2025年12月30日
【JCJ沖縄】沖縄大と公開学習会共催 沖縄戦下の記者と戦後80年ジャーナリズム 歴史反省踏まえて 戦争加担に警鐘=黒島 美奈子
日本ジャーナリスト会議(JCJ)沖縄と、沖縄大学の島袋隆志合同ゼミは10月25日、公開学習会「沖縄戦下の記者と戦後80年ジャーナリズム」を那覇市の同大学で開いた。元NHKディレクターで立教大学大学院客員教授の宮本聖二さんらが、沖縄戦のさなかに発行された新聞「沖縄新報」を題材にメディアの戦争責任と、現代につながる報道の課題について考えた=写真=。
壕内で沖縄新報
宮本さんはNHK沖縄放送局勤務時代の1993年、沖縄新報の存在を知り、番組「一枚の新聞〜沖縄戦下の記者たち」を手がけた。
公開学習会には学生や一般など約60人が参加。同番組を視聴した上で、琉球新報の小那覇安剛論説委員会参与と沖縄タイムスの森田美奈子論説委員長を交え意見交換した。
沖縄新報は40年、戦前の「一県一紙」政策により、県内3紙が統合されてできた。戦時下も日本軍第32軍が司令部壕を捨てて本島南部に撤退する45年5月下旬まで、留魂壕(りゅうこんごう)の中で印刷・発行された。
宮本さんは「激しい地上戦の中で新聞が発行され、しかも壕に避難する住民たちに配られていたことに驚いた」と振り返る。
生き残った記者や新聞を配った元少年兵たちへの取材で明らかになったのは「メディアへの検閲と戦争プロパガンダの姿だった」と宮本さん。
検閲を内面化
戦前、政府と軍は新聞やニュース映画、通信社への検閲を強めた。メディアの側も検閲を内面化し積極的に戦争に加担していった。
その結果、街中が灰じんと化した状況を目の当たりにしても多くの国民が勝利を盲信するように。宮本さんは「繰り返し情報を受け続けることで信じ込まされる。報道にはそれだけの強さがある」とメディアの責任の重さを指摘した。
戦後も続く圧力
一方、メディアへの圧力は戦後も続いているという。
93年には、テレビ朝日の報道局長が非自民政権誕生を歓迎する発言をしたとして、郵政省(当時)が放送免許の取り消しを検討。2000年には安倍晋三氏らが、戦時性暴力をテーマにしたETV特集について、NHK側に改変の圧力をかけた疑惑も浮上した。高市早苗首相は総務相時代の2016年に、「放送法に違反すれば業務停止できる」と発言している。
萎縮する報道
こうした圧力が繰り返された結果「各局の報道は萎縮している」と宮本さん。メディアがネット上のデマやフェイクニュースの検証に後ろ向きな要因にもなっているとし「権力を監視する役割が重要だ。ネット上の情報混乱もメディアは無視してはいけない」と呼び掛けた。
新聞の役割とは
小那覇さんは現在の新聞の役割について「一言でいえば戦争を止めるための報道が必要」と説明。自衛隊の南西シフトや政府の防衛強化政策などを挙げ「今こそ戦前・戦中に報道人がやってきたことを振り返らないといけない」と話した。
森田さんは「戦争は始まれば止められない」とし、新聞の役割は戦争の前史の段階で警鐘を鳴らすことという。「中国やロシアの動きに危機感を感じて軍備増強を肯定する声が強くなっているが、対話を欠いた抑止力は緊張を高め軍拡を招くリスクがある。そういう動きに絶えず警鐘を鳴らしていくのが戦後80年の私たちに課せられた課題」と結んだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年11月25日号
2025年10月25日
【辺野古新基地建設A】住民「原告適格」突破 那覇地裁 工事の適法性審理へ=北上田 毅(沖縄平和市民連絡会)
辺野古新基地建設事業を巡っては、沖縄県が国と、これまで14件もの訴訟を争ってきた。しかし、訴えは、和解・取下げの4件を除き、いずれもほとんど本論に入ることなく、門前払いされてきた。
一方、辺野古周辺住民らの抗告訴訟も、原告適格の壁にぶつかってきた。しかし那覇地裁は本年8月7日、防衛局の設計変更申請を不承認とした県の処分を取り消した国土交通大臣の裁決取り消しを求めて周辺住民18人が提起した抗告訴訟で、一部の原告適格を認定、次回から工事の適法性そのものについての審理に入るとしたのだ。
日本の行政訴訟は、原告適格のハードルがきわめて高く、実質審理に入ることはほとんどない。今回はその壁を突破したのだから画期的だ。
今回の軟弱地盤改良工事は、技術的に多くの課題があり、大浦湾の自然環境を破壊し、沿岸住民の生活環境に深刻な影響を与える。原告には、周辺地域居住者や、大浦湾でエコツーリズムを営む者等がいる。工事で周辺住民の生活環境が著しく悪化したり、大浦湾の汚濁がエコツーリズムに影響を与えると認められれば、国交相裁決は違法とされる可能性がある。その場合、辺野古の工事は完全にストップする。決して、「事業は順調に進んでいる」とは言えないのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
一方、辺野古周辺住民らの抗告訴訟も、原告適格の壁にぶつかってきた。しかし那覇地裁は本年8月7日、防衛局の設計変更申請を不承認とした県の処分を取り消した国土交通大臣の裁決取り消しを求めて周辺住民18人が提起した抗告訴訟で、一部の原告適格を認定、次回から工事の適法性そのものについての審理に入るとしたのだ。
日本の行政訴訟は、原告適格のハードルがきわめて高く、実質審理に入ることはほとんどない。今回はその壁を突破したのだから画期的だ。
今回の軟弱地盤改良工事は、技術的に多くの課題があり、大浦湾の自然環境を破壊し、沿岸住民の生活環境に深刻な影響を与える。原告には、周辺地域居住者や、大浦湾でエコツーリズムを営む者等がいる。工事で周辺住民の生活環境が著しく悪化したり、大浦湾の汚濁がエコツーリズムに影響を与えると認められれば、国交相裁決は違法とされる可能性がある。その場合、辺野古の工事は完全にストップする。決して、「事業は順調に進んでいる」とは言えないのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年10月24日
【辺野古新基地建設@】地盤改良工事が長期中断 頓挫の可能性も=北上田 毅さん寄稿(沖縄平和市民連絡会)
大浦湾には6月初めまで、作業船がひしめいていたが‥‥
辺野古新基地建設事業は、2014年の着手から、すでに11年が経過した。当初の埋立承認申請では、「工事期間5年」、「施設建設5年」とされていたから、本来なら今頃は、米軍の運用が始まっているはずだった。
ところが、大浦湾海底部にマヨネーズのような軟弱地盤が拡がっていることが判明し、地盤改良工事が必要となった。そのため、防衛局は設計変更を申請。知事は不承認としたが、国土交通大臣が知事に代わって承認(代執行)し、裁判所も沖縄県の訴えを門前払いして、昨年1月から大浦湾での工事が始まった。
この設計変更申請では、「工事期間9年3カ月」で、12年後には米軍の運用開始とされている。18年から始まった辺野古側埋め立て工事はほぼ完了したが、投入された土砂はまだ全体の約16%にすぎない。このペースでは埋立完了までいったい何年を要するのか、その目途も立たない。
また、那覇地裁で争われている辺野古周辺住民の抗告訴訟も、「原告適格」の壁を突破し、今後、司法の場で初めて工事の適法性についての審査が始まることとなった。
工事そのものが頓挫する可能性も出てきているのだ。
「台風避難」の
作業船戻らず
大浦湾では、昨年1月から海上ヤード工(海底に大量の石材を投下し、大型ケーソンの仮置き場となる台座を造成する)や、外周護岸の一部となるA護岸工(太い鋼管杭を前後2列に打設し、その間に中詰材を入れて護岸とする)等の工事が進められている。さらに今年になってからは4万7千本の砂杭を打つ地盤改良工事が始まった。
本年6月初めまでは、大浦湾には巨大な地盤改良作業船6隻が並んでいた。地盤改良作業船は、櫓(リーダー)の高さがタワーマンション並みの70bほどあり、「海に浮く工場」とも言われる。
大浦湾には他にも、海上ヤード工の石材投下船、A護岸工のための鋼管杭打設船、浚渫工、海底への敷き砂投下船、さらに、土砂運搬船、海砂運搬船等がひしめきあっていた。ところが6月上旬、突然、6隻の地盤改良作業船が出ていってしまった。沖縄防衛局は、「気象条件を考慮」と説明したが、当時、はるか南方で熱低発生の情報はあったが、沖縄には近づいていない。その後も、沖縄島に接近する台風はなかったが、地盤改良作業船は3カ月以上が経過した今も、なぜか、奄美大島等に避難を続けている(9月22日現在)。
他の工事の作業船は、7月下旬に大浦湾を出たが、8月上旬には戻り、工事を再開している。ところが、地盤改良作業船だけは戻っていないのだ。
砂杭打設には
約10年が必要
地盤改良の砂杭は、6月上旬に作業が停止してしまったので、現時点でまだ2900本しか打設できていない。このペースでは、全4万7千本の砂杭打設には、約10年を要する。地盤改良を終えてやっと護岸工や埋め立て工に入るのだから、これではいつ事業が完了するのか見当もつかない。
大浦湾には、海面下90bまで軟弱地盤が続いているが、今回は海面下70bまでの地盤改良(サンドコンパクションパイル〔SCP〕工法)しか行わない。沖縄防衛局は「技術的に問題はない」と主張するが、実際は、海面下90bまで施工できる作業船はなく、改造しても70bまでの地盤改良が限界のためである。そのため防衛局は今回、6隻のSCP作業船を国費負担で70b級に改造した。
船の改造では
安定性に問題
改造で櫓(リーダー)の高さは、20bほど高くなった。船体寸法は変わらないので、船の重心が高くなり、安定性に問題が生じているのだ。今回、作業船が長期にわたって戻ってこられないのは、もし、台風に遭遇した場合、致命的な事故につながりかねないためであろう。このままでは台風シーズンが終わる11月過ぎまで、地盤改良工事はできない可能性がある。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年10月18日
【沖縄リポート】目取真俊さんに嫌がらせ弾圧=浦島悦子
8月7日、芥川賞作家・目取真俊さんの自宅が沖縄県警に家宅捜索された。沖縄防衛局の被害届を受けた器物(キャンプシュワブ基地のフェンス)損壊容疑だという。
目取真さんが「損壊」したというフェンスは、経年劣化により鉄パイプは錆び、ネットは破れて垂れさがっているのを、市民が確認している。管理不行き届きを目取真さんに責任転嫁するでっち上げだ。自身のブログで精力的に新基地建設工事の状況や反対運動について発信を続ける彼への嫌がらせ弾圧としか言いようがない。
これは、前号で報告した安和桟橋死傷事故を巡る動き=被害者を加害者に仕立て上げようとする弾圧と軌を一にしている。報道によると、県警は、重傷を負った女性を「重過失致死罪」の被疑者として起訴を求めているというから驚く。
安和ではこの事故後も、現場の警備員や防衛局職員がわざと転んで「傷害」事件をでっち上げるなどの弾圧が頻発している。
8月27日、ヘリ基地反対協議会はこれらの不当弾圧の中止を求めて、その源である沖縄防衛局に抗議要請を行った=写真=。応対した同局の調達計画課課長補佐は、「(安和では)トラックの前に意図的に飛び出す危険な妨害行為が連日繰り返されている」という全く事実に反する見解を、書かれた紙を見ながら繰り返し述べた(彼は現場を見たことがない)。憲法に保障された正当で整然とした抗議行動を「妨害行為」と言いつのり、国策に反対する市民に「犯罪者」のレッテルを張り、反対運動潰しを狙っていることは明らかだ。
民意(民主主義)を徹底して踏みにじり、法を悪用・濫用し、国民の血税を浪費して、世界に誇るべき貴重な自然を破壊し続けている新基地建設は、「国家犯罪」以外の何物でもない。その犯罪を止めようとする市民が「犯罪者」呼ばわりされる筋合いはない。私たちが反対し、抵抗するのは、戦争や自然破壊という「未来世代に対する犯罪」に加担したくないからだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年9月25日号
2025年09月15日
【沖縄リポート】参院選は勝利したが‥‥=浦島 悦子
7月20日に投開票された参議院選沖縄選挙区では、「オール沖縄」新人候補・高良沙哉(さちか)氏が自公候補に3万票余の差をつけて当選した。候補者の人柄に加え、「オール沖縄の退潮」や知事の求心力の低下が囁かれる中、危機感を強めたデニー知事が自ら、異例の選対本部長を務めて県民を鼓舞し、また「オール沖縄」に集う県民も相当の危機意識を持って、総力で選挙に取り組んだことが功を奏したと言える。
8月2日、第1土曜日恒例の辺野古ゲート前県民大行動は、初当選した高良沙哉氏を迎えて大きく盛り上がり=写真=、デニー知事もメッセージを寄せたが、これを来年秋に行われる沖縄県知事選の勝利に繋げられるかが今後の課題だ。
今回の勝利は、自民党政権への不評や参政党の大幅伸長に助けられた面もあり、決して手放しで喜べる状況ではない。とりわけ、全国同様、沖縄でも参政党の伸長が著しい。沖縄選挙区の参政党新人候補が10万票近く得票したこと、その候補者の妻(同じく参政党)が同日選挙だった那覇市議選で、2位に2倍以上の差をつけてトップ当選したこと、沖縄の比例代表得票数で参政党(8万票余)が自民党(10万票余)に次ぐ2位だったことにショックを受けた。この現状をどうとらえ、どう対処すればいいのか、考え込まざるをえない。
県民大行動では、もう一つショックな報告が伝えられた。昨年6月、安和桟橋の死傷事故で重傷を負い、命の危険から何とか回復してリハビリ中の女性に対し、県警から「被疑者」として取り調べるための出頭命令が来たというのだ。報告した代理人弁護士は「事故を引き起こした国の責任を抗議市民に転嫁し、被害者を加害者に仕立て上げようという目論見を決して許してはならない」と、怒りを込めて訴えた。
県警は「重過失致死容疑」を視野に入れているという。オール沖縄会議は8日、抗議声明を記者発表。抗議活動を犯罪視し基地反対運動を抑え込もうとする政治的狙いに言及し、被害者女性を被疑者とすることの撤回を強く求めた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年8月25日号
2025年08月21日
【関西支部リポート】工事代金未払い多発 万博のパビリオン、泣く下請け=幸田 泉
4月に開幕した大阪・関西万博=写真=で、海外パビリオンの建設を巡る悲劇が起こっている。建設工事代金を支払ってもらない下請け業者らが、倒産の危機、生活困窮状態にあるのだ。
工事代金の未払いは8館で判明。ネパール館はネパール政府が工事代金を支払わず、今年1月から工事が中断していたが、ネパール政府が金を払ったことで6月に工事が再開した。その他7館は未払い問題を抱えたままオープンしている。アンゴラは三次下請け会社が金を持ち逃げ、アメリカは二次下請け会社が倒産、中国、マルタ、ルーマニア、セルビア、ドイツはいずれも元請け会社が金を払わないケースだ。
フランス資本のイベント会社「GLイベンツ」は、マルタ、ルーマニア、セルビア、ドイツの四つのパビリオンで元請けをし、4館とも問題を起こした。世界各国でオリンピックやサッカーワールドカップなどに関わってきたグローバル企業だが、未払い被害者らによると万博での仕事ぶりは滅茶苦茶だったという。必要な図面がないまま工事をさせれられ、工事途中で変更が多発。壁や天井に塗ったペンキをすべて塗り直したり、タイルを張り替えたりと無駄な出費と労働が繰り返された。下請け業者らは家にも帰れず、仮眠しか取れずに突貫工事で奇跡的に開幕までに仕上げたが、GL社は4館合わせて3億円超の支払いを踏み倒している。
支払いがなく追い込まれているのは中小零細企業や一人親方たちで、万博協会や大阪府に救済を求めているが、どちらも「民間業者間の問題」だと、まるで他人事である。
万博協会はパビリオンの使用許可を取り消さず、何事もなかったかのように運営を続けている。万博協会の副会長でもある吉村洋文・大阪府知事は、万博は楽しい、素晴らしいと来場を呼び掛けることばかりしている。大阪の夢洲で繰り広げられているのは、パビリオン建設に尽力した人々の犠牲の上に成り立つ異常なお祭り騒ぎだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
2025年08月19日
【沖縄リポート】防衛局の地域分断に抗議の声明=浦島悦子
辺野古新基地建設に向けた海底の地盤改良工事が強行されている大浦湾沿岸地域=名護市二見以北10区の住民らは7月8日、「沖縄防衛局による地域分断に抗議し撤回を求める声明―二見以北10区コミュニティ基金について」を記者発表(賛同者117人)し、伊藤晋哉・沖縄防衛局長及び中谷元・防衛大臣に送付した。
二見以北10区は辺野古に隣接し、1997年に新基地計画が浮上して以来、各区で反対決議を上げ、地域一丸となって建設に反対してきた=写真=。一方で、進行する過疎化・高齢化に悩む地域でもある。
政府・防衛省はこれに付け込み、反対の民意を崩そうと、あの手この手の「アメ」で地域住民を翻弄してきた。過疎地ゆえ後回しにされてきた診療所も学校の体育館も防衛省予算で作られ、新基地を受け入れた島袋吉和市長時代には、基地建設への協力金とも言える米軍再編交付金で「二見以北交流拠点施設」が建設されたが、同時に地域コミュニティの分断や破壊も進んだ。「国策」に抗する地域への常套手段だ。
その後、2010年から2期8年、新基地反対を貫いた二見以北出身の稲嶺進市長から基地容認の渡具知武豊現市長に替わり、辺野古側の埋立がほぼ終わり大浦湾側の工事が始まるのと軌を一にして、二見以北の「取り込み」が再開された。
今回の防衛局のやり方はより巧妙だ。10区の区長で構成する「二見以北地域振興会」から要請させ、住民の抵抗感の強い再編交付金ではなく、特定防衛施設周辺整備調整交付金(いわば既存基地の迷惑料)を原資とし、それも防衛省からの直接交付でなく、現市長の与党多数の市議会で「二見以北コミュニティ事業」予算を可決(野党は反対)し、名護市からの補助金という形を取っている。
各区では、「住民には何の説明もない」「新基地を認めさせるための毒まんじゅう」「議会で決まっているから反対できない?」「区長たちのやり方がおかしい」など騒然となった。住民はこれを認めていないこと、元凶である防衛省・沖縄防衛局に、ひも付き「振興策」の撤回を求めたのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
二見以北10区は辺野古に隣接し、1997年に新基地計画が浮上して以来、各区で反対決議を上げ、地域一丸となって建設に反対してきた=写真=。一方で、進行する過疎化・高齢化に悩む地域でもある。
政府・防衛省はこれに付け込み、反対の民意を崩そうと、あの手この手の「アメ」で地域住民を翻弄してきた。過疎地ゆえ後回しにされてきた診療所も学校の体育館も防衛省予算で作られ、新基地を受け入れた島袋吉和市長時代には、基地建設への協力金とも言える米軍再編交付金で「二見以北交流拠点施設」が建設されたが、同時に地域コミュニティの分断や破壊も進んだ。「国策」に抗する地域への常套手段だ。
その後、2010年から2期8年、新基地反対を貫いた二見以北出身の稲嶺進市長から基地容認の渡具知武豊現市長に替わり、辺野古側の埋立がほぼ終わり大浦湾側の工事が始まるのと軌を一にして、二見以北の「取り込み」が再開された。
今回の防衛局のやり方はより巧妙だ。10区の区長で構成する「二見以北地域振興会」から要請させ、住民の抵抗感の強い再編交付金ではなく、特定防衛施設周辺整備調整交付金(いわば既存基地の迷惑料)を原資とし、それも防衛省からの直接交付でなく、現市長の与党多数の市議会で「二見以北コミュニティ事業」予算を可決(野党は反対)し、名護市からの補助金という形を取っている。
各区では、「住民には何の説明もない」「新基地を認めさせるための毒まんじゅう」「議会で決まっているから反対できない?」「区長たちのやり方がおかしい」など騒然となった。住民はこれを認めていないこと、元凶である防衛省・沖縄防衛局に、ひも付き「振興策」の撤回を求めたのだ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年7月25日号
2025年06月19日
【寄稿】浦添西海岸に米軍軍港 那覇港の代替、60年代に計画 永久利用ねらい 環境アセス開始 真喜志 好一(沖縄平和市民連絡会共同代表)
2025年1月17日、「沖縄・琉球弧の声を届ける会」の第6回連続講座としてシンポジウム「浦添西海岸埋め立て問題を考える」が開かれた。パネリストは安部真理子(日本自然保護協会/保護・教育部主任)、鹿谷麻夕(しかたに自然案内代表/里浜22共同代表)、真喜志好一(建築家・沖縄平和市民連絡会)の三氏。安部、鹿谷両氏は浦添西海岸の海が本来の素晴らしいサンゴ礁環境を残していることをスライドで発表した。
浦添西海岸の位置図
サンゴ礁が残る
豊かな自然の宝
続けて4月12日に連続講座第7回が「市民の視点から浦添西海岸問題を考える」をテーマに開かれ、パネリストは銘苅全郎(浦添市港川自治会前会長)、明真南斗(琉球新報記者)、谷山博史(日本国際ボランティアセンター顧問)の三氏が務めた。
浦添西海岸の豊かな自然を沖縄の宝として残すか、二つのシンポジウムで報告された美しい海中のビデオの記録を含む全記録がユーチューブにある。次の五つのキーワード「琉球弧の声/浦添西海岸/隠された真実 /第6回/第7回」をYouTubeで検索して視聴してほしい。
筆者(真喜志)はシンポでの発表の冒頭で、次のようにスライドで参加者に問いかけた。
「日米両政府の発表では、『那覇軍港を沖縄県民の要求で沖縄に返す。その代わりに浦添に軍港を作る』との説明だが本当だろうか?」
2024年7月、米軍の軍港を浦添西海岸に建設するための環境アセスが始まった。だが、浦添西海岸への軍港の建設が、那覇軍港の移設・返還を進めることを目的とするのか、米軍文書がその真意を物語る。
米軍の本音隠す
施設返還合意
1969年6月、新都市調査沖縄―浦添軍港図
キーワードを「沖縄防衛局/那覇港湾施設/移設」で検索すると環境アセスの最初の文書「計画段階環境配慮書」がヒットする。
この文書の第2章、対象事業の目的を書き写す。
――昭和49年1月、日米両政府は日米安全保障協議委員会において、移設条件付きで那覇港湾施設(約57ha)の全面返還に合意した。平成7年5月には日米合同委員会において代替施設(約35ha)を那覇港浦添ふ頭地区(以下「浦添ふ頭地区」という。)内に移設することを合意した。――中略――本事業は、かかる経緯の下、浦添ふ頭地区の沖合の埋立により那覇港湾施設代替施設を整備し、那覇港湾施設の移設・返還を進めることを目的とする(傍線は引用者)ものである。――
だが、現在の米軍の港湾利用は次の通りとなっている。〇兵員の休養のための寄港はホワイトビーチ〇弾薬の積み下ろしは天願桟橋〇コンテナの積み下ろしは安謝新港の国際コンテナターミナルで行われている。
つまり新たな軍港を作る必要はないのだ。
米軍の意図示す
文書掘り起こす
このような疑問をもって99年7月に宮城悦二郎先生(04年没)を中心に「SACO合意を究明する県民会議」を立ち上げ、米軍の文書を掘り起こす作業が始まった。
米軍が米国のコンサル会社に依頼して69年6月に作成した「工業用地及新都市調査沖縄」がある。この文書の日本語版は琉球大学の付属図書館や沖縄県議会図書館にも所蔵されている。
この文書の中に、浦添のリーフ内の海底を浚渫し、その土砂でハッチング部を埋め立て、牧港補給基地の沿岸部に軍港を作る計画が図示されている(牧港港・MACHINATO PORT図参照)。
これらの浦添西海岸への軍港新設計画はその後どうなったか。70年5月、米軍の太平洋軍司令部が統合参謀本部に送った文書(英文)が沖縄県公文書館に保管されている。この文書には見落としてはいけない次の記述(別掲参照)がある。IN SUM,CONSTRUCTION OF A PORT FACILITY AT MACHINATO WOULD OPTIMIZE US LONG-TERM INTERESTS IN THE RYUKYUS.
この文の和訳は――総体的に見てマチナト(牧港「まきみなと」の沖縄読み)の港建設によって、米国の琉球における長期的関係を最大限に生かせる――である。
深く広い軍港と
那覇港を交換へ
つまり米軍の太平洋軍司令部から統合参謀本部に送ったこの文書は、「浦添西海岸への軍港建設によって、沖縄の軍事利用は永久に続けることができるので、牧港の軍港建設を日本政府に要求するように」と主張している。
浦添西海岸に広くて深い軍港を新たに建設し、不要になる狭くて浅い那覇軍港を返すことが米軍の計画なのだ。
浦添西海岸への軍港建設は米軍の占領が続くことになる。反対の世論を作ろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年06月09日
【沖縄リポート】沖縄の「復帰」とは何だったのか=与那覇恵子(沖縄・琉球弧の声を届ける会共同代表)
5月15日、沖縄は「返還」から数えて53年目の「本土復帰」記念日を迎えた。1972年入学の私にとって、復帰の自覚は琉球大学がその年から国立になったことくらいだったかもしれない。
だが、その日の土砂降りの雨は「沖縄の人々が流した涙だった」との表現は忘れられない。それは嬉し涙ではなく、怒りと悲しみの涙だった。
人権無き米軍占領下の苦難に、救いを祖国と呼ぶ日本への復帰に求め、「基地なき平和な島」を夢見た人々は、米軍基地維持に自衛隊配備という日米政府の思惑による沖縄返還に裏切られた。
いま復帰53年目の沖縄で、その日々は怒りと悲しみが増すばかりだが、それはすでに復帰時に、仲宗根勇『沖縄少数派─その思想的遺言』(三一書房1981年)が予言したことであった。
その著から具体例を挙げる。
「沖縄政治における中央志向性の増大」――各組織、政党、派閥の本土系列化で沖縄の政治は分断され独自の力を失っている。
「企業と軍隊を主人とする沖縄島の要塞化という体制の長期的展望の実現」――辛うじて保たれていた沖縄の自然や伝統・文化の急速な喪失を実感するのは私だけではないだろう。
日本の政府や企業の机上の計算による開発で、生物多様性に富む自然環境の破壊が進む。
しかし他県と異なり、市民がどれほど反対してもそれが解決困難な理由は、辺野古・大浦湾や浦添西海岸、与那国の樽舞湿原(国指定鳥獣保護区)など、問題に経済利益の企業開発と相まって軍事が絡んでいることだ。
「復帰を求める以上、日本の現実の国家構造からして安保復帰たらざるを得ないのは当然」――を噛みしめざるを得ない。
日米共同作戦計画下、強行される軍事要塞化。迷彩色の自衛隊員が島々を闊歩し、中国狙いの長距離ミサイル配備が進む。復帰後の沖縄は「日本国軍=自衛隊の黒い力で息もできない地獄図絵にたたきこまれることが予想されている」。
「台湾有事」で戦場となる再びの沖縄戦に怯える今、沖縄は大田知事や翁長知事が日本政府に問うた「沖縄は日本国民に入っていますか?」の答えを思い知らされている。
しかし、信じたい。米軍占領下で培った抵抗の力を。沖縄を沖縄に返すために。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
だが、その日の土砂降りの雨は「沖縄の人々が流した涙だった」との表現は忘れられない。それは嬉し涙ではなく、怒りと悲しみの涙だった。
人権無き米軍占領下の苦難に、救いを祖国と呼ぶ日本への復帰に求め、「基地なき平和な島」を夢見た人々は、米軍基地維持に自衛隊配備という日米政府の思惑による沖縄返還に裏切られた。
いま復帰53年目の沖縄で、その日々は怒りと悲しみが増すばかりだが、それはすでに復帰時に、仲宗根勇『沖縄少数派─その思想的遺言』(三一書房1981年)が予言したことであった。
その著から具体例を挙げる。
「沖縄政治における中央志向性の増大」――各組織、政党、派閥の本土系列化で沖縄の政治は分断され独自の力を失っている。
「企業と軍隊を主人とする沖縄島の要塞化という体制の長期的展望の実現」――辛うじて保たれていた沖縄の自然や伝統・文化の急速な喪失を実感するのは私だけではないだろう。
日本の政府や企業の机上の計算による開発で、生物多様性に富む自然環境の破壊が進む。
しかし他県と異なり、市民がどれほど反対してもそれが解決困難な理由は、辺野古・大浦湾や浦添西海岸、与那国の樽舞湿原(国指定鳥獣保護区)など、問題に経済利益の企業開発と相まって軍事が絡んでいることだ。
「復帰を求める以上、日本の現実の国家構造からして安保復帰たらざるを得ないのは当然」――を噛みしめざるを得ない。
日米共同作戦計画下、強行される軍事要塞化。迷彩色の自衛隊員が島々を闊歩し、中国狙いの長距離ミサイル配備が進む。復帰後の沖縄は「日本国軍=自衛隊の黒い力で息もできない地獄図絵にたたきこまれることが予想されている」。
「台湾有事」で戦場となる再びの沖縄戦に怯える今、沖縄は大田知事や翁長知事が日本政府に問うた「沖縄は日本国民に入っていますか?」の答えを思い知らされている。
しかし、信じたい。米軍占領下で培った抵抗の力を。沖縄を沖縄に返すために。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年06月04日
【支部リポート】北九州 窓口負担の軽減を 医療関係者ら街頭署名=杉山正隆
病院などでの窓口負担の軽減や保険適用範囲の拡大などを求め医療関係者らが4月23日、北九州市小倉北区のJR小倉駅前で署名活動を行った=写真=。福岡県歯科保険医協会と健和会附属大手町歯科診療所が実施し、30分ほどで50筆超の署名が集まった。北九州支部の会員も参加し行きかう市民らと対話した。
中には、「街頭活動に賛同する」と活動に飛び入りで加わる市民も。「高額療養費は重病に陥った人を支援する最後のセーフティネット。一旦、負担増は凍結となったが参院選後に強行されるかも」と医療関係者に話しかけて署名に応じる人もいた。
また、北九州空港や福岡空港、港湾施設などで、海上保安庁、自衛隊、さらには米軍が拠点として利活用する動きや、弾薬庫や防衛基地化が進みつつあり、防衛・軍事費は歯止めが掛からない。一方で、その分、医療など社会保障を削減して費用を捻出しようとする構図が固まりつつある点に懸念する声が多く聞かれた。
「今でさえ、医療・介護の保険料が重いうえ、窓口で3割などを支払わないといけない」「自民や維新、国民民主などは医療費を数兆円削減すると目論むがその分は患者負担が増えることになる」「物価がここまで高騰すると病院に掛かるのを躊躇して我慢し、悪化して駆け込んだ」など悲痛な声が寄せられた。
医療では特に歯科分野で、保険の効かない治療法が多く、自費となることがある。経済的負担が重く困惑したり適切な受診ができないケースが少なくない。この日の活動では「国民皆保険制度」の下、治療費を心配することなく安心して治療が受けられるよう、社会保障の充実を求めた。
参加した歯科医師は「歯周病などと全身疾患とは密接な関係があることが分かっているのに、窓口負担の高さや保険の効かない治療が多く、日本では歯科治療が遅め、遅めになりがち。患者、国民に優しい制度にすべき」と話していた。署名は今国会に提出される。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年5月25日号
2025年05月21日
【オンライン講演】戦後80年の報道状況と軍事強化の重なり実感 琉球新報の南 彰記者 OJNで語る=須藤春夫(法政大学名誉教授)
OJN(沖縄ジャンプナイト)主催のオンライン講演会は、「琉球新報」編集委員の南彰さんを講師に迎え、4月6日に開催された。参加者は30人。講演の要旨は以下の通り。
琉球新報(以下、新報)に転職して1年5カ月、戦後80年の報道状況と台湾有事の名のもとに進む沖縄南西シフトの軍事強化が重なり合うのを日々実感している。
国会では軍事強化に歯止めをかける議論がまったくされず、それどころか、政治家からは「闘う覚悟」「一戦を交える」などの好戦的な発言が出てくる状況である。このような発言が跋扈する言論空間に抵抗する言論空間を作っていきたい。
新報に移ってから「闘わない覚悟」「歩く民主主義100の声」「国策と闘う」「信なき現場」「ハラスメントのない社会」の企画を手がけている。
私の報道姿勢は、筑紫哲也さんが掲げた@権力に対する監視役、A少数派であることを恐れない、B多様な意見を登場させて社会に自由な気風を保つ、を大事にしている。
@では、南城市長のセクハラ疑惑、辺野古新基地建設、軍事化などの報道がある。好戦的な言説の広がりに抗う軸として「国策と闘う」を企画した。住民の目線でどう抗っていくのか他紙と連携しながらさまざまな事例で取り上げている。
辺野古新基地建設では、国策の名のもとに市民の抗議行動を潰す言説が、本土メディアや現場でのバッシングによって勢いを増している。これに対し「信なき現場」の連載(3回)では、現場取材を重ね事実関係を提示して一方的な言説への歯止めを図った。
Aでは、「新しい戦前にしない」をテーマに「闘わない覚悟」を本土と沖縄の方の対談形式で企画。80年前と同じ過ちを繰り返さないためにどうしたらよいのかに取り組んでいる。直近では具志堅髀シさん(ノーモア沖縄戦共同代表)と古賀誠さん(元自民党幹事長)が登場、沖縄戦の教訓や国会での憲法9条議論、戦争責任への向き合い方などを議論してもらった。
Bでは、「歩く民主主義100の声」として無作為に選んだ100人に街頭や戸別訪問で話を聞き、世論調査には現れない地域で暮らす住民の複雑な民意を汲み取るねらいがある。辺野古新基地建設、自衛隊基地建設、重要土地利用規制法などのテーマで聞いていくプロセスが、民主主義を考える場になっている。
新報に移ってきてよかったと思うのは、読者との距離感が非常に近いこと。調査報道の重視に読者からの手応えを感じる。
最近のフジテレビ問題は、これまで新聞労連がジャーナリズムの信頼回復のために記者会見、セクハラ、賭け麻雀など一連の問題を受けて声明や提言をだしたが、それを顧みないツケが吹き出したのだと思う。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
琉球新報(以下、新報)に転職して1年5カ月、戦後80年の報道状況と台湾有事の名のもとに進む沖縄南西シフトの軍事強化が重なり合うのを日々実感している。
国会では軍事強化に歯止めをかける議論がまったくされず、それどころか、政治家からは「闘う覚悟」「一戦を交える」などの好戦的な発言が出てくる状況である。このような発言が跋扈する言論空間に抵抗する言論空間を作っていきたい。
新報に移ってから「闘わない覚悟」「歩く民主主義100の声」「国策と闘う」「信なき現場」「ハラスメントのない社会」の企画を手がけている。
私の報道姿勢は、筑紫哲也さんが掲げた@権力に対する監視役、A少数派であることを恐れない、B多様な意見を登場させて社会に自由な気風を保つ、を大事にしている。
@では、南城市長のセクハラ疑惑、辺野古新基地建設、軍事化などの報道がある。好戦的な言説の広がりに抗う軸として「国策と闘う」を企画した。住民の目線でどう抗っていくのか他紙と連携しながらさまざまな事例で取り上げている。
辺野古新基地建設では、国策の名のもとに市民の抗議行動を潰す言説が、本土メディアや現場でのバッシングによって勢いを増している。これに対し「信なき現場」の連載(3回)では、現場取材を重ね事実関係を提示して一方的な言説への歯止めを図った。
Aでは、「新しい戦前にしない」をテーマに「闘わない覚悟」を本土と沖縄の方の対談形式で企画。80年前と同じ過ちを繰り返さないためにどうしたらよいのかに取り組んでいる。直近では具志堅髀シさん(ノーモア沖縄戦共同代表)と古賀誠さん(元自民党幹事長)が登場、沖縄戦の教訓や国会での憲法9条議論、戦争責任への向き合い方などを議論してもらった。
Bでは、「歩く民主主義100の声」として無作為に選んだ100人に街頭や戸別訪問で話を聞き、世論調査には現れない地域で暮らす住民の複雑な民意を汲み取るねらいがある。辺野古新基地建設、自衛隊基地建設、重要土地利用規制法などのテーマで聞いていくプロセスが、民主主義を考える場になっている。
新報に移ってきてよかったと思うのは、読者との距離感が非常に近いこと。調査報道の重視に読者からの手応えを感じる。
最近のフジテレビ問題は、これまで新聞労連がジャーナリズムの信頼回復のために記者会見、セクハラ、賭け麻雀など一連の問題を受けて声明や提言をだしたが、それを顧みないツケが吹き出したのだと思う。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年05月11日
【沖縄リポート】戦争準備の完成形、全国規模で=新垣邦 雄(ノーモア沖縄戦 命 どぅ宝の会 事務局長)
政府の「戦争準備」が 凄まじい。最近も「長射 程ミサイル九州先行配 備」に続き「宮古・八重 山全住民の九州・山口避 難」計画が発表された。 沖縄−奄美を最前線の戦 域に見立て、全国各地で ミサイル配備、弾薬庫建 設、「空港・港湾・道路」 軍事化、民間空港・港湾 への分散展開計画、兵 器・兵員輸送体制が完成 形となった。戦争準備の インフラ整備から有事下 「住民疎開」の最終段階 に入ったと認識している。
ノーモア沖縄戦の会は 「長射程ミサイル九州配 備」「九州・山口疎開」に 反対する記者会見に続き、 4月7日は伊藤晋哉沖縄 防衛局長に「あらゆる戦 争準備に反対する申し入 れ」を行なった=写真= 具志堅隆松共同代表。台 湾有事「日米共同作戦計 画」の即時廃棄−など要 求・質問に、防衛局長は ほぼノーコメント。その 中で同局長からミサイル の運用(発射)は「住宅 街から離れた場所」「ミサ イル発射機は移動式」の 重要な回答を引き出した。
陸自ミサイルは配備基 地から公道を通り民間地 に展開、移動を繰り返し、 島々の各所がミサイル発 射拠点となる−ことを防 衛局長が認めた。「小さな 島中でミサイルを発射し、 島中が攻撃目標となる」 「米軍主要基地のある沖 縄島は屋内避難では済ま ない」「日米が核抑止強化 を確認し、沖縄への核再 配備、核戦争の懸念があ る」と防衛局長を追及し た。
また石垣島の運動団体 が政府から引き出した 「内閣官房は、武力攻撃 予測事態の認定で、住民 避難と同時に自衛隊・米 軍の大規模部隊派遣が始 まり、同じ空港・港湾を 使う。『住民避難が優先と は限らない』と回答」を 防衛局長に突きつけた。 「住民避難と自衛隊・米 軍派遣」が「同じ空港・ 港湾」で同時に行なわれ れば「攻撃目標」の危険 性は明らかで、「住民避 難」計画の即時廃棄を重 ねて要求した。
日米の中国との戦争準 備は全国規模だ。犠牲は 沖縄だけではすまない。 当会は「沖縄・西日本ネ ットワーク」を結成、6 月6日に防衛省交渉を計 画する。東京行動への参 加・支援を呼びかける。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年4月25日号
2025年04月12日
【報告】被団協ノーベル平和賞受賞式 証言の重み伝える責任 取材記者囲み報告集会=田中伸武(広島支部)
参加者が核・平和報道のあり方を意見交換した。
JCJ広島支部は2月24日、広島市内で「ノーベル平和賞 現地取材記者による報告―これからのヒロシマ報道を考える」と題した集会を開いた。日本被団協の授賞式(12月10日・オスロ)に同行した広島の若手新聞・放送記者ら4人が「現地行事を追いながら田中熙巳代表委員のスピーチの重みや報じる責任をかみしめた」などと語った。マスコミ関係者や高校新聞部員を含む約40人が参加。核・平和報道の在り方をめぐっても意見交換し、交流を深めた。
将来へ報道工夫
毎日新聞の安徳祐記者は入社3年目。学生時代に被爆証言を聞いて広島赴任を希望した。
「被団協受賞を知らない人が多かったオスロ市民だが、ロシアと接する国柄か核戦争を身近に感じていた」と国際情勢を実感。「(被爆)証言の力は大きい。今後被爆者がいなくなる世界で報道をどう工夫するかを考える」と話した。
歴史伝える重み
下高充生記者は中国新聞で、被団協の歴史を振り返る連載も担当した30歳。被団協事務局長の木戸季市さんの言葉「核から人間を守る」が印象に残ると語った。
「公式記録がない過去の出来事は当時の新聞記事が頼り。自分の書く記事も将来、審判を受ける」と報道の重みを改めて自覚したという。
若者動かす契機
広島テレビの竹内嘉菜記者は入社3年目。「被爆者が運動に挑む姿と、そこから高校生らが感じたことを意識した」と、授賞式1カ月前からの取材について語った。
「被爆者がいなくなる将来、若者の関心が世界を左右する。若者が平和運動などに一歩踏み出すきっかけとなる番組を作りたい」と表明した。
マスコミの責任
被団協メンバーがオスロで議員朝食会や市民交流会などに参加した3日間を撮影し、ネット発信した中奥岳生さん(広島YMCA)も「ノーモアを叫ぶデモ行進に市民が次々加わった」と特別報告。「国家が戦争受忍を国民に押しつけるのはおかしい。マスコミは問うべきだ」と訴えた。
平和発信の変化
フロア質疑では、崇徳高新聞部員の指摘を基に新聞テレビを見ずSNS浸りの層への伝え方を議論し、ミャンマー留学生の発言からロシアを含めた国際的な核情勢を話し合った。
広島の戦争加害の側面や、広島と長崎の平和発信の違い、近年の平和教育の変化などさまざまな意見が出た。会場の被爆者からは、被爆80年をにらみノーベル委員会が贈賞した意味が強調された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
JCJ広島支部は2月24日、広島市内で「ノーベル平和賞 現地取材記者による報告―これからのヒロシマ報道を考える」と題した集会を開いた。日本被団協の授賞式(12月10日・オスロ)に同行した広島の若手新聞・放送記者ら4人が「現地行事を追いながら田中熙巳代表委員のスピーチの重みや報じる責任をかみしめた」などと語った。マスコミ関係者や高校新聞部員を含む約40人が参加。核・平和報道の在り方をめぐっても意見交換し、交流を深めた。
将来へ報道工夫
毎日新聞の安徳祐記者は入社3年目。学生時代に被爆証言を聞いて広島赴任を希望した。
「被団協受賞を知らない人が多かったオスロ市民だが、ロシアと接する国柄か核戦争を身近に感じていた」と国際情勢を実感。「(被爆)証言の力は大きい。今後被爆者がいなくなる世界で報道をどう工夫するかを考える」と話した。
歴史伝える重み
下高充生記者は中国新聞で、被団協の歴史を振り返る連載も担当した30歳。被団協事務局長の木戸季市さんの言葉「核から人間を守る」が印象に残ると語った。
「公式記録がない過去の出来事は当時の新聞記事が頼り。自分の書く記事も将来、審判を受ける」と報道の重みを改めて自覚したという。
若者動かす契機
広島テレビの竹内嘉菜記者は入社3年目。「被爆者が運動に挑む姿と、そこから高校生らが感じたことを意識した」と、授賞式1カ月前からの取材について語った。
「被爆者がいなくなる将来、若者の関心が世界を左右する。若者が平和運動などに一歩踏み出すきっかけとなる番組を作りたい」と表明した。
マスコミの責任
被団協メンバーがオスロで議員朝食会や市民交流会などに参加した3日間を撮影し、ネット発信した中奥岳生さん(広島YMCA)も「ノーモアを叫ぶデモ行進に市民が次々加わった」と特別報告。「国家が戦争受忍を国民に押しつけるのはおかしい。マスコミは問うべきだ」と訴えた。
平和発信の変化
フロア質疑では、崇徳高新聞部員の指摘を基に新聞テレビを見ずSNS浸りの層への伝え方を議論し、ミャンマー留学生の発言からロシアを含めた国際的な核情勢を話し合った。
広島の戦争加害の側面や、広島と長崎の平和発信の違い、近年の平和教育の変化などさまざまな意見が出た。会場の被爆者からは、被爆80年をにらみノーベル委員会が贈賞した意味が強調された。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
2025年04月06日
【沖縄リポート】運動の抑え込みと県指導を無視=浦島悦子
沖縄防衛局は3月4日午前、うるま市平安座島にある沖縄石油基地の民間桟橋から辺野古への埋立土砂搬出を開始した。
同市宮城島からの土砂搬出が突如始まった昨年11月20日(12月号本欄既報)以降、うるま市島ぐるみ会議を中心とする市民らは採石場入口での抗議行動を粘り強く続け=写真=また、同島からの土砂の搬出港である中城湾港(沖縄市)でも沖縄市民らを中心に現場行動が続けられてきた。
またもや突然のルート変更は、辺野古への搬入距離(海路)短縮のためだというが、市民の現場行動封じ込め(民間施設には立ち入れない)の狙いはありありだ。沖縄防衛局は、直前の当日朝、沖縄県に変更を通知。埋立承認時の留意事項違反の可能性があるとする県に対し「変更承認は必要ない」と居直っている。
辺野古新基地建設工事を巡るこの間の防衛局(国)の姿勢は、市民活動の徹底した抑え込みと、沖縄県の指導のあからさまで徹底的な無視だ。昨年6月の安和桟橋での重大死傷事故は、未だに真相究明がされない(重傷を負った市民をはじめ関係者への警察の事情聴取は一度も行われていない)まま、抗議する市民と沖縄県を加害者扱いする言説がふりまかれ、それを口実に現場行動の封じ込め、土砂搬出の拡大が続いている。
国(自公政権)の最大の狙いは、次期沖縄県知事選(来年秋)で玉城デニー知事を引きずり下ろすことだろう。そのためには、たとえ違法であろうと県の指導は一切無視し、「デニー知事は無力だ」と県民に見せつけ、信頼を失墜させること。
県のワシントン事務所を巡り沖縄自民党が、県議会の野党多数に乗じて予算審議を拒否し続けたことも軌を一にしている。
県内市の首長は現在、すべて自公系(うるま市長選挙が4月に行われる)となっており、県議会も野党多数。来年の県知事選で知事の首を挿げ替えれば、あとは国の思うがまま、やりたい放題できる、というのが彼らの目論見だろう。
そんなことを許すわけにはいかない‼
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
2025年03月24日
【種子島】防衛省は国民の知る権利に答えよ=丹原 美穂
馬毛島に上陸した住民訴訟原告団
馬毛島から10Km離れた種子島の暮らしは変わった。漁場は壊滅、漁ができない漁師は自分の船で工事関係者を運んでいる。寿司屋は廃業し、スーパーに並ぶ魚は鹿児島から運ばれる。島は多くの車が行きかいごみ問題も出ている。工事関係者5000人のうち馬毛島には3030人が簡易宿舎に。宿泊施設不足で1泊1万3000円。
種子島で増え続ける簡易宿舎
他方 飲食店は工事関係者でにぎわい、弁当屋も増えた。学校も生徒数がふえた。工事終了後はどうなるのだろうか。
評価額20億円の馬毛島の政府の買収額160億円。算出根拠も土地取得状況も非公開。国民の知る権利が公然と侵されている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
馬毛島から10Km離れた種子島の暮らしは変わった。漁場は壊滅、漁ができない漁師は自分の船で工事関係者を運んでいる。寿司屋は廃業し、スーパーに並ぶ魚は鹿児島から運ばれる。島は多くの車が行きかいごみ問題も出ている。工事関係者5000人のうち馬毛島には3030人が簡易宿舎に。宿泊施設不足で1泊1万3000円。
種子島で増え続ける簡易宿舎
他方 飲食店は工事関係者でにぎわい、弁当屋も増えた。学校も生徒数がふえた。工事終了後はどうなるのだろうか。
評価額20億円の馬毛島の政府の買収額160億円。算出根拠も土地取得状況も非公開。国民の知る権利が公然と侵されている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
2025年03月23日
【馬毛島に再上陸】住民訴訟原告団 ドローンで自衛隊施設工事現場を空撮=丹原 美穂
私たち基地反対住民訴訟原告団は、工事着工満2年前日の1月11日、昨年11月に続き馬毛島に再上陸。前回、防衛省の妨害で果たせなかった工事の進捗状況確認ため沖縄ドローンプロジェクトの協力を得て空撮を行った。防衛省職員は今回も上陸した私たちの前に立ちふさがって妨害。「工事中で危険(ドローンを)飛ばさないで」との文を読み上げた。だが私たちは「禁止する法的な根拠はない」伝え、ドローン空撮を開始。最新の現場映像を撮影した。昼夜を問わずの突貫工事で緑がはぎとられた島で自衛隊施設整備工事はまだまだ続くが、完工は予定より約3年遅れの30年3月末という。
防衛省職員は立ちふさがり空撮妨害をした
報道陣も同行した
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
防衛省職員は立ちふさがり空撮妨害をした
報道陣も同行した
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
2025年03月16日
【沖縄ジャンプナイト】歴代知事 突破口探る 沖縄タイムス部長 「地域外交」解説 問題解決能力欠く政府
JCJ沖縄ジャンプナイトは2日、第33回オンラインイベントを開いた。沖縄タイムス編集局の福元大輔政経部長が「沖縄県の地域外交」と題して講話。玉城デニー沖縄県知事が主要政策として掲げる地域外交の現在地と、その背景について語った。
県の「地域外交」を報じた沖縄タイムス紙面
玉城知事提唱
「三つのD」
2018年に初めて知事選に立候補した玉城知事。その出馬会見で表明したのが自身の政策の根幹となる「三つのD」だった。ダイバーシティー(多様性)、デモクラシー(民主主義)、ディプロマシー(外交)だ。福元さんは「玉城氏は当初から辺野古新基地建設を止める手立ての一つとして地域外交を考えていた」とする。
2期目の23年県庁内に地域外交室を創設。翌24年には、県がもともと香港や上海などアジア7カ所に構えていた海外事務所などを統合し「地域外交課」とした。
一方「外交は国の専管事項」と言われ、玉城知事の地域外交に批判的な報道もある。
地方自治法1条2項に国が行う事務として「国際社会における国家としての存立に関わる事務」と明記されていることを根拠にしたものだが、福元さんは地域外交課が他県にも存在すると指摘。「地方自治法は国と地方の立場を対等と定めるものであり、そもそも外交を国の排他的な権限で進めることを想定したものではないのでは」と見た。
沖縄の特殊性
米基地問題に
沖縄県の地域外交の特殊性は「基地問題にある」と強調。知事による直接の訪米外交は復帰後初の保守系知事の西銘順治氏(在任期間1978〜90年)から始まっていることを紹介した。
以降、大田昌秀、稲嶺恵一、仲井真弘多の歴代知事は訪米を繰り返し、その時々に基地問題の解決を米国政府に求めている。
福元さんは「米軍普天間飛行場の返還は大田知事時代に表明されたが、最初に普天間の返還を要請したのは西銘知事だった」と指摘。「沖縄の基地問題で大きな方向性が示される背景には歴代知事による外交の積み重ねがある」とした。
玉城知事の地域外交の特徴としては、基地問題だけでなく経済や平和交流もともに推進するという姿勢があるという。@東アジアの緊張緩和A県産品のアピールB沖縄の技術貢献―の3点が玉城県政の掲げる外交目標とした。
パラオの排他的経済水域(EEZ)内での漁業実現や、韓国・済州島との友好都市連携など経済・平和交流面では一定の成果があった。一方、基地問題に関する「玉城外交」の評価は割れているという。
政治日程優先
政府事件隠蔽
福元さんは沖縄の知事が外交を推進せざるを得ない背景に、日本政府の問題解決能力の欠如と、本土メディアの無関心を挙げる。
昨年判明した米兵による少女の誘拐暴行事件は日米の政治日程を優先する政府によって半年近くも県民に隠されてきた。「政府による情報操作があからさまになっている」と批判。同時に「半年もの間、事件について県内メディアが気づけなかったことはもちろんだが、官邸を取材する本土メディアからも報道がなかったことも深刻だ」と問題視した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
2025年03月13日
【支部リポート】福岡 障害ある人にも映画を 「みらいシネマ福岡」設立=白垣 詔男
2021年度にJCJ賞を受賞した、植村隆さんの裁判を中心に描いた映画「標的」の監督・製作を務めた福岡支部会員・西嶋真司さんが、昨年末、「すべての人生に映画の感動を」と銘打って特定非営利活動法人「みらいシネマ福岡」を設立した。
同法人の創立趣意書には「私たちが暮らす社会には様々な人々がいます。この社会は多数を占める健常者に都合のいいように造られてきました。視覚障がい者や聴覚障がい者にとって、映画館で映画の感動に接する機会は決して多くありません。…(この団体は)音声ガイドや字幕を利用して、障害がいがある人もない人も、すべての人が一緒に映画を楽しむ『ユニバーサル映画』を拡めるNPO法人です」とある。
上映会では、映画監督や俳優、知識人らを招きトークショーも行う計画だという。同時手話通訳や音声認識によるトーク内容を表示して、誰もが製作者や出演者らの生の姿と話に接することができ、映画の感動が、より深いものになるようにすると意欲を見せる。会場は、今年はすべて、福岡市中央区の福岡市科学館のホール(300人収容)で、近く公式ホームページを開設して、参加予約ができるようにするという。
既に、監督の森達也さんや是枝裕和さんには、これからの上映会への来場、スピーチをするよう依頼して快諾を得ているという。
初企画は5月5日(月・祝)の「港に灯がともる」。阪神淡路大震災の翌日に生まれた在日3世の女性・灯をめぐるストーリー。
その後、1〜2カ月に1回、映画会を予定している。既に8月16日(土)に計画している、第二次世界大戦末期、東京都品川区の保育士たちが幼い園児たちと集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を描いた「あの日のオルガン」上映会には、平松恵美子監督(山田洋次監督の下で助監督・脚本を担当、日本アカデミー賞優秀脚本賞を何度も受賞)と主演・大原櫻子さんの出演が決まっている。12月には、中村哲さんを描いた「荒野に希望の灯をともす」を、中村さんの命日・4日に合わせて追悼上映する予定だ。
西嶋さんは「背景の違う様々な人々が映画を通して他者を知り、お互いを尊重する場が生まれる。思いやりや優しさにあふれた、開かれた社会の実現を、この団体を通じて目指したい」と意欲を話す。白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
同法人の創立趣意書には「私たちが暮らす社会には様々な人々がいます。この社会は多数を占める健常者に都合のいいように造られてきました。視覚障がい者や聴覚障がい者にとって、映画館で映画の感動に接する機会は決して多くありません。…(この団体は)音声ガイドや字幕を利用して、障害がいがある人もない人も、すべての人が一緒に映画を楽しむ『ユニバーサル映画』を拡めるNPO法人です」とある。
上映会では、映画監督や俳優、知識人らを招きトークショーも行う計画だという。同時手話通訳や音声認識によるトーク内容を表示して、誰もが製作者や出演者らの生の姿と話に接することができ、映画の感動が、より深いものになるようにすると意欲を見せる。会場は、今年はすべて、福岡市中央区の福岡市科学館のホール(300人収容)で、近く公式ホームページを開設して、参加予約ができるようにするという。
既に、監督の森達也さんや是枝裕和さんには、これからの上映会への来場、スピーチをするよう依頼して快諾を得ているという。
初企画は5月5日(月・祝)の「港に灯がともる」。阪神淡路大震災の翌日に生まれた在日3世の女性・灯をめぐるストーリー。
その後、1〜2カ月に1回、映画会を予定している。既に8月16日(土)に計画している、第二次世界大戦末期、東京都品川区の保育士たちが幼い園児たちと集団で疎開し、東京大空襲の戦火を逃れた「疎開保育園」の実話を描いた「あの日のオルガン」上映会には、平松恵美子監督(山田洋次監督の下で助監督・脚本を担当、日本アカデミー賞優秀脚本賞を何度も受賞)と主演・大原櫻子さんの出演が決まっている。12月には、中村哲さんを描いた「荒野に希望の灯をともす」を、中村さんの命日・4日に合わせて追悼上映する予定だ。
西嶋さんは「背景の違う様々な人々が映画を通して他者を知り、お互いを尊重する場が生まれる。思いやりや優しさにあふれた、開かれた社会の実現を、この団体を通じて目指したい」と意欲を話す。白垣詔男
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
2025年03月04日
【沖縄リポート】防災訓練? どう見ても軍事演習=浦島悦子
どこまで沖縄をバカにするつもりなのか!
今も暮らしの中に旧暦が息づくウチナーンチュにとって、旧正月は新正月に劣らず大切な日だ。県内各漁港では、各船に大漁旗や松飾などを掲げて祝う。よりによってその旧正月=1月29日に、国は大浦湾の軟弱地盤に砂杭を打ち込む作業を開始した。予定している約7万1千本の杭打ちの手始めだという。
しかし、前号でも述べたように、砂の調達の目途は立っていない。大浦湾に入港した3隻のサンドコンパクション船(砂杭を打設する作業船)のうち稼働しているのは1隻のみで、他の2隻はただ停泊して税金を浪費しているだけ。海中に打ち込む70mの鋼管ドリルが船上に聳える様は、威嚇が目的かと思わせる=写真=。
今や作業船の陳列場と化した感のある大浦湾を日々眺めながら、このあまりにも馬鹿げた工事を1日も早く止めたいと願うばかりだ。
一方、米軍基地に加え、我が名護市でも自衛隊の動きが怪しくなってきた。
1月16日夜遅く、「明日、名護市で陸上自衛隊の訓練があるらしい」と知人から連絡があり、名護市のHPを見ると「お知らせ」として陸自第15旅団による「防災訓練の実施」の通知が出ていた。
1月17日は阪神大震災から30年の節目の日だ。その日にかこつけて「防災訓練」? しかしその内容は、市内各所で「初動部隊展開訓練、航空機離発着訓練、山地機動訓練及び情報収集訓練、徒歩行進訓練」とあり、どう見ても軍事訓練だ。しかも通知は直前の前夜。
訓練場所の一つとして、私の居住区に隣接する汀間地区があったので、翌朝、汀間区公民館に行って聞いてみた。名護市から何の連絡もないという。汀間だけでなく近隣各区の区長も区民も全く知らなかった。汀間地区での「山地機動訓練」がどこでどのように行われたのか、誰も知らない。住民不在の「防災訓練」とは聞いてあきれる!
18日の地元紙報道によると、名護市内を自衛隊が制服姿で行軍したという。市民を軍事行動に慣れさせるための訓練か?と思わざるを得ない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
今も暮らしの中に旧暦が息づくウチナーンチュにとって、旧正月は新正月に劣らず大切な日だ。県内各漁港では、各船に大漁旗や松飾などを掲げて祝う。よりによってその旧正月=1月29日に、国は大浦湾の軟弱地盤に砂杭を打ち込む作業を開始した。予定している約7万1千本の杭打ちの手始めだという。
しかし、前号でも述べたように、砂の調達の目途は立っていない。大浦湾に入港した3隻のサンドコンパクション船(砂杭を打設する作業船)のうち稼働しているのは1隻のみで、他の2隻はただ停泊して税金を浪費しているだけ。海中に打ち込む70mの鋼管ドリルが船上に聳える様は、威嚇が目的かと思わせる=写真=。
今や作業船の陳列場と化した感のある大浦湾を日々眺めながら、このあまりにも馬鹿げた工事を1日も早く止めたいと願うばかりだ。
一方、米軍基地に加え、我が名護市でも自衛隊の動きが怪しくなってきた。
1月16日夜遅く、「明日、名護市で陸上自衛隊の訓練があるらしい」と知人から連絡があり、名護市のHPを見ると「お知らせ」として陸自第15旅団による「防災訓練の実施」の通知が出ていた。
1月17日は阪神大震災から30年の節目の日だ。その日にかこつけて「防災訓練」? しかしその内容は、市内各所で「初動部隊展開訓練、航空機離発着訓練、山地機動訓練及び情報収集訓練、徒歩行進訓練」とあり、どう見ても軍事訓練だ。しかも通知は直前の前夜。
訓練場所の一つとして、私の居住区に隣接する汀間地区があったので、翌朝、汀間区公民館に行って聞いてみた。名護市から何の連絡もないという。汀間だけでなく近隣各区の区長も区民も全く知らなかった。汀間地区での「山地機動訓練」がどこでどのように行われたのか、誰も知らない。住民不在の「防災訓練」とは聞いてあきれる!
18日の地元紙報道によると、名護市内を自衛隊が制服姿で行軍したという。市民を軍事行動に慣れさせるための訓練か?と思わざるを得ない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年2月25日号
2025年02月24日
【イベント】いつまで米兵犯罪をみすごすのか 沖縄で抗議の県民大会 148団体 世代超えた怒り=JCJ沖縄
昨年12月22日、沖縄県の沖縄市民会館大ホールで「米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める県民大会」が開催された。
23年12月に起きた、16歳未満の少女が米兵に誘拐され性的暴行を受けた事件から1年、政府と司法当局の半年間の隠ぺい後に発覚してから半年で、年末の寒い時期に屋内開催となった。2500人超が集まり、宮古島市、石垣市、名護市のサテライト会場から大会を見守る人や、オンライン参加もあった。呼応して東京、大阪でも集会やデモ行進が行われた。
大会決議では@被害者への謝罪と丁寧な精神的ケアおよび完全な補償を行うこと、A被害者のプライバシーの保護と二次被害の防止を徹底すること、B事件発生時の県・市町村など自治体への速やかな情報提供を確実に行うこと、C米軍構成員などを特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定を行うこと――の4項目を要求した。
今回は、過去の県民大会以上に若者の発言が重みを持って受け止められた。
東京の大学に通う崎浜空音さんは「東京にいて、米兵に襲われることを恐れたことは一度もなかった」と沖縄の日常の異常性を訴えた。そして、16年に、米軍属による女性暴行殺人事件に抗議する県民大会に参加したことを振り返り「また数年後に中高生の子たちをここに立たせてしまうのか。これで最後の大会にしたい」と訴えた。
沖縄平和ゼミナールの高校生たちのメッセージも、高校生自身の声で会場に流された。「繰り返される米軍の犯罪をいつまで見過ごすのですか」と日本政府の不作為を糾弾し、「誰かの犠牲によって成り立つ平和は本当の平和ではない」と訴えた。
1995年の女子小学生が被害にあった事件で県民大会があってから30年になろうとしているのに、変わらない現状を訴える発言も多く、世代を超えた怒りと悔しさが共有された。
今回、21の女性団体が加盟する女団協(県女性団体連絡協議会)が再三、県議会に県民大会開催要請をしたが、自民会派などは「県議会として全会一致で決議し政府・米軍に抗議と要請をしたことで役割を果たした」と応じなかった。結局、女性団体主導で148の賛同団体による実行委員会主催の開催となった。
大会の9日前には、米兵の刑事裁判の一審判決があった。被告の米兵は少女が18歳だと思っていたとして無罪を主張していたが、懲役5年(求刑7年)が言い渡された。被告はすぐ控訴した。日米両政府も謝罪をしていない。
大会からわずか17日後の1月8日、不同意性交致傷疑いで米海兵隊員が書類送検された。事件は昨年11月に起きていた。県民は再び衝撃を受けている。
一連の米兵事件も県民大会も、全国的な報道は弱い。主要メディアには、悲劇が繰り返された責任は、沖縄に米軍基地を押し付けている日本全体にあるという認識が乏しいと言わざるを得ない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年1月25日号
23年12月に起きた、16歳未満の少女が米兵に誘拐され性的暴行を受けた事件から1年、政府と司法当局の半年間の隠ぺい後に発覚してから半年で、年末の寒い時期に屋内開催となった。2500人超が集まり、宮古島市、石垣市、名護市のサテライト会場から大会を見守る人や、オンライン参加もあった。呼応して東京、大阪でも集会やデモ行進が行われた。
大会決議では@被害者への謝罪と丁寧な精神的ケアおよび完全な補償を行うこと、A被害者のプライバシーの保護と二次被害の防止を徹底すること、B事件発生時の県・市町村など自治体への速やかな情報提供を確実に行うこと、C米軍構成員などを特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定を行うこと――の4項目を要求した。
今回は、過去の県民大会以上に若者の発言が重みを持って受け止められた。
東京の大学に通う崎浜空音さんは「東京にいて、米兵に襲われることを恐れたことは一度もなかった」と沖縄の日常の異常性を訴えた。そして、16年に、米軍属による女性暴行殺人事件に抗議する県民大会に参加したことを振り返り「また数年後に中高生の子たちをここに立たせてしまうのか。これで最後の大会にしたい」と訴えた。
沖縄平和ゼミナールの高校生たちのメッセージも、高校生自身の声で会場に流された。「繰り返される米軍の犯罪をいつまで見過ごすのですか」と日本政府の不作為を糾弾し、「誰かの犠牲によって成り立つ平和は本当の平和ではない」と訴えた。
1995年の女子小学生が被害にあった事件で県民大会があってから30年になろうとしているのに、変わらない現状を訴える発言も多く、世代を超えた怒りと悔しさが共有された。
今回、21の女性団体が加盟する女団協(県女性団体連絡協議会)が再三、県議会に県民大会開催要請をしたが、自民会派などは「県議会として全会一致で決議し政府・米軍に抗議と要請をしたことで役割を果たした」と応じなかった。結局、女性団体主導で148の賛同団体による実行委員会主催の開催となった。
大会の9日前には、米兵の刑事裁判の一審判決があった。被告の米兵は少女が18歳だと思っていたとして無罪を主張していたが、懲役5年(求刑7年)が言い渡された。被告はすぐ控訴した。日米両政府も謝罪をしていない。
大会からわずか17日後の1月8日、不同意性交致傷疑いで米海兵隊員が書類送検された。事件は昨年11月に起きていた。県民は再び衝撃を受けている。
一連の米兵事件も県民大会も、全国的な報道は弱い。主要メディアには、悲劇が繰り返された責任は、沖縄に米軍基地を押し付けている日本全体にあるという認識が乏しいと言わざるを得ない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年1月25日号

