2008年07月05日

活字の海を漂って(12)=鈴木 耕

―写真集『ひろしま』について―

 このコラム、今回で12回目。月1回の連載ですので、いつの間にか1年が経ったわけです。時間の経過というものの不思議さを、しみじみ感じます。さて、「活字の海を漂って」というのが、この連載のタイトルです。タイトルどおり、毎回、なんらかの「活字にまつわる話」を書いてきたつもりです。でも、今回は少しタイトルとは中身が違うかもしれません。「活字」から離れて「写真」のことを書いてみたいと思うからです。

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2008年06月04日

活字の海を漂って(11)「超左翼」雑誌の出現!=鈴木 耕

この雑誌、いい根性してるゼっ!

 なんといっても、この雑誌のタイトルの左上に小さく書かれた謳い文句に、私はシビレてしまったのです。
 それがまあ、<超左翼マガジン>というのだから、感電1万ボルトです。本気でビリビリきました。
 なにしろ、カタカナで「サヨク」じゃなくて、漢字で「左翼」ですよ。いまどき、マジで左翼をやろう、というのだから、ホント、いい根性してるじゃないかっ、なのです。それがこの雑誌、『ロスジェネ』です。

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2008年05月08日

活字の海を漂って (10) 「米兵犯罪お仕置き法案」=鈴木 耕

  風薫る5月、です。5月といえば寺山修司の詩集『われに五月を』を思い出します。すてきな季節です。花粉症の方たちも、ようやくその辛さから解放される時期ですね。心もからだも浮き立つような気がします。でも、今回は少し古い4月の話です。
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2008年04月27日

横浜事件と良心・思想・言論の自由=出版評論家/橋本 進

―「司法の責任」を免罪する最高裁の不見識―

恥ずべき判決の上塗り 横浜事件、上告を棄却

  08年3月14日、最高裁第二小法廷は、横浜事件第三次請求再審における申立人・弁護団の上告を棄却した。上告は“過去の裁判はなかったことにしよう” という“くさいものに蓋”判決=免訴(06.2、横浜地裁。07.1、東京高裁)を撤回、原有罪判決を破棄、事件の全容解明を求めるものであった。
 横浜事件が、死者をも出した残虐な拷問で、特高が捏造し、検察・裁判所が追認して有罪とした総ぐるみの国家犯罪であったことは、戦後、早い時期に明らかにされた。従って現代史学界では定説であり、今や世間常識といってよい。だから1986年に第一次再審請求が提起されたとき、裁判所は直ちに再審をひらき、即座に恥ずべき有罪判決を取り消し、自らの「名誉回復」をはかるべきであった。ところが、敗戦時戦犯追及を恐れて記録を焼却(証拠隠滅)、そのことによる「一件記録の不存在」を理由に請求を棄却、“触らぬ神にたたりなし”判決を行なったのである(第一次)。第二次も同様のなりゆきで、恥ずべき判決の上塗りがくりかえされた。

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2008年04月02日

活字の海を漂って (9)今朝も新聞を開いたけれど=鈴木 耕

「後期高齢者」は、誰が作ったか

 新聞を読んでいると、時折、どうにも不愉快な言葉に遭遇することがあります。いや別に、新聞の記事そのものや論調に嫌悪を感じる、ということではありません。使われている言葉に、「なんだ、これは」と不快な思いをすることがある、という意味です。
 例えば、最近では「後期高齢者」という言葉。
 いったい、どんな連中が作った言葉なのか。「人間に対して“後期”とは何事かっ!」と、この文字を見たとき、一瞬、昔のマンガのコマのように、頭から湯気が出ました。

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2008年03月15日

04・19 JCJ出版部会4月例会「出版界をおおう影、そして光。」

―いま何が問題か。例えばケータイ小説と自費出版のゆくえ
日 時:2008年4月19日(土) 午後3時開会(2時30分開場)
場 所:岩波セミナールーム 千代田区神田神保町2−1 神保町交差点 岩波ブックセンター3F 地下鉄新宿線・三田線神保町駅A6出口1分 
講 師:星野 渉 氏(「文化通信」出版部長、日本出版学会理事)
<主催> 日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会

 苦境の11年。97年以来連続するマイナス成長、出版不況は底が見えない。書籍3・2%減、雑誌3・1%減。金額返品率も書籍39・4%、雑誌35・2%とあいかわらずの高水準。朝日新聞(08年2月14日付、「出版再生 カギは」)が伝えるのは、ドイツ5〜10%、イギリス15%(いずれも2006年)だ。

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2008年03月03日

活字の海を漂って(8) あなたは「死刑」を宣告できますか?=鈴木 耕

重い本

 久しぶりに、ずしりと体が反応するような本を読んだ。森達也さんの『死刑』(朝日出版社)である。ほんとうに、重い本だ。重いけれども、読み始めたらやめられない。300ページを超える本だが、一晩で読み終えてしまった。
 その少し前に、『極刑』(スコット・トゥロー著、指宿信、岩川直子訳、岩波書店)を読み、続いて『無実』(ジョン・グリシャム著、白石朗訳、ゴマ文庫)を読んだ直後だったので、森さんの著書の重さが倍加したような気がした。

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横浜事件と良心・思想・言論の自由第2部《第7回(最終回)横浜事件再審裁判と憲法9条》=出版評論家/橋本 進

 《二重、三重の汚点、国家責任》

 21年前、再審裁判支援に携わるようになったころ、判決批判は弁護士の仕事、われわれ素人は運動を広げるのが仕事と思っていた。判決というものは、たとえその結論が不当、不正義であっても、そこに至る論理・考証は緻密なもので、素人には容易につき崩せない、と考えていたからだった。ところが実際に判決文や予審終結決定書を読むと、素人でも一見してわかるほど、粗雑、乱暴なものであった。
 政治経済研究会事件で被告とされた和田喜太郎(中央公論社)は、(1)除村吉太郎、橘樸、小池基之への論文依頼を、喫茶店で同僚と相談した、(2)政治経済研究会に1カ月加入(すぐ退会)、その間3回出席したことが犯罪事実で、2年の実刑判決(44.8.21)、獄死した(45.2.7)。

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2008年01月11日

横浜事件と良心・思想・言論の自由第2部(4)第三次請求――再審は実現したが…=橋本 進

 1998年8月、横浜事件第三次再審請求が行なわれた。
 申立人=木村まき(故亨夫人)、平舘道子(故利雄長女)〈以上、泊事件〉、板井庄作、勝部元、高木晋(故健次郎長男)、由田道子(故浩夫人)〈以上、政治経済研究会事件〉、畑中繁雄(中央公論社)、小林貞(改造社。故英三郎夫人)〈以上、両社内左翼グループ事件〉。
 支援=横浜事件の再審を実現しよう!全国ネットワーク
 申立理由として、“ポツダム宣言受諾(45.8.14)で治安維持法は失効、失効法による有罪判決(45.8.29、9.15)は無効”を主軸とし、その他として拷問等を掲げた。
 2001年10月、横浜地裁は弁護団の治維法失効時期に関する法的鑑定の要望を受け入れ、大石真・京大教授を選定した。
 03年4月15日、地裁は大石鑑定(受諾失効説)を受け入れ、再審を決定、「免訴」とした。ようやく再審の門を開いた意義は大きいが、請求側に対し「犯罪とされる行為の後に法が失効したにすぎず」、無罪言い渡しを求める「弁護人の主張は失当」と述べ、事件の実体審理、国家責任の明確化を回避した。
 検察側が「即時抗告」をした。

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活字の海を漂って(6) 再び、沖縄と教科書をめぐって=鈴木 耕

 前々回、このコラムで沖縄のことを取上げました。2007年9月29日に、宜野湾海浜公園で行われた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」と、教科書検定というものの内実について、私なりの意見を書いたものでした。
 それは、沖縄戦における住民の「日本軍による強制集団死(いわゆる集団自決)」という悲惨な事実が、文科省の事実上の(強制的)検定意見によって、高校の歴史教科書から削除されたことに対する、沖縄県民の大きな怒りの表現として、実現した巨大な集会でした。
 あの大会からすでに3ヵ月以上が過ぎました。

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2007年12月13日

活字の海を漂って(5) カントと「憲法9条」の関係について=鈴木 耕

 いま、私の手元に1冊の小さな本があります。
 『永遠平和のために』(イマヌエル・カント著、池内紀訳、発行・綜合社、発売・集英社、定価・本体1300円)という、120ページほどの、ほんとうに小さい本です。
 でも、とても美しい。カバー画は山本容子さん。若きカントの肖像が描かれ、青色のカバーの中央に、ふわりと浮かんでいます。思わずニコリとしてしまいそうな、優しいカントです。
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横浜事件と良心・思想・言論の自由(第二部)=橋本 進

第二部 「横浜事件再審裁判・第一次〜四次」――その経過と、いまの問題

《第2回 第一次請求、棄却される――粗雑な論理がまかり通る日本の裁判界》

《暴論というほかない却下理由》

 第一次再審請求に対する横浜地裁の却下理由(88年3月)は次のとおり。
 請求理由としている拷問が最高裁で認定されたのは、益田直彦(ソ連事情調査会事件)一人に対してだけのものであり、請求人たちに対してではない。判決文があるのは、9人の請求人のうち、小野康人だけであり、一件記録もなく、審理のしようがない。記録がないのは、占領軍進駐時に焼却されたことがうかがわれる。

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2007年11月17日

活字の海を漂って(4) 鈴木 耕

「教科書という本」をめぐって

◆沖縄で
 少し前のことになりますが、沖縄へ行ってきました。9月29日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を、この目で確かめることができました。その集会にはぜひ参加したいと、以前から思っていました。そこへ、現地の民放局からの参加要請があったのです。この集会の「特別報道番組」に協力して欲しい、という要請でした。私は、喜んで参加させてもらいました。凄まじいとしか表現できないような熱気と怒りでした。宜野湾市の広い臨海公園は、それこそ古い喩えですが、立錐の余地のないほどの人の波でした。(続きを読む)
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横浜事件と良心・思想・言論の自由(第二部)=橋本 進

第二部 「横浜事件再審裁判・第一次〜四次」――その経過と、いまの問題

《第1回 41年目の再審申し立て》

《再び暗黒の日本にしてはならない――国家秘密法案への危機感》

 1986年7月3日、横浜事件有罪判決(44.8、45.7、9。以下、原有罪判決)に対する再審請求が、8名の請求人により横浜地裁に申し立てられた(以下、第一次請求)。請求人=木村亨、平館利雄〈泊事件〉、畑中繁雄、和田かよ(獄死した故喜太郎の母。没後は実妹の気賀すみ。以上、中央公論社関係)、青山鉞治、小林英三郎、小野貞(故康人の夫人。以上、改造社関係)〈改造社並びに中央公論社内左翼グループ事件〉、川田定子(故寿の分も)〈米国共産党員事件〉。弁護人=森川金寿団長、大川隆司事務局長ほか。
 原有罪判決から41〜42年目の申し立てである。申立人はいずれも70〜80歳の高齢者となっていた。これら高齢者が再審請求に踏みきった動機は、その前年に登場した国家秘密法案である。言論・報道を統制し、思想を弾圧し得る条項にみちた同法案は、かつての治安維持法を想起させた。(続きを読む)
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2007年10月17日

横浜事件と良心・思想・言論の自由――危機迫る現在から事件をみる=橋本 進

《5. 特高の暴走はとどまるところなし、だった》

 中央公論、改造の編集者を大量検挙した特高は、これらの人と交流のあった他社編集者に手をのばした。44年11月27日、日本評論社の松本正雄、美作太郎、彦坂竹男、岩波書店の藤川覚が検挙された。太平洋戦争開戦前の1940(昭和15)年に日本編集者会がつくられた。

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横浜事件と良心・思想・言論の自由」は、日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会のホームページで連載。

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2007年10月15日

活字の海を漂って(3) 鈴木 耕

「菊次郎さん」の戦後

 「菊次郎さん」をご存知でしょうか?
 いえいえ、「たけしさんのお父さんの菊次郎さん」じゃありません。 「さきさんという奥さんのいる菊次郎さん」でもありません。
 もうひとりの、私にとってはまるで仰ぎ見るような存在の「菊次郎さん」です。とても小柄で、折れそうなほど痩せていて、仰ぎ見るような体格では決してないのですが、その生き方や考え方は、ほんとうに仰ぎ見ざるを得ないほどの「巨人」なのです。
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 日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会のホームページ“出版・ろばの耳”で連載されている月刊コラム「活字の海を漂って」。3回目の今月は写真家・福島菊次郎さんのお話です。

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2007年09月08日

 「つくる会」教科書 次は自由社から出版

  7日、扶桑社から教科書の継続発行を拒否され、別の出版社を公募していた「新しい歴史教科書をつくる会」 (藤岡信勝会長)は、中学校の歴史、公民教科書を自由社(東京都文京区)から出版すると発表した。

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2007年08月30日

09・28 インターネットやフリーペーパーの出現で変わる雑誌の「いま」を読む

JCJ出版部会07年9月例会(神保町・岩波セミナールーム)のお知らせ

 06年の出版界総売上げは前年に比し1.3%減(出版年鑑2007年)。これは、既存の月刊誌、週刊誌の大幅な落ち込み(3.9% 減)に因るものです(書籍は2.2%増)。周知のように、ひところは「雑高書低」といわれた雑誌の売上げも、97年をピークにして以降、 長期低落傾向が続いています。

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