
自主制作した映画を上映してきた人たちやグループ、団体が協力して上映の場をつくっていこうという「自主制作映画見本市」(写真)が9月26日に東京都文京区民センターで開かれた。4回目の今回は「ヒロシマナガサキ最後の二重被爆者」など6作品が上映され、上映後は監督など制作者のトークも行われた。
筆者が特に興味を覚えたのは、2001年に制作された「人らしく生きよう国労冬物語」と今年制作の「生きるのに理由はいるの?津久井やまゆり園事件が問いかけたものは・・」の2本である。
前者は国鉄の分割民営化の実態を15年にわたって描いており、差別と解雇の記録である。改めてこのやり方が現代に通じるリストラの原点だったことがわかる。また、その真の目的は総評が進めていた左翼労働運動を解体することだったことも理解できた。後者は事件に至るまでの植松聖被告の足跡を丁寧にたどり、なぜ事件を起こしたのかを丹念に追った。こうした事件を起こしたのは必ずしも植松被告の特性ではなく、管理中心だった施設から影響されたものではないのかという鋭い問いかけが印象的だった。
このような自主制作映画は採算をとるのが難しく、制作者は資金調達が大きな負担になっているという。主催した「憲法を考える映画の会」では映画の上映の機会を広げるため市民活動や市民運動の場において利用されるように、こうした場をつくって上映の促進を図っていきたいとしている。
伊東良平