2020年01月10日

【支部リポート】 福岡 「大きな敵と闘っている」 植村隆講演会に100人超=白垣詔男

 昨年秋、福岡支部に加入した西嶋真司さん(支部幹事、RKB毎日放送OB)の仲介で、今年8月4日(日)、元朝日新聞記者、植村隆さんの講演会を主催して開いた。懇意にさせてもらっている「九州民放OB会」に呼び掛けて共催になってもらった。

 支部主催の講演会は、直近がいつだったか思い出せないぐらい久し振りなので、何人入れる会場を確保すればいいのかから始まってチラシ作成、宣伝方法など五里霧中だった。

 一番、頭を悩ませたのが、「参加者が何人になるか」だった。そもそも植村さんを知っていて話を聞いてみようという人がどれぐらいいるのか。宣伝しすぎて参加者があふれてもいけないし、かといって参加者が極端に少ないと植村さんに失礼だし…。とりあえず、日刊紙にチラシを送ったが、反応がなかった。そこで、記者を知っている、そのうちの2紙に直接「告知」してくれるように頼んで書いてもらった。諸集会などでもチラシを配った。

 結果的に、80人弱座れる会場に100人超の参加者が集まり、座れない30人超は約2時間も立ったままだった。主催者としては心苦しい限りで、冒頭に「お詫び」を申し上げた。植村さんも話の初めに、座れない方々に「お詫び」をしてくれた。植村さんのお心遣いに頭が下がった。

 さて、講演会では、初めに西嶋さんが監督として制作中の、植村さんを主人公にした映画「標的」のダイジェスト版を上映、西嶋さんが解説をした。

 その後、登壇した植村さんは、自らの経歴を交えて、裁判についての説明、解説を熱く語った。その中で、植村さんが、安倍首相と裁判の被告・櫻井よしこさんの「親密な仲」を解説して「私は、大きな敵と闘っている」と解説したのが深く印象に残った。

 なお、当日集めた資料代は、「標的」制作に向けてクラウドファンディングで資金を集めていた西嶋監督に全額、カンパした。                   

白垣詔男

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2019年12月31日

核兵器使用は犯罪 非武装こそ真の平和 ローマ教皇 被爆地・広島で訴え=沢田正

 ローマ教皇(法王)フランシスコ(82)は11月23日から25日にかけて初来日し、被爆地の長崎と広島で演説。「戦争のため原子力使用は犯罪。核兵器保有自体が倫理に反する」と断罪し、カトリック教会は「核兵器禁止条約を含め核軍縮と不拡散に関する国際的な法的原則に則り行動する」との決意を表明した。
 世界で13億人の信者を擁するカトリック教会の長である教皇の被爆地訪問は38年ぶり2回目。24日午前に訪れた長崎では爆心地公園で演説し、「武器の製造、改良、維持、商いに財が費やされ、日ごと武器はいっそう破壊的になっている。これらはテロ行為」と厳しく批判。世界の政治指導者に「核兵器は国家の安全保障への脅威に関して守ってくれるものではない。人道および環境の観点から核兵器使用の壊滅的な破壊を考え、核の理論による恐れ、不信、敵意の増幅を止めなければならない」と呼びかけた。

切り開く3つの力
 次いで夜に広島入りし、平和記念公園で被爆者やさまざまな宗教の代表者ら2000人が参加する「平和のための集い」に臨み、被爆者二人の証言を聞いたあとにスピーチ。「この場所のすべての犠牲者を記憶にとどめる。また生き延びた方々の強さと誇りに深く敬意を表する」と述べ、「思い出し、ともに歩み、守ること、この三つは、平和となる道を切り開く力があり、現在と将来の世代がここでおきたことを忘れてはならない」と被爆地の記憶の普遍性を指摘。また「紛争の解決策として核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながらどうして平和を提案できるだろうか。真の平和とは非武装の平和以外にありえない」と世界に訴えた。
 バチカン(教皇庁)は東西冷戦時代、抑止力として核兵器を容認していたが、2013年就任の教皇は核抑止を否定。バチカン市国は17年7月に国連で採択された核兵器禁止条約を同9月に批准した。条約は50カ国が批准した90日後に発効する。全核保有国が条約に後ろ向きだが、教皇が滞日中にアンティグア・バーブーダが34番目の批准国となり、発効への流れはもはやとどめ難い。
 ストックホルム国際平和研究所によると、今年1月時点で世界の核弾頭数は9カ国計約1万3865個、前年より600個減ったものの世界を何回も破滅させる量だ。米ロが全体の約9割を保有するが、トランプ米政権は中距離核戦力(INF)全廃条約から一方的に離脱し、同条約は今年8月に失効。INFと並び核軍縮の要となってきた新戦略兵器削減条約(新START)も21年の期限切れ後の先行きは不透明だ。その一方で、両国とも新たな核巡航ミサイルの開発に乗り出すなど核軍拡に転じている。
 また米国の「核の傘」に依存、追随する日本政府は禁止条約に反対し、批准しないと公言している。

被爆者をよく理解
 今年3月末時点の被爆者健康手帳保持者の平均年齢は82・65歳。被爆者や被爆地の市民が、核なき世界の実現へ向けて教皇の発信力へ期待するものは大きい。
 教皇と握手した広島県被団協の佐久間邦彦理事長(75)は「広島のメッセージを世界に呼びかけてくださいと伝えた。生きて記憶を語り、核兵器をなくしていこうと言っている、被爆者のことをよく理解されている。原子力を戦争に使うのは犯罪といわれたことはうれしい」と語る。
 生後9カ月で爆心から3`の自宅で被爆、母に背負われて避難場所に向かう途中で黒い雨も浴びた。被爆者の相談活動に携わるが、今でも「被爆者手帳を取得したい」「原爆症の認定を受けたい」という相談を受けるという。「原爆は昔のことではなく今のこと。核兵器をなくすのは、今のわれわれ自身の問題ということを市民社会に訴えるのに教皇のメッセージは大きな意味がある」と、教皇の被爆地訪問を高く評価した。

沢田正(広島支部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2019年12月30日

【出版部会例会】アマゾン「ひとでなし」企業だ 秘密主義、労働者酷使、税金逃れ 潜入ルポ・横田増生さん講演=土居秀夫

 出版部会では、あらゆる分野の支配を狙うアマゾンの実像を知ろうと、流通現場への潜入ルポを執筆・刊行した横田増生さんを講師に招き、「『amazon帝国』の現場を撃つ―いま何が起きているか」と題した講演会を11月22日、都内で開いた。

5人死んでいる
 横田さんがアマゾンの小田原流通センターに作業員として再度の潜入を果たしたのは2017年。02年の潜入時と比べ、東京ドーム4つ分というセンターの巨大化と、かつては本が中心だった商品の多様化に驚かされたが、何よりも労働者管理の徹底が凄まじかった。
 商品を棚から抜き取るピッキング作業にもハンディスキャナーが使われるようになって、各人の作業効率が記録・公表され、労働者を追い立てる。しかしいまだに手作業が中心で、自ら計測した横田さんは、センター内を一日20qも歩いたという。
 小田原センターでは13年以降、5人が死亡している。人が倒れても、現場から119番通報ができない。アルバイト作業員から上の社員まで情報が伝わるのに時間がかかって、手遅れになるのだ。秘密主義のアマゾンは、労働者の死亡について一切語らない。横田さんは自身の潜入経験から、ユニクロは「ろくでなし」だが、アマゾンは「ひとでなし」だと言い切った。

世界3位の市場
 イギリスでは11年、議会でアマゾン問題の公聴会が開かれた。以来、サンデーミラー紙やBBCなどが毎年のように潜入取材を行っているが、日本では自ら取材するマスメディアはない。今やあらゆる商品を扱うアマゾンにとって、日本はアメリカ、ドイツに次ぐ世界3位の市場だが、政治家も含めてものを言う人が少ないのはおかしい、と横田さんは訴えた。
 アマゾンの最大の問題のひとつが租税回避(タックスヘイブン)だ。創業者のジェフ・ベゾス氏は、創業前、アメリカ先住民居住地に本社を置いて税逃れを企てるなど、その手法は一貫している。いくつもの州では売上税をめぐる裁判を起こされ、アマゾンは敗訴した。とはいえ、アマゾンジャパンが日本で払った法人税は14年の10億円のみ。書籍だけでも2000億円近い売り上げがあるので、限りなく違法に近い状態だ。

狙われる出版界
 アマゾンは送料無料のプライム会員制、学生割引などで書籍の再販売価格維持制度を無視している。それだけでなく、中小出版社に対し、好条件の直接取引を持ちかけるが、最終的には本来書店の取り分であった価格の22%を40%にするなど、アマゾンが最も利益を得ることになる。これに反旗を翻すどころか、出版社の多くはアマゾンに対して口をつぐんでいると、横田さんは指摘した。
 講演の終わりに、ドイツのアマゾンで労働組合が結成され、ライプチヒでは1500人中700人まで組織したこと、組合員の増加に伴い時給が上がったことを紹介。労働者軽視を止めさせるには労働組合が必要だと、横田さんは強調した。そして、大手メディアがアマゾンの租税回避や労働の実態をもっと取り上げるべきだし、政官の監視と指導が欠かせないと締めくくった。
 講演後の質疑では、アマゾンの消費税の支払い方への疑問やフェイクレビュー、売り上げの半分以上を占めるマーケットプレイスの問題などが取り上げられ、充実した議論になった。 

土居秀夫

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2019年12月29日

【ジャーナリスト講座】ワンテーマずっと追求 フリーランスライター・畠山さん=橋詰雅博

 「広報担当者から『あなたは誰ですか』と聞かれて、フリーランスライターと答えてもラチが明かないときは、『日本国民です』と言います。これキラー・フレーズ≠ナすよ」――フリーランスライターの畠山理仁さん(46)は大まじめにこう言った。 
 12月11日の「フリーランスの世界―その利点と難しさ」は、笑いと驚きが混じるちょっと愉快なJ講座だった。

勤め人経験ない
 講師の畠山さんは早稲田大学第一文学部在学中から雑誌などに原稿を書いてきた。勤め人の経験はなく、26年間もフリーでライター活動を続けている。 
 注力するテーマは政治家と選挙だ。とりわけ泡沫候補者≠精力的に取材。大手メディアから無視され、誰も関心を持たないからだ。勝ち目がなくても実現したい政策を訴えたくて出馬する泡沫を畠山さんは無頼系独立候補≠ニ呼ぶ。約20年間のその独自の戦いをまとめた著書「黙殺 報じられない無頼系独立候補≠スちの戦い」(集英社)は、2017年開高健ノンフィクション賞を受賞した。
 畠山さんはフリーランスの利点をこう挙げた。
・個人事業主だから上司も面倒な部下もいない
・毎日満員電車に乗らなくて済む
・嫌な仕事は断れる
・自分の興味や関心で仕事ができる
 畠山さんは「興味あるテーマを追い続けられるのが最大の利点」と言う。畠山さん場合、そのテーマは無頼系独立候補者だ。
「どの候補者もインパクトがあり、政治を真剣に考えている人が多い。よく『選挙に出れば』と言われるが、取材する方がはるかに面白い」(畠山さん)。

アルバイトも
 一方、不利な点は何か。
・会社の看板がない
・相手から信用されない
・潜在的無職
・お金のことが心配
 畠山さんは「やはり経済的に苦しい。ライターの仕事のほかに掃除や引っ越しの手伝い、エキストラなどのアルバイトもやっています。ノンフィクション賞の賞金300万円は借金の返済であっという間に消えてしまった」と話す。
 とはいえ落ち込んではいられない。
「後ろ向きの考えになったら精神的に参ってしまう。好きな仕事をやっていることを忘れないように心掛けています」(畠山さん)
 フリーランスの世界は厳しい。しかし、これと思ったテーマを長く深く取材ができる。

 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2019年12月28日

【編集長EYE】政府推進の5G 人体への悪影響ひそむ=橋詰雅博

 国家安全保障会議(議長・安倍晋三首相)の事務局を担う国家安全保障局(局長・北村滋前内閣情報官)に来年4月に経済政策を立案する「経済班」が新設される。米国家経済会議(NEC)にならったこの日本版NEC≠ヘ、経済的手段を介して国の安全保障を追求する「経済安保」がその役割だという。手がける目玉政策が次世代の高速移動通信方式「5(ファイブ)G」の普及と促進だ。

 5Gは、超高速、大容量、低遅延、多接続が特長とされる。AI(人工知能)や自動走行車、ロボットなどにつなげて実用化すれば、あらゆるモノがネットでつながるIoTが実現されて日常生活が飛躍的に便利になると喧伝されている。経済班が練った計画をベースに安倍晋三政権は来春実用化サービス開始に向けて企業が5G投資を前倒しできるよう税制優遇支援策を打ち出し通信網の拡充を早急に実現しようとしている。ここには5G関連機器で先行する中国ファーウェイの市場への進出を阻む狙いがある。これはトランプ米政権の意向も反映されている。

 しかし5Gには人体への悪影響が懸念される。周波数が現在のスマホに用いられる4G(3、6GHz以下)よりも高く、最高が28GHzだ。携帯電話などの電磁波による頭痛やめまい、睡眠障害など「電磁波過敏症」が増えている。日本では人口の3〜6%が電磁波過敏症と言われる。しかも電磁波は周波数が高くなるほど波長が短いので、建物などに阻まれ、遠くまで届きにくい。このため5G基地局を約100bごとに設置が必要。東京では、都有施設、公園、電柱、地下鉄、バス停などに設けられる。

 そうなると電磁波被曝量が著しく増える。「健康への恐れがある」とベルギーのブリュッセル首都圏地域やスイスの4州などでは5G導入の一時停止を決めた。

 日本でも市民団体が基地局設置の反対運動を始めている。5Gのウラには健康を害する危険リスクが潜む。

 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年12月25日号
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2019年12月27日

【沖縄リポート】 辺野古埋め立て完了100年かかる?=浦島悦子

 辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会(土砂全協=土砂搬出予定地とされる西日本7県の市民団体などで組織)は12月2〜4日、沖縄島の中部、南部、北部の島ぐるみ会議各ブロックと共催で、「沖縄―全国の連帯で辺野古埋め立ては止められる!」連続学習会を開催した。3日間で300人以上の県民が参加し、今後計画されている大浦湾地盤改良工事の問題点や沖縄県土砂条例の改正について学んだ。

 学習会の講師はいずれも土砂全協顧問の3人。湯浅一郎氏(ピースデポ共同代表)は、「現在強行されている埋め立ては民主主義と地方自治の破壊であると同時に、生物多様性条約・国家戦略に真っ向から反し、国家による未来世代に対する犯罪行為」だと述べ、「マヨネーズ状」と言われる軟弱地盤の改良工事に使う砂杭7万7千本及び敷砂として必要な650万㎥(沖縄県の年間海砂採取量の3〜5年分)の砂採取は県内外に深刻な自然破壊をもたらすと強調した。

 北上田毅氏(沖縄平和市民連絡会/土木技師)は、「軟弱地盤問題は想像以上に深刻」「新基地の完成時期も総工費も全く見通しがつかない」と述べた。末田一秀氏(元大阪府環境行政担当)は地盤改良工事に使用される可能性の高い鉄鋼スラグの危険性と、沖縄県土砂条例(埋め立て用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)を、行政指導から法的強制力を持たせるよう改正する必要を説いた。

 連続学習会途中の3日は、沖縄防衛局が民間企業である琉球セメントの安和桟橋から不法に埋め立て土砂搬出を強行開始してから1年目に当たり、桟橋に隣接する護岸を挟んで海・陸連帯抗議集会が行われた。海には66艇のカヌーと抗議船4隻の80人、陸には150人が参加。土砂全協の阿部悦子共同代表、3人の顧問ほか各地からも駆けつけ、連帯を確認した。

 辺野古側埋め立て区域への土砂投入開始から1年目の12月14日には、辺野古で海上抗議行動が行われたが、1年間で投入できた土砂量は全体の約1%余。単純計算でも100年はかかる?ことになり、その間、海は日々破壊されていく。国民の血税の壮大な浪費を許さないためにも来年こそ、この愚行を止めたい。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
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2019年12月26日

【香川支部】国家との対峙が戦争を妨げる 12・8高松集会=刎田鉱造

「12.8 日米開戦の日に考える」と題して集いを持ちました。主催はJCJ香川支部などが参加している「8・15戦争体験を語りつぐ集い実行委員会」。今年は8月15日が台風に直撃され中止のやむなきに至りました。そこで12月には同じテーマ、同じ講師で集いを持つことにしました。 
 「戦争で解決するしかないの〜社会の分断を超えて」と題して、饗場和彦・徳島大学教授の話を聞きました。「戦争の惨禍いくら語っても戦争は防げない」と話し、「理性で市民をだましにかかる政府・国家と対峙してこそ戦争をなくすことにつながる」と強い言葉で訴えました。

 会場とのやり取りで「先の戦争では日本だけが悪いわけではない」の声があり、これには「そのことだけをとらえて」全体のように話す傾向がある。注意しなくてはいけない」という意見が出されました。また戦争遺跡を調査する問題をめぐっては「韓国人徴用工を働かせた工場や彼らが作った橋など施設を記録していくことも大事だ」と今の課題が論議されました。
 この日午後からは高松駅前で日米共同訓練に伴いオスプレイが香川県の自衛隊演習場に来ていることに対する緊急抗議集会が開かれました。集い参加者も「オスプレイ来るな」とシュプレヒコールを上げました。

はねだ鉱造(香川支部)
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2019年12月02日

【支部リポート】 東海 「報ステ」元女性CPの講演に協力 活気があった3つの学習会

 8月1日に開幕した「表現の不自由展・その後」が脅迫・攻撃を受け3日で中止された。さらに南彰新聞労連委員長を講師に迎えて、充実した「8・15平和を語る名古屋集会」にしようと準備を進めていたのに、台風10号が直撃すると分かって、急きょ中止した悔しさを晴らそうと企画した勉強会が機縁となって、学習活動が活気づいた。

 昨年から続いている連帯ユニオン関西生コン支部という産別労組弾圧事件をテーマに選び、9月3日に愛知駐在の同支部執行委員、元座毅さんを講師に学習会を開いた。東海では大垣署市民監視事件など共謀罪の先取りと言われる事例が続発、同じ共謀罪型事件とあって、私たちは注目した。
 昨年8月からこれまでに、さみだれ式に組合員ら延べ87人が逮捕、1年以上も拘留されている人もいるのに、報道はほとんど沈黙。たまに取り上げれば警察発表の垂れ流しという奇怪さに、参加者から質問が相次いだ。

 同じ頃、愛知県の市民団体「町づくり懇談会」が10月27日、テレビ朝日のイベント事業戦略担当部長、松原文枝さんを招き「テレビ現場メディアの現場から」と題した講演をしてもらうが、この企画に協力してほしいと支部に依頼があった。
 松原さんは、人気番組「報道ステーション」のチーフプロデューサーとして活躍した人で、協力・提携に異論はない。当日は参加者約60人を前に、講演後の質疑で1時間余、現役の部長として答えづらい難問にも逃げずに、丁寧に回答し、学習活動の役割を見事果たした。
 それから1週間後の11月4日、今年度のJCJ賞を受けた山形放送制作のドキュメンタリー「『想画』と綴り方〜戦争が奪った子どもたちの心=vを見る会が開かれた。東京での上映会に参加した丹原美穂幹事が、その場で伊藤清隆・山形放送報道制作局長にお願いして、DVDを貸していただき実現した。

 戦前、文化教育は共産主義的だとして教壇を追われた青年教師・国分一太郎の見た悪夢と、現代における「表現の不自由」体験がピタリ重なったことを改めて痛感した。
 こう見てくると、3者3様の学習だったが、今後も多彩な活動を追求していきたい。

古木民夫  

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
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2019年11月30日

【沖縄リポート】 首里城焼失 琉球の歴史を見直すとき

 この間の沖縄での最大の事件といえば、やはり首里城の焼失だろう。10月31日の朝、テレビ画面に映った、燃え盛り崩れていく首里城の姿は私自身大きな衝撃だった。

 しかしその後の「首里城再建フィーバー」とも言えるような現象には、いささか違和感を覚えている。首里城は「沖縄の象徴・誇り」「県民の心のよりどころ」と誰もが口を揃え、燃えたその日から「再建」に向けた動きが始まり、日毎に勢いを増した。玉城デニー知事は翌11月1日、早速上京して政府に再建への協力を要請。菅義偉官房長官は「全力で取り組む」と応じた。
 地元紙は連日、紙面の多くを割いて若者たちや県内各界の募金活動、県外からの支援など「再建美談」を報道し、NHKは「再建に向けて官民がどれだけ協力できるかが課題だ」と繰り返した。自民党県連は「国営公園である首里城を、管理者である県が焼失させたことをまず(国に)謝罪すべきだ」と主張した。

 31日、辺野古の座り込み現場でも首里城焼失が話題になったが、「首里城が燃えるのを見たとき、あ、これは(政府に)利用される!と真っ先に思った」「首里城は大切だが、辺野古の海はもっと大切だ。自然がなければ文化も生まれない」などの意見が拍手を浴びた。
 集客力のあった首里城の焼失は沖縄観光にとって大きな痛手であり、一日も早い再建を願うのはわかる。沖縄戦で焼失した首里城を並々ならぬ努力でようやく復元(1992年)した研究者・技術者・関係者の悔しさも当然だ。しかし、今必要なことは、やみくもに再建を急ぐのではなく、これを機に、琉球・沖縄の歴史を日本・中国との関係も含めて県民自らがあらためて検証し、問い直す作業と並行しながら、時間をかけて行うことではないか。

 11月2日の『琉球新報』論壇で、沖縄出身の若き大学院生・町田星羅さん(宇都宮大学で琉球諸語復興の研究をしている)は、首里城焼失を琉球諸語の未来と重ねながら次のように述べている。
 「もう一つの琉球文化を支える私たちの言葉は、……最後の灯を燃やしている。この火が消えてしまう前にできることがある。歴史をひもとき、次世代に何を残すのか。私たちは今、自分を見つめ直す時期にある」

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
 
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2019年11月26日

【編集長EYE】 フリー置き去り ハラスメント指針案=橋詰雅博

 厚生労働省によると、2018年度に寄せられた個別労働相談のうちパワーハラスメントなどの「いじめ・嫌がらせ」は8万件超に上り過去最多。相談内容別でも25・6%を占めて7年連続トップだ。

 増え続けるハラスメントに関し、正社員より立場が弱いフリーランスの実態を日本俳優連合とMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)フリーランス連絡会、フリーランス協会の3団体が調査し、9月末に公表している。1218人がアンケートに答えた中で具体的なケースはこんな内容だ。

・打ち合わせと称して、ホテルに呼び出されレイプされた(女性40代、映像制作者)

・元大学教授の財団理事長からヒヤリングの場所を日帰りが難しい距離にある別荘を指定された。双方の仕事場が都内にあるのに、毎回、別荘以外では会わないと電話で言われる(女性40代、研究職)

・社長から打ち合わせの後にホテルのバーに連れていかれました。早めに帰ろうとしたら、手を握られました。拒否して帰りましたが、以来、それまでべた褒めだった私の原稿をことごとくけなすようになりました(女性20代、脚本家)

・ファックスで送れば自宅でできる仕事なのに、夜中にわざわざ自宅から2時間もかかるオフィスに来るように強要された(女性50代、編集者)

・主催者の自宅で稽古をすると言われて行ったら、お酒を飲まされて性的な行為をさせられた(女性20代、女優)

 問題はこのようなフリーランスが5月に成立したハラスメント規制法の対象外になっていることだ。厚労省が10月末に労働政策審議会に提示した同法指針素案では、企業は注意を払って欲しいにとどまっている。これでは横行するフリーランスを取り巻くハラスメント状況は、一向に改善されないだろう。

 6月に採択されたハラスメント禁止を求める国際労働機関(ILO)条約の基準より緩い指針案は、フリーランスを置き去りにしようとしている。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年11月25日号
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2019年11月08日

吉田博二さんを悼む 音響技術の名手 元民法労連役員=茂木章子

 吉田博二さん死亡の一報を受け、私は驚愕と疑問そして失望に打ちのめされた。一年ほど前から病気の症状に適合する薬を探す治験のため突き一回近所の大病院に通院していると聞いていた。JCJに来るのは以前より減少していたが、いつも変わらず寡黙な笑顔で作業に集中、時にはきつい冗談を発しみんなの笑いを誘っていた。現役時代は会社も異なり職場も違うので彼との付き合いはなかった。少し伝わっていたのは組合の委員長時代の労務要件獲得と賃金アップの華々しい成果と武勇伝は喧伝されていた。

 博二さんが年々ごろJCJの会員になったか私の記憶は不確かだ。彼によるとJCJか民放組合の主催による沖縄支援に旅行会で私に拉致され有無を言わせず入会させられたと、あの笑顔で放言していたようだ。

 几帳面で正確性高くきれい好きの彼は、常に手を動かし機材の手入れもよく行い、零細運営社員の見本のようであった。JCJ本部の何個もある白いテーブルも、汚れはもちろんのことボールペンの傷も消しゴムや消毒液で黙々と吹いていた。この性格は飲み会でも発揮され、一定量のむとどんなに座がにぎわっていても、お先にと多めの支払いをして帰宅する。メディアの人達は良く飲み議論をし座を沸かせる種族といわれるが、彼はどんな席でも笑顔でうるさい連中の話を聞いていた。

 これからも集会・講演・小森チャンネル等の取材は絶えないが、吉田さんの音響の仕事は外部に依頼し、その都度出費となり頭の痛いことである。

 とにかく安心して一つの物事を任せ続けてきた吉田さんの存在感の大きさにあらためて感謝したい。   

 茂木章子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年10月25日号
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2019年11月05日

【リアル北朝鮮】 白頭山登頂で決断? 金委員長自立繁栄を強調=文 聖姫

 「敵がいくら執拗にあがいても、我々は我々の力でいくらでも良い暮らしができ、我々式で発展と繁栄の道を切り開いていけるというのが、試練と困難を踏みしめ奇跡と遺勲でより飛躍した2019年の総括」

 金正恩・朝鮮労働党委員長は中朝国境の三池淵郡を訪れた際、意味深な発言を行った。冒頭はそのひとつだ。16日発の朝鮮中央通信が伝えたが、訪問の日時は明らかにしていない。

 この視察で金委員長はこうも述べた。「米国を首位とする反共和国敵対勢力が朝鮮人民に強要してきた苦痛は、もはや苦痛ではなく、それがそのまま憤怒に変わった」。

 6月の金委員長とトランプ米大統領による電撃的板門店対面では米朝の実務者協議を開催することで合意、10月5日にストックホルムで実現したが、不発に終わった。協議には北朝鮮の金明吉首席代表と米国のスティーヴン・ビーガン北朝鮮担当特別代表が参加した。金首席代表は、「アメリカは、我々を大いに失望させた。アメリカは自分たちの古い立場や姿勢を手放さないようだ」と述べ(BBCニュース電子版2019年10月7日)、米国側は「アメリカは、創造的なアイデアを提示し、北朝鮮側と良い話し合いを行った」(モーガン・オーテイガス国務省報道官声明、前述のBBCニュース)と表明。双方食い違いを見せている。

 金委員長の三池淵での発言は、この米朝協議後になされたものとして注目される。もはや米国との対話には期待しないとも受け取れるからだ。

 金委員長は、自力更生、自力富強、自力繁栄などの言葉を連発し、(制裁という)圧力に屈せず、自力で道を開いていかねばならないと強調した。

 同じ16日発の朝鮮中央通信は、金委員長が白頭山頂に登ったことを、白馬にまたがった金委員長の写真とともに報じた。金委員長が白頭山に登るときは何かを決断する時であることが多い。金委員長の意味深な発言とともに注目される動きだ。

文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年10月25日号
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2019年11月03日

【沖縄リポート】 軟弱地盤改良で米国が危惧=浦島悦子

沖縄島北部・本部半島の採石場から連日、運搬船16隻体制(1日当たり4〜5隻)で大浦湾に運ばれ、投入される埋め立て土砂。毎日朝・昼・午後の3回、基地ゲートから資機材を搬入するダンプやコンクリートミキサー車―。辺野古新基地建設工事は「順調に」進んでいるように見える。そして政府は、国民・県民、そして何よりも米国にそれをアピールしたがっている。

 しかし実際はそうでないことが、現場にいるとよくわかる。運搬船に土砂を運ぶダンプの1台当たりの積載量を荷台の底板が見えるほど減らしたり、埋め立て用護岸の前面に、必要性に疑問符のつく巨大なテトラポットを多数設置したり、時間稼ぎとしか思われない現状がある。昨年12月14日から始まった埋め立て土砂投入は、10カ月経った現時点で達成率は約1%にすぎない。

 事業者である沖縄防衛局が一番頭を悩ませているのが、大浦湾の埋め立て区域の広大な「マヨネーズ状」と言われる超軟弱地盤だ。防衛局はあくまで改良工事は可能とし、9月6日に「有識者」による「技術検討委員会(委員8人)」を発足させた。運輸省港湾技術研究所出身で辺野古工事の関連会社取締役でもある清宮理・早稲田大学名誉教授を委員長とし、「国の立場」の委員が大半を占める「御用機関」。それでも初会合では、大浦湾の軟弱地盤は羽田空港や関西国際空港とは異なる特有のものであり、完成後の沈下を懸念する声が出たという。

 10月5日、辺野古ゲート前で開催された県民集会で発言した土木技師の北上田毅さんは、防衛局が地盤改良工事の設計のために発注した委託業務を情報公開請求で入手し、「これまでにない内容に驚いた」と話した。業務の実施に当たって当初から完成まで4回にわたる米軍との協議を義務付けているという。「これは、地盤改良工事を日本政府に任せておくことはできず、米軍が直接指揮監督するということだ。軟弱地盤に対する米軍の危惧がいかに大きいかがわかる」「来年初めに防衛局は沖縄県に対し(地盤改良工事を含む)設計概要変更申請を出すと報道されている。県が不承認すれば工事は止まる。展望に確信を持って現場に結集しよう」と呼びかけた。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年10月25日号
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2019年10月25日

不自由展「検閲」の爪痕 なお残る歴史認識、女性蔑視、民族差別… 公権力介入で芸術の力失う=古川美佳

 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の一つ「表現の不自由展・その後」(以下、「不自由展」)が、脅迫やテロ予告を含む抗議(電凸)によって開催3日目で中止となるも、66日ぶりに全面再開、そして10月14日会期を終えた。入場者数は過去最高の65万人を記録したが、それは皮肉にもこの国の「表現の不自由さ」があらわになって、人びとの関心を呼んだからであろう。
 ふりかえれば、「不自由展」中止後直ちに識者やジャーナリスト、市民らから抗議の声明や署名がわき起こり、参加アーティストたちのステートメントやボイコットも生まれた。さらに、再開を求める連日の市民運動、アーティストたちによる対話の試み「Re Freedom」、そして何より「不自由展」実行委員会による「仮処分」申し立てが、「検証委員会」まで立ち上げた大村秀章知事と津田大介芸術監督が主張する「リスク管理」とまがりなりにもかみ合って、一時中止を復活させたといえよう。
 とはいえ、抽選による観客制限や荷物検査、撮影禁止等条件付き再開、文化庁によるトリエンナーレへの補助金不交付や河村たかし名古屋市長による不自由展再開抗議の座り込み等、公権力と文化行政の関係は疑問視されたままだ。

表現のタブー暗示
 「不自由展」を中止に追い込んだ批判や脅迫の標的となったのが日本軍「慰安婦」問題を表した〈平和の少女像〉(以下、〈少女像〉)と大浦信行の映像作品〈遠近を抱えて PartU〉だ。この事件がメディアで報じられるたびに〈少女像〉はたびたびTV画面に登場した。しかし大浦の作品は、「昭和天皇の肖像を燃やした」としてSNS上で作者の意図とはかけ離れた言説となって独り歩きし、作品そのものの画像や図版が取り上げられることはなかった。これまでも「反日」の象徴とばかり喧伝されてきた〈少女像〉の露出と、隠ぺいされる天皇の肖像という二つのアンビバレントは、令和の時代の「表現のタブー」を暗示している。
 ところで、〈少女像〉の制作者キム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻は、1970~80年代韓国の民主化運動と呼応して生まれた民衆美術の作家だ。植民地、南北分断、独裁政権と続く歴史の激動にあって、民衆美術家たちは表現することで社会変革を試み、弾圧された。

 今回の「不自由展」をめぐっては、「芸術かプロパガンダか?」などの議論が上がった。
 だが、逼迫した政治状況を強いられてきた韓国では、「政治と美術はともにある」。〈少女像〉もこうした文脈で生まれ、若い世代にとっては今やMeToo運動の先駆けとして女性の人権を象徴するアイコンとなっている。「反日」のプロパガンダだと見なしたいのは、見る側の欲望ではないか。

核心問題はここだ
 現代社会を反映する優れた作品が数多く散見された今回のトリエンナーレの中でも、少女像と天皇の肖像から問題の核心が透かし見えてくる。すなわち、表現の自由を脅かした「検閲」の背後にあるのは、天皇や日本軍「慰安婦」、徴用工や沖縄米軍基地等をめぐる歴史認識、女性蔑視、民族差別問題なのである。
 8月2日の菅義偉官房長官の補助金交付に関わる発言、その後の文化庁の補助金不交付こそ、これらの問題に対する政府公権力の政治的イデオロギーのあらわれである。近隣アジア諸国との記憶闘争、そしていまなお日本人を巣食う「天皇タブー」に自覚的にならない限り、私たちは権力の奴隷と化し、国家を内破する芸術の力を失うことになるだろう。トリエンナーレは終わってなどいないのだ。

古川美佳(朝鮮美術文化研究者)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年10月04日

【編集長EYE】 「不自由展」いきなり中止は勇み足

3日で中止になった「表現の不自由展・その後」。表現・言論の自由を侵害、直ちに企画再開をという市民の抗議活動が止まない。「表現の自由を市民の手に全国ネットワーク」も6日東京都内で集会を開いた。

 同ネット世話人で武蔵野美術大学教授・志田陽子さんは、憲法学者の立場からこの問題を報告した。

 大会実行委員会がいきなり中止を決めたのは疑問だという。

 「会場は公共の施設です。従って行政当局や芸術監督などが、会場にふさわしい作品かどうかなどを協議し、オープンしたはずです。文化芸術基本法の前文では『表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術を行う者の自主性を尊重する』と書かれており、これに則り運営します。中止の理由は安全性が担保できないということですが、基本法の精神にそって、まず一時停止にする。そして安全性の問題が排除されれば、再開する。すぐに中止は文化芸術基本法に反します」

 問題は安全性の担保だ。ガソリンをばら撒くと県にファックスした脅迫者は警察に逮捕され、「9月5日に放送されたクローズアップ現代+から推測すると、嫌がらせ電話やメールはからかいが相当数と思いました」(志田さん)。実態が分かれば、再開を考えてもいいわけで、だから一時停止という措置にしておくべきだったというのだ。

 また河村たかし名古屋市長が中止を申し入れたことについて志田さんは「会場は表現の自由の空間が出来上がっています。公人がふさわしくない言ったときに、実行委員会は『受けつけません』と言うのが仕事です。発言は政治的な中立性から外れている」と批判した。

 河村発言や菅義偉官房長官が言及した補助金交付の検討は検閲≠ノ当たるのか。志田さんは「愛知県が設置した検証委員会が、中止は表現の内容が政治的にまずいからと結論を下したら検閲に当たります」と指摘した。

 会期は10月14日までだ。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年10月02日

「不自由展」中止に思う 河村市長発言が火をつける 嫌韓に抗議の日本女性に共鳴=加藤剛

あいちトリエンナーレは3年に一回開かれる国際芸術祭で2010年から始まっている。街角でポスターを見る程度の私は、これまで会場に足を運んだことはなかった。

 ところが8月1日のトリエンナーレ開会早々、企画の一つ「言論の不自由展・その後」への脅迫や政治家の介入発言で3日目に中止になった。ツイッターやメールでは「愛トレ」などの愛称が飛び交うほどで、私も初めて見に行った。

 主催する愛知県のホームページ(HP)などで動画や写真入りでこの企画が紹介されており、関心のある人たちは開会前からいろいろ反応していたようだ。企画を快く思わない人たちも情報を拡散した形跡が読み取れる。

 時あたかも日韓の政府同士の対立がけたたましい折の開幕で、反韓・嫌韓の潮流が水面下に淀んでいた。そんなこともあって「平和の少女像」が目の敵にされたのだろう。主催者に対し電話やメール、ファクスで抗議の声が大量に寄せられた。「少女像の展示をやめろ、さもなくばガソリン持参で」というファクスもあり、その上に河村たかし名古屋市長の「少女像展示は日本国民を踏みにじる行為」の発言も重なり、主催者は不自由展の中止を決めた。

 代表の大村秀章愛知県知事は理由について「会場の安全が保てないから」としているが、警備陣はガソリン男にしてやられるようなヤワではない。派遣された沖縄で暴言を吐きながら座り込みを排除し、その違法性を名古屋地裁に訴えられているほどだ。

トリエンナーレの主催者の会長代行でもある河村市長発言は「身内から飛んだ矢」の役割を果たしたと思う。

 エスカレートする嫌韓ムードへの抗議か、ある集会でこんな日本人女性を目にした。平和の少女像の展示に似た一組の椅子が壇上に置かれ、左側に像ではなく、その女性が韓国の民族衣装をまとって座っていた。集会の開始から終了までじっと座っていたが、大きな決断が読み取れた。私はその写真を自分のフェイスブックに載せた(事後に彼女の了承を得た)。彼女に対する攻撃があったら私は断固戦うつもりだ。 

加藤 剛(東海支部)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年09月28日

【沖縄リポート】 本保港で労組が米軍車両を追い返す=浦島悦子

第4次安倍再改造内閣が発足した9月11日、沖縄では、第3次嘉手納爆音差し止め訴訟の控訴審判決が福岡高裁那覇支部で言い渡された。夜間・早朝の米軍機の飛行差し止めという原告の切実な訴えは、一審同様認められず、騒音による健康被害については一審より後退、賠償額も減額された。第1次提訴から37年が経ち、高齢化した原告らの疲れが目立つ。

 翌12日、辺野古新基地建設阻止の座り込みが続くゲート前行動には、嘉手納爆音訴訟原告団や裁判の応援に駆け付けた全国爆音訴訟団のメンバーらが多数参加し、今回の判決の不当性や、各地の状況を訴えた。嘉手納の原告は「基地がいったん造られたら、住民の権利を守ることはできない。

辺野古を嘉手納と同じような状況にしないために、新基地は絶対に造らせない!」と拳をあげた。

 辺野古新基地建設をめぐっては現在、沖縄県が国を提訴した2つの訴訟(関与取り消し訴訟と抗告訴訟)と、私も含む辺野古・大浦湾沿岸住民16人が提訴した抗告訴訟が並行して進行中だ。いずれも、沖縄県が行った「埋め立て承認撤回」(昨年8月31日)を、行政不服審査法を使って取り消した国土交通大臣の裁決は違法だと訴えている。

 住民の訴訟を支える辺野古弁護団は、これまでの判例等から、基地が造られてしまえば「第三者行為論(米軍基地の管理・運営権は米国が持っており、日本政府は関与できない)」で、住民がいくら被害を訴えても救済されないので、基地ができる前に止める緊急の必要性を主張している。

 一方、沖縄島北部の本部港では17日、沖縄県や本部町の不使用要請を押し切って米軍が強行しようとした民間港使用を、港湾労働者と市民らが阻止した。伊江島での海兵隊パラシュート降下訓練の救助艇として使われる小型船を牽引する米軍トレーラーを、全港湾沖縄地方本部の組合員50人が港の入口でピケを張り、港内に入るのを阻止。駆けつけた本部町民、市民らも含め約200人が早朝から夕刻まで、炎天下10時間に及ぶ行動で米軍車両を追い返した。参加したある市民は「自分たちの職場を軍事利用させないという港湾労働者のたたかいに感動し、辺野古のたたかいに勇気をもらった」と語った。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年9月25日号
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2019年09月07日

【支部リポート】 北九州 抗議行動やまぬ香港 暴力警察の蛮行を目撃=杉山正隆

 「逃亡犯条例」の改正案を契機に起きた香港政府に対する市民による抗議活動は、6月9日の大規模デモから2カ月が経った。8月10日、現地に取材に入った。目抜き通りネイザンロードでは、10日夜9時過ぎ、黒服を着た市民らに、デート帰りと思われるカップル、高齢の男女らと警察隊がにらみ合いを続けていた。突然、20歳代の女性ら数人を警察官が警棒で数十回、激しく殴りつけ押さえつけて手錠を掛けた。

 数千人の市民らは「釈放しろ、警察は恥を知れ」と大合唱。もみ合いの後、警察車両数台と加勢の警察官100人ほどが人波を押しのけて到着。激しいヤジを浴びながら「容疑者」が警察車両に乗せられ尖沙咀警察署に連行された。その後、抗議の声が止まず、警察官らは催涙ガスを発射。市民らは逃げ惑い、脱げた靴や買い物袋などが現場に散乱した。

 翌11日の午後6時半。世界的に有名な雑居ビルの「重慶大廈」(チョンキン・マンション)前のネイザンロードに黒服の男女らがゴミ箱数個を置いた。これをきっかけに、通行が妨げられ、大混乱に陥った。集まった市民は数千人に上り「自由な香港」を訴えたのに対し、警察官らは警告したものの催涙ガスを発射。20歳前後と思われる男女4人が後ろ手に縛られ道路に数十分間座らされ、警察署に連行された。通すよう抗議する日本人に「黙れ、香港から出て行け」と警棒を突き出し怒鳴る警察官も。引き上げる警察官に「こんなに手荒なことをされた。ひどいじゃないか」と腕の傷跡を見せながら詰め寄るお年寄りの姿も見られた。

市民の間で警察への怒りの声が広がっている。催涙ガス弾やゴム弾を市民に発射し、警棒で歯が折れても若者を殴る、地下鉄構内など閉ざされた空間での催涙ガスの発射など行き過ぎた対応に「暴力警察」のイメージが浸透している。

 香港国際空港には9日以降、1万人近い市民が集まり、到着旅客らに「迷惑を掛けてごめんなさい。でも、香港の現状を知って下さい。支援して下さい」などと訴えた。裁判所は中止を命令、中国政府は「テロ」と断じた。

 香港がこれからどうなるのか。これからも注目したいと考えている。

杉山正隆

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年8月25日号
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2019年09月03日

【リレー時評】図書館の民間委託 弊害多し 新政策を=守屋龍一

 今夏の猛暑続きは世界規模。中国ではエアコンの効いた場所へ、避暑めあてに移動する「納涼族」が急増したという。書店内もイス持参の子ども連れがいっぱい。書棚の本を持ち出し読みふける映像に衝撃を受けた。
 日本だって地域の図書館は、「納涼族」格好の場所だ。お盆のさなか、住まいの近くにある図書館を訪れると、26℃に調整してある館内は高齢者ばかり。中には居眠りしている老人もいる。
 図書館の利用がこれでいいのか。5月末、岩波ホールで観た映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を想起しながら、考えさせられた。

 6月24日、活字文化議員連盟・公共図書館プロジェクトが、〈公共図書館の将来─「新しい公共」の実現をめざす〉(答申)を発表した。子細に読むと頷ける点が多く、5つの提言についても示唆に富む内容が豊富である。
 まず小泉内閣が進めた規制緩和や民間委託、郵政民営化につながる政策の是非が問われ、公共図書館の運営についても、民間委託の指定管理者制度そのものにメスを入れる、これが緊急テーマに浮上したと指摘する。

 民間委託した図書館の貸出点数の推移を調査したところ、ほぼ2〜3年で貸出率が下がり、5年以上では20〜30%以上も減少し、住民の図書館離れが始まるという。
 さらに民間業者の目先の利益が優先し、長期に図書館の発展を目指す姿勢がない。地域に密着した図書館サービスの提供に向けて、必要不可欠な専門知識のある人材が育成・蓄積されない。
 まずやるべきは図書館職員の劣悪な労働条件の改善だと提言。司書の6割が非正規で働き、賃金は経験を積んだ30代後半でも月13万円。専門職としての能力に応じた十分な賃金を支払い、雇い止め≠見直し、司書が継続して安心して働ける労働環境づくりが必要だと説く。

 いま日本全国にある公共図書館は3300館。そのうち民間業者に指定管理者委託をしているのは640館を超える。なかでも図書館流通センター(TRC)の占有は激しく、333館(全体の65・5%)になる。
 昨年11月、神奈川県海老名市の公共図書館の管理運営を、市は図書館流通センターと「TSUTAYA図書館」(CCC)による合弁事業とし、今後5年間、毎年3・2億円の委託契約を更新。年間の税金投入は市が直営時の2倍となり、市民から批判の声が挙がる。
 公共図書館に納める図書も、いまや図書館流通センターが独占し、〈町の本屋さん〉は、公共図書館という安定した書籍の販売先を失ってしまった。
 図書納入にあたっては地域書店からの直接購入を優先し、装備作業は無償サービスではなく、福祉施設に業務委託して効用促進を図るなど、新たな地域循環型の経済効果を生み出す図書館政策の確立が必要である、と提言する。即実行を願う。

守屋龍一

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年8月25日号
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2019年08月28日

【沖縄リポート】 ストップ 海中不発弾の爆破処理=浦島悦子

 ジュゴンの死体漂着から4カ月を経た7月17日、解剖が実施され、同29日、実施主体である環境省(沖縄事務所)・沖縄県・今帰仁村の三者は解剖結果を報道発表した。

それによると、沖縄近海に生息するオグロオトメエイの尾棘刺入に起因する死亡の可能性が最も高いという。多数の鋸歯状の突起を有する長さ約23センチの尾棘が腸管を突き破って腸内を移動し、腸の内容物が腹部全体に充満していたというから、その痛み・苦しみは想像を絶する。死体漂着4日前に水中録音されたジュゴンの頻繁な鳴音は、断末魔の叫びだったのだろう。

沖縄美ら島財団、鳥羽水族館、国立科学博物館の獣医師6名が携わったという解剖結果におそらく間違いはないと思われるが、しかし、これで「幕引き」させてはならない。

亡くなったジュゴンの生息域は辺野古への土砂運搬船の航路と重なっており、直接の接触がなかったとしても運搬船の頻繁な航行が海生生物の生態を攪乱し、通常ありえない事故が起こった可能性は充分ある。今回の事故を遠因も含め究明すること、基地建設の進行に伴って行方不明になった2頭のジュゴンを含め、それ以外にも少なくないジュゴンの目撃情報をもとに琉球諸島全域調査を行うことを環境省や沖縄県に強く求めたい。

そしてもう一つ、ジュゴンの脅威となっているのが、不発弾の海中爆破処理だ。この8月1日にも中城村沖で実施されたが、沖縄戦の悪しき「置き土産」である不発弾は陸上だけでなく沿岸海域にも未だ多数残留しており、海で見つかったものは海上自衛隊が爆破処理するのが通例となっている。しかし、これによって沿岸域に住むジュゴンに直接影響するだけでなく、餌場である海草藻場を含め、沖縄の観光資源であるサンゴ礁生態系そのものを破壊してしまう。

水中にある不発弾はダイナマイトを仕掛けて誘爆しない限り爆発しないため、放置または海溝のような深い場所に移動して「水畜」するのが国際的な常識だという。この常識を行政や市民に広く知らせ、海中爆破処理をなくしていきたい。

ジュゴンの生存の脅威となる要素を一つひとつ取り除いていくことが、彼らを絶滅の危機に追い込んだ私たちの責任だと痛感している。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2019年8月25日号
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