2021年02月25日

憲法の回復を求めて 学術会議任命拒否問題 東京慈恵医科大学 小澤隆一教授

小沢写真.JPG

事務局からの電話
 2020年9月29日の夕方、大学の研究室に日本学術会議(以下、学術会議)の事務局長から電話がかかってきました。2日後の10月1日に総会が予定されている学術会議の会員に私が任命されないというのです。その理由を聞いても、「私もわからない。内閣府の人事課に問い合わせても教えてくれない」とのことでした。電話の向こうの事務局長も動揺している様子です。「とんでもないことが起きた」と即座に感じました。

学術会議での活動
 私は、2008年10月から12年間(第21期―第24期)、学術会議の「連携会員」としてその活動に誠心誠意参画してきました。たとえば、現在、北海道の寿都町と神恵内村で問題となっているいわゆる「核のゴミ」(高レベル放射性廃棄物)の処分問題について、どのように取り組んでいくべきか、学術会議は2012年に原子力委員会への「回答」(「回答 高レベル放射性廃棄物の処分について」)を提出し、2015年には、この回答をフォローアップする「提言」(「提言 高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言――国民的合意形成に向けた暫定保管」)をまとめましたが、私はこれらに検討委員会の委員として関わりました。そこでの議論や提言作りの作業を通じて、学術会議が人文・社会・自然科学の知見を持ち寄って政府に対して独立した立場で政策提言を行うことの意義や重要性を「体感」しました。

道理ない任命拒否
 菅義偉首相による私を含む学術会議会員候補6名の任命拒否は、この間の国会審議を通じて、その道理のなさがより一層際立ってきました。首相は、国会での答弁で、任命拒否の理由として、「民間出身者や若手が少ない」、「出身や大学に偏りがみられる」などと言い出しましたが、これらは、学術会議自体のこの間の改革努力によって、是正されてきているものです。首相がなぜか口にしない会員の男女比もしかりです。また、過去には「事前調整」をしたのに今回はしなかったから任命を見送ったのだなどとも強弁しています。学術会議法のどこにも、推薦された会員候補の任命を首相がこうした理由で拒否できるとする法的根拠はありません。「事前調整」などは、学術会議の会員選考権の侵害そのものです。支離滅裂な理由を次々と持ち出す菅首相の態度は、法治主義に反するものとして断じて許されません。
 また、首相は、憲法15条1項で国民固有の権利とされている「公務員の選定・罷免権」を持ち出して自己の任命拒否の正当化をはかっています。この国民固有の権利の具体化は、国民を代表する国会の権限であり、その国会が定めた学術会議法は、会員の選定・罷免の実質的決定を学術会議に委ねています。首相にはこの法律を「誠実に執行」する義務があります。学術会議法に反する任命拒否こそ、憲法15条が定める国民の権利を侵害するものです。(→続きを読む)

(→続きを読む)
posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月12日

【リアル北朝鮮】指導体制 より強固に バイデン米政権を主敵と牽制=文聖姫

 朝鮮労働党第8回大会が1月5日から12日まで開催された。5年前の第7回党大会の日程が4日間だったのに比べて、今回は2倍の8日間。それだけ、北朝鮮指導部が現状を深刻に考えていたことを裏づけている。
 党大会では、金正恩氏が朝鮮労働党総書記に推戴された。妹の金与正氏は党中央委員会政治局委員候補から外れたことや党第一副部長から副部長になったことで降格したとの分析もあるが、必ずしもそうとは限らない。これまでの地位を守っていると見る向きもある。党の地位とは関係なく、金総書記を影でささえる存在であることは間違いないからだ。
 金正恩氏が党委員長から総書記になったことをどう見るべきか。もちろん、委員長であろうが総書記であろうが、金正恩氏が「最高尊厳」であることに変わりはない。朝鮮労働党総書記選挙に関する決定書によると、党総書記は「全党を代表し指導する党の首班」であり、「党の首班は全党の組織的意思を体現する革命の最高脳髄であり指導の中心、団結の中心」だという。これは祖父の故金日成主席や父の故金正日総書記と同等の地位に就いたことを内外に示す意図もあるのではないかと思われる。金正恩総書記による唯一指導体制はより強固なものになっていくことが予想される。

「対外政治活動を、わが革命発展の基本的障害物、最大の主敵であるアメリカを制圧し、屈服させることに焦点を定める」「アメリカで誰が政権を握ろうと、アメリカという実体と対朝鮮政策の本心は絶対に変わらない」
 金総書記は、大会報告のなかでこう強調し、バイデン次期政権を牽制した。核戦力強化に何度も言及しており、今後ミサイル実験などを行う可能性もある。一方で、中国の習近平国家主席から送られた祝電への礼電をメディアで速やかに公開するなど、中朝の蜜月をアピールすることに余念がない。 
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
 

 


 
posted by JCJ at 02:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月05日

【リアル北朝鮮】 反動思想文化を排除 欧米からの流入に法で対処=文聖姫

 今年日本でも大人気を博した韓国ドラマ「愛の不時着」には、防弾少年団(BTS)をこよなく愛する北朝鮮の若い女性が登場する。彼女がこっそりBTSの動画を見ていたところを目撃した主人公の女性が、それをネタに彼女を脅して協力を強要する、というシーンが登場する。
 ドラマなので大げさに描写している部分もあるが、北朝鮮の人々の間で韓国のドラマや映画、K−Popが密に見られているという話は、昔からよく伝えられてきた。筆者自身は十数回の訪朝過程で、そのような現場を目撃したことはない。ただ、ある女優がドラマの中で履いていた上げ底の靴を履いた女性の集団を平壌で見かけたことがある。「もしや韓国のドラマの影響か?」と思った。
 2003年に滞在していた折、ハリウッド映画「タイタニック」の朝鮮語吹き替え版があるのを知った。最初は貸してくれると言っていた友人も、何があったのか、結局は貸してくれなかったので。実物は見ていない。しかし、「タイタニック」が北朝鮮当局からも奨励されていたのは事実だ。階級差別をきちんと描いているからだという話を聞いたことがある。内容によっては米国の映画でも許容されるということだ。
 だが、これは例外に過ぎない。基本的には韓国や欧米の映画やドラマを北朝鮮の国民が公に見るのは不可能だ。
 12月4日に開かれた最高人民会議(国会)常任委員会全体会議では、「反動思想文化排撃法」をはじめとするいくつかの法律が採択された。「反動思想文化排撃法」の条文は明らかにされていないが、朝鮮中央通信が報じたところによると、「反社会主義思想文化の流入、流布を徹底的に防ぎ、われわれの思想、精神、文化を守護する」ために必ず守るべき規則が記されているという。
 韓国や欧米のドラマや映画、音楽が国民の間に何らかの形で浸透しているのかもしれない。法律で取り締まらねばならないほど深刻なのだろうか。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号


posted by JCJ at 02:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月03日

米メディアの矜持をみた 米大統領選 健全な民主主義を守る姿勢 TBS萩原NY支局長 現地報告

                                         写真 ホワイトハウス JCJ-1.jpg
バイデン氏当確が打たれた11月7日のホワイトハウス前

歴史的にまれにみる疫病下の米大統領選だった。気に入らない「メディアをフェイクニュース」と呼び、世論調査の結果をウソと決めつける。トランプ大統領の悪態が炸裂するなか、「健全な民主主義を守る」という米メディアの矜持も目の当たりにした。大統領選の取材にあたったTBSテレビのニューヨーク支局長、萩原豊さんの現場レポートを届ける。
                  ☆
 「後ろに、フェイクニュースが見えるぞ。見てみろ!あそこにいるフェイクニュース全員を見ろ!」
 トランプ大統領が指差したのは、私たち報道陣。集まっていた2万人の視線が一斉に向けられた。同時に大きなブーイングが巻き起こる…。最後の最後まで、メディア敵視≠フ姿勢を剥き出しにした。
投票日前夜、中西部ミシガン州の空港で行われた「最後の集会」に立ち会った。支持者は最低気温2度のなか、隙間なく集まっていた。同州では、10月から新型コロナウイルスの新規感染者が急増、1日4000人近くになっていたにも関わらず、支持者の多くがマスクをしていない。トランプ氏は日付を越えて1時間以上にわたり、最後の訴え≠行った。
冒頭のメディア批判はトランプ氏の常套句で、予想はしていたが、敵意をぶつけられと動揺してしまった。選挙戦の後半になっても自らの劣勢が続くと、その姿勢は一層、露骨になった。世論調査の結果をウソと決めつけ、バイデン氏とメディアは結託しているなどと根拠なく主張。市民との「信頼」を礎とする報道機関にとって、現職の大統領が、気に入らないメディアを「フェイクニュース」と呼ぶこと自体、許しがたい。「メディアは国民の敵」という表現も少なくなかった。

テレビの利用
 メディアへの敵視は、その影響力を認めている裏返しでもある。そもそも、トランプ氏は、「メディアが生んだ寵児」だ。陣営の巧みな「メディア戦略」が如実に表れたのは、新型コロナに感染したトランプ氏が退院する場面だ。メディア各社に予告された時間は、米三大ネットワーク(NBC、ABC、CBS)のテレビ局で夕方のニュース番組が一斉に始まる時刻である。トランプ氏はホワイトハウスのバルコニーに立ち、コロナに勝った「強い大統領」を演出した。
生中継した三大ネットやCNN、FOX、 MSNBCの24時間ニュースチャンネルの画面を占拠することになった。投票まで1カ月を切った段階での大統領の容体は、最重要ニュースである。生の報道番組と時間帯が重なっていたテレビ各局は、一連の場面を映さざるを得なかった。結果としてテレビが利用された。(→続きを読む)

(→続きを読む)
posted by JCJ at 02:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月25日

核禁条約不参加は日本の恥 国はただちに署名・批准を=被団協代表委員 田中煕巳

                                                  0792D442BBBF43ED9B8E0F1B47D57BE6.jpg

核兵器禁止条約が1月22日発効する。この世界史的な出来事を作ってきた原動力は日本のヒバクシャ運動だ。しかし政府はこれに背を向ける。こんなことでいいのか!被団協事務局長、代表委員として、ずっと運動を担ってきた田中熙巳さんに寄稿をお願いした。

 核兵器禁止条約は、10月24日、カリブ海と大西洋を臨む中米の国、ホンジュラスが国連に批准書を寄託、批准国が50カ国に達したことで、90日後の2021年1月22日、発効することが確実になった。17年7月7日の調印から3年余、核兵器廃絶へ向けての大きな、確実な第1歩である。サーロ・節子さんのいう「核兵器の最後の始まり」だった。
核兵器禁止条約に参加しなくとも条約に拘束されるのは間違いないし、制裁が加えられなくても違反すれば非難は免れない。条約の内容に道義的な拘束を受けるのは間違いないのである。
しかし、この条約には核兵器保有国と日本も含む「核の傘」に依存する同盟国の参加がなく、核兵器の廃絶を目指す運動にとっては「画竜点睛を欠く」無念さがある。
 唯一の戦争被爆国、日本の政府は、いまからでも遅くない。直ちに条約に参加、署名・批准すべきである。

政府の無策・妨害
日本政府は国の内外で「唯一の戦争被爆国」を標榜し、あたかも核軍縮や原爆被害の真実の普及に努めているかのように喧伝しているが、ほとんど何もせず、むしろ無策による妨害が多い。
 そしてこうした状況を許しているのは、一般国民に、「核兵器は人道に反する兵器であり、核兵器の存在は許してはならない。兵器として、破壊と殺りくに使用されてはならない」という「認識」が乏しいからではないだろうか。
 さらに、この認識の乏しさが、政府の外交政策での核兵器に対する無関心、アメリカの核政策・安全保障政策に従属して見識のかけらもなく、核兵器禁止条約に反対し「署名も批准もしない」と首相に公言させているのではないか、と思う。
 憲法9条の下、「戦力を保持しない」日本は、その安全に不安を抱き、アメリカの軍事力に依存し、「日米安保条約」で米国の同盟国になることを選択したとしても「核兵器が非人道的な、使用されてならない兵器」であることは明らかだ。とすれば、あらゆる手段を使ってアメリカの「核の傘」から「脱出」する努力をしなければならないのではないだろうか。
 しかし日本政府は、むしろ逆のことをアメリカに要請してきたという。つまり米国が「核攻撃に対する反撃にのみ、核の傘をはたらかせる」と提案したことに反対し、「核兵器の攻撃以外には報復使用はしない」との提案にも反対し、通常兵器の使用の抑止力を残してほしいと申し入れたとも伝えられている。「核」に限ってでも、アメリカ従属政策から脱却し、核政策の転換か、政権そのもの変えるか、いずれかの選択を迫られている。そして国民自身が、日米安全保障への依存の是非を考えなければならない。(続きを読む)

(→続きを読む)
posted by JCJ at 06:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月04日

【リアル北朝鮮】 国威発揚と米国向け 新型ICBMの公開=文聖姫

 真夜中の軍事パレードには度肝を抜いた。朝鮮労働党創建75周年を迎え、10日に平壌の金日成広場で行われたパレードは、同日午前0時前に始まった。世界を驚嘆させる北朝鮮特有の演出だったのか。
 そのパレードでは、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)と見られる兵器も登場した。米本土を射程に収めるとされる「火星15」は9軸18輪だったが、今回登場した兵器は11月22輪で、「火星15」より長い。新型の潜水艦弾道ミサイル(SLBM)と見られる兵器も登場した。金正恩党委員長は演説で、「自衛的正当防衛手段」としての戦争抑止力を強化すると述べ、今後も核・ミサイル開発を進めることを示唆した。一方で、こうした戦争抑止力を「先制的に使うことはない」と強調した。
 新型コロナ禍で北朝鮮は年初から国境を完全封鎖している。中朝貿易額も大幅に減少するなど、経済への影響は少なくない。さらに追い打ちをかけたのが3つの大型台風だ。水害復旧作業に追われ、経済停滞を余儀なくされている。党創建に際して平壌にオープンするはずだった総合病院が完工したというニュースは、現時点では入ってきていない。そのような状況下でも、あえて軍事パレードを挙行し、新型兵器を披露した意図はどこにあるのか。
 一つは、国威発揚という側面があるだろう。苦しい生活が続く国民に新型兵器を披露することで、その苦労が報われていることをアピールしたいのかもしれない。
 ただ、やはり米国に向けたメッセージだと見るのが自然だろう。昨年2月のハノイでの米朝首脳会談が決裂して以降、米朝関係に目立った進展はない。北朝鮮はおそらく、11月の米大統領選挙の結果を受けて、次の対米政策を詰めていくだろう。その前に米国をけん制する意味もあると思う。大統領が誰になろうと、北朝鮮と交渉せざるを得ない「交渉材料」を示したのかもしれない。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月28日

【リアル北朝鮮】 3つの台風 被害甚大 経済の仕切り不可避=文聖姫

 3つの台風が北朝鮮を襲った。被害は甚大だ。朝鮮労働党の金正恩委員長は自ら各被災地に足を運んだ。北朝鮮の最高指導者が被災地を訪れるのは珍しいことだと思われがちだが、実は金委員長は数年前、中朝国境沿いの羅先で水害が起きた際にも、被災地を訪れ、壊された家屋の復旧を軍人らに命じたことがある。
 今回も黄海南北道や咸鏡南北道の被災地をただちに訪れた。黄海北道行きでは自ら車を運転した。咸鏡南道の被災地からは、平壌市の朝鮮労働党員に向け、被災地に来て復旧作業を手伝ってほしいと要請する公開書簡を送った。最高指導者が被災地から支援を要請するなど、私が記憶する限りなかったことだ。それだけ事態が深刻だということだろう。確かに、北朝鮮の代表的な亜鉛産地である剣徳鉱山や3大マグネサイト産地の大興・龍陽・白岩鉱山など、「経済の重要命脈」も被害に合った。
 それでなくても、新型コロナの影響で北朝鮮はいち早く国境を封鎖した。外国との経済関係は寸断状態で、経済は低迷している。今年は2016年に開催された第7回党大会で示された「国家経済発展5カ年戦略」の最終年にあたる。決められた達成目標があったはずだが、それも頓挫しているようだ。
 「朝鮮中央通信」によると、9月8日に開催された党中央軍事委員会で発言した金委員長は、予想もしなかった台風被害によって、国家的に推進してきた年末の闘争課題を見直し、その方向を変更せざるを得ない状況に直面したと語った。年末の経済計画を遂行できなくなったから、方向転換せざるを得ないということだ。北朝鮮では、10月10日の朝鮮労働党創建75周年に際して、平壌に総合病院を建てる計画などがあった。完成をあきらめざるを得ないかもしれない。
 北朝鮮では来年1月、第8回党大会が開かれ、「国家経済発展5カ年計画」が発表される。経済の仕切り直しが不可避な模様だ。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月03日

【お知らせ】 10月10日(土)JCJ賞贈賞式にご参加を!午後2時から5時までライブ配信

CIMG6421.JPG 昨年8月のJCJ賞贈賞式=東京・千代田区のプレスセンターホール
 
 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は毎年、優れた新聞報道や出版物、テレビ番組などにJCJ賞を贈っています。今年は5件が選ばれました。
 10月10日(土)午後2時から5時まで、東京・麹町のエデュカス東京で受賞者をお迎えしてJCJ賞の贈賞式を開きます。今年は新型コロナ問題があり、関係者だけの集まりになりました。代わりに贈賞式の模様をネットで中継し、オンラインで視聴できるようにします。受賞者のスピーチはいつも示唆に富んでいます。ぜひご参加ください。
 参加費:500円。Peatixを通じてお支払いください。詳細は下記をご参照ください。
 20年度日本ジャーナリスト会議賞一覧
【JCJ大賞】
★安倍晋三首相の「桜を見る会」私物化スクープと一連の報道 しんぶん赤旗日曜版
【JCJ賞】     4点(順不同)
★三上智恵『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)       
★吉田千亜『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)    
★森友問題で自殺した財務省職員の遺書の公開(週刊文春)
赤木雅子 相澤冬樹
★「ヤジと民主主義〜小さな自由が排除された先に〜」北海道放送 

【10月10日贈賞式の視聴方法のご案内】
JCJ賞贈賞式のネット中継の視聴をご希望の方は、ネットのPeatixという支払いサイトから参加費500円をお支払いください。
@https://zosyoshikijcj63.peatix.com/ をパソコンやスマホでクリックして開きます。
A初めてPeatixを使う方は、最初に氏名、メルアド、それにPeatix用のパスワードを自分で決めて入力します。
B参加券の枚数を選び、金額を確定します。
C支払いはクレジットカードか、コンビニ払いか選び手続きします。
D贈賞式の前日、10月9日にネット中継のURLをメールで送りします。10日午後1時45分ごろから、パソコンなどでURLをクリックして視聴します。
(なおJCJ会員は参加費無料。onlinejcj20@gmail.com にメールで申し込んでください)
posted by JCJ at 15:22 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月25日

【リアル北朝鮮】 金正男暗殺を描いた映画 事件から3年半 秋に上映=文聖姫

 朝鮮労働党委員長、金正恩氏の異母兄である金正男氏がマレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺されたのは2017年2月のことだ。白昼堂々、国際空港のロビーで実行された殺害は、世界に衝撃を与えた。しかも実行犯は20代半ばの若い女性2人で、犯行の一部始終は監視カメラにも納められていた。
 当初、マレーシア当局は8人の北朝鮮人が関与しているとしていたが、4人は事件直後に出国、大使館員ら2人も後に出国した。唯一逮捕された1人も証拠不十分で釈放され、不起訴となり、帰国した(1人は行方不明)。
 この事件を扱ったドキュメンタリー映画が10月、日本で公開される。タイトルは「わたしは金正男を殺してない」。監督は米国人のライアン・ホワイトだ。映画は、実行犯として逮捕されたベトナム人のドアン・ティ・フォン、インドネシア人のシティ・アイシャの生い立ち、家族、裁判過程などを中心に描いている。
 彼女たちの弁護を引き受けた弁護士チーム、事件を追い続けるマレーシア人ジャーナリストのハディ・アズミ氏、金正恩氏に関する著作があるワシントン・ポスト紙の北京支局長、アンナ・ファイフィールド氏らの証言を通じて、事件の背景が浮かび上がっていく。
 「確実なのは、この(金正男暗殺)事件が北朝鮮の体制には全く影響しないということだ」。筆者は当時、本欄でこう書いた。あれから3年半が過ぎた今でも、その考えに変わりはない。この3年半の間に金正恩体制は盤石のものとなった。そればかりか、金正恩氏は中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領らと次々会談し、文在寅大統領との3度にわたる南北首脳会談も実現した。
 そして、悲願であった米国大統領との会談も2度実現させた。トランプ氏という変わり種だからこそ可能だったのかもしれないが。米大統領との2度目の会談場所は、ドアン・ティ・フォンの母国、ベトナムのハノイだった。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号


posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月10日

【リアル北朝鮮】 与正氏、男女平等の証? 新興富裕層も女性が多い=文聖姫

  本欄でも再三書いてきたが、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長の台頭が著しい。正恩氏の妹で故金正日総書記の娘だとはいえ、北朝鮮で女性がこれほど頭角を現すのはかつてなかったことだ。金総書記の妹である金慶喜氏も、党で軽工業部門を担当するなど要職を務めてきたが、表立って活動することはなかった。ましてや、兄に代わって談話を発表したりすることなど皆無だった。
 ところが、金正恩時代になってからは、妻の李雪主氏が「女史」と呼ばれて夫とともに公に活動し、妹は「兄の分身」として活動の幅を広げている。北朝鮮で女性に対する考え方が変化してきている証ではあるまいか。
 1946年7月30日、北朝鮮臨時政府は解放からわずか1年後、男女平等権法を発令した。法的には男女平等が確立したわけだが、儒教精神が根強い朝鮮半島で、男女平等が簡単に浸透するはずもなかった。
 96年に朝鮮新報特派員として平壌に滞在していた際、男女平等権法発令50周年の現状を取材した。その際、ある男性が語っていた言葉がいまでも忘れられない。
 「男女差別というものは、アスファルトに生える雑草のようなものだ」と彼は言った。採ってもとっても生えてくる、そんなに簡単になくなるものではないと。平壌市の区長を務める妻に代わって料理も担当していたが、料理作りの場面を写真に撮ろうとしたら、かたくなに断られた。「男が料理する場面など撮られてたまるか」というわけだ。そんな北朝鮮で、たとえ金ファミリーの一員とはいえ、女性が活躍するのは悪くないと思う。
 ネットフリックスで配信中の韓国ドラマ「愛の不時着」には、北朝鮮で財を成した女性実業家が登場する。彼女は夫を亡くした後、自らの力でデパートを経営するまでになった。もちろん、これはフィクションだが、私が取材した限りでも、「金主」と言われる新興富裕層には女性が多かった。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月08日

住民置きざりのスーパーシティ構想 管理される個人情報 ビックデータ使用に不安=橋詰雅博 

 街中を自動運転の乗り物が走り、遠隔による医療・教育が受けられ、スマホ決済で現金不要、ドローンが配送、行政手続きがスマホで済ませられる――AIや個人情報などが入るビックデータ、情報通信技術などを活用した「スーパーシティ」(海外ではスマートシティと呼ばれる)というふれ込みのこんな都市が、規制を大幅に緩和し、新ルールのもとで計画が進められる国家戦略特区にできるという。
竹中平蔵が旗振り
 このスーパーシティ構想の旗振り役は竹中平蔵・東洋大教授だ。竹中教授は「(スーパーシティ法案)が早く成立していれば、コロナ危機への対応が違っていただろう」とツイッターに投稿している。ただ、具体的な対応は何も示していない。
 そんなスーパーシティをPRしようと政官民は一体で6月末にオンライン特別セミナーを開いた。国会議員、官僚、首長、学者、1T企業幹部らが講演を行いパネラーとして話した。
 とくに注目されたのは構想を推進する内閣府地方創生推進事務局の村上敬亮審議官の基調講演だ。
「『スーパーシティ』構想の最新動向と今後の展望」をテーマに30分ほど話し、こう要望した。
 「中国のアリババ系列会社が行政と連携する杭州市では、交通違反や渋滞対策にAIを活用し、無人コンビニで顔認証でのキャッシュレス支払いを実施している。ものすごい勢いで技術を使いこんで熟度をあげて、それを広げている。日本にも必要な技術はほぼそろっているが、街で住民を相手に複合サービスを実施した実績がない。関わる事業者が利益を得られるビジネスモデルを構築するためにも早く実践する場が欲しい」
 しかし、スーパーシティには大きな問題がある。国や自治体に集積された個人情報が特区で情報を一元管理する民間業者のビックデータに集められ、不正に使用されて住民のプライバーを侵害する恐れがあるのだ。個人情報の管理の仕方や特区住民とどういう風に同意するのかなどがあいまいなままだから不安は消えない。
グーグル撤退した
 その不安が的中したかのようなケースが特別セミナーで明らかにされた。各国が展開中のスマートシティのネットワーク化を進める世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長の須賀千鶴氏が挙げたのは、カナダのトロント市のスマートシティ計画の失敗だ。須賀氏はこう言った。
 「グーグルの子会社は、街中にデータ収集のため多くのセンサー(監視カメラ)を設置するなどを提案した。しかし、プライバー侵害発生時の対応計画やデータ保管に関する明確なコミットメントの必要性について、住民への説明が十分ではなかった。このため住民の同意が得られなかった。また、コロナ禍の影響で都市への人の流入が減少し、利益が見込めないとグーグルは判断。5月に撤退した」
 だが、安倍首相はトロントの計画失敗を無視し、「ピンチをチャンスに変える思い切った改革の代表がスーパーシティだ」と内閣府にハッパをかけた。
 政府は年内に5自治体を選定する予定だったが、コロナ禍で自治体の計画が進まないため選定を来年3月ごろにする見込み。ともあれ、自治体とIT企業が手を組むスーパーシティは、住民を置き去りにして計画が強行されそうだ。しかし、プライバシー侵害の不安が残るという市民の声が高まれば、計画を中止に追い込むことは可能だ。トロントの例があるじゃないか。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月01日

【フォトアングル】 オスプレイの木更津駐屯地配備に反対の声あげる=酒井憲太郎

               aP1190317.jpeg
「日本のどこにもオスプレイはいらない!」の大きな横幕が左右に2枚並んだJR津田沼駅北口。マイクを手に訴えるのは「幕張メッセでの武器見本市に反対する会」と「安保関連法に反対するママの会@ちば」と「どこの空にもオスプレイはいらない@フナバシ」と支援の皆さん。行き交う人々に手作りの看板「武器見本市もオスプレイもいらない」をかざして、オスプレイの木更津駐屯地配備に反対の強い意思表示をした。=4日、千葉・習志野市津田沼、酒井憲太郎撮影
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月20日

JCJ第2回オンライン講演「どうなる?朝鮮半島情勢」27日(日)14時から

                 P1020251.JPG
 7月26日(日)14時から日本ジャーナリスト会議(JCJ)による第2回オンライン講演を開きます。今回は「どうなる?朝鮮半島情勢」がテーマ。講師は南北問題に詳しい東京新聞・五味洋治論説委員です。五味さんは月刊『文藝春秋』8月号で「金与正毒舌プリンセス=w冷たい仮面』の裏」と題した原稿を書いています。この与正の正体や、兄の金正恩の健康状態、経済のひっ迫状況、日韓と日朝の関係など多面的に話をされます。参加費500円。ぜひ皆さん、視聴してください。
                  
                 P1020243.JPG
posted by JCJ at 01:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月02日

著名人・若者を動かした「怒り」 「 #検察庁法改正案に抗議します」=望月衣塑子

             ◆望月衣塑子記者.jpg    
 検察庁法改正案が審議入りしていた5月、ツイッター上では「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ(検索目印)付きツイートが広がり、大きなうねりとなった。賭けマージャン問題もあいまって政府は改正法成立を断念した。
 総数は9百万件を超えたが、数の多さよりも注目されたのは、普段はあまり政治的な発言をしない著名人や若者たちが次々と賛同したことだ。彼らを突き動かしたのは、思想信条や損得ではない、「怒り」の感情だったのではないか。
「罪が無くても」
 5月8日、東京都内の30代の女性会社員「笛美」さんのツイートが始まりだった。この日、検察庁法改正案を含む「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が衆議院で審議入りした。
 おさらいすると、政府は長年の法解釈を変更し、1月に黒川弘務・東京高検検事長(当時)の定年延長を閣議決定した。将来、黒川氏を検事総長にすえ、検察捜査への関与を強めようとする官邸の狙いは明らかで、法改正は定年延長を正当化し、検察の独立や公正性をおびやかすものと受け止められていた。実際、笛美さんはツイートの理由を「政府が気に入らない人は、罪がなくても裁かれるということが起きる予感」がしたから、と答えている。
注目度トップに 
 ハッシュタグのついたツイートは急速に広がる。女優の小泉今日子さんや大竹しのぶさん、ミュージシャン「いきものがかり」の水野良樹さん、演出家の宮本亜門さんら著名人も次々に賛同し、ツイッターの注目度を示すトレンドで国内トップにもなった。
 当然、ツイート数=「抗議した人数」ではない。ただ、東京大大学院の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)の分析によると、同じ内容を自動で投稿したり、拡散目的で新たにアカウントが作られたりした形跡もなかった。「ネットでの炎上などの案件として比較的多い」と指摘している。
耳を傾ける役割
 日本人の多くは周囲との不要な対立を避ける。政治的な意見を口に出すことはまれだ。特に著名人はファンやスポンサーから敬遠されるリスクが増すだけで、メリットはない。実際、今回も賛同した著名人に「政治に口を出すな」「がっかり」「歌だけ歌っていればいい」という反応も出た。
 それでも今回のツイッターデモに多くの賛同者が続いたのは、検察庁OBたちが意見書で示したような「検察の政治的中立性を損なう」ことへの抗議だけでなく、新型コロナウイルス対策を急ぐべき緊急時に、全く無関係の法案通過を図った「火事場泥棒政権」への猛烈な怒りだろう。
 政権は「普通の人」が政治に意見することを恐れる。20年前の衆院選で森喜朗首相(当時)が発した「無党派層が寝ててくれたらいい」と失言(本音)と通底する。今回のツイッターデモは、普段は政治に無口な層が動いた。不公正や不平等、不正義への怒りは、個人の立場や信条、利害を超えて共鳴し伝わっていく。この音に耳を傾け、報じるのがジャーナリズムの本質だろう。
望月衣塑子(東京新聞記者)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年6月25日号

posted by JCJ at 13:00 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月25日

【リアル北朝鮮】 南北「収拾つかない」 ホットラインを完全遮断=文聖姫

  前回の本欄で、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏の後継者説が浮上していると書いた。その与正氏が「対南(韓国)事業」を統括する党第1副部長であることが、最近明らかになった。
 しかし、南北関係は文在寅政権始まって以来の緊張状態に陥っている。5月31日に韓国在住の脱北者らが北朝鮮に向けて、金委員長を非難するビラを散布したことがきっかけだ。これに金与正氏が6月4日、自ら怒りの談話を発表したのだ。その内容たるや凄まじい。問題は、ビラをまいた脱北者だけでなく、それを黙認していることを理由に韓国政府を非難したことだった。
 5日には、朝鮮労働党で統一問題を担当する統一戦線部報道官が談話を発表し、「対南事業」を担当する与正氏が、自身の談話で指摘した内容を実行するための検討事業に着手するよう指示したことなどを明らかにした。与正氏は談話のなかで、開城工業地区の完全撤去、南北共同連絡事務所の閉鎖、南北軍事合意の破棄などの「対抗手段」をちらつかせていた。
 与正氏の談話に呼応する形で平壌では6日、若者らによる抗議集会が開かれた。7、8日には平壌市や地方でデモが相次いだ。各界人士らの談話が党機関紙の「労働新聞」に掲載されるなど、全国民が激怒していることをアピールした。北朝鮮は9日、首脳同士の直通連絡線を含むホットラインを遮断した。北朝鮮の怒りの矛先は、完全に韓国政府に向かったといえる。
 韓国大統領府は11日、一部民間団体(脱北者団体)による北朝鮮に向けたビラや物品の散布は、南北交流協力法、公有水面法、航空安全法などに違反するものだとして、今後は取締りを強化し、違反する場合には厳重に対応するとの政府の立場を発表した。
 だが、北朝鮮側はチャン・グムチョル統一戦線部長名の談話で、韓国政府への信頼は粉々になったとして、「北南関係はすでに収拾がつかない所まで来た」と指摘した。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年6月25日号


posted by JCJ at 07:20 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月24日

【隅井孝雄のメディアウオッチ】 安倍政権がコロナ報道で検閲=@海外メディアにも及ぶ 

            岡田IMG.jpg
 週刊ポストの最近の報道(6/5,6/12)によると、政府の内閣広報室の数人の人の係官が、テレビの報道番組、コロナ報道などをモニターし、問題発言を書き起こして政府に報告しているという。
チェックし訂正求める
 そういえば「羽鳥慎一モーニングショー」(テレ朝月〜金8:00) で安倍首相のコロナ対策後手に回っていること、医療機関へのマスクを重点的に配備すべきだとの発言を、厚生労働省が番組出演者を名指ししてツイッターで攻撃した(3/4)ことがある。
 内閣広報室のメディアチェックは、明らかな憲法21条違反の検閲と言わざるを得ない。
 週刊ポストが入手した情報公開資料によると、2月初旬から3月上旬までの40日ほどで、A4判1000枚近くに及んでいるという。特に目立つのはテレ朝の朝ワイドに出演している玉川徹キャスターやゲストの岡田晴恵白鷗大教授、更には「ダイヤモンドプリンセス号」に乗り込んで、政府の対応を批判した、岩田健太郎神戸大教授の発言などだ。報道番組やワイドショーが中心だが、情報番組の「アッコにおまかせ」(TBS、日曜11:45)での和田アツ子とIKKOとのやり取りも含まれていた。
海外メディア安倍批判
 諸外国の多くは安倍政権のコロナ政策に批判的だ。「日本はPCRの検査の少ない。日本のやり方は症状の軽い感染者を特定し、追跡することを困難にしている」(英紙ガーディアン5/4)と指摘した。
 4/23に外務省が海外メディア向けに開いた記者会見では、「もっと多くの市中感染があるのではないか」などの質問が1時間にわたって続いた。また韓国の「ハンギョレ新聞」(4/30)も「日本政府は韓国の防疫の成功を無視し、軽んじている」と批判した。(朝日新聞5/8の記事より)。
 安部首相の感染対策としてマスク2枚配布の発表(4/1)は、国内の批判に加え、海外メディアからも「アベノマスクはエイプリルフールか」(Fox News4/1)など嘲笑、揶揄が乱れ飛んだ。
 今国会で成立の予算の中に、“批判をチェックし、正しい情報流すために”との予算24億円を外務省が組んだ。主要20か国のなどのSNSをAI(人工知能)も活用して海外メディアの報道チェック、“正しい情報を発信する”という。
 厚生労働省も国内海外に向けて「ネガティブ情報の払しょく」、「正しい情報の発信」を行う予算35億円が組まれた。
 外務省、厚生労働省、内閣広報室、内閣官房インフルエンザ等特別対策室は一体となって国内、海外の政府批判阻止の動きを強めているのが現状だ。
 NHKは指定公共機関
 「改正新型インフルエンザ対策特別措置法」では日銀、赤十字などと並んでNHKが指定公共機関とされた。従来から政権寄りのNHKは、政府のコロナ対策への協力にアクセルがかかっている。国境なき記者団(本部パリ4/8)、日本ジャーナリスト会議(4/11)、などが独立した報道を阻害するとして反対声明を出し、NHKを指定から外すよう要求している。
政府の要請放送
 160の国地域へテレビ国際放送(NHKワールド)や、ラジオ国際放送(短波)、インターネットニュースサイト(Japan On Line、17ヵ国多言語)など、NHKの海外向けの情報発信では、在留日本人の生命、身体にかかわる事項、国の重要政策などで政府の要請があれば、それを受け入れることになっている。4月1日に総務省が発表した2020に年の要請放送の項目には「新型コロナウイルス感染症に関する国内の最新状況に特に留意すること」が付け加えられた。
 このままではNHKは政府広報機関に陥ることになる。
 NHKを指定公共機関から外すよう求めるとともに政府の要請報道に応じないようNHKに求める必要がある。
隅井孝雄(ジャーナリスト)

posted by JCJ at 09:18 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月10日

【リアル北朝鮮】 劇的演出で噂払しょく 浮上する金与正後継者説=金聖姫

 今回の「金正恩重体説」騒ぎを見て、34年前の出来事を思い出した。「金日成死亡説」である。1986年11月、金日成主席が死亡したというニュースが世界中を駆け巡ったが、彼が訪朝したモンゴルのバトムンフ人民革命党書記を空港に出迎えたことで打ち消された。
 金主席死亡説が飛び交う間も北朝鮮は沈黙を守っていたが、これ以上ない劇的な演出で噂を払しょくして見せた。中国やロシア(当時はソ連)の指導者でもない、モンゴルの指導者を金主席が空港まで出迎えるのは異例だった。北朝鮮が噂を意識したのは間違いなかった。
 4月12日以降、動静が途絶えていた金正恩朝鮮労働党委員長は、5月1日、平壌の西北にある平安南道・順川の肥料工場竣工式に出席し、健在をアピールした。
 金委員長に関しては、15日の故金日成主席の生誕記念日に遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿に参拝したことが報じられず、にわかに動静が注目された。20日には韓国のインターネットサイト「デイリーNK」が「12日に心血管系の手術を受けて療養中」と報道。翌21日には米CNNが「重体説」を報じたことで、「金正恩重体説」が世界を駆け巡った。だが、34年前と同様、金委員長が公の場に姿を現すことで北朝鮮は噂に「答えた」。
 そもそも、外部で騒いでいただけで、北朝鮮では特異な変化は見られなかった。韓国政府も否定していた。北朝鮮は外部が騒いでいるからといって、いちいち反応する国ではない。1日に肥料工場竣工式に姿を現したのも、日程を粛々とこなしたと言えなくもない。もちろん、世間の噂は十分に意識していただろうが。
 今回の「重体説」でにわかに浮上しているのが、妹の金与正氏(朝鮮労働党第1副部長)後継者説だ。1日の竣工式では、金委員長の二人目横に座るなど、権威が高まっていることをうかがわせる。4月11日の党中央委員会政治局会議では、政治局委員に返り咲いた。今後の動きが注目される。
 文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

posted by JCJ at 09:30 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月27日

フリー記者が見た安倍首相会見の現実 質問までなんと7年余 首相の「言いっぱなし」を許す 官邸とクラブのなれあい儀式=畠山理仁

 第二次安倍政権下で、たった一度の質問機会を得るまでに、7年3カ月以上もかかった。
 信じられないかもしれないが本当だ。これはフリーランス記者である私が4月17日に体験した「安倍首相記者会見の現実」である。
                      DSC_6622.jpg
 私が首相官邸で開かれる首相会見に初めて参加したのは、2010年3月26日のことだ。従来は内閣記者会(記者クラブ)のメンバーに参加者が限られていた首相会見が、民主党の鳩山由紀夫首相時代に一部のフリーランス記者にも開放された。それをきっかけに私も参加し始めたのだ。
 民主党政権時代は、私を含むフリーランスやネットメディアの記者にも質問の機会があった。しかし、2012年12月26日に第二次安倍政権が発足すると、フリーランスの記者はまったく当てられなくなった。その期間は7年以上。完全な異常事態である。
 そこに風穴を開ける事件が今年2月29日に起きた。この日、安倍首相が会見をわずか36分で打ち切って立ち去ろうとすると、フリーランスの江川紹子氏が「まだ聞きたいことがあります」と声を上げたのだ。
 この様子はNHKの中継で流れた。しかし、首相は江川氏の声を無視して私邸に帰ってしまった。
 江川氏がこの顛末をSNSで報告すると、安倍首相に対する世間からの批判は一気に高まった。
 ここで潮目が変わり、その後に開かれた6回の首相会見では、毎回必ずフリーランスの記者が指名されるようになった。
厳し過ぎる参加条件
 首相会見の実態は、記者であっても知る者は少ない。そこで、まずは素朴な疑問に答えたい。
「セキュリティチェックはあるのか?」
→ある。アポイントはもちろん、身分証明書の提示や金属探知機の通過が必要だ。現在は新型コロナウイルス対策のため体温も測られる。「密を避ける」という理由で、会見場所も換気の良い2階ホールに移された。従来の会見室には約120席あった記者席が29席まで減らされた。そのうち19席は内閣記者会の常任幹事社の指定席。残りの10席を記者クラブ以外の記者が抽選で争っている。
「参加したらお金をもらえるの?」
→一切もらえない。こちらから払うこともない。
「誰でも参加できるの?」
→できない。
 正直に言う。記者クラブ以外の記者にとって、首相会見に参加するハードルは高すぎる。
 まず、フリーランスの場合は条件をクリアして、「事前登録者リスト」に名を連ねる必要がある。
 第一の条件は、日本新聞協会や日本雑誌協会などの加盟社が発行する媒体に「署名記事等を提供し、十分な活動実績・実態を有する者」。
 第二の条件は、前述した団体加盟社からの「推薦状(証明書)」だ。
 さらに、「直近3ヶ月以内に各月1つ以上の記事等」を毎回提出する。記事内容も「総理や官邸の動向を報道するもの」に限られている。
 いま、フリーランスで「事前登録者リスト」に載っている者は10人ほどしかいない。全員が民主党政権時に登録した記者たちで、自民党政権下では一人も新しい登録者がいない。ハードルが高すぎるため、申請しても官邸側に断られるのだ。
追加質問できない
 そもそも、首相会見には「台本」がある。冒頭20分ほどは首相が演台横のプロンプターに映し出された演説原稿を読む。それが終わるとプロンプターが下がり、記者との質疑応答に移る。
 フリーランスは質問の事前通告をしていないが、内閣記者会からの質問は官邸側が把握している。
 しかも、演台中央にはモニターが埋め込まれており、首相の手元には想定問答のファイルもある。
 質問者は長谷川榮一内閣広報官が指名する。質問は「一問一答」だから、首相が曖昧に逃げても追加質問ができない。結果的に首相の「言いっぱなし」を許すことになる。
 つまり、会見の主催者たる内閣記者会は、権力側に主導権を握られたまま、「台本通りの儀式」に付き合わされているのだ。
 これで本当に会見と呼べるのか。内閣記者会の奮起に期待したい。
畠山理仁(フリーランスライター)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年5月25日号

posted by JCJ at 11:23 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月23日

 コロナ利用し改憲? 緊急事態で自民提案=丸山重威

       P1020178.JPG
 新型コロナウイルス感染で、安倍首相は4月8日、東京、埼玉、神奈川、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に「非常事態宣言」を発令、16日これを全都道府県に拡大した。国民の行動や営業規制を伴う宣言だが、首相はこれを改憲に結びつけようと躍起。惨事を利用して、社会の仕組みや制度を変える「ショックドクトリン」が露骨に動き出している。
国会で堂々と改憲論
  安倍首相は7日の衆院議院運営委員会で「新型コロナウイルス感染症への対応も踏まえつつ、国会の憲法審査会の場で、与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを期待したい」と述べ、憲法審査会での改憲論議を要求した。首相は「緊急時に国家や国民がどんな役割を果たし、国難を乗り越えていくべきかを憲法にどう位置づけるかは極めて重大な課題」とし、自民党が提案している改憲4項目のうちの「緊急事態条項」を上げ、改めて意欲を見せた。
定足数や選挙で提起
 一方、自民党は憲法審査会の新藤義孝・自民党筆頭幹事が、3月19日と4月3日、山花郁夫・野党筆頭幹事(立憲民主党)らに幹事懇談会や審査会を開くよう求めた。
 新藤氏の提案は「緊急事態における国会機能の確保」をテーマに審査会で議論しようというもので、@国会議員に感染者が広がった場合、定足数を満たす方策や国会機能を確保する方策はあるかA例えば現在の衆院議員の任期は来年10月21日までだが、感染症が収束せず選挙ができず、議員不在になった場合、どう対処するか―を上げた。 当然野党は拒否。だが自民党改憲推進本部は、党関係の会議がほとんど中止されている中で4月10日、会合を開き約50人が集まった。
口火切る「維新」
 もう一つ見逃せないのは日本維新の会の動き。コロナを利用した改憲論の口火を切ったのが維新の馬場伸幸幹事長で、1月28日の衆院予算委で「コロナウイルスの感染拡大は非常に良いお手本になる」「緊急事態条項について国民の理解を深めていく努力が必要だ」と安倍首相に質問。首相は「今後想定される巨大地震や津波等に迅速に対処する観点から憲法に緊急事態をどう位置付けられるかは大いに議論すべきもの」と答えた。
 7日の安倍発言も維新の遠藤敬議員が「国が国民生活を規制するに当たっては、ある程度の強制力を担保するため緊急事態条項が必要だ」との質問への答弁で、維新は事実上「安倍改憲答弁引き出し役」になっている。
コロナ・ファッショ
  改正する必要がなかった「新型インフルエンザ特別措置法」を安倍政権があえて改正したのは、「緊急事態」をクローズアップするためだった、とも言われる中で、「緊急事態宣言」をする機会ができたいま、「コロナ感染防止」→「行動や営業など私権の制限」→「非常事態宣言」の道筋には警戒が必要だ。ナチスの独裁は「国会の停止・首相への全権委任」に始まり、日本の戦前・戦中のスローガンは「ほしがりません勝つまでは…」。これを繰り返すわけにはいかない。
丸山重威
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

 
posted by JCJ at 12:55 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月25日

【リアル北朝鮮】 金委員長らマスクせず コロナ対策万全誇示=文聖姫

 4月15日、韓国では4年に一度の国会議員選挙が行われ、与党(共に民主党と比例政党・共に市民党)が過半数を超える大幅な議席を獲得して圧勝した。新型コロナウイルスへの文在寅政権の取り組みが評価されたことが大きい。
 前日の朝、北朝鮮は東部の江原道・文川付近から日本海に向けて、数発の飛翔体を発射した。韓国軍合同参謀本部によると、巡航ミサイルとみられる。巡航ミサイルなら、発射が確認されるのは2017年6月以来(「朝日新聞」20年4月15日付)だ。
 韓国の総選挙を意識したのかもしれない。15日は金正恩氏の祖父、故金日成主席の生誕日でもあるので、それも関連しているかもしれない。
 北朝鮮の国会にあたる最高人民会議が12日、平壌の万寿台議事堂で開かれた。当初は10日に予定されていたが、2日間延期された。延期の理由は定かではないが、代議員ではない金正恩氏は欠席した。
 主な議題は、昨年の事業報告と今年の課題、昨年と今年の国家予算審議である。再資源化法、遠隔教育法、除隊軍官生活条件保障法の三つの法律も採択された。いくつかの人事も発表された。
 北朝鮮でも新型コロナウイルス対応に国家を挙げて取り組んでいる。最高人民会議の前日に開かれた朝鮮労働党中央委員会政治局会議の第一議題は、新型コロナウイルスから国民の生命と安全を守るための対策を立てることだった。
 こちらの会議には金正恩氏も参加した。会議の報告では、最初の段階から超特別クラスの非常防疫措置を稼働させるなどして安定的な防疫態勢を維持している点、ウイルスの流入を遮断するための対策を引き続き厳格に実施する点などが指摘された(朝鮮中央通信12日報道)。
 そのおかげか、北朝鮮では「一人の感染者も発生していない」(会議報告)という。それを誇示するかのように、写真で見る限り、最高人民会議の参加者は誰一人マスクをしていなかった。
文聖姫(ジャーナリスト・博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年4月25日号

posted by JCJ at 16:38 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする