについてのお問い合わせには応じておりません。
 ○選考結果は「ジャーナリスト」および主要新聞に公表するほか、JCJホームページに掲載致します。
 ○今回の選考結果の確定は8月末、公表は9月上旬(昨年は9月6日)、入選者の贈賞式は9月下旬(昨年は9月23日)を予定しております。

                  2024年3月15日 日本ジャーナリスト会議
                      JCJ事務局長 古川英一
                      JCJ賞推薦委員会統括責任者 大場幸夫
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2024年01月06日

【オンライン講演】「後世に事実を」被爆者の願い叶えた 23年度JCJ賞『「黒い雨」訴訟』の著者・小山美砂氏語る=橋詰雅博

                       
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 2023年度JCJ賞受賞者オンライン講演のトップバッターは『黒い雨訴訟』(集英社新書、22年7月発行)の著者・小山美砂氏=写真=。「原爆『黒い雨訴訟』に学んだジャーナリストの仕事」と題した11月19日講演では毎日新聞記者としての広島被爆者取材やメディアの報道姿勢への疑問を語り、昨年末退職後、フリーランスになったジャーナリスト活動も報告した。

 大阪市出身の小山氏が縁もゆかりもない広島の原爆に強い関心を持ったきっかけは同志社大学メディア学科3年生のとき、広島被爆者の話に衝撃を受けたからだ。その人は「被爆者は後遺症に苦しんでいる。核兵器は今も世界で1万2000発もある。未来を生きる若者に被爆の惨状を伝えるため子供のころのつらい体験を語っている」と言った。原爆問題を伝えたいと毎日新聞に入社。初任地として希望した広島支局に2017年配属された。 

 記者3年目の秋「黒い雨」訴訟を取材。原爆投下直後、広島に降った放射線を帯びた黒い雨を浴び、深刻な健康被害に苦しむ人たちが国に援護を求めた裁判。小山氏は「黒い雨で病気に罹っている疑いがあるのになぜ被爆者ではないのか。これはおかしい」と疑問を抱いたのが黒い雨取材のスタートだった。

 取材を介して親交を深めた訴訟のリーダー的存在の高東征二氏と一緒に山間部で暮らす原告らを訪ね歩き多くの証言を得た。「黒い雨によって内部被ばくしたことで病気などの被害にあったと確信できた」(小山氏)。地裁、高裁で原告が勝訴し、国に上告を断念させた黒い雨訴訟原告勝利の結果、黒い雨被爆者への被爆者健康手帳の交付が認められた。
 本を書くに至った動機を小山氏は「70数年間、国の援護が認められなかった被爆者の『後世に事実を残したい』という願いが私の心にしみ込み、本にしなければいけないというモチベーションを持って取材してきた」と振り返った。

 裁判などを通じてメディアの報道姿勢に疑問を抱いたと小山氏は言う。
「国が否定する被害は書いてはいけないという暗黙のルールが報道機関にある。ジャーナリズムとして本当に正しいのかとすごく感じた。私の本への反響が大きかったのは福島原発事故の自主避難者の方たちです。被害にあったのに国は認めず支援がないとメディアに訴えてもなかなか報じてくれない、黒い雨被爆者と共通しているという。公的機関が認めないことを書くのは怖いし、大変だが、被害を訴える人の立場で私は書くべきだと思います。それがよりよい社会を築くことにつながるのではないでしょうか」

 原爆問題を継続して取材したいという理由で毎日新聞を退職。フリーランスのジャーナリストとして広島、長崎の被爆者取材、講演、雑誌・ネットメディアへの執筆など精力的に活動している。2冊目の本の出版も視野に。
「フリーは向いている」と明るく語る小山氏は手ごたえ感じる日々を過ごしている。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号

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2023年11月27日

【23年度JCJ賞記念講演】悪化進む貧困状況 中高年から若年層へ 女性の困窮も深刻化 雨宮処凛さん語る

                       
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  2006年、フリーター労組のメーデーデモで聞いた「生きさせろ!」の叫びから貧困問題にかかわり17年。当時、1600万人だった非正規雇用は、いまでは2100万人です。
 07年に反貧困ネットワークが結成され翌年暮れの年越し派遣村に505人が来ましたが、うち女性は5人。コロナ1年目の職を失った人の相談会では344人の相談者の2割近い64人が女性でした。
 今は相談者の3割がネットカフェなどにいます。派遣村の時は中高年の男性が多かったが、いまは男女ともに若い人たちが増えました。

コロナ禍で激増
 3年前立ち上げた「新型コロナ災害緊急アクション」という恒久的なネットワークにはこれまでに2000件くらいのSOSが来ました。いまも来ています。
 相談者は10代から30代が6割です。派遣村の時と違い、今はホームレス化がカジュアルになって、家が無くてもあせらない。あせるのは携帯が止められた時。携帯が無いと仕事も探せません。
 電話がきて「こちらに来てください」といっても電車賃がない。駆けつけてお金を渡し、近くの安いホテルを探してから、区役所に生活保護申請をすることになります。
 都内での炊き出しや食品配布でも、コロナ前は50〜60人でした。それがコロナでどんどん増えて、今年5月には750人ぐらいが並びました。コロナ前は、近隣の中高年のホームレス状態の人が並んでいたが、今は子連れのお母さんや若いカップルとか様々な人が来ます。コロナ後はずっと600人ぐらいの人が来ています。

命をつなぐ携帯
 携帯が止まっている人には2年間、無料で携帯を貸し出しています。でも、それは一部の人だけ。今は不動産の契約も固定電話より携帯の番号を求められる。一度携帯が止まると元に戻れない。
 生活保護を受けても、パートを始めるにも携帯が無いと不動産を契約できない。すると携帯を持ちたくても、住所がない持てない。同じところをぐるぐる回っている。
 今の日本では経済危機や災害、感染症流行など何かあると家を奪われるなど生活が破壊される人が一定数いて、どんどん増えています。

貧困報道の貧困
 この10数年の貧困報道は、表面に現れたものがブームになり、それが消費されて終るという感じをうけます。17年も現場にいると、取材に来る人も代わっていく。もちろん継続的に取材をしている人もいるし、新人を連れてきて一から教えるような人もいますが、一般的に継続されていない。貧困報道がどんどん「貧困」になっている気がします。
 今はこの社会は間違っているから変えようという正面突破と、こんな社会は間違っているから自分たちで勝手にやろうという二本立てでやっていきたいと考えています。
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年10月25日号
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2023年09月14日

【2023年度 第66回 JCJ賞贈賞式と記念講演】9月23日(土)13時から東京・全水道会館〈zoomで生中継をご覧いただけます〉

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 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年で66回を迎えます。
本年度は8月31日の選考会議を経て報道発表をさせていただき、9月23日(土曜)13時から全水道会館・4階大会議室にて贈賞式を執り行います。記念講演と併せオンラインでの参加が出来ます。
 贈賞式に先立つ記念講演にはジャーナリスト作家であり反貧困への取り組み等多彩な活動を続けておられる雨宮処凛さんをお迎え。注目の贈賞式では受賞者のスピーチをリアルタイムに聞くことが出来ます。

■記念講演テーマ:貧困問題とジャーナリズム(仮題)
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■講演者プロフィール:雨宮 処凛(あまみや かりん)
1975年、北海道生まれ。
作家・活動家。フリーターなどを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。2006年からは貧困問題に取り組み、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(2007年、太田出版/ちくま文庫)はJCJ賞を受賞。
著書に『非正規・単身・アラフォー女性』(光文社新書)、『相模原事件裁判傍聴記「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』(太田出版)、『生きのびるための「失敗」入門』(河出書房新社)など多数。2020年以降のコロナ禍では、「新型コロナ災害緊急アクション」メンバーとして生活困窮者の支援に取り組む。その活動をまとめた著書に『コロナ禍、貧困の記録 2020年、この国の底が抜けた』(かもがわ出版)がある。最新刊は『学校では教えてくれない生活保護』(河出書房新社、2023年1月出版)。

■開催日時:9月23日(土)13:00〜17:00(zoomにてオンライン、終了後動画配信アリ)

■オンライン参加費:800円 
 ※JCJ会員の方、通常の〈JCJ Online講演会〉は無料で参加出来ますが当会へのオンライン参加は800円となります。

 ※参加希望の方はPeatix受付ページ(https://jcjaward2023.peatix.com)、から参加費をお支払いください。

■贈賞式会場へのリアル参加をご希望の方:会場は水道橋の全水道会館・4階大会議室となります。
リアルでの参加費はJCJ会員、非会員共に 1000円。メールで来場予約をしていただき、会場受付でお支払下さい。

■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
    
■オンライン参加に関するお問い合わせ:jcj_online@jcj.gr.jp

■会場参加に関するお問い合わせ:office@jcj.gr.jp

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2023年09月08日

【2023年度 JCJ賞】鈴木エイト氏の2冊の著書を大賞に。『自民党の統一教会汚染─追跡3000日』『自民党の統一教会汚染2─山上徹也からの伝言』(共に小学館)

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は6日、2023年度のJCJ賞受賞作を発表した。
 大賞は、統一教会の実態と自民党との関係を、20年の長きにわたって取材し、統一教会との孤独な闘いを続けてきたフリージャーナリスト・鈴木エイト氏の活動及び著作に対し贈賞となった。
 そのほかに5点が、JCJ賞に選定された。受賞作は以下の通り。

●琉球新報社の<台湾有事の内実や南西諸島の防衛強化を問う一連の報道>
●小山美砂『「黒い雨」訴訟』(集英社新書)
●琉球朝日放送の<命(ぬち)ぬ水(みじ)─映し出された沖縄の50年> 
●NHK Eテレの<ルポ死亡退院─精神医療・闇の実態> 
●NHK Eテレの<市民と核兵器─ウクライナ 危機の中の対話>

 贈賞式は9月23日(土) 13〜17時、 東京・全水道会館4階大会議室(JR水道橋駅・東京より北口下車) 、詳細はhttps://jcj.gr.jp/future/6783/ をクリックして把握してください。
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2022年11月21日

【23年度JCJ賞記念講演】法政大・上西充子教授 信頼される報道とは 政治は「津波」とは違う 事態は行動で変えられる 時機をとらえ問題提起を 言葉づかいにも疑問=須貝道雄

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 報道は「事実」を伝えるのだとメディアの人は言います。でも伝える事実を選択しています。たとえば2015年、安保法制が国会で議論されていた時、SEALDs(シールズ)の学生デモを初めのうちはあまり注目せず、大きく盛り上がってから報じていました。
 伝える際の言葉遣いも疑問です。ニュースの見出しに「与党、菅首相答弁減らし成果 野党追及は決定打欠く」(2020年12月4日)とありました。「成果」って誰の評価ですか。「決定打欠く」は、野党はくだらないという印象を強める言葉です。

野党も権力監視を

 また報道は「権力監視のため」といいますが、権力監視の役割を担うのは報道だけではありません。野党も権力監視をしている。その内容を伝えていますか。党首に詳しく話を聞いてオピニオン欄に載せてもいいはずです。権力監視のために発信している市民の活動もあまり報じていません。
 国会の質疑でわざと論点をそらす答弁が、私のツイート(18年5月6日)がきっかけで「ご飯論法」として話題になりました。「朝ごはんは食べなかったんですか?」という質問に「ご飯は食べませんでした」と答え、パンを食べたことは黙って隠す答弁の仕方です。
 こうしたやり取りをどう報じたらよいか。首相は「ご飯は食べなかった」と述べるにとどめた、と書くとする。とどめるって、そのほかに何があるのか不明です。首相は「ご飯は食べなかった」と答弁し、パンについては言及を避けた、ならわかりやすくなります。

勝手に既成事実化

 決まっていないことをメディアが既成事実にしてしまう例が、東京五輪組織委員会の会長人事でありました。森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任(21年2月)した際、各紙は「後任に川淵氏」「川淵氏を後任指名」などと報じました。森氏の指名により、川淵三郎氏が次期会長に決まったかのような報道で、ジャーナリストの江川紹子さんはツイッターで疑問を示しました。
 森氏が指名しても、理事会で決めなければ人事は確定しないと記事では説明しますが、末尾で「後を託す形となった」「禅譲劇もまた『密室』で幕を閉じた」と結び、記者が幕を閉じてしまっています。でも川淵さんは会長になりませんでした。
 ここで言いたいのは、政治は津波とは違うということです。津波は押しとどめられませんが、政治の津波は報じ方次第で、世の中の人々の行動によって、止められます。そこで大事になるのがタイミングをとらえた問題提起です。

 2020年5月、「#検察庁法改正案に抗議します」という笛美さんの声がツイッター上で広がり、500万回以上ツイートされました。「文春砲」の報道とも重なり、法案は見送られました。
事態の進行中に、読者・視聴者が問題を理解し、関与できる報道のあり方をもっと工夫してほしい。適切な見出し、一目でわかるインフォグラフィックス(情報の視覚的表現)など考えていただきたい。国会の本会議で法案が通る直前に問題点を報道してもタイミングが遅く、事態を変えることはできません。
 「野党は反発」という書き方も矮小化した表現です。誰がなぜ批判しているのか、その様子をきちっと伝えれば、世の中も反応します。「国会は茶番」と語られ、国会質疑は無意味だと人々が見るようになれば、喜ぶのは政府でしょう。人々の判断力を信頼し、それに資する報道を期待したいです。  
須貝道雄
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号
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2022年09月15日

【お知らせ】第65回JCJ賞贈賞式・記念講演 9月24日(土)午後1時から5時まで 会場・東京の全水道会館・4階大会議室からオンライン配信 記念講演「何のために報じるのか」講師:上西充子・法政大学キャリアデザイン学部教授

 「何のために報じるのか」。ジャーナリストの皆さんはこの問いに何と答えるでしょうか――。法政大の上西充子教授は根源的な問題を提起する。
 「『知る権利』に応えるため」? けれど、「知る」ことの先に何を想定しているでしょうか。それとも、「事実を伝えるため」? とはいえ、伝える事実も選択されています。あるいは、「権力監視のため」? けれども、権力監視はジャーナリストだけが独占的に担うものではありません。国民も権力監視を行います。そのために必要な情報を報道は伝えているのか。
 以上のような考察をする上西さんが、報道に携わる人たちに託す期待、願いとは何か、講演でたっぷりと語っていただく。

【上西充子さん・略歴】法政大学キャリアデザイン学部教授。専門は労働問題・社会政策。国会審議を解説つきで街頭上映する国会パブリックビューイングを2018年6月に始めた。「ご飯論法」で2018年の新語・流行語大賞トップテンを受賞。著書に『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、『国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み』(集英社クリエイティブ)、『政治と報道』(扶桑社新書)など。

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年で65回を迎えました。8月31日の選考会議において、次の6点を受賞作と決定いたしました。
【JCJ賞大賞】    1点
● 映画「教育と愛国」 監督・斉加尚代
【JCJ賞】      4点(順不同)
● 「土の声を『国策民営』リニアの現場から」 (信濃毎日新聞) 
● 風間直樹/井艸恵美/辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』  東洋経済新報社
● 北海道新聞社編『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』 北海道新聞社
● 「ネアンデルタール人は核の夢を見るか〜“核のごみ”と科学と民主主義」 北海道放送
【JCJ特別賞】    1点
● 沖縄タイムス社と琉球新報社
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【9月24日は受賞者によるスピーチがあります。取材や企画で考えたこと、苦労したことなど毎回、スピーチの内容は濃く、参加者に感銘を与えています】
参加費:会場参加(30人まで・要予約)は1000円、オンライン参加は800円
・会場参加お申込みの方はJCJ事務所に下記メールかファクスで。先着順。参加費の支払いは当日、会場でお願いします。  office@jcj.gr.jp   ファクス03-6272-9782
・オンライン視聴をお申込みの方は下記URLをクリックし、Peatixを通じてお手続きをしてください。https://jcjsyou.peatix.com/
・お問い合わせは onlinejcj20@gmail.com まで。
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ) https://jcj.gr.jp/index.html


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2022年09月05日

【65回JCJ賞決まる】JCJ大賞 映画「教育と愛国」 JCJ賞4点 特別賞1点 24日(土)午後1時から東京・全水道会館で贈賞式

日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年で65回を迎えました。8月31日の選考会議において、次の6点を受賞作と決定いたしました。

【JCJ賞大賞】    1点

映画「教育と愛国」 監督・斉加尚代

【JCJ賞】      4点(順不同)

「土の声を『国策民営』リニアの現場から」 信濃毎日新聞  
風間直樹/井艸恵美/辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』  東洋経済新報社
北海道新聞社編『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』 北海道新聞社
「ネアンデルタール人は核の夢を見るか〜“核のごみ”と科学と民主主義」 北海道放送


【JCJ特別賞】    1点

沖縄タイムス社と琉球新報社


JCJ賞 贈賞式:9月24日(土) 13:00〜 全水道会館・4階大会議室(東京・水道橋)

2022年JCJ賞贈賞作品一覧

【JCJ賞大賞】    

● 映画「教育と愛国」 監督・斉加尚代

 大阪の教育現場で長く取材してきた斉加尚代ディレクターが、2017年にMBSで放送した作品に追加取材をして再構成したドキュメンタリー映画。小学校の道徳教科書で「パン屋」が「和菓子屋」に書き換えられる。滑稽な書き換えだが、斉加は沖縄戦での集団自決について「軍の強制」が削除された問題とつながると感じた。ほとんどの出版社から取材を断られながら、「新しい歴史教科書をつくる会」を支持する立場の伊藤隆・東大名誉教授のインタビューを実現。「歴史に学ぶ必要はない」という、歴史学者としてはあるまじき発言に衝撃を受ける。教育への政治介入が強まる中で、教科書から史実が消える。5月の公開から2か月で、2万7千人が映画館に足を運んだ。教育への危機感が広がっている。

【JCJ賞】      

● 「土の声を『国策民営』リニアの現場から」 信濃毎日新聞 

 日本列島の中央部の自然体系と地形、風土を大きく傷つけながら強行されているリニアモーターカー建設プロジェクト。現下で総工費約7兆円のうち約3兆円を政府が財政投融資で貸し出すという、「国策民営」の事業だが、長野など関係県や市町村にも大きな負担を押し付けられている。その必要性、有効性からも、「21世紀最大の無駄プロジェクト」に対しては、地元住民などの根強い反対運動が続く。86%がトンネル工事の同プロジェクトでは、残土の処理や運搬など「土」の処理が、大きな課題になっている。この「土」に焦点をあてながら、報道機関がとかく及び腰だったリニア問題に、正面から本格的に切り込んだ本企画は、斬新でインパクトが大きい。

● 風間直樹/井艸恵美/辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』 東洋経済新報社

 この闇の深さに慄然とさせられる。日本は精神疾患の患者数が400万人を超え、精神病床入院患者数約28万人、人口当たりでも世界ダントツ。そして日本の精神病院特有の強制入院制度「医療保護入院」がある。この実態を、東洋経済調査報道部メンバーが丹念に取材した。問答無用の長期入院、DVの夫の策略による入院、40年も退院できなかった男性、向精神薬の薬漬け、「一生退院させない」とおどされてパイプカットした男性、密室での虐待横行……など、家族のしがらみをも利用し、人権のかけらも見られない報告は生々しくおそろしい。少し広げて福祉行政問題にも言及がある。深刻な事態が予想される認知症急増という現在の日本に、警鐘を大きく打ち鳴らす一冊。

● 北海道新聞社編『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』 北海道新聞社

北方領土返還問題に関する安倍政権の日ロ交渉はこの上ない稚拙外交そのものであった。
 本書は、従来の「四島返還」から歯舞・色丹の2島返還に独断で舵を切ってしまい、あげくプーチンに手玉にとられた安倍対ロ外交を7年以上にわたって追った地元紙の記録である。                                           
 交渉の背景に見えてくる米ロ関係の悪化、ロシアのクリミア支配、連繋の深まる中ロ関係、ロシアとその周辺諸国との領土交渉の経緯等々、日ロ交渉を考えるうえでのさまざまな要素を含め、広く深く取材と分析をしている。未発表の証言の掘り起こしやロシア周辺諸国の動向への目配りも光る、北方領土問題の全貌を理解する上での必読の書である。

● 「ネアンデルタール人は核の夢を見るか〜“核のごみ”と科学と民主主義」 北海道放送

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみ。北海道寿都町と神恵内村で、全国初の核のごみに関する文献調査が行われている。人体に影響がない放射線量になるのは10万年後とされる。今から10万年前はネアンデルタール人がいた時代だ。彼らは核の夢を見ただろうか。私たちは10万年先まで安全に核のごみを管理できるのか。「迷惑施設」を地方に押し付ける構図は原発や米軍基地とも通じる。しかし、道内のテレビや新聞は交付金目当てに調査に応募した町長や反対派住民の動きを中心とした報道に終始している、この番組は、本来、国全体で議論すべき問題が地方に押し付けられている構図を鮮明にし、一人ひとりが考えるべきだとのメッセージを発信している。

【JCJ特別賞】    

● 沖縄タイムス社と琉球新報社

 沖縄タイムス、琉球新報の2紙は、ことし復帰50年を記念して、タイムスは「防人の肖像」、「50歳の島で」の企画などで、また新報は「沖縄の日本復帰50年の内実を問う」の特別号などで、ともに復帰50年を迎えた沖縄の基地の現実と、人々の生活を詳しく報道した。県内に2紙が併存するという、厳しい経営状況の下で、真実の報道を求めて切磋琢磨する2紙の活動は、日本の民主主義のために極めて重要である。
 2紙はこれまで戦後77年の日本で、米軍統治下での闘いを含め、県民の人権と日本の民主主義のために、絶えざる報道と評論活動を続けてきた。その活動は、日本のジャーナリズム全体の中で特筆されるべき成果を生んでおり、その果たした役割は極めて大きく、本土の新聞が教えられ、手本とするものでもあった。
 特に、「再び戦争のためにペン、カメラ、マイクをとらない」をモットーに活動してきたJCJとして、「反戦」を明確に掲げる沖縄2紙の活動は、特に頼もしいものでもある。
JCJは沖縄復帰50年に当たり、2紙のこの間の活動の努力と成果に対し、JCJ特別賞を贈り表彰する。
日本ジャーナリスト会議(JCJ)
  事務局長 須貝道雄 
JCJ賞推薦委員会 大場幸夫  

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2021年11月25日

【21年度JCJ賞贈賞式記念講演】「私と沖縄」矛盾しわ寄せの島 TBS報道局 佐古忠彦さん

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2017年から沖縄のドキュメンタリー映画を3本続けて作りました。TVの世界で長くやってきましたが、TVとは違った古くて新しい世界が映画にはあると感じています。
なぜ、沖縄なのか、私が沖縄に通い続けて四半世紀を超えています。TBSのニュース23、かつて筑紫哲也さんがキャスターをしていた番組に私も参加していました。筑紫さんは記者として沖縄への眼差しを持ち続けた人で、「沖縄から日本が見える、その矛盾がつまっている」と話していました。米軍が起こした交通事故で息子を失った父親が日米地位協定の壁に立ち向かい訴訟を起こした問題を取材したことなどから、私も沖縄へ深く関わるようになりました。そしてなぜ沖縄の今があるのか、という意識からどんどん過去の歴史を遡っていくようになりました。安全保障の問題は、イデオロギーになりがちですが、実は生活の問題で、主権国家としての振る舞いが問われている、その矛盾が一番押しつけられているのが沖縄です。
米軍統治下の政治家・瀬長亀次郎、カメジローの不屈の闘いを描いた番組は最初深夜の時間帯に放送されました。翌朝、視聴者からの反応の大きさに驚きました。今度は違った形で全国に届けたいと映画化に踏みきりました。映画館に多くの人が集まってくれたのを見て、涙が出そうになりました。

2作目はカメジローの230冊の日記をもとに、主権を取り戻して日本に還るための奮闘を描きました。辺野古への基地移転問題など、政府は、今も沖縄の民意に向き合おうとしていません。最近も埋め立ての土砂を、沖縄戦の犠牲者の遺骨が眠る南部から運ぼうとしています。戦時中最後の知事として送り込まれた島田叡についての映画は、その沖縄戦に立ち返った作品です。内務官僚として軍とともにする立場にあった島田が、最後に「個」として「人間」として何をしたのかを描きたかったのです。島田は全体主義に「個」が押しやられる中で、最後に「個」に自らが向き合うことができたのではないか。この映画をリーダー論としても見ていだだけると思います。
そしてカメジローもまた「個」の大切さを訴え、「個」の力が積み上げられて沖縄ができていた、と信じていたのです。民主主義とはどういうものか、沖縄がそれを示しているのではないか、私はこれまでと変わらない視点を持って、やっていきたいと思います。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年10月25日号
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2021年11月05日

【JCJ賞情報】第64回JCJ賞贈賞式開く ジャーナリズムの本流太く

 日本ジャーナリスト会議は9月25日、東京・文京区の全水道会館で第64回JCJ賞の贈賞式を開いた。今回は外国人労働者の使い捨て、入国管理制度の人権無視を世に問うた2作品がJCJ大賞に輝いた。スリランカ人女性が入管施設で非人間的な扱いを受け死亡する事件が3月にあり、日本の人権状況が国際的にも懸念される中で、徹底した取材で問題を掘り起こした2作品が高く評価された。
 式では今年4月にJCJ代表委員になった山口昭男さん(元岩波書店社長)が開会あいさつをした。1955年に創設されたJCJの歴史に触れ「初代の議長は『世界』編集長の吉野源三郎氏だった。故郷へ帰ってきたなという感じだ。55年の頃と比べると今はジャーナリズムが劣化したと思わざるを得ない状況だ。しかし今回の受賞作を見ると、いやそんなことはない」と期待を示した。評論家・加藤周一氏から若いころに聞いた言葉を引用しながら「小さな流れ(マイノリティ)かもしれないが、歴史の中の本流を行っている。どんどん太い流れになることを願う」と受賞者にエールを送った。
 続いて映画「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」などを制作したTBS報道局の佐古忠彦さんが「私と沖縄」のテーマで記念講演。JCJ賞選考委員の藤森研さんによる講評の後、賞状の贈呈と受賞者のスピーチに移った。
 JCJ賞では、ETV特集「原発事故最悪のシナリオ=`そのとき誰が命を懸けるのか」でNHKディレクターの石原大史さん、「菅義偉首相 学術会議人事介入スクープとキャペーン」で、しんぶん赤旗編集局長の小木曽陽司さん、映画「標的」で監督の西嶋真司さん、特別賞で故・俵義文さん(『戦後教科書運動史』著者)のご家族、高瀬芙由美さんと、子どもと教科書全国ネット21代表委員の鈴木敏夫さんが思いを語った。
 JCJ大賞となった『ルポ 入管―絶望の外国人収容施設』(ちくま新書)の著者、平野雄吾さんは共同通信エルサレム支局長で、ビデオメッセージを寄せた。同じく大賞のキャンペーン連載「五色(いつついろ)のメビウス ともにはたらき ともにいきる」では信濃毎日新聞報道部次長の牛山健一さんが取材の経緯などを話した。
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年10月25日号
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2020年11月16日

第63回JCJ賞贈賞式開く 各受賞者 取材への思い語る=須貝道雄

 日本ジャーナリスト会議は10月10日、東京都千代田区のエデュカス東京で第63回JCJ賞の贈賞式を開いた。安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道でJCJ大賞となった「しんぶん赤旗」日曜版の山本豊彦編集長のほか、4人のJCJ賞受賞者が取材に挑んだ思いをスピーチした。
 式ではJCJの選考委員が各受賞作を紹介した。『証言 沖縄スパイ戦史』(三上智恵さん=集英社新書)では、酒井憲太郎さんが「沖縄戦を引きずり、今もあの空間を生きている元少年兵の証言が圧巻だった」と述べた。『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(吉田千亜さん=岩波書店)では、伊藤洋子さんが「約70人の消防士を丁寧に取材している。東電や国の対応のひどさに気づかされる」と指摘。
  森友問題で自殺した財務省職員の遺書を『週刊文春』で公開した赤木雅子さんと相澤冬樹さんについて、藤森研さんは「勇気と信頼に基づいた二人の共同作業だったと思う」と結んだ。北海道放送「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に」(長沢祐さん)では、石川旺さんが「プラカードを持つ女性を排除するため『お茶飲む?買ってあげるよ』と言葉をかける女性警察官の姿に、命令に従うだけの平凡な人が巨大な罪を犯してしまう、元ナチスの戦犯・アイヒマンの『凡庸な悪』と重なった」と語った。
 「しんぶん赤旗」日曜版のスクープでは、諌山修さんが「当初、多くの新聞が『桜を見る会』の問題を無視する中、ツイッターやテレビのワイドショーで燃え上がった」とメディア状況の変化を強調した。
 一方、選考委員の鈴木耕さんは賞全体の講評をした。今回のJCJ賞には新聞23点、出版33点、放送37点、映画3点の応募があった。そのうち選に漏れた作品をいくつか取り上げ、解説した。
 新聞では北海道新聞の「道警ヤジ排除問題」追及報道。北海道放送の作品と重複するため、どちらを選ぶかの議論の末に放送に決まった。毎日新聞の「NHKかんぽ不正報道への圧力に関する一連の報道」はNHKの報道機関としての資格を問う奥深い内容だった。出版では『かくされてきた戦争孤児』(講談社)が力作。85歳になる著者の金田茉莉さん自身が戦争孤児で、コツコツと拾い集めた孤児の証言は「胸に迫る」と評した。
 放送では沖縄テレビ放送の「サンマ デモクラシー」が出色だった。米軍統治下の沖縄で、キャラウェイ高等弁務官が大衆魚のサンマに課税した。魚屋のおかみさんが1人で立ち向かい、裁判で課税撤回を勝ち取る様を描いた。
 今年の贈賞式は新型コロナウイルス感染防止のため、関係者のみで開催し、その模様はライブで配信した。     
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号

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2020年09月10日

【2020年度第63回JCJ賞】 大賞はしんぶん赤旗日曜版 桜疑惑のスクープ報道=JCJ賞選考委員会

【JCJ大賞】 <安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道> しんぶん赤旗日曜版
 しんぶん赤旗日曜版は2019年10月13日号で、桜を見る会に首相の地元山口の数百人の後援会員を大量招待していた事実をスクープした。参加者の証言をもとに、安倍事務所が取り仕切り、高級ホテルで開いた前夜祭に山口の参加者を招待、税金でもてなした疑惑を告発。政権与党にも招待数を割り当てていた実態を明らかにした。この記事を契機に田村智子参院議員が国会で追及し、「桜」疑惑が一気に国政の重大課題に浮上。地道な調査報道を重ね、安倍政権の本性を明るみにしたスクープは国政、メディアに大きなインパクトを与えた。

【JCJ賞】
 ●三上智恵 『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)  
 終戦末期の沖縄、中野学校出身者の指揮のもと、二つの「護郷隊」が諜報、防諜、宣伝、謀略の秘密戦を戦った。著者は映画「沖縄スパイ戦史」完成後も徹底取材を継続敢行した。少年ゲリラ兵、その隊長たち、全国で準備された住民による遊撃戦、地上戦の恐怖、虐殺者たち、軍の「戦争マニュアル」に至る、長く封印されてきた凄まじい証言ばかりである。ここに沖縄戦−国内唯一のゲリラ戦が浮かび上がる。そしてこれは現代への鋭い警告である。

 ●吉田千亜『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)
 2011年3月11日の巨大地震につづく福島第一原発の爆発。「おきるはずのない」事故がおきた。著者は、これまで報道されず記録もされていなかった現地消防士たちの必死の活動(住民避難誘導、救助活動、原発内の火災・給水活動等)を1年かけて克明に取材。刻々と変化する事態を追いつつ、125名中66名から聞き取ったエピソードを組み込んだルポルタージュが胸に迫る。事実の恐ろしさ、国と東電の後手後手で杜撰な対応を告発

 ●「 森友問題で自殺した財務省職員の遺書の公開 」赤木雅子 相澤冬樹
 森友問題での安倍首相の「私や妻がかかわっていれば首相も議員も辞める」との答弁をきっかけに、当時の財務省佐川宣寿理財局長は公文書改ざんを指示する。改ざんを強要された近畿財務局職員赤木俊夫さんは抗い、経過を克明に「遺書」として残してくれた。それは妻雅子さんの決意とジャーナリスト相澤冬樹氏によって白日の下に曝された。断罪されるべき相手は明らかだ。改ざん事件発覚後、安倍政権による国の私物化の責任はまだ誰も負っていない。

 ●「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に〜」 北海道放送
 2019年7月の参議院選の時に札幌で自民党の応援に入った安倍首相に、ヤジを飛ばした男女や無言でプラカードを掲げようとした人たちが警官に取り囲まれて排除された。番組では当時の映像を集め、元警察官や専門家、治安維持法違反で投獄された方などに問題点を聞き多角的に検証。特に撮影された現場の警察官の対応は命令に盲目的に従って権力行使をする末端という問題点を明瞭に映像化した。ヤジすら言えない社会の先に民主主義が問われていると警鐘を鳴らす。

なおJCJ賞の贈賞式は10月10日(土) 14:00〜 エデュカス東京(東京・麹町)で行います
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2020年04月13日

【JCJ賞情報】2020年度(第63回)日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)─応募と推薦のお願い

2020年度(第63回)日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)
応募と推薦のお願い


 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、年間のすぐれたジャーナリズム活動を顕彰するため、1958年以来「JCJ賞」を設け、贈賞してきました。今年は63回となりました。
 今年度も優れた労作の多数応募を願っています。そして今年度は今後の活躍と期待を込めて新人賞を設けました。自薦・他薦によって応募といたします。入賞作には賞状と記念品が贈呈されます。
 ただし、今回のJCJ賞は、コロナ禍問題の影響により、JCJ賞の選考作業や贈賞の公表日が流動的にならざるを得ません。大幅な先送りもあり得ますことをお含み置きください。

■日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)募集規定
〈募集ジャンルと応募資格〉
 新聞、放送、出版、写真作品のほか、市民運動や地域活動なども含み、個人・グループを問いません。
 提出期限までの1年以内に発表された作品 (連載の場合は同期間に発表) を対象とします。

〈提出条件〉
郵送または宅配便で下記、提出先にお送りください。
◆書籍の場合はその現物1冊。放送作品はビデオ、DVDを1本。
◆雑誌、新聞の場合は、その掲載部分をコピー(カラー写真を含む場合はカラー複写)1セット。
※1作品に1枚、エントリーシートを必ず同封してください。特に連絡先担当者、電話、メールアドレスは必ず明記してください。FAX、メールによる送稿は受け付けません。エントリーシートはJCJ事務所に常備しますが、ここに添付のPDF版も活用してください。
●2020年JCJ賞エントリーシート.pdf

〈提出期限〉
 ◇新聞、出版作品は5月22日(金) 
 ◇放送・その他の作品は5月29日(金)

〈提出先〉
  〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-18-1 千石屋ビル 402号
  日本ジャーナリスト会議 「JCJ賞」 応募作品係 (赤で目立つように表記)

※ 応募作品は返却しません。選考経過、選考理由などについてのお問い合わせには応じません。
※ 選考結果は7月中旬に主要新聞に発表するほか、JCJホームページに掲載します。
●なお今回、コロナ禍の影響のため選考作業、贈賞の公表日については、通年よりも大幅に先送りになる可能性があります。お含み置きください。

〈選考委員〉 (50音順・敬称略)
諌山 修(ジャーナリスト) 石川 旺(上智大学名誉教授) 伊藤洋子(元東海大学教授) 酒井憲太郎(フォトジャーナリスト)  鈴木 耕(編集者)  藤森 研(元朝日新聞論説委員)

〈問い合わせ先〉 JCJ事務所:電話 03-3291-6475 (月、水、金曜日の13時より18時まで)
         Eメール:office@jcj.sakura.ne.jp
                      
2020年4月13日
                日本ジャーナリスト会議
JCJ事務局長  須貝道雄
JCJ賞推薦委員会統括責任者  大場幸夫
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2019年12月09日

【JCJ賞見る会】山形放送「想画と綴り方〜戦争が奪った子どもたちの心〜」 戦時中の教育弾圧に焦点

 大学の教室のスクリーンに映し出されるTVの映像。そこには、昭和の初期に農村で働く人たちの姿を克明に描いた絵が次々に映し出され思わず見入ってしまう。絵を描いたのは山形県の小学生だ。           
 自分の身の回りをありのままに描く「想画」の実践が行われた山形県の小学校、しかし指導にあたった教師は治安維持法で検挙されてしまう。番組は戦時中の教育弾圧を掘り下げ、「今」に警鐘を鳴らす。

 山形放送が制作したドキュメンタリー「想画と綴り方〜戦争が奪った子どもたちの心〜」は2019年度のJCJ賞を受賞した。この作品を見る会が10月末、立教大学メディア社会学科の砂川浩慶教授のゼミなどが主催して開かれた。会場には、番組制作の責任者の伊藤清隆報道制作局長も招かれ、番組視聴後に学生も加わり、意見を交わした。視聴者と制作者が一体となった空間というのは実はとても嬉しいもので、伊藤さんには緊張感だけではなく笑顔もこぼれていた。

 伊藤さんはこの番組を思い立った契機について、おととし安倍政権が強行に成立させた共謀罪が、戦前の治安維持法に似ているのではないかという危機感、さらにその頃、地元山形で「想画」を本にまとめようという当時の小学生たちの活動を知ったことをあげる。
 「想画」をテーマに共謀罪の恐ろしさ、そして忖度や同調圧力が強まり閉塞感に覆われている今の社会に、「釘一本を打ち込む」番組を制作したいと考えたという。そして戦争を再び起こさないということが報道の一丁目一番地であり、だからこそ昭和の戦争の記憶を令和の時代にどう伝えていけるのかを問い続けていると、静かに決意を語った。

 砂川さんに言わせれば、学生たちがいま一番接しているのはツイッターということだが、その砂川ゼミの学生からの「小中高では与えられたテーマに模範的に回答していたので、好きに書いて、と大学で言われた時、戸惑った」の声に伊藤さんはこう答えた。
 「模範的は忖度や空気を読むことにつながる、何を表現するのか、まず自分と向き合い自分の心のうちと、取り巻く世界をどう表現していくのかを考えて欲しい」と励ましのエールを送った。

古川英一

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
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2019年10月13日

【JCJ賞講評】 受賞逸した9作品を紹介 重大問題に切り込む=伊藤洋子選考委員

本欄では最終選考に残った14件中受賞した5作品を除く9作品を紹介する。

「奴隷労働―ベトナム人技能実習生の実態」花伝社 巣内尚子

 ベトナム政府の労働力輸出政策と日本政府の労働力輸入政策が生じた「技能実習制度」により、多額の借金と長時間・低賃金に縛られる奴隷労働を生みだした。その実態を140人余りの人々の声からあぶり出した労作である。

「未和 NHK記者はなぜ過労死したのか」岩波書店 尾崎孝史

 31歳で急死したNHK報道記者の事件は過労死認定されるが、NHKは死後4年間隠蔽する。取材から浮かび上がるのは巨大組織の理不尽さであり、安倍晋三政権による働き方改革の空しい実態である。

「紛争地の看護師」小学館 白川優子

「国境なき医師団」の一員として紛争地へ派遣され、被害者たちが抱える怒りを「私がそれを伝えなければ」と、自らの経験を記録。一時はジャーナリストを志した筆者は、見事なルポでその役割を果たした。

「安保法制下で進む! 先制攻撃できる自衛隊」あけび書房 半田滋

 戦争ができる国固めを推し進めてきた安倍政権の狙いが活写される。中核となる18大綱が導く日本とは「政治主導による軍事国家という未体験ゾーンに突入しつつある」ものと鋭く分かりやすい。

「捜査当局の顧客情報取得」を巡る一連の報道 共同通信社社会部取材班 共同通信社

 個人情報を網羅するポイントカードやクレジットカード情報が警察や検察の「捜査関係事項照会」なる内部手続きで日常的に取得され、捜査にフル活用されているという一連の報道は「監視社会化」への恐るべき警鐘である。

「公文書クライス〜ずさんな公文書管理の追求キャンペーン」毎日新聞社

 公用メールが官僚の恣意的判断で破棄され、メモをとるな、議事録を残すな、首相の面談記録は「不存在」とするなど公文書の扱いに独自の取材を重ねる中で、秘密国家への横行が明らかになっていく。

「行ってみれば戦場〜葬られたミサイル攻撃」名古屋テレビ放送

 湾岸戦争直前、米政権から自衛隊派遣要請を受けた日本政府は、民間貨物船を中東派遣船に。現地は戦場そのもの、実情を綴った船長報告書は無期限極秘文書とされた。この文書の発見をきっかけとして取り組んだ本作は当面する課題を突き付ける。

「法と恨(はん) 朝鮮女子挺身隊の戦後」北日本放送

 戦時中軍需工場だった富山市の不二越は朝鮮からの少女たちが働いていた。過酷な労働を経て、帰国しても誤解と偏見に悩まされ苦しみ続けてきた訴えに“もう一つの徴用工問題”が浮かび上がる。

首相官邸の情報隠しと取材拒否、記者攻撃に対する毅然としたジャーナリズム活動と、それを支えた新聞社 受賞対象:望月衣塑子記者と東京新聞編集局 

 東京新聞の望月記者の取材活動はいまや誰もが認めるところだが、ご本人が取材班の一員である「税を追う」キャンペーンを大賞として顕彰することにより、記者活動の成果を讃えることとした。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年10月12日

【JCJ賞受賞者挨拶】 福島原発事故直後の医師らの奔走と苦悩 NHK 鍋島塑峰ディレクター 教訓を生かせるか見たい

受賞にあたり、取材に応じて下さった医療関係者、諸先輩の顔が浮かび、番組作りに一緒に携わってくださった方々に感謝します。

私はディレクターとして2015年から3年間、福島局に勤務しました。福島で自分は何をテーマにし、取材するのか。その時、原発事故で避難する際、入院していた方々のうち亡くなった方が多くいることを知りました。事故直後に住民がどのように避難し、どうして命を救えなかったのか、国の被爆医療態勢はどうだったのか。それを最前線に飛び込んでいった医療者の目線で描こうと思いました。そして企画から放送まで3年がかかりました。

 現場に入った医師たちは鮮明に記憶していて、そこに体温を感じました。医師たちは学会でその体験を発表し、その中で泣かれる人もいたし、もっとできたのではないかと後悔の念を持つ人もいました。原子力安全神話の中で十分な準備はなく、そして自分のことではなく他人事だと思っていたのです。医師たちは、過去ではなく、今にも通じる問題としての認識を深め、国の医療態勢の充実を訴えています。

 番組の伝え方としては、医師たちが現場でスマホなどで撮影した3000枚の映像を元に時系列で伝える方法を取りました。事故直後には大手メディアは避難し、現地の記録はあまり残っていません。これに対し医療者は直後の映像を残していて、それは、歴史的にも価値があります。3000枚の一枚一枚に、そこから匂いが立ち上るような・・・それぞれの医師たちの記憶がこめられている写真をもとに、同じ時間、どこで何が起きていたのか、いわば横串にすることで、立体的に番組化していきました。

 国策としての原子力政策、国の責任は一体どこにあるのか。事故の教訓をどういかしていくのかを見続け、問い続けていきます。

10年、20年、50年後にも、原発事故の直後に医療の最前線で何が起きていたのか、教訓としてくみ取れるような記録を残していきたいという思いで番組を作りましたJCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年10月11日

【JCJ賞受賞者挨拶】 「想画」と治安維持法にスポット 山形放送・伊藤清隆報道制作局長 児童文学者の教育を活写

 2017年、「共謀罪法」が成立しました。戦前の治安維持法に似ていると言われます。

山形県の小学校で昭和初期、後の児童文学者国分一太郎が青年教師として想画と綴り方教育を実践しました。子供たちは貧困の中で生きる自分たちの暮らしを、豊かな表現力で描きました。

 ところが、この教育が治安維持法に違反するとして、国分は逮捕、投獄され、有罪判決を受けました。私たちはこの事実に光を当てれば、治安維持法と共謀罪法の関係を伝えることが出来ると考え、番組作りを始めました。国分の教育実践をどう映像化するかが課題でした。「民放なのに、良くこんなテーマを選んだね」と言われましたが、何とか骨太の番組にしようと取り組みました。

 私たちは、国分の教え子を訪ねて、取材しました。皆さんは90歳を超えていましたが、「素晴らしい先生に巡り合えた」と、国分の教育を昨日のことのように克明に記憶し、嬉しそうに語ってくれました。国分先生が突然教壇を追われことへの疑問を、今も胸に刻んでいます。

 共謀罪成立をきっかけに始めた番組制作は、今思えばギリギリのタイミングだったと考えます。この番組を放送したからと言ってテーマが終わった訳ではありません。共謀罪がどう運用されるかを、見落としてはなりません。

 ここプレスセンターは、ジャーナリズムの殿堂です。企画書では、忖度とか息苦しい時代の中で、伸び伸びと明るい表現の未来に向けて、ある歌を思いながら「釘を一本打ち込みたい」と書きました。その歌は、与謝野晶子の和歌です。「劫初(ごうしょ)より 造り営む 殿堂に 我も黄金の 釘ひとつ打つ」。

 「劫初」とは、「人間の営みの初め」という意味です。これからも、2本、3本と、釘を打ち続けたいと考えています。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年10月10日

【JCJ賞挨拶】 みんなのデータサイト・小山貴弓事務局長 暮らす地域の汚染に注目 国がやらないのは問題だ

原発事故で気になったのは、自分の地域がどの程度汚染されているか、だった。それを調べようと自分たちで測定器を調達し測定活動を始めた。2013年9月、それぞれ独自に測定した全国の「食品の放射能測定データ」を簡単に見られるように、WEBに「みんなのオープンサイト」をオープンさせた。現在北海道から九州まで31の測定室が参加、メンバーは約150人になる。

 土壌の一斉測定をやるべきだ、との議論が起きた。国は放射能測定地域を17都県と決めながら調べない。このままだと例えば放射性セシウムは半減期が来る。何とか自分たちでやろう、と2014年10月、プロジェクトをスタートさせた。

 マニュアルを作って、ウェブサイトで公開すると、協力者も増えた。全域の測定データは何より貴重だ、という激励の声も多くスタッフも感激。公開の方法を考え、結局、「みんなのデータサイト出版」が誕生した。

 問題なのは、多くの声もあるように、この調査を国がなぜしないのか、ということだ。

 チェルノブイリ事故では、土壌汚染マップは、「チェルノブイリ原発事故が招いた現在および将来の放射能汚染予測」という副題で2056年までの地図を見ることができる。いま、土壌測定をしないまま、原発は全国で再稼働に動いている。この本を広めて、この問題を知っていただきたいと思う。国が言ったから、有名な学者が言ったから、と鵜呑みにするのでなく、何が科学的な事実かを自分たちの手で調べ「市民力の発揮」と「市民科学の実践」に力を尽くしていきたい。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号

      
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2019年10月09日

【2019年度JCJ賞大賞挨拶】 「税を追う」キャンペーン東京新聞・鷲野史彦記者 米兵器購入で歪む防衛費 ローン苦と部品不足進む 

「税を追う」キャンペーンは2018年10月から始めた。初めにテーマを防衛費に絞ったのは、安倍政権のもとで防衛費が伸び、トランプ大統領からも米製兵器を買えという働きかけがあったからだ。

 最初に原稿にしたのは防衛費の「後年度負担」だ。兵器購入が増え、19年度の防衛予算は5兆円を超えている。実はそれに加え、後で払う5兆円の借金(後年度負担)があった。合わせて10兆円の出費だ。

それをどうわかりやすく伝えるか、家計に置き換えて考えた。年収に見合わない高級車を自動車ローンで買うようなものではないかと。そこから「兵器ローン」という言葉を私たちはつくり、後年度負担を説明した。ネットで反応がよく、国会でも取り上げられた。

米国が納入する武器部品に間違いが千とか2千とか、たくさんある。だが防衛省は文句を言ったことがない。これでいいのか、と怒った報告書を会計検査院が出していた。

なぜなのか、防衛省の当事者に記者が取材した。すると「昔、米国の国防総省に行ったところ、みな偉そうにしていて、電話にも全然出てくれないことがあった。米国にものを言っても仕方がないと、放っておいた」ということだった。こうしたエピソードを重視した。

自衛隊OBから実名で話を聞くことにもこだわった。そこで知ったのは飛行機の「共食い」だ。F15はスクランブル発進をする大事な戦闘機だが、1機のエンジンが故障すると、部品が足りなくなる。どう直すかというと、別のF15のエンジンを外して、付け替える。米製兵器をたくさん購入する中で、自衛隊にお金が不足していた。稼働率に関わる機密情報ながら、関係者が言わざるを得ないほど、予算の使い方に問題があることがわかった。

19年度防衛予算に絡み、国内企業に払う部品代が1兆円から2兆円不足するという情報も取材班に寄せられた。米国からFMS(対外有償軍事援助)での兵器調達が急増したためだ。国内企業への部品代金支払いは待ってもらうという話が進んでいた。スクープで報じ、この試みはつぶれた。年内をめどにキャンペーンを本にする。受賞を励みに取材を続けていきたい。

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2019年09月26日

【JCJ賞贈賞式記念講演】 安倍官邸とメディア 前川喜平さん講演 権力が使う「中立」「公平」はウソ

 JCJ賞贈賞式前に元文部科学省事務次官・前川喜平さんは「私が見た『安倍官邸とメディア』」をテーマに記念講演をした。要旨は次の通り。

  ☆

文科省では広報担当が各社の記事をチェックしている。まだ発表になっていない事が記事になることもある。第二次安倍政権になってから、A紙やM紙やT紙が書くと「誰がリークしたのだ」と犯人探しが始まるようになった。

「新聞記者」という映画の劇中座談会に出演した。この映画はフィクションだが、きわめてリアリティがある。メインのストーリ―は国家戦略特区で総理のお友達が運営する大学が新設されるというどっかで聞いたことのあるような話だ。観客動員数は好調だが、テレビでは全く紹介されない。これが今のメディアの実情なのだと思う

2年前に加計学園の問題で、総理のご意向と書かれた文書が出てきた。私はその文書を見たことがあるので見たことがあると答えた。

 この文書を菅義偉官房長官は「怪文書のようなもの」と言った。文科省では確認作業をして文書の存在を認めた。おそらく官邸は文書の存在を否定して欲しかったのだろう。

NHK放送せず

2017年、NHK社会部記者の取材を受けた。NHKはすでに加計問題について多くの情報を持っていた。ゴールデンウィークの前、カメラを回して取材を受けたが、そのインタビューは一度も放送されていない。

5月17日の朝に朝日新聞が、「官邸の最高レベルの意向」と書かれた文書の存在を報じた。

前の年の秋に、杉田官和博房副長官に呼ばれて新宿のバーへ行っていることについて注意を受けていた。店ではいろいろな話が聞けて無駄ではなかった。それがスキャンダル化された。

読売新聞が5月22日に私が出会い系バーに行っていると報じた。その前日、後輩の初等中等教育局長が「和泉洋人首相補佐官と会うか」と聞いてきた。その局長は安倍官邸に受けのいい人物で、今度、事務次官になった。(第二次以降)安倍内閣は6年半も続いている。その間に事務次官が3交代、4交代している。だんだんどの役所も上の方は官邸べったりになっている。

和泉氏の打診は加計問題で発言しなければ、記事を抑えてやるという取引だったのではないか。

 その頃、自宅がメディアの取材陣に包囲されていた。私は都内に潜伏していたが、取材陣の中にいた東京新聞の望月衣塑子記者から、記者会見をするなら包囲を解くよう取材陣を説得したと連絡があった。そこで5月25日に記者会見をした。

菅官房長官には、私の辞任に関しても事実と異なることを言われた。天下りあっせん問題を収拾するために、辞任すべきだと思い、17年1月5日に当時の松野博一文科大臣に辞任を申し出た。その後、杉田官房副長官のところへ出向いて、辞任を了承してもらった。

支配力を強める

しかし菅官房長官は、「任期の延長を求め地位に恋々とした」と記者会見などで繰り返した。

 安倍政権はこれまでのどの政権よりもメディアをコントロールしている。

7月の参議院選挙でも、ほとんど報道しないことで政権に加担した。

 本来、国家権力から独立して自由でなければならない分野にメディアと教育がある。主権者は政府が何をしているか知る権利がある。

教育も主権者を育てる。

権力者にとって知る権利、学ぶ権利は都合が悪い。それを妨げようと権力が使う言葉は「中立性」や「公平」だ。

編集部

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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