2017年11月28日

《フォトアングル》議員会館前行動

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衆議院第二議員会館前、総選挙後また安倍内閣が組閣される前に、早くもコールが響いた。「安倍政権を必ず倒そう」「憲法改悪絶対止めよう」と1000人が叫んだ。「市民と野党は共闘」の声に対して、共産党志位委員長、立憲民主党近藤副代表、民進党相原参議院議員、社民党吉田党首、参院会派「沖縄の風」糸数代表がスピーチで応えた。更に、MIC岩崎事務局長が共謀罪の廃止を訴えた。=11月1日、東京• 衆議院第二議員会館前で、酒井憲太郎撮影

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2017年11月26日

《編集長EYE》 教育に情熱を燃やす前川喜平氏=橋詰雅博 

 10月25日付東京新聞の読者投稿欄「ミラー」に神奈川県大和市に住む主婦の大宮啓子さん(72)の一文が掲載されていた。中身はこんな具合だ。

〈厚木のシャッター通りといわれる一角に「えんぴつの会」と手書きの表示がしてある。民間で運営する自主夜間中学。9月末のある日、そこに四十数人が集まっていた。フィリピンやコロンビアの若者たちだ。

 彼らは戦争や病気、不登校や家庭の事情などで小学校の勉強ができなかった。学びたくても学べなかった人たちの意欲はすごい。全く日本語の分からなかった男女が普通に日本語で会話し、漢字の書けなかった人が検定を受けるまでになった。(中略)

 教える人はすべてボランティアだ。先生と生徒の師弟関係というより、一人一人の人間として、お互いに学び合う姿勢が貫かれている。(中略)彼らに公的な教育支援がいきわたるよう強く願っている〉

 実は文部科学省前事務次官の前川喜平氏(62)は、えんぴつの会で勉強を教えるボランティアをしている。9月初旬に本紙インタビューを受けた際、この「学習ボランティア」についてこう言っていた。

「私は2、3人の方をマンツーマンで教えている。その一人は80歳近い男性です。身の上話では、幼いころ両親が亡くなり、親戚に預けられ家事労働をさせられた。耐えられず家出した後、炭鉱で働いた。学校に1度も行ったことがない。字は書けない、読めないでよく生きてこられたと思いました。現在は、ひらがな、カタカナを読めて書ける小学校低学年の国語レベルまできている」

 彼は福島市の民間の自主夜間中学でも教えている。

 「70代の男性は、中学は卒業しているが、それは形式だけで、小学校レベルの知識です。新聞を読んで理解したいという彼のニーズに応えるため朝日新聞を教材として使っている」(前川氏)

 人間の尊厳を保つには学習は不可欠という前川氏、教育への情熱は高まる一方だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年11月25日号
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2017年11月24日

《スポーツコラム》働き盛りの深刻な運動不足=大野晃

 体育の日のある10月は、文科省の「体力つくり強調月間」だった。
 スポーツ庁は2016年度の体力・運動能力調査結果を公表したが、30代から40代の低下が目立ち、男性は20年前を下回って、女性は過去最低だったという。週3日以上運動する人が30代の男女は1割余りと、全年代で最低という別の調査結果もある。働き盛りの運動不足が深刻だ。
 スポーツ庁は様々にスポーツを楽しむことを呼びかけているが、そのためには、時間や場所の確保、仲間やアドバイザーの存在、そして費用がかからないことが必須の条件だ。時間の余裕のある人が、高額の施設で指導サービスを受けて自己満足する、で事足れりでは国民スポーツ促進とは言えない。社員の残業を減らすことで消費拡大につなげようとか、スポーツ関連企業へのバックアップでスポーツ熱を高めようでは、国民スポーツは先細りするばかりで、基本的人権であるスポーツ参加が、富裕層の見栄に転化しかねない。スポーツ基本法違反の奨励かと疑われる。
 欧州などで、サマータイムを利用したカヌーやヨット遊びやクラブでのサッカーやラグビーを楽しむ姿を何度も目にしたが、先進国の象徴的な生活スタイルだった。国や自治体が条件整備に力を入れていたからだろう。長引く不景気で困難に直面しているようだが、国民の権利保障の重要な課題にはなっている。
 日本では、安倍政権により過剰労働が当然視され、国の支援が減退して財政悪化を理由に自治体によるスポーツ施設の休廃止が進んだ。働き盛りから時間と場を奪ってきたと言ってもいい。その改革が不可欠である。世界から、最大のスポーツ祭典であるオリンピックを開催する資格を問われる現状なのだ。
 スポーツ庁は社員スポーツを支援する企業の認定を進めているが、それでスポーツ権を尊重する労働条件の改善が進むとは思えない。(スポーツジャーナリスト)
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2017年11月18日

《支部リポート》5月末記念総会の記念講演 九州民放OB会と共催=白垣詔男

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 この数年、福岡支部最大の企画は5月末の定期総会で行う記念講演だ。2011年からは九州民放OB会と共催になった。九州民放OB会は毎月「勉強会」を開いており、それならと5月の勉強会を共催にしてほしいとJCJ側が申し入れて実現させていただいた。民放OBにはJCJ福岡支部会員が多数いるのも交流促進に弾みをつけている。
 2015年、「IS(イスラム国)問題」が世界を揺るがし始め、後藤健二さんら2人が殺された後には、長崎県出身の元長崎放送記者でジャーナリスト常岡浩介さんを、同僚だった民放OBが紹介してくれた。一般公開した結果、百人近くが詰めかけ大盛況だった。
 今年は、九州民放OB会が紹介してくれた筑紫女学園大学教授の吉野嘉高さん。筑紫女学園大学は昨年、日本会議会員が理事長に選ばれたものの選考過程で瑕疵があったとして、教職員から「就任無効」の訴えが起こされ、福岡地裁でそれが認められた。その理事長は就任できず1年間、理事長不在だった。一時は「大阪の森友学園、福岡の筑紫女学園」とも言われたほどだった。
 講師の吉野さんは、1986年にフジテレビ入社、ディレクター、プロデューサー、社会部記者などを務めた後、2009年に退社して筑紫女学園大学で教えるようになった。昨年3月には「フジテレビはなぜ凋落したか」(新潮新書)を出版している。
 吉野さんの演題は「右傾化する教育現場」で、徐々に右傾化する大学の実情などについて話してもらった。吉野さんは、自らに直接圧力がかかるようなことはないが文科省の動きから教育現場が右傾化している危機感を訴えた。また、最大の問題は学生の意識で、スマホなどネットに支配されている学生の日常行動を観察すると、ネット情報を鵜呑みにして自ら考えようとしないことも若者の右傾化につながっていると指摘された。現在、筑紫女学園大学に対する日本会議の影響は感じられないという。
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2017年11月02日

≪リレー時評≫ ヒトへの汚染放置で再稼働が進む=中村梧郎

 大病院でX線撮影をした。右肺に小さな影があった。医師は「要注意、CTで変化を見る」と言う。肺癌の疑いである。
 私には思い当たるフシがあった。6年前の福島原発爆発のすぐ後に浪江町に入った。道路には地震による地割れが幾筋もあった。それを腹ばいになって撮った。筋目に入っている黄色い綿が呼吸で舞い上がる。後の報道で判ったのだが、その場所は原発から噴出した放射性粒子のプルーム(集合雲)が地表を通過した地点であった。黄色い物体は原発を覆っていた断熱材の粉塵。粒子はそれにも付いている。
 球状粒子はセシウムやウラン、プルトニウムやストロンチウムの混合物である。だが煙のひと粒よりも小さい球体だから目には見えない。吸い込んでも気づかない。
 数ヶ月後に喘息の症状が出た。初めてである。近所の医者は「老人性喘息、お大事に」と薬をくれた。しかし治らない。昼夜を問わぬ咳込みは、あるときピタリと止まった。なぜかは判らない。

 この一件を、X線写真を見た大病院の医師に伝え「内部被曝ではないか」と聞いてみた。しかし答えは「もしも肺の内部にまで影響する被曝があったのなら全身がやられてひどい状態のはず、そうなっていない」だった。
「それは外部被曝の概念ですね、でも、粒子が肺に入れば数ミクロンしか飛ばないアルファ線であっても周辺の何十万個もの細胞が破壊されて発がん要因になりますね」と重ねて尋ねたが回答は無かった。こんな言い合いで治療を拒まれても困るのでそれ以上はやめた。放射線医学で重視されてきたのは外部被曝、という噂は本当だったのかもしれない。
(→続きを読む)
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2017年10月30日

《編集長EYE》 「防刃チョッキを着て会見に臨んだ」=橋詰雅博

 9月号のこのコラムで前川喜平氏のインタビュー番外編を紹介した。10月号は「番外編2」をお届けする。

 前川氏は5月25日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で記者会見を開いた際、代理人の三竿径彦弁護士を同席させた。当初は違う場所で、一人で会見に臨むつもりだったが、その気持ちが変わったのは、22日に読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事が原因。これは自分の身を守るために弁護士が必要と思ったそうだ。相談した友人から三竿弁護士を紹介された。

 「電話で代理人になってほしいとお願いしたとき、三竿さんは『相手(安倍晋三首相)が大きすぎる、大きな法律事務所の方がいいのではないか』と躊躇されました。これに対して私は『正義感のあるうってつけの弁護士と友人がほめていましたよ』と答えた。結局、引き受けてくださいました」

 会見当日、三竿弁護士は、自ら購入してきた刃物を通さない防刃チョッキを前川さんに渡し、ワイシャツの下に着るようにと指示した。

 「(暴漢に襲われるなど)万が一のことを考えて用意したのだと思います。会見場はエアコンのスイッチが入っていなかった。防刃チョッキを着たせいもあり顔から汗が噴き出た。記者から質問された出会い系バーについて答える自分の映像をテレビで見たが、汗が流れるシーンを捉えていた。視聴者は『焦っている』という印象を持ったでしょうね。あの会見以降、防刃チョッキは着てきません」

 家族もバックアップした。

 「女房は録画した民放各局のワイドショーを見て、出演していた田崎史郎さん(時事通信社特別解説委員)や山口敬之さん(元TBS記者)はこんなコメントしていたと私に教えてくれました。30代で社会人の2人の息子も協力。特に次男からは私がプレスリリースなどを書いていると、『オヤジ、遺憾を言語道断に直した方がいい』などとアドバイを受けた。息子が文章を直すと全体的に語調が強くなった」

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
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2017年10月29日

都有地を五輪選手村用に投げ売り 「都政版森友疑惑」裁判11月17日第1回口頭弁論=橋詰雅博

 東京五輪・パラリンピック選手村建設用地を巡り注目すべき訴訟の第1回口頭弁論が11月17日、東京地裁で開かれる。この裁判は、中央区晴海5丁目の都有地(13・4f)を市場価格の10分の1で、選手村を建てるデベロッパー11社に不当に安く売却したとして、都を相手取り、都民33人が小池百合子知事や舛添要一前都知事、建設業者らに差額分約1209億円を請求するように求めたものだ。国が国有地を約8億円値引きして森友学園に売却した森友疑惑の「都政版」とも言える。都が棄却した住民監査請求に続き裁判でも原告側代理人を務める淵脇みどり弁護士(59)に聞いた。

都が「一人3役」

――監査請求の結論で監視委員の「意見」が付けられていたが、異例ではないか。
 住民監査請求の結論は、行政担当者の反論を追認するケースがほとんどだが、今回、意見が付されたのは異例だと思う。その意見は〈再開発法に基づき、都が地権者、施行者、認可権者の3つの役割を併せ持つことにより土地処分を巡る手続きが,中立的かつ公正な監視や牽制の下で行われないとの懸念を生む状況が生じた〉と指摘。さらに〈今後、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞くなどの内部牽制体制を強化し、細やかな対外説明を行うなどにより、これまで以上の透明性の確保に努められたい〉と強調している。
 これは請求棄却と明らかに矛盾しているが、この問題の核心を衝いている。裏を返せば、ひどい形で本件が進んでいるのです。

 ――都のような「1人3役」による市街地再開発事業はほかの自治体であるのか。
 監査委員が聞いた都都市整備局担当者の説明が監査結果に述べられている。自治体が個人の地権者として個人施行の再開発事業を行った事例は5件あるが、都のような「1人3役」の事例はなく、極めて異常であることが鮮明になった。本来の市街地再開発事業の目的や仕組みなどから大きく逸脱している。実態は都による更地の直接売買であり、しかも適正価格の10分の1という廉価でデベロッパー11社に売却した。

背景に官民癒着

――都が東京ドーム3個分にあたる土地を投げ売りした理由は。
 再開発事業の手法を悪用したこんな頭のいいやり方を都だけで考えたわけではないと思う。デベロッパー11社のうち7社に都幹部12人が天下りしている。今回の事業だけでなく、都と民間業者の癒着が恒常的にあるのではないか。デベロッパーにとって再開発事業は建築物の容積率アップの実現や公に地上げができて、自治体から補助金も受け取れ、建てたマンションなどを売却(東京五輪の場合、終了後に選手村にマンションなどが建てられ、デベロッパーが販売)できる。おいしい話です。再開発事業では行政と民間業者は密接な関係になっている。

――そもそも都民が被るデメリットは何か。
 仮に1209億円を回収できれば、都の予算に組み入れられ、福祉や教育などの分野にお金が回され充実する可能性がある。しかし、本来、回収できるお金を回収しないので、財政面で損害が発生し、結局、納税者への公共サービスなどの低下につながる。本件は、国有地を8億円値引きして売った「森友疑惑」と同じ構図です。

聞き手 橋詰雅博
    ☆        ☆
 「都政版森友疑惑」裁判の第1回口頭弁論は11月17日(金)、13時30分から東京地裁419号法廷で開かれる。傍聴に参集を。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
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2017年10月28日

文科省前事務次官・前川喜平氏インタビュー続報 公僕は「官邸権力」の下僕にあらず=橋詰雅博

 前文部科学省事務次官の前川喜平氏(62)は9月初旬、本紙インタビューに答えた。安倍晋三首相を告発した彼の動機とメディア分析を9月号に掲載。以下は前川氏インタビューの続報だ。


――権力にベッタリの読売新聞と産経新聞、忖度が目立つNHKは変われるか。
読売にも心ある記者はいるはずだし、産経だってこのままでいいのかと思う記者はいるだろう。ただ、産経までいくと、内部からひっくり返すのはムリで、外部から包囲して影響力を弱めるしかない。読売はまだ内部から改革できる可能性が残っている。(読売新聞グループ本社会長・主筆の)渡邉恒雄氏の生物学的な生命はそろそろ終わり。重しがなくなれば変わるのではないか。

現役職員、苦しい思い
NHKは上田良一氏が、会長に就任してから変わった。少し風通しがよくなった。『クローズアップ現代+』は独占入手の加計学園新文書(〈官邸は絶対やると言っている〉などと記された文書で、萩生田光一官房副長官が文科省担当者に指示したとされる)を6月19日に放送した。その際、出演した社会部記者と政治部記者が全く違うコメントをしていて、かなり面白い状況だった。それ自体がNHK内部の葛藤をあらわしている。前は独自に報じることすら出来なかったわけですから。「政治部記者も出て、官邸寄りのコメントをするなら放送していい」と上層部がOKしたのだと思う。社会部がそこまで押し返している。

各メディアの中で良心のある記者が権力監視というジャーナリズムの使命感を持ち、それぞれの組織で改革を求める動きに期待したい。

――前川氏の告発によって官界の空気は変わったか。
文科省は大変な混乱状況に陥ったと思う。「あいつが漏らした」とか「あの人がチクッた」など職員は疑心暗鬼に。私は国民に対して正しいことをしたが、文科省の現役職員に苦しい思いをさせて、申し訳ないと思っている。ただし、苦しみもせず、唯々諾々とゆがんだ行政をそのままにしていたら、それこそ大問題です。将来的にそのことで悩む人も出てくる。

息苦しさから解放
霞ヶ関の国家公務員の間に息苦しさから少し解放されたという空気が出てきた。政治家にひどいことを言われたら、国民にお知らせすればいいんだという感じです。古い役人道≠ゥらいえば、ご主人さまを裏切ることになる。バカ殿でも命をかけて守るという儒教的倫理が今でも官界に少し残っている。だけどそうじゃない。本当の殿は国民ですから。
 
公務員であっても、その前に一人の個人。個人として思想や信条、良心がなければおかしい。自分自身の考えがあるはず。だが、その考え通りに仕事ができる保障は全くない。私も意に反する仕事をずいぶんさせられた。第一次安倍政権下での2006年、(愛国心を打ち出した)教育基本法の改正なんかしたくなかった。しかし、自分の意思や良心を捨ててはダメ。個人の尊厳を忘れてはならない。
 
公僕は国民に仕える身だが、自分自身も国民の一人であり、主権者であることを認識すべきです。そうでないと国民の立場で仕事ができない。公僕は一部の奉仕者つまり官邸権力≠フ下僕ではありません。一国民としてどうかという視点を失わないこと。「個人の尊厳」と「国民主権」の自覚を持つことは、公務員全体に必要です。

そうなれば、公務員が政界を監視でき、権力を握る政治家も勝手な振る舞いができにくくなる。もしもやりたい放題やったら官僚の反乱が起ることが(私の告発で)分かったと思う。

国民を欺いてきた

――国会で「記録は破棄」と答弁し、安倍首相夫妻をかばい理財局長から出世した佐川宣寿国税庁長官をどう思うか。
役人は国会での答弁を多かれ少なかれ訓練する。私も心にもない答弁を行ってきている。国民を欺いてきた。それはともかくとして、彼はやはり知っていることをしゃべった方がいい。彼にとって国税庁長官は上がりのポスト=B辞めた後「実は8億円の値引きはさるところから言われ、地下に埋もれたゴミがあることにして、予定通り1億3000万円で国有地を売った」と話したらどうですか。気持ちがラクになる。現在、本人は相当に苦しんでいるのではないか。

――加計学園の獣医学部設置は認められるのか。
文科省の方針はこうです。獣医学部新設を審査する文科省の大学設置・学校法人審議会は、学校教育体系に基づく既存の設置基準に照らして認可するかどうか決める。国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)で決定した戦略特区での加計学園の獣医学部新設については既存の設置基準から外れているので審査事項ではない。私は国民が注視している間に、諮問会議による再検証を行う必要があると思うが、認可されるでしょう。来年4月に開学する可能性は高い。

「柳に雪折れ無し」

――なぜ「面従腹背」を座右の銘にしたのですか。
権力者に意見を言って、受け入れてくれなければ仕方がないというのが役人の宿命です。そういう経験を積んで、だんだんと面従腹背になり、生き方としてしなやかさが備わった。「柳に雪折れ無し」ということわざがある。雪が積もっても柳はポキンと折れずに曲がり、やがて元に戻る。そんなやり方をして組織の中で生きのびてきた。確かに一般的に言葉のイメージは悪いが、面従腹背のおかげで、とくに役人の最後の頃は、教育機会確保法(不登校の子どもたちを対象としたフリースクールへの支援や自治体による夜間中学の設置など)の成立など国民のためになる仕事に多く巡り合えた。

学習ボランティア

――今、どんな活動をしていますか。
退職後の2月から福島市の「自主夜間中学」(義務教育未修学者や外国人などに教える学習支援組織で、市民団体などが運営)と厚木市の自主夜間中学で勉強を教えるボランティアをしています。厚木では学校に行けず読み書きがほとんどできない80歳近い男性に小学校低学年レベルの国語を教えている。この人、よく生きてこられたなと思います。また、高校中退者の学習支援を行うことも考えている。
 
文科省はこうした人たちがいることを分かっていながら全体から見れば、はしっこの問題だと、見て見ぬふりしてきた。私自身、罪の意識を感じている。置き去りになった人に対して基本的人権の基盤とも言える「学習権」があることを伝えていきたい。

聞き手 橋詰雅博 (JCJ事務局長兼機関紙編集長)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
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2017年10月04日

≪フォトアングル≫ 9・8キックオフ集会

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「安倍の進める改憲にノンといい、それをストップさせましょう」で始まった「安倍9条改憲NO!全国市民アクション98キックオフ集会」。
3千万全国統一署名の取り組みを訴える発起人と呼びかけ人(左から、浜矩子、鎌田慧、暉峻淑子、佐高信、高野孟、落合恵子、香山リカ。)
8月31日で呼びかけ人約二百十人、賛同人約百四十人。事務局の実行委員会には総がかり行動実行委員会の他、九条の会など6団体が新規加盟した。
=9月8日、東京都中野区の中野ゼロホール 酒井憲太郎撮影
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2017年10月01日

【今週の風考計】10.1─世界が注目! 三都市が呼び起こす波紋

アルビル、バルセロナ、ストックホルム─いま世界が注目する三都市である。「希望の党」小池代表の<三都物語>より、ずっとずっと重要だ。

イラク北部にあるアルビルは、クルド自治政府の中心都市。住民投票を行いイラクからの独立を鮮明にした。だがイラクと周辺国は、クルド自治区を孤立させようと空路封鎖など対抗措置をエスカレートさせている。

バルセロナはスペイン・カタルーニャ州の州都。過重な税負担や独裁的な中央政府の介入に抗うため、独立を目指す住民投票が始まった。政府は他州の警察官数千人を動員して阻止する構え。双方の争いは激しくなる一方だ。ストックホルムは、ノーベル賞受賞者が発表されるスウェーデンの首都。ノーベル賞ウイークが、2日の医学生理学賞から始まる。3日に物理学賞、4日は化学賞の受賞者が決まる。この自然科学3賞は、4年連続で日本の科学者が受賞するか、大きな注目を集めている。さらに6日には平和賞、9日に経済学賞と続く。

特に日本からノーベル賞受賞者が出れば、その研究分野に関連した「ノーベル賞関連銘柄」が高騰し、思わぬ経済効果につながる。文学賞は発表の日程が、いつもの通り決まっていない。毎年、注目される村上春樹、予想では現在2位、トップは現代アフリカ文学を代表するケニア出身の男性作家で、「アフリカのトルストイ」と評価されるグギ・ワ・ジオンゴ。日本人3人目のノーベル文学賞受賞者が出るのか。これまで発表前に文教堂や丸善の株価が急騰し、受賞を逃した途端に急落する事態も。(2017/10/1)
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2017年09月26日

≪リレー時評≫核への「知性」と「狂気」 どちらを取るかは明らか=吉原 功(JCJ代表委員)

 8月末から9月にかけて、長崎の反核平和運動の巨星お二人が相次いで亡くなられた。谷口稜曄さんと土山秀夫さんである。もう一人の巨星山口仙二さんはつとに2013年7月に他界されている。
 山口さんは、14歳のとき、学徒動員で防空壕を掘る作業中に被爆、全身に大やけどを負い、顔から胸にかけて残ったケロイドに苦しんだ。1982年の国連での「ノーモア ウォー、ノーモア ヒバクシャ」演説は多くの人びとの心を揺さぶった。

 谷口さんは、16歳で自転車にのり郵便配達中に被爆、背中と左腕に原爆の熱戦を浴びながら生き延びる。山口さんとともに重い原爆症に苦しみながら、被爆者運動の中心として活躍した。海外にも出かけ核廃絶を訴えたが、背中を椅子にもたれさせることは出来ないので飛行機での移動は難行のようだったと多くの人が証言している。
 土山さんは、20歳の医学生として原爆投下の翌日から救護活動に参加。「あの日の町に漂っていた死臭を伝えることは出来ない」と何度も語っていた。80年代のなかごろお話を伺ったが核問題についての造詣の深さにくわえて国際的な知見が非常に深く豊だったことに驚いた。山口さん、谷口さんが実践的運動を主導し、土山さんは理論的支柱として活躍したといえよう。長崎大学医学部長、学長を歴任したほか、20年にわたり長崎平和宣言文起草委員を務め、「北東アジア非核地帯構想」や「核兵器禁止条約締結」などを盛り込むことに貢献した。

 この三人の努力をはじめとする反核平和の粘り強い運動は、世界に広がり、今夏ついに核兵器を違法とする核兵器禁止条約を国連で採択させた。田上長崎市長は平和宣言でこの条約を「ヒロシマ・ナガサキ条約」と呼びたいと大歓迎、推進した国々、国連、NGOなどの「強い意思と勇気ある行動」に感謝を述べる一方、「条約の交渉会議にさえ参加しない」日本政府に対し「被爆地は到底理解できない」と批判した。
 広島・長崎への原爆投下は間違いなく人類史の一画期である。知性ある人ならば核開発は人類滅亡への道ということを理解したはずだ。だが核兵器は拡大し続け、「平和利用」でもチェルノブイリ・福島を経験してしまった。核のボタンを押しかねない人物が政治指導者になっているのが現代世界だ。知性と狂気、どちらを取るべきか明らかであろう。
JCJ機関紙「ジャーナリスト」9月25日号より


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2017年09月25日

前川喜平インタビュー3 《編集長EYE》 「政治家と付き合うのは嫌で嫌で」番外編 =橋詰雅博

 なぜJCJ機関紙のインタビューに応じたのかについて、前川喜平氏は「コマーシャリズムに流されていない。相談した代理人の弁護士も止めなかった」と答えた。

 インタビューのテーマは多岐にわたった。そ の「番外編」をお届ける。

◆収入 定期的なものはない。最近は講演料、多くて3万円、メディアへのコメント料やラジオの出演料が増えてきた。顔を忘れてほしいのでテレビには出演しない。

◆教えたい 若いころ、上智大の非常勤講師を務め、教育行政学を教えた。文科省の仕事を違った視点で見ることができて幸せだった。学校法人などから手伝ってほしいと求められたら有償で教えます。きっと楽しいだろう。

◆仏教 仏教を通じて人間が形成されると考えていた祖父と父親が残した仏教の本を中学、高校のころ読んでいた。東大在学中はサークル「仏教青年会」に入っていた。京都や奈良、鎌倉などで仏像を見るのが好き。文化財部長をやりたかったが、チャンスがなかった。

◆性格 楽天的で、大概の事はどうにかなる。ただ、子どものころは、神経質で引っ込み思案だった。楽天的な性格をつくることができたのは仏教の勉強のおかげ。仏教の核心を簡単に言えば、気にするな、です。

◆好きな俳優 女優は大原麗子。ウイスキーのテレビCM「少し愛して、なが〜く愛して」、あのセリフにゾクゾク。高倉健と共演した映画「居酒屋兆治」のヒロイン役もよかった。男優は渡瀬恒彦。テレビドラマ「十津川警部シリーズ」では、TBSは渡瀬、テレビ朝日は高橋英樹が警部役に扮したが、渡瀬の方に人間的な味わいがあった。

◆酒 たくさん飲めない。今夜はゆっくりしたいなと思ったとき、チョコレートをつまみながら女房とブランデーを飲む。

◆選挙への出馬 国政も首長も関心ない。現役時代、政治家と付き合うのは嫌で嫌で仕方なかった。

橋詰雅博
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前川喜平インタビュー2 権力すり寄りすぎ、危険な読売・産経 取材しても出ず―可哀想なNHK記者=橋詰雅博

――取材が集中した当事者として今のメディアの状況をどう見ています。

加計問題で最も先行していたのはNHKです。複数の現役官僚から情報を得ていた。私の知る限り朝日より深く取材していた。GW前の4月ごろ、メディアで最初にインタビューを受け、「この文書を見たことがあるか」「加計学園の獣医学部新設をめぐり内閣官房から働きかけがあったか」などの質問をされた。ところがいつまで経っても放送されない。どうしたのだろうと思っていた。

社会部意地の映像

すると5月16日のNHK番組「ニュースチェック11」は大学設置委員会が建設中の加計学園の獣医学部を実地調査するというニュースを流した。ところが画面に映っていたのは、平成28年9月26日の日付が入った内閣府伝達ペーパーでした。「平成30年4月開学を大前提」は映っていたが、「官邸の最高レベルが言っている」や当事者名などは黒塗りでした。

私も日付入りを見たのは初めて。日付入りは課長レベル以下のための記録用で、私が見た日付なしは、ダイジェスト版で省内上層部などへの説明資料。大臣も副大臣も見ているはず。本当にヘンな形で文書が報じられました。

この映像は私に接触していた記者に言わせると、「我々社会部の意地。黒塗りでもいいから出したかった」と。恐らく朝日はこの番組を見て翌日の朝刊で報じた。しかし日付入りではなく、翌18日に日付入り文書を掲載した。

NHKが私のインタビューを放送しないのは、上から抑えられているからだろうと思っていたが、断続的に接触していた記者は「いくら取材してもこのままではニュースとして出ない、記者会見してもらわないと報じる方法はない」と言うのです。取材を積み重ね、情報を持っているに、可哀想だなと思いました。NHK社会部からの記者会見要請もありました。

政府側に立ち報道

読売と産経はものすごく権力寄り。特に読売は相当、政権寄りであることは間違いない。全国紙で唯一教育部がある。教育問題に熱心という評価はしていた。私も使わせていただいたが、「他社には言っていません、話すのは読売だけです」と言うと、大きく書いてくれた。

下村博文大臣(12年12月に就任、15年10月に退任)はそれを散々やっていた。大きく報じて欲しい時は事前に読売に話していた。義家弘介副大臣(今年8月退任)は産経に。出どころが大臣と副大臣で読売と産経がスクープしても問題にしなかった。ところが朝日や毎日が文科省の動きをスクープしたら、犯人探しを始める。

読売は政府側に立って動いてくれるので便利。しかも発行部数日本一で、政府の意図を国民に浸透させるツールとして重宝していた。文科省自身もお世話になっていた。

だが、安倍晋三首相の改憲構想を読売が憲法記念日の5月3日朝刊1面に載せたのは、どうかナと思った。安倍「広報紙」という感じがした。国会でも「読売を熟読」と発言し、とてもじゃないが一国の首相が言う言葉ではない。

私物化される読売

安倍政権によるメディアの私物化は、読売について特にその感がある。NHKも記者があれだけ取材しているのに報じない。しかも他社がどんどんと報道しているにもかかわらずまだ報じない、どうなっているのかと思った。

私は、安保法制は憲法違反だと思っているし、集団的自衛権行使容認は現憲法で認められるとはとうてい思えない。行政府が勝手に法制局の見解とか閣議決定で憲法の中身を変えるなど、あってはならない。憲法は権力をしばるもので、しばられている本人がしばりを解きますなどということができる話ではない。まさに立憲主義の危機で、違憲立法が行われたと思っている。これをおかしいと言った新聞と、言わなかった新聞があり、そこで線が引かれている。

読売と産経はかなり危険です。あまりにも権力にすり寄りすぎている。私の意見に近いのは朝日、毎日、東京。念のため読売も産経も読んだりします。(1面参照)

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

インタビューの続きは次号10月25日号に掲載します。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号8面掲載
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加計疑惑―前川喜平・前文科相事務次官インタビュー 官邸「口封じ」で吹っ切れる=橋詰雅博

「官邸の動きがあった」―加計学園疑惑ついて国会で参考人として発言し、安倍晋三首相を告発した前文部科学省事務次官の前川喜平(62)氏が、本紙のインタビューに応じた。約3時間にわたる取材では、焦点の「総理のご意向」文書から官界の空気、今のメディアの状況、自らの生き方にも及んだ。聞き手はJCJ事務局長兼機関紙編集長の橋詰雅博。


――告発に至った最大の理由は何ですか?
 告発という言葉がその時の状況を的確にあらわしているとは思えないが、成り行き上、そうなった。意を決して立ち上がったみたいな、潔さとか悲壮感はなかった。かなり政治によって行政が歪められたという意識はやはりあった。 
 特定の者に対する利益誘導ではないか、国民のための権力が私物化されているとの疑念があった。これは国民が知るべき事実ではないかと思った。
 また、JCJ大賞を受賞した朝日新聞は、私でなく別の文科省の現役官僚からの取材で情報を得て報じてきたわけで、私は目の前で事実が明らかになればいいと思っていました。

信用落ちたら困る

 文科省は5月19日、メディアが報じた「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向』などの文書は省内調査の結果、確認できなかったと発表した。だが、あの文書は関係者ならだれでも知っている。「出してくれ」と言えば、すぐ出てくるはず。その「存在を確認できない」のはおかしい。これでは文科省が情報を隠ぺいしていることになる。
 私は天下り問題で不名誉な形で辞めている。特に文科省の評判を落としたのは、違法な再就職あっせんに加えて、事実に反するストーリーで、糊塗つまり隠ぺい工作しようしたことだった。それを繰り返すのはいけない。教育行政に対する信用が一回、地に落ちていますから信用を回復する努力をしなければいけない時期なのに、さらに信用を落とすという気持ちもあり、ちょっと複雑な心境でした。
 ただ、積極的に打って出たのかと言うと、本当ところはそうではない。すでにNHK、朝日新聞週刊文春などと接触があったし、知っていることは話した。
 しかし、名前を出して告発するなんて考えてもいなかった。取材では「この文書は確かにあった」とか「経緯はこうです」などと答えたが、「名前や顔を出すのは勘弁してください」と、最初はそういうことでした。

記事は意外だった

――突き動かしたきっけは何ですか?
 ひとつは今、お話した文科省の隠ぺい工作。もうひとつは5月22日付読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事です。私がメディアと接触して(加計疑惑で)コメントしていると、総理官邸には伝わっていたと想像している。実際、「前川が漏らしていると官邸サイドが言っている」と私に伝えたメディアの記者もいました。それとは別に出会い系バーについて一部週刊誌は接触しようとしていた。
 店に行っていたのは事実ですから書かれても仕方ないと思い、相手にせず取材申し込みを放置していた。そうしたら5月22日に読売の記事が出た。極めて意外だった。 
 読売はメールで何回か取材申し入れをしてきたが、記事にはしないと思った。信頼するメディアの記者に話したところ、週刊誌は分からないが、いくらなんでも読売は報じないだろうなという感じだった、私もそうだろうなと思っていたので、取材申し入れを放ったらかしていた。

総理官邸が企てる

(読売の記事の)情報の出どころは官邸、これか明らか。もともと官邸は出会い系バーのことを知っていた。昨年の秋に杉田和博官房副長官(警察庁出身で、警備・公安畑を長く歩み第二次安倍政権発足時に内閣官房副長官に就任)からこの問題でご注意を受けた。
 さらに今年2月にも電話で「あの問題を週刊誌が書こうとしているよ」とお知らせがあった。文春、新潮、ポスト、現代、どこだろうなと考えたが、結局、記事は出なかった。杉田さんの情報は何だっただろうなと首を傾げた。
 あの記事は官邸が書かせたと確信したのは、21日に後輩の文科省幹部から和泉洋人総理補佐官(旧建設省技官出身、第二次安倍政権発足直後の13年1月から総理大臣補佐官に就任)が「会いたいと言ったら対応するお考えがありますか」とメールがきたからです。記事を出させたくないなら取引に応じろ、加計学園関係文書について、発言は控えろという風に想像した。そうとしか考えられなかった。

ためらいが消えた

 読売の記事で私自身、完全に吹っ切れた。次官辞任(1月20日)する前までは政府の中にいた人間だし、私の名前でどこまで真実を言っていいのか、国民の知るべき事実を自ら言うべきか、ためらっていた。
 だが、官邸は加計問題で口封じに動き、読売新聞まで使っている。忖度する問題ではなくなった。堰が切れ、官邸に遠慮しなくていい、躊躇しなくていいという思いに変わり、5月25日に東京・霞が関の弁護士会館で記者会見。取材していた朝日、週刊文春、TBS番組「NEWS23」がその日に「文書は本物」と報じた。(続く)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号に掲載
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2017年09月24日

【今週の風考計】9.24─700億の税金を政権延命に使う「逃亡解散」

■「仕事師内閣」が発足して55日、何も仕事しないまま国会解散とは、開いた口がふさがらない。700億もの税金を投入して総選挙を行い、安倍首相自身に降りかかる<森友・加計疑惑>をかわすための「逃亡解散」。大義など一つもない。■「加計については1月20日に初めて知った」との自分のウソ発言を、消すための「エゴイズム・リセット・延命解散」に他ならない。解散権をもてあそんでいいのか。

■東京新聞が<「7条解散」消えぬ疑問>と題して、解散は首相の専権事項という正当化に問題を提起している(9/24付)。憲法に明記されているのは「内閣への不信任決議が可決された場合、10日以内に解散か総辞職をしなければならない」とある69条のみ。7条の<天皇の国事行為>にすがる解散は、大義などいらず、党利党略・首相の恣意的な行使へとつながりかねない。■ともあれ私たちは、今の安倍政権へ厳しい審判を下さねばならない。こうも「ウソと強弁、言い逃れ」が続く政治をストップさせ、国民に目を向けた施策を実現する国会へ変えていこう。

■市民は野党の共闘が進み、憲法9条つぶしの策動に抗う議員が、少なくとも3分の1以上になるよう、心から願っている。民進党も離党続出や「希望○○」の動きなど気にせず、憲法9条を守る政党として、改めて党の一体性を作りあげるチャンスだ。■昨年夏の参院選挙で初めて行使された18歳選挙権、約240万人の若者たちが、今度は衆議院選挙で一票を投ずる。2021年10月まで任期がある衆議院議員、あわよくば安倍首相の任期延長まで目論みかねない総選挙、すべての有権者が重要な判断をしなければならない。(2017/9/24)

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2017年09月17日

【今週の風考計】9.17─なんと年間1170時間まで残業OKの法案

「電通」違法残業事件の初公判が22日に開かれる。過労自殺に追い込まれた新入社員の女性は、1カ月前の残業時間が月105時間に達していた。その経緯と労働実態が、公開の場でどれだけ明らかにされるか、注目される。月末に開かれる臨時国会には「働き方改革関連法案」が提出される。その内容が問題だ。「残業の上限規制」と「高プロ残業ゼロ」を、強引に抱き合わせて一本化した法案だ。残業の上限規制にしたって、過労死ラインは月80時間と認定しているのに、繁忙期でも「月100時間未満、年720時間」へと改悪する。

さらにタクシーやバス、トラック運転手は除外され、5年後になって、残業の上限を年間960時間まで改悪しての適用だ。この上限には休日労働は含まれない。なんと年間1170時間まで残業OKとなる。「高プロ残業ゼロ」も要注意。年収1075万円以上の専門職は、この規制から外され残業代は支払われない。これに当てはめる専門職の年収額引き下げは目に見えている。

30年前の1987年11月、N 製本・金井さんが過労死した。金井さんは死亡直前1カ月の残業は129時間24分。労組や過労死家族の会と共に、労災認定・補償を勝ちとるため、労基署交渉や裁判所への要請、街頭宣伝・デモなどに取り組んだ。そして15年、2002年秋に勝利解決した。その闘いに携わった人々の顔が思い出される。いま「全国過労死を考える家族の会」代表・寺西笑子さんは、「裁判で労災だと認定され、企業が謝罪をしても亡くなった人は生き返りません。こんな悲しい思いをする遺族をこれ以上増やしたくありません。今回の法案で健康や命が守れるのでしょうか」と問う。(2017/9/17)
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2017年09月10日

【今週の風考計】9.10─16年目の「9・11」とアウンサンスーチー

<9・11同時多発テロ>から16年─今も米国では、イスラム教徒への暴力・迫害は続き、ヘイトクライムは勃発前の5倍にのぼるという。トランプ大統領は就任してわずか1週間後、1月27日、「テロとの闘い」を名目に、中東7か国からのイスラム教徒の入国を90日間停止、さらに難民は120日間受け入れを停止する大統領令に署名した。その後も、多様な民族との融和を拒む言動が続く。

こうした排他的な動きは、なにもトランプだけではない。いまや世界に広がる。近くはミャンマーでの武力衝突をめぐるアウンサンスーチー国家顧問の態度も、同類と見ていいのではないか。ミャンマー西部ラカイン州に居住する少数派のイスラム教徒・ロヒンギャ族への対応である。迫害されてきた歴史を背景に組織されたロヒンギャ武装集団と政府治安部隊との戦闘で、無辜の住民27万人が隣国のバングラデシュに避難している。にもかかわらずアウンサンスーチーは、ロヒンギャ武装集団という「テロとの闘い」を理由に、住民を保護せず、融和のための対策を取ろうとしない。

同じノーベル平和賞受賞者でパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは、この3日、アウンサンスーチーの積極的な発言を期待し、「世界とロヒンギャ・ムスリムが待っている」と、暗に今の態度を批判した。ロヒンギャ問題に対して、何も対策を取っていないアウンサンスーチーに対し、賞を取り消すよう求めるインターネットの署名サイトも立ち上がり、すでに署名は38万人分を超す。インドネシアでもイスラム教徒がミャンマーへの抗議行動を強めている。世界の厳しい視線がアウンサンスーチーに向けられている。(2017/9/10)


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2017年09月05日

フォトアングル 8月


5面 靖国キャンドル.jpg
「靖国反対」「戦争反対」「合祀反対」「安倍は辞めろ」のシュプレヒコールを挙げるデモ参加者の手にはキャンドルが掲げられている。
 2005年以来12回目の「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」だ。デモ行進は、周囲に多くの右翼が出没して、マイクでがなりたてるのを、機動隊が制止して、もみあうという緊張の中で進み、目的地まで行き、無事解散した。=8月12日、東京都千代田区で、酒井憲太郎撮影
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2017年09月03日

【今週の風考計】9.3─終わっていない朝鮮戦争とミサイル発射

◆9日、北朝鮮は建国69周年を迎える。その日、グアム周辺に向けミサイルを4発、同時発射する計画が取りざたされている。愚かな選択による戦争の勃発は、絶対に避けなければならない。◆こうまで北朝鮮と米国の軍事緊張が続くのは理由がある。根源は、いまだに朝鮮戦争が1953年の「休戦」という形のまま、国連や関係国の間で「停戦」協定が結ばれていないことにある。

◆北朝鮮は米国に対し再三にわたり、休戦協定を平和条約へと前進させ、朝鮮半島の平和を確立するための提案をしてきた。だが64年が過ぎた今も締結されていない。米国は国連軍として朝鮮戦争に参加し、わずか3年の間に、北朝鮮の2百万人を超す人びとを殺害した。◆だが米国は北朝鮮の提案を無視するだけでなく、北朝鮮を敵国扱いし続け、韓国とともに北朝鮮への軍事圧力を強化してきた。しかも日本は当事者ですらないのに、この米韓軍事同盟に同調してきた。さらに日本は、国連に加盟している北朝鮮を、国として認めず、国交も結んでいない。

◆アジア地域の平和を目指すなら、今こそ日本がイニシアチブをとり、朝鮮戦争の「停戦」と平和協定の締結に向け、率先垂範して国連への働きかけを強めるときである。北朝鮮への石油禁輸など、さらなる経済制裁を呼びかけたり、PAC3の配備やミサイル発射3分後に鳴るJアラートに血道をあげ、国民を困惑させたりする前に、日本政府が果たすべき役割があるだろう。◆それはトランプ大統領に「火炎と憤怒」などの好戦的な言動でなく、米国は朝鮮戦争の「停戦」を宣言し、平和協定を締結すると、国連で表明するよう迫ることだ。(2017/9/3)

posted by JCJ at 12:06 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月31日

権力批判記事を掲載し続ける「通販生活」編集人がインタビューに答えた=橋詰雅博

 通販生活は(カタログハウス発行)ユニークな雑誌だ。販売する商品紹介に加えて読み物記事が約250ページの半分を占める。しかも脱原発や安保法制、集団的自衛権行使容認、米軍基地の沖縄一極集中などに反対した記事が目立つ。今年の春・夏・盛夏号では憲法改正の是非を問う国民投票法の問題点に取り組んだ特集を各号で掲載。読み物編集担当編集人の平野裕二さん(51)に3回連続で掲載した狙いなどを聞いた。
   ☆    ☆
――なぜ国民投票法にテーマを絞ったのですか。
 国民投票の実施が近づいていると考えたからです。安倍晋三内閣は、集団的自衛権行使容認を閣議決定して、安保法制を成立させた。これによって南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊は戦闘に巻き込まれる可能性がある駆け付け警護の新任務を負わされた。現行9条は実質的に改正されてしまったと考えています。その上に自衛隊を憲法九条に明記する改憲案を安倍首相は提示した。これで改憲されたら自衛隊は海外に出て行き戦争する危険性が高まる。通販生活はこれには断固反対の立場です。にもかかわらず国民投票法の中身や問題点を国民の多くは知りません。改憲は国民の生活スタイルや生き方にまで影響を及ぼす一大事です。このため3回続けて特集を組んだ。

スイス取材夏号で

――2007年の国民投票法成立前から特集を掲載していたそうですが……。
 国民投票が法制化されそうだというので、05年に重要な問題を国民投票で決めるスイスに取材に行き夏号で6ページ特集を組んだ。特に有料テレビCMの実態に力を入れた。メディアでは国民投票での有料テレビCMを一番早く扱ったと思う。その後、07年夏号、11年と14年にそれぞれ秋・冬号で掲載した。

――今年夏号で有料テレビCMは、「全面禁止にすべき」と主張していますが、なぜですか。
 投票日14日前以外は、テレビCMは自由ですからお金を持っている側は影響力の強いテレビCMをバンバン流せるが、お金をあまり持っていない側は限られる。資金が潤沢な改憲側が賛成テレビCMを大量に打てば、国民は洗脳されて改憲側が勝ってしまう可能性が高い。負けた護憲側は「金の力に負けた」と思い結果に納得できない。国民の間に分断が生まれます。だから全面禁止と訴えたが、最低でも賛成側と反対側が公平になるようなルールをつくる必要がある。

民放5社に質問書

――国民投票法の付帯決議では、有料広告のルール作りをメディアに求めているが、業界では何か動きがあるのか。
 国民投票成立後に放送事業者の業界団体の日本民間放送連盟(民放連)は「自主・自律による取り組みに委ねられるべき」と声明を出しました。それから10年が経過。編集部は今年3月16日に民放連に自主ルール作りについて問い合わせたところ、番組部は『ルール作りについては社会の動静を見ながら進めるべきだと考えている』と回答してきた。これは夏号に載せました。また、その後、在京の民放キー局5社に有料テレビCMの公平性の確保について『局内で検討されたことがありますか』と質問書を送付。『個別事案について従来からお答えしておりません』と各局ともほぼ同じ文言での横並び拒否回答でした(盛夏号に掲載)。民放連や民放各社に任せていてもルールづくりはなかなか進みません。

改憲は遠のいたか

――「森友」と「加計」の両疑惑などで安倍内閣の支持率が急落、改憲は遠のいたという見方があるが、どう見ているか。
 改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めている国会の下では、改憲発議ができます。遠のいたとは言えない。安倍首相が退陣しても、自民党政権が続けば、改憲はついて回る。安倍がいなくなったからもういいやと安心はできません。確かに野党が国政選挙で3分1以上の議席を獲得すれば、発議を阻止できる。そうした運動もあるが、改憲反対側が国民投票で勝てるように戦略を立てることも重要。その一つが国民投票における有料テレビCMの規制です。通販生活は今後もこれを記事で主張し続けていきます。

――ところで通販雑誌が反権力的な記事を載せる理由は。
 買い物は暮らしそのものであり、暮らしは政治に直接影響を受けます。戦争に突入したら、真っ先に制限されるのが買い物です。だから憲法や安全保障などの問題を積極的に取り上げるべきだと考えています。カタログハウス創業者・斉藤駿(現相談役)の理念です。

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

通販生活 創刊は1982年。9割以上が定期購読者(定価180円)。60代以上の主婦が購読者の中心で、発行部数は110万〜120万部。年4回発行。

※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年8月25日号
posted by JCJ at 14:38 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする