2016年03月06日

【今週の風考計】3.6─「辺野古訴訟」和解のウラに気をつけよ

満5年になる<3・11フクシマ>だけでなく、普天間基地返還SACO合意が成立して20年になる。だが、どれも根本的な復興や返還への道筋はつくれていない。4日、青天の霹靂みたいに、政府は「辺野古訴訟」和解案を受け入れた。その真意はどこにあるか。北海道、熊本、宮城などで野党共闘が進むのを見つつ、夏の参院選と6月の沖縄県議選で、政権与党が勝つには、どうしても必要な戦術なのだ。辺野古沿岸埋め立て工事を中止してでも、「沖縄の声は聞いた」とのポーズをとり、対立回避の姿勢を見せなければならなくなったからだ。まさに「沖縄の基地」存続の是非をめぐる本質的な議論を避け、選挙の争点隠しに走る。本土の「辺野古移転は仕方がない」という世論を喚起し、目先を逸らす作戦にほかならない。だからこそ沖縄では、住民らが「また政府にだまされるのでは」と疑念を抱く声が大きい。しかも官邸主導で譲歩を演出することで、実行力を最大限にアピールし、裁判での判決が出れば、それに従うとの確約までとって、辺野古新基地建設の進捗を狙う二正面作戦だ。双方は話し合いのテーブルに着くとはいえ、政府は移設を巡る従来の主張を変えず、県へ歩み寄る姿勢は全くない。とどのつまり政府は、翁長・沖縄県知事の「埋め立て承認取り消し」に、頃合いを見て是正指示を出すハラだろう。それを契機に再び訴訟となるのは間違いない。この間、安倍政権は、国会の議席3分の2占有をめざし、しゃにむに突っ走る。米国の<トランプ騒ぎ>どころじゃない。暴走ストップは正念場だ。(2016/3/6)
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2016年02月28日

【今週の風考計】2.28─「産後百人一首」のユーモア

みんなで作ろう、産後百人一首─「補助金や 児童手当ても 及ばない なお余りある 産む気なりけり」─これは<ももしきや 古き軒端の しのぶにも なほあまりある 昔なりけり>(順徳院)のパロディーだ。渡辺大地さんが<オトコの母親学級>というコラム(東京新聞2/26付)で、産後の情景を綴っている。なんと言っても、子づくりして子育てにあたるのは、本人たちのモチベーションにかかっている。子を産み育てたいという気持ちが肝腎肝要だ。少子化対策というと、児童手当の引き上げや補助金の支給を考える政治家や官僚たちがいる。毎月1万5千円の支給で済ますより、そのお金を地域の保育園の増設に充てれば、ずっと産後も安心じゃないか。児童手当をそのまま保育士さんの給与に当てたらどうか。6歳半の息子を子育て中の35歳・渡辺さんは、「わが家は受け取れなくてもいいと思っています。そのくらい保育園にお世話になっていますから」という。そして「産後百人一首」を広く公募したところ、1年以上かかったが、百首すべて産み育てることができ、3月中旬には自然食通信から、単行本として刊行される。付録に一首──<吾妹子よ 産(3)後(5)が銃後(15)の世にさせじ 巻く腹帯に 手を貸し誓う>(2016/2/28)
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2016年02月21日

【今週の風考計】2.21─日本の26日朝とドイツの27日夜

◆ちょうど80年前、日本陸軍の青年将校が率いる約1500人の反乱部隊は、26日早朝「昭和維新」を掲げて決起し、首相官邸などを襲撃した。岡田啓介首相は無事だったが、高橋是清蔵相、斎藤実内大臣らが殺害された。いわゆる2・26事件である。◆天皇親政をめざしたクーデタは、昭和天皇の逆鱗に触れ失敗に終わったが、軍部の「統制派」勢力が強まり、5年後の真珠湾攻撃・太平洋戦争への開戦へとつながってゆく。◆海を隔てたドイツでは、2・26事件勃発の3年前、1933年2月27日夜、ベルリンの国会議事堂が炎上した。◆ヒトラー内閣は、共産党の一斉蜂起の合図であるとデッチあげ、徹底的な弾圧を命じた。翌日には「民族と国家を防衛するための大統領緊急令」を公布し、ワイマール憲法で定められた基本的人権まで停止。解散させられた共産党は地下活動を余儀なくされた。秘密国家警察・ゲシュタポは、この緊急令を行使し、わずか8カ月で約10万人を保護検束し数百人を殺害した。3月23日には、全権委任法を強引に成立させ、ヒトラー独裁政権を「合法」化させた。◆「改憲はナチスから学べ」と言った麻生太郎・副総理兼財務相を始め、国会を軽視する安倍政権に、絶対多数の力を使いワイマール憲法を葬り去ったヒトラーの詐術を使わせてはならない。(2016/2/21)
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2016年02月14日

【今週の風考計】2.14─<卓越大学院構想>に通底するもの

文科省・中教審がまとめた<卓越大学院構想>の具体化が始まった。安倍政権の成長戦略「日本再興戦略改訂2015」に盛りこまれ、「グローバルなベンチャー企業を創出するための苗床となる大学改革」とし、国際競争に勝ち抜くには、大学と企業が連携し、世界最高水準の大学院群を形成するという。5年間のプログラムを通じ、ノーベル賞受賞が期待できる領域、日本が世界で勝つべき分野を対象として予算化する。だが効率一辺倒の発想で、はたして成果が上がるのか。そこには国立大学の文系学部廃止通達にもつながる、目先の「国や企業の利益」を優先する発想しかない。さらには防衛省まで、「安全保障技術研究推進制度」を設け、大学の研究機関に28件の研究テーマを示して公募している。戦闘機の「ステルス化」には必須となる「電波・光波の反射低減・制御」やピンポイントで攻撃できる「レーザ光源の高性能化」、「無人車両の運用制御」「昆虫サイズの小型飛行体実現」など、挙げれば全て自衛隊の戦闘能力を高めるための先端技術ばかり。年間3000万円・最大3年にわたって支給される。その研究成果は防衛省が独占し、軍事企業に無償で特許を利用させることができる。まさに<軍産学複合体>の推進だ。(2016/2/14)
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2016年02月07日

【今週の風考計】2.7─<韓国人の食卓>と「昼めし旅」

KBSのドキュメンタリー<韓国人の食卓>が好きで、忘れずに見る。韓国のお父さん像を代表する俳優のチェ・ブラムさんが、韓国各地を訪ね歩き、古くから伝わる素朴な庶民料理を紹介する。日本でいえば田中邦衛さんか宇野重吉さんあたりだろうか。彼は決してグルメではない。土地の人々と会話し、歴史や風土、そして生活をめぐるエピソードを、聴きだしながら、そこで生産される食材を使った、工夫のこもった料理を、一緒に味わう。ほのぼのとした雰囲気が、食卓の匂いと共に起ちあがる。3年前には福島市にある被災者の仮設住宅を訪問し、韓国料理をふるまい住民と歓談したこともある。テレビ東京の「昼めし旅─あなたのご飯見せて下さい」も、お気に入り。これも庶民目線で、日本各地を旅しながら、その土地で生活し働いている人たちの「リアルなご飯」を紹介する。あわせて人生や物語を浮き彫りにする。韓国も日本も、この食卓や昼めしには、向こう三軒両隣、老いも若きも、必ず人々の豊かな会話があふれている。生活の味が、じっくり滲みこんでいる。ともすると<サラ飯>が、スマホ・ゲームやイヤホンに支配され、シーンと沈黙の世界となっている今、こころしたい。(2016/2/7)
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2016年01月31日

【今週の風考計】1.31─銀行預金が危ない!

★またも日銀は三次元緩和と謳い、「マイナス金利の導入」を決めた。量的緩和から4年が経つ。だが景気は停滞し、物価目標2%も幻。そこで黒田バズーカ砲は、従来の量的・質的緩和に加え、マイナス金利をぶっ放した。★マイナス金利とは、預金が目減りしていくことだ。日本のように借金比率が小さい高齢化社会では、下手をすれば、預金者が銀行へ引き下ろしに殺到し、取りつけ騒ぎが起こりかねない。だから日銀は民間銀行が預ける当座預金に対してのみ適用し、個人預金者には適用しないという。★とはいえ銀行だって当座預金にマイナス金利が適用されたら、収益が悪化するのは必定だ。現に、もう市場では大手銀行株が値下がりしている。★ことほどさように民間銀行は、ただでさえGDPや家計消費はマイナス、企業への貸し出し増を考えるどころか、収益が減るのを恐れ、貸出金利の引き上げやATMなどの手数料引き上げ、さらには住宅ローン金利まで逆に引き上げる動きすらでる。★さらに国債は低下し続け、年金運用は大打撃を受けるだろう。実体経済の改善が全く見られないのに、年80兆円の国債買い増し・金融政策に依存するアベノミクスは、もう破たんした。黒田総裁は節分の日に講演するそうだが、その前に<福は、鬼は>では、「あまり(甘利)にひどすぎる」。(2016/1/31)
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2016年01月24日

【今週の風考計】1.24

「この国に、戦前がひたひたと迫っていることは確かだろう」(だまし庵日記2015年12月9日)─野坂昭如さんが急逝する、わずか数時間前に認めた最後の一行である。前日の12月8日は、「ガラス越しに見える冬の庭。寒そうだ。…12月8日と聞けば、ぼくなどはすぐさま昭和16年に結びつく。…この戦争の始まった年、ぼくは神戸成徳小学校5年生。8日の朝、校庭の鉄棒にぶら下がり前まわりをくり返していた。…帝国陸海軍部大本営発表がラジオで流れた。二度と聞きたくない音。」と書き出し、珍しく*を付して、身辺の様子を綴る文章が続く。想うところがあったのだろう。野坂昭如『絶筆』(新潮社)を読んでほしい。「挑戦、挑戦」と21回も叫び、九条改憲も「現実的段階に入った」と、戦争に前のめりな<ケンカ宰相>の顔など見たくもない。本質隠しの「倒錯ワード」を駆使して、国民をごまかす政治。典型が軽減税率の導入。財源1兆円が不足するのに加え、「痛税感の緩和」どころか、消費税10%にすれば、低所得者ほど負担が重くなる。その逆進性は明らかだ。こんなごまかしを許してはならない。さらに甘利明TPP大臣への1200万円賄賂をめぐる疑惑も、徹底的に追究しなければダメ。このままでは「この国」が腐ってしまう。(2016/1/24)
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2016年01月17日

【今週の風考計】1.17

今週は「おむすびの日」で始まり、「ワンツースリーの日」で週末を迎える。17日は阪神・淡路大震災の日。21年前、6434人の死者を出した大震災で、ボランティアによる炊き出しの「おむすび」は、どんなにありがたかったか。その記念に名づけた日という。ちなみに5年前の東日本大震災<3・11フクシマ>は、その後どうか。東電原発が飛散させた放射能により、いまだ生活や将来が不安にさらされている。前者の地震という天災に対し、後者の原発放射能が原因の人災は、その深刻さの度合いも復興も天と地の差を生む。記念日に戻ると19日は「のど自慢の日」。戦後すぐ、NHKのど自慢素人音楽会が始まった日だ。さらに22日は「ジャズの日」とくる。JAZZの“JA”が“January”(1月)の先頭2文字であり、“ZZ”が“22”に似ていることからだ。設定して15年になるという。こじつけみたいだが面白い。昔、通った新宿「ピット・イン」「キーヨ」などの店を思い出す。週末の1月23日は、<1(ワン)・2(ツー)・3(スリー)>の語呂合わせで、「ワンツースリーの日」。 水前寺清子じゃないが、人生に対してジャンプする、パンチのある気持ちを! という意味を込めているんだとか。これら全てトリビア? だが庶民の知恵は汲みたい。いま流行の「アベ過ぎる」より良い。(2016/1/17)
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2016年01月10日

【今週の風考計】1.10

◆いつから18歳選挙権が使えるか、知っていますか。6月19日以降に公示された選挙で、投票日の翌日が、満18歳の誕生日となる人から使えます。およそ240万人の若者たちが、新たに国会議員や地方議員、さらに首長を選べることができます。◆まずは、7月25日に満期となる参議院議員の選挙が焦点です。公示から17日後に投票日となるので、6月26日、7月3日を投票日にすると、6月19日以前の公示になるので、18歳選挙権は使えません。7月10日以降が投票日になるなら使えます。◆その投票日をいつにするか、衆参ダブル選挙の選択も視野にいれて、安倍首相は政権勢力の絶対多数を確保しようと、党利党略に走っています。だからこそ争点を分らないままにして240万人の投票を促すか、18歳選挙権を使わせないか、天秤にかけているのです。◆とりわけ憲法の条文そのものを変更する「明文改憲」に向けて「緊急事態条項」を盛り込む動きが、<永田町の塀の中>で急浮上しています。北朝鮮の核実験や中東諸国間の「緊急事態」に便乗し、首相の権限強化、国会議員の任期延長、さらには国民に服従義務を課す「戒厳令」の復活を目論んでいます。◆絶対に許してはなりません。18歳以降の選挙権を持つ若者諸君、君たちの賢明な投票行動に期待しています。(2016/1/10)
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2016年01月03日

【今週の風考計】1.3

謹賀新年─よろしくお願いします。今年は辺野古が正念場を迎え、18歳選挙権導入の参院選が決戦場となる。4年目に入る安倍政権は「築城三年、落城一日」と、元旦から引き締めに躍起だ。それもそのはず、戦争法・辺野古新基地・原発再稼働・消費税大増税・TPPなどなど、ことごとく私たちの生活や平和への願いを踏みにじる政策を、ゴリ押ししようというのだから無理もない。やっと国会が開かれる。5月末までの150日間を最大限・有効に使って、「アベノミクス」の虚妄を明かしてほしい。とりわけ3月末にも施行される「戦争法」の本質を暴露してほしい。自衛隊を南スーダンでの「駆けつけ警護」に派遣し、武器使用を認めるなど、その危険な狙いを徹底的に追求してほしい。国会での争点化を避け参院選後に先送りする、ずるい安倍政権の狙いを許すな。特に自衛隊の皆さんは、ちょうど75年前の1月8日、陸軍大臣・東條英機が示達した戦陣訓を思い出してほしい。規律を重んじるためと称し「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」と、戦場での玉砕や自決など無謀な死を強いた。その後、民間人にまで広がる一因となった。その戦禍を忘れてはならない。(2016/1/3)
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2015年12月27日

【今週の風考計】12.27

女性シンガー・ソングライター稚菜(わかな)のライブコンサートに行ってきた。キーボードを弾きながら唄う<帰らぬあなたに変わらぬ愛を>は、戦場に向かった愛しい人の運命と授かった小さな命への思いを、いっぱいに響かせる。<戦火の詩>もまた、澄んだリリックな声で、「人が殺し合い喜ぶのは、その手汚さず命じる偉い人」と、真っすぐに歌う。すがすがしい反戦歌だ。「生きた自分の言葉で語る」SEALDsともつながる。彼女は、自分の夢「カンボジアに音楽学校」を実現すべく、自主制作CD「歌唄いの詩」など、売上の一部を積み立てている。さてCDから本へ移ると、今年のいちおしは、河崎秋子『颶風の王』(角川書店)だ。舞台は東北そして北海道。馬をめぐり数奇な運命に遭遇する家族の、明治から平成にいたる6世代の歩みを描く。三浦綾子文学賞受賞作。北海道の大地で羊を飼い、乳牛を育てながら書き続ける著者の、体験に裏打ちされた描写は、ずしりとした手応えと感動の波紋をひろげる。最後は、2日前に読み終えた、椎名誠『おなかがすいたハラペコだ。』(新日本出版社)に出てくる、<しあわせの「貧乏人の鍋」>中のレシピに倣い、フーフーしながら鍋をつつき、大晦日を迎えるとしよう。皆さん、よいお年をお迎えください。(2015/12/27)
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2015年12月20日

【今週の風考計】12.20

▼今年ほど「戦争」という文字に向き合い、熟考させられた年はない。「戦争法案」を国会で強行可決した9月19日から3カ月。この19日、85歳で亡くなった野坂昭如さんの告別式が行われた。『火垂るの墓』など、生涯「戦争をしてはならない」と言い続けてきた。▼また先月末93歳で亡くなった水木しげるさんは、『総員玉砕せよ!』などで、戦争への深い怒りを胸に、若い人々に戦争の悲惨さを伝えてきた。「9条の会」呼びかけ人の一人で、反戦運動に傾注してきた鶴見俊輔さんも同じく93歳、7月23日亡くなった。▼さて24日に閣議決定する97兆円という来年度予算、その中身の恐ろしさ。「軍事費」が史上初の5兆円を超す。オスプレイ12機・F35ステルス戦闘機の購入、イージス艦1隻の建造費など、安倍政権になって4年連続、前年から700億も増額する。米軍への思いやり予算は133億増やし9465億を計上。▼さらに新「日米軍事ガイドライン」に沿って、「同盟調整メカニズム」をフルに発揮するための自衛隊・米軍幹部が意思統一する「共同運用調整所」も、東京・横田基地内に設置されている。▼いっそのこと「防衛省」あらため、「戦争省」としたらどうか。「戦争しよう」の安倍政権の本音を、オモテに現したらよい。(2015/12/20)
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2015年12月13日

【今週の風考計】12.13

伊豆・富戸港近くの釣り宿で、炙ったイルカの黒潮干、マンボウの刺身、カゴカキダイの塩焼き、ヤッパタのすり身ダンゴ汁など、地元の味を堪能した。その折、くしくもザトウクジラ騒ぎに遭遇した。体長13メートルのザトウクジラが、餌となるサンマの群れを追い掛けて、富戸漁協の定置網に迷いこんだのだ。“歌うクジラ”とも言われるザトウクジラが、海面をたたくテールスラップに圧倒され、大騒ぎとなった。10年前まではイルカ追い込み漁で、批判を浴びてきた富戸だけに、海辺の人たちは優しく見守ってきた。その甲斐もあり、しばらくして無事に網から姿を消した。瀬戸内海をはじめ日本各地で、ザトウクジラが目撃されている。その回遊ルートや生息地域は、いまだ不明な点が多く、希少種になっている。地球の温暖化とクジラの南下は、どうも連動しているようだ。海水温の上昇はクジラの生息圏を奪うことにつながる。ようようCOP21も、温室効果ガスの排出を21世紀後半には実質ゼロにする決議をまとめた。1日、2年ぶりに南極に向け日本の調査捕鯨船団が出港した。来年3月までに333頭のミンククジラを捕殺するという。「科学目的のためとは言えない」とする国際司法裁判所の判定に、どう対応していくのか。(2015/12/13)
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2015年12月06日

【今週の風考計】12.6

<リメンバー12・8>は「真珠湾」だけじゃない。ちょうど20年前、「もんじゅ」の配管から漏れたナトリウムが発火し、炉のコンクリートや鉄まで溶かした大事故も、忘れてはならない。福井県・敦賀にある高速増殖炉「もんじゅ」は、その後もトラブルが続き、20年間の稼働日数は、わずか250日。これまで約1兆円の研究開発費が投じられてきたが、実用化のメドは立たず、かつ維持費などで年200億円が使われている。これほどまでに、無責任体制を放置してきた政府の罪は、きわめて重い。まさにアジア太平洋戦争に突っ走った軍部の「無責任の体系」と同根だ。やっと原子力規制委員会は、6カ月以内に新たな実施主体を決めるよう文科省に勧告したが、もう廃炉しかない。通常の原発と違い、高速増殖炉は水と激しく反応するナトリウムを冷却剤に使うため、操作が難しい。かつ原発の使用済み核燃料から猛毒のプルトニウムを取り出し、再処理したMOX燃料を使う。操作も管理も難しい原子炉だ。茨城県大洗町にある高速増殖実験炉「常陽」も、青森県六ケ所村にある再処理工場も、原発以上に危険であるのは間違いない。廃炉・閉鎖に踏み切るのは世界の流れ、時代の要請だ。福島原発事故を体験した、私たちの切実な願いである。(2015/12/6)
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2015年11月29日

【今週の風考計】11.29

◆保阪正康さんの講演<いま昭和史から何を学ぶか>を傾聴した(28日)。彼は「大日本帝国の軍部主導体制が、どれだけアジアや日本の多くの人々を傷つけたか、自らの問題として受け止め、戦争の本質を語り継いでいく義務がある」と語る。◆戦後70年、いまだに「侵略に定義はない」などと、平気で口にする宰相がいる。また歴史修正主義が横行する学者の世界。あらためて私たちは、憲法九条という「戦間期の思想を持たない」日本の義務を自覚すべきだと説く。◆さらに慰安婦問題についても、朝日バッシングに走り、本質が少しも明らかにされない。その実態について「いまだに口をつぐむ当時の部隊長や軍医や経理要員から、軍部が利用した女衒の存在など、生の姿を聞き出す作業が不可欠だ」と語る。◆韓国では、朴裕河『帝国の慰安婦』が問題となり、朝鮮人慰安婦と日本軍は「同志的関係」と記述した著者が、在宅起訴されている。これに対し日本の文化人54名が「公権力が特定の歴史観をもとに学問や言論の自由を封圧する」暴挙だとして、抗議声明を発している。◆この抗議声明に、金富子・東京外国語大教授は「問題なのは本の内容が事実なのかどうかだ」と述べている。自らの問題として、じっくり考えたい。(2015/11/29)
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2015年11月22日

【今週の風考計】11.22

14日の産経、15日の読売に掲載された、1ページ15段全面を使った意見広告のギョロ眼には、ド肝を抜かれた。TBSの「NEWS23」でメインキャスターを務める岸井成格氏が、戦争法案に関し「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と語ったことを、「放送法遵守を求める視聴者の会」が、放送法4条違反だと唱え、2カ月も経って、費用2千万円もする意見広告を出し、賛同署名を呼びかけた。ジャーナリスト個人の発言を、放送法違反として攻撃するなど前代未聞。まさに「言論・報道の自由」への挑戦だ。掲載した二紙の見識も疑われる。さらに同会は、スポンサーへ公開質問状の提出など、組織的な圧力行動まで促している。自民党「文化芸術懇話会」での「スポンサーに圧力を」という暴言が思い出される。同会呼びかけ人7名の経歴を見ても、日本会議のメンバー。まさに安倍政権の別働隊。そこからの扇動宣伝・メディアへの介入に他ならない。放送法3条には「放送番組は、何人からも干渉され、規制されることがない」とある。民間放送局の自主自律的な番組編成に、時間の割り振りまで非難し介入を図る行為は、断じて許されない。同会の企てをぶっ潰そう。(2015/11/22)
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2015年11月15日

【今週の風考計】11.15

「九段線」ってなんだ? 中国が南シナ海全域の領有権を主張するため、1953年から地図上に引いた9つの断続線である。周近平国家主席は「南シナ海諸島は古来より中国の領土だ」とするが、国際法上からも根拠がなく、一方的な中国の実効支配に反発が募る。しかも中国は南沙諸島周辺の岩礁を埋め立て、人工島を造成している。満潮時に水没する岩礁を埋め立てても、周囲は領海とはみなされない。APEC首脳会議が18〜19日、フィリピン・マニラで開かれる。米中日3国首脳の他、南シナ海の管轄海域を巡って中国と対立するフィリピン、ベトナムも注視している。とりわけフィリピンはオランダ・ハーグの仲裁裁判所に提訴し、その口頭弁論が24〜30日に開かれる。さらに22日からは、東アジアサミットが、排他的経済水域に関連して中国と対立するマレーシアで行われる。ここでも議論になるのは避けられない。インドネシアも国際司法機関に訴える姿勢を示した。米国に追随する安倍政権は、南シナ海への自衛隊派兵の可能性まで示唆。13年前、中国と東南アジア諸国連合が採択した平和解決への「南シナ海行動宣言」を尊重し、武力行使など絶対にしてはならない。(2015/11/15)
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2015年11月08日

【今週の風考計】11.8

●11月11日は世界平和記念日。毒ガスなど大量破壊兵器を使った、人類空前の第一次世界大戦が終結した日だ。再び戦争を起こさないとの決意を込めて制定された。●しかし第二次世界大戦を経て、ほぼ百年が経つ。いま世界の平和は、どうだろうか。世界の核弾頭数は1万6千。米ロ2国で、ほぼ同数の93%を占有し、削減は遅々として進まない。●このほど日本が国連に提出した「核兵器廃絶決議案」が、核保有国の棄権・反対にもかかわらず、156カ国の賛成多数で採択された。だがこれを実行するため、核保有国に「核兵器開発・核使用の全面禁止、核廃棄を義務づける条約づくりを求める決議」に対して、なんと日本は棄権する始末だ。●日本は核廃絶に本気なのかと、多くの国が疑念を抱いたのは間違いない。被爆70年の節目なのに、日本政府の二枚舌には呆れる。米国の核抑止力ばかりに配慮の目を向け、禁止条約づくりに積極的なイニシアチブをとろうとしない。●長崎で開かれたパグウォッシュ会議・世界大会に、35カ国・地域から192人が参加した。そこでも「長崎を最後の被爆地に」と決議し、5日には、核兵器保有国に核廃絶を確約するよう求める「長崎宣言」を発表して閉会した。政府は真正面から受け止めよ。(2015/11/8)
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2015年11月01日

【今週の風考計】11.1

「2%、それが問題だ」─まずは軽減税率2%。その適用品目を巡る自公両党の醜い論議は、民意そっちのけ。自民党は1兆3千億に上る税収減を考えると「精米」だけという。公明党は「痛税感の緩和」を掲げ、「酒類を除く飲食料品」など幅広くすべきだという。それなら、なぜ初めから消費税アップに反対しないのか。しかし両党は消費税10%を前提とし、税収減の穴埋め財源の一部に、低所得者への援助を目的とした4000億円を流用する密約ができている。ふざけるな!公明党は<酷税・戦争の党〉と看板を塗り替えたらいい。ついでに自民党も<民イジメ党>にすべきだ。次は日銀が掲げる2%の物価上昇目標。その達成時期を「16年度後半ごろ」に先送りした。アベノミクスの尖兵として、日銀・黒田東彦総裁は「異次元緩和」の<黒田バズーカ砲>をぶっ放してきた。年間80兆円に上る巨額の国債を買い入れ、市場にジャブジャブ金を注ぎこんできた。株高・円安で機関投資家はボロ儲けをしたが、勤労者世帯の実収入は1・6%減少し、そのうえ日用品・食料品は18%もアップ。「デフレ脱却」の行きづまりに他ならない。さらにお金を刷って「経済で、結果を出す」安倍政権を支える金融政策は、ギリシアの悲劇を招くだけだ。(2015/11/1)
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2015年10月25日

【今週の風考計】10.25

運転手のいないリニア新幹線が、東京─名古屋間286キロを、超電導磁気による浮上走行・時速500キロの猛スピードで駆け抜ける。その9割近くは、地下深度30〜1400メートルのトンネル。乗客は真っ暗な中を、気圧変動にさらされ、耳がおかしくなったまま40分。まさに“悪夢の超特急”でしかない。23日、同名の書籍で本年度JCJ賞を受賞した樫田秀樹氏が、着工目前となったリニア中央新幹線の、計り知れぬ自然・生活環境破壊の危険性について、JCJ出版部会の講演で明らかにした。トンネル掘削による周辺の河川や沢での水枯れ、静岡県の大井川は毎秒2トン減水する。膨大な掘削残土の処理は、南アルプスの長野県大鹿村では1日1700台のダンプカーが村を通り抜け、12年も続く。ダンプの騒音や土埃による健康への影響が心配だ。リニア走行で発生する強力な抵周電磁波が要因の健康障害も危惧される。岐阜県東濃地区にはウラン鉱床が集中する。これを掘削すれば肺がんに結びつくラドンガスが発生する。活断層破砕による地震発生、絶滅危惧種の野鳥や植物の消失、自然破壊は極まりない。JR東海は住民の疑問や声に耳を傾けず、「そこのけ、そこのけリニアが通る」と強引だ。<ストップ!リニア>の運動を広げよう。(2015/10/25)
posted by JCJ at 10:25 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする