2018年02月25日

《編集長EYE》 ICAN、金融機関にアプローチ=橋詰雅博

 国連での核兵器禁止条約の採択に貢献したことで、昨年、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)。その事務局長のベアトリス・フィンさん(スウェーデン出身)は1月来日し、広島、長崎、東京で講演した。 

 フィン事務局長は「格兵器を持つことが力の象徴ではなく、恥の象徴だと認識させて、核兵器を持つ国に悪の烙印を押すことができれば、核保有国ももっと理にかなった考え方をするようになる」と訴えた。

 核保有国は「恥だ」という認識を世界に定着させるためICANは、さまざまな活動を展開する。1月初旬に本紙のインタビューを受けた(1月25日号に既報)ICAN国際運営委員の川崎哲さんは、その活動を4つに分ける。第一は核禁止条約の署名・批准を世界的に促進するため広島と長崎の被爆者による証言活動とメッセージ発信だ。第二が核武装国の「核の傘」の下にある日本のような協力国の核政策見直しを求める積極的なロビー活動。第三は将来の核武装国の核禁止条約参加を視野に入れて、核武装廃棄や検証措置をさらに精緻する議論を行う。第四が民間の金融機関などへの働きかけだ。核禁止条約が発効されれば、核兵器は国際法上、非人道兵器として認定される。そのような兵器の製造に関わる企業に融資することは社会的な責任を欠いたものと見なされる。対人地雷もクラスター爆弾も禁止条約発効(地雷は99年3月、爆弾は2010年8月)で、企業への融資が引き上げられて兵器の生産や貿易が大幅に縮小した。

 川崎さんはこう語った。

 「三菱UFJファイナンシャルグループは、『非人道兵器』のクラスター爆弾を製造する企業に対して今後、その資金使途にかかわらず、融資しない方針を昨年12月に発表した。例えば三菱UFJに核兵器の製造では、どう考えているのか≠ニいったアプローチは重要です」

 企業が相手ならば方針の転換は期待できそうだ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年2月25日号
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2018年02月08日

リニア事件 JR東海は共犯者 「三位一体」で国民だます 関島保雄弁護士に聞く=橋詰雅博

 リニア中央新幹線の沿線住民738人が16年5月に品川―名古屋間の工事認可取り消しを国に求めた行政訴訟は、東京地裁で8回の口頭弁論が行われている。原告弁護団共同代表の関島保雄弁護士(70)に、リニア談合事件をどう見ているのかなどを聞いた。

――談合事件への感想は。
 大手ゼネコン4社が工事受注前に談合を当然やっていると思っていました。リニア新幹線はJR東海が全額自己資金で建設すると07年に表明。だから国も国会も国民も民間事業だから口を挟めないという流れできました。

「民間事業」口実に
――しかし、リニア新幹線は公益事業を対象とした全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づいて建設されています。
 全幹法の場合、用地買収や建設残土の処分などで自治体を協力させることができて、環境アセスメント前に提出する工事計画などはアバウトです。環境アセスはおおざっぱなものにならざるを得ません。全幹法の適用はJR東海にとってメリットは大きいのです。それでいて民間事業を口実にJR東海はいろいろな問題から逃げています。背後に政治的な動きがあったとしか思えません。

――そのうえ安倍晋三首相は16年6月に財政投融資による支援を打ち出しました。
 総事業費約9兆円のうち3兆円を財投で賄っています。しかも超低金利で、30年間返済据え置きです。
これを実現するため安倍政権は独立行政法人「鉄道・運輸施設整備支援機構」の法改正を行い、財投資金よってリニア新幹線の工事を発注できるようにしました。全幹法を適用、さらに財投という名の税金が投入されたリニア新幹線は、今や国家的プロジェクト。国が様変わりさせておきながら民間事業のイメージを維持し、国民をだましています。

9兆円の利権隠す
 9兆円という大きな利権を隠すため国、JR東海、大手ゼネコンが三位一体となってリニア新幹線建設を進めてきています。談合によって工事費がはね上がったのだから発注元のJR東海は本来ならば被害者だが、共犯者と言っても過言ではありません。JR東海の葛西敬之・取締役名誉会長は安倍首相の財界応援団の有力メンバー。ここでも首相に近い民間人が有利になるよう政策がねじ曲げられていると思います。

――裁判への影響はありますか。
 ストレートに影響するとは言えないでしょう。しかし、この事件は、談合のような違法行為がさまざまな場面で起きているにもかかわらず強引に建設が進められている実態を裏付けるいい材料になります。原告側の主張に説得力の厚みが増します。

聞き手 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年1月25日号
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ICANのノーベル賞受賞と被爆者運動への目─第五福竜丸展示館を訪ねて=木下壽國(ライター)

 国連での核兵器禁止条約の採択に尽力した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が昨年、ノーベル平和賞を受賞した。メディアはこぞって、このニュースを大きく取り上げた。
 メディアが受賞に沸き立つ中、私は何十年ぶりかで東京都江東区の夢の島にある第五福竜丸展示館を訪れた。核兵器問題についてささやかながらも自分自身でなにかを感じてみたいと思ったからだ。訪ねたのは平日で、閉館時間に近かったこともあり、展示を見ている人は少なかった。

 館内では特別展<この船を描こう>というイベントをやっていて、小中学生の描いた第五福竜丸の絵がたくさん展示されていた。それを見た私はちょっとした感動を覚えた。船の姿をそのまま描いているのだろうと半ば見下していたのだが、なかなかどうして。想像力が豊かなのだ。
 中学2年生による「朝日を告げる福竜丸」などは、海をドーッ、ドーッと流れる川のように表現し、ちょっとした迫力を与える。そのほかの作品もそれぞれの想像力の中に船を自由に遊ばせていた。
 第五福竜丸の船体に沿って左回りに歩みを進めていくと、水爆ブラボー実験で汚染された太平洋の海域を赤丸などで表示するパネルがあった。一瞥して、改めて汚染地域の広さとひどさに驚いた。
(→続きを読む)
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2018年02月02日

核禁止条約反対「ムダな抵抗」 ノーベル平和賞のICAN国際運営委・川崎哲さんへのインタビュー=橋詰雅博

 国連での核兵器禁止条約の採択に尽力した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」へのノーベル平和賞は昨年、世界に深い感銘を与えた。しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府は条約を黙殺=B日本の多くの国民はもとより世界の人々も安倍晋三首相の冷たい態度に落胆、失望した。安倍首相はICANに対してそっぽを向くが、どこまでも「核兵器なき世界」を追求するICAN国際運営委員でNGOピースボート共同代表の川崎哲さん(49)が本紙のインタビューに応じた。条約発効の見通し、将来日本の参加はあり得るのかなどに答えた。

 ☆     ☆

――核兵器禁止条約に署名した国は56カ国で、批准は3カ国(ガイアナ、バチカン、タイ)ですが、どう思いますか。

 まず核兵器禁止条約は反核運動として理想に近いもので、核兵器廃絶への道筋ができた。

メキシコ批准済み

 条約の批准に関してメキシコは昨年12月に議会で批准している。ただ、国連への文書提出が遅れている。正確に言えば批准国は4カ国。しかし、条約発効に必要な50カ国には遠く及ばす、国連で122カ国が条約に賛成したにもかかわらず署名は56カ国にとどまっている。

――署名・批准が進まない理由は何ですか。

 2つ挙げられる。一つはどこの国も政治課題を抱えていて、そちらを優先しているので署名・批准には時間がかかる。単純な理由です。もう一つは米国など核武装国(9)が「役に立たない条約だ」とネガティブキャンペーンを打って、「署名・批准するな」と言っているからだ。2つの理由でいまのような状態になっている。私は前者の理由が大きいと思う。

 昨年末、早期に禁止条約の署名・批准を求める国連決議に120カ国以上が賛成している。署名・批准へ各国の世論が盛り上がれば、批准国は増えるはず。決して核武装国の圧力に屈服してはいません。条約の署名・批准案を国会で審議する順位をより高めるため世論喚起が必要です。

――それにはどうすればいいですか。

 ICANの今年の課題だが、ピースボートの場合、いままでやってきた広島・長崎の被ばく者の方を海外にお連れして核兵器廃絶を訴えてもらう取り組みを継続させて発展させることです。生き残った被ばく者の話は、地元メディアが大きく報じるし、高いレベルの政治家にも被ばく者は会える。気運を高めれば、必ず批准は実現できる。

協力国を揺さぶる

――格武装国と、米国の核の傘に依存する日本のような核武装協力国(約30)をどう攻略≠キるのか。

 核兵器武装国の条約への参加は当面、望み薄。条約を速く発効させれば、武装国も無視できなくなる。これに力点を置く。このため格武装協力国を揺さぶる。私が見るところ、これらの国は一枚岩ではない。核兵器を受け入れる積極派とお付き合い程度の消極派に分かれる。

 北朝鮮の核・ミサイル開発に向きあう日本と韓国、ロシアの核兵器に脅威を抱くバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)やドイツ、オランダ、ベルギー、トルコ、ポーランドなどの積極派を落すにはやはり時間を要する。このため消極派にターゲットを絞る。NATO(北大西洋条約機構、29カ国で構成)に加盟するノルウェーは議会で政府に条約加盟への可能性を検討するよう求める決議が可決される。同じくNATO加盟のアイスランドは自国の軍隊がなく、NATO駐留軍もいない。格兵器を受け入れる気持ちはさらさらない。米国の核兵器を配備して積極派と見られるイタリアでも、議会は、禁止条約に参加できるかどうか政府に求める動議を可決している。

 また、欧州では自治州の力が強い。条約賛成の自治州が中央政府にプレッシャーをかけると効果は大きい。消極派の国々や自治州などを落すのがICANの次の戦略だ。

条約は防衛に貢献

――日本が条約に署名・批准する可能性は。

 どんな総理大臣でも毎年8月に被爆地で核兵器廃絶を求める演説を行う。それなのに核兵器禁止条約に参加していない。先だって民放で核問題の特集番組を放送していたが、その実態を知らされた若いタレントは「えー」と驚いていた。多くの国民もこのタレントと同じで、それをよく知りません。日本は被爆国でありながら禁止条約に参加しないという二重性≠フ側面を持っている。このことを常識化させて、国民的な議論を巻き起こす。「条約にコミットしないのは被爆国として理解しがたい、おかしい」という声が大きくなると、日本政府の政策が転換する可能性がある。

 122カ国の賛成を得た禁止条約はいずれ発効する。格武装国と格武装協力国はムダな抵抗を止めるべきだ。条約は、核武装廃棄や国際的査察を義務付けるなども盛り込んでいる。自国防衛のためにも条約を役立てることをめざして知恵を絞ることが日本には重要です。

聞き手 橋詰雅博


JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年1月25日号
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2018年01月28日

リニア談合事件 税金3兆投入の仕掛け人は?JR東海への破格優遇に捜査のメスを=樫田秀樹

リニア巨額談合事件について、2015年度JCJ賞を受賞した「悪夢の超特急<潟jア中央新幹線」(旬報社)の著者でジャーナリストの樫田秀樹さんに寄稿してもらった。

          ☆     ☆

 昨年末からリニア中央新幹線の建設を巡る談合事件が報道されている。

東京地検特捜部はスーパーゼネコン4社(大林組、大成建設、清水建設、鹿島)の談合解明に努めているが、私が注視するのは、地検が果たして「リニア計画への3兆円の財政投融資(以下、財投)」の絵を誰が描いたかまで究明するかだ。

 15年11月、私は某準ゼネコンのベテラン社員から「弊社はリニア計画に参画しない」との話を聞いた。理由は単純明快。リニア工事ではペイしないからだ。

 07年、JR東海は「リニアの建設費9兆円を自己負担する」と公表し関係者を驚かせた。このうち、第一期工事となる品川―名古屋間で5兆5000億円だ。

銀行から融資無理

 ここで私は2つの疑問を抱いた。


@5・5兆円のうち東海道新幹線の収益を当てても、3兆円足りない。どう工面するのか。

A5・5兆円を工面できても、果たしてそれで竣工できるのか。

以下、拙著「リニア新幹線が不可能な7つの理由」(岩波書店)にも書いたが、若干の加筆をして説明したい。

JR東海の15年度末の純資産額は2兆円強だった。つまり3兆円を借りる担保がないため、銀行融資は難しいと予測されていた。

 仮に5・5兆円を工面できても、準ゼネコン社員が「参画しない」と表明したのは、「近年の新幹線は、当初予算の倍以上もかけて竣工している」からだ。従来の新幹線は、国と自治体とが建設費を出し合い、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、機構)」が建設し、竣工後にJR各社が機構に毎年「線路使用料」を払い運用されている。だが、リニア計画での当初の資金源はJR東海の自己資金だけ。だから、準ゼネコン社員は、「難工事で工費がかさんでも、JR東海は当初の契約金額以上は払わない」と予測した。 

国の金を引っ張る

そして言葉を続けた。

「だからゼネコンはうまいこと国から金を引っ張ろうとしているはず」

 その動きがあったのかは判らない。だがその7か月後の16年6月、安倍首相は突如「リニア計画に財投を3兆円投入」と発表した。

財投は、国債発行で集めた資金を財務省が35ある政府系特殊法人(財投機関と呼ぶ)に融資することで大規模事業を実現する制度だ。

 今回の財投投入で不可思議なのは、財投機関ではあるが、金融機関ではない機構に、16年11月、法改正までしてJR東海に融資できる機能をもたせたことだ。財投機関には「日本政策投資銀行」というれっきとした金融機関がある。

なぜここからの融資ではなかったのか。同銀行OBは「当行は民間銀行との協調融資と要担保が原則。担保のないJR東海への融資は無理」と語った。

債務不履行もある

実際、法改正直後から、機構は5回に分け3兆円をJR東海に融資したが、「無担保」に加え「30年据置き」という破格の条件だった。誰がこの絵を描いたのか。

 財投投入の方針は安倍首相の表明の何カ月も前から政府内部で話し合われていたはずで、16年から、リニアの工事契約が一気に増えたのは偶然なのだろうか。

 そして、私は懸念する。工期が伸びれば工費もかさむが、そのときにまた兆単位の財投を発動するのか。旧国鉄の28兆円の借金のうち約16兆円は財投での借金だ(その反省から現在の建設方式になった)。これを今国税で償還しているのは周知のとおりだが、もしJR東海が債務不履行に陥った場合、国税で償還するのだろうか。

 注視しなければならない。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年1月25日号
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2018年01月25日

《編集長EYE》 異様な「デベロッパーファースト」=橋詰雅博

 都民が東京都を相手取り、2020年東京五輪・パラリンピック選手村用地として都有地を不動産会社11社にたたき売りしたのは違法だとする住民訴訟の第2回口頭弁論が2月27日(火)、15時から東京地裁419号法廷で開かれる。周辺価格の10分の1でつまり9割値引きで売却されたことから8億円値引きされて国有地が売られた森友疑惑になぞらえて「都政版森友疑惑」裁判とも呼ばれている(本紙17年10月25日号で既報)。

 昨年11月17日の第1回口頭弁論では、小池百合子都知事らに差額分約1209億円の請求を求めた原告33人を代表して中野幸則さん(66)が意見陳述した。陳述の中で中野さんは「本件は都が官民癒着、官製談合のもとで、市街地でない土地を市街地再開発事業と称して、『大地主』・『監督官庁』・『施行者』を演じた一人三役の『一人芝居』であり、デベロッパーファーストとも言うべき異常なものです」と訴えた。そして「(都有地の)売却はやめて定期借地権に変更して、数十年後には土地をとり戻すべきではないか」と主張した。

 実は被告弁護団団長の外立憲治弁護士は、中野さんらの陳述を阻む行為に出ていた。原告が読むことを認めないよう求める上申書を提出したのだが、清水千恵子裁判長はこれを却下したのだ。その腹いせなのか、外立弁護士は、中野さんと原告代理人の各陳述が終わった後、事前提出していない陳述書を読み上げ「(原告の主張は)言いがかり」と反論。このいきなりの陳述に対して原告代理人が抗議する一幕があった。

 原告弁護団は「(上申書提出や通告なし陳述を行った)被告は、ムキになっている。焦りと危機感のあらわれ」と相手の胸中を推し量った。  

  訴訟を広く知ってもらうため2月17日(土)には「都有地投げ売りシンポジウム」を13時半から16時半まで専修大神田校舎で開く。「都政版森友疑惑」裁判にもっと都民は関心を。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年1月25日号
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2018年01月08日

《沖縄リポート》奇跡に近い20年に及ぶ辺野古闘争 日米両政府への怒りが噴出=浦島悦子

 1997年12月21日、名護市民が住民投票で「辺野古新基地NO」の市民意思を示してから丸二十年になる。日本政府の権力と金力を総動員した市民投票潰しを跳ね返し、地域住民・市民が心血を注いで勝ち取った勝利はわずか3日後、政府の圧力に屈した当時の比嘉鉄也市長によって覆され、以来、私たちは日米の国家権力との対峙を強いられてきた。
 その間に基地建設計画の中身は何度も変わり、沖縄県知事も名護市長もそれぞれ4人目を数える。彼我の圧倒的な力の差を考えれば、20年もの長い間たたかい続けてこられたことは奇跡に近い。地域住民の地を這うようなたたかいが名護全体へ、そして沖縄から全国・世界へと広がってきたからこそ、「着工」されたとはいえ工事は計画通りには進んでおらず、辺野古・大浦湾の海はまだ、私たちの目の前に美しく輝いている。
 しかし今、私たちは、この海を守り切れるかどうかの瀬戸際にある。埋め立て工事を加速させる護岸用石材の海上輸送が明日にも始まるかもしれないのだ。国頭村奥港はその後使われていないものの、辺野古への海上輸送船の給水や乗組員の休憩のための中城湾港使用を沖縄県が許可した(12月7日)こと、県が有効な手立てを打てないまま本部町が11日、本部港塩川地区の港湾使用許可を出したことは、辺野古ゲート前で体を張って石材搬入に抵抗している市民を落胆させた。
 名護市安部海岸へのオスプレイ墜落・大破からちょうど1年目の12月13日、普天間基地に隣接する普天間第二小学校の体育授業中の校庭に、飛行中の米軍CH53ヘリの窓が落下するという信じがたい事故が起こった。6日前にも、同じ宜野湾市の保育園の屋根に同型機の部品が落下したばかりだ。同日行われた「安部のおばぁ達の会」主催の「オスプレイNO!」勉強会では、「海も空も奪い」「この島を勝手放題に使う」米軍と、それを野放しにしている日本政府への怒りが噴出した。
 2004年8月の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落・炎上事故のあと、「普天間基地の危険性を除去する」ためと称して、辺野古新基地建設に向けた作業が強行・加速されたのを思い出す。今回も同様の口実に使われることを許してはならない。
浦島悦子
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2018年01月02日

JCJに多額遺贈 元出版部会の阿部丈夫さんは、「静」と「動」の人だった=池田隆(出版部会世話人)

 出版部会会員だった阿部丈夫さんは「静」と「動」の人でした。1953年4月に日本出版販売(日販)に公募1期生として入社し、7年間ほどは「自称」文学(演劇)青年として活動、青春を謳歌。動の人生に入った転機は、60年「安保闘争」だった。労組執行委員としてデモ行進に参加、壮大さに触発、感動、その後23年間組合役員として活動した。私と阿部さんとの出会いは67年の青年部結成でした。69年から8年間書記長として民主的労使関係の確立に向け千代田区労働組合協議会(千代田区労協)、75年には日本出版労働組合連合会(出版労連)に参加し、その先頭に立って実現した。背景には常に民主的出版物の普及に貢献したいという信念でした。

 退職後は、23年間の運動を記録した組合機関紙や資料を、過ぎた事として廃棄するのは忍び難いと7年間にわたって住まいがあった草加市であったことから「想過思今」として編集、かつての仲間に送付。その集大成は全3巻私家版「日販労働運動史」として刊行された。「出版流通九条の会」の結成にも尽力された。

 阿部さんは81歳で昨年4月に亡くなられたが、相思相愛、同志でもあった夫人の明子さんが今年4月に亡くなられ、生前お二人の遺志で何らかの費用に活用してほしいということでJCJに遺贈された。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
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2017年12月26日

戦争の危機迫る 自衛隊員の心境は=橋詰雅博

 安倍晋三政権は安保法成立など戦争する国に向かい着々と手を打っている。戦争の最前線に立つことになる自衛官は今、何を思っているのか。東京・練馬区の陸上自衛隊駐屯地を中心に部隊の行動の監視と自衛官への接触を行う練馬平和委員会の坂本茂事務局長(64)に今の自衛官の心境を聞いた。

――安倍政権が戦争する国づくりを進めていることに自衛官はどう感じているのか。
 昨年10月16日に中央観閲式予行訓練が陸上自衛隊朝霞駐屯地訓練場で行われた際、一般向け入場券で駐屯地内に入った。警務隊などが尾行していましたが、「安保法をどう思うか」「8月、家族向けに配布された安保法解説書の感想は」などの質問を自衛官にぶつけた。「安保法は違憲」「入隊する際に署名捺印する『服務の宣誓書』には日本国憲法及び法令を遵守と書かれており、これと矛盾する」「解説書は美辞麗句だらけでインチキ」などと答えた。

20人が答える
 また、PKO(国連平和維持活動)の新任務である駆け付け警護の訓練を経験した自衛官(1曹)は「海外に派遣されたら死ぬかもしれない」ともらした。3年に1回実施される中央観閲式は自衛隊のひのき舞台。予行演習とはいえ、本来は一般の人とのおしゃべりは厳禁です。にもかかわらず直撃インタビューに20人もの自衛官が答えたのは、命が危ういという不安の現れだと思います。

――九条改憲について何か言っていますか。
 九条改憲には口を閉ざしているが、自衛隊のイラク派遣(2003年12月から09年2月)でこんなエピソードがあります。イラクに6カ月間派遣されて帰国した幹部自衛官は、私に「九条があったから生きて帰れた」と話してくれました。憲法改正についてどうなのかと尋ねると「政治問題には答えられない」と言いました。

ドタキャン増加
――志願者の大幅減により自衛官募集も相当減っているそうですが……。
 13年から一般曹候補生(正社員に当たる)募集は毎年2割ペースで激減している。1年を通して募集している非正規雇用に当たる自衛官候補生(陸自2年、海自・空自3年の任期制)も同じペース。
 最近目立つのが試験当日のドタキャンです。母親や祖父などから『紛争地への海外派遣もあり得る。命は一つ。受験は止めなさい』と忠告されて止めるという。ある自衛官募集担当者は「上官から縁故募集も命令されている。わが子は自衛隊以外の仕事に踏み出したので、内心ホッとしている」と話した。若者の自衛隊離れは加速しています。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
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《おすすめ本》 『亡国の武器輸出』 池内了+青井美帆+杉原浩司編=橋詰雅博

 2014年4月、安倍晋三内閣は「防衛装備移転三原則」を閣議決定。武器輸出三原則が撤廃されて武器の輸出が全面解禁になった。「平和国家」から武器輸出を国家の「成長戦略」として政策が転換されたことで、大物防衛利権フィクサーが再び蠢動している。

 秋山直紀氏だ。秋山氏は防衛利権に絡んだ事件で約1億円の脱税容疑によって11年10月に懲役3年執行猶予5年の有罪判決が確定した人物。彼の復活を印象付けたのは16年5月都内のホテルでの現職の国会議員と防衛官僚による講演会の仕掛け人として名前が挙がったのだ。自ら理事を務める国際平和戦略研究所の代表理事、久間章生元防衛相を呼びかけ人として講演会開催を企画した。ただ、講演会は、直前に中止になった。本書執筆陣の一人であるジャーナリストの田中稔氏は、その理由を有罪になった人物が関係する会合で国会議員らが講演するのはまずいと防衛省などが判断したと指摘する。
 本書は武器輸出の問題点を15人が多面的に摘出した好著。
(合同出版1650円)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
 
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《編集長EYE》 タックスヘイブン3つの問題点=橋詰雅博

 巨大企業や富裕層、特権層が納税を逃れ秘密裏に資産を増やすために利用するタックスヘイブン(租税回避地)。その正体が明るみに出た昨年の「パナマ文書」に続く第2弾「パラダイス文書」が11月に報道されて世界に再び衝撃を与えた。

 これを受けてEU(欧州連合)の議会組織で開会中だった欧州議会では、タックスヘイブンへの批判が集中した。ベルギーのランバーツ議員は「租税回避は民主主義を掘り崩す行為だ」と強調。モスコヴィシ税制担当委員も「もしこれが合法だと言うのなら、法の方を変えなければならない」とまで言及した。

 12月3日の民間税制調査会(座長・三木義一青山学院大学学長)でパラダイス文書などについて講演した北海道大学法学研究科博士課程の津田久美子さんは、こう述べた。

 「タックスヘイブンの主な問題点は三つあります。不平等の温床、マネ―ロンダリングなど犯罪の助長、過剰なマネー取引による金融危機発生に加担です。独自の対抗策としてEUではマネロンを防ぐ案の検討や多国籍企業への課税強化、タックスヘイブンブラックリストの作成、パナマ文書に対する調査機関の設置などを挙げています」

 特に過剰に生み出されるグローバル・マネーを制御する試みとしてEU金融取引税(FTT)の導入に向けてフランスやドイツを中心とした10国が取り組んでいる点に注目が集まる。

 「当初は11カ国でしたが、経済の効率性が阻害されるとFTTに反対する金融業界などのロビー活動によりエストニアが離脱し、活動が停滞しました。とりわけ株式や債券などで運用する年金基金がFTT導入で損害を受ける可能性が大きな問題になりました。この数年は総論賛成、各論反対で税制の詳細を詰めるプロセスが頓挫していました。しかし、最近はEUの新財源として再び脚光を集めつつあります」(津田さん)

 日米は反対だが、EUのFTT導入への挑戦は注視すべきだ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
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2017年12月25日

《支部リポート》前川講演―第3会場まで用意=徃住嘉文(北海道支部)

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「理想のない現実主義はない」「心の中はアナーキスト。振舞いは公務員だが、いかなる権威にも縛られない」。次々と繰り出される言葉に皆、うなずいている。 
しかも、表情が柔らかい。笑顔だ。10月28日、札幌市エルプラザでJCJ北海道支部と「さっぽろ自由学校『遊』」が開いた元文科省事務次官前川喜平さんの講演会。事前の問い合わせが殺到したため、定員350人の会場のほかに、第3会場まで用意し中継を手配した。それでも合計780人であふれ、中継不調などでご迷惑をおかけした。
 これほど関心を呼んだのは、権力を監視すべきマスコミすら「忖度」「自粛」「服従」する安倍晋三政権下で、勇気、正義への渇望が広がっているからではないか。本紙「ジャーナリスト」のインタビューは衝撃的だったが、講演でも前川さんの率直な物言いは変わらない。「私は下村博文文科相のもとで教材『私たちの道徳』を作った責任がある。『自由の価をきちんと書く』よう注文したが、結局『自由には責任が伴う』などと書かれた。『国を愛そう』など集団主義的な価値が強調された」「憲法は教育を受ける権利を保障している。学ばなければ、憲法で享受すべき人権、国の原則は守れない。権力の暴走を許してしまうのは、無知蒙昧な国民。えらい人に従う、プロパガンダに流される国民をつくったのではないかと反省している」
 会場からは「管理的な仕事が増え、子供たちとともに考える時間がない、満足な教育ができない」(現役の教員)「選挙権を得たが主権者教育が足りない」(高校生)などの意見も出た。前川さんは、現実が厳しいことは認めつつ、自分のできる範囲で少しでも変えていこう、と面従腹背の勧めを説いていた。
 私事で恐縮だが、前川さんと、安倍首相、志位和夫共産党委員長、私は学齢が同じ。「同期」として、日本を戦中に戻す安倍首相の復古主義を改めさせる責任がある。言論、運動両面の戦いは、今後も続く。
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2017年12月20日

《スポーツコラム》「レガシー消える東京五輪」=大野晃

1500億円近くをかけて建設中の2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場である新国立競技場が、五輪後は国際的な陸上競技会ができない球技専用の競技場に変わり、様々なイベント会場にすると政府が決めた。しかも、運営権を国立代々木競技場や秩父宮ラグビー場とセットで民間に売り出すことを検討しているという。
 政府や都、組織委員会により東京五輪の会場はレガシー(遺産)として生かすと声高に喧伝されてきたが、箱モノを作って五輪が終われば民間に売り渡すということか。 何がレガシーなのか皆目わからない。
 開発優先で問題の多かった1964年の東京五輪開催だったが、開催後は、国民スポーツ発展のために五輪会場が後利用され、70年代には全国で地方自治体がスポーツ施設を建設するなど国民のスポーツ熱を盛り上げる条件整備が進んだ。
 半世紀を過ぎて、2度目の夏季五輪開催では会場の国民的な後利用はレガシーに言葉を変えてかえりみられず、政府が商品化するという。
 国民全体が手軽に利用できるスポーツ施設として生かす検討を忘れた五輪開催である。露骨な商売五輪と言うしかない。
 国際平和も友好も口先だけで、五輪は見るもので客を集める巨大商業イベントと公言するに等しい。この際、一緒に儲けませんかと国民を煽っているようだ。
 スポーツ基本法を持つ国民にスポーツの恩恵をもたらさない五輪開催で巨額な税金を費消しては負の遺産ばかりになる。
 メダル獲得で国威を示すのが五輪開催の意義とでも言わんばかりのスポーツマスメディアの姿勢が、世界に恥じる政府と日本スポーツをけん引してはいまいか。国民のスポーツする条件は限られる一方で、五輪開催が、さらに悪化させそうだ。
 誰もがスポーツを楽しめるように、収益第一のスポーツ政策を転換することが五輪開催の重要な課題のはずだ。(スポーツジャーナリスト)

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2017年11月28日

《フォトアングル》議員会館前行動

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衆議院第二議員会館前、総選挙後また安倍内閣が組閣される前に、早くもコールが響いた。「安倍政権を必ず倒そう」「憲法改悪絶対止めよう」と1000人が叫んだ。「市民と野党は共闘」の声に対して、共産党志位委員長、立憲民主党近藤副代表、民進党相原参議院議員、社民党吉田党首、参院会派「沖縄の風」糸数代表がスピーチで応えた。更に、MIC岩崎事務局長が共謀罪の廃止を訴えた。=11月1日、東京• 衆議院第二議員会館前で、酒井憲太郎撮影

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2017年11月26日

《編集長EYE》 教育に情熱を燃やす前川喜平氏=橋詰雅博 

 10月25日付東京新聞の読者投稿欄「ミラー」に神奈川県大和市に住む主婦の大宮啓子さん(72)の一文が掲載されていた。中身はこんな具合だ。

〈厚木のシャッター通りといわれる一角に「えんぴつの会」と手書きの表示がしてある。民間で運営する自主夜間中学。9月末のある日、そこに四十数人が集まっていた。フィリピンやコロンビアの若者たちだ。

 彼らは戦争や病気、不登校や家庭の事情などで小学校の勉強ができなかった。学びたくても学べなかった人たちの意欲はすごい。全く日本語の分からなかった男女が普通に日本語で会話し、漢字の書けなかった人が検定を受けるまでになった。(中略)

 教える人はすべてボランティアだ。先生と生徒の師弟関係というより、一人一人の人間として、お互いに学び合う姿勢が貫かれている。(中略)彼らに公的な教育支援がいきわたるよう強く願っている〉

 実は文部科学省前事務次官の前川喜平氏(62)は、えんぴつの会で勉強を教えるボランティアをしている。9月初旬に本紙インタビューを受けた際、この「学習ボランティア」についてこう言っていた。

「私は2、3人の方をマンツーマンで教えている。その一人は80歳近い男性です。身の上話では、幼いころ両親が亡くなり、親戚に預けられ家事労働をさせられた。耐えられず家出した後、炭鉱で働いた。学校に1度も行ったことがない。字は書けない、読めないでよく生きてこられたと思いました。現在は、ひらがな、カタカナを読めて書ける小学校低学年の国語レベルまできている」

 彼は福島市の民間の自主夜間中学でも教えている。

 「70代の男性は、中学は卒業しているが、それは形式だけで、小学校レベルの知識です。新聞を読んで理解したいという彼のニーズに応えるため朝日新聞を教材として使っている」(前川氏)

 人間の尊厳を保つには学習は不可欠という前川氏、教育への情熱は高まる一方だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年11月25日号
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2017年11月24日

《スポーツコラム》働き盛りの深刻な運動不足=大野晃

 体育の日のある10月は、文科省の「体力つくり強調月間」だった。
 スポーツ庁は2016年度の体力・運動能力調査結果を公表したが、30代から40代の低下が目立ち、男性は20年前を下回って、女性は過去最低だったという。週3日以上運動する人が30代の男女は1割余りと、全年代で最低という別の調査結果もある。働き盛りの運動不足が深刻だ。
 スポーツ庁は様々にスポーツを楽しむことを呼びかけているが、そのためには、時間や場所の確保、仲間やアドバイザーの存在、そして費用がかからないことが必須の条件だ。時間の余裕のある人が、高額の施設で指導サービスを受けて自己満足する、で事足れりでは国民スポーツ促進とは言えない。社員の残業を減らすことで消費拡大につなげようとか、スポーツ関連企業へのバックアップでスポーツ熱を高めようでは、国民スポーツは先細りするばかりで、基本的人権であるスポーツ参加が、富裕層の見栄に転化しかねない。スポーツ基本法違反の奨励かと疑われる。
 欧州などで、サマータイムを利用したカヌーやヨット遊びやクラブでのサッカーやラグビーを楽しむ姿を何度も目にしたが、先進国の象徴的な生活スタイルだった。国や自治体が条件整備に力を入れていたからだろう。長引く不景気で困難に直面しているようだが、国民の権利保障の重要な課題にはなっている。
 日本では、安倍政権により過剰労働が当然視され、国の支援が減退して財政悪化を理由に自治体によるスポーツ施設の休廃止が進んだ。働き盛りから時間と場を奪ってきたと言ってもいい。その改革が不可欠である。世界から、最大のスポーツ祭典であるオリンピックを開催する資格を問われる現状なのだ。
 スポーツ庁は社員スポーツを支援する企業の認定を進めているが、それでスポーツ権を尊重する労働条件の改善が進むとは思えない。(スポーツジャーナリスト)
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2017年11月18日

《支部リポート》5月末記念総会の記念講演 九州民放OB会と共催=白垣詔男

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 この数年、福岡支部最大の企画は5月末の定期総会で行う記念講演だ。2011年からは九州民放OB会と共催になった。九州民放OB会は毎月「勉強会」を開いており、それならと5月の勉強会を共催にしてほしいとJCJ側が申し入れて実現させていただいた。民放OBにはJCJ福岡支部会員が多数いるのも交流促進に弾みをつけている。
 2015年、「IS(イスラム国)問題」が世界を揺るがし始め、後藤健二さんら2人が殺された後には、長崎県出身の元長崎放送記者でジャーナリスト常岡浩介さんを、同僚だった民放OBが紹介してくれた。一般公開した結果、百人近くが詰めかけ大盛況だった。
 今年は、九州民放OB会が紹介してくれた筑紫女学園大学教授の吉野嘉高さん。筑紫女学園大学は昨年、日本会議会員が理事長に選ばれたものの選考過程で瑕疵があったとして、教職員から「就任無効」の訴えが起こされ、福岡地裁でそれが認められた。その理事長は就任できず1年間、理事長不在だった。一時は「大阪の森友学園、福岡の筑紫女学園」とも言われたほどだった。
 講師の吉野さんは、1986年にフジテレビ入社、ディレクター、プロデューサー、社会部記者などを務めた後、2009年に退社して筑紫女学園大学で教えるようになった。昨年3月には「フジテレビはなぜ凋落したか」(新潮新書)を出版している。
 吉野さんの演題は「右傾化する教育現場」で、徐々に右傾化する大学の実情などについて話してもらった。吉野さんは、自らに直接圧力がかかるようなことはないが文科省の動きから教育現場が右傾化している危機感を訴えた。また、最大の問題は学生の意識で、スマホなどネットに支配されている学生の日常行動を観察すると、ネット情報を鵜呑みにして自ら考えようとしないことも若者の右傾化につながっていると指摘された。現在、筑紫女学園大学に対する日本会議の影響は感じられないという。
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2017年11月02日

≪リレー時評≫ ヒトへの汚染放置で再稼働が進む=中村梧郎

 大病院でX線撮影をした。右肺に小さな影があった。医師は「要注意、CTで変化を見る」と言う。肺癌の疑いである。
 私には思い当たるフシがあった。6年前の福島原発爆発のすぐ後に浪江町に入った。道路には地震による地割れが幾筋もあった。それを腹ばいになって撮った。筋目に入っている黄色い綿が呼吸で舞い上がる。後の報道で判ったのだが、その場所は原発から噴出した放射性粒子のプルーム(集合雲)が地表を通過した地点であった。黄色い物体は原発を覆っていた断熱材の粉塵。粒子はそれにも付いている。
 球状粒子はセシウムやウラン、プルトニウムやストロンチウムの混合物である。だが煙のひと粒よりも小さい球体だから目には見えない。吸い込んでも気づかない。
 数ヶ月後に喘息の症状が出た。初めてである。近所の医者は「老人性喘息、お大事に」と薬をくれた。しかし治らない。昼夜を問わぬ咳込みは、あるときピタリと止まった。なぜかは判らない。

 この一件を、X線写真を見た大病院の医師に伝え「内部被曝ではないか」と聞いてみた。しかし答えは「もしも肺の内部にまで影響する被曝があったのなら全身がやられてひどい状態のはず、そうなっていない」だった。
「それは外部被曝の概念ですね、でも、粒子が肺に入れば数ミクロンしか飛ばないアルファ線であっても周辺の何十万個もの細胞が破壊されて発がん要因になりますね」と重ねて尋ねたが回答は無かった。こんな言い合いで治療を拒まれても困るのでそれ以上はやめた。放射線医学で重視されてきたのは外部被曝、という噂は本当だったのかもしれない。
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2017年10月30日

《編集長EYE》 「防刃チョッキを着て会見に臨んだ」=橋詰雅博

 9月号のこのコラムで前川喜平氏のインタビュー番外編を紹介した。10月号は「番外編2」をお届けする。

 前川氏は5月25日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で記者会見を開いた際、代理人の三竿径彦弁護士を同席させた。当初は違う場所で、一人で会見に臨むつもりだったが、その気持ちが変わったのは、22日に読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事が原因。これは自分の身を守るために弁護士が必要と思ったそうだ。相談した友人から三竿弁護士を紹介された。

 「電話で代理人になってほしいとお願いしたとき、三竿さんは『相手(安倍晋三首相)が大きすぎる、大きな法律事務所の方がいいのではないか』と躊躇されました。これに対して私は『正義感のあるうってつけの弁護士と友人がほめていましたよ』と答えた。結局、引き受けてくださいました」

 会見当日、三竿弁護士は、自ら購入してきた刃物を通さない防刃チョッキを前川さんに渡し、ワイシャツの下に着るようにと指示した。

 「(暴漢に襲われるなど)万が一のことを考えて用意したのだと思います。会見場はエアコンのスイッチが入っていなかった。防刃チョッキを着たせいもあり顔から汗が噴き出た。記者から質問された出会い系バーについて答える自分の映像をテレビで見たが、汗が流れるシーンを捉えていた。視聴者は『焦っている』という印象を持ったでしょうね。あの会見以降、防刃チョッキは着てきません」

 家族もバックアップした。

 「女房は録画した民放各局のワイドショーを見て、出演していた田崎史郎さん(時事通信社特別解説委員)や山口敬之さん(元TBS記者)はこんなコメントしていたと私に教えてくれました。30代で社会人の2人の息子も協力。特に次男からは私がプレスリリースなどを書いていると、『オヤジ、遺憾を言語道断に直した方がいい』などとアドバイを受けた。息子が文章を直すと全体的に語調が強くなった」

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
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2017年10月29日

都有地を五輪選手村用に投げ売り 「都政版森友疑惑」裁判11月17日第1回口頭弁論=橋詰雅博

 東京五輪・パラリンピック選手村建設用地を巡り注目すべき訴訟の第1回口頭弁論が11月17日、東京地裁で開かれる。この裁判は、中央区晴海5丁目の都有地(13・4f)を市場価格の10分の1で、選手村を建てるデベロッパー11社に不当に安く売却したとして、都を相手取り、都民33人が小池百合子知事や舛添要一前都知事、建設業者らに差額分約1209億円を請求するように求めたものだ。国が国有地を約8億円値引きして森友学園に売却した森友疑惑の「都政版」とも言える。都が棄却した住民監査請求に続き裁判でも原告側代理人を務める淵脇みどり弁護士(59)に聞いた。

都が「一人3役」

――監査請求の結論で監視委員の「意見」が付けられていたが、異例ではないか。
 住民監査請求の結論は、行政担当者の反論を追認するケースがほとんどだが、今回、意見が付されたのは異例だと思う。その意見は〈再開発法に基づき、都が地権者、施行者、認可権者の3つの役割を併せ持つことにより土地処分を巡る手続きが,中立的かつ公正な監視や牽制の下で行われないとの懸念を生む状況が生じた〉と指摘。さらに〈今後、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞くなどの内部牽制体制を強化し、細やかな対外説明を行うなどにより、これまで以上の透明性の確保に努められたい〉と強調している。
 これは請求棄却と明らかに矛盾しているが、この問題の核心を衝いている。裏を返せば、ひどい形で本件が進んでいるのです。

 ――都のような「1人3役」による市街地再開発事業はほかの自治体であるのか。
 監査委員が聞いた都都市整備局担当者の説明が監査結果に述べられている。自治体が個人の地権者として個人施行の再開発事業を行った事例は5件あるが、都のような「1人3役」の事例はなく、極めて異常であることが鮮明になった。本来の市街地再開発事業の目的や仕組みなどから大きく逸脱している。実態は都による更地の直接売買であり、しかも適正価格の10分の1という廉価でデベロッパー11社に売却した。

背景に官民癒着

――都が東京ドーム3個分にあたる土地を投げ売りした理由は。
 再開発事業の手法を悪用したこんな頭のいいやり方を都だけで考えたわけではないと思う。デベロッパー11社のうち7社に都幹部12人が天下りしている。今回の事業だけでなく、都と民間業者の癒着が恒常的にあるのではないか。デベロッパーにとって再開発事業は建築物の容積率アップの実現や公に地上げができて、自治体から補助金も受け取れ、建てたマンションなどを売却(東京五輪の場合、終了後に選手村にマンションなどが建てられ、デベロッパーが販売)できる。おいしい話です。再開発事業では行政と民間業者は密接な関係になっている。

――そもそも都民が被るデメリットは何か。
 仮に1209億円を回収できれば、都の予算に組み入れられ、福祉や教育などの分野にお金が回され充実する可能性がある。しかし、本来、回収できるお金を回収しないので、財政面で損害が発生し、結局、納税者への公共サービスなどの低下につながる。本件は、国有地を8億円値引きして売った「森友疑惑」と同じ構図です。

聞き手 橋詰雅博
    ☆        ☆
 「都政版森友疑惑」裁判の第1回口頭弁論は11月17日(金)、13時30分から東京地裁419号法廷で開かれる。傍聴に参集を。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年10月25日号
posted by JCJ at 21:59 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする