2020年04月04日

【新型コロナ ショック・ドクトリン1】 世界に広がる「非常事態宣言」 日本で進む同調圧力と自粛への働き 独裁・統制を目論む改正特措法=丸山重威

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 中国で始まった新型コロナウイルス感染は世界に拡大、WHO(世界保健機構)は3月11日「感染はパンデミック状態」と認定。日本も13日「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正が成立。首相が国民の権利を制限する「緊急事態」を宣言できる態勢が整った。
  戦争、災害などを利用し、どさくさに紛れ、しかも独裁的に、安倍流「社会改革」を進めようとするのは、まさに「惨事便乗型資本主義」(ショック・ドクトリン)の実践。世界でも私権を制限し、社会統制を強める傾向が広がっているが、日本で目立つのは、「緊急事態」以前に、「要請」だけで「同調圧力」や「自粛」が働き、進んでいることだ。こんな日本社会に危険はないのだろうか。
腹心2人と協議
  当初、対策が後手後手に回って批判された安倍首相は2月末から突然「やっている感」を演出。イベント自粛要請(26日)、小中高校の休校要請(27日)、インフルエンザ特措法の改正方針(3月4日)、中国、韓国からの入国制限(5日)など矢継ぎ早に動き出した。
 問題なのは、「集会などの自粛呼びかけ」、「学校休校」、「入国規制」など、次々と出された施策が全て、官邸の今井尚哉首相補佐官(経産省出身)と北村滋国家安全保障局長(警察庁出身)の腹心2人との協議による「独断」で発表されたもので文部科学相も当日まで知らされなかった(読売新聞3月15日付)という。 
 インフルエンザ特措法の改正も「改正の必要はない。コロナウイルスに適用できる」という主張を押しての改正だった。
行動や放送規制
 改正特措法によれば、「緊急事態」が「宣言」されると、住民への外出自粛要請、学校、劇場、映画館など人が集まる施設の使用停止要請、指示、音楽スポーツイベントなどの開催制限の要請、指示、鉄道、運送会社などへの医薬品、職位品などの運送要請、指示―などが強制的に行える。
 また、指定公共機関としてNHKに指示することも可能とする規定があり、宮下一郎副内閣相がこれを認めたが、西村康稔担当相が打ち消した。
 安倍首相は15日「緊急事態を宣言する状況ではない」と述べたが、それもそのはず、矢継ぎ早の「要望」は、ほとんど規制の先取り。19日には3月20日(祝)〜22日(日)の3連休には「大阪―兵庫間の人的交流を自粛してほしい」と要請、両知事が自粛を要請した。
 18日付読売新聞によれば、それぞれ状況は違うが、非常事態や緊急事態が宣言されたのは、17日までに米国、イタリアなど少なくとも27の国・地域。米国では13日、トランプ大統領が国家非常事態を宣言したが、欧州では12カ国、中南米でも7カ国。米国とEUの入域が規制され、外出や飲食店の営業禁止、国民に対する移動の制限や国境閉鎖などが急速で、イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、ベルギーなどでも、屋内退避が命令され、移動が制限された。
欧州には歯止め
 同時に欧州の多くの国には、この政府の措置について、裁判所に訴えて国民の人権を守ろうとする「歯止め」があることも重要。かつてのような専制政治を呼び込むことがないように、民主主義の中で、社会的安全と社会の統一を守ろうと苦労しているようだ。
 コロナウイルスの流行は、人や物の流通を阻害し経済活動を落ち込ませた。ニューヨーク株式のダウ平均株価は、18日には約3年2カ月ぶりに2万ドルを割り、東京株式も18日には3年4カ月ぶりに1万7000円を割りこんだ。
 今回のコロナウイルスの流行は、ペストの時代と違って、スピードも速く、広がりも大きい。急速な情報伝達が引き起こす効果も問題も多い。これを「独裁」ではなく民主主義的にどう克服していくかは、人類にとって歴史的課題だ。
丸山重威
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年04月02日

「すっぴんの北朝鮮」文聖姫さん講演 列車止まれば宴会 にわか売店 非合法市場に抗議し存続 庶民生活に見るたくましさ=須貝道雄

■講演する文聖姫さん(20年2月29日).jpg
 本紙に「リアル北朝鮮」を連載しているジャーナリストの文聖姫さん(写真)が2月29日、さいたま市で「すっぴんの北朝鮮」と題して講演した。「週刊金曜日読者の会・浦和」の主催で、現地で撮影したマツタケや菓子のチョコパイなどの写真を披露し、どこか愉快な庶民の姿を語った。
 市場でドルOK
 学生だった1984年に初訪朝して以来、2012年までに文さんの訪朝回数は15回に及ぶ。朝鮮総連の機関紙『朝鮮新報』の記者時代に平壌特派員を2回務めたほか、退職後に入った東大大学院でも現地調査で4回訪朝した。
 講演で取り上げたのは、政権が必要悪として容認する市場の存在だ。合法的な「地域市場」を2008年に平壌で初めて見た話をした。
 地域市場は学校の体育館を三つ並べたほどの大きさで、買い物客であふれていた。買い物をしていると「幹部の奥様」に間違えられたのか、文さんに店の女性たちが寄ってきて、「うちの方が安いよ」と引っ張り合いになった。
 30代の女性が文さんの後をついてきて、買い物袋(レジ袋)はいらないかと売りつける。スケトウダラの干物は国産が販売禁止になっていたが、「国産が欲しい」と頼むと、店の人は中国産の下から、こっそり国産を差し出した。支払いは外貨のドルでOKだった。
 ほかに非合法のキルゴリ(路上)市場が平壌や地方都市の裏通りにある。道端に洗面器やトランクを置き、飲み物やガム、たばこなどを売る。彼らは警察官が取り締まりに来ると、一目散に逃げる。その姿がバッタに似ていることからメトゥギ(バッタ)市場と呼ばれた。
ダニは逃げない
 ところが2012年ごろから、これらにチンドゥギ(ダニ)市場の名称がついた。警察官がやってきても、買い物客が「見逃してやって」と抗議し、店も逃げずに商売を続けるようになったからだ。
 はいつくばるイメージからダニの名がついた。北朝鮮ではダニはたくましさを象徴する言葉。「この話には笑い転げた。ユーモアのセンスが磨かれている」と文さんは当時を振り返った。
 取材で板門店から平壌に帰る途中、未明に列車がある駅で止まったことがあった。何時間たっても動かない。すると線路上に、にわか市場が立った。洗面用に水を売る子供が現れ、その日の夜遅くには列車の下で乗客の宴会が始まった。
 この間に、乗客の若者から文さんはマツタケを4本買った。乗務員に頼み、マツタケのスープを作ってもらったという。名古屋から東京までくらいの距離を結局、2泊して着いた。「それを何とかやり過ごす人々のたくましさを感じた」と語る。
伊料理は苦手か
 案内人らと一緒に平壌市内のイタリア料理店で食事をしたこともある。ピザは意外とおいしかった。イタリアワインは高いので北朝鮮製の焼酎を飲んだ。案内人らは味が合わないのか、パスタ、ピザにはほとんど手を付けず、最初から朝鮮料理を頼んで食べていたという。
 訪朝のたびに通い、「私の心の故郷」と紹介したのがテドンガン(大同江)ビールの工場とビアホールだ。英国製設備の工場でできる生ビールは「本当においしい」と。
 英週刊誌『エコノミスト』が2012年、ビールは韓国よりも北朝鮮がうまいと報じて、お墨付きを与えたエピソードがある。韓国でもテドンガンビールにはあこがれが強く、似た名前の「テガンビール」が登場したらしい。
 ビールに絡み、アカデミー賞を受賞した韓国映画『パラサイト』の一場面を文さんは話題にした。ピザ箱作りの内職をする貧しい家族がビールを飲むシーンだ。出てくるのは2017年発売の発泡酒「フィライト」。350ミリ缶が880ウォン(約80円)で普通のビールの半値近い。「貧しさの象徴として小道具に使っている」と解説。ビール談義は盛り上がった。     
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年03月30日

露骨な妨害やめぬ外務省 原爆展や慰安婦問題に介入=橋詰雅博

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 新型コロナウイルス感染の大流行で4月下旬にニューヨークで開かれる予定だった核に絡む重要な2つの世界的イベントに影響が出た。核軍縮の大きな方向性を決める5年1度の核不拡散条約(NPT)の再検討会議が延期になった。この国連本部でのNPT再検討会議に合わせたNY初の原水爆禁止世界大会は中止に追い込まれた。
変更求める
 世界大会の呼びかけ団体の一つである日本原水禁被爆者団体協議会(日本被団協)は被爆者らの派遣を中止。さらに国連本部ロビーで行う予定だった約50枚の写真パネルを展示する「原爆展」も、開催時期の変更を含めて協議を進める方針である。
 しかし、忘れてはならないのはこの展示会を巡る外務省による横ヤリ″s為だ。日本被団協に対して写真パネルの一部を展示しないよう要請し、言うことをきかないなら後援はできないとブラフをかけたのである。
 外務省が目の敵にしたのは、東日本大震災で起きた原発事故の原因や、平和な生活を壊された多くの避難者の困窮ぶり、原発敷地内にたまり続ける汚染水の現状などを紹介した福島のパネルだ。その理由について「原子力の平和的な利用はNPTの柱になっており、原発について扱うのはふさわしくない」と説明した。
 これに対して日本被団協は5年前の原発展でも原発事故を扱ったが、外務省は変更を求めず後援した。今回、除外要求するのは「表現の自由を絶ち切る許し難いものだ」と批判した。その上で国連とは合意済みだから外務省の後援がなくても内容を変えずに展示会を開く構えだった。
 7月に東京五輪を控え外務省が官邸に忖度したのは間違いない。
 外務省の忖度はほかにもある。オーストリアのウィーンで昨年9月に開かれた芸術展「ジャパン・アンリミテッド」で展示されていた安倍政権や福島原発を批判的に扱った作品を2人の自民党国会議員がネットで問題視した。すぐに外務省は日本との国交150年記念事業にふさわしくないと認定を撤回した。芸術展のオーストリア学芸員は、日本で検閲≠ェ強まっていると断じた。
設置を阻止
 また、慰安婦問題の打ち消しになりふり構わず動いている。2019年度「外交青書」の中の「慰安婦問題の取組」ではこう書いている。
〈韓国のほか、米国、カナダ、オーストラリア、中国、フィリピン、ドイツ、台湾等でも慰安婦像の設置等の動きがある。日本政府としては、引き続き、様々な関係者にアプローチし、日本の立場(例えば、「軍や官憲による強制連行」、「性奴隷」といった主張については、史実とは認識していないこと)について説明する取組を続けていく〉
 外務省はドイツやフィリピンで慰安婦を題材にした平和の少女像などのメモリアル設置を阻止している。最近ではウガンダで起きた慰安婦歴史館計画を中断させている。
 5年ほど前、JCJ主催で慰安婦問題について講演した米モンタナ州立大准教授の山口智美さんは、外務省の露骨な妨害をこう語っていた。
「米大手教育出版社のマグロウヒルの教科書に『慰安婦を強制連行した』などの記述が載りました。外務省担当者は執筆者のハワイ大准教授に面談し、訂正を求めました。右派勢力と外務省が手を組んで慰安婦問題の否定に躍起です」
 外務省は安倍政権を下支えする走狗≠ノ成り下がっている。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号
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2020年03月25日

アスベストいまも脅威 原告の訴え国に11連勝 建材メーカーとの裁判でも全面勝利 最高裁判決は今年中に=伊東良平

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 以前によくサラ金の過払い金訴訟についてのビジネスをして利益をあげていた法律事務所のことが伝えられていたが、サラ金訴訟が期限を迎えたり対象が少なくなったこともあってその後はB型肝炎や基地騒音なども扱っていたが、最近建設アスベストについても扱うというある法律事務所のテレビCMを見て驚いた。アスベストも損害賠償稼ぎの対象となっていることを示している。
 こうした背景には建設アスベスト訴訟が勝ち進んでいて2012年の東京地裁以来、昨年の福岡高裁まで国に11連勝していることによる。国から賠償金が支払われることを見込んでいるのだろう。しかし建設アスベストは金銭保証だけではなく、命と健康に対する問題である。過去、建設現場では大量の石綿粉塵が飛び散って被害にあった。
 アスベスト関連疾患の業種別割合は建設業が52.4%を占める(2017年度)。アスベストの発がんリスクは1日8時間・年250日・50年間この環境にいると1000人に1人の過剰発がんを起こすと言われ、肺がんや肺を覆う胸膜にできるがんの一種である中皮腫などのアスベスト関連疾患により多くの被害者が命を落としていて、生存している原告はわずか28%であり、速やかな解決が求められている。
 また、その後や現在でも老朽化や自然災害に伴う建物の取り壊しの際に、きちんとした装備をしないなど防護せずに作業に当たり、労働者や周辺住民が飛散した石綿を吸引する事例が起こっている。石綿含有建材の解体作業では許容濃度の15倍以上の石綿繊維が浮遊しているという。ある資料によると2000年から2040年までに10万人が死亡するという研究もある。
 今年2月に放送された日テレ系「NNNドキュメント」(大阪・読売テレビ制作)でも、静かな時限爆弾といわれるアスベストを取り上げた。
 1995年の阪神大震災の時に崩れた建物から飛散したアスベストを吸った人が約25年間の潜伏期間を経て突然発病して、あっという間に死亡するケースや、いまだ280万棟にアスベストが含まれている可能性を指摘して、建材の老朽化によって多発する被害と迫る脅威に警鐘を鳴らした。
 訴訟原告の連勝で国の責任は確定的になってきたし、並行して行われている建材メーカーに対する裁判でも昨年の福岡高裁や2018年の大阪高裁など6つで全面勝利となり賠償が命じられた。
 今年はいよいよ最高裁の判決が予想されていて裁判は最終局面に入るが、裁判だけではすべての建設アスベスト被害の救済ははかれないと、原告団や支援する人たちでつくる「建設アスベスト訴訟全国連絡会」では被害の救済が出来ない人たちに向けて「補償基金制度」の創設を求めて活動を始めた。
 責任を負うべき国とメーカー、さらに安全配慮義務違反の責任を問われているゼネコン等が応分の負担をして基金を創設して被害者の救済することが求められている。提訴から12年を経てだんだんとそして確実に勝訴の範囲は広がり、次の勝負は最高裁である。
 最高裁は他の判例を見ながら、世論の動きも見ているので、署名活動は有効な手段だといわれている。可能な限り支援をしたい。
伊東良平(神奈川支部)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年3月25日号

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2020年03月12日

自衛隊の中東派遣 新型肺炎の国内感染 危機の悪乗り 改憲ねらう=丸山重威

 「私の手で改憲を」と宣言した安倍晋三首相は「危機」にまともな対応をしないまま「改憲ムード」の醸成に利用する政治手法に本格的に乗り出したように見える。中東への自衛艦派遣や新型コロナウイルス国内感染への対応、数々の疑惑への検察人事はそれで、メディアの鋭い批判が求められる。
 2月2日、中東に派遣される海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が横須賀基地を出発した。国会にも諮らない閣議決定で、有志連合に「情報活動」で「貢献」するため「調査・研究」の名目での派遣。攻撃を受ければ海上警備行動の発動もあるとし、戦争に巻き込まれる危険な派遣だが、メディアの対応は割れている。
 つまり朝日は「政府はいったん立ち止まり派遣の是非から検討し直すべきだ」(1月10日)と主張したのに対し、読売は「緻密な計画で万全の体制を」「さまざまな状況を想定し訓練を重ねることが大切」(12月28日)とし、「襲撃」には「応戦」も想定した。河野太郎防衛相は1月17日「自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれる危険があるとは考えていない」と述べたが、「何かあったら……」の不安は解消されていない。
救出イメージ先行
 「何かあったら…」以上に危機を煽って問題を拡大しているのが新型コロナウイルスの感染だ。
 ここで政府がいち早く打ち出したのが、特別機の派遣。首相は「帰国支援は考えていない」(1月24日)としていた外務省を押し切って26日特別機派遣を決めた。
 戦争法で強調した紛争地から母子を連れ帰る絵の実践だ。しかし、連れ帰ってからの検診、入院、隔離政策など、具体的な対策は全くないままで、検診も少数しかできず、宿泊ホテルは他人と同部屋、飛行機代を徴収しようとして問題になった。
 さらに横浜に帰ってきたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の対策はすべて後手後手に回り、3000人以上が長期間不自由な船室内に閉じ込められる結果になり、かえって被害を拡大。船内の感染者は13日までで218人に達した。
 この状況を「改憲」に利用したのは伊吹文明元衆院議長。30日二階派の会合で「緊急事態に個人の権利をどう制限するか。憲法改正の大きな実験台」と発言、下村博文選対本部長も1日「改憲議論のきっかけに」とした。28日の衆院予算委では馬場伸幸維新幹事長の質問に安倍首相も「与野党の枠を越えた活発な議論を」と答弁した。
 野党は「人命に関わる問題の悪用だ」(枝野幸男立憲民主党代表)などと批判、沖縄タイムス(2日)東京新聞(8日)などが社説で批判したが、産経は「首相には非常大権がない」ことをあげて「憲法改正は待ったなし」などと論じた(1日)。
疑惑もみ消し人事
  国会でも,ほとんどまともに答えない安倍首相は、法律に違反して検察庁人事に介入。1月31日、2月7日定年退官の予定だった黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定した。
 稲田伸夫現検事総長の後任に黒川氏を起用するための人事とされ、現在捜査中のIR疑獄、「桜を見る会」の政治資金規正法事件、河井前法相夫妻の公選法違反など、追い込まれた安倍政権の事実上の「指揮権発動」宣言とも見られている。
 首相は年頭所感や年頭記者会見、NHK日曜討論など(既報)に続き20日の通常国会施政方針演説では「(改憲の)案を示すのは国会議員の責任ではないか。憲法審査会でその責任を果たしていこう」と演説。27日の衆院予算委でも「(日本防衛の)中核たる自衛隊をしっかり憲法に明記し、その正当性を確定することこそ安全保障、防衛の根幹」と述べ、異常な執念を見せている。
 丸山重威
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号

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2020年03月11日

3・11から9年 「山さ逃げよう」消えた証言 ジャーナリスト講座「大川小の悲劇」 なぜ川へ真相なお不明=須貝道雄

■加藤順子さん(20年2月13日).jpg
 東日本大震災から9年。あの時、宮城県石巻市立の大川小学校では校庭から逃げ遅れた児童74人(行方不明4人を含む)が津波の犠牲になった。2月13日に開いたジャーナリスト講座では「大川小の悲劇はなぜ起きたか」をテーマに、ライターでフォトグラファーの加藤順子(よりこ)=写真さんから話を聞いた。

川に向かい歩く
地震が起きたのは11年3月11日午後2時46分だった。大川小に津波が到達したのは同3時37分。この51分の間、校庭に避難した児童らはずっと並んだままだった。
移動を始めたのは津波が来る2分ほど前、目的地は「三角地帯」と呼ぶ新北上大橋のたもとにある堤防の一角だった。子どもたちは海水が遡上するだろう北上川に向かって歩いたのだ。
家族が作成した資料によれば、校庭から移動して先頭の子が約150b進んだところで、高さ8・6bに達した津波にのまれた。「当時の学校は防災に対する認識がいかに浅かったかがわかる」と加藤さんは語気を強めた。
 大川小のすぐ裏には山があり、ふだんからシイタケ栽培や写生の授業で児童らはよく入っていた。険しい道ではなく傾斜角度は9度。「普通の階段の半分くらいの傾斜だ」。なぜ走って40秒で行ける裏山に上らなかったのか。それが遺族の疑問だった。

聴取メモは廃棄
津波で亡くなったある6年生の男児は校庭で「山さ逃げよう」と訴えていたという。石巻市教委が生き残った児童(4人)からのヒアリング内容として、家族に口頭で説明した。
ところがその後、「山さ逃げよう」という発言は報告書に出てこない。どの記録にも残っていない。ヒアリング時のメモ、原資料は廃棄されたという。証言した児童たちは今、20歳近くになる。市教委の資料には自分たちの話が反映されていないという不満が当初からあり、市教委に不信感を抱いていると加藤さんは説明した。
大川小の事故については石巻市の調査のほか、文科省が乗り出して2012年に事故検証委員会が設置され、14年に報告書が出た。結局、なぜ山に逃げなかったかの真相は解明されなかった。教師でただ一人生き残った先生の証言がいまだ十分に聞きとれていない状況のままだ。
加藤さんは「報告書の内容は遺族が2年かけて調べた情報を超えていない」「委員会設置に尽力した前川喜平氏は官僚的な対応で、家族からの怒号が飛び交う中で、みなから納得を得たと思うと言って、報告を終わらせた姿は忘れられない」と手厳しく批判した。

揺れながら決意
高校時代に教科書に載っていた朝日新聞・深代惇郎(1929~75年)の天声人語を読み、ジャーナリズムに憧れたという加藤さん。大学在学中に阪神淡路大震災(95年)があった。東京の友人らは次々とボランティアに出かけた。水泳部で飛び込みをしていた加藤さんは練習のため、ボランティアをすることができず、残念だったと振り返る。
その後、気象予報士となり、TBSのお天気番組などに10年近くかかわったが、現場取材をしたくてライターを志望。11年3月11日は東京・大手町のビルで就職情報誌の記事を書いていた。急にゆらゆら揺れ出した机にしがしがみつきながら「これは大きな災害だ。絶対に取材に行くぞ」と考えた。大川小問題に直面し「ずっとウオッチすることが課された使命だと思った」という。
須貝道雄
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号
posted by JCJ at 09:09 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月08日

「思想信条の自由」侵害の恐れ マイナンバー 公務員保有調査=編集部

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 普及が進まないマイナンバーカードの取得率を上げようと、政府が公務員と家族の保有状況調査を繰り返している。カード取得は「法令上も任意が原則」で「取得強制」は明らかにおかしい。
 国家公務員向け調査では、用紙に交付申請をしない理由を問う欄もある。調査用紙を作ったのは内閣官房と財務省。政府は「あくまで取得の勧奨」だと言うが、本人だけでなく家族が取得しない理由まで、しかも何回も「報告」させるのは事実上「強制」そのものだ。今後の動きに注意が必要だ。
 国家公務員と家族に調査用紙が配布されたのは昨年10月と12月。地方公務員と家族には総務省が各自治体に依頼する形で昨年6月、10月、12月と3回の調査が行われた。3月には再び、国・地方公務員への調査をする予定だという。
 国家公務員向け調査用紙は「本人、家族全員にカードの一斉取得」を要請。保有、交付申請、申請の予定を尋ね、申請しない場合、理由の記入まで求めた。カードの非保有者に繰り返し調査用紙を配る例もあった。
 マイナンバー(個人番号)は早い話が国民総背番号制度だ。政府は同じことを2003年、「住基(住民基本台帳)カード」で目論んだが利用者が伸びず、2016年1月にマイナンバーに模様替えした。カード普及率は導入4年を経て15%にすぎない。政府の宣伝ほど国民に需要も利便もない。現に麻生財務相自身が「俺も正直言って、使ったことは一度もない」と語っている。
 政府は、19年度中に国・地方の全公務員がカードを取得。20年度にポイント付与制度で景気対策としてカード活用。健康保険証(20年春から開始)として21年3月から本格活用。22年度中にほとんどの国民がカード保有とプランを描く。
 だが、住基カード、マイナンバーカード導入検討時から懸念されている集積された個人情報の悪用による「監視・管理国家化」への歯止めは何一つ担保されていない。「思想信条の自由侵害の恐れ」すらある今回の公務員調査を見れば懸念はさらに強まる。全国で起きているマイナンバー違憲訴訟の行方と併せ、注視する必要がある。    
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号

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2020年03月04日

日本デマゴーグ国家=@ジャーナリストの仕事は真実を伝えるのが仕事 西山元毎日記者が語る=古川英一

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 日韓学生フォーラムの初日、沖縄返還をめぐる密約をスクープした元毎日新聞の記者・西山太吉さんが講演をした。西山さんは、学生たちが見守る中、ゆっくりと席につくと、眼光鋭く、そしてかみ砕くような口調で「日本の情報公開は最も遅れている。その具体例として沖縄の問題がある」と語り出した。
 1969年から始まった沖縄返還交渉は、時の佐藤栄作首相が自分の任期内に実現しようと期限を区切った段階で、交渉としては米国に敗北、その結果、国民向けには「核抜き本土並み」としながらも実態は「有事核つき、自由使用」で1972年の沖縄返還を果たした。その経緯は国民に知らされることはなかったと西山さんは指摘する。
 さらに、その後のイラク戦争においても、実は米国の要請で航空自衛隊が、戦闘地域に多国籍軍の兵士を輸送していたことが判ったとして、沖縄返還の「核抜き本土並み」とイラク戦争の「日本が独自に」というのは国の2つのデマであると批判した。
 その上で、西山さんは「日本が民主主義国家、平和国家と言う印象があるが、そうではなく実際に起きていることをカモフラージュするデマゴークの技術を持った国家である。だからこそ、そうした実情を知って提示していくのが、本来のジャーナリストの仕事だ」と学生たちに
訴えかけた。
 西山さんは講演会のあとも福岡市内での交流会に参加し、学生たちの質問に応じていた。自身が記者として打ち込んだ沖縄返還の問題を、歴史的な眼で捉え、伝えていこうという、強い熱意、著書にサインを求めたところ、その字は90歳近いとは思えぬほど力強かった。
古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号

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2020年03月03日

第5回日韓学生フォーラムin九州 25人筑豊・水俣を訪ねた 両国の歴史を知る大切さ学ぶ=古川英一

 「九州と朝鮮半島は近い、お互いの歴史を知ることが理解の一歩です。そしてジャーナリストの仕事は、歴史を記録していくことです」―日本と韓国のジャーアリストを目指す学生たちを前に、九州で映像ジャーナリストとして活動を続ける西嶋真司さんは力強く訴えた。
 今回で5回目、3年目になる日韓学生フォーラムは1月末から5日間、九州の筑豊・水俣を巡った。
 九州には炭鉱の人々、朝鮮半島から来て働いた人々、水俣病で苦しむ人々の姿を追い続けた上野英信、林えいだい、石牟礼道子といった「記録作家」がいた。その人たちの足跡も辿る企画だ。日韓合わせて25人の学生が参加した。

アリラン峠
 ぞろぞろと歩く若者たちの姿に犬を連れて散歩をしていた高齢の女性が「どちらへ行くのですか」と。「アリラン峠へ、ご存知ですか」と問い返すと、「いいえ」・・・地元の人ですらほとんど知らない、もちろん地図にさえないアリラン峠が、林えいだいによれば筑豊にあった。 
 その一つを西嶋さんの案内で訪ねた。舗装された道の横、人家のない細い道を5分ほど上っていくと、少し広い平地に出た。そこにはかって炭鉱で働いた朝鮮半島の人たちが寄り添うようにして暮らしていた家々があったという。いまは草生い茂る場所に、韓国の女子学生がマッコリを撒き、全員で静かに手を合わせた。

不知火の海
 真冬だというのに、水俣の海、不知火海は青く、そして穏やかだ。水俣病が大きな問題になった当時も、今のように海はきれいだったという。
 胎児性水俣病の患者として語り部の活動を続けている男性は「水俣病のように危険だとわかっていたのに放置していた国の責任は重い。3・11後の福島原発の問題も同じこと、だからこそ原発を止めていくことに精一杯努めていきたい」と語った。男性の視線は水俣から広がっていく。
 記者として水俣病を長年取材してきた熊本日日新聞の高峰武論説顧問は「水俣は訪れた人の想像力を試している。きれいな海を見て、ではそこで何を見たのか。自分たちが帰った場で、水俣を一つの座標軸として、スタートの場としてほしい」と、語りかけた。
 そしてジャーナリストとして、自立と自律の2つの「ジリツ」を持つこと。さらに物事を捉えるにあたり、楕円のように2つの中心を持つ「楕円の思想」が必要なことを将来のジャーナリストたちへアドバイスした。 

思いを語る
 フォーラムでは毎回最終日に、学生たちが一番印象に残ったことを、自分が撮った写真と合わせて発表し合う。連日連夜明け方まで語り合ってきた、それぞれの集大成の時間だ。
 今年の春、地方紙の記者になる女子学生は「自分の県の歴史をもっと勉強しなければ。フタをするだけでは差別はなくならない。そこに住む人たちの思いを汲み取れる記者になりたい」と決意を述べた。
 韓国から参加し、兵役につくため一足早く帰国した男子学生は「日本の記者が韓国の歴史を、韓国の記者が日本の歴史を学ぶことは大切だと思います。
 そして植民地時代の歴史は日韓が共有できる歴史、日本の地にある韓国人の歴史です。ジャーナリストとして伝えていくべきことだと思います」とメッセージを寄せた。
筑豊と水俣、日韓の学生たちの「旅」はここからまた始まったばかりだ。
古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号
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2020年03月02日

【中・香・台の最新社会情勢】 中国「一国二制度」見直す? 香港の若者 独立見据え持久戦 政治の片寄り「危険」とブレーキきかす台湾人=和仁廉夫

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 「台湾・香港どうなる、中国どう出る」という論題について少し頭を抱えてしまった。
結論から言えば、従来から台湾が与野党とも「一国二制度」を拒絶してきたことに変わりはないし、膠着している香港情勢も、中国が人民解放軍を投入してまで自ら作った「一国二制度」を壊すことはあり得ない。

旧世代政党きえた
 台湾の場合、香港情勢が蔡英文総統再選の追い風になったのは事実だが、同日行われた立法委員選挙では与党民進党が議席を減らし、野党国民党が議席を伸ばした。私が注目したのは、宋楚瑜が率いる親民党が全ての議席を失ったことだ。4年前の立法委員選挙では李登輝を精神的領袖と仰ぐ台湾団結連盟が議席を失っており、統一・独立の旗幟が鮮明な旧世代の政党が相次いで姿を消したことになる。
 今世紀の台湾は、民進党の陳水扁、国民党の馬英九と、8年刻みで政権交代があった。半世紀以上にわたり中国と対峙してきた台湾人は、政権が統一・独立の何れに傾き過ぎても、危険を察知してブレーキを働かせる成熟を見せている。
 一方、香港情勢はもっと根が深い。
香港は1984年の「中英協定」で97年に英植民地から中国に返還された。すでに香港には人民解放軍が駐留し、中国全人代が定めた「香港基本法」のもと、社会主義中国における資本主義香港の「高度な自治」が行われている。
 今世紀初め、中国は「自由行」で中国人の香港渡航を緩和し、中国経済の発展に香港を組み込む政策に転じた。将来は珠江三角州だけで日本のGDPを抜くという「粤港澳大灣区」構想もある。鉄道や道路、橋梁が次々と完成し、中国富裕層の不動産買い占めで家賃は高騰。市街地は宝石店、薬局など中国人本位に塗り替えられ、香港庶民の生活空間を奪った。
 ウソごまかしのない普通選挙を目指した2014年「雨傘運動」の敗北後、香港の若者たちは次々と「本土派」グループを立ち上げた。「民主派」が中国と香港の民主化を要求し普通選挙を目標に置くのに対し、「本土派」は「一国二制度」からの離脱、中国との決別を主張する。その究極が、香港独立である。
 そもそも昨年6月9日の100万人デモや、翌週16日の200万人デモを主催した「民間人権陣線」は「民主派」の糾合組織だが、SNSで呼びかけられて香港各地に拡散した大小のデモは、実態は「本土派のものだ。両者は相乗りしており、今のところ団結している。

闘い絶対やめない
 「雨傘運動」以後、「本土派」は、16年の旺角暴動で大量の逮捕者を出したうえ、同年秋の立法会選挙で「民主派」との中間に位置する「民主自決派」も含めて6人の当選者を出しながら、就任宣誓で中国を侮辱したため次々と議席を剥奪された。香港独立を主張する「香港民族党」も結社禁止となった。香港の若者たちは治安維持法下の共産党のような、非合法下の境遇に追い込まれていたといってよい。
 昨年、逃亡犯条例問題で広範な反対世論が噴きだしたとき、「本土派」の若者たちは覆面で顔を覆い街頭に出てきた。彼らは個人が特定されにくいテレグラムなどのSNSで呼びかけ、各地で「網民デモ」を組織した。「本土派」の思いを行動に移したのが「勇武」である。  
 彼らは凶暴化した警察に対抗して、立法会包囲・突入、道路封鎖、鉄道駅破壊、中国ビジネスで利益をあげる銀行・ショッピングセンターなどを破壊した。これまでに7000人以上が逮捕され、16%余りが起訴された。
 若者たちは「一国二制度」の区切りとなる2047年を射程にしており、闘いを止めれば弾圧されるから、不退転の覚悟で持久戦を展開している。
 「雨傘運動」以後、市民警察から治安警察に変貌した警察と、「勇武」のイタチごっこで、香港社会はデモ支持の「黄色店舗」と政府支持の「青色店舗」に色分けされ、市民社会は分断された。
 憂慮すべき事態だが、「民主派」は今年秋の立法会選挙、2021年の行政長官選挙で「本土派」の支持を必要としており、彼らへの批判を自制している。
 だが、中国が直ちに香港政策の見直しに動くことはないだろう。もし香港・台湾政策の調整が行われるとすれば、香港・マカオの「一国二制度」が折り返し点を迎える2022〜2024年の時期ではないか。
和仁廉夫(ジャーナリスト、写真も)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号
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2020年02月27日

【植村札幌控訴審不当判決2】 判決文 悪意と蔑視に満ちる 被告こそ捏造者 真の民主主義守るため闘い続く=編集部

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 また、高裁判決は「各資料は、金学順氏の述べる出来事が一致しておらず、脚色・誇張が介在していることが疑われる」としたうえ、「日本軍が強制的に金学順氏を慰安婦にしたのではなく(金さんを)慰安婦にすることにより日本軍人から金銭を得ようとした継父に騙されて慰安婦になったと読み取ることが可能である」と、日本軍の関与を必死で薄めようと試みた。
単なる慰安婦とは
 極め付きは判決文の中で、植村記事を掲載した朝日新聞は「慰安婦狩り」の吉田証言を報じていたから「その一人がやっと具体的に名乗り出たというのであれば日本の戦争責任に関わる報道として価値が高い反面、単なる慰安婦が名乗り出たにすぎないというのであれば、報道価値が半減する」と断言したことだ。
 つまり高裁は、櫻井氏の持論である「慰安婦問題は朝日の捏造」「植村記事は挺身隊と強制連行を結び付ける意図だ」との主張を露骨に正当化したのである。
 法の番人である3人の裁判官が合議のうえ、判決文で「単なる慰安婦」という言葉を言い放つとは一体どういうことなのか。これほど「悪意と蔑視」に満ちた判決文を堂々と出して恥じない。これが歪んだ司法の現実であり、櫻井氏が歓迎する「報道の自由、言論の自由」の中身だ。そしてそれが植村訴訟で暴かれた現在の日本の民主主義のありようだ。
 だが、闘いの成果もあった。札幌、東京の植村訴訟一審、控訴審の闘いを通じて櫻井氏、西岡氏こそが「捏造者」であり、植村さんは「捏造記者」でないことが証明された。いま、2人は「口をつぐんでいる」。騒いでいるのは2人の口車に煽られた一部の人々だけだ。
 従軍慰安婦問題をめぐるバッシングは2014年、朝日新聞が吉田清治証言関係記事を「誤報」として取り消したことから巻き起こった。それは2007年、米ワシントン・ポスト紙に「日本軍に配置された『慰安婦』は『性奴隷』でなく公娼制度下の売春婦だ」と意見広告を出すなどした櫻井氏らが「慰安婦問題をなかったものにしよう」と仕掛けてきた「歴史戦」だと言えよう。
 だが、「いわゆる『従軍慰安婦』とは、かつての戦争の時代に、一定期間日本軍の慰安所等に集められ、将兵に性的な奉仕を強いられた女性たちのこと」であり、慰安婦犠牲者は日本軍に「性的慰安」の奉仕を強制され、被害と苦痛を訴える人々である。これが日本の政府公式見解であることを私たちは忘れない。日本ジャーナリスト会議は植村訴訟を今後も闘い抜いていくことを呼びかける。
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号

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2020年02月26日

【植村札幌控訴審不当判決1】 歪んだ司法を露呈 強引な「論評」認定で櫻井免責 「慰安婦」政府見解ふまえず=編集部 

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 元従軍慰安婦の証言を伝えた1991年の記事を、2014年に「捏造」と攻撃された元朝日新聞記者の植村隆さんが、「捏造記者」バッシングを煽ったジャーナリスト・櫻井よしこ氏や出版社3社を相手取った名誉棄損訴訟の札幌控訴審は2月6日、一審判決を支持して植村さんの訴えを棄却した。植村さんは判決後の記者会見で「不当判決であり、絶対に容認できない」と、上告の意向を表明した。
真実相当性どこに
 高裁判決は一審と同様に、3社の週刊誌などに載った櫻井氏の記事が植村さんの社会的評価を低下させたと認定する一方で、「櫻井氏が捏造と信じたことは公共の利害に関することで、理由がある」と名誉毀損の法理を捻じ曲げて真実相当性を認め、櫻井氏が裏付け取材すらせずに植村さんを「捏造記者」ときめつけ、バッシングを煽ったことを再び免責した。櫻井氏はこれを「報道の自由、言論の自由が守られた」と言うが、本当は何が守られたのか。
 一審判決は、櫻井記事によって植村さんの社会的評価が低下したと認め、櫻井記事の一部が事実でないことを認めたうえで植村さんの請求を退ける根拠として「櫻井氏が(植村)批判記事の内容を真実と信じる相当性はあった」とした。問題は書く側が「本当に取材や確認を尽くしたか」だ。記事は内容によっては人を傷つける。
 だからこそジャーナリスト、ジャーナリズムには報じることの公共性、公益性に加え、取材、確認を尽くすという「基本動作」が求められる。だが、冨田一彦裁判長、目代真理、宮崎純一郎の札幌高裁3裁判官は「資料などから十分に確認できる場合は本人への取材や確認を必ずしも必要としない」として櫻井記事の真実相当性を認定した。
櫻井が流布した嘘
 櫻井氏は、植村バッシング記事で@植村は義母の裁判に便宜を図るため記事を書いたA慰安婦と挺身隊を結び付けたB金学順さんの経歴を隠した、という3つの嘘を流布し、植村さんへの攻撃を煽った。植村さんや家族、北星学園に殺到した「殺す」「爆破する」などの脅迫や「売国奴」「国賊」などの罵倒がこの嘘によって引き起こされたことを我々は忘れない。そして札幌高裁は櫻井記事の@の嘘を事実の適示ではなく「論評である」とすり替えた。
 札幌高裁判決の特筆すべき点は、「ネトウヨ判決」と批判された一審ですら認定した「適示事実」のことごとくを「論評」と判断をすり替え「真実相当性」認定で「ジャーナリスト」櫻井氏を免責したことにある。これは名誉棄損の法理無視に加え司法が積み上げてきた真実相当性判断の枠組みをも大きく逸脱した、誤った判決と言わねばならない。
 その極致はわずか20ページの判決文の半分を占めた「真実相当性」についての裁判所判断の記述に凝縮されている。
本人取材「不要」と
 櫻井氏が植村批判の論拠とした資料は@91年8月15日付のハンギョレ新聞記事A金学順さんの91年の訴状B月刊「宝石」92年2月号掲載の臼杵敬子さん執筆の記事の3資料だが、高裁はこれを「推論の基礎となる資料が十分ある」と評価し、植村さん本人への取材の必要はないとした。
 だが、櫻井氏は3資料を自分に都合よくつまんで使っており@のハンギョレ新聞の記者やBの臼杵敬子さんに、陳述書で「櫻井氏は慰安婦の被害を伝える内容を曲解し、逆に使った」と批判を受けた。またAの金学順さんの訴状には櫻井氏主張の記述などなく、櫻井氏は植村さんの指摘で産経新聞と雑誌WiLLで訂正に追い込まれた。高裁判決は、櫻井免責の根拠とするためこの事実や経緯を無視した。
 高裁判決は櫻井氏の杜撰な「取材」を不問にしたことに加え、「慰安婦」や「強制連行」の定義や見解を随所で捻じ曲げた。「挺身隊」という言葉についても「91年当時、一義的に慰安婦の意味に用いられていたとは認められない」と判断した。だが本当にそうか。
 植村記事が書かれた91年頃は、韓国だけでなく日本でもマスメディアが「挺身隊の名のもとに」などと従軍慰安婦を表現するのは一般的だった。朝日だけでなく産経、読売など全マスコミが普通に使っていた。もちろん櫻井氏も例外ではなかった。「女子挺身勤労令」の規定する「挺身隊」の研究が本格化し始めたのもほぼ同時期であり、高裁の断定にはいささか無理があることを指摘しておく。
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年2月25日号

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2020年02月22日

【リアル北朝鮮】 国家存亡の問題と必死 新型肺炎の徹底予防=文聖姫

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。中国や韓国と接している北朝鮮も予防対策に必死だ。薬品や医療設備が不足していることもあって、まずは自国に感染者が入らないようにするための対策が講じられている。
 労働新聞1月29日付は、新型コロナウイルスの流行を防ぐ事業を「国家存亡と関わる重大な政治的問題」だと強調した。「すべての人々が新型コロナウイルス感染症と危険性、流行の深刻さを認識」すべきで、「徹底的に防ぐ」ようにと述べている。
 同紙によれば、各クラスの非常防疫指揮所や衛生防疫機関、治療予防機関、医学研究機関などで行う住民を対象とした医学的監視と診断、治療薬物の開発と関連した研究を積極的に後押しするのが課題だ。
 また、個人に対してはマスクの着用、手洗いの徹底、野生動物との接触回避、体を鍛えて抵抗力をつけることなどを奨励している。
 2003年、SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際、北朝鮮に長期滞在していた。その際もSARSの感染を防ぐための対策が徹底的に講じられていた。海外渡航者や国外からの出張帰りの人々は症状のあるなしにかかわらず、すべて10日間程度隔離された。症状が出ないことを確認して、やっと平壌に入ることができたほどだ。
 当時滞在していたホテルは閑散としていた。いつもなら5月の連休を利用してやってくる訪問団でにぎわうのに、一人も来なかった。
 今回もおそらく予防対策に必死だろう。「国家存亡と関わる」というほど深刻に受け止めていることは容易に推察できる。10日発朝鮮中央通信によれば、医療チームが毎日のように担当区域を回って教育や予防治療を行っているという。
 とにかく、北朝鮮としては「我が国に新型コロナウイルス感染症が絶対に入ってこないようにする」(労働新聞)ことが、何より重視されていると思う。
  文聖姫(ジャーナリスト・博士)


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2020年02月20日

【沖縄リポート】 元少年兵が語る日本軍への怖さ=浦島悦子

 やんばる(沖縄島北部)の山々が緋寒桜のピンクに染まる2月1日、私は大宜味村の山間にある上原集落へと車を走らせた。
 75年前の沖縄戦時、15〜16歳のやんばるの少年たちが駆り出された「護郷隊」(遊撃隊)の元隊員で、同集落に住む瑞慶山良光さん(91歳)が、戦死した69人の戦友を偲んで自宅の裏山に植え育てた桜を「観る会」、及び、瑞慶山さんも出演するドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」(三上智恵・大矢英代共同監督、2018年公開。文化庁映画賞など8つの賞を受賞)の上映(上原公民館にて)などが行われた。
 翌2日には、瑞慶山さんら3人の元隊員とともに、第二護郷隊が配置された恩納岳の激戦地を巡るフィールドワークと「伝えたい第二護郷隊少年兵の体験」シンポジウム(進行:三上監督。恩納村博物館にて)が開催され、沖縄内外の100人余が参加した。
 スパイやゲリラを強要され、爆撃で友人の体が吹き飛び、病気で動けない友人が上官に処置(殺害)されるのを目前にした少年たちの体験はあまりにも壮絶かつ過酷だ。瑞慶山さんは帰郷して2〜3年後に戦争PTSDを発症(戦時と同じ精神状態で匍匐前進したり大声を上げて暴れる)、「兵隊幽霊」と呼ばれて自宅内の「牢屋」や精神病院に閉じ込められたという。今の穏やかな笑顔からは想像もつかないが、底なし沼のような心の闇を乗り越えてきた長い道のりがあったのだ。
 同じく元隊員の宮城清助さん(国頭村出身、92歳)は「自分たちは騙されていた。軍隊は住民を守らない。軍隊は軍隊しか守らないというのが戦争の教訓だ」と語った。
 三上監督は映画公開後、さらに取材を重ねて発行した新刊『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書。2月発行)の冒頭で次のように述べる。「軍隊が来れば必ず情報機関が入り込み、住民を巻き込んだ『秘密戦』が始まる」。彼女が映画や本で世に問うたのは、「陰惨な秘密戦」=「スパイリスト」による住民虐殺など、敵軍より怖い自国軍の実態だ。当時の日本軍は同様の戦争を全国で行う準備を進めていた。
宮古・八重山に自衛隊基地が次々に造られていくいま、「私が戦慄する危機(同著)」はやがて全国に及ぶだろう。その警鐘を聞いてほしい。
浦島悦子

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2020年02月17日

「桜」疑惑深まる 醜態さらす官僚 国民の「知る権利」守れ=編集部

 「疑惑」発覚のたび「丁寧な説明をしてまいりたい」と述べてきた安倍首相は、「桜を見る会」疑惑でも、「丁寧な」説明も対応も果たさずに臨時国会閉会で幕引きを図った。だが追及は越年し、年明けの1月14日、憲法学者ら13人が安倍首相を背任の疑いで東京地検に告発。16日には23回目の野党合同追及本部のヒアリングが開かれ、20日には通常国会が始まった。改めて問題を整理しておこう。
 桜を見る会と前夜祭の後援会員ら大量招待と供応は、公職選挙法違反(買収)疑惑をはらむ。前夜祭には、実際の費用と会費5千円との差額の問題があり、安倍事務所が差額を負担なら公選法(寄付行為)違反、ホテル(ニューオータニ)側が差額を負担なら贈収賄だ。
 安倍首相は「安倍事務所が一人5千円を集金してホテル名義の領収書を渡し、集金した現金はその場でホテルに渡した」(11月15日)と説明した。だが参加者の「領収書はもらっていない」との声もある「ホテル名義の領収書発行」は代金の事前支払いが大前提だが、安倍事務所の政治資金収支報告書に「支払い」の記載はない。政治資金規正法違反(不記載)疑惑だ。
 「桜を見る会」は公的行事。19年度の予算は1767万円だが、実際の支出は5519万円と約3倍だ。首相の立場を利用した不正支出が疑われ、公的行事の私物化疑惑もある。
「昭恵枠」は、公私混同の象徴だ。安倍政権は森友事件に続き、「昭恵夫人は私人」と閣議決定したが、共産党の調査によると「昭恵枠の招待者は7年間の累計で143人」に及ぶ。会の招待状も同様だ。安倍事務所は2月中に後援者らに案内状を送っていたが、政府の招待状発送は3月。会当日の開門前から園内で記念撮影させる安倍夫妻の後援者優遇も公私混同だ。
 新年を迎え内閣府が公文書管理法に違反して、13〜17年度の招待者名簿を「行政文書ファイル管理簿」に記載せず、廃棄簿への記載や手続きを無視した名簿廃棄が判明。安倍政権の支えは、内閣府などの忖度官僚の法を無視した公文書管理と、証拠の公文書廃棄や改竄であることが明るみに出た。違反を認めてなお逃げ切りを図る安倍政権追及の核心は国民の「知る権利」を守る闘いだ。 
編集部
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号

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2020年02月16日

【今週の風考計】2.16─新型肝炎とフェイクが作り出す「現実」

新型コロナウイルスによる肺炎は、クルーズ船内での感染者285人に加え、北海道から沖縄まで日本国内を縦断し11都道府県の各地で感染者53人、死者1人まで出ている。世界でも中国に続く第2位の338人という感染者数だ。もう水際作戦どころか、「国内感染の大流行」を想定し、緊急対策に全力を挙げるときだ。

ところが加藤勝信・厚労相は、国内感染の広がりを否定し続けている。この間、安倍政権は何をしてきたか。正確な情報を公開せず、クルーズ船の乗客を事実上の監禁状態に置き、船内感染を拡大させてきた。
 2週間たって、やっと政府は船内乗客のPCR検査を順次に実施し、70歳以上の高齢者は陰性なら下船を許可したが、多くの人は不安な状態のまま放置・監禁されている。
国内でも、これまで政府はPCR検査キットが高価なうえ検査機関が足りないという理由で、中国渡航歴がある人に限定して検査してきた。だが実際は「万単位の検査を1週間で可能」という証言まで、民間診療機関や医薬業界から出てきている。やっと検査の限定条件は外したが、判断は自治体任せ、保険適用も検討せず、感染した労働者の休業補償もなし。

さらに感染者の人数を隠ぺいするため、政府は「日本の感染者数からクルーズ船の乗客を除くよう」WHOに提案までしている。WHOのテドロス事務局長は、<WHOが主導する新型コロナウイルス対策に1000万ドルを拠出してくれた日本に感謝>とツイートしているから、人数減らし工作の効果が透けて見える。
 1000万ドル(11億円)も拠出できるのなら、まず先に日本国民のPCR検査や医療・治療体制の補充に充てるべきではないか。国民を愚弄するのもいいかげんにしろ。
この1カ月、安倍首相は「桜を見る会」など、都合の悪い事実やデータは隠滅し、違法行為を消してしまう「フェイク」手法を続けてきた。いまや新型コロナ肺炎への対応にまで持ち込み、事態を隠し民間からの協力を妨げてきたと言わざるを得ない。
 <鯛は頭から腐る>の例え通り、トップがそうだから、他にも改ざん隠ぺいがはびこっている。防衛相まで辺野古沖にある「マヨネーズ以下の絹豆腐並み」の埋め立て軟弱地盤データを隠ぺいする。さらに日本原発は敦賀原発2号炉の建屋直下にある断層が「活断層の可能性がある」という調査資料を改ざん。もう「フェイク」の拡がりは底なしだ。

山腰修三さんの<メディア私評>(朝日2/14付)が指摘しているが、こうした隠ぺい・改ざんによる「フェイク」は、「フェイク」に沿った新たな「現実」を、能動的に作りだす恐ろしさである。
 例えば「反社会的勢力」の参加が問われると、「反社は定義困難」と閣議決定される。質問通告後に対象とされた文書がシュレッダーにかけられる。「桜を見る会」に参加したとされる人々が自分のブログ記事を削除する。
 これこそ事実・真実を抹消してしまう「ポスト真実」の恐怖である。政治家・官僚だけの問題ではない。メディアを含め、私たち一人ひとりに関わる深刻な問題である。(2020/2/16)
posted by JCJ at 09:25 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月13日

自民 新ポスターで改憲PR 首相「任期中」強調 市民団体 発議反対署名スタート=丸山重威

 2020年を迎えた政局は、「桜を見る会」問題のほかに「カジノ疑獄」「前法相夫妻の公選法違反」に火がつき、自衛隊派遣に踏み切った中東情勢も予断を許さない事態だ。しかし、安倍首相は、新春所感、伊勢記者会見で、改めて「任期中の改憲」を叫び、自民党は「改憲ポスター」を作成、改憲ムードを駆り立てるのに躍起だ。
 一方、憲法審査会を動かさなかった野党と市民は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」「九条の会」など4団体による「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけて、新たに「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」の署名を開始。改憲勢力と地域で全面対決している。
国民の声と強弁
 首相の年頭所感では、「未来をしっかりと見据えながらこの国の形に関わる大きな改革を進めていく。その先にあるのが憲法改正」と表明した。
 第2次政権での年頭所感は8回目だが、憲法改正に言及するのは14年以来2回目で、自民党総裁任期が21年9月と迫る中、改憲姿勢を改めて鮮明にした。6日の伊勢神宮での記者会見でも「私自身の手で成し遂げていく考えには全く揺らぎはない」と強調。「参院選や最近の世論調査でも国民の声は改憲議論を前に進めよということ」「国会議員として改憲への国民的意識の高まりを無視することはできない」などと強弁した。
 さらに首相は、12日のNHK番組で、衆院解散・総選挙に関して「今は考えていない」としながら「解散すべき時が来たと思えば解散に躊躇はない」と発言。「補正予算を上げたあと、野党の準備が整わないうちに解散するのではないか」との観測も浮かんでいる。
国会は問題山積
 自民党が憲法改正を訴えるポスターを作るのは初めてで、キャッチコピーはともに「憲法改正の主役は、あなたです」。草原を背景にしたものと男女のイラストを配したものの2種類で、草原のポスターでは「話し合おう!考えよう!」、イラストのポスターは、「さあ、みんなで考えよう」と訴え、各4万枚を作り1月末から自民党の憲法集会などで活用する。
 平沢勝栄広報本部長は「一般の国民の理解をいただくには、もっとムードを盛り上げていく必要がある」と語り、安倍首相を起用しなかった理由を「憲法改正は首相がやるというより、国民がやることだ」と説明した。
丸山重威
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号

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2020年02月10日

【リアル北朝鮮】 今年最初の視察は肥料工場 金委員長「食料」アピールか=文聖姫

 新年早々、イラン・イスラム革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍のドローン攻撃によって殺害されたとの衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。イランは報復措置としてイラクにある米軍拠点を攻撃したが、米政府は軍事力を行使せず、寸でのところで軍事衝突は回避された。北朝鮮はこの事態をどう見ているのか。
 国営・朝鮮中央通信は11日、ソレイマニ殺害からイランの米軍基地攻撃に至るまでの出来事を客観的に報じたが、いまのところ北朝鮮政府の見解などは発表していない。米国をあからさまに非難することもしていない。
 また、潜伏して表に出てこないのでは?という大方の予想を裏切って、金正恩・朝鮮労働党委員長はソレイマニ殺害後に公の場に堂々と姿を現した。7日発朝鮮中央通信が、金委員長の肥料工場建設現場の視察を報じたのである。
 昨年12月28〜31日、北朝鮮の平壌では朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会が開かれた。事前に「重大な問題を決定する」と予告していた総会では、金委員長が「世界は遠からず朝鮮民主主義人民共和国が保有することになる新たな戦略兵器を目撃することになる」と宣言した。新たな戦略兵器とは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を指すのではないかと言われている。
 安保面ばかりが注目されたが、実はこの総会は、米国との交渉膠着が長引くことを予想して、制裁下でいかに難関を突破するかを協議する場であったと筆者はみている。結論的に言うと、金委員長は「正面突破戦」で難関を克服するよう全国民に呼び掛けた。
 そして、今年最初に視察する場所として選んだのが肥料工場の建設現場だった。最高指導者が食料問題解決のためにいかに尽力しているかをアピールする面もあろう。
 国の状況が目に見える形で悪くなっていると、総会で率直に語った金委員長。北朝鮮は今年、どう動くのか。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号


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2020年02月08日

2020年核廃絶へ正念場 初のNY原水禁世界大会 核禁止条約発効できるか=松村真澄

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 日本のメディアは、五輪で大騒ぎしているが、2020年は、広島・長崎への原爆投下から75年の節目。在京紙では、唯一、東京新聞の連載、「2020年 核廃絶の『期限』」が目立った。このタイトル「期限」の由来は、03年、平和市長会議が「2020年ビジョン」を決議、「被爆者が存命のうちに核なき世界の達成」と訴えたのに基づく。1982年設立した同会議は、163カ国・地域、7861都市が参加している。
高まる国際世論
 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は2017年のノーベル平和賞を受賞。これは核兵器禁止への国際世論の高まりを象徴していた。
 条約は、「核兵器の開発、実験、生産、製造、使用、保有」に加え「使用するとの脅威」をも禁止。50カ国が批准すれば発効するが、現在34カ国が批准しており、ICANなどは五輪期間中の発効を目指して各国に働きかけている。
 原水禁世界大会は今年初めてニューヨークで開催されることになった。呼びかけたのは、日本の原水協、原水禁、日本被団協の3団体のほか、米国のフレンズ奉仕委員会、英国の核軍縮キャンペーン、国際平和ビューロー、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)など。核不拡散条約(NPT)再検討会議の開催に合わせ、4月24日から26日まで、マンハッタンで大会を開き、集会やデモ、「ヒバクシャ国際署名」提出などを行う。  日本国内ではすでに代表の派遣運動が始まっている。
情勢はきびしい
 しかし、NPT発効50年といいながら、世界の核情勢は極めて厳しい。昨年5月の準備委員会では、イスラエルの核保有をめぐり米国が拒否、本年の本会議も前回15年会議同様、決裂の危険性が高いといわれている。
 米国、ロシアは新型核兵器を開発し、中国、インド、パキスタンは核兵器を増強、北朝鮮も核の力を強化しつつある。
 全ての加盟国に誠実に核軍縮交渉を義務づけたNPT6条に基づく中距離核戦力(INF)全廃条約は昨年失効、包括的核実験禁止条約(CTBT)は成立から20年を経て今も未発効だ。
 核保有国と非保有国との溝が深まる中、日本政府は「両者の橋渡しをする」と言いながら、核兵器禁止条約に反対し、唯一の戦争被爆国としての責任を放棄している。
 昨年日本を訪れたローマ教皇フランシスコは、核兵器禁止条約発効の必要性を述べ、被爆者と時間をかけて言葉を交わし、「核兵器使用と同様、保有も道義に反する」と語った。教皇は「被爆者の預言的な声が何よりも次世代への警告として役立つ」とも強調した。
 今年8月の原爆投下75年の広島の式典には国連グテレス事務総長が参加、IOCのバッハ会長も聖火リレーに合わせ5月に広島を訪問するという。ローマ教皇がつないだ平和のメッセージ・リレーは、2020年にも引き継がれる。
 日本政府も昨年の国連総会には「未来指向型の対話」を提案、核軍縮賢人会議の議長レポートは核兵器廃絶のための「困難な問題」への検討と対話を呼びかけた。日本の市民社会は政府に、この立場を更に前進させ、実効的に具体化するよう求めなければならない。
「核の傘」は戦争の「抑止」ではなく、相手国の胸元に突きつけた刃であり、相手国の軍拡を促すことだ。
 2020年は、核廃絶へ向けての正念場だ。
松村真澄(ピースボート国際担当)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号

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2020年02月01日

カジノ疑獄 整備計画に変化 外資が群がる構図せん明に 横浜の反対集会に2千人=藤森研

雨の中のカジノ.JPG 
 安倍政権が成長戦略の柱として推進する、カジノ導入などのIR(統合型リゾート)計画に暗雲が広がり始めた。IR担当副大臣だった秋元司衆院議員が、事業参入を狙う中国企業からの収賄容疑で逮捕された。横浜市民らからは以前より誘致反対の声が挙がっており、計画が修正される可能性もありえよう。これを機に立ち止まって、ギャンブル依存症の日本の実態についても一度きちんと考えてみたい。
 秋元議員は否認しているようだが、贈賄側の供述や職務権限などから東京地検は強制捜査に踏み切った。事件の構図は、日本でのカジノに外国資本がよだれを垂らして群がって来るありさまを浮かび上がらせた。
横浜情緒を破壊
 横浜市民らによるカジノ誘致反対運動は至って活発である。昨年12月22日には氷雨にもかかわらず、横浜・山下公園に主催者発表で2千人もの市民が集まり、「カジノはいらない 勝手に決めるな」と声を挙げた。同市では、市長選で「白紙」を強調しながら、突然誘致を言い出した林文子市長への不信、風紀の乱れなど横浜情緒の破壊などへの反発も強いが、やはり大きいのはギャンブル依存症への不安だろう。集会でも、「ギャンブル依存症対策を取ると言うが、最大の依存症対策はカジノをつくらせないこと」「金が欲しいからと誘致する林市長こそカジノ依存症だ」などの発言が相次いだ。
 実は、日本は今すでに「ギャンブル依存症大国」である。厚生労働省の研究班が2014年に公表した調査結果によると、「ギャンブル依存症の疑いあり」が4・8%にのぼった。人口では536万人になる。同様の調査で諸外国は人口の1〜2%にとどまっていた。
「有病率」高い
 同省が2017年に発表した1万人面接調査によっても、生涯のうちに一度でもギャンブル依存症だった疑いのある人は推計3・6%、人口換算で約320万人。同じ判定基準で調査した海外各国は1〜2%以下の国が多く、日本の「有病率」は明らかに高い。
 主な原因は、パチンコ・パチスロの蔓延である。患者家族らの会の2015〜16年の調査では、パチンコ・パチスロが依存の対象として最も多く(92%)、ついで競馬(19%)、競艇(6%)などだった。
 最新データによると、世界中で合法的に導入されているゲーミングマシンは約740万台。うち半数以上の約430万台が日本にある。パチンコ・パチスロだ。日本はすでに「ギャンブル大国」でもある。それが高い依存症率を生んでいる事実を直視しなければならない。
 カジノを誘致する前に、政府もマスメディアも、すでにある日本のギャンブル依存状態に対し、きちんとメスを入れるべきだ
藤森研(神奈川支部代表)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年1月25日号
posted by JCJ at 13:36 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする