2022年11月17日

【沖縄リポート】座り込み3千日で「日中友好」発信=浦島悦子

 9月29日、新基地建設反対の座り込みが続く辺野古ゲート前(1週間前の9月22日で座り込み3000日を迎えた)から「日中友好・不再戦」が発信された。
  この日は、1972年、当時の田中角栄首相と中国の周恩来総理の「日中共同声明」による国交正常化から50周年の節目の日。弁護士として中国人強制連行補償裁判に取り組んだ経験を持ち、東京から定期的に辺野古座り込みに参加している内田雅敏氏がゲート前テントでミニ講演を行い、日中共同声明以降の50年間に両国の間で交わされてきた4つの基本文書などについて説明し、これら積み上げられてきた「平和資源」を外交に活かすべきだと述べた。
  その後、参加者たちは新基地建設の資機材が搬入されるゲートに座り込み、「日中友好・不再戦、辺野古新基地建設反対」の横断幕を掲げ、中国とも、どこの国とも戦争しないという意思を改めて示し、声を上げた。「中国の脅威」や「台湾有事」が声高に叫ばれ、南西諸島の軍事化・ミサイル基地化が進んでいるのは政治・外交の不在に他ならない。不戦を願う市民の声が中国に、米国に届くことを祈った。

 その2日後の10月1日、コロナ禍により中断されていたゲート前県民集会(毎月第1土曜日)が4か月ぶりに行われ750人が参加したが、ここでも前記横断幕が掲げられた。
  県民集会には、9月11日の県知事選で再選を果たした玉城デニー知事が参加し、知事選で示された県民の辺野古反対の意思を受け、絶対に基地は造らせない決意を語った。前日9月30日に県が起こした「(県の設計変更不承認を取り消した国交省の裁決に対する)抗告訴訟」について、不承認は間違っておらず国の裁決は無効だと訴えると、参加者たちは一斉に「不承認支持」のプラカードを掲げて知事を激励した。
  私も発言者の1人として、同様の内容で地域住民の立場からも訴訟を提起したこと、県と一体となって取り組む決意を述べた。   
 浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年10月25日号
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2022年10月05日

【沖縄リポート】圧勝の県知事選 6万5千票差=浦島悦子

 9月11日午後8時1分、投票箱の蓋が閉まった途端の「当確」発表だった。あまりの早さに面食らったが、それはすぐに大きな喜びに替わった。「ばんざーい‼」「沖縄県民の良識が勝った‼」
 再選を果たした玉城デニー氏の得票は約34万票。自公政権が推した佐喜眞淳候補に約6万5千票の差を付けた(もう一人の候補・下地幹郎氏の得票は5万3千余)。就任以来、一貫した「新基地反対」の姿勢、首里城火災や新型コロナなど困難な状況を前向きに乗り越える明るいキャラクターも支持を得た。
 しかし何と言っても今回の選挙に大きな影響を与えたのは、あまり報道されないが旧統一教会問題だったと思う。佐喜眞陣営は、1万人を動員し花火まで打ち上げた決起大会や、国道を埋め尽くすVロード作戦など派手な演出を繰り返したが、それは危機感の裏返しだったと思われる。旧統一教会との密接な関係が明らかになり、同日投開票の統一地方選の保守系候補者からもセット戦術を拒否されているという話も伝わってきた。
 今回、創価学会がほとんど動かなかったのも異例だった。台風接近が伝えられる中で期日前投票所には大行列ができたが、その多くが家族連れで、創価学会がよくやるワゴン車での送迎などは見かけなかった。従来、期日前投票は自公票が多いが、今回は出口調査でデニー票の多さが際立ったことも、早い「当確」報道の根拠となったのだろう。57.92%という低投票率(前回より5ポイント以上減)は、自公支持者が投票に行かなかったせいもあるのではないかと私は推察している。

 一方、わが名護市の議員選挙(26議席)は、新基地建設を容認する渡具知武豊市政の与野党が同数で拮抗していたこれまでの構図が変わり、与党15人、野党11人の当選という厳しい結果となった。今後、渡具知市政の暴走をどう止められるのか、野党議員だけでなく私たち市民の大きな課題でもある。
 とりわけ、新基地建設の地元である名護市東海岸地域で、私たち基地反対の住民運動が2006年に推し立て、4期を務めてきた現職市議が、最下位でどうにか当選できたものの、従来より大幅に得票を減らしたのはショックだった。
 勝敗を含め今後のさまざまな課題を突き付けた選挙だったと思う。
  浦島悦子
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年9月25日号
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2022年09月12日

【沖縄リポート】敗けるわけにはいかない県知事選=浦島悦子


 8月2日のペロシ米下院議長の訪台と、それに対抗する中国軍の「台湾封鎖」と称する空・海の軍事演習で、沖縄のきな臭さが一挙に強まった。
 嘉手納基地周辺では、次々と飛び立つ戦闘機、電子偵察機、空中給油機などの騒音激化が住民の生活を脅かした。台湾を包囲する中国の軍事演習場は与那国漁民の漁場から約50キロ。4日には波照間島や与那国島近海に中国軍のミサイルが落下し、漁民らは一時操業自粛を余儀なくされた。玉城デニー知事は「県民が巻き込まれることのないよう」冷静な外交を求めた。
 平和な島を求める県民の願いとますます逆行していく状況の中で、沖縄県知事選が迫っている(8月25日告示、9月11日投開票)。各市町村では議員とのダブル、首長選を含むトリプル選挙も多い。
 今回知事選の最大の争点はやはり辺野古新基地建設問題だ。戦争の危機が迫る中で巨大な米軍新基地を造ることが、どんな未来を引き寄せるのかを県民にしっかり訴えていきたいと思う。
 県知事選には、現在までに現職デニー知事を含め3人が立候補を表明している。前回知事選で敗れた自民党公認の佐喜眞淳氏は今回、新基地容認を明確にした。前回も立候補が取り沙汰され、自民党との調整で取り下げた下地幹郎氏が今回敢えて立候補したのは、参議院沖縄選挙区での敗北に危機感を持った自民党との裏取引があるのではないかと私は勘ぐっている。
 25年以上も翻弄されてきた新基地問題に県民が疲れているのは否定できない。反対しても埋め立てが止まらない現実に「あきらめ」感を持つ人も増えている。「辺野古を終わらせる」「軟弱地盤は埋め立てさせない。既に埋め立てられた場所や馬毛島を活用する」という下地氏の主張(実際には実現困難だが)に活路を見出す人もいるだろう。そうして、これまでの辺野古反対世論を分断=デニー票を減らし、結果的に佐喜眞氏(旧統一教会との関係も明らかになった)勝利を目論んでいるのではないか? 敗けるわけにはいかない‼  
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年8月25日号

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2022年08月01日

【沖縄リポート】「オール沖縄」薄氷の勝利=浦島悦子

 大激戦だった。参議院選沖縄選挙区。自民党が圧勝した全国の一人区で最後まで勝敗が決まらず、追いつ追われつの開票速報にハラハラし、ようやく結果が出たときは日付が変わっていた。「オール沖縄」候補(無所属・現職)伊波洋一氏27万4235票、自民党公認候補(新人)古謝玄太氏27万1347票。3000票足らずの差だった。
 今回、自民党は沖縄出身の元総務官僚、38歳の新人候補者に、これまでの選挙では曖昧にしていた「辺野古新基地容認」を明言させ、岸田首相をはじめ政府要人を次々と沖縄に送り込み、「新基地反対」の民意を徹底して圧し潰そうと狙っていることを、ひしひしと感じた。今年に入って行われた県内4市長選で自民党推薦候補が勝利した勢いを借り、今参議院選で自民党候補が当選すれば「新基地容認が民意」だと公言し、2か月後の知事選で「新基地容認」もしくは「推進」の知事を誕生させ、基地反対運動の息の根を止めるのが、政府の描くシナリオだろう。
 そんな並々ならぬ危機感を持って、私も今回、宣伝カーでの街宣、電話掛け、スタンディング、女性集会の開催等々、やれる限りのことをやった。
 新基地反対運動への影響に加え、「中国の脅威」や「台湾有事」を口実に進む南西諸島の軍事要塞化・訓練激化に拍車がかかり、沖縄が再び戦場にされるのではないかという危機感、「戦争はすべてを破壊する。平和でこそ暮らしも経済も成り立つ」ことを訴えた。
 政府の目論見が成功せず、ひとまずの勝利に安堵したが、票差は決して大きくない。古謝候補は、「若さ」を武器にした「即戦力」「明るい未来」を打ち出し、40代以下の多くの支持を得た。沖縄が抱える様々な問題を解決してこそ「明るい未来」が拓けるはずだが、(基地や戦争のような暗い)問題には蓋をして、バラ色の未来を見たい傾向に危惧を感じざるを得ない。10年後、20年後の沖縄はどうなるのだろう…?
 全国的には自民党の独り勝ちを止めたかったが、はるかに及ばなかった。安倍元首相の襲撃・死亡事件の選挙への影響がどれだけあったかわからないが、岸田政権の言う「民主主義への挑戦」「選挙への冒涜」という言葉はそっくりお返ししたいものだ。    
 浦島悦子
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年7月25日号
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2022年07月18日

【支部リポート】北九州支部と保険医協会 中立地帯で平和実現を ロシア侵攻で足立氏講演=久田ゆかり

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ロシアのウクライナ侵攻。JCJ北九州支部は、戦争は「手段」であって目的では無く、戦争で何を得たいのか、その後どうしようというのか等、議論してきた。福岡県歯科保険医協会の定期総会・講演会に参画。5月28日、平和学研究者でコスタリカ社会科学研究所代表理事の足立力也氏を招き、「今こそ聞きたい〜紛争解決学によるウクライナ情勢の出口戦略」を講演=写真=(撮影・久田ゆかり)してもらった。杉山正隆支部長が司会しwebを含め100人が参加した。
「紛争解決学」とは、平和学の一分野で、「平和を達成するために、平和を阻害する要因である紛争を平和へと転換する法則を考える」学問だ。紛争当事者の達成したい目標を見極め、それらを「超越」する、双方にとって利益のあるゴールを再設定することが理想とされる。
今回は「超越」までの必要はなく、より難易度が低い「妥協」で良いと考えられる。開戦のわずか4日後に停戦協議を開始しており「ロシアは解決を焦っている。最初から妥協を導きやすい環境にある」と足立氏。

ロシアが示した主な停戦条件は@ウクライナの中立化Aウクライナの非武装化Bウクライナ領だが2014年にロシアが併合したクリミア地方のロシア主権承認Cウクライナの東南部に位置するドンバス地方の独立承認。ウクライナが@とAを承諾しロシアがBとCについて譲歩することで出口が見えてくる。
「中立化」は「ウクライナの NATO 非加盟」でありハードルが低い。既にウクライナは 1 枚のカードを切れる状態にあり、ロシアに代償のカードを1枚切らせることができる。仮に「国連が担保する中立地帯」が実現すれば歴史上初のものとなると強調した。
紛争が起こると軍拡競争に陥り長期化泥沼化するのは歴史的にも明らかだ。多くの人命や財産が奪われる事態を早く終わらせるために人知を結集する必要がある。北九州支部も講演会や勉強会を通じ平和裏に解決すべく努力を尽したい。
久田ゆかり(健和会大手町リハ病院・JCJ会員)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年6月25日号

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2022年05月31日

【沖縄リポート】復帰50年!誰が踏み台にしたか=浦島悦子

                            
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 5月15日、沖縄が「日本復帰」して50年となった。日本政府は「祝賀」ムードを演出したいようだが、県民は冷ややかだ。
「復帰」時の悲願であった「基地のない島」「平和憲法への復帰」はことごとく踏みにじられ、「復帰」後、基地負担はさらに増えたばかりか、県民投票をはじめ繰り返し示される「反対」の民意を足蹴にして辺野古新基地建設が強行されている。
 4月25日、新基地建設着工5周年抗議海上集会が、大浦湾のK9護岸(最初に作られた埋立用護岸。埋立土砂陸揚げのための桟橋として使われている)前で開催され、カヌー32艇、抗議船6隻が参加した=写真=。
 赤土まじりの土砂を積み上げた台船が接岸し、目の前で運搬用のダンプがひっきりなしに行き来する。かつてはジュゴンの食み跡も確認された沿岸域のあまりの変わりようにショックを受けた。
 4月8日、国土交通大臣は、玉城デニー知事が昨年11月に行った、沖縄防衛局の設計変更申請に対する「不承認」を取り消す裁決を行うと同時に、20日までに「承認」するよう勧告。それに応じなかった県に対し28日、法的拘束力を伴う「是正の指示」を行った。
 4月28日は、70年前のサンフランシスコ講和条約で日本の「主権回復」と同時に、その「担保」として沖縄がアメリカに売り渡された「屈辱の日」だ。しかも「是正(承認)」の期限は「復帰の日」翌日の5月16日。沖縄をどこまで「うしぇーてる(バカにしている)」のか‼と怒りは募る一方だ。
 1950年代に30%だった在日米軍基地負担が今や70%を超え、米軍による事件・事故、環境汚染、生活破壊、さらに自衛隊基地も加わって軍事要塞化が進む「復帰50年」の惨憺たる状況の中で、沖縄では、「復帰」とは、この50年は何だったのか―の問い直しが始まっている。しかし、「沖縄の日本復帰」をいちばん問い直すべきは、沖縄を踏み台にし続けてきた日本人ではないか。そして、アメリカの「属国」となり果てた日本の「屈辱」についても。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年5月25日号
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2022年05月06日

【沖縄リポート】基地が広げる深刻な水汚染危機=浦島悦子

                             
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 「日本復帰」50年となる今も、米軍基地と自衛隊基地がひしめく沖縄。それらがもたらす数多の被害の中で最も深刻なものが、命を支える水の広範囲にわたる汚染だ。4月10日、宜野湾市民会館大ホールで開催された「PFAS汚染からいのちを守る県民集会」=写真=はそんな危機感に満ちていた。
 PFASは有機フッ素化合物の総称で、1950年代以降に開発され、環境中で分解しないため「永遠の化学物質」と呼ばれる。基地での消火訓練や事故などの際の消火剤として使われ、そのまま土壌や河川に放出されて地下水や水道水を汚染してきた。
 同会の伊波義安・共同代表は、「(嘉手納基地に近い)北谷浄水場から配水される7市町村45万人が50年以上汚染水を飲まされ続けてきた。ちょうど2年前の今日は、普天間基地からの泡消火剤大量放出があった。周辺住民の血液検査(血中濃度調査)をして裁判に訴えられないか検討中だ」と述べた。
 「沖縄のPFAS汚染」と題して講演したジャーナリストのジョン・ミッチェル氏は「2016年から沖縄の汚染調査を行い、米国とのギャップに衝撃を受けた。米国ではPFASを有害物質と認定、クリーン化に百億ドルを投資している。PFASは環境中を移動し汚染の悪循環を引き起こす。飲料水だけでなく卵・牛乳・肉・野菜などの食品を汚染し、産業や野生生物にも影響する。日本・沖縄が立ち入り調査できない日米地位協定を改定する必要がある。沖縄は米軍占領以来、神経ガス、核弾頭、ジェット燃料など様々な汚染が繰り返されてきた。PFAS汚染はその継続。復帰の際の『本土並み』はことごとく破られてきた。今日の集会は、沖縄の人権を守り公平・公正を求めていく第一歩だ」と語った。
 嘉手納、金武、北谷、宜野湾、うるま、那覇の汚染の現場で取り組んでいる人々からの報告があり、3人の子育て中の母親は子どもを抱いて壇上に立ち「子どもたちに安全な水を」と訴えた。国・県あての決議を採択、血液検査のためのカンパが呼びかけられた。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年4月25日号
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2022年04月04日

【沖縄リポート】戦場化に危機感 新運動体発足=浦島悦子

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 2月24日、世界中を震撼させたロシア軍によるウクライナへの武力侵攻。以来、拡大の一途を辿る戦火に逃げ惑い、死傷し、隣国への避難を余儀なくされるウクライナ市民の姿に、沖縄戦体験者たちは77年前をフラッシュバックさせ、心身を震わせている。
 また、現在のウクライナの状況を、日米中のはざまに置かれ、「中国の脅威」や「台湾有事」を口実に日米による軍事拠点化・ミサイル配備が進む沖縄・琉球諸島に重ね、「明日の我が身」と感じる県民も多く、連日、沖縄各地で抗議行動や意思表示が行われている。
 オール沖縄会議を構成する県内各島ぐるみ会議が毎月第1土曜日にそれぞれの地で行っている辺野古新基地建設に反対する「ブルーアクション」も、今月(3月5日)は、ウクライナ侵攻への抗議を中心に取り組まれた(写真は、島ぐるみ会議名護のスタンディング)。
 そんな中で3月19日、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」の発足集会が行われる。同会は、保革や立場の違いを超えて「沖縄の島々がふたたび戦場になることに反対する」という一点で結集する県民運動を呼び掛けて、去る1月31日に設立された。3月4日現在882人が呼びかけ人・賛同者に名を連ねる。
 共同代表の1人である山城博治さん(共同代表は他に石原昌家、具志堅隆松、ダグラス・ラミス、宮城晴美の各氏)は設立に至る思いを、「台湾有事=日本有事=日米同盟の有事という理屈で日米が動いており、沖縄が再び戦場になろうとしているのに、世論が盛り上がっていないことに危機感を持った」「オール沖縄会議は辺野古新基地建設反対運動で大きな役割を果たしてきたが、自衛隊問題には踏み込めないため新しい運動体が必要だ」と語る。
 私自身も、新基地建設反対だけでは、現在の事態に対処できないと痛感している。山城さんが言うように「沖縄が再び大国のエゴ・覇権主義の餌食にならないために」、武力でなく「国際対話」による解決を沖縄から発信する同会に賛同する。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年3月25日号
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2022年02月21日

問われているのは日本 ベテラン記者が語る沖縄復帰50年 帰還兵の犯罪に絶望感 消えた「住民虐殺」に怒り=米倉外昭

 5月に沖縄の日本「復帰」(米国から日本へ施政権返還)から満50年となる。沖縄には祝賀ムードはほとんどない。一方で、今年は1月23日の名護市長選に続き、夏の参院選、秋の知事選など、改めて民意が問われる年だ。復帰前後から現在まで沖縄を見つめてきたベテランジャーナリストに、この50年を振り返りながらジャーナリズムの課題を語ってもらった。まとめ・米倉外昭(JCJ沖縄)
     ◇
 琉球新報で長く基地担当を務めた高嶺朝一さん(78)は1970年入社。復帰前の毒ガス移送、コザ騒動、復帰に伴う「世替わり」を支局記者として取材した。その中で、ベトナム戦争からの帰還米兵による凶悪事件に強烈な印象があると語る。

殺された青年宅へ
 復帰直後の事件として注目された1972年9月のベンジャミン事件で、ベンジャミン元上等兵に射殺された青年宅を訪ねた。「暑い日で、野原の中の火葬場で、大空に煙が立っていた。人間の命がこんなに粗末にされていいのかと思った」。心神喪失だったとして無罪判決となり「こんなものか」と絶望を感じた。
 諸見里道浩さん(70)は復帰の時は国費留学で山形大学の学生だった。学生運動の中で、ガリ版ビラの「沖縄情報」を作り配った。米軍基地を温存する沖縄返還協定への怒りの一方で、民族主義的な「祖国復帰」運動への批判も強まっていた。「ヤマトに行って改めて沖縄問題に出合った」と振り返る。

未解決の問題抱え
 批評家の仲里効氏が言う「復帰の喰(く)ぇーぬくさー」世代と自覚する。戦後世代を「艦砲の喰ぇーぬくさー」(艦砲射撃の食い残し)と言うのをもじったもので、「復帰で解決しなかった問題を学生時代から抱えたままの世代かな」とかみしめるように話す。
 沖縄タイムス記者になってからの出来事として、82年に日本軍による住民虐殺が教科書から消された問題が大きかったと言う。「怒り、憤りと共に新たな証言がどーっと出てきた。事実をもう1回掘り返そう、証言を取り直そうと、連載にも取り組んだ」
 その後も沖縄県民は、沖縄戦の歴史認識を巡って 何度も怒りの声を上げてきた。2007年には強制集団死(「集団自決」)に軍の関与がなかったという文科省の検定意見が大問題となり、11万人以上が集まる県民大会が開かれた。
 高嶺さんは「沖縄戦報道と基地問題報道が、1995年の少女の事件(米海兵隊員による少女暴行事件)や教科書問題によって結びついた。運動に保守陣営の人たちも加わるようになった」と振り返った。
 82年は教科書で侵略を「進出」に書き換えた時であり、07年は歴史修正主義者が強制集団死を住民の自発的な死として美化しようとした。諸見里さんは「戦争の捉え直しの時にいつも沖縄戦が現れてくる」と指摘する。

日本巻き込む論を
 また、県政として日本に異議申し立てをした大田昌秀知事(1990〜98年)と翁長雄志知事(2014〜18年)の時代も、それぞれ安保再定義を受けた米軍再編、米軍と自衛隊との一体化の、始まりと完成期に対応していると分析している。
 これらを踏まえて、諸見里さんは「沖縄が異を唱えていることは日本の課題だ。日本を巻き込むような大きな論を立てて、巻き込んでいってほしい」と沖縄のメディアに注文をつけた。
 高嶺さんは「インターネットで便利になったが、新聞が伝えるべきことは変わらない。沖縄のメディアは東京やワシントンから見るのではなく、地元の普通の人々の暮らしから、その矛盾も含めて丁寧に伝えることが大事ではないか」と提言した。

【略歴】
 ▼高嶺朝一(たかみね・ともかず) 1943年那覇市生まれ。1970年琉球新報社入社。論説委員長、編集局長、社長など歴任。著書「知られざる沖縄の米兵―米軍基地15年の取材メモから」(高文研、1984年)など。

▼諸見里道浩(もろみざと・みちひろ) 1951年那覇市生まれ。1974年沖縄タイムス社入社、論説委員長、編集局長、専務など歴任。21年4月に「新聞が見つめた沖縄」(沖縄タイムス社)発刊。
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年1月25日号

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2022年02月07日

【沖縄リポート】米軍発感染拡大の中 名護市長選=浦島悦子

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 米軍基地から「染み出した」と言われる新型コロナウイルス・オミクロン株が猛威を振るっている。昨年12月15日以降、米軍キャンプ・ハンセンで、沖縄に移動してきた米軍関係者の集団感染が続き、17日に基地従業員の感染が初確認。年末には県内の新規感染者数が2桁となり、年明け1月1日の52人から連日、2倍、3倍と増え、7日には1414人(+米軍254人)!!東京の人口に換算するとその十倍の数になる。
 今後もさらに増えると予想され、沖縄県の「外出禁止」要請を無視し続ける米軍や、県が訴える「日米地位協定見直し」を否定する岸田政権への怒りが募っている。
 そんな中で私たち名護市民は、1月23日投開票の市長選に向けて奮闘中だ。自公政権の全面支援を受け、現職市長として「顔と名前を売る」機会も多い渡具知武豊氏に対抗する新人候補・岸本洋平市議の知名度を上げようと、宣伝活動や地域回りを重ねてきた。12月23日に開催した「ようへい必勝!総決起大会」は、会場の名護市民会館大ホールが千人以上の参加者で満席となり、熱気にあふれた=写真=。岸本氏は「新基地建設は認めない」「市民の暮らし、子や孫の未来を必ず守る!」「名護市の未来は名護市民で決めよう!」と力強く語り、満場の拍手を浴びた。

 しかし年明け以降、コロナ感染の爆発的拡大が選挙運動にも大きな困難をもたらしている。それは両陣営に共通だが、知名度の劣る新人候補には、より痛みが大きい。
 そんな折、渡具知市長を巡る「名護版モリカケ疑惑」が浮上してきた。移転した名護消防庁舎跡地(市有地)の売却を巡る不透明性が昨年来、市議会で問題になり、百条委員会も設置されたが、市民はほとんど知らなかった。公募入札で1億3千万円も高い価格を付けた業者が選ばれず、市長の親族会社の子会社に売却されたのだ。この親族会社は辺野古埋め立て工事に係る業者でもある。
 市民の判断がどう出るのか、投票率も含め気が抜けない。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2022年1月25日号
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2022年01月07日

【沖縄リポート】設計変更「不承認」をめぐる闘い=浦島悦子

                          
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 11月25日、玉城デニー知事は、沖縄防衛局による辺野古新基地建設のための設計変更承認申請(軟弱地盤改良工事等)について「不承認」の判断を下し、同局に通知した。昨年4月、県に提出されてから1年半、私たち県民が一日千秋の思いで待っていた判断だ。
「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は翌26日昼休み、県庁前で、これを支持する緊急集会=写真=12月3日夜には同じく県庁前での集会と国際通りデモ行進(参加500人)を行い、辺野古ゲート前の座り込み抗議行動でも連日、「知事の不承認を支持するぞ‼ 工事を即刻中止せよ‼」のシュプレヒコールが響いた。
 4日には、コロナ禍で休止されていたゲート前県民大行動(毎月第1土曜)が1年2か月ぶりに開催された。デニー知事も駆けつけ、不承認判断の根拠や「新基地を自ら提供しない」決意を述べ、800人の参加者の熱烈な支持を受けた。
 これに対し国=沖縄防衛局は7日、行政不服審査法による審査請求(不承認の取り消し)を国土交通大臣に行った。2018年、沖縄県の埋め立て承認撤回を取り消した時と同じ手口だ。当時、行政の不当な処分に対する国民(私人)の権利救済のための法律を国家権力が悪用・濫用するものだと、全国の行政学者から非難を浴びた手法を、再び使ったのだ。全国知事会も、地方自治を脅かすものだと懸念を示している。
 国の対抗手段は県も県民も織り込み済みで、出来レースを見せられているようなうんざり感があるが、しかし国の「やりたい放題」を許せば「法治国家」は崩壊する。司法の在り方も含め、全国民的課題として取り組む必要があると思う。
 来年1月23日に投開票される名護市長選に向けても自公政権は攻勢を強めている。5日に行われた渡具知武豊現市長の選挙事務所開きには菅義偉前首相や、このほど当選した島尻安伊子衆院議員が駆け付け、また辺野古周辺3区の区長とも面談するなどテコ入れを行った。 
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年12月25日号
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2021年12月11日

【沖縄リポート】3区で敗北 名護市政取り戻せ=浦島悦子

                             
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今衆議院選は沖縄でも厳しい結果となった。辺野古新基地建設の現場である名護市を含む沖縄3区では、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が支援した立憲民主党の現職・屋良朝博氏が自民党の島尻安伊子氏に約7200票差で敗れ、わが名護市でも約1500票の差を付けられた。
 年明け1月23日に市長選を控える私たちにとって、この差は大きい。国政選挙と地方自治体の選挙は違うとはいえ、この四半世紀、名護市長選は一貫して国対名護市民の闘いだった。
 1997年の市民投票で示された「新基地NO」の民意を押さえつけて基地建設を強行する国の攻撃・圧力をはねのけ、2010年から2期8年、稲嶺進市政は「新基地を造らせない」公約を貫いたが、2018年の市長選で国は総力を挙げて3選を阻み、渡具知武豊現市政を誕生させた。
 今衆議院選の勢いを借りて、国は、今度こそ基地反対の民意の息の根を止めようとしていることが窺える。衆議院選から一夜明けた11月1日、島尻選対名護事務所は早速、渡具知事務所に看板を付け替えた。
 今回の島尻氏の勝利は、比例区・公明党とのセット戦術が功を奏したと言われている。前回市長選でも、公明党・創価学会の組織的動きはすさまじかった。来る市長選ではさらにそれが強まるだろう。名護市民の手に市政を取り戻すために、組織力のない私たち市民がそれにどう立ち向かえるのかが最大の課題だ。
 11月6日、辺野古の浜でオール沖縄会議による第2回ブルーアクション(写真)が行われた。沖縄選出国会議員や県議会議員など少人数の集会をライブ配信し、同時並行で県内各市町村島ぐるみ会議がそれぞれの地で集会やスタンディングを行い、「新基地NO」の意思を広く示そうというもの。大雨のためメイン会場を浜から浜テントに移し、海上チームも参加(写真)。第1回の10月2日(辺野古ゲート前)に続き、県内20数か所(県外でも呼応)で、変わらない民意が示された。
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年11月25日号
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2021年11月02日

【沖縄リポート】衆院選で工事現場も姑息な動き=浦島悦子

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  10月1日、キャンプ・シュワブ第二ゲート前に抗議の声が響いた。沖縄防衛局が、名護市議会の中止決議も沖縄県の要請も無視して、辺野古新基地建設のための大浦湾埋め立てに必要な美謝川切替工事に強行着手したのだ(写真)。
 隣りの工事用ゲートで搬入車両の監視をしていた人たちも合流して抗議集会が始まった(主催:ヘリ基地反対協議会)。土木技師・北上田毅さんの報告によると、この工事を締結した東亜建設工業(地盤改良工事専門)は羽田空港工事で不正が発覚した企業。当面の工期は2年間だが、それはごく一部で、工事はさらに続くという。「森林法、県の赤土防止条例、名護市条例等に違反する法令上の問題に加え、防衛局の設計変更申請に対する知事の不承認が出たら工事は止まり、無駄な工事になる。こんな中での着工は許されない。現場できちっと監視し止めていこう!」と訴えた。
 他の発言者からは「新政権も、何が何でも工事を強行するという意思表示だ」「辺野古を止めるために政権交代、名護市長戦勝利を!」の声が上がった。
 4日、岸田文雄新内閣が発足したが、顔が変わっても体は同じ。派閥寄せ集め内閣を背後で操る顔も見え隠れし、「辺野古は着実に進める」姿勢は安倍・菅政権と変わらない。
 それでも、31日投開票の衆議院選に向けて、沖縄選挙区では辺野古問題を避けては通れない。新内閣の沖縄担当相に就任した西銘恒三郎氏は5日、記者団から、沖縄戦時の遺骨の混じった南部の土砂を辺野古埋め立てに使う計画について問われ、「常識としてどうなのかと思う」と答えた。彼が立候補する沖縄4区は当の南部を含む。「使う」とはとても言えないだろう。
 辺野古の工事現場の動きも6日以降、作業車両が極端に少なかったり、ゼロの日があったり、工事残土の搬出のみだったり、選挙がらみか?と噂されている。新基地建設が県民に支持されていないことを彼らもよく知っているのだ。
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年10月25日号 
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2021年10月16日

【沖縄リポート】安部―菅支配が遺した惨憺たる現状=浦島悦子

                         
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 菅総理大臣の突然の辞任表明には驚いたが、同時に当然の自滅だと思った。権力に固執する最後の悪あがきが「墓穴」をより深く掘ったのだろう。
 安倍政権誕生以来、長期間続いてきた安倍―菅強権支配は、日本という国に多大な禍根を残したが、沖縄ではそれがよりいっそう露骨かつ過酷に表れた。それは惨憺たる現状を見れば明らかだ。
 民意も地方自治も一顧だにせず、国が「粛々と」強行する米軍新基地建設工事では、サンゴ移植に、水生生物にも人にも有害な接着剤が使われていることが明らかになった。
 米国におもねり、米軍のやりたい放題を追認したツケはすべて県民に押し付けられている。相次ぐ米軍事故や米兵犯罪に加え、宜野湾市や県の猛反対にもかかわらず米軍が普天間基地から強行放出したPFAS(ピーファス=有機フッ素化合物)汚染水は、半永久的に地域住民の命の水を汚染し、低体重児の出生、免疫力の低下、ガン化などの健康被害が危惧されている。

  9月2日、この暴挙に対し宜野湾市・うるま市の市民らが、米軍司令部(北中城村石平在)前で緊急抗議集会を行った(写真)。コロナ禍の中、平日の午後にもかかわらず150人以上が集まったことは危機感の大きさを物語っている。
 陸上自衛隊がうるま市勝連分屯地にミサイル連隊本部を置くことも報道された。琉球諸島4か所のミサイル部隊を指揮統括するという。米国の対中国戦略の楯として沖縄を差し出そうというのだ。
 国策に従わない民にどんな仕打ちをしてきたかも沖縄ではよく見える。わが名護市は来年1月に市長選を控えているが、前回選挙で、新基地建設に反対する前市長を何としても潰すために、菅官房長官(当時)が自ら采配を振るったことを忘れるわけにいかない。
 私たちが望む政権交代も今衆議院選では厳しいだろう。せめて自民党議席を大幅に減らし、政権の暴走を止めたい。
浦島悦子
 JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年9月25日号
 
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2021年09月13日

【被爆から76年・長崎】被爆者の思い受け止めず 注目されたのは遅刻だけ=西郷 格

 8月9日の長崎市平和祈念式典で、田上富久市長は、日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める平和宣言を読み上げた。平和宣言で条約への参加を訴えたのは、2017年に条約が国連で採択されてから5年連続だ。さらに、今年は条約が発効し来年3月に締約国会議が開かれることになったため、「オブザーバーとして参加し、条約を育てるための道を探ってください」と、一歩でも前進して欲しいと呼びかけた。
 しかし、式典に出席した菅首相は、挨拶で、核廃絶を抽象的に述べるだけで、核兵器禁止条約には一言も触れなかった。
 式典後、被爆者団体は菅首相に会い、条約への参加を直接訴えた。これに対して、菅首相は、「現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが、より適切だ」と、条約に参加しない立場を繰り返しただけだった。
 また、被爆者団体は、広島で黒い雨を浴びた人たちが勝訴したことを受けて、長崎でも同様に被爆者と認めて欲しいと訴えている被爆体験者も救済するよう訴えた。しかし、この問題でも、菅首相は、「長崎では、訴訟が継続中ですので、まずは、その行方を注視していきたい」と述べただけだった。
 被爆者団体の代表の1人、川野浩一さんは、「もう少し前向きな回答があると考えていた。頭から要望をシャットアウトしていて、被爆地の思いを受け止めようという誠
意がない」と怒った。
 核廃絶も被爆者援護もゼロ回答の結果、注目されたのは菅首相が式典に1分遅刻したことだけになってしまった。
  西郷 格
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年8月25日号
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2021年09月03日

【沖縄リポート】執行停止の手口でサンゴ移植すぐ再開=浦島悦子

                             
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 辺野古の海でまたも、国による暴挙が強行された。海の生態系を支えるサンゴの大量破壊・殺戮が続いている。
 新基地建設工事のためのサンゴ移植を巡る最高裁での敗訴判決(7月6日、前号で報告)に、不本意ながら従わざるを得ないと判断した沖縄県は28日、沖縄防衛局に移植(サンゴ約4万群体)を許可した。但し、サンゴの生存率を高めるため、高温期や台風時期、繁殖期を避けるという条件付きで。
 ところが防衛局は、条件などハナから無視して翌29日から移植作業を開始。県の行政指導にも応じなかったため、玉城デニー知事は30日、許可を撤回。31日から作業は止まった。県の「許可」に忸怩たる思いだった県民は、知事の素早い「撤回」に拍手喝采した。
 しかし、この国ではもはや、真っ当な理屈は通らない。案の定、防衛局は8月2日、撤回の執行停止を農水大臣に申し立て、県は撤回の正当性を主張する意見書を提出した(4日)が、農水大臣は翌5日に執行停止を決定した。3年前、沖縄県による埋め立て承認撤回を、行政不服審査法を悪用して執行停止したのと同じ「手口」だ。

 間髪を置かず翌日から作業再開というのも「あの時」と同様だった。作業が止まったのはわずか1週間足らず。台風接近で波の高まる中、6日から再開された移植作業を監視する(コロナ感染拡大により抗議行動は休止中)海上行動チームの胸は悔しさでいっぱいだ(写真)。
 それにしても国は、何をそんなに焦っているのだろう…? サンゴの移植が保全に役立たないことは、専門家のみならずほぼ常識となっている。たとえうまくいったとしても、最高裁判決で反対意見を述べた裁判官が言ったように「設計変更が不承認になれば移植は無駄になる」のだ。もしかして国は、こんな(真っ当な)裁判官が増えないうちに強行したい? 血税の壮大なる無駄遣いによる自然と水産資源の破壊。こんなバカげたことを許してはならない!
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年8月25日号
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2021年08月06日

【沖縄リポート】土地規制法廃止へ声上げた名護市議会=浦島悦子

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  6月30日夕刻、名護市役所ピロティで「新基地建設のための美謝川付替えを許すな!/重要土地規制法の即時廃止を!」市民集会が行われ、梅雨末期の大雨の中、名護市議会議員・市民ら70人余が参加した(写真)。
 6月議会最終日のこの日、名護市議会は2つの決議・意見書を野党の賛成多数で採決した。一つは、沖縄防衛局が行う美謝川付替え(これをやらないと埋め立てはできない)に名護市との協議は不要として無条件に新基地建設を認める姿勢を示した渡具知市政に対し、美謝川付替え工事の中止を求めるもの、もう一つは、先の国会で強行採決された重要土地規制法の即時廃止と臨時的対応(内閣総理大臣からの情報提供要請への拒否など)を求めるものだ。沖縄への監視を強める土地規制法に対し、新基地問題の地元である名護市議会がいち早く声を上げた意義は大きい。
 集会では、それぞれの決議の提案議員からの報告があり、次期市長選(来年1月)への立候補を表明している岸本洋平市議が「市政を市民の手に取り戻そう」と訴えた。

 辺野古基地問題を巡っては、工事のためのサンゴ移植を許可するよう農林水産省が県に指示したのは違法だと、沖縄県が取り消しを求めた訴訟で、最高裁は7月6日、県の上告を棄却した。結果だけを見ると県の敗訴だが、裁判官5人のうち2人が「県の判断は違法とは言えない」と反対意見を述べたことは、国家権力の下僕となり下がった司法に絶望しか感じていなかった私たちにとって嬉しい驚きだった。
 反対意見は、「設計変更が不承認になった場合、移植は無駄になる」「移植が環境保全措置に該当しているとは判断できない」等と踏み込み、沖縄県や県民の主張と合致する。これまで私たちは、国を相手の訴訟を何度やっても門前払いされ、無力感とたたかいつつ続けてきたが、それは無駄ではなかった。設計変更申請に対する沖縄県の「不承認」判断が間もなく出る。しっかり支えていきたい。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年7月25日号
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2021年07月10日

【沖縄リポート】県民をスパイ視の悪法成立=浦島悦子

                         
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 稀代の悪法「重要土地調査規制法」案が参議院において、強行採決か廃案かの大詰めを迎えている(6月11日現在)。
 辺野古新基地建設工事の強行、「中国の脅威」を振りかざした宮古・八重山での自衛隊基地建設、日米共同訓練の激化等々、軍靴の足音が日々高まる中でこの法案が出てきたとき、「とうとうここまで来たか」と背筋が寒くなった。
  住民の反対を踏み潰して強行されるそれらの動きに対して、住民はなお不屈のたたかいを続けている。政権にとってそんな「目の上のタンコブ」を「一掃」できるのが同法というわけだ。「その他政令で定める」「その他の関係者」「必要がある場合」など、調査や規制の対象は権力者の胸先三寸。住民の相互監視や「密告」が奨励され、罰則もある。
  普天間基地を抱える宜野湾市の市長も務めた伊波洋一参議院議員は、米軍基地に土地を奪われ、基地周辺に居住せざるを得ない住民や「国境離島」の住民など沖縄県民すべてを「スパイ視」する法案だと追及した。

 この法案に反対し廃案を求める声明には全国297団体が賛同し、衆議院・参議院での審議に合わせて院内集会がもたれた。衆議院での院内集会(5月26日)では私も、辺野古現地からリモート発言し、「米軍キャンプ・シュワブの国道を隔てた向かいにある座り込みテント(写真)など、私たちが基地周辺に持っている3つの拠点が法の対象にされるのは明らか。住民を委縮させ、市民的抵抗の拠点を奪うものだ」と訴えた。最近、ゲートには多数の監視カメラが追加新設されている。
  6月4日、鳥類研究者の宮城秋乃さんが県警の家宅捜索を受け、県民に衝撃が走った。米軍北部訓練場の返還跡地に散乱している米軍廃棄物を回収し、基地ゲートに置いたのが威力業務妨害だとして、パソコンやビデオカメラ等が押収され、連日事情聴取された。「審議中の法案の先取り」「監視すべきは住民でなく基地だ」と抗議の声が高まっている。何としても廃案に!    
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年6月25日号
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2021年07月03日

【JCJ沖縄】旭川医科大による記者の私人逮捕と旭川東署による勾留に対する 抗議 声明  

 日本ジャーナリスト会議沖縄 (JCJ 沖縄) は、 旭川医科 大学 による取材中の記者の私人逮捕と、旭川東警察署による 48 時間の勾留について抗議 する 。大学と警察という公共機関による取材妨害と報道の自由の侵害にあた るもので 看過 できない 。 この行き過ぎた行為について大学と警察 へ経緯の 説明と謝罪を求め る 。
 旭川東警察署は 6月22日、旭川医科大 の施設内に正当な理由なく侵入したとして、建造物侵入の疑いで北海道新聞旭川支社の記者 を 現行犯逮捕 し 、その後 48 時間勾留 した 。しかし 同 大学では 同日、吉田晃敏学長の解任を審査する学長選考会議が開かれ ており、 署によると 記者は 「会議の場所を探すために入った」と 説明したとのこと である 。記者が、取材を目的に大学内に入ったことは明白であり、 逮捕にあたる事案でないことは 明らか だろう 。
 旭川医科大による私人逮捕についても大きな疑問が沸く。国立大学法人である同大は公共の施設であり、取材記者の通行も当然認められるべきものである。同大では昨年12月以降、報道各社の取材で、吉田晃敏学長による数々の不祥事が発覚した。そうした中の学長選考会議の開催直前に、新型コロナウイルス感染対策を理由に記者の大学内の通行を制限したことをもって「不法侵入」と主張することは、あまりにも道理が通らない。今回の事案は、大学側が「取材拒否をした」のであって、「不法侵入」とは全く別次元のものである。
 重要事項に関して取材拒否や情報の非公開を続けた大学側の姿勢や、大学の求めに応じて一方的に必要のない拘束を実行した警察署の対応こそが問題である。こうした事案が認められれば、取材により、マスメディアが権力を監視することは今後ますます困難となる。
 記者は逮捕の2日後に釈放されたが、同署は28日現在、在宅で捜査を継続中という。行き過ぎた捜査はいまだ続いている可能性が高い。また旭川医科大については後日、この記者が録音していたとして北海道新聞社に抗議文を送付しているという。勘違いも甚だしい抗議であり、北海道新聞社は、自社の記者と報道の自由を守るため、大学側と警察署に対して断固とした姿勢を示し、取材・報道の自由は国民の声であることを自覚すべきであろう。
 われわれ日本ジャーナリスト会議沖縄は、旭川医科大と旭川東警察署の一連の対応について強く抗議する。と同時に、なぜこのような事態が発生したのかその説明と、不当に拘束された北海道新聞記者への謝罪を求める。
                                                     2021年7日2日
日本ジャーナリスト会議沖縄(JCJ沖縄) jcjokinawa@gmail.com
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2021年06月11日

【沖縄リポート】「沖縄・奄美 世界遺産へ」複雑な思い=浦島悦子

                           
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  5月11日、地元2紙の1面トップに「沖縄・奄美 世界遺産へ」の大見出しが躍った。国際自然保護連合(IUCN)が「奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島」を世界自然遺産に登録するよう勧告、7月に正式決定される見込みだという。2018年の登録延期以来3年、地元や県の「安堵」「歓喜」を伝える紙面を見ながら、私の胸は複雑だ。
 30年前、私は沖縄島北部(やんばる)の自然林を切り裂いて建設される広域基幹林道(県営)「大國林道」の反対運動にかかわり、残念ながら造られてしまった後、「琉球諸島を世界自然遺産に!」と訴える市民運動に加わった。私たちの願いは、繊細な島の生態系に合わない過度の開発をやめ、自然破壊の最たる米軍基地をなくし、海と陸を含めた島嶼生態系を一体として保全する仕組みを構築することであり、世界自然遺産登録は目的ではなく「手段」だった。
 やんばるの登録予定地は米軍北部訓練場に隣接する。2016年に過半が返還されたとはいえ、なお4000ha近くもあり、オスプレイを含め激化する一方の訓練が周辺住民と野生生物を脅かしている。返還地からは薬莢や放射性物質を含む廃棄物が次々と見つかり、かつて使用されていた枯葉剤の汚染除去もされないままだ。さらに、近接の辺野古・大浦湾海域では、世界遺産に匹敵すると言われながら新基地建設のための工事と破壊が進む。
 また奄美大島では、鹿児島県が「奄美世界自然遺産トレイル」のルートを公表したが、そのルート上にある市(いち)集落には、辺野古への土砂搬出の可能性のある採石場が立ち並ぶ。採石場周辺の自然調査を行っている「海の生き物を守る会」の安部真理子さんは、「大型ダンプが1日何台も行き来し、トレイルに書かれている『自然や人とのつながりを感じる心』とか『地域住民が地域の誇りを再認識する』とは程遠い場所だと思う」と語る(写真)。
 登録を機に、私たちが考えるべきこと、取り組むべきことはあまりにも多い。   
 浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年5月25日号
 
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