2021年09月13日

【被爆から76年・長崎】被爆者の思い受け止めず 注目されたのは遅刻だけ=西郷 格

 8月9日の長崎市平和祈念式典で、田上富久市長は、日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める平和宣言を読み上げた。平和宣言で条約への参加を訴えたのは、2017年に条約が国連で採択されてから5年連続だ。さらに、今年は条約が発効し来年3月に締約国会議が開かれることになったため、「オブザーバーとして参加し、条約を育てるための道を探ってください」と、一歩でも前進して欲しいと呼びかけた。
 しかし、式典に出席した菅首相は、挨拶で、核廃絶を抽象的に述べるだけで、核兵器禁止条約には一言も触れなかった。
 式典後、被爆者団体は菅首相に会い、条約への参加を直接訴えた。これに対して、菅首相は、「現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが、より適切だ」と、条約に参加しない立場を繰り返しただけだった。
 また、被爆者団体は、広島で黒い雨を浴びた人たちが勝訴したことを受けて、長崎でも同様に被爆者と認めて欲しいと訴えている被爆体験者も救済するよう訴えた。しかし、この問題でも、菅首相は、「長崎では、訴訟が継続中ですので、まずは、その行方を注視していきたい」と述べただけだった。
 被爆者団体の代表の1人、川野浩一さんは、「もう少し前向きな回答があると考えていた。頭から要望をシャットアウトしていて、被爆地の思いを受け止めようという誠
意がない」と怒った。
 核廃絶も被爆者援護もゼロ回答の結果、注目されたのは菅首相が式典に1分遅刻したことだけになってしまった。
  西郷 格
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年8月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月03日

【沖縄リポート】執行停止の手口でサンゴ移植すぐ再開=浦島悦子

                             
oki.jpg

 辺野古の海でまたも、国による暴挙が強行された。海の生態系を支えるサンゴの大量破壊・殺戮が続いている。
 新基地建設工事のためのサンゴ移植を巡る最高裁での敗訴判決(7月6日、前号で報告)に、不本意ながら従わざるを得ないと判断した沖縄県は28日、沖縄防衛局に移植(サンゴ約4万群体)を許可した。但し、サンゴの生存率を高めるため、高温期や台風時期、繁殖期を避けるという条件付きで。
 ところが防衛局は、条件などハナから無視して翌29日から移植作業を開始。県の行政指導にも応じなかったため、玉城デニー知事は30日、許可を撤回。31日から作業は止まった。県の「許可」に忸怩たる思いだった県民は、知事の素早い「撤回」に拍手喝采した。
 しかし、この国ではもはや、真っ当な理屈は通らない。案の定、防衛局は8月2日、撤回の執行停止を農水大臣に申し立て、県は撤回の正当性を主張する意見書を提出した(4日)が、農水大臣は翌5日に執行停止を決定した。3年前、沖縄県による埋め立て承認撤回を、行政不服審査法を悪用して執行停止したのと同じ「手口」だ。

 間髪を置かず翌日から作業再開というのも「あの時」と同様だった。作業が止まったのはわずか1週間足らず。台風接近で波の高まる中、6日から再開された移植作業を監視する(コロナ感染拡大により抗議行動は休止中)海上行動チームの胸は悔しさでいっぱいだ(写真)。
 それにしても国は、何をそんなに焦っているのだろう…? サンゴの移植が保全に役立たないことは、専門家のみならずほぼ常識となっている。たとえうまくいったとしても、最高裁判決で反対意見を述べた裁判官が言ったように「設計変更が不承認になれば移植は無駄になる」のだ。もしかして国は、こんな(真っ当な)裁判官が増えないうちに強行したい? 血税の壮大なる無駄遣いによる自然と水産資源の破壊。こんなバカげたことを許してはならない!
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年8月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月06日

【沖縄リポート】土地規制法廃止へ声上げた名護市議会=浦島悦子

沖.jpg

  6月30日夕刻、名護市役所ピロティで「新基地建設のための美謝川付替えを許すな!/重要土地規制法の即時廃止を!」市民集会が行われ、梅雨末期の大雨の中、名護市議会議員・市民ら70人余が参加した(写真)。
 6月議会最終日のこの日、名護市議会は2つの決議・意見書を野党の賛成多数で採決した。一つは、沖縄防衛局が行う美謝川付替え(これをやらないと埋め立てはできない)に名護市との協議は不要として無条件に新基地建設を認める姿勢を示した渡具知市政に対し、美謝川付替え工事の中止を求めるもの、もう一つは、先の国会で強行採決された重要土地規制法の即時廃止と臨時的対応(内閣総理大臣からの情報提供要請への拒否など)を求めるものだ。沖縄への監視を強める土地規制法に対し、新基地問題の地元である名護市議会がいち早く声を上げた意義は大きい。
 集会では、それぞれの決議の提案議員からの報告があり、次期市長選(来年1月)への立候補を表明している岸本洋平市議が「市政を市民の手に取り戻そう」と訴えた。

 辺野古基地問題を巡っては、工事のためのサンゴ移植を許可するよう農林水産省が県に指示したのは違法だと、沖縄県が取り消しを求めた訴訟で、最高裁は7月6日、県の上告を棄却した。結果だけを見ると県の敗訴だが、裁判官5人のうち2人が「県の判断は違法とは言えない」と反対意見を述べたことは、国家権力の下僕となり下がった司法に絶望しか感じていなかった私たちにとって嬉しい驚きだった。
 反対意見は、「設計変更が不承認になった場合、移植は無駄になる」「移植が環境保全措置に該当しているとは判断できない」等と踏み込み、沖縄県や県民の主張と合致する。これまで私たちは、国を相手の訴訟を何度やっても門前払いされ、無力感とたたかいつつ続けてきたが、それは無駄ではなかった。設計変更申請に対する沖縄県の「不承認」判断が間もなく出る。しっかり支えていきたい。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年7月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月10日

【沖縄リポート】県民をスパイ視の悪法成立=浦島悦子

                         
沖縄.jpg

 稀代の悪法「重要土地調査規制法」案が参議院において、強行採決か廃案かの大詰めを迎えている(6月11日現在)。
 辺野古新基地建設工事の強行、「中国の脅威」を振りかざした宮古・八重山での自衛隊基地建設、日米共同訓練の激化等々、軍靴の足音が日々高まる中でこの法案が出てきたとき、「とうとうここまで来たか」と背筋が寒くなった。
  住民の反対を踏み潰して強行されるそれらの動きに対して、住民はなお不屈のたたかいを続けている。政権にとってそんな「目の上のタンコブ」を「一掃」できるのが同法というわけだ。「その他政令で定める」「その他の関係者」「必要がある場合」など、調査や規制の対象は権力者の胸先三寸。住民の相互監視や「密告」が奨励され、罰則もある。
  普天間基地を抱える宜野湾市の市長も務めた伊波洋一参議院議員は、米軍基地に土地を奪われ、基地周辺に居住せざるを得ない住民や「国境離島」の住民など沖縄県民すべてを「スパイ視」する法案だと追及した。

 この法案に反対し廃案を求める声明には全国297団体が賛同し、衆議院・参議院での審議に合わせて院内集会がもたれた。衆議院での院内集会(5月26日)では私も、辺野古現地からリモート発言し、「米軍キャンプ・シュワブの国道を隔てた向かいにある座り込みテント(写真)など、私たちが基地周辺に持っている3つの拠点が法の対象にされるのは明らか。住民を委縮させ、市民的抵抗の拠点を奪うものだ」と訴えた。最近、ゲートには多数の監視カメラが追加新設されている。
  6月4日、鳥類研究者の宮城秋乃さんが県警の家宅捜索を受け、県民に衝撃が走った。米軍北部訓練場の返還跡地に散乱している米軍廃棄物を回収し、基地ゲートに置いたのが威力業務妨害だとして、パソコンやビデオカメラ等が押収され、連日事情聴取された。「審議中の法案の先取り」「監視すべきは住民でなく基地だ」と抗議の声が高まっている。何としても廃案に!    
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月03日

【JCJ沖縄】旭川医科大による記者の私人逮捕と旭川東署による勾留に対する 抗議 声明  

 日本ジャーナリスト会議沖縄 (JCJ 沖縄) は、 旭川医科 大学 による取材中の記者の私人逮捕と、旭川東警察署による 48 時間の勾留について抗議 する 。大学と警察という公共機関による取材妨害と報道の自由の侵害にあた るもので 看過 できない 。 この行き過ぎた行為について大学と警察 へ経緯の 説明と謝罪を求め る 。
 旭川東警察署は 6月22日、旭川医科大 の施設内に正当な理由なく侵入したとして、建造物侵入の疑いで北海道新聞旭川支社の記者 を 現行犯逮捕 し 、その後 48 時間勾留 した 。しかし 同 大学では 同日、吉田晃敏学長の解任を審査する学長選考会議が開かれ ており、 署によると 記者は 「会議の場所を探すために入った」と 説明したとのこと である 。記者が、取材を目的に大学内に入ったことは明白であり、 逮捕にあたる事案でないことは 明らか だろう 。
 旭川医科大による私人逮捕についても大きな疑問が沸く。国立大学法人である同大は公共の施設であり、取材記者の通行も当然認められるべきものである。同大では昨年12月以降、報道各社の取材で、吉田晃敏学長による数々の不祥事が発覚した。そうした中の学長選考会議の開催直前に、新型コロナウイルス感染対策を理由に記者の大学内の通行を制限したことをもって「不法侵入」と主張することは、あまりにも道理が通らない。今回の事案は、大学側が「取材拒否をした」のであって、「不法侵入」とは全く別次元のものである。
 重要事項に関して取材拒否や情報の非公開を続けた大学側の姿勢や、大学の求めに応じて一方的に必要のない拘束を実行した警察署の対応こそが問題である。こうした事案が認められれば、取材により、マスメディアが権力を監視することは今後ますます困難となる。
 記者は逮捕の2日後に釈放されたが、同署は28日現在、在宅で捜査を継続中という。行き過ぎた捜査はいまだ続いている可能性が高い。また旭川医科大については後日、この記者が録音していたとして北海道新聞社に抗議文を送付しているという。勘違いも甚だしい抗議であり、北海道新聞社は、自社の記者と報道の自由を守るため、大学側と警察署に対して断固とした姿勢を示し、取材・報道の自由は国民の声であることを自覚すべきであろう。
 われわれ日本ジャーナリスト会議沖縄は、旭川医科大と旭川東警察署の一連の対応について強く抗議する。と同時に、なぜこのような事態が発生したのかその説明と、不当に拘束された北海道新聞記者への謝罪を求める。
                                                     2021年7日2日
日本ジャーナリスト会議沖縄(JCJ沖縄) jcjokinawa@gmail.com
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月11日

【沖縄リポート】「沖縄・奄美 世界遺産へ」複雑な思い=浦島悦子

                           
看板.jpg

  5月11日、地元2紙の1面トップに「沖縄・奄美 世界遺産へ」の大見出しが躍った。国際自然保護連合(IUCN)が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島」を世界自然遺産に登録するよう勧告、7月に正式決定される見込みだという。2018年の登録延期以来3年、地元や県の「安堵」「歓喜」を伝える紙面を見ながら、私の胸は複雑だ。
 30年前、私は沖縄島北部(やんばる)の自然林を切り裂いて建設される広域基幹林道(県営)「大國林道」の反対運動にかかわり、残念ながら造られてしまった後、「琉球諸島を世界自然遺産に!」と訴える市民運動に加わった。私たちの願いは、繊細な島の生態系に合わない過度の開発をやめ、自然破壊の最たる米軍基地をなくし、海と陸を含めた島嶼生態系を一体として保全する仕組みを構築することであり、世界自然遺産登録は目的ではなく「手段」だった。
 やんばるの登録予定地は米軍北部訓練場に隣接する。2016年に過半が返還されたとはいえ、なお4000ha近くもあり、オスプレイを含め激化する一方の訓練が周辺住民と野生生物を脅かしている。返還地からは薬莢や放射性物質を含む廃棄物が次々と見つかり、かつて使用されていた枯葉剤の汚染除去もされないままだ。さらに、近接の辺野古・大浦湾海域では、世界遺産に匹敵すると言われながら新基地建設のための工事と破壊が進む。
 また奄美大島では、鹿児島県が「奄美世界自然遺産トレイル」のルートを公表したが、そのルート上にある市(いち)集落には、辺野古への土砂搬出の可能性のある採石場が立ち並ぶ。採石場周辺の自然調査を行っている「海の生き物を守る会」の安部真理子さんは、「大型ダンプが1日何台も行き来し、トレイルに書かれている『自然や人とのつながりを感じる心』とか『地域住民が地域の誇りを再認識する』とは程遠い場所だと思う」と語る(写真)。
 登録を機に、私たちが考えるべきこと、取り組むべきことはあまりにも多い。   
 浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号
 
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月13日

【沖縄リポート】ミャンマーと連帯して行進=浦島悦子

                              
IMG_1444.JPG

 新型コロナの蔓延と、それでも新基地建設工事を止めない菅政権との二重の対峙が続く辺野古の現場。海・陸4か所の現場への分散参加や、機動隊による「ごぼう抜き」直前での自主移動、等の感染対策、ゲート前テントでは作業車両搬入の合間に「辺野古塾」と称する連続学習会を行うなど、創意工夫を凝らしながら、粘り強いたたかいを続けている。4月9日には、県内で活動するミュージシャンたちによる「フォーク(4.9)の日」ゲート前コンサートが開催された。
 しかし、沖縄県の新規感染者比率が全国2番目となり、県が最高警戒レベルに引き上げたのを受けて4月13日から5月連休明けまで、現場行動は昨年来4回目の自主休止を余儀なくされた。
 そんな中で4月10日、辺野古新基地反対運動に係る有志の呼びかけにより、約70人が名護市街地で、ミャンマーと連帯する「キャンドル道ジュネー(行進)」を行った。折しも、ミャンマー国軍による銃撃で、一度にデモ参加者80人以上が殺害されたとの報道があったばかり。
 行動には、名護市にある名桜大学のミャンマー留学生2人も参加。「アジアの平和なくして沖縄の平和もない」という横断幕を掲げ、出発点の名護市役所中庭で行われた集会で、「ミャンマーで今起こっていることを多くの日本人が知り、声を上げてほしい。国は国民を守る義務がある。国民を守らない国はいらない。民主主義の国が実現するまで頑張りたい」と訴えた(写真)。
 カレン族の留学生は、デモに参加している家族と連絡が取れなくなっていると、涙ながらに語った。弾圧に苦しむミャンマー現地からのメッセージも届けられた。
 その後、暮れなずむ街を、キャンドルやちょうちん、光るものを手に持ち、「ウイシャルオーバーカム」や「イマジン」を歌い、「ミャンマー守れ!」「弾圧反対!」などの掛け声を上げながら、「ひんぷんガジュマル」までの約1キロ余りを行進した。
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年4月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月10日

【沖縄リポート】南部の土砂採取 戦没者への冒涜=浦島悦子

IMG_1351.JPG

 沖縄戦戦没者の遺骨収集ボランティアを約40年間続けている「ガマフヤー(ガマを掘る人)」の具志堅隆松さんとその賛同者たちが、戦没者の遺骨が残る沖縄島南部の土砂を辺野古新基地建設の埋め立てに使う計画の断念、自然公園法に基づく知事の中止命令などを求めて、県庁前で行った6日間(3月1〜6日)のハンガーストライキは、沖縄戦体験者をはじめ多くの県民の心を揺り動かした。
 沖縄防衛局は当初、埋立土砂の3分の2を県外から調達する計画だったが、沖縄県が2015年に制定した「埋立用材に係る外来生物の侵入防止に係る条例」や輸送コスト等から県内調達に方針を変更。沖縄島南部から必要量の7割を調達できるとしている。
 沖縄戦から76年が経った今も、激戦地だった南部では、掘れば必ず遺骨が出てくる。但し、長年の間に風化した遺骨は、南部特有の地質である石灰岩と見分けるのは難しいという。それを丁寧に掘り起こし、DNA鑑定して遺族のもとに返す活動をやってきた具志堅さんが、遺骨収集に行った際、土砂採取の前の森林伐採が行われているのを発見。矢も楯もたまらず行動を起こしたのだ。
 遺骨はウチナーンチュだけではない。日本兵も米兵もいる。「辺野古基地に賛成・反対以前の問題。戦没者への冒涜であり人間のやることではない!」
 この問題については市民や、宗派を超えた宗教者たちによる抗議・要請・署名活動などがすでに行われてきたが、具志堅さんの身を挺した行動はそれらに一気に火を点けた。ハンスト現場には連日、多くの県民が集い、涙ながらに沖縄戦体験を語る高齢者の姿があった。最終日の6日(土曜)朝には玉城デニー知事が訪れて具志堅さんの話に耳を傾け、「県民の深い思いを行政に反映できるよう努力したい」と述べた。
 土砂業界の利権も絡み、解決は簡単ではないが、10日には自民党沖縄県連・公明党県本部も沖縄防衛局に「人道上許されない」とする要請書を出した。防衛省は虎の尾を踏んでしまったのかもしれない。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年3月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月27日

【沖縄リポート】浦添軍港「反対はこれから」=浦島悦子

IMG_1273.JPG

 
 1月25日の沖縄地元2紙は1面トップで、陸上自衛隊と米海兵隊が2015年、米軍キャンプ・シュワブに陸自の水陸機動団を常駐させることを極秘合意していたと報じた。これは、私たち地元住民をはじめ市民・県民が強い反対の民意を何度示しても、異様なほど辺野古新基地建設に固執する日本政府にかねてから抱いていた不安を裏付けるものだった。
 これに対し、沖縄県知事をはじめ県民は一斉に反発。岸信夫防衛大臣は「合意はない」と否定したが、オスプレイ配備をはじめ、これまで政府・防衛省による隠ぺいや虚偽答弁などを繰り返し見せつけられてきた県民がそれを信じるのは難しい。
 私たち「ヘリ基地反対協議会」は2月3日、沖縄防衛局を訪ね、「合意はない」とする根拠を問い質したが、対応した職員は「常駐は考えていない」という公式見解を繰り返すのみ。各島々に次々と自衛隊基地が強行建設されていく現状の中で、南西諸島全体の軍事要塞化、その中枢としての辺野古新基地、という戦慄すべきシナリオへの懸念は強まるばかりだ。
 2月7日に投開票された浦添市長選は、辺野古と並ぶ新基地建設=浦添軍港が最大の争点だった。那覇軍港の移設先とされる浦添の海は、都市部に奇跡的に残ったサンゴ礁の自然海岸だ。私はかつて観察会に参加し、その豊かさ、美しさに魅了された。地元住民の粘り強い運動で海岸道路建設による埋め立てから免れた経過もある。
 軍港容認の現職に対し、反対を明確に打ち出した38歳の女性候補・伊礼ゆうきさんは元看護士(写真 )。コロナ禍の中で、自然と人間を含むすべての命に細やかな配慮のできる女性市長の誕生を期待したが、超短期決戦、また県知事・那覇市長が軍港容認という複雑な構図の中で、自公に支えられた現職に及ばなかった。しかし伊礼候補が獲得した約2万2500票は大きな力だ。彼女の選挙を支えた市民らは投票日の翌日、「軍港反対はこれから」と、元気に街頭に立った。
 浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年2月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月20日

【支部リポート】北九州 医療崩壊もたらす悪政 毎月勉強会開き「声あげる」=杉山正隆

市民公開.JPG
 
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大開始から1年。欧米を中心に感染爆発が続く一方、ニュージーランド、台湾では封じ込めに成功している。わが国も、欧米等に比べれば感染者数は少ない傾向が続く。なのに何故、「医療崩壊」の瀬戸際に立たされているのだろうか。
 北九州支部は「週刊金曜日」関門・北九州読者会と共同で月1回、勉強会を開催している。昨年11月には、「新型コロナウイルス感染症 正しく知り正しく恐れよう」をテーマに講演会を実施した(写真)。
 講演会では、政府が医師や看護師数を抑制し、病床の削減、保健所の削減、公立公的病院の統廃合などで医療現場へのしわ寄せがこの20年間で大幅に進んだことを支部長が解説した。「2009年の新型インフルエンザ流行の際も『感染症に備えるために態勢強化を』と確認していたのに逆行した政策が進められた」。
 1月には大阪大学の宮坂昌之招へい教授(免疫学)の話を聞いた。宮阪教授は「新型コロナウイルスのワクチン接種が予定されている。有効性は高いとはされているが副作用は10万件程度の実績が無いと分からない。緊急ワクチンとしてはやむを得ないが、安全性が高く有効なワクチン開発には時間が掛かる」。一方で、「人工抗体」など注目される研究が進んでいることを聴き取った。
 こうした勉強会であらためて浮き彫りになったのが政府の失政だ。感染症対策は安全保障の観点からも重要とする国が多い中、日本の歴代政権は軽視するばかりか、無駄とばかりに削減の対象にした。
 日本の医師数はOECD(経済協力開発機構)加盟国平均(人口1000人当たり3.5人)より低い2.4人にとどまる。看護師不足も目立つギリギリの態勢で新たな感染症に対応できるはずもない。
 医療崩壊の瀬戸際に立つ現状でも、菅首相は病床削減、公立公的病院の統廃合を推し進めるという。こうした悪政を知り、立ち向かう必要がある。北九州支部は今後も勉強会を開催し、声を上げ続けることにしている。 
杉山正隆
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月06日

【沖縄リポート】 県内各地の島ぐるみ会議 名護に集まる=浦島悦子

                                                 IMG_1243.JPG

 昨年末、名護市役所では寒さを吹き飛ばす「熱いたたかい」が繰り広げられた。
 11月末に沖縄県が照会した「(沖縄防衛局の設計概要変更承認申請に対する)名護市長意見」の締め切りは3月26日。提出には市議会の決議が必要だ。私たち市民も野党議員団も「市民の声を聞き、充分精査して3月議会に提案すること」を求めたが、渡具知武豊市長は「市民の意見を聞く必要はない」と言い放ち、12月議会の追加議案としてわずか3行の「市長意見」を提案した。設計変更に伴い辺野古漁港地先の作業ヤードとしての埋め立てが廃止されたのに「異議はない」という、いわば枝葉末節だけのもので、軟弱地盤改良による自然破壊など、申請の本体については一言も触れてない。
 このあまりに拙速な提案に対し、13人の野党議員はこぞって、取り下げと3月議会での再提出を求めて追及。議会は連日紛糾した。
  この間、オール沖縄会議現地闘争部会の呼びかけで、名護だけでなく全県各地の島ぐるみ会議が12月15、16、21、24日と各100名余、名護市役所前に結集。昼休み連続抗議集会で議員団を激励するとともに議会傍聴も行った。与党議員の中からも「出し直し」の要求が出るに及んでも市長は提案を取り下げなかったため、最終的に過半数を占める野党により「否決」された。
 「取り下げ」は叶わなかったが、野党議員団の奮闘と、市民・県民との連携・共闘は、1年後(2022年1月)に迫った名護市長選に向けた大きな一歩となった。コロナ禍の中で見えづらい渡具知市政の矛盾や、市民ではなく国の顔色を窺うその本質を示す「材料」として、島ぐるみ会議名護では12月議会の論戦を広く市民に知らせていく予定だ。
 2021年元旦。大浦湾に面した瀬嵩の浜で初日の出を拝んだ(写真)。夜来の雨が止み、雲間から現れたまばゆい光が海を照らす。その横に見える多くの作業台船が今年こそ撤去されるよう祈った。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年1月25日号
posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月04日

【沖縄リポート】 ボーリング「飲料水汚染」と抗議=浦島悦子

KIMG0089.JPG

  沖縄県は11月27日、沖縄防衛局の辺野古新基地設計概要変更承認申請に対する名護市長意見を求める照会文書を発送。これまで「国と県との問題」だと「第三者」を決め込んでいた渡具知武豊市長の姿勢がいよいよ問われることになった。
12月2日、私が事務局長を務める「名護市政を考える女性の会」は渡具知市長と面談し、「名護市民の意見を聞く機会を設け、基地反対の民意を踏まえて申請を『不承認』とすること、埋め立てのための美謝川切り替えに同意しないこと」を要請した。
 8日朝、 (美謝川を堰き止めた) 辺野古ダムにボーリング用足場が立てられていることに、座り込みの市民らが気づいた。同ダムは周辺住民の上水の水源であり、名護市の管理だ。オール沖縄会議の山城博治・現地闘争部長らが名護市に出向き、なぜボーリングを許可したのか質したところ、同市の祖慶実季総務部長は「地権者の許可は得てある。水質汚染はないと専門家も言っている。ボーリング調査は(防衛局との)協議の対象ではない」との返事。
 同日閉庁時刻、名護市役所前で緊急抗議集会が開かれ、開会中の名護市議会野党議員5人をはじめ、飲料水の汚染に不安を抱く辺野古住民など市民ら約60人が抗議の声を上げた(写真)。
 市議会では複数の野党議員がこの問題を取り上げ、稲嶺進前市長時代、防衛局から出されたボーリング調査の「協議書」を示して、今回はなぜ協議をしないのか、秘密協議があったのではないかと追及したが、明確な答は得られなかった。
 11日朝、突如、大浦湾海上に巨大な台船が設置された。14日で埋め立て土砂投入開始2年になるが進捗率は4%弱。冬場の沖縄近海は荒れ、運搬船が土砂を載せたまま動けず、陸揚げできないことも多い。工事の大幅な遅れに焦る防衛局は、運搬船8〜9隻分をストックできるという巨大台船で打開しようというのか。莫大な血税を浪費しつつ今年も暮れる。この理不尽を来年こそは終わりにしたい。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号

posted by JCJ at 02:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月21日

【支部リポート】 福岡 「博多にわか」初登場 九条改憲NO!県民集会=白垣詔男

                                    JCJ本部機関紙博多にわか.jpg
福岡支部が協賛している「九条の会福岡県連絡会」(以下「連絡会」)主催の今年の憲法公布記念日(11月3日)のつどい「九条改憲NO! 安倍政治の継承を許さない福岡県民集会」に初めて「博多にわか」が登場、会場の爆笑を呼ぶとともに「菅独裁政権の早期退場」を誓い合った。
 連絡会は東京で「九条の会」が誕生した直後の15年前に発足、以来、毎年5月3日の憲法記念日と11月3日に大掛かりな集会を開いてきた。これまで憲法記念日が九州交響楽団有志の演奏をはじめ合唱団のうたごえなど音楽関係と講演が中心で、11月3日には音楽関係とリレートークなどが主体だったが今年は初めて、セミプロの博多にわか師に公演を頼んだ。
 集会では、立憲野党の国会議員らから「改憲NO! 菅政権退陣要求」などの決意表明が述べられ、出席できない地元2国会議員のメッセージが紹介された後に、博多にわかを演じる年金者組合福岡東支部役員の深川敏弘さんが博多にわかの面を着けて登場、「世相を斬る」と題して博多にわかを披露した。
 「博多にわか」の幾つかを紹介すると―
☆菅さんな、安倍さんのことバ継承するというが、あれは「継承(軽傷)」じゃなく、相当「重症」ですやな。
☆安倍さんの中に菅さんが入ったら「安菅倍(あかんべー)」。
☆何か言いよったら、すぐシュレッダーに入れてクサ、処分してくださいとか、原稿に黒塗ってもってきなさいとか分からんことして、すみません、これで「完了(官僚)」です―それが官僚か。
☆あんたのにわか、少しは面白かったごたる。10点満点やろうかと言いなったバッテン、私は断ったですタイ。なんで断ったな。そりゃ、あたきが10点もらうよりも「九条の会」の「8点(発展)」がよございます。
この後、福岡教育大の谷本純一准教授(むなかた九条の会代表世話人)のミニ講演もあり、400人以上集まった多彩な集会は盛り上がりを見せ大盛況だった。 
白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月11日

【沖縄リポート】 「基地追い払って」漆喰シーサー=浦島悦子

IMG_1200.JPG

  11月3日付『沖縄タイムス』は「沖縄防衛局が辺野古新基地建設工事に必要な美謝川水路切替工事に向け、辺野古ダム周辺のボーリング調査に着手していたことがわかった」と報じた。
 辺野古演習場内の山から大浦湾に注ぐ美謝川(辺野古ダムはその一部)は、河口が埋立予定地に入るため、水路を切り替えなければ埋め立てはできない。沖縄防衛局が当初計画した切替ルートは、名護市条例により市長との協議が必要だ。当時の稲嶺進市長は「新基地阻止」を掲げていた。防衛局は2014年9月、名護市長との協議を必要としないルートに変更したが、当時の(埋め立てを承認した)仲井眞弘多知事でさえ「環境負荷が大きい」としてこれに難色を示したため、設計変更そのものを取り下げた経過がある。
 現在ボーリング調査が行われているのは、当初計画のルートだ。この再変更(元に戻す)については県にも、防衛局自らが設置した環境監視等委員会にも諮っていない。自民党政権に親和的な渡具知武豊現市長なら同意を得られると踏んで、市長との協議の前にボーリング調査を行い既成事実を作ろうとしているのだ。
 名護市12月議会で野党議員団はこの問題を追及する。私たち市民団体も埋め立て=基地建設阻止の要の一つであるこの問題に世論を喚起し、市長の不同意を求めていく。
 米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を確実にしたが、バイデン政権になっても、米国の沖縄に対する姿勢(というより無関心)はほとんど変わらないだろう。オバマ大統領の誕生に期待して裏切られた経験を持つ沖縄県民は、冷めた目で米日の動きを見ている。
 埋立作業船がひしめく大浦湾を望む瀬嵩墓地広場の入口に雌雄の漆喰シーサー(写真)が建った。沖縄アジア国際平和芸術祭2020の一環として、昨年焼失した首里城の破損赤瓦を使い、地域住民や子どもたちが参加して作った。海をにらむシーサーが、軍事基地というマジムン(魔物)を追っ払ってくれるよう願いを込めて。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月09日

【沖縄トピックス】辺野古、沖縄の民意は底堅い 強硬路線がつまずけば菅政権のダメージに=阿部岳

 振り返っても、安倍晋三氏が沖縄に関して信念を語った記憶がない。「沖縄に寄り添う」と言いながら、沖縄に対する構造的差別を強化し、基地を固定化した。負担解消へ「できることは全てやる」と言ったが、実態は「できないことを全てやらなかった」だけだった。
 直前の民主党政権は辺野古新基地建設が鬼門となり、自壊した。沖縄の強固な反対と米国の強硬な要求の板挟み。やっかいで避けられない命題を、安倍氏は菅義偉氏に丸投げした。
 その菅氏は沖縄対策の全てを辺野古から逆算して取り仕切った。政権発足当初こそ「できる限り県民に理解してもらえる方向で」などと手探りだったが、徐々にアメとムチをふるっていく。
 当時の仲井真弘多県知事に公約違反の基地受け入れをのませる局面では、振興予算増額などのアメをばらまいた。仲井真氏が次の知事選で新基地反対の翁長雄志氏に敗れると、菅氏はムチを握り締めた。
 選挙で相次いで示される反対の民意にも関わらず「粛々と進める」と繰り返し、翁長氏から「上から目線だ」と批判された。わずかに試みられた対話の期間、日本の高度経済成長の陰で米軍が沖縄の土地を強制接収していた歴史を翁長氏が説いても、菅氏は「私は戦後生まれなので、歴史を持ち出されたら困る」などと都合の悪い事実から目を背けた。
 各省庁の権限を総動員して脱法的に行政手続きを進め、現場には本土の警察官や海上保安官を投入して市民の抵抗を強制排除した。菅氏でなければ新基地工事はここまで進まなかっただろう。
 一方、安倍氏になかった哲学が菅氏にあるかと言えば、それもない。菅氏に備わっているのは米国に隷従し、沖縄の反対を徹底的に踏みつぶそうとするサディスティックな情念だけである。
 対する沖縄の反対の民意はなお底堅い。軟弱地盤など工事の実現性を揺るがす技術的困難も、厳然とそこにあり続ける。
 ここまで強硬路線を主導してきた菅氏は、今さら撤退も修正もできない。硬直した方針は、案外もろいものである。首相肝いりの案件でつまずけば、新政権は大きなダメージを負うことになる。
阿部岳(沖縄タイムス編集委員)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月08日

【沖縄リポート】 菅首相「国策」ごり押しの恐れ=浦島悦子

            IMG_1118.JPG 名護十字路で意見書呼びかけの街宣
 念願してきた安倍政権の終焉を喜んだのも束の間、出来レースのような菅義偉内閣の誕生。安倍政権の防衛大臣として辺野古新基地建設を推進してきた河野太郎氏を沖縄担当相に当てたことにも、菅政権の沖縄への姿勢が見て取れる。
 長年にわたる安倍政権の「沖縄いじめ」を実質的に担ってきたのは菅官房長官だった。故翁長雄志前知事が菅氏を、「沖縄の自治は神話だ」と言った米軍統治時代のキャラウェイ高等弁務官になぞらえたように、沖縄の民意を踏みにじって「粛々と」新基地建設を強行し、名護市長選、県知事選など県内の重要選挙にカネと権力をフルに注ぎ込んで県民や地元の分断を図る、その陣頭指揮を執り、沖縄の自治権をことごとく圧殺してきた。
 菅政権のもとで、沖縄はより一層の苦境を迎えるのではないかという暗澹たる思いをぬぐえない。
コロナ禍真っただ中の4月21日、沖縄防衛局が県に提出した、大浦湾の軟弱地盤改良工事に伴う設計概要変更申請書の告示縦覧を、県は緊急事態宣言解除後の9月8日に開始した。28日までの縦覧期間中に広く意見を求める。甚大な自然破壊が予想されるこの変更申請をデニー知事は認めない姿勢を示しており、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は、できるだけ多くの意見書によって県を後押ししようと県内外に呼び掛けた(意見書の書き方等は同会議HP参照)。
 この意見書運動は、理不尽な新基地建設を断念させるための大きなステップとして、県内だけでなく全国各地、様々な団体によって取り組まれており、県の担当部局によると告示前にすでに500通以上が届き、告示後は数えきれないという。
 一瞥しただけでも申請書はあまりにもずさんな内容で、突っ込みどころ満載だ。しかし菅政権は、県民・国民のどんな意見にも耳を傾けず、粛々と「国策」をごり押ししそうな予感がする。解散総選挙も含め、菅政権にどこまで迫れるかが問われる。    
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年9月25日号




posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月15日

【沖縄リポート】 新基地建設止めないため米軍クラスター隠す?=浦島悦子

           報告集会.JPG
 「ヤマトと基地からコロナの挟み撃ち 強固な日米同盟の証です −防衛省 県民各位」
 8月9日付『琉球新報』読者ページ「うそっぱち」欄に掲載された投稿は、県民の現在の心境をズバリ表現していた。
 5月以降68日間、新型コロナ新規感染ゼロが続いていた沖縄で、7月上旬の米軍基地でのクラスター発生以降、感染者が出始め、安倍政権の愚策「Go To トラベル」と相まって感染者数はうなぎのぼりに増え、瞬く間に「全国一の感染拡大地」となってしまった。県内感染者数が累計1404人(米軍基地除く)となった8月13日、玉城デニー知事は警戒レベルを最高段階(感染蔓延期)に引き上げ、15日までとしていた県の緊急事態宣言を2週間延長すると発表した。
 県の緊急事態宣言を受けて、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は8月3日からすべての現場抗議行動を自主的に休止(搬出入のチェックと監視のみ続行)しているが、沖縄防衛局は埋め立て工事を止めようとしない。
 当初、感染者数さえ公表しなかった米軍は、県や県民の強い要請により数だけは県に伝えるようになったものの、感染経路など感染拡大防止に必要な情報は一切提供せず、発表される数(13日現在で累計320人)や基地名についても、県民はその信ぴょう性を疑っている。何よりも、隣接するキャンプ・ハンセンで感染爆発ともいえるクラスターが出ているのに、同じ海兵隊で訓練を共にしているキャンプ・シュワブがゼロというのはおかしい。新基地建設工事を止めないために隠しているのではないか、というのが大方の見方だ。
 ヘリ基地反対協は5日、沖縄防衛局に直接出向き、「在沖米軍全基地の当面の閉鎖」と「埋め立て工事の中止」を要請したが、対応した担当官は「米軍と緊密に情報共有している」「(工事は)着実に進める」と繰り返すのみ。埋め立て工事の海上警備作業員に感染者が出た後もなお工事を強行している。    
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年8月25日号

posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月22日

辺野古移設に固執する二重基準=@技術的にも民主主義的にも問題=福元大輔

                 1面辺野古記事取り替え写真.jpg           
 政府が、秋田県と山口県への「イージス・アショア」配備計画を断念すると、沖縄県では、米軍普天間飛行場返還の条件となっている名護市辺野古移設との違いに触れ、「ダブルスタンダード(二重基準)」と批判が渦巻いている。
 沖縄県の玉城デニー知事は、河野太郎防衛相が地上イージスの停止を表明した翌朝、県庁で待ち構えた記者団に「辺野古の方が無駄」と、厳しい表情を見せた。
 地上イージスは当初、2基で4500億円とされていたが、迎撃ミサイルを打ち上げた際に切り離す推進装置「ブースター」を海上や自衛隊演習場内に安全に落とせない技術的な問題が「判明した」という。
 システム改修に12年、2200億円ほどを要するため、河野防衛相は「合理的とはいえない」と判断した。
 辺野古はどうか。米兵3人による少女暴行事件を受け、日米両政府が沖縄の負担軽減の目玉として1996年に合意したのが普天間飛行場の返還だった。沖縄県内の代替施設への移設を条件に、5〜7年で返還すると発表した。
軟弱地盤は既知
 国土面積0・6%の沖縄に全国の米軍専用施設面積の7割が集中する現状で、さらに県内移設では抜本的な負担軽減につながらない、と沖縄側の反発に遭い、返還合意から24年が過ぎても、実現していない。
 政府は2014年から移設先とする辺野古での埋め立て工事を進めるが、県民の理解を得ることができず、難航する。そこに埋め立て予定海域で「マヨネーズ並み」と言われる軟弱地盤が「判明した」のだ。
 地盤を強化する改良工事が必要で、工費は当初の3500億円から約2・7倍の9300億円に膨らんだ。埋め立て工事の工期は当初5年を見込み、すでに3年が経過したが、さらに少なくとも12年かかり、3倍以上に伸びる。
 地上イージスではブースターを安全に落とせるというそれまでの説明が誤っていたことになる。辺野古でも軟弱地盤の存在は20年近く前から指摘されている。いずれも「判明した」のではなく、もともと知っていたが、他に場所を探せない政府が隠していた可能性もある。
止めるのは政治
 元防衛官僚の柳沢協二さんは、辺野古移設を断念できない理由を「行政に働く惰性」と説明する。動き出した事業にブレーキをかけるには相当なエネルギーがいる。自分たちの仕事の否定にもつながる。無理と分かっていても、辺野古問題を担当する2〜3年を“惰性”で乗り切る。
 軟弱地盤という不可抗力で工事が止まるなら誰も責任を負うことはないが、政治マターだから官僚の意思で変えることができない。つまりイージスのように、政治が止めるしかないのだ。
 辺野古の場合、技術的に建設できるか、できないか、という問題にとどまらない。19年2月の県民投票では、投票率52・48%で、投票総数の71・7%が辺野古の埋め立て工事に反対の意思を示した。地方自治や民主主義の観点からも、政府は辺野古移設を強行すべきではない。
 一方、地上イージス断念直後に「敵基地攻撃能力」の議論が出てきた。日米の力関係から米国の利益が絡む国策を止める場合、その背景を注視しなければならない。
福元大輔(JCJ沖縄)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号


posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月31日

【沖縄リポート】 コロナ対策しながら「全基地封鎖!!」=浦島悦子

               IMG_1067 (2).JPG
  沖縄防衛局は、受注業者作業員のコロナ感染を理由に2か月近く中断していた辺野古新基地建設工事を、沖縄県議選(6月7日投開票)後の12日、再開した。私たちも抗議行動の再開を余儀なくされ、梅雨明け後の炎天下、マスク着用などのコロナ対策を取りながら、陸上・海上4〜5カ所の現場で行動を続けている。
 7月に入って在沖米軍基地内で急激に広がったコロナ感染(7月16日現在で136人)が県民に大きな不安を与えており、抗議行動の中でも「全基地を封鎖せよ!」とシュプレヒコールが上がる。
 大浦湾側埋め立て予定区域の三分の二を占める軟弱地盤の改良工事は「ほぼ不可能」と指摘されて久しいが、7月2日には地質学の専門家による「沖縄辺野古調査団」(代表・立石雅昭新潟大名誉教授)が、震度1以上の地震で新基地の護岸が崩壊する危険性が高いという解析結果(防衛局の設計条件で算出)を発表、大きな衝撃が走った。
 工事のあまりの無謀さに何度も警鐘が鳴らされながら、なぜ止められないのか? ここに来て、「新基地建設阻止」を掲げながらも実際の工事を止められない県行政の矛盾が見えてきた。
 琉球セメント安和鉱山が林地開発許可を得ずに埋め立て土砂を搬出していたことが発覚。県は立ち入り検査を行って「違法状態」を認めたものの、許可手続きを行うよう行政指導したのみで、中止命令は出さず、違法のままの搬出が続いている。
 また、本部港塩川地区で辺野古への土砂搬出を請け負っている業者は、ベルトコンベアーの使用を県に申請しており、これが許可されれば搬出量が格段に増加すると見込まれる。
 市民・県民の反発の強さに、今のところ県は許可を出していないが、許可しないよう要請した「沖縄平和市民連絡会」に対し、県の担当部局は、法的には「(最終的に)許可せざるをえない」と答えたという。デニー知事の公約との整合性が問われている。
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年7月25日号
posted by JCJ at 01:00 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

【沖縄リポート】 沖縄戦継承 考えるきっかけに=浦島悦子

            P1020077.JPG
  沖縄が「慰霊の島」となる六月。今年は沖縄戦終結から75年の節目を迎える。例年、6月23日(沖縄慰霊の日)に平和祈念公園内の「平和の礎」に隣接する広場で開催されてきた沖縄全戦没者追悼式の会場を、新型コロナウイルス感染拡大防止のため規模縮小し、同公園内の国立沖縄戦没者墓苑に変更すると、玉城デニー知事が発表(5月15日)したことが大きな波紋を呼んだ。
 規模縮小に伴い、安倍晋三首相ら政府関係者を招待しないことを県民は歓迎する一方、国の施設で式典を行うことへの違和感・危機感が広がった。沖縄戦研究者や遺族らをはじめとする「沖縄全戦没者追悼式のあり方を考える県民の会」は、「住民目線から殉国の思想へと追悼式の意味が大きく変わってしまう」と、従来の式典広場での開催及び可能な限りの遺族・県民の参加を知事に直接要請した。
 地元2紙はともに文化欄や社会面で連続企画を組み、論稿やインタビューで多角的に問題提起。遺族の一人として県民の会共同代表を務める知念ウシさんは「人々の素直で真摯な祈りが、植民地主義の秩序に回収されてしまう不安」に言及した(6月10日付「沖縄タイムス」)。
 これら県民の意向を受けて玉城知事は再検討を行い、例年通り式典広場での開催を発表(12日)したが、一連の事態は図らずも、追悼のあり方や沖縄戦継承について、改めて考えさせるものとなった。
 国立墓苑での開催について、知事の国への忖度があったとは思わない。むしろ、彼が(知事でさえ)「勉強不足だった」と正直に言ったことが、沖縄社会の現実を浮き彫りにしたのではないか。「風化」が指摘されて久しい沖縄戦をどう次世代に継承し、沖縄戦から続く戦後史をどう捉えるか。それは、国の意向や強権に傾きがちな「コロナの時代」、私たちが「いつか来た道」と同じ過ちを犯さないための貴重な材料を与えてくれたと思う。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年6月25日号

posted by JCJ at 05:49 | 九州・沖縄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする