2015年12月06日

【今週の風考計】12.6

<リメンバー12・8>は「真珠湾」だけじゃない。ちょうど20年前、「もんじゅ」の配管から漏れたナトリウムが発火し、炉のコンクリートや鉄まで溶かした大事故も、忘れてはならない。福井県・敦賀にある高速増殖炉「もんじゅ」は、その後もトラブルが続き、20年間の稼働日数は、わずか250日。これまで約1兆円の研究開発費が投じられてきたが、実用化のメドは立たず、かつ維持費などで年200億円が使われている。これほどまでに、無責任体制を放置してきた政府の罪は、きわめて重い。まさにアジア太平洋戦争に突っ走った軍部の「無責任の体系」と同根だ。やっと原子力規制委員会は、6カ月以内に新たな実施主体を決めるよう文科省に勧告したが、もう廃炉しかない。通常の原発と違い、高速増殖炉は水と激しく反応するナトリウムを冷却剤に使うため、操作が難しい。かつ原発の使用済み核燃料から猛毒のプルトニウムを取り出し、再処理したMOX燃料を使う。操作も管理も難しい原子炉だ。茨城県大洗町にある高速増殖実験炉「常陽」も、青森県六ケ所村にある再処理工場も、原発以上に危険であるのは間違いない。廃炉・閉鎖に踏み切るのは世界の流れ、時代の要請だ。福島原発事故を体験した、私たちの切実な願いである。(2015/12/6)
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2015年11月29日

【今週の風考計】11.29

◆保阪正康さんの講演<いま昭和史から何を学ぶか>を傾聴した(28日)。彼は「大日本帝国の軍部主導体制が、どれだけアジアや日本の多くの人々を傷つけたか、自らの問題として受け止め、戦争の本質を語り継いでいく義務がある」と語る。◆戦後70年、いまだに「侵略に定義はない」などと、平気で口にする宰相がいる。また歴史修正主義が横行する学者の世界。あらためて私たちは、憲法九条という「戦間期の思想を持たない」日本の義務を自覚すべきだと説く。◆さらに慰安婦問題についても、朝日バッシングに走り、本質が少しも明らかにされない。その実態について「いまだに口をつぐむ当時の部隊長や軍医や経理要員から、軍部が利用した女衒の存在など、生の姿を聞き出す作業が不可欠だ」と語る。◆韓国では、朴裕河『帝国の慰安婦』が問題となり、朝鮮人慰安婦と日本軍は「同志的関係」と記述した著者が、在宅起訴されている。これに対し日本の文化人54名が「公権力が特定の歴史観をもとに学問や言論の自由を封圧する」暴挙だとして、抗議声明を発している。◆この抗議声明に、金富子・東京外国語大教授は「問題なのは本の内容が事実なのかどうかだ」と述べている。自らの問題として、じっくり考えたい。(2015/11/29)
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2015年11月22日

【今週の風考計】11.22

14日の産経、15日の読売に掲載された、1ページ15段全面を使った意見広告のギョロ眼には、ド肝を抜かれた。TBSの「NEWS23」でメインキャスターを務める岸井成格氏が、戦争法案に関し「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と語ったことを、「放送法遵守を求める視聴者の会」が、放送法4条違反だと唱え、2カ月も経って、費用2千万円もする意見広告を出し、賛同署名を呼びかけた。ジャーナリスト個人の発言を、放送法違反として攻撃するなど前代未聞。まさに「言論・報道の自由」への挑戦だ。掲載した二紙の見識も疑われる。さらに同会は、スポンサーへ公開質問状の提出など、組織的な圧力行動まで促している。自民党「文化芸術懇話会」での「スポンサーに圧力を」という暴言が思い出される。同会呼びかけ人7名の経歴を見ても、日本会議のメンバー。まさに安倍政権の別働隊。そこからの扇動宣伝・メディアへの介入に他ならない。放送法3条には「放送番組は、何人からも干渉され、規制されることがない」とある。民間放送局の自主自律的な番組編成に、時間の割り振りまで非難し介入を図る行為は、断じて許されない。同会の企てをぶっ潰そう。(2015/11/22)
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2015年11月15日

【今週の風考計】11.15

「九段線」ってなんだ? 中国が南シナ海全域の領有権を主張するため、1953年から地図上に引いた9つの断続線である。周近平国家主席は「南シナ海諸島は古来より中国の領土だ」とするが、国際法上からも根拠がなく、一方的な中国の実効支配に反発が募る。しかも中国は南沙諸島周辺の岩礁を埋め立て、人工島を造成している。満潮時に水没する岩礁を埋め立てても、周囲は領海とはみなされない。APEC首脳会議が18〜19日、フィリピン・マニラで開かれる。米中日3国首脳の他、南シナ海の管轄海域を巡って中国と対立するフィリピン、ベトナムも注視している。とりわけフィリピンはオランダ・ハーグの仲裁裁判所に提訴し、その口頭弁論が24〜30日に開かれる。さらに22日からは、東アジアサミットが、排他的経済水域に関連して中国と対立するマレーシアで行われる。ここでも議論になるのは避けられない。インドネシアも国際司法機関に訴える姿勢を示した。米国に追随する安倍政権は、南シナ海への自衛隊派兵の可能性まで示唆。13年前、中国と東南アジア諸国連合が採択した平和解決への「南シナ海行動宣言」を尊重し、武力行使など絶対にしてはならない。(2015/11/15)
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2015年11月08日

【今週の風考計】11.8

●11月11日は世界平和記念日。毒ガスなど大量破壊兵器を使った、人類空前の第一次世界大戦が終結した日だ。再び戦争を起こさないとの決意を込めて制定された。●しかし第二次世界大戦を経て、ほぼ百年が経つ。いま世界の平和は、どうだろうか。世界の核弾頭数は1万6千。米ロ2国で、ほぼ同数の93%を占有し、削減は遅々として進まない。●このほど日本が国連に提出した「核兵器廃絶決議案」が、核保有国の棄権・反対にもかかわらず、156カ国の賛成多数で採択された。だがこれを実行するため、核保有国に「核兵器開発・核使用の全面禁止、核廃棄を義務づける条約づくりを求める決議」に対して、なんと日本は棄権する始末だ。●日本は核廃絶に本気なのかと、多くの国が疑念を抱いたのは間違いない。被爆70年の節目なのに、日本政府の二枚舌には呆れる。米国の核抑止力ばかりに配慮の目を向け、禁止条約づくりに積極的なイニシアチブをとろうとしない。●長崎で開かれたパグウォッシュ会議・世界大会に、35カ国・地域から192人が参加した。そこでも「長崎を最後の被爆地に」と決議し、5日には、核兵器保有国に核廃絶を確約するよう求める「長崎宣言」を発表して閉会した。政府は真正面から受け止めよ。(2015/11/8)
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2015年11月01日

【今週の風考計】11.1

「2%、それが問題だ」─まずは軽減税率2%。その適用品目を巡る自公両党の醜い論議は、民意そっちのけ。自民党は1兆3千億に上る税収減を考えると「精米」だけという。公明党は「痛税感の緩和」を掲げ、「酒類を除く飲食料品」など幅広くすべきだという。それなら、なぜ初めから消費税アップに反対しないのか。しかし両党は消費税10%を前提とし、税収減の穴埋め財源の一部に、低所得者への援助を目的とした4000億円を流用する密約ができている。ふざけるな!公明党は<酷税・戦争の党〉と看板を塗り替えたらいい。ついでに自民党も<民イジメ党>にすべきだ。次は日銀が掲げる2%の物価上昇目標。その達成時期を「16年度後半ごろ」に先送りした。アベノミクスの尖兵として、日銀・黒田東彦総裁は「異次元緩和」の<黒田バズーカ砲>をぶっ放してきた。年間80兆円に上る巨額の国債を買い入れ、市場にジャブジャブ金を注ぎこんできた。株高・円安で機関投資家はボロ儲けをしたが、勤労者世帯の実収入は1・6%減少し、そのうえ日用品・食料品は18%もアップ。「デフレ脱却」の行きづまりに他ならない。さらにお金を刷って「経済で、結果を出す」安倍政権を支える金融政策は、ギリシアの悲劇を招くだけだ。(2015/11/1)
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2015年10月25日

【今週の風考計】10.25

運転手のいないリニア新幹線が、東京─名古屋間286キロを、超電導磁気による浮上走行・時速500キロの猛スピードで駆け抜ける。その9割近くは、地下深度30〜1400メートルのトンネル。乗客は真っ暗な中を、気圧変動にさらされ、耳がおかしくなったまま40分。まさに“悪夢の超特急”でしかない。23日、同名の書籍で本年度JCJ賞を受賞した樫田秀樹氏が、着工目前となったリニア中央新幹線の、計り知れぬ自然・生活環境破壊の危険性について、JCJ出版部会の講演で明らかにした。トンネル掘削による周辺の河川や沢での水枯れ、静岡県の大井川は毎秒2トン減水する。膨大な掘削残土の処理は、南アルプスの長野県大鹿村では1日1700台のダンプカーが村を通り抜け、12年も続く。ダンプの騒音や土埃による健康への影響が心配だ。リニア走行で発生する強力な抵周電磁波が要因の健康障害も危惧される。岐阜県東濃地区にはウラン鉱床が集中する。これを掘削すれば肺がんに結びつくラドンガスが発生する。活断層破砕による地震発生、絶滅危惧種の野鳥や植物の消失、自然破壊は極まりない。JR東海は住民の疑問や声に耳を傾けず、「そこのけ、そこのけリニアが通る」と強引だ。<ストップ!リニア>の運動を広げよう。(2015/10/25)
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2015年10月18日

【今週の風考計】10.18

●キャベツ1玉310円、生サンマ1尾380円! 食欲の秋なのに溜め息が出る。これも天候不順や公海上での乱獲が影響している。農家の人々や漁師さんの苦衷は如何ばかりだろう。●そこにTPPとくる。国民には全く秘密にしたまま、交渉を続けての「大筋合意」が、明らかにされるや、日本の農業・水産業を壊滅させ、食料自給に破壊的な影響を及ぼす、恐るべき内容であるのがはっきりした。●野菜100種類・水産物340品目にかけている関税が、全て撤廃される。コメ、牛・豚肉、乳製品、麦、砂糖の重要5項目を「聖域の確保を最優先」とする国会決議にも違反して恥じない。まさに売国交渉だ。●鰹のタタキやヒラメの縁側、カボチャやブドウのピオーネも、みな外国産に席巻されるのか。加えて日本の「食の安全」が脅かされる。遺伝子組み換え作物や防かび剤を噴霧したオレンジやグレープフルーツ、抗生物質づけになった食肉が、私たちの食卓にドット入ってくる。人の体内で耐性菌が増えて、病気のときに抗生物質が効かなくなる。●食品添加物の危険性だって見逃せない。日本の認可は814種類。だが米国は倍の1612種類。タール色素やアルミ化合物が入った輸入食品を知らずに口にする。国民の健康や命にもつながる安全をなげうって、多国籍企業の利益に奉仕するTPPから、すぐに脱退せよ。(2015/10/18)
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2015年10月11日

【今週の風考計】10.11

微生物→素粒子→原発被曝→対話とくれば、今年のノーベル賞が授られた、各分野の業績テーマ。まさに肉眼では見えない対象を追求してきた、地道な努力の結晶が評価された。喜ばしい。医学・生理学賞の大村智さんは、土の中に生息している放線菌の効能を生かし、失明に至る目の病気を治癒する方法を開発し3億人を救う。「私の仕事は微生物の力を借りているだけ」と謙遜する。また素粒子ニュートリノに質量があることを明らかにして、物理学賞の梶田隆章さんは、「宇宙にはわからないことがいっぱいある」と謙虚だ。チェルノブイリ原発事故による被曝の実態を記録した『チェルノブイリの祈り』で、文学賞を受けたベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシェービッチさんは、福島原発事故は「人類全体にとっての悲劇です」と述べる。さらに平和賞は「チュニジア国民対話カルテット」。北アフリカ・チュニジアで、イスラム勢力と世俗勢力の歩み寄りを促し、民主化を進めた取り組みへの授与。共通するのは、すぐに実効を上げようと躍起になったり、スローガンを掲げて大言壮語などしていないことだ。安倍政権も見習え。<一億総活躍>とハッパをかける前に、国民一人一人の、表面からは目に見えない生活の声に耳を傾けよ。(2015/10/11)
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2015年10月04日

【今週の風考計】10.4

たまに立ち寄るギャラリーを覘くと、動物を擬人化した絵やオブジェが陳列されている。増田泰子展とある。とりわけ細長い小さなヘラ状の流木の上に、建物や動物などが並ぶミニチュアに目がいく。よく見ると教会、犬のブルドック、オトギリソウ(?)の花だ。木の台座に細い鉄棒で据えられた流木が、海に浮かぶ島に見え、その島にある3つのミニチュアが、またホノボノとした空間を作り出している。なんと本人がいて、「千葉・幕張の住まい近くの海岸に打ち上げられた小さな流木を拾い、その上に、20年前に行ったイタリア・ムラーノ島などの風景を思い浮かべ、粘土や金属で作ったミニチュアをおいた」という。いまは生まれ故郷の長野県上田市の実家に移り、喜寿の両親を見つつ、家を「心の花美術館」(ホームページkokohana-artmuseum.com)へ改築。オープンして1年半。それまではムサ美を卒業し、就職した会社のオトコ支配が基で鬱となり退職。アルバイトしながら制作に励む。子供が生まれて命の尊さを実感。さらに在宅ヘルパーの仕事を通じ、与えられた命は無駄にできないと発奮、人間社会の縮図をユーモラスに表現した作品に傾注しているという。偶然とはいえ、表面からは窺いしれない、一人の女性の歩みに驚かされた。(2015/10/4)
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2015年09月27日

【今週の風考計】9.27

●「戦争法案」の成立を待っていたかのように、防衛装備庁が10月1日(友引)、まさに戦争へと誘う、武器や戦車・戦闘機などの研究・開発から調達まで、一元的に進める新しい業務をスタートさせる。人員1800人、うち400人が制服組。イケイケドンドンとなる危惧は拭えない。●経団連は、武器輸出を国家戦略として位置づけ、政府へ要望を提出。特に自衛隊向けに製造する戦闘機F35を、他国にも輸出できるよう、軍需産業各社が連携し、世界に向け販売戦略を展開すると謳う。その製造ラインを増設するため、政府に金融支援・つなぎ融資を要望する始末。●戦闘機F35本体100億、整備を含めば200億円─この戦闘機をつくる産業に、国民の税金を投入せよというのだ。税金の使い道を決める来年度予算に向け、防衛省が要求する概算額は、過去最大の5兆911億円。●オスプレイ12機・1321億円、哨戒ヘリコプター17機・1032億円。水陸両用車11両、イージス艦1隻、最新鋭ステルス戦闘機6機、空中給油機も購入する。●「軍事支出を削減して教育費に回すよう」訴える、18歳のノーベル平和賞受賞者マララ・ユザイフさんは、25日の国連サミットで、あらためて各国首脳に「子どもたちに平和と繁栄を約束してください」と、世界平和を強く求めている。(2015/9/27)
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2015年09月20日

【今週の風考計】9.20

9月19日は<憲法9条つぶしの日>となった。怒りは沸騰。安倍政権の“罪と罰”は、無限に重い。9条の解釈を一内閣の判断で変え、海外で戦争できる国にする─集団的自衛権の行使容認は、立憲主義の破壊であり、国民主権の否定だ。憲法違反の「戦争法案」を国会で強行採決し可決するなど、許されない暴挙。日本が直接、武力攻撃されていなくても、米国の戦争に協力する11本の法案、どれも不明瞭きわまりない。集団的自衛権を行使する基準、後方支援の内容、武器使用の際の自衛隊員の安全などなど、政府答弁は「総合的に勘案し、個別具体的に判断する」というだけ。法律的な担保は何もない。国会での事前承認だって有名無実。秘密保護法を盾に、内容は非開示となるのは必定だ。だが諦めてはいけない。選挙も違憲訴訟もある。国民の6割が反対する「戦争法案」の施行を食い止めよう。軍事力に依存する安全保障政策は、戦争への抑止力どころか、いまや憎悪の連鎖を拡大するだけ。人道支援やインフラ整備などを通じて、紛争の病根を取り除く平和構築の取り組みこそ肝心だ。この間のアフガニスタン、イラク両戦争がもたらした過激派テロの横行や難民問題など、いまの惨状が明瞭に示している。確信を持とう。(2015/9/20)
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2015年09月13日

【今週の風考計】9.13

緊迫した1週間─国会に集まろう!辺野古と連帯し「戦争法案・新基地建設NO」の声を、「ナチスをまねて法を形骸化させようという政治権力」(漫画家・小林よしのり氏)にぶつけ、「独裁者に一度限りの人生を破壊されぬよう」(作家・森村誠一氏)、全力を尽くそう。16日に中央公聴会→委員会採決→本会議上程→可決の企てを粉砕しよう。つい最近、過激派組織「イスラム国」は、米国が主導する軍事作戦に加わる一員として日本を名指し、「日本の外交使節をボスニアやマレーシア、インドネシアで狙え」と呼びかけた。これはまさに安倍政権の集団的自衛権行使容認を視野に入れて、宣戦布告したのも同然。日本が米国のテロとの戦いに巻き込まれ、直接攻撃される危険性が、現実となる強烈な証拠だ。これでも、破たんした弁明を繰り返し、国民を欺いたまま「安保法制」を強行成立させようというのか。辺野古新基地建設でも同じ。辺野古埋め立ての承認取り消しを決断する翁長雄志知事に対し、もう政府は代執行を検討しているという。まさに有無を言わせぬ強権政治だ。国会周辺のイチョウ並木には、たわわに銀杏が色づき、私たちの声に頷くように揺れている。ガンバロウ!(2015/9/13)
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2015年09月06日

【今週の風考計】9.6

オセロのように△が▼へ1日にして変わる。新聞紙面の「証券」欄である。東証1部上場1900社は、のきなみ株の乱高下に振り回される。世界市場の混乱を収拾するため開かれたG20会議も、中国の株価バブルと経済減速、さらに米国の利上げに対して、具体的な対応が出せないまま閉会した。米国と中国がばらまいた800兆円を超す投資マネーが世界中に氾濫し、そのマネーが引き上げられる時、新興国ブラジルや南アフリカなどの経済停滞は一段と加速する。世界同時株安どころか、世界経済崩壊へとつながる危機が来る。この間、安倍政権は「アベノミクス」を謳い、大企業は円安・株高を背景に、昨年300兆円という過去最高の内部留保を積み上げた。為替差益や株の高騰で得た利益も重なる。法人税減税も利いている。しかし、世界経済全体の先行き不透明感が加速し、「アベノミクス」の楽観的な見通しは狂い始めている。これも日銀の金融緩和に依存し、内需や雇用の拡大を軽視してきたツケだ。いまや格差は全世代に広がり、まして高齢者の貧困は深刻だ。「老後破産」の恐怖にさらされる。まさに「アベノミクス症候群」が、国民の生活を蝕んでいる。(2015/9/6)
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2015年08月30日

【今週の風考計】8.30

国会包囲10万人、全国380カ所100万人の「NO! WAR」が響きあう。60年安保以来だ。それも動員されたのでなく、自発的な<草の根>からの行動だ。この力で安倍政権が強行する「戦争法案」を廃案に追いこもう。それにしても「安保法制」のズサンさが露わとなり、政府答弁の混迷は極まる。なぜ集団的自衛権を行使するのか、その理由が想定外とウソだらけ。中東・ホルムズ海峡の機雷掃海、海外の紛争地から逃れる日本人を輸送中の米軍艦船の護衛、弾道ミサイル警戒中の米イージス艦防護─これらの事例を挙げたが、国会での野党の追及で総崩れ。全くの方便に過ぎないことが露呈した。さらに自衛隊は米軍の兵站のため、クラスター弾、毒ガス、核兵器の補給・輸送にも従事できる。加えて法案成立を見越し、米軍の指揮下に入り、PKOの一員として武器を携帯し、紛争地の警護に当たることすら想定し準備している。暴走は果てしない。国会では「速記を止めてください」の声が連発され、審議が中断する。野党からの質問に、政府が答弁不能に陥るのが原因だ。「衆議院で111回・中断時間4時間43分、参議院でも1か月足らずで77回・中断時間2時間25分」(しんぶん「赤旗」8/29付)。この法案の欠陥が如実に示されている。(2015/8/30)
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2015年08月23日

【今週の風考計】8.23

お盆明け、南信州・天龍村に住む友人宅へ遊びに行った。高速バスとJR飯田線を使い平岡へ。まず彼の車で、最近リニューアルした「おきよめの湯」へ行き汗を流す。入浴料金500円。奥さんが用意の食卓には、ていざ茄子の丸焼き、塩イカときゅうりの粕もみ、酒は「喜久水」、つまみに「おたぐり」─どれも土地の名物が並ぶ。お盆には成人式や「ふるさと夏祭り」で大忙しだったという。人口も1400人ちょっと。珍味の柚餅子も、昨年、柚子が不作で今年はダメ。村の苦悩は深刻だ。翌日、山の急斜面に茶畑が、段々を作って広がる中井侍を経て、隠れ里・坂部を訪ねる。百八の松明を灯し、笛・太鼓を鳴らす掛け踊りが終わったばかり。今は猪の被害に頭が痛い。飯田線の駅名は難読が多い。鶯巣(うぐす)、為栗(してぐり)とくれば、お手上げ。大蛇(だいじゃ)という場所から、下を流れる天竜川の渓谷美を眺める。3日目、152号線を北上して下栗の里へ。標高千メートル・傾斜38度もある山肌を耕し、蕎麦や二度芋を育てる。さらに南アルプスが一望できる「しらびそ高原」へ。この清涼な遠山郷の北にトンネルを掘り、総事業費9兆円かけてリニア中央新幹線を通すとは、残土の処理や天然水の枯渇など、その計画の怖さが身に迫る。(2015/8/23)
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2015年08月16日

【今週の風考計】8.16

◆3300字に及ぶ戦後70年「安倍談話」の冗漫さは極まる。発表までに二転三転、迷走したあげく「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「おわび」の言葉だけは盛り込んだ。それも傍観者的に引用する形で、脈絡はなく、覚悟も心もなし。◆「私は」の主語がないどころか、慰安婦問題への記述もなく、かつ日本の加害責任には全く触れず。首相自らの歴史認識はあいまいにしたままだ。「どのような行為が侵略に当たるかは歴史家の議論に委ねるべきだ」などと、いまだに強弁する始末。◆率直に加害の過去を反省した村山・小泉両談話の姿勢とは大違い。両談話は「私は」という主語をはっきり使い、謝罪意思を明確にした。だが「安倍談話」には、それがない。◆憲法の「け」の字もない。世界に誇るべき「憲法9条」の、日本の平和主義と不戦の誓いは、今こそ広く世界にアピールすべきではないか。15日の戦没者追悼式でも、安倍首相は3年続けて触れず、加害責任への言及も避け、天皇陛下の「深い反省」という言葉との隔たりは際立つ。◆さらに「積極的平和主義」の美名をかぶせて、「戦争法案」を強行するのは、どういう神経だ。これでは言葉の裏から鎧が透けて見える。世界から鋭く批判されるのは当然だ。(2015/8/16)
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2015年08月09日

【今週の風考計】8.9

長崎の爆心地公園に灯る「誓いの火」は、32年前、ギリシア・オリンピアの丘で採火された聖火だ。長崎を「最後の被爆地」とし、世界から核兵器を廃絶するまで、灯し続けられる。だが安倍首相は、国是の「非核3原則」を、広島・長崎<原爆忌>での式典あいさつで、それぞれ削ったり加えたり、みっともないと言ったらありゃしない。ホンネを隠すのにキュウキュウとしているからだ。「戦争法案」をめぐる国会答弁でもノラリクラリ。時に「絶対にない、断言する」と開き直り、条文上にはどこにも書いていないのに、「核輸送は120%ない。総理大臣としてあり得ないといっているのだから、間違いない」とまで、居直る始末だ。戦後70年の「安倍談話」をめぐっても同じ。原案にはアジア太平洋戦争に対するアジア諸国への「おわび」が入っていない。「植民地支配と侵略」についても、必ずしも明確な表現や位置づけがされていない。言い逃れの文字や表現で、ごまかそうとする。これでは世界やアジアの人々の心を打ち、中国・韓国との真に強い連帯など、作れるはずがない。言葉が軽く、空疎な響きと共に、いかがわしさすら臭ってくる。人類の英知に耐える、凛とした政治家としての哲学、品格、気概など、どこにもない。(2015/8/9)
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2015年08月02日

【今週の風考計】8.2

ついに翁長雄志・沖縄県知事は、辺野古沖の埋め立て承認の取り消しに踏み切る。安倍首相は、新国立競技場の建設問題では、潔く白紙撤回のうえ計画を変更するが、辺野古新基地建設への埋め立てには「瑕疵は全くない」と開き直り、聞く耳を持たない。まさに「日本の政治の堕落」だ。だが埋め立ての法的根拠は失われ、法廷での争いにつながる異例の事態を迎える。今年1月に翁長知事が、埋め立て承認の経緯を検証する第3者委員会を設置。弁護士や環境の専門家6人で構成し、かつ埋め立て承認に関わった県職員からも聞き取り調査をし、6月末までに計13回の会合が開かれた。7月16日、埋め立て承認の手続きには、4つの法的瑕疵があるとの報告書600ページが提出された。公開された報告書全文と議事録から、埋め立ての必要性に合理的な疑いがあり、かつ法律に基づく既存の環境保全計画に違反している可能性が高いと指摘する。公有水面の埋め立て法に照らし4つの瑕疵を認定している。頷ける。埋め立てに必要な土砂は九州、山口、四国から岩を砕いた「岩ズリ」1664万立方メートルを持ち込む。アルゼンチンアリなど特定外来生物を水際で防ぐ沖縄土砂規制条例は、環境保全やサトウキビなど農作物への被害を防ぐためにも、きわめて当然な立法だ。(2015/8/2)
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2015年07月26日

【今週の風考計】7.26

★ラスト10分で、日経新聞が破格の1600億円を提示し、英国の老舗経済紙フィナンシャル・タイムズを買収した。淡いサーモンピンクのFT紙は、世界のビジネス界に強い影響力を持ち、約50万人の電子版購読者がいる。★そのノウハウを導入するためというが、日経新聞社の昨年の単独売上高に匹敵する買収額だ。「アベノミクスの旗振り」役をするにしても、のれん代にしても、高額すぎないか。もっと他にやることがありはしないか。★社説や記事などを読むと、原発の再稼働は必要だと力説し、集団的自衛権の行使や普天間基地の辺野古移設に賛成の論陣を張る。国会で審議されている安保法制をめぐる紙面を見ても、1面で憲法学者の意見に言及した記事はほぼ皆無。ほかの面でも憲法判断に関する記事は他紙の3分の1。★東京新聞は「違憲」とする記事を、1面から「こちら特報部」まで、全面展開している。まあ、東京大手町の日経新聞本社と経団連会館が隣である以上、安倍政権に近寄るのも無理はない。★でも、今から9年前の7月20日、「昭和天皇、A級戦犯 靖国合祀に不快感」の見出しで、富田朝彦・元宮内庁長官の残したメモをもとに、参拝中止の理由をスクープした快挙を忘れてはいけない。(2015/7/26)

posted by JCJ at 10:00 | TrackBack(0) | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする