2017年02月19日

【今週の風考計】2.19─介護保険改悪を“成果”と自慢する感覚

武家・町人91万人が住む江戸の町は、意外や長寿の町。年寄りの介護にあたる「介抱人」お咲は、その誠実さが評判で引っ張りだこ。三日泊まり込み・一日休みの介護仕事はきつい。朝井まかて『銀の猫』(文藝春秋)に描かれる主人公・お咲は、自分が会得した「生き生き楽楽・介抱」のノウハウを、多くの人に伝えたいと思い、『往生訓』の刊行にも協力する。読んで、ほっくり心が温まる。さて、いまの日本はどうか。要介護・要支援認定者は、昨年末で約631万人。9年後の団塊世代が75歳以上になる2025年には、716 万人となる。介護職員38万人が不足するという。介護の現場では、低賃金・重労働・高齢化が進み、介護職を希望する人は少ない。平均収入は月額22万円。全産業平均を10万円近く下回っている。また難しい国家資格を取得しても、賃金に反映されない。3人に1人は3年以内に辞めてしまう。人手不足による職員の介護スキルや介護サービスの低下も問題になる。合わせて新人が定着しないため現場を支える職員が高齢化している。まさに現場に3重苦が襲う。介護保険が始まって17年。その内容は改善どころか改悪が進む。要支援者向けの訪問・通所サービスを保険給付から外し、利用料2割負担へ引き上げたのに加え、さらに一定の所得以上の人には、利用料を3割負担にする法案が閣議決定されている。毎年2200億円の 「社会保障費の増加を抑えることが、経済成長に寄与する」とまで明言し、削減を“成果”と自慢するに及んでは、もう言語道断。(2017/2/19)
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2017年02月12日

【今週の風考計】2.12─呆れる「安倍ファミリー」の劣化と見識

安倍首相・トランプ大統領のハシャギぶり。「相性がいいんだ」とは言いえて妙。ともにウソや恫喝で政治を操るテクニックは同じ。トランプ氏が恫喝で買収したフロリダの豪邸「マー・ア・ラゴ」の夕食会で、安倍首相は昭恵夫人と共に、日米の「蜜月」を誇示する。明けてゴルフ場で両首脳はハイタッチ。その合間の密談、かつ2度目の夕食がクセモノ。「おべっか」を使う安倍首相が「日本の公的年金を米国のインフラ投資に献上」とまでバラされた、カモネギ外交・貢ぎ物外交に終始するのでは、目も当てられない。マティス国防長官と稲田朋美防衛相の会談でも、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル」を、自衛隊に導入するとまで約束した。その稲田防衛相は、南スーダンの戦況は「憲法9条のうえで問題」になるから、戦闘でなく「武力衝突」という言葉を使ったという。この呆れる弁明。さらに安倍首相・昭恵夫人が名誉園長・校長に就く、学校法人「森友学園」をめぐる疑惑も看過できない。4月に開校する「瑞穂の國記念小學院」の用地獲得に向け、近畿財務局へ働きかけ、国有地を異常に安い価格で得た疑惑である。この学園理事長は、憲法改正を求める「日本会議」大阪の役員で、田母神俊雄、櫻井よしこ、百田尚樹といった右派文化人を招いて講演会を開催し、幼稚園では日の丸の旗を振らせて<同期の桜>を歌わせるので有名だ。昭恵夫人の見識が問われる。文科省のあっせん天下りといい、金田法務相が、「共謀罪」を法案提出まで話題にしないよう、マスコミを使って恫喝する始末。この「安倍政権ファミリー」は退くのが「ファースト」。(2017/2/12)
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2017年02月05日

【今週の風考計】2.5─何よりも永田町からヘイト言辞をなくせ

●現行のヘイトスピーチ対策法には、どのような言辞や表現がいけないか、明確な定義がない。そのため憲法が保障する表現の自由を盾に、ヘイト行動や言辞が、充分に規制できずにきた。●自治体の当事者も、集会やデモでの公共施設の使用を不許可とする判断が難しく、対応に苦慮してきた経緯がある。これに応えるべく法務省は、基本的な解釈をまとめ、「不当な差別的言動」の具体例を明示した。●具体例では「〇〇人は殺せ」「〇〇人を海に投げ入れろ」といった脅迫的言動や、ゴキブリなどの昆虫や動物に例える著しい侮辱、「町から出て行け」「祖国へ帰れ」「強制送還すべきだ」などの排除をあおる文言が当てはまるとした。さらに「〇〇人は日本を敵視している」などのように、排斥の意図が明確であれば該当すると明示した。●「触るなくそ。どこ、つかんどんじゃボケ。土人が」「だまれ、こら、シナ人」などのヘイト暴言は、いまでも記憶に新しい。沖縄・東村高江の米軍北部訓練場周辺で、大阪府警の機動隊員が、工事に抗議する市民に対して吐いた言葉だ。●さらには沖縄・北方担当相までが「『土人』が差別だとは断定できない」とうそぶいた。この鶴保庸介大臣のヘイト言辞・人権感覚に、どう法務省は対応するのか。トランプ大統領の排他的・差別的な大統領令がハビコっているだけに、まずもって日本の法務省から差別抑止に向け範を示すべきではないか。(2017/2/5)
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2017年01月29日

【今週の風考計】1.29─まず大阪から「教育無償化」に踏み出せ!

トランプ大統領とそっくりな人が、日本にもいる。そう橋下徹氏である。大阪府・市の首長を経て丸9年。ツイッターでの「指先介入」は健在だ。「いよいよ安倍首相が教育無償化に乗り出した。教育大国日本へのスタートだ」と息巻き、「トランプ大統領と伍していくには、日本も原子力潜水艦を保有すべき」と語る。おいおい、<衣の下から鎧が見える>じゃないか。現に、国会では「日本維新の会」所属の重鎮議員が、安倍首相に「カジノ解禁法」成立へのお礼とばかりに、「教育無償化」の導入をテコに、憲法改正を要請している。さらに「トランプ大統領が更なる負担を求めてきたら、防衛費の見直しも検討すべき」と、GDP1%枠の規制ハズシを促す。とりわけ安倍首相は、「日本維新の会」代表でもある大阪府知事の松井一郎氏が、これまでに「9条も見直していくべきだ」と表明しているのを、強力な援軍にして、9条改定・国防軍創設に執念をみせる。「教育無償化のための改憲」という主張には、9条改憲の呼び水・先導役を買って出るコズルイ狙いがあるのは見え見え。まず大阪から、教育無償化に向けて一歩踏み出しらよい。松井氏自身が「自治体の予算でもできる」と、言っていたではないか。この12日には、中学1・2年生を対象に2回目の「チャレンジテスト」を実施した。これは「点数至上主義」に走り、テスト漬けにするだけ。その歪んだ教育行政は、多くの人々が即刻中止せよと声を挙げている。テストにかける経費を教育無償化の財源に充てたらよい。(2017/1/29)
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2017年01月22日

【今週の風考計】1.22─おお怖ッ、トランプ大統領の「人差し指」

批判には耳を貸さず、相手を声高に指弾するトランプ新大統領が、右手「人差し指」を突き出す映像を見ると、背筋が寒くなる。そこには相手を敬う「リスペクト」など、かけらもない。斜め上に挙げる「ヒトラーの掌」を思い浮かべてしまう。支持率は40%といわれる。現に、反トランプ・抗議デモ「女性のワシントン行進」には、<NO! ストップ トランプ/ペンス ファシスト政権>のプラカードを掲げ、50万人が参加する事態となっている。移民やイスラム教徒、女性などへの侮辱発言や排他的な主張を繰り返してきたトランプ氏が、いくら就任演説で「米国を再び偉大な国にする。ワシントンから皆さんに権力を移す」と叫んでも、誰も信用しない。当然だ。トランプ新政権は大富豪、ゴールドマン・サックス、将軍からなる「3G」の閣僚で占める。まず始めたのが、オバマ前政権が進めた医療保険制度改革(オバマケア)を撤廃する大統領令への署名だ。保険の加入者数を大幅に拡大したオバマケアが、どれだけ高額医療費の支払いを緩和し、健康が損なわれる事態を改善したか。偉大なレガシーへの「リスペクト」すらない。メキシコからの不法移民を防ぐためと称し、費用113億ドル(1.1兆円)もかけて「メキシコ国境の壁」を建設するなど、愚の骨頂。さらには「メキシコへ工場を移転する企業には35%の<国境税>を課す」と、内外の企業を恫喝する。メキシコ、カナダと結んだ北米自由貿易協定(NAFTA)すら見直して、高率関税を課す政策へと大転換する。まさに世界を敵に回しても、「米国第一主義」へと突っ走る。<ワシントンの独裁者>は、ご免こうむる。(2017/1/22)
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2017年01月15日

【今週の風考計】1.15─「デモはテロ」の発想と共謀罪の怖さ

▼安倍政権は、20日から始まる通常国会に、3度も廃案になった「共謀罪」法案を、性懲りもなく提出する。詐欺や窃盗、道交法・公選法違反など、676の犯罪に適用される。▼実行していなくとも、居酒屋での冗談・怪気炎が、共謀の準備とみなされ、「共謀罪」が適用されるやもしれない。「共謀準備」とは、どんな行為をいうのか、676の犯罪に則して、一つ一つ明確に定義できるのだろうか。警察官のさじ加減や袖の下によって「共謀罪」か否かの判定が下されたら、たまったものではない。▼もともと犯罪は実行された行為をもって成立し、準備段階での話し合いなどは処罰しない─この近代刑法の根本原則が覆される、最も危険な法案だ。▼犯罪の計画や相談をしただけで処罰するには、警察や国家は、日常不断に国民を広く監視していなければならない。「デモはテロ」と発言するような政治家の発想ならば、シールズや<原発NO!>活動のメンバーへの盗聴や盗撮、パソコンの押収もありえよう。▼沖縄の辺野古基地・ヘリパッド建設に反対する運動にも、「共謀罪」の適用はあるだろう。現に沖縄平和運動センターの山城博治議長らは逮捕・起訴され、80日以上も拘束され続けている。「共謀罪」で立件の予行演習か? 勘繰りたくなる。▼さらに、その共謀罪が適用される刑罰の内容が過酷だ。実行してもいないのに、話し合っただけで5年の懲役・禁固。しかも自白・密告を奨励している。▼「内心の自由」「個人の尊厳」など、憲法に保障された基本的人権が、権力によって不断に脅かされる。テロ対策に名を借りた、戦前の「治安維持法」の復活に他ならない。(2017/1/15)
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2017年01月08日

【今週の風考計】1.8─3万5千歩の日野<七福神めぐり>

松も取れない陽光まぶしい一日、東京・南多摩の日野「七福神めぐり」に挑戦した。まず多摩モノレール・万願寺駅を降り、徒歩10分で土方歳三の墓がある「石田寺」へ。「せきでんじ」と読み、子孫繁栄や健康長寿をつかさどる<福禄寿>が鎮座する。続いて国道20号バイパスを渡り「安養寺」へ。<毘沙門天>をまつる。浅川にかかるふれあい橋から、南西の方向に雪を頂いた富士山が、青空を背にくっきりと映える。高幡不動駅の手前にある坂を「高幡不動・金剛寺」へ。境内は参拝の人であふれ、出店からの呼び声が飛びかう。学問や芸術などをつかさどる<弁財天>をまつる。合格祈願か、若者が多い。参道の開運そば屋で昼食を済ませ、京王線に乗り百草園駅で下車。千年の古刹「真照寺」へ。あかがねの屋根・木の香も匂う小ぶりの堂内に<恵比寿天>が起ち、大きな鯛を右手に微笑んでいる。2駅戻って南平駅から一番橋で浅川を渡り、樹齢百年という梅の木がある「延命寺」へ。まさに長寿をつかさどる<寿老尊>が佇立する。裏道をたどり徒歩15分、「善生寺」につく。巨大な自然石のうえに<大黒天>がまつられる。さらに裏山からは大仏が見下ろしている。ようよう陽も傾き、河原沿いの広場から挙げた連凧をしまう一家の姿が目に入る。徒歩40分、平山橋を渡り最後の「宗印寺」。曹洞宗の禅寺。腹デップリ、福耳たらした<布袋尊>が細目で笑っている。その石造に結ばれた赤白の紐を握る。よい年を! と願う布袋さまの気持ちが伝わってくる。心落ち着く1日、万歩計の数字は35383とあった。(2017/1/8)
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2017年01月01日

【今週の風考計】1.1─「ポスト真実」の世に抗すJCJとして

明けましておめでとうございます。酉年だとはいえ、<風見鶏>だけはご免だ。まず「ポスト真実」の世に抗したい。英国のEU離脱派や米国のトランプ支持者たちが駆使した手法─真実を隠蔽し、不確かで感情的な言辞を弄し、人びとを分断する怖さが身に染みる。20日に誕生するトランプ政権の動向から目が離せない。EUに広がる反移民の波とISテロの横行も気がかり。差別や感情むき出しの対応では解決しない。日本も例外じゃない。いまの安倍政権、あまりにも嘘と方便が多すぎないか。「福島原発はアンダー・コントロールにある」とか、自衛隊の南スーダンPKO派遣では、現地の「戦闘」を「衝突」と言い換え、「結党いらい強行採決は考えたこともない」などと、虚言を繰り返し、国民を愚弄する。沖縄・辺野古基地建設への対応は、まさに立憲主義や法治国家の理念まで投げ捨て、沖縄の人々を踏みつけにして恥じない。加えて施行70年となる憲法9条つぶしと「共謀罪」の導入を企てる。メディアの責任も大きい。広告スポンサーや官邸への気兼ねから、「報道の自己規制」が進む。市民感覚とのずれ、不信感が高まるにつれ、SNSやフェイスブックに関心が向く。しかし、これらの媒体はアクセス数が勝負。虚実ないまぜのセンセーショナルなニュース・情報が幅を利かせる。デマも拡散する。「真実か否か」を判断する根拠が、アクセス数に委ねられる。この恐ろしき「ポスト真実」の時代に、私たちは、嘘を見破り、真実を追求し、憲法を生かすジャーナリストとして立ち向かいたい。(2017/1/1)
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2016年12月25日

【今週の風考計】12.25─妻籠宿と昼神温泉で遭った師走の出来事

◆思い立って木曽路を旅した。恵那山の麓にある馬籠宿は、冬の陽光に輝いていた。島崎藤村の生れ育った地である。勾配がきつい石畳の街道は、敵の侵入を防ぐ車屋坂と呼ぶ「桝形」のせいで、直角に二回も折れ曲がる。◆続く妻籠宿には、道に面して細かい格子が組まれた家々が並ぶ。寒風に、思わず<ねんねこ>がわりの、南木曽「ねこ」を買い、背中を暖める。◆街道を進むと、ワラで包んだ柿が軒下にぶら下がっている。店に入り、外の<ワラ柿>を尋ねると、地元では「つっとこ」といい、渋柿の果肉をトロトロに甘くするとのこと。表に出ると左隅に「あぶらや」という看板。格子には「赤旗」と書かれた無人ボックスが設置され、新聞が3部ほど収まっている。1部100円とある。もう一度戻って、木曽欅の汁椀を購入した。◆その夜は昼神温泉で疲れを癒す。翌日、朝市に並ぶ店を見てまわる。おばさんたちの呼び声につられ、獅子舞のミニチュア「昼神小獅子」、お漬物「すんき」を買う。阿智川沿いに宿へ戻る途中、「石苔亭いしだ」とある旅館の門前に、ワラで作った大きなイノシシの頭みたいな飾りがある。掃除をする番頭に聞くと、「湯屋守さま」といい、災いが入り込まないよう威嚇しているのだそうだ。◆昼前、高森町の松源寺へ。NHK大河ドラマ<おんな城主 直虎>の、いいなずけ亀之丞が育った寺である。寺の前方に松岡城址があり、仙丈ケ岳、甲斐駒ケ岳が一望できる。市田柿も手に入れ、師走の2日間を堪能した。よいお年をお迎えください。(2016/12/25)
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2016年12月18日

【今週の風考計】12.18─オスプレイ墜落とストロンチウム90

沖縄名護の安部海岸に墜落・大破した米軍オスプレイ事故に、沖縄・米海兵隊ニコルソン調整官は「パイロットの回避操縦に感謝すべきだ」と開き直る始末。植民地意識丸出し。「不時着」などと言いつくろい、機体の欠陥を隠蔽しようと必死だ。米海軍安全センターですら、最も重大な「クラスA」事故と認め、オスプレイ1機の値段85億円を上回る被害額95億円と算定している。この1年間、日本で米軍が起こした「クラスA」の航空機事故は、すでに6件と頻発している。沖縄が日本に復帰した1972年以降、県内で発生した米軍機の墜落事故は47件に上る。さらに怖いのはオスプレイには、回転翼ブレードの監視用に「ストロンチウム90」が搭載されている。現に、放射線から身を守る防護服のような白い服を着用した米兵が、事故現場の海岸で、残骸機体の処理に当たっている。海に沈んだ容器から、「ストロンチウム90」が漏れ、海岸を汚染しているかもしれない。体内に入ると骨や歯に吸収され、長期にβ線を放出し続け、骨ガンや白血病の原因になる。政府は、墜落の不安や騒音で苦しめられる村民の怒りなど顧みず、もうオスプレイ飛行再開を認めてしまう。22日には、高江に発着用ヘリパッドの新設を条件に、北部演習場が返還され、式典が行われる。同日、過去最大となる5兆1685億円の防衛費を組み込む、来年度予算案を閣議決定する。オスプレイ17機を購入する防衛省は、岩国・横田・木更津などへの配備をもくろむ。防衛相は沖縄の人々に、どの顔向けて、臨席するのか。(2016/12/18)
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2016年12月11日

【今週の風考計】12.11─なぜ「真珠湾訪問」に踏み切ったか?

◆このところ、安倍さんのハシャギようは異常だ。15日来日するプーチン大統領との会談は、平和条約の締結どころか北方領土の返還すら、何ら進展が見込めないのに、水産・観光分野での経済協力を持ちあげ、大手柄にする腹づもり。山口県・長門市の伝統的な温泉宿でのオモテナシも、フグを食い逃げされて終わりそう。◆また25日の真珠湾訪問も、「歴史的快挙」と自負するが、日米開戦に突入した太平洋戦争への謝罪ではない。実は現職のオバマ大統領へ、まずは「トランプ・安倍会談」がもたらした不快感への“お詫び”のためといわれる。◆だから官邸は「謝罪ではない」としきりに弁明する。戦後の歴代首相が真珠湾訪問・慰霊に踏み切れなかったのは、太平洋戦争への“謝罪”につながる事態を避けたいためだった。それが一転、「真珠湾訪問」に踏み切ったのは、世界から物笑いにされている「トランプ訪問」を打ち消すためというのがホンネ。◆本来、すべての国に公平に謝罪と反省の気持ちを表すのが常識。中国では13日の南京事件「国家哀悼日」に、国家主催の追悼式典を開き、南京市内で警笛を鳴らして犠牲者を追悼する。安倍さんの胸中には、謝罪どころか反省や哀悼の思いもない。◆それどころか支持率6割をいいことに、年初の「真珠湾解散」すら目論み、2月中旬の総選挙を企てる。自らの政権維持と改憲への野望を実現させるためなら、何でもやる構えだ。(2016/12/11)
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2016年12月04日

【今週の風考計】12.4─呆れる「カジノ解禁」の政治的堕落

カジノ事業は、刑法の賭博罪に該当し禁じられている。だが自民党は「カジノ解禁法案」を、審議5時間33分で強行可決。TPP批准、年金切り下げに続く3度目の暴挙。発破をかけた官邸や推進議員の感覚を疑う。まさに政治的堕落そのもの。カジノ合法化により、反社会的集団がマネーロンダリングや資金稼ぎに使う危険は増す。闇金融は、5日で1割の利率でも、損を取り戻そうと借りにくる人を目当てに、大儲けをたくらむ。多重債務や家庭崩壊による不幸や悲劇が増えるのは明らか。ギャンブル依存は536万人に上る。世界でも際だって高い。国民の不幸を踏み台に、カジノ賭博で経済成長・観光開発の起爆剤にする─この発想こそ邪道の極み。カジノ事業者の利益、すなわち胴元に集まる巨額なテラ銭・あぶく銭を保証してやるために、依存症対策の社会的費用を負担するなど言語道断。日本で例外として認可される賭博は、競馬・競輪・競艇・オートレースや宝くじ・スポーツ振興くじなど、地方自治体が運営する公営ギャンブルだけ。だが今度の「カジノ解禁法案」は、「民間事業者に運営権限を直接付与する」完全民営化である。大手を振って内外から参入してくるだろう。パチンコ業者も含め、ギャンブル事業者間の過酷な競争、トラブルに拍車がかかる。公営ギャンブルの事業主体である地方自治体までもが、競馬・競輪などの運営を、すべて民間事業者に丸投げしかねない。民営賭博は認めるな。参院で廃案に追い込もう。(2016/12/4)
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2016年11月27日

【今週の風考計】11.27─没後30年の島尾敏雄とミホに惹かれて

2カ月前、筆者がポーランドの旅を始める際、事前に島尾敏雄『夢のかげを求めて─東欧紀行』(河出書房新社)を読み、役にたったことが忘れられない。帰ってきてまもなく、梯久美子『狂うひと─「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社)が刊行された。夢中になって読んだ。島尾家に残された夫婦の日記や新たに見つかった原稿など、膨大な新資料をもとに、ミホの心情に分け入り、凄絶な生活を描いた『死の棘』の謎に迫った評伝である。描かれた1953〜55年の事態と生活の中で、本当に狂っていたのは妻か夫か、梯久美子さんが10年の歳月をかけて実相に迫った執念に感動した。敏雄の<東欧紀行>は、1967年10月末から12月初めまでの単独旅行。心身も落ち着いていたころだ。周囲への観察も行き届き、筆致も滑らか、長文が続いている。島尾敏雄は1986年11月12日、69歳で死去。今年は没後30年になる。死の前年に刊行された『魚雷艇学生』に胸が震え、また敗戦後すぐに書かれた短編をまとめた『夢の中での日常』も記憶に残る。そして今、島尾ミホ『海辺の生と死』(中公文庫)を読み終えて、奄美大島の南にある加計呂麻島の自然と習俗のなかで、記憶に刻まれた幼き頃のミホの生活と原点がほうふつとして、浮かびあがる。さらに『妻への祈り─島尾敏雄作品集』(中公文庫)を購書した。そして島尾伸三『小高へ─ 父 島尾敏雄への旅』(河出書房新社)も読んでみたい。(2016/11/27)
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2016年11月20日

【今週の風考計】11.20─「レイプキャンプ」にどう立ち向かうか

●南スーダンの危険度は最高レベル4。渡航中止や退避勧告が出ている。ディンカ族が中心のキール大統領派・政府軍に対して、ヌエル族が中心のマシャール元副大統領派・反政府勢力が反撃に転じ、戦闘は激化の一途を辿っている。●これまでに数万人が犠牲になり、兵士によるレイプ、略奪、暴行は跡を絶たない。ある秘密の「レイプキャンプ」では、女性数千人が拉致され性奴隷にされている。女性は、兵士らに縛り上げられ、繰り返しレイプされている。●こうした女性たちの悲惨な現実は、明らかにされてこなかった。この戦地の現実が、稲田朋美防衛相には見えているのか。●ナイジェリアでは、少女たちがイスラム過激派組織ボコ・ハラムに拉致され、イラクでは、ヤジディー教徒の女性たちが「イスラム国(IS)」に性奴隷として連れ去られている。いまや戦場や紛争地では、真っ先に女性や少女たちが、兵士らによるレイプなどの被害に合っている。●自衛隊は武器を携行しての「駆けつけ警護」を優先するが、難を逃れて救援を求めてきた現地の女性や少女には、どう対応するのか。国としての救民支援は、どうあるべきか、真剣に考えるときだ。●25日は<女性に対する暴力撤廃の国際デー>。世界の女性は、3人に1人が生涯で一度は、殴られたり性暴力の被害にあっている。12月10日「人権デー」までの16日間、せめても稲田防衛相は、戦場や紛争地でのレイプ根絶にどう立ち向かうか、真剣に考えたらどうか。(2016/11/20)
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2016年11月13日

【今週の風考計】11.13─<反トランプ・デモ>が提起したこと

この怒りには道理がある。<ピース&ラブ>のプラカードを掲げ、マンハッタンの「トランプ・タワー」前で怒りの抗議。反トランプ・デモは全米各地に広がる。メキシコ移民・イスラム教徒の排斥、女性蔑視、「パリ協定」からの離脱など、これまでのトランプ暴言に怒りをあらわにしたものだ。韓国・朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣を求める、ソウルでの100万人デモ。青瓦台の側近たちによる数多くの不正に加え、大統領自身が国家機密まで民間人に漏らし、かつ財団の私物化などが明らかとなり、高校生や小さな子供連れの若いカップルまで、<不正>に対し怒りの声をあげる。当然のこと。さて日本。安倍政権は15日の閣議決定で、南スーダンPKOに派遣する自衛隊部隊に「駆けつけ警護」の新任務を付与する。20日には、先発隊130人が青森空港を出発する。12月15日までに計350人を首都ジュバに派遣する。いまジュバで起きている事態など見て見ぬふり。全面的な民族紛争から大量虐殺へとエスカレートする危険が増しているのに、「戦争ではない」と強弁を繰り返す。新トランプ大統領になっても、「TPP批准」の強行を続けるにあたって、「米国に働きかける」など、笑止千万な国会答弁で逃げる。この神経、おかしくないか。日本を危うくしている<驕り>、これに誰もが怒っている。(2016/11/13)
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2016年11月06日

【今週の風考計】11.6─TPP強行・「パリ協定」軽視のツケ

タイラバヤシかヒラリンか─こんな落語を思い出すほど、8日投票の米国大統領選に臨む両候補、TPPへの態度については同じ。どちらも反対・離脱、言い方の違いでしかない。だが安倍政権はTPP批准に向け、農家や国民の不安は募るのに、冗談・軽口を繰り返す農水相は放置し、強行採決へ突っ走る。肝心かなめの米国議会は、審議すらしていない。参加12カ国を見ても批准した国はゼロ。いまや失効の公算が大。なぜ安倍政権は、大事な「パリ協定」の批准すら後まわしにして、TPPを急ぐのか。国会軽視・政権のオゴリからくる暴走としか言いようがない。COP22が、7日からモロッコ・マラケシュで始まる。各国の削減目標をどう評価し、実行状況をどう検証するか、「パリ協定」のルール作りに向けた議論が始まる。日本はオブザーバーでしか参加できない。大失態の極みだ。国際的評価は地に落ち、各国の利害がぶつかる交渉の場での存在感は、低下する一方だ。ただでさえ石炭火力発電のトップセールスに傾注し、国内でも新増設計画を進める日本政府には、温室効果ガスの排出削減に向けた「本気度」が、世界から疑われる事態に至っている。唯一の被曝国でありながら、核兵器禁止条約の交渉開始を定めた決議案にも、日本は反対票を投じた。国際社会から「核廃絶にも温暖化対策にも後ろ向き」と見なされたツケは大きい。(2016/11/6)
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2016年10月30日

【今週の風考計】10.30─「NMN」に群がるハゲタカ・ビジネス

●「NMN」が注目されている。国内でも「NMN」を人間に投与し、安全性や効果の有無を調べる臨床・人体実験が始まり、すでに3カ月が経過しているからだ。●生物体内にある「ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)」という物質は、老化を抑えるサーチュイン遺伝子を活性化させ、酸素消費量やエネルギー代謝をよくすることが、マウスの動物実験から判っている。●生物の臓器を修復し若返らせる上で重要な「NMN」は、年を経るにつれ減少する。そこで「NMN」を補充してやり、サーチュイン遺伝子を活性化させてやれば、人間の寿命が100歳以上に延びると言われている。●「NMN」は若返り特効薬として、ガン免疫薬「オプジーボ」0.1g73万円ほど高額ではないが、研究用の試薬品とはいうものの0.1g4万円、一般ユーザーには「NMN」を高配合したサプリメントが1g1万円で売られている。しかし、その効能や安全性については疑問も出ている。●なんとGoogleまでが、製薬メーカー・アディマブを1千万ドルで買収し、遺伝子研究の世界的権威ボットステイン博士を招聘。<カリコ>と呼ぶプロジェクトを立ち上げ、「NMN研究開発」に注力している。30兆円の延命マーケットを狙い新規参入を図る。ああ、なんでも商売。(2016/10/30)
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2016年10月23日

【今週の風考計】10.23─民意に背く「電力総連」の神経

いまも鳥取地震が収まらない。12年前の10月23日、新潟県中越地震が発生し、死者68人・総額3兆円の被害を出した。さらに3年もたたずに中越沖地震が起き、柏崎刈羽原発4基が緊急停止した。いま東京電力は全11基の原発が停止中。そのうち7基が柏崎刈羽原発にある。敷地内には20本以上の断層がある。それが「活断層」か否か、原発再稼働のカギを握る。原子力規制委員会は「活断層ではない」とする東電の評価を了承し、再稼働の審査を加速させた。飛びあがって喜んだのは東電と「電力総連」。そこに冷や水を浴びせたのが新潟県知事選挙、再稼働反対の米山隆一さんが大差で当選したからだ。自主投票だった民進党の国会議員も、次々と米山さんの応援に駆けつけ、民進支持層の85%が米山さんに投票した。野党と市民の共闘が、60年続いた保守県政にクサビを打ち込んだ成果は大きい。だが先の参院選挙で3選を果たした民進党・小林正夫議員、実は「東電労組・電力総連」の丸抱え、2650万円の献金を受けている。世論調査で示された原発再稼働反対57%という民意に背き、国会では電力自由化や発送電分離への懸念を示す質問を連発。さらに原発再稼働や原発輸出を督促し、電力会社擁護の姿勢を露わにしてきた。「原発ゼロ」へ、小泉元首相は「直ぐに」。ドイツは2022年、台湾は2025年までに。小林正夫議員は属する民進党の「2030年代に原発ゼロ」政策すら反故にする気か。(2016/10/23)
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2016年10月16日

【今週の風考計】10.16─ある奇縁、アンジェイ・ワイダを悼む

9日、アンジェイ・ワイダが90歳で逝去した。その2週間前、ポーランドの旅に向かう筆者は、ワルシャワ行きの飛行機内で、ワイダ監督「カティン」の日本語字幕ビデオにクギづけになっていた。そして彼が体調不良で入院していたころ、クラクフの街にいた。暑い陽ざしのなか、ヴァヴェル城の前、ヴィスワ川に沿う遊歩道を<竜の像>に向かって歩いていた。少し行くと、両手が刻印されたレリーフが、路面に貼りつけてある。「ROMAN POLANSKI 2015」と記されている。ポランスキーは、ワイダの映画デビュー作「世代」に俳優として出演し、「戦場のピアニスト」を作り、今やポーランドを代表する監督だ。続いて「ANDRZEJ WAJDA 2012」と記された、ワイダの手形がある。何か不思議な出会い。そういえばワイダ監督「灰とダイヤモンド」の主人公マーチェクを演じたズビグニェフ・チブルスキーの肖像レリーフも、彼の地元ヴロツワフの百年記念館へ通ずるフィルム保存館の壁に貼ってあった。39歳の若さで鉄道事故により急逝。あの映画の最後のゴミ集積場でのシーンは忘れられない。
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2016年10月09日

【今週の風考計】10.9─世界に広がる「ホロコーストの根」

★先月末、行きたかったポーランドを旅し、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所を訪ねた。ガイドの中谷剛さんから、ナチス・ドイツ軍によって、ユダヤ人ら130万人が虐殺された収容所内の遺品の数々、拷問部屋、ガス室、死体焼却炉などについて丁寧な解説をいただいた。★単に過去の「負の遺産」として捉えるのでなく、いま世界に広がる不寛容、難民排斥、「イスラム国」のテロ、さらにはイスラエルのガザ地区侵攻やパレスチナ問題にまで、ひいては日本の憲法論議や国会運営など、傍観していればホロコーストの根につながっていくと指摘する。自分のありようが重く問いかけられ、身が引き締まった。★9月28日、イスラエル前大統領ペレス氏が93歳で逝去した。ポーランドからイスラエルに移民し、パレスチナ和平に尽力した功績で94年にノーベル平和賞を受賞した。★ワルシャワに戻ると、ドイツ軍に戦いを挑んだ<ワルシャワ蜂起>の敗北の日、1944年10月2日、その日を忘れるなと、72年後の当日、年配の人たちと青年がプラカードなどを掲げ市街をパレードしている。タイミングの良い出会い。通訳の説明がありがたかった。★さらに翌日3日、「中絶禁止法案」に反対する、黒い服に身を包んだ若い女性らが、「ブラックマンデー」と名付けるデモをしている。現場の熱気たるや、ものすごい。「ジェンドブリー」(こんにちは)しか言えないもどかしさ。いまポーランドは、若い世代が立ち上がっている。頼もしい。(2016/10/9)
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