2016年06月19日

【今週の風考計】6.19─ブレグジットの後に、洪水は来る。

英国は23日の国民投票で、EU離脱(Brexit=ブレグジット)を選択すれば、まずロンドンの金融市場は混乱し、ポンドが売られ、金利は上昇し、英国債の格下げを招き、さらには世界的な株安へとつながるのは避けられない。その影響はEU内にとどまらず、世界全体の政治、経済、金融市場へ大波となって襲いかかる。世界各国の金融機関や企業は、拠点をロンドンからフランスやドイツに移すだろう。キャメロン政権は崩壊し、その後の英国は、自力で世界各国と自由貿易協定や投資協定を結ばなければならない。EUという大きな基盤がなくなった中で、スムーズに各国との交渉が進められるか、大いなる疑問にぶち当たる。それだけではない。「ブリテン・ファースト」といい、反移民の態度をとり続ければ、成長の要となる労働力をどう確保するのか。経済停滞や貿易の減少は火を見るより明らかだ。3年後には、英国の国内総生産(GDP)は6%減少するという試算まである。世界には「憎しみや分裂、不寛容」な発言・行動が席捲している。米大統領選ではメキシコからの移民を弾劾する「トランプ現象」、ドイツやフランスなどでは「反ユーロ・難民排除」を掲げる極右政党の台頭が示すいま、「イントレランスの排除」に傾注しなければならない。(2016/6/19)
posted by JCJ at 11:36 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月12日

【今週の風考計】6.12─国師ヶ岳での「一期一会」に感謝

先日、仲間と共に奥秩父の国師ヶ岳へ、大弛峠から登った。きつい木の階段をたどり頂上に出たが、あいにくの霧と雲で甲武信ヶ岳も富士山も見えない。石楠花もまだ咲いていない。予約乗合バスで早々に下山。そこで乗り合わせた若い登山家と話が弾む。彼は瑞牆山から飯盛山、金峰山、五丈岩、朝日岳を経て国師ヶ岳へ縦走したという。アズマシャクナゲは咲き、水の旨さが抜群だと語る。この半年で穂高や槍など、23山も登っているという。気さくに彼は私たちと同道し、塩山温泉の共同浴場で一風呂あびる。さらに駅前の飯屋で一献の場も共にする。昨晩、作って食べたテントでのすき焼き、朝、遭遇したブロッケン現象の不思議、クリンソウやイワカガミの鮮やかなカラー写真など、彼の話は尽きない。なんと福島県南相馬市の出身。地震後の津波が襲うなか、祖母と一緒に逃げた<3・11フクシマ>の恐ろしさを語ってくれた。そして秋田県十和田湖の南、大湯温泉付近での、クマによる最悪の死傷事故にまで話が及ぶ。クマが大好物の根曲り竹を、無造作に採り尽くす人間の欲の深さを嘆く。今年は不作で価格が高騰している。非常識な時間に入ってきた人間に、子クマ同伴の親クマが驚いてかみつくのは当たり前だという。国師ヶ岳登山がもたらした「一期一会」に感謝。(2016/6/12)
posted by JCJ at 10:18 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月05日

【今週の風考計】6.5─沖縄近海「マラバール作戦」の狙い

★10日から1週間、東シナ海や沖縄近海で、「マラバール作戦」が行われる。この米国とインドの軍事訓練に日本が正式に参加し、3カ国共同開催となる。★海上自衛隊は「ひゅうが」級の大型護衛艦、対潜哨戒機P3Cなどを投入。米国は、この4日に横須賀港を出港した原子力空母ロナルド・レーガンが参加する。★東シナ海で海洋進出を強める中国への牽制、とりわけ中国の潜水艦を追尾する軍事訓練に他ならない。シンガポールで開かれている「シャングリラ・ダイアローグ」は、アジア安全保障会議といいながら、中国を意識した軍事による包囲、共同防衛強化の話が目立つ。★とりわけ日本の防衛省は、積極的に米軍協力を促す先導役を担っている。それもそのはず3月に施行した、集団的自衛権の行使を実行したく、うずうずしているのだ。中谷元・防衛相は、「米国やインド、オーストラリア、タイなどと行う多国間訓練に積極的に参加していく」と、声高に言う。★陸上自衛隊だって負けていない。モンゴルでの国際訓練(PKO)では、小銃を使った演習を見学、南スーダンでの実戦に役だてようと必死だ。震災救援・児童捜索での奮闘に目を奪われているすきに、しっかり本来の軍事シミュレーションは進んでいる。(2016/6/5)
posted by JCJ at 11:02 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月29日

【今週の風考計】5.29─「話くわっちー」な安倍政権

<リーマンもショックのアベG7>─税金600億円を使って開催した、わずか2日間の伊勢志摩サミットは、まさにアベノミクス破綻を隠すためだった。消費税増税の再延期・財政出動を正当化しようと、牽強付会な「リーマン前夜」という詭弁を弄し、世界に恥をさらす結果となった。日本の経済成長率は0.5%、G7で最低。いくらマイナス金利を導入しても、内需は拡大せず、家計は火の車。ちっとも景気は上向かない。沖縄での米軍属による女性殺害遺棄事件でも、口先だけの「話くわっちー」な対応ばかり。日米地位協定の見直しには「口にも出さず」。かつ6月1日の会期末を視野に、参院選目当てのバラマキ政策に余念がない。財政規律など、どこ吹く風。さらに国債発行10兆円の財政出動を目論み、評判の悪いプレミアム商品券や公共事業の上積みなどを画策する。始末に負えない。1日、都議会も開会する。公私混同、政治資金や都税を私用に使う、「セコすぎる」舛添ドケチ都知事の所信表明が注目される。「第三者」の連発など止めて辞職すべき。<6・5政治を変えよう、国会へ>全国総がかり大行動に、5日投票の沖縄県議選と呼応し、基地撤去の願いを共有して集まろう。(2016/5/29)
posted by JCJ at 10:13 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月22日

【今週の風考計】5.22─市民が政治を変える“熱い夏”へ

18歳選挙権を行使する夏の参院選挙が、あと1カ月もせずに始まる。民進、共産ほか野党4党は、全国32の参院選1人区で、統一候補の擁立に努力し、いまや残るは三重、佐賀の2選挙区のみ。すごい。考えられないことが、起こってきた。素晴らしい。これも安倍政権が立憲主義破壊の「戦争法」をゴリ押しし、市民の怒りが「戦争法」反対の2000万統一署名に結実し、さらに野党統一候補をつくりだす原動力となった。たとえ衆参同日選挙が仕掛けられても、野党共闘の力をフルに発揮し、市民が政治を変える壮大な闘いの場にしたい。沖縄では27日から県議選が始まる。元海兵隊員による女性殺害事件には、県民の悲しみと怒りが沸騰している。「すべての米軍基地の閉鎖・撤去がオール沖縄の声だ」と訴えている。小林節さんが立ち上げた政治団体「国民怒りの声」も、「いまごろ新しい野党を作っても政権批判票を奪い合い、自民党を利する」との批判を耳にする。さらに選挙資金や供託金6000万円を、短時間で用意するのは、たやすくない。「クラウドファンディングで試し、駄目だったらやめるぐらいの考えだ」というのだから、慎重な再判断をしてほしい。(2016/5/22)
posted by JCJ at 11:18 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月15日

【今週の風考計】5.15─「オホーツク幻想」を聴きながら

★<今こそ、宮沢賢治>─生誕120年になる今年、奇しくも電子音楽「イーハトーブ交響曲」や「オホーツク幻想」などの作品がある作曲家・冨田勲さんが5月5日、亡くなった。行年84。★雑誌「サライ」6月号に、冨田さんの最期の文章になるだろうが、「少年のころ憧れ続けた、賢治と理想郷・イーハトーブを音楽で伝えたい」と題し、一文を寄せている。「賢治自身も、どこか遠い異次元の世界から登場し、この世の人々の幸せを願い、いくつもの愛される作品を残して、やがて最愛の妹トシの待つ世界へ帰っていった。私にはそんなふうにも思えるのです」と。★思えば私も中学生のころ、教室で先生が朗誦してくれた「あめゆじゅとてちてけんじゃ」の言い回しが忘れられない。宮沢賢治が妹トシの願いを、前向きに受け止めて「永訣の朝」に結晶化させた詩のなかに出てくる。また高校生の頃、必至になって演出した「よだかの星」の舞台も忘れられない。思い出は尽きない。★そして、この3月リリースされた冨田勲「オホーツク幻想」(COGQ-89)に収録の「銀河鉄道の夜」に聴き入っている。電子音楽を作り始めた最初期1972年の作品、<こどものための交響詩>と謳うメドレーがいい。(2016/5/15)
posted by JCJ at 10:19 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月08日

【今週の風考計】5.8─幸せを呼ぶ秘境の地 サチコール村

今年は、ヒマラヤ山脈を抱くネパールと日本が国交を樹立して60年となる。首都カトマンズから西へ150キロ、標高1400メートルの秘境の地に、マガール族64家族500人が自給自足で暮らすサチコール村。この地を、2011年以来、4年間に8回訪れた日本の女性シンガーソングライターがいる。横井久美子さんだ。日本からギター4台を携えていき、子どもたちに演奏の仕方を教え、さらに土地の伝統楽器マーダルや自作の笛を加えた「マガール子バンド」を編成した。子どもたちが練習し、村人がつどい、訪れた人が宿泊できるように、日本の友人たちの支援と村人の力で「音楽ホール」まで完成させた。ヒマラヤを背に、集落東端の丘に建つ青い八角屋根と白い壁が映える。すべて人力。大人も子どもも総がかりでつくりあげた。100人収容できる大ホールだ。ネパールは、昨年4月25日、M7.9の大地震に見舞われ、死者8千500人・負傷者2万人以上の被害に遭った。また昨年9月20日に新憲法が公布され、連邦共和制国家となった。「非同盟中立」を外交の基本とし、地震にめげず起ちあがっている。横井久美子『ネパール 村人総出でつくった音楽ホール』(本の泉社)は、素晴らしい交流と連帯の記録である。(2016/5/8)
posted by JCJ at 10:24 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月01日

【今週の風考計】5.1─わが時給693円、「Fight for $15」!

パリは燃えている─4月末、フランス全土200以上の都市で「エルコムリ法案」に抗議する大規模デモやストが行われた。賃金・労働時間・解雇規制などの改悪につながる労働法改定案を阻止するため。国民の7割が反対している。「Fight for $15」─3月末、アメリカ・カリフォルニア州で最低賃金・時給15ドル(1680円)が実現した。ファーストフード店の従業員が取り組んだ、時給15ドルを求めるデモやストライキが全米に広がり、成果を勝ち取った。続いてニューヨーク州も、さらに14州が今年から引き上げていく。ドイツのヴェルディ─公務員214万人を組織する労組は、4月末、賃上げ・雇用維持を求めて大規模なストを実施。賃上げ4.75%を勝ち取った。ペルーのウマラ大統領─3月末、ペルーの最低賃金を13%引き上げて、850ソルに改定した。中国・上海市でも最低賃金を8.4%引き上げ、中国最高の水準となっている。さて日本の最低賃金は?─全国平均で時給798円(前年比0.9%アップ)、最高の東京で時給907円(前年比2.1%アップ)、最低は鳥取・高知・宮崎・沖縄の4県で時給693円。カリフォルニア州の最低賃金15ドルの半分以下。87回メーデーの今日、あらためて労組の責務が問われる。(2016/5/1)
posted by JCJ at 10:25 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月24日

【今週の風考計】4.24─なぜ「初め良けれど終わり悪し」になるのか

●改正が改悪となり、規制が緩和へ、そして格差是正が定数削減に。まさに真逆の事例が頻発する。おかしな日本になったものだ。●7年前の厚労省・村木厚子さん冤罪事件で、大阪地検特捜部は、その強引な取り調べ、あげくに証拠改ざんまで引き起こし、強い批判を浴びた。これを防ぐため、準備された刑事訴訟法改正案だが、その中身がひどい。●取り調べの可視化は一部のみ、適用されるのは全事件の3%。怖いのは司法取引の導入だ。他人の犯罪を証言すれば、軽い求刑や不起訴処分を約束する。これでは冤罪など防ぐのは無理。電話やメールまで傍受の対象を拡大する。改正にかこつけた改悪そのもの。●お次は原子力規制委員会。稼働40年もたつ老朽化した高浜原発の原子炉を、さらに20年、稼働延長する決定を下した。<3・11フクシマ>など、どこ吹く風。規制・安全どころか、免震重要棟の設置や難燃性ケーブルへの切り替えなど、安全義務の項目まで目をつぶり、原発再稼働に拍車をかける。●三つ目は、一票の格差を是正すると称し、国会で審議入りした衆院選挙制度関連法案。政権政党が4割台の得票率で議席の8割を占める小選挙区制は維持し、まず衆院定数を10削減する。さらに国民の声を切り捨てる改悪選挙制度への塗り替えだ。(2016/4/24)
posted by JCJ at 08:21 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月17日

【今週の風考計】4.17─アベコベの「地震非常災害対策」

<熊本連続地震>の恐ろしさは、どこの活断層が動くか予測できないため、後からマグニチュードの大きい「本震」が襲ってくることにある。内陸が震源となる活断層地震は、居住地域や原発立地など、その直下で起きてもおかしくない。起きれば被害は深刻な事態になる。加えて震源域が、阿蘇地方や大分地方にまで広がっている。延長すれば、愛媛の伊方原発がある四国から紀伊半島へ続く中央構造線断層帯につながる。もう「対岸の火災」視などしてはいられない。今から37年前、金子史朗『活断層―地震の謎をさぐる』(講談社現代新書) の刊行に際し、まだ聞きなれない「活断層」というテーマを、いかに解りやすく執筆してもらうか、写真や図解、活断層マップなどをいれ、苦労したことを思い出す。今は研究も進んで、日本全国各地に活断層は2千以上あり、個別の調査や連動する確率などについても発表されている。だが政府は、地震域が拡大しても「川内原発を停止させる必要はない」という。万が一事故が起きたら、今でも新幹線や高速道路が不通になっているのに、どこに避難するのか。あまつさえ災害支援に向け米軍へ協力要請をしてみたり、憲法を変えて「緊急事態条項を創設するのは大切な課題」と述べたり、どこに目を向けているのか。やることがアベコベじゃないか。(2016/4/17)
posted by JCJ at 11:11 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月10日

【今週の風考計】4.10─『平和万葉集』と『17音の青春』

「新日本歌人」の編集長・小石雅夫さんと、お話をした。『平和万葉集』巻四の校了に向けた最終作業で大わらわ。平和への熱いメッセージを三十一文字に託す作品を公募したところ、全国から1200人もの応募があったという。5月3日の憲法記念日に刊行する。「九条歌人の会」呼びかけ人でもある彼は、<時代閉塞のなお現状なれど啄木の時代(よ)に持たざりし憲法のあり>と詠う。私どもの機関紙「ジャーナリスト」の8面に、「短歌・現代の窓」を、17年間休まず執筆していただいた。感謝に堪えない。10日付の「朝日歌壇・俳壇」欄のコラムに、<うたをよむ 高校生と戦争>と題して、復本一郎さんが俳句作品集『17音の青春』にまつわるエッセイを寄せている。彼は、「全国高校生俳句大賞」を創設し、それに応募する高校生が詠む十七文字の選考に、18年にわたり携わってきた。その中で「常に注目してきたのが高校生の戦争への意識」だと綴る。<被爆者として黙禱す原爆忌 高橋洋平>の句をあげ、福島県飯館村の高校2年生である作者が、「3・11フクシマ」の被曝体験を通して、ヒロシマ・ナガサキへの回路をつなぐナイーブさ、時代を凝視する鋭さを指摘する。こうべを垂れて汲みあげたい。(2016/4/10)
posted by JCJ at 10:43 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月03日

【今週の風考計】4.3─「町おこし」の雛人形

▼先週の後半、新潟から山形を経て秋田へ続く羽越本線沿いに、優美な雛人形や伝統のつるし雛を飾る<日本海ひな街道>を旅した。▼北前船や最上川舟運が、日本海沿岸の街々に、京のお雛さまをはじめ、みやびな上方文化をもたらした。代々続く町家や宿には、往時の人形が7段飾りの雛壇に並ぶ。▼新潟の城下町村上では「町家の人形さま巡り」を堪能し、山形は温海温泉で「湯のまち人形めぐり」のルートを辿り、宿「瀧の屋」に入ると、享保雛や古今雛が飾られている。なんと向かって左に男雛が座っている。上方文化の影響が濃いというのに関東飾り。昔、この宿に逗留した横光利一も、首をかしげたか。▼さらに温海川沿いに、かじか通りを、そぞろ歩き。2週間もすれば両岸の桜が満開だという。足湯で血行を良くし、今晩の宿に向かう。晩酌に純米吟醸「心鍵」1合、さらに大吟醸「ひとりよがり」1合を堪能した。▼翌日は、雪を頂く鳥海山をむこうに、しばらくして雪に輝く月山を仰ぐ鶴岡へ。高山樗牛、森敦、藤沢周平などの足跡をつかんだ後、旧風間家住宅 「丙申堂」へ。大座敷いっぱいに雛段が飾られる。色鮮やかな雛人形と精巧な道具に圧倒された。こうした伝統の雛人形による観光「町おこし」は、過剰な返礼品で煽る「ふるさと納税」より、ずっといい。訪れた地域は、どこも月遅れの今日が雛祭り。(2016/4/3)
posted by JCJ at 08:47 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月27日

【今週の風考計】3.27─TPPで国が滅びる

国会は、来週5日からTPP承認および関連法案11本の一括審議に入る。牛豚肉の生産事業者に対し、TPPによる損失分を補てんする「通称マルキン法」をはじめ、音楽・書籍の著作権保護70年にする法案などなど、あらゆる分野の「関税撤廃」に結びつく、複雑で錯綜するTPP関連法案だ。この重大な法案11本を、わずか2カ月で成立させようというのだから呆れる。米国ですら「トランプ騒動」でTPP承認の雲行きが怪しいのに、なぜ急ぐ。第一、肝心の協定内容が明らかにされていない。本文や付属書を含む全文書は、英文で8千ページを超す。だが日本政府が発表した文書は、千ページある本文部分の英文を、わずか96ページの日本語訳に圧縮したものだけ。これでは秘密ばかり。しきりに政府は、経済効果を煽る試算を打ち上げるが、もともとTPPは、グローバル企業や機関投資家の利益に役立つルール作りが狙い。典型はISDS条項だ。もし投資先国の過剰な政策によって不利益を被ったら、仲裁機関に訴えることができる。各国は、それぞれ自国経済の保全にむけ「金融安定化政策」を取り入れている。だが多国籍企業やハゲタカフアンドにとっては「過剰な規制」となる。国は金融危機に陥っても対策が打てない。こんな無理無体がまかり通るのだ。日本も例外ではない。(2016/3/27)
posted by JCJ at 09:08 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月20日

【今週の風考計】3.20─高校生諸君! 「教科書」を疑え

なんで数字をごまかすの? 文科省は高校の教科書検定に当たり、「関東大震災で6千人以上の朝鮮人を虐殺」「南京大虐殺の犠牲者20万人に及ぶ」などと記述した数字を、「おびただしい数」にと修正させた。理由は「通説的な見解がない数字」だからという。日本が過去に犯した侵略・加害の事実を矮小化し、その事実を正しく学べないようにして、記憶を薄めようとする意図が見え見えだ。誰が、文科省に通説であるかないかを判定させ、記述を修正させる権限を与えたか。学問の自由への露骨な侵害じゃないか。文科省職員である教科書の検定調査官が抱く歴史観や意見によって、教科書の記述が変えられるなんて、おかしいじゃないか。国家による教育内容への不当介入だ。さらに「閣議決定などの政府の統一見解に基づいて記述する」とくれば、政府見解だけが唯一の正しい結論とする教育の押しつけだ。「集団的自衛権の行使容認」や「積極的平和主義」の記述、さらに原発再稼働を巡る記述にしても、政府見解に従って書かないとダメ。これでは歴史の諸事実や世界のダイナミックな動きについて、多面的で客観的な視野から学び、自ら判断する力を養うことなんてムリ。18歳選挙権を得る高校生諸君、来年には使う教科書に、じゅうぶん心せよ。(2016/3/20)
posted by JCJ at 09:59 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月13日

【今週の風考計】3.13─「同一労働同一賃金」の危ない魂胆

★なんと日本は世界145カ国中101位。昨年末に、世界経済フォーラムが発表した男女格差・不平等の実態を示す報告である。★もっとも格差の少ない国のトップは7年連続でアイスランド。フィリピンが7位、中国91位。日本の為政者は、このランクを見て、恥ずかしく思わないか。★さらに7日、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、男女の賃金格差・雇用差別をなくし、職場でのセクハラ禁止をはじめ、夫婦同姓の強制、結婚最低年齢の男女差、女性のみに適用される再婚禁止期間などなど、あらゆる分野で差別撤廃・女性の権利拡大に向けて法的措置をとるよう要請している。★安倍首相は、「同一労働同一賃金」について、法改正の準備を進めるというが、「男女同一賃金」の柱が欠けてはダメですよ。さらに「正規・非正規のあいだの賃金差別」を無くすのは当然としても、別の魂胆もありはしないか。★安倍政権や経団連には、この機に「水は低きに流れる」を実践しようと、正規の賃金・労働条件を、今の劣悪な非正規・派遣・アルバイトの労働条件に合わせる「同一労働同一賃金」のハラづもりもあるのじゃないか? こんな魂胆は、ご免こうむる。(2016/3/13)
posted by JCJ at 11:48 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月06日

【今週の風考計】3.6─「辺野古訴訟」和解のウラに気をつけよ

満5年になる<3・11フクシマ>だけでなく、普天間基地返還SACO合意が成立して20年になる。だが、どれも根本的な復興や返還への道筋はつくれていない。4日、青天の霹靂みたいに、政府は「辺野古訴訟」和解案を受け入れた。その真意はどこにあるか。北海道、熊本、宮城などで野党共闘が進むのを見つつ、夏の参院選と6月の沖縄県議選で、政権与党が勝つには、どうしても必要な戦術なのだ。辺野古沿岸埋め立て工事を中止してでも、「沖縄の声は聞いた」とのポーズをとり、対立回避の姿勢を見せなければならなくなったからだ。まさに「沖縄の基地」存続の是非をめぐる本質的な議論を避け、選挙の争点隠しに走る。本土の「辺野古移転は仕方がない」という世論を喚起し、目先を逸らす作戦にほかならない。だからこそ沖縄では、住民らが「また政府にだまされるのでは」と疑念を抱く声が大きい。しかも官邸主導で譲歩を演出することで、実行力を最大限にアピールし、裁判での判決が出れば、それに従うとの確約までとって、辺野古新基地建設の進捗を狙う二正面作戦だ。双方は話し合いのテーブルに着くとはいえ、政府は移設を巡る従来の主張を変えず、県へ歩み寄る姿勢は全くない。とどのつまり政府は、翁長・沖縄県知事の「埋め立て承認取り消し」に、頃合いを見て是正指示を出すハラだろう。それを契機に再び訴訟となるのは間違いない。この間、安倍政権は、国会の議席3分の2占有をめざし、しゃにむに突っ走る。米国の<トランプ騒ぎ>どころじゃない。暴走ストップは正念場だ。(2016/3/6)
posted by JCJ at 09:14 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月28日

【今週の風考計】2.28─「産後百人一首」のユーモア

みんなで作ろう、産後百人一首─「補助金や 児童手当ても 及ばない なお余りある 産む気なりけり」─これは<ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり>(順徳院)のパロディーだ。渡辺大地さんが<オトコの母親学級>というコラム(東京新聞2/26付)で、産後の情景を綴っている。なんと言っても、子づくりして子育てにあたるのは、本人たちのモチベーションにかかっている。子を産み育てたいという気持ちが肝腎肝要だ。少子化対策というと、児童手当の引き上げや補助金の支給を考える政治家や官僚たちがいる。毎月1万5千円の支給で済ますより、そのお金を地域の保育園の増設に充てれば、ずっと産後も安心じゃないか。児童手当をそのまま保育士さんの給与に当てたらどうか。6歳半の息子を子育て中の35歳・渡辺さんは、「わが家は受け取れなくてもいいと思っています。そのくらい保育園にお世話になっていますから」という。そして「産後百人一首」を広く公募したところ、1年以上かかったが、百首すべて産み育てることができ、3月中旬には自然食通信から、単行本として刊行される。付録に一首──<吾妹子よ 産(3)後(5)が銃後(15)の世にさせじ 巻く腹帯に 手を貸し誓う>(2016/2/28)
posted by JCJ at 10:00 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月21日

【今週の風考計】2.21─日本の26日朝とドイツの27日夜

◆ちょうど80年前、日本陸軍の青年将校が率いる約1500人の反乱部隊は、26日早朝「昭和維新」を掲げて決起し、首相官邸などを襲撃した。岡田啓介首相は無事だったが、高橋是清蔵相、斎藤実内大臣らが殺害された。いわゆる2・26事件である。◆天皇親政をめざしたクーデタは、昭和天皇の逆鱗に触れ失敗に終わったが、軍部の「統制派」勢力が強まり、5年後の真珠湾攻撃・太平洋戦争への開戦へとつながってゆく。◆海を隔てたドイツでは、2・26事件勃発の3年前、1933年2月27日夜、ベルリンの国会議事堂が炎上した。◆ヒトラー内閣は、共産党の一斉蜂起の合図であるとデッチあげ、徹底的な弾圧を命じた。翌日には「民族と国家を防衛するための大統領緊急令」を公布し、ワイマール憲法で定められた基本的人権まで停止。解散させられた共産党は地下活動を余儀なくされた。秘密国家警察・ゲシュタポは、この緊急令を行使し、わずか8カ月で約10万人を保護検束し数百人を殺害した。3月23日には、全権委任法を強引に成立させ、ヒトラー独裁政権を「合法」化させた。◆「改憲はナチスから学べ」と言った麻生太郎・副総理兼財務相を始め、国会を軽視する安倍政権に、絶対多数の力を使いワイマール憲法を葬り去ったヒトラーの詐術を使わせてはならない。(2016/2/21)
posted by JCJ at 10:00 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月14日

【今週の風考計】2.14─<卓越大学院構想>に通底するもの

文科省・中教審がまとめた<卓越大学院構想>の具体化が始まった。安倍政権の成長戦略「日本再興戦略改訂2015」に盛りこまれ、「グローバルなベンチャー企業を創出するための苗床となる大学改革」とし、国際競争に勝ち抜くには、大学と企業が連携し、世界最高水準の大学院群を形成するという。5年間のプログラムを通じ、ノーベル賞受賞が期待できる領域、日本が世界で勝つべき分野を対象として予算化する。だが効率一辺倒の発想で、はたして成果が上がるのか。そこには国立大学の文系学部廃止通達にもつながる、目先の「国や企業の利益」を優先する発想しかない。さらには防衛省まで、「安全保障技術研究推進制度」を設け、大学の研究機関に28件の研究テーマを示して公募している。戦闘機の「ステルス化」には必須となる「電波・光波の反射低減・制御」やピンポイントで攻撃できる「レーザ光源の高性能化」、「無人車両の運用制御」「昆虫サイズの小型飛行体実現」など、挙げれば全て自衛隊の戦闘能力を高めるための先端技術ばかり。年間3000万円・最大3年にわたって支給される。その研究成果は防衛省が独占し、軍事企業に無償で特許を利用させることができる。まさに<軍産学複合体>の推進だ。(2016/2/14)
posted by JCJ at 11:01 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月07日

【今週の風考計】2.7─<韓国人の食卓>と「昼めし旅」

KBSのドキュメンタリー<韓国人の食卓>が好きで、忘れずに見る。韓国のお父さん像を代表する俳優のチェ・ブラムさんが、韓国各地を訪ね歩き、古くから伝わる素朴な庶民料理を紹介する。日本でいえば田中邦衛さんか宇野重吉さんあたりだろうか。彼は決してグルメではない。土地の人々と会話し、歴史や風土、そして生活をめぐるエピソードを、聴きだしながら、そこで生産される食材を使った、工夫のこもった料理を、一緒に味わう。ほのぼのとした雰囲気が、食卓の匂いと共に起ちあがる。3年前には福島市にある被災者の仮設住宅を訪問し、韓国料理をふるまい住民と歓談したこともある。テレビ東京の「昼めし旅─あなたのご飯見せて下さい」も、お気に入り。これも庶民目線で、日本各地を旅しながら、その土地で生活し働いている人たちの「リアルなご飯」を紹介する。あわせて人生や物語を浮き彫りにする。韓国も日本も、この食卓や昼めしには、向こう三軒両隣、老いも若きも、必ず人々の豊かな会話があふれている。生活の味が、じっくり滲みこんでいる。ともすると<サラ飯>が、スマホ・ゲームやイヤホンに支配され、シーンと沈黙の世界となっている今、こころしたい。(2016/2/7)
posted by JCJ at 10:57 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする