2017年09月25日

前川喜平インタビュー2 権力すり寄りすぎ、危険な読売・産経 取材しても出ず―可哀想なNHK記者=橋詰雅博

――取材が集中した当事者として今のメディアの状況をどう見ています。

加計問題で最も先行していたのはNHKです。複数の現役官僚から情報を得ていた。私の知る限り朝日より深く取材していた。GW前の4月ごろ、メディアで最初にインタビューを受け、「この文書を見たことがあるか」「加計学園の獣医学部新設をめぐり内閣官房から働きかけがあったか」などの質問をされた。ところがいつまで経っても放送されない。どうしたのだろうと思っていた。

社会部意地の映像

すると5月16日のNHK番組「ニュースチェック11」は大学設置委員会が建設中の加計学園の獣医学部を実地調査するというニュースを流した。ところが画面に映っていたのは、平成28年9月26日の日付が入った内閣府伝達ペーパーでした。「平成30年4月開学を大前提」は映っていたが、「官邸の最高レベルが言っている」や当事者名などは黒塗りでした。

私も日付入りを見たのは初めて。日付入りは課長レベル以下のための記録用で、私が見た日付なしは、ダイジェスト版で省内上層部などへの説明資料。大臣も副大臣も見ているはず。本当にヘンな形で文書が報じられました。

この映像は私に接触していた記者に言わせると、「我々社会部の意地。黒塗りでもいいから出したかった」と。恐らく朝日はこの番組を見て翌日の朝刊で報じた。しかし日付入りではなく、翌18日に日付入り文書を掲載した。

NHKが私のインタビューを放送しないのは、上から抑えられているからだろうと思っていたが、断続的に接触していた記者は「いくら取材してもこのままではニュースとして出ない、記者会見してもらわないと報じる方法はない」と言うのです。取材を積み重ね、情報を持っているに、可哀想だなと思いました。NHK社会部からの記者会見要請もありました。

政府側に立ち報道

読売と産経はものすごく権力寄り。特に読売は相当、政権寄りであることは間違いない。全国紙で唯一教育部がある。教育問題に熱心という評価はしていた。私も使わせていただいたが、「他社には言っていません、話すのは読売だけです」と言うと、大きく書いてくれた。

下村博文大臣(12年12月に就任、15年10月に退任)はそれを散々やっていた。大きく報じて欲しい時は事前に読売に話していた。義家弘介副大臣(今年8月退任)は産経に。出どころが大臣と副大臣で読売と産経がスクープしても問題にしなかった。ところが朝日や毎日が文科省の動きをスクープしたら、犯人探しを始める。

読売は政府側に立って動いてくれるので便利。しかも発行部数日本一で、政府の意図を国民に浸透させるツールとして重宝していた。文科省自身もお世話になっていた。

だが、安倍晋三首相の改憲構想を読売が憲法記念日の5月3日朝刊1面に載せたのは、どうかナと思った。安倍「広報紙」という感じがした。国会でも「読売を熟読」と発言し、とてもじゃないが一国の首相が言う言葉ではない。

私物化される読売

安倍政権によるメディアの私物化は、読売について特にその感がある。NHKも記者があれだけ取材しているのに報じない。しかも他社がどんどんと報道しているにもかかわらずまだ報じない、どうなっているのかと思った。

私は、安保法制は憲法違反だと思っているし、集団的自衛権行使容認は現憲法で認められるとはとうてい思えない。行政府が勝手に法制局の見解とか閣議決定で憲法の中身を変えるなど、あってはならない。憲法は権力をしばるもので、しばられている本人がしばりを解きますなどということができる話ではない。まさに立憲主義の危機で、違憲立法が行われたと思っている。これをおかしいと言った新聞と、言わなかった新聞があり、そこで線が引かれている。

読売と産経はかなり危険です。あまりにも権力にすり寄りすぎている。私の意見に近いのは朝日、毎日、東京。念のため読売も産経も読んだりします。(1面参照)

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

インタビューの続きは次号10月25日号に掲載します。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号8面掲載
posted by JCJ at 15:19 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

加計疑惑―前川喜平・前文科相事務次官インタビュー 官邸「口封じ」で吹っ切れる=橋詰雅博

「官邸の動きがあった」―加計学園疑惑ついて国会で参考人として発言し、安倍晋三首相を告発した前文部科学省事務次官の前川喜平(62)氏が、本紙のインタビューに応じた。約3時間にわたる取材では、焦点の「総理のご意向」文書から官界の空気、今のメディアの状況、自らの生き方にも及んだ。聞き手はJCJ事務局長兼機関紙編集長の橋詰雅博。


――告発に至った最大の理由は何ですか?
 告発という言葉がその時の状況を的確にあらわしているとは思えないが、成り行き上、そうなった。意を決して立ち上がったみたいな、潔さとか悲壮感はなかった。かなり政治によって行政が歪められたという意識はやはりあった。 
 特定の者に対する利益誘導ではないか、国民のための権力が私物化されているとの疑念があった。これは国民が知るべき事実ではないかと思った。
 また、JCJ大賞を受賞した朝日新聞は、私でなく別の文科省の現役官僚からの取材で情報を得て報じてきたわけで、私は目の前で事実が明らかになればいいと思っていました。

信用落ちたら困る

 文科省は5月19日、メディアが報じた「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向』などの文書は省内調査の結果、確認できなかったと発表した。だが、あの文書は関係者ならだれでも知っている。「出してくれ」と言えば、すぐ出てくるはず。その「存在を確認できない」のはおかしい。これでは文科省が情報を隠ぺいしていることになる。
 私は天下り問題で不名誉な形で辞めている。特に文科省の評判を落としたのは、違法な再就職あっせんに加えて、事実に反するストーリーで、糊塗つまり隠ぺい工作しようしたことだった。それを繰り返すのはいけない。教育行政に対する信用が一回、地に落ちていますから信用を回復する努力をしなければいけない時期なのに、さらに信用を落とすという気持ちもあり、ちょっと複雑な心境でした。
 ただ、積極的に打って出たのかと言うと、本当ところはそうではない。すでにNHK、朝日新聞週刊文春などと接触があったし、知っていることは話した。
 しかし、名前を出して告発するなんて考えてもいなかった。取材では「この文書は確かにあった」とか「経緯はこうです」などと答えたが、「名前や顔を出すのは勘弁してください」と、最初はそういうことでした。

記事は意外だった

――突き動かしたきっけは何ですか?
 ひとつは今、お話した文科省の隠ぺい工作。もうひとつは5月22日付読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事です。私がメディアと接触して(加計疑惑で)コメントしていると、総理官邸には伝わっていたと想像している。実際、「前川が漏らしていると官邸サイドが言っている」と私に伝えたメディアの記者もいました。それとは別に出会い系バーについて一部週刊誌は接触しようとしていた。
 店に行っていたのは事実ですから書かれても仕方ないと思い、相手にせず取材申し込みを放置していた。そうしたら5月22日に読売の記事が出た。極めて意外だった。 
 読売はメールで何回か取材申し入れをしてきたが、記事にはしないと思った。信頼するメディアの記者に話したところ、週刊誌は分からないが、いくらなんでも読売は報じないだろうなという感じだった、私もそうだろうなと思っていたので、取材申し入れを放ったらかしていた。

総理官邸が企てる

(読売の記事の)情報の出どころは官邸、これか明らか。もともと官邸は出会い系バーのことを知っていた。昨年の秋に杉田和博官房副長官(警察庁出身で、警備・公安畑を長く歩み第二次安倍政権発足時に内閣官房副長官に就任)からこの問題でご注意を受けた。
 さらに今年2月にも電話で「あの問題を週刊誌が書こうとしているよ」とお知らせがあった。文春、新潮、ポスト、現代、どこだろうなと考えたが、結局、記事は出なかった。杉田さんの情報は何だっただろうなと首を傾げた。
 あの記事は官邸が書かせたと確信したのは、21日に後輩の文科省幹部から和泉洋人総理補佐官(旧建設省技官出身、第二次安倍政権発足直後の13年1月から総理大臣補佐官に就任)が「会いたいと言ったら対応するお考えがありますか」とメールがきたからです。記事を出させたくないなら取引に応じろ、加計学園関係文書について、発言は控えろという風に想像した。そうとしか考えられなかった。

ためらいが消えた

 読売の記事で私自身、完全に吹っ切れた。次官辞任(1月20日)する前までは政府の中にいた人間だし、私の名前でどこまで真実を言っていいのか、国民の知るべき事実を自ら言うべきか、ためらっていた。
 だが、官邸は加計問題で口封じに動き、読売新聞まで使っている。忖度する問題ではなくなった。堰が切れ、官邸に遠慮しなくていい、躊躇しなくていいという思いに変わり、5月25日に東京・霞が関の弁護士会館で記者会見。取材していた朝日、週刊文春、TBS番組「NEWS23」がその日に「文書は本物」と報じた。(続く)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号に掲載
posted by JCJ at 11:42 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月24日

【今週の風考計】9.24─700億の税金を政権延命に使う「逃亡解散」

■「仕事師内閣」が発足して55日、何も仕事しないまま国会解散とは、開いた口がふさがらない。700億もの税金を投入して総選挙を行い、安倍首相自身に降りかかる<森友・加計疑惑>をかわすための「逃亡解散」。大義など一つもない。■「加計については1月20日に初めて知った」との自分のウソ発言を、消すための「エゴイズム・リセット・延命解散」に他ならない。解散権をもてあそんでいいのか。

■東京新聞が<「7条解散」消えぬ疑問>と題して、解散は首相の専権事項という正当化に問題を提起している(9/24付)。憲法に明記されているのは「内閣への不信任決議が可決された場合、10日以内に解散か総辞職をしなければならない」とある69条のみ。7条の<天皇の国事行為>にすがる解散は、大義などいらず、党利党略・首相の恣意的な行使へとつながりかねない。■ともあれ私たちは、今の安倍政権へ厳しい審判を下さねばならない。こうも「ウソと強弁、言い逃れ」が続く政治をストップさせ、国民に目を向けた施策を実現する国会へ変えていこう。

■市民は野党の共闘が進み、憲法9条つぶしの策動に抗う議員が、少なくとも3分の1以上になるよう、心から願っている。民進党も離党続出や「希望○○」の動きなど気にせず、憲法9条を守る政党として、改めて党の一体性を作りあげるチャンスだ。■昨年夏の参院選挙で初めて行使された18歳選挙権、約240万人の若者たちが、今度は衆議院選挙で一票を投ずる。2021年10月まで任期がある衆議院議員、あわよくば安倍首相の任期延長まで目論みかねない総選挙、すべての有権者が重要な判断をしなければならない。(2017/9/24)

posted by JCJ at 12:11 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

≪お知らせ≫10月21日、NHKの日置一太さんが「テレビの仕事とは何か」で講座

◇10月〜11月:秋のJCJジャーナリスト講座◇
新聞やテレビの第一線の記者らからリアルな現場の話を聞き、取材の方法などを学びます。メディアの世界を目指す人たちの参加をお待ちしています。要予約。お申し込み方法は下記をご参照ください。
★ 10月21日午後1 時半から5 時まで★
≪テレビの仕事とは何か≫講師=NHK編成局チーフプロデューサーの日置一太さん
会場=日比谷図書文化館4階小ホール= 定員40人、参加費1000円
テレビ局ではどのような仕事をするのか。活字とは異なる映像メディアの面白さと難しさ、その特徴を語っていただきます。
★10 月 28 日午後1 時半から 5 時まで★
≪記者の仕事とは何か≫講師:共同通信東京編集部デスク・新崎盛吾さん
会場=日比谷図書文化館4階小ホール= 定員40人、参加費1000円
共同通信は全国の新聞やテレビ局に記事を配信している。記者たちは日々、どのような取材をしているのか。記者にとって大事なこと、欠かせない視点など、を考えます。
◎要予約=受講ご希望の方はメールで、氏名、連絡先の電話番号、メールアドレス、受講希望日を明記し、下記のアドレスに、またはファクスでお申し込みください。
sukabura7@gmail.com ファクス:03・3291・6478
主催:日本ジャーナリスト会議=お問い合わせ03・3291・6475=月水金の午後

◇講師のご紹介◇
◎日置一太さん
NHK編成局チーフプロデューサー。1987年早稲田大学法学部卒、NHK入局、報道番組部、スペシャル番組センターを経て、編成局コンテンツ開発センタ−チーフプロデューサー。おもにNHKスペシャルなどの特集番組を担当し、中東、アフリカ、南米などの第三世界を舞台にした紛争や平和構築をテーマとしたドキュメンタリーを制作。福島第一原発事故以降は、放射能汚染の調査報道も手がけてきた。2009年から、明治学院大学国際平和研究所研究員
◎新崎盛吾さん
共同通信社東京編集部デスク1967年生まれ。90年4月に共同通信入社。山形、千葉、成田の各支局で3年ずつ、計9年を過ごし、99年4月から08年9月まで社会部。警視庁公安、羽田空港分室、国土交通省などの記者クラブを担当し、遊軍ではイラク戦争、北朝鮮、赤軍派などを取材。その後、さいたま、千葉の支局デスク、関東・甲信越の支局を管轄する東京編集部デスクを経て、14年7月から16年7月まで新聞労連委員長。昨年9月から東京編集部デスクに職場復帰し現職。沖縄県出身。

会場の案内
◆日比谷図書文化館 =旧都立日比谷図書館)所在地:東京都千代田区日比谷公園1−4最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅
posted by JCJ at 17:05 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沖縄タイムス・阿部岳記者のスピーチ(JCJ賞贈賞式)=須貝

<突如、始まった工事。むき出しの権力>
 8月19日に東京でJCJ賞の贈賞式がありました。沖縄タイムスは「高江・辺野古 新基地強行を問う報道」で受賞しました。取材班を代表して沖縄タイムスの阿部岳記者がスピーチをしました。
以下はその要約です。

 私は名護市にある北部報道部に勤めている。辺野古と高江を担当するという、とんでもない部署だ。しかし記者は4人だけ。だから本社の各部から交代で記者を派遣してもらい、二つの現場を常時取材している。
 16年7月11日朝に突如、高江のヘリパッド(発着場)工事が始まった。陸の孤島と呼ばれる山奥で、140人しか住まない地域に、オスプレイが使うヘリパッドを4カ所つくる工事だ。前日の参院沖縄選挙区で基地建設反対の野党候補が当確となり、民意が示された10時間後のことだった。
 とにかく山奥で、全国紙だけでなく、地元テレビ局もなかなか記者を送れない地域。だれも見ていないと思って、むき出しの権力が行使された。機動隊500人が本土から送り込まれた。「世界一危険」とされる北九州の暴力団・工藤会のトップを捕まえる頂上作戦で派遣された機動隊は530人だった。それと同規模の500人が丸腰の市民に向かった。そのうちの一人が「土人」と県民に暴言をはいた。取材記者は拘束された。
 共謀罪の先取りとなるような捜査もあった。市民運動のリーダーが2000円の鉄条網を切ったという理由などで5カ月間拘留されたが、辺野古ゲート前でブロックを積んだ容疑もかけられた。ブロック積みには100人から200人が手伝った。立証するため検察は容疑者のライン、メールでのやりとりを調べ、「共謀しただろう」と言って捜査した。結局、起訴されたのは3人だったが、100人でも200人でも(犯行を)立証するには、メールなどでのやりとりがあれば足りるという捜査だった。
 昨年末にはオスプレイが落ちた。大半のメディアは「不時着水」と書いた。目前の残骸を見たら明らかに墜落だ。そのあたりがなかなか本土に伝わらない。私は本土出身だから、なおさら、本土に伝えたい気持ちが強い。著書の『ルポ沖縄 国家の暴力』(朝日新聞出版)も手に取ってみてほしい。
posted by JCJ at 00:07 | JCJ賞情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月19日

≪お知らせ≫JCJ賞受賞作「はりぼて―腐敗議会と記者たちの攻防」を見る会

 チューリップテレビ(TUU)の記者たちは、富山市議会のドンと呼ばれた自民党幹事長の政務活動費不正受給を映像でスクープ。さらに入手した資料を丹念に読み解く調査報道で、市議たちの不正を暴きました。記者たちと腐敗市議との攻防を描いたドキュメンタリー番組は、今年度のJCJ賞を受賞しました。下記の通り「受賞番組を見る会」を開催します。またディレクターが取材の真実を報告、質疑討論を行います。

日時:9月23日(土)13:00〜開場 13:30〜開会
場所専修大学神田キャンパス5号館7階571教室
地下鉄「神保町」駅下車、出口A2より徒歩3分
ゲスト:五百旗頭 幸男(いおきべ ゆきお)ディレクター
資料代:1000円(学生無料)

主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ) ☎03-3291-6475

posted by JCJ at 09:19 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月18日

≪10月例会≫ 誰も排除されない社会をめざして─津久井やまゆり園殺傷事件を考える=神奈川支部

 2016年7月26日未明、相模原市緑区にある障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた障がい者大量殺傷事件は大きな衝撃でした。
犯人は元施設の職員で、以前から「障がい者は不幸しかつくれない」「いないほうがいい」とする考えを公言していました。

 事件後にはインターネットなどに犯人の主張に共感する意見が書きこまれたりしました。社会に不要だとして障がい者を殺害したナチスの優生思想に通じるものを感じさせます。
 神奈川支部ではこの事件を取材してきた神奈川新聞の成田洋樹記者と、身体に障がいがある脳性マヒ当事者で、障がい者運動に取り組んで来られた「障害者の自立と文化を拓く会REAVA(ラーバ)」代表の渋谷治巳さんにお話をうかがいます。

日時 10月7日(土)17時〜20時
会場 Lプラザ〈かながわ労働プラザ〉第5会議室
JR「石川町駅」から徒歩3分 横浜市中区寿町1−4 TEL045−633−5413
講師 神奈川新聞社記者 成田 洋樹さん
   障害者の自立と文化を拓く会REAV(ラーバ)代表 渋谷治巳さん
参加費 500円

主催 JCJ神奈川支部 連絡先080−8024−2417(保坂)
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2017年09月17日

【今週の風考計】9.17─なんと年間1170時間まで残業OKの法案

「電通」違法残業事件の初公判が22日に開かれる。過労自殺に追い込まれた新入社員の女性は、1カ月前の残業時間が月105時間に達していた。その経緯と労働実態が、公開の場でどれだけ明らかにされるか、注目される。月末に開かれる臨時国会には「働き方改革関連法案」が提出される。その内容が問題だ。「残業の上限規制」と「高プロ残業ゼロ」を、強引に抱き合わせて一本化した法案だ。残業の上限規制にしたって、過労死ラインは月80時間と認定しているのに、繁忙期でも「月100時間未満、年720時間」へと改悪する。

さらにタクシーやバス、トラック運転手は除外され、5年後になって、残業の上限を年間960時間まで改悪しての適用だ。この上限には休日労働は含まれない。なんと年間1170時間まで残業OKとなる。「高プロ残業ゼロ」も要注意。年収1075万円以上の専門職は、この規制から外され残業代は支払われない。これに当てはめる専門職の年収額引き下げは目に見えている。

30年前の1987年11月、N 製本・金井さんが過労死した。金井さんは死亡直前1カ月の残業は129時間24分。労組や過労死家族の会と共に、労災認定・補償を勝ちとるため、労基署交渉や裁判所への要請、街頭宣伝・デモなどに取り組んだ。そして15年、2002年秋に勝利解決した。その闘いに携わった人々の顔が思い出される。いま「全国過労死を考える家族の会」代表・寺西笑子さんは、「裁判で労災だと認定され、企業が謝罪をしても亡くなった人は生き返りません。こんな悲しい思いをする遺族をこれ以上増やしたくありません。今回の法案で健康や命が守れるのでしょうか」と問う。(2017/9/17)
posted by JCJ at 13:09 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

≪おすすめ本≫チューリップテレビ取材班『富山市議はなぜ14人も辞めたのか─政務活動費の闇を追う』地域メディア各社が連帯して取材し、調査報道の重要性を説く実践報告=鈴木賀津彦(東京新聞)

 本書を教科書にして調査報道の講座を開いたら実り多い議論ができるなあと、イメージを膨らませている。取材し報道する意味について、誰もが素直に理解し共感できる実践報告≠セからだ。
「富山市議会における政務活動費の不正を明らかにした調査報道」で今年のJCJ賞を受賞したチューリップテレビ(富山県)の取材班が、どのように取材したのか、素直に自らの手の内を明かし、緊迫した取材時の緊張や不安なども含めて詳述している。

 本書で気付かされるのは、富山の地域メディア各社が情報公開制度を使ってそれぞれ独自の調査・取材を重ね特ダネを抜いたり抜かれたり、しのぎを削りながらも、議員の不正を浮き彫りにし追及する点では連帯して取材している姿である。
 ジャーナリズムの理念などが特に書いてある訳ではないが、若い記者たちの取材への意気込みなどから、ローカルメディアが今、地域にとっていかに重要な役割を担っているのかが実感できる。
 冒頭に「調査報道の教科書」と述べたが、実は一方で、本書を全国の自治体職員や議会関係者にも熟読してほしいと強く期待している。各地で議会改革が叫ばれ、相次いで議会基本条例が制定されたが、形だけに終わっている現状があるだけに、二元代表制である地方議会の在り方、行政との関係などを変えていく起爆剤としても、本書をぜひPRしてほしい。

 さて、この本を読めば実際のニュースや番組が見たくなる。次に、映像DVD付き書籍にして販売できないだろうか。
(岩波書店1800円)
「富山市議はなぜ…」.jpg


posted by JCJ at 14:16 | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

JCJ8月集会:記念講演「監視社会とメディア 共謀罪後の言論の自由とは」

小笠原みどりさん(元朝日新聞社記者、カナダ・クイーンズ大学大学院修士課程在籍)
(2017年8月19日 千代田区・プレスセンターホール)
スノーデン氏にインタビューした小笠原みどりさん。日本における監視社会の深化を警告し、言論領域を少しでも広げるために批判のボトムラインをアップしようと訴える。ジャーナリスト必見の講演。

FmA自由メディア 撮影:吉田・大場・東野 広報:小林・はた
posted by JCJ at 09:02 | JCJ賞情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

≪ワールド・ウオッチ≫「若い三代目」の冒険心、止まず=伊藤力司

 ひょっとしたら米朝開戦化と心配させた8月危機は寸前で回避された。北朝鮮の独裁者金正恩労働党委員長が、米領グアム周辺へのミサイル発射計画を巡り、(実行するかどうか)「米国の行動をもう少し見守る」と言明したことが15日公表された。

 訪韓中のダンフォード米軍統合参謀本部議長は14日、北朝鮮が本当に挑発行動に出れば「強力な対応」を取ると言明、一触即発の危機だった。
 核・ミサイル開発を進めている北朝鮮の外貨獲得を封じるため国連安保理は5日、厳しい制裁決議を採択した。決議にそって最大の貿易相手国の中国は北の石炭と海産物の輸入を全面禁止、中朝関係は緊迫している。
 06年に北朝鮮が最初の核実験を行って以来、北の核・ミサイル開発は世界的危機の焦点である。先代の独裁者金正男総書記は核・ミサイルを持たない限り、イラクのフセイン、リビアのカダフィのように潰されると信じ、万難を排して核兵器開発を進めた。その遺訓を背負った正恩委員長に核開発を放棄させるのは至難の業だ。

 米朝開戦寸前の危機は23年前にも起きていた。北朝鮮は1993年核不拡散条約(NPT)から脱退、94年に発電用原子炉を利用して原爆開発を進めていたことが暴露された。米朝協議が行き詰まり、時のクリントン米大統領は北朝鮮への軍事攻撃を計画した。しかし38度線から韓国の首都ソウルまでは「長距離砲の射程範囲であり、北の反撃で100万単位の死傷者が出るとの予測から韓国側が開戦に猛反対、在韓米軍も同調した。結局開戦には至らず、カーター元大統領が平壌を訪問して初代の金日成と会談して事を収めた。
 こうした事情は現在も基本的に変わっておらず、米軍当局も本心では開戦に消極的だ。

 トランプ米大統領対金委員長のチキンレース(度胸試し)は、とりあえずかたが付いた。しかし北朝鮮は核開発を断念したわけではない。そういう北朝鮮への制裁を強化する安保理決議が採択されたことは、世界の大勢を示している。
 だが「若い三代目」はまだ冒険心を持ち続けているようだ。朝鮮危機はまだ続くと覚悟すべきだろう。
posted by JCJ at 11:23 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月10日

【今週の風考計】9.10─16年目の「9・11」とアウンサンスーチー

<9・11同時多発テロ>から16年─今も米国では、イスラム教徒への暴力・迫害は続き、ヘイトクライムは勃発前の5倍にのぼるという。トランプ大統領は就任してわずか1週間後、1月27日、「テロとの闘い」を名目に、中東7か国からのイスラム教徒の入国を90日間停止、さらに難民は120日間受け入れを停止する大統領令に署名した。その後も、多様な民族との融和を拒む言動が続く。

こうした排他的な動きは、なにもトランプだけではない。いまや世界に広がる。近くはミャンマーでの武力衝突をめぐるアウンサンスーチー国家顧問の態度も、同類と見ていいのではないか。ミャンマー西部ラカイン州に居住する少数派のイスラム教徒・ロヒンギャ族への対応である。迫害されてきた歴史を背景に組織されたロヒンギャ武装集団と政府治安部隊との戦闘で、無辜の住民27万人が隣国のバングラデシュに避難している。にもかかわらずアウンサンスーチーは、ロヒンギャ武装集団という「テロとの闘い」を理由に、住民を保護せず、融和のための対策を取ろうとしない。

同じノーベル平和賞受賞者でパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは、この3日、アウンサンスーチーの積極的な発言を期待し、「世界とロヒンギャ・ムスリムが待っている」と、暗に今の態度を批判した。ロヒンギャ問題に対して、何も対策を取っていないアウンサンスーチーに対し、賞を取り消すよう求めるインターネットの署名サイトも立ち上がり、すでに署名は38万人分を超す。インドネシアでもイスラム教徒がミャンマーへの抗議行動を強めている。世界の厳しい視線がアウンサンスーチーに向けられている。(2017/9/10)


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2017年09月05日

フォトアングル 8月


5面 靖国キャンドル.jpg
「靖国反対」「戦争反対」「合祀反対」「安倍は辞めろ」のシュプレヒコールを挙げるデモ参加者の手にはキャンドルが掲げられている。
 2005年以来12回目の「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」だ。デモ行進は、周囲に多くの右翼が出没して、マイクでがなりたてるのを、機動隊が制止して、もみあうという緊張の中で進み、目的地まで行き、無事解散した。=8月12日、東京都千代田区で、酒井憲太郎撮影
posted by JCJ at 16:27 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月03日

【今週の風考計】9.3─終わっていない朝鮮戦争とミサイル発射

◆9日、北朝鮮は建国69周年を迎える。その日、グアム周辺に向けミサイルを4発、同時発射する計画が取りざたされている。愚かな選択による戦争の勃発は、絶対に避けなければならない。◆こうまで北朝鮮と米国の軍事緊張が続くのは理由がある。根源は、いまだに朝鮮戦争が1953年の「休戦」という形のまま、国連や関係国の間で「停戦」協定が結ばれていないことにある。

◆北朝鮮は米国に対し再三にわたり、休戦協定を平和条約へと前進させ、朝鮮半島の平和を確立するための提案をしてきた。だが64年が過ぎた今も締結されていない。米国は国連軍として朝鮮戦争に参加し、わずか3年の間に、北朝鮮の2百万人を超す人びとを殺害した。◆だが米国は北朝鮮の提案を無視するだけでなく、北朝鮮を敵国扱いし続け、韓国とともに北朝鮮への軍事圧力を強化してきた。しかも日本は当事者ですらないのに、この米韓軍事同盟に同調してきた。さらに日本は、国連に加盟している北朝鮮を、国として認めず、国交も結んでいない。

◆アジア地域の平和を目指すなら、今こそ日本がイニシアチブをとり、朝鮮戦争の「停戦」と平和協定の締結に向け、率先垂範して国連への働きかけを強めるときである。北朝鮮への石油禁輸など、さらなる経済制裁を呼びかけたり、PAC3の配備やミサイル発射3分後に鳴るJアラートに血道をあげ、国民を困惑させたりする前に、日本政府が果たすべき役割があるだろう。◆それはトランプ大統領に「火炎と憤怒」などの好戦的な言動でなく、米国は朝鮮戦争の「停戦」を宣言し、平和協定を締結すると、国連で表明するよう迫ることだ。(2017/9/3)

posted by JCJ at 12:06 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月31日

権力批判記事を掲載し続ける「通販生活」編集人がインタビューに答えた=橋詰雅博

 通販生活は(カタログハウス発行)ユニークな雑誌だ。販売する商品紹介に加えて読み物記事が約250ページの半分を占める。しかも脱原発や安保法制、集団的自衛権行使容認、米軍基地の沖縄一極集中などに反対した記事が目立つ。今年の春・夏・盛夏号では憲法改正の是非を問う国民投票法の問題点に取り組んだ特集を各号で掲載。読み物編集担当編集人の平野裕二さん(51)に3回連続で掲載した狙いなどを聞いた。
   ☆    ☆
――なぜ国民投票法にテーマを絞ったのですか。
 国民投票の実施が近づいていると考えたからです。安倍晋三内閣は、集団的自衛権行使容認を閣議決定して、安保法制を成立させた。これによって南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊は戦闘に巻き込まれる可能性がある駆け付け警護の新任務を負わされた。現行9条は実質的に改正されてしまったと考えています。その上に自衛隊を憲法九条に明記する改憲案を安倍首相は提示した。これで改憲されたら自衛隊は海外に出て行き戦争する危険性が高まる。通販生活はこれには断固反対の立場です。にもかかわらず国民投票法の中身や問題点を国民の多くは知りません。改憲は国民の生活スタイルや生き方にまで影響を及ぼす一大事です。このため3回続けて特集を組んだ。

スイス取材夏号で

――2007年の国民投票法成立前から特集を掲載していたそうですが……。
 国民投票が法制化されそうだというので、05年に重要な問題を国民投票で決めるスイスに取材に行き夏号で6ページ特集を組んだ。特に有料テレビCMの実態に力を入れた。メディアでは国民投票での有料テレビCMを一番早く扱ったと思う。その後、07年夏号、11年と14年にそれぞれ秋・冬号で掲載した。

――今年夏号で有料テレビCMは、「全面禁止にすべき」と主張していますが、なぜですか。
 投票日14日前以外は、テレビCMは自由ですからお金を持っている側は影響力の強いテレビCMをバンバン流せるが、お金をあまり持っていない側は限られる。資金が潤沢な改憲側が賛成テレビCMを大量に打てば、国民は洗脳されて改憲側が勝ってしまう可能性が高い。負けた護憲側は「金の力に負けた」と思い結果に納得できない。国民の間に分断が生まれます。だから全面禁止と訴えたが、最低でも賛成側と反対側が公平になるようなルールをつくる必要がある。

民放5社に質問書

――国民投票法の付帯決議では、有料広告のルール作りをメディアに求めているが、業界では何か動きがあるのか。
 国民投票成立後に放送事業者の業界団体の日本民間放送連盟(民放連)は「自主・自律による取り組みに委ねられるべき」と声明を出しました。それから10年が経過。編集部は今年3月16日に民放連に自主ルール作りについて問い合わせたところ、番組部は『ルール作りについては社会の動静を見ながら進めるべきだと考えている』と回答してきた。これは夏号に載せました。また、その後、在京の民放キー局5社に有料テレビCMの公平性の確保について『局内で検討されたことがありますか』と質問書を送付。『個別事案について従来からお答えしておりません』と各局ともほぼ同じ文言での横並び拒否回答でした(盛夏号に掲載)。民放連や民放各社に任せていてもルールづくりはなかなか進みません。

改憲は遠のいたか

――「森友」と「加計」の両疑惑などで安倍内閣の支持率が急落、改憲は遠のいたという見方があるが、どう見ているか。
 改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めている国会の下では、改憲発議ができます。遠のいたとは言えない。安倍首相が退陣しても、自民党政権が続けば、改憲はついて回る。安倍がいなくなったからもういいやと安心はできません。確かに野党が国政選挙で3分1以上の議席を獲得すれば、発議を阻止できる。そうした運動もあるが、改憲反対側が国民投票で勝てるように戦略を立てることも重要。その一つが国民投票における有料テレビCMの規制です。通販生活は今後もこれを記事で主張し続けていきます。

――ところで通販雑誌が反権力的な記事を載せる理由は。
 買い物は暮らしそのものであり、暮らしは政治に直接影響を受けます。戦争に突入したら、真っ先に制限されるのが買い物です。だから憲法や安全保障などの問題を積極的に取り上げるべきだと考えています。カタログハウス創業者・斉藤駿(現相談役)の理念です。

聞き手 橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)

通販生活 創刊は1982年。9割以上が定期購読者(定価180円)。60代以上の主婦が購読者の中心で、発行部数は110万〜120万部。年4回発行。

※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年8月25日号
posted by JCJ at 14:38 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月30日

《ネットメディア最新事情》「ショールーム」の投げ銭方式

 スマホの画面の上半分にはアイドルグループ「AKB48」のメンバーが映し出され、視聴者に向かって熱心に話しかけている。画面の下半分は視聴者たちを表す「アバター」と呼ばれる数十個のキャラクターで埋め尽くされ、彼女を応援している。ここは仮想のライブ会場なのだ。
 これは新しいライブ配信サービスとして注目を集める「ショールーム(SHOWROOM)」の画面。アイドルやミュージシャンとして芸能活動をしていきたいと考えている人たちが自分でライブ配信を行って、スマホの前の観客に直接語りかける身近さが特徴だ。「演者」として登録している配信者は15万人以上、視聴者として利用登録している人は100万人以上にのぼるという。

 ショールームのようなライブ動画の配信サービスは現在、ネットでブームになっている。ほかにもニコニコ生放送、ユーチューブライブ、LINEライブ、AbemaTVなど百花繚乱の状態だ。
そんな中でショールームが独特なのは、視聴者が有料のアイテムを購入し、自分が応援したい配信者に寄付する「投げ銭」システムが導入されていることだ。それほど有名ではないアイドルやミュージシャンたちは、路上でパフォーマンスする大道芸人のように視聴者にアピールして、投げ銭を得ることができるのだ。

 運営会社の社長である前田裕二さんは6月、ショールームの創業ストーリーをまとめた著書「人生の勝算」を出した。本の中で前田さんは「あらゆる人が均等にチャンスを得て、投じた努力量に応じて報われ、夢が叶っていく」社会を作っていきたいと記している。
ショールームの特徴である「投げ銭」システムが、ニュースなど他のメディアにも広がっていくのか、注目したい。亀松太郎(ネットジャーナリスト)
『ジャーナリスト』2017年8月25日号への寄稿
posted by JCJ at 15:24 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《リアル北朝鮮》米国に「正しい選択」求める―落しとしどころ模索

 一触即発の状態が続いていた米朝関係に緊張緩和の兆しが見えてきた。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が8月14日、朝鮮人民軍戦略軍司令部を視察し、「愚かな米国の行動をもう少し見守る」と述べたと、「労働新聞」15日付が報じた。

 周知のとおり、同戦略軍ではグアム島の周囲にミサイルを撃ち込む計画を検討している。同戦略軍報道官は8日の声明で「グアム島の主な軍事基地を制圧けん制し、米国に警告のシグナルを送るため、中長距離戦略弾道ロケット(ミサイル)『火星12』型でグアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦方案を慎重に検討している」と警告していた。最高指導者の金委員長が様子見を表明したことで、「軍事衝突」の危機はひとまず回避されたといえよう。

 金委員長は、「軍事衝突を避けるためには米国がまず正しい選択をして行動で示すべき」だとも述べたとされる。先の戦略軍報道官声明でも、「米国は正しい選択で、明日になって今日を後悔するべきではない」と主張していた。北朝鮮は緊張を高めつつ、落としどころを模索していたと考えられる。

 実際、北朝鮮では15日を前後して「白頭山偉人称賛国際祝典」なるイベントが開催され、外国から多数の人士を招いている。もし本当に戦争が起きると思うなら、外国人客を招いて呑気に祝典など開くはずもない。

 では、北朝鮮が米国に求める「正しい選択」とは何か。短期的には、軍事演習の中止だろう。中期的には朝鮮戦争停戦協定の平和協定への転換。そのための協議を北朝鮮は繰り返し求めてきた。長期的には、体制を認めさせ、国交を正常化することだ。

 北朝鮮の最終目標は米国による「敵視政策」の転換と核攻撃を含む軍事的脅威の清算だ。それがなくならない限り、「核と弾道ロケットを交渉のテーブルに挙げることはあり得ない」(李容浩・北朝鮮外相)。
文 聖姫(研究者・博士[東京大学])
posted by JCJ at 14:32 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《スポーツコラム》創設する日本版NCAA、難問山積=大野晃

 8月は大学体育会やサークルの夏合宿が盛んに行われ、高原などが若い熱気に包まれた。
 歴史的に、日本スポーツをけん引してきた大学スポーツだが、近年はプロ化の急進展で、プロ競技者にトップの座を譲り学生競技者の影は薄くなった。古くから企業チームに大学チームが対抗して日本一を争ってきたラグビーも、今年度から日本選手権に大学の参加枠はなくなった。大学体育会出身者が多くを占めるとはいえ、集団球技の日本一はプロと企業チームが争うのが当たり前になった。五輪代表も大学生は少ない。大学スポーツの沈滞が顕著である。

 そこで文科省は、今春「大学スポーツ振興に関する検討会議の最終とりまとめ」を発表し、新たな大学スポーツ振興策を提示した。米国の全米大学競技協会(NCAA)をお手本に組織、人材の養成や民間資金調達などを検討し、来年度中に産官学連携の日本版NCAA創設を目指すという。
 アメリカン・フットボールやバスケットなどでテレビ放映権料を軸に年間1000億円の収入があるというNCAAの潤沢な資金にあこがれ、企業スポンサーに期待して全国の組織を改編し、儲けながら日本スポーツを支える大学に変えようというのだ。
 大学はスポーツの研究や指導法、人材の育成などで貢献してきたが、今後はトップだけでなく、積極的に地域や学校の指導に乗り出して施設開放などにより地域貢献も目指すべきで、スポーツ団体役員の養成も不可欠としている。

 現実にはOBやOGの指導、支援に頼る大学がほとんどで先細りが目立つ中、机上論で国の施策とは思えないとの批判も多い。野球やラグビーなどの大衆人気が落ちているから、企業スポンサーに頼れるかは疑問だ。
しかも、体育会やサークルは課外活動と位置付けられ学生の主体的な運営で継続されてきた歴史がある。
 変わってきているとはいえ体育会では伝統が重視され、各校、各部で色彩が違う。伝統校の中にはプロ予備軍や企業支援を拒否した自負もある。同時に、閉鎖的で封建的な体質が色濃く残り、大学当局とのあつれきも少なくなかった。
 競技間格差も大きい。同一歩調をとるには難問続出だろう。米国とは歴史が異なるのだ。
 何よりも、学生の主体性が尊重されねばなるまい。大学当局や企業スポンサーの成果主義が、自由で自主的な運営への管理圧力になって学生の創意的な姿勢を阻害する恐れがある。自主的な努力により、古い体質からの脱却が求められるだけになおさらだ。大学の社会貢献は必要だが、効率重視で上からの改編を急ぐべきではない。(スポーツジャーナリスト)
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≪支部リポート・香川≫「美ら海を未来へ」上映 高松空襲跡地を歩いた=刎田鉱造

5面 香川支部.jpg 毎年高松空襲の7月4日から8・15にかけてはJCJ香川支部にとって一番やりがいのある出番の時期です。今年38回目を迎える「8・15戦争体験を語るつどい」の実行委員会の一員として「沖縄の現在(いま)と私たち」に取り組みました。映画「美ら海を未来へ」上映とトークのつどいです。
 辺野古・高江の米軍新基地建設反対ドキュメンタリー作品で、香川在住の中井信介監督を囲んでのトークは時間を忘れさせる盛り上がりでした。

 3月に沖縄旅行した高校生が作文を読み上げました。「私にとって戦争は社会で習った昔あったことでしたが、米軍の攻撃の中で、がま(洞穴)で自爆に追い込まれる人々のことを資料館で知りました。平和の日々の大切なことを多くの人に伝えていく」と、沖縄で見たことを訴えました。
 辺野古埋め立て用の土砂をとる小豆島の闘いが映画で紹介されています。この島からも土を運ばせない運動にかかわる人が参加、「島でもぜひ上映したい」と話しました。
 感動が広がる中、「戦争を止めるためにできることはなにか」と中井監督がまとめました。

 7月4日、高松空襲の日は「第28回高松空襲跡を歩く」でした。中心商店街、丸亀町の広場に集まってちょうど高松空襲展を開いていた「たかまつミライエ」5階の「平和記念館」まで約1・2キロを、午後6時から1時間かけて歩きました。約80人が参加して途中、空襲当時、路面電車の「出晴(ではれ)停留所」跡に近い八坂神社で犠牲者に黙祷。ここでは南新町にあった田中産婦人科で被災した体験者が、手から先を失い焼け跡に立っていた観音像の話をしました。
 平和記念館は戦時下と戦後の高松の生活、核兵器廃絶、平和への取り組みなどを常時展示している市の施設です。昨年12月にリニューアルオープンしました。  

 参加した若い女性は「戦争はいけないという思いが伝わってきました。私たち若い世代も戦争を考えなくてはいけない」と述べました。
(香川支部)
posted by JCJ at 11:57 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《焦点》2017年度JCJ賞を獲得した「日米合同委員会の研究」の著者・吉田敏浩さん=橋詰雅博

 2017年度の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の出版部門でJCJ賞を獲得したのは、「日米合同委員会の研究」(創元社)だ。

その著者でジャーナリストの吉田敏浩(59)さんは1966年にビルマ(現ミャンマー)北部のカチンなど少数民族が自治権を求めた生活と文化を取材した「森の回廊」(NHK出版)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。他に「密約 日米地位協定と米兵犯罪」(毎日新聞社)などの著書がある。現在、立教大大学院特任教授も兼ねている。

 吉田さんは1952年に発足した「日米合同委員会」について2008年から調査してきた。同委員会は、日本の外務省北米局長などエリート官僚6人と、米国の在日米軍司令部副司令官など7人の合計13人で構成される。毎月2回開く会議では、米軍の基地使用や軍事活動の特権、米軍関係者の法的地位などを定めた日米地位協定の解釈と運用を協議している。

 「合同委員会の議事録や合意文書は原則非公開。このため省庁や最高裁などの秘密資料・部外秘資料、在日米軍の内部文書、米国政府の解禁秘密文書などを入手して調べたところ、米軍優位を保障する数々の密約があることが分かりました」

 「裁判権放棄密約」もその一つ。米軍人・軍属・それらの家族が関わった犯罪事件で、日本にとって著しく重要な事件以外は、日本側は裁判権を行使しないとしている。

「密約は米軍に事実上の治外法権を認めたものです。日本の主権を侵害している。安倍政権は、この問題に手をつけて、真の主権回復を目指すべきだ」


 
posted by JCJ at 10:39 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

秋のJCJジャーナリスト講座が始まります=須貝道雄

10月〜11月:秋のJCJジャーナリスト講座
新聞やテレビの 第一線の記者らからリアルな「現場」の話を聞き、取材の方法などを学びます。メディアの世界を目指す人たちの参加をお待ちしています。

★ 10月21日 (土) 午後 1 時半から5 時まで★
「テレビの仕事とは何か」講師:交渉中

会場:日比谷図書文化館4階小ホール ( 定員40人 ) =参加費1000円

テレビ局ではどのような仕事をするのか。活字とは異なる映像メディアの面白さと難しさ、その特徴を語っていただきます。

★ 10 月 28 日 ( 土 ) 午後 1 時半から 5 時まで★
「記者の仕事とは何か」講師:共同通信東京編集部デスク・新崎盛吾さん

会場:日比谷図書文化館4階小ホール ( 定員40人 ) =参加費1000円

共同通信は全国の新聞やテレビ局に記事を配信している。記者たちは日々、どのような取材をしているのか。
記者にとって大事なこと、欠かせない視点など、を考えます。

報道文章講座シリーズ・全4回
◎ 11 月 17日 (金) 午後6 時半から9 時まで
「報道文章の書き方〜〜作文力をつけるゼミ@」

会場:日比谷図書文化館4階セミナールームA (定員20人) 22日・24日も同
講師:東京都市大学教授・高田昌幸さん(元高知新聞記者)

読み手に内容が的確に伝わる文章をどう書くか。書くことは取材をどうするかにもつながります。作文を書き、講師が添削をします。メディアの世界をめざす学生向けの4回連続講座=参加費1回 1500円・4回一括は5000円

◎11月22日(水) 午後6 時半から9 時まで
「報道文章の書き方〜〜作文力をつけるゼミA」

◎11月24日(金)午後6 時半から9時まで
「報道文章の書き方〜〜作文力をつけるゼミB」

◎ 12月2日(土)午後1 時半から5時まで
「報道文章の書き方〜〜作文力をつけるゼミC」=この回のみ会場未定・後日連絡します

◇◎要予約:受講ご希望の方はメールで、氏名、連絡先の電話番号、メールアドレス、受講希望日を明記し、下記のアドレスに、またはファクスでお申し込みください。
sukabura7@gmail.com ファクス:03・3291・6478

主催:日本ジャーナリスト会議(お問い合わせ03・3291・6475=月水金の午後)

【講師のご紹介】
◎ 新崎盛吾(あらさき・せいご)さん
共同通信社東京編集部デスク=10月28日
1967年生まれ。90年4月に共同通信入社。山形、千葉、成田の各支局で3年ずつ、計9年を過ごし、99年4月から08年9月まで社会部。 警視庁公安、羽田空港分室、国土交通省などの記者クラブを担当し、遊軍ではイラク戦争、北朝鮮、赤軍派などを取材。その後、さいたま、千葉の支局デスク、関東・甲信
越の支局を管轄する東京編集部デスクを経て、14年7月から16年7月まで新聞労連委員長。昨年9月から東京編集部デスクに職場復帰し現職。沖縄県出身。

◎高田昌幸(たかだ・まさゆき)さん
東京都市大学メディア情報学部教授=11月17、22日、24日、12月2日
法政大学法学部政治学科入学。卒業後、一般企業を経て、北海道新聞に入社。ロンドン支局、東京支社国際部次長などを経て、本社運動部次長。2011年6月に退社し、フリーを経て、2012年から高知新聞記者。2017年4
月から東京都市大学メディア情報学部教授。道新時代に北海道拓殖銀行の破綻と営業譲渡、地元百貨店の乱脈経営、地元信用金庫の不正融資事件などを取材。「北海道警の裏金問題取材」で新聞協会賞、JCJ大賞、菊池寛賞、新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞。近著に「伝える技法――プロが教える苦手克服文章術」

【会場の案内】
◆日比谷図書文化館 (旧都立日比谷図書館)
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅

このジャーナリスト講座は12月以降も順次開催していきます。
posted by JCJ at 01:10 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

スノーデン氏インタビューの小笠原みどりさん記念講演=須貝

「全てを見張る」日本でも〜〜共謀罪の批判は重要
 「全てを収集する」という米国の方針で、個人情報は全て監視されている――ジャーナリストの小笠原みどりさんは8月19日、JCJ贈賞式の記念講演で、エドワード・スノーデン氏が暴露した機密文書の意味を語った。
 スノーデン氏は米国の通信傍受を専門にするスパイ組織、国家安全保障局(NSA)の契約社員だった。NSAはスパイ活動のため全米から数学者を集めている。スノーデン氏は大量・無差別の個人情報(メールやチャット、ネットの閲覧履歴)の収集を疑問視し、2013年6月に機密文書を暴露した。

グーグルなどネット大手9社も協力
 証言によれば、NSAの主要な監視ルートは大陸間を結ぶ海底ケーブルだ。大手通信会社が設けたケーブル上陸地点の施設にNSAが部屋を確保。電話の内容など全情報をコピーしている。グーグル、アップルなどインターネット大手9社の協力で、個人のネット検索、メール内容なども掌握している。
 2016年5月、小笠原さんはネットを通じてモスクワに亡命中のスノーデン氏にインタビューした。彼女が問題にしたのは、NSAの無差別監視が日本でどう起きているかだ。インタビューで、東京の米軍横田基地にNSAの日本本部があり、スノーデン氏は2009年から会社員を装って横田に勤務していたことがわかった。
 今年4月、新たに日本に関するスノーデン文書が公になった。米国の調査報道メディア「インターセプト」とNHKが特ダネで報じた。NHKは定時のニュースと「クローズアップ現代+」で取り上げた。だが「米国に監視される日本」という話が中心で、日本政府が持つ監視能力や、NSAと組んで何をしているかの報道はなかった。

「エックスキースコア」を日本に提供
 「番組で共謀罪という言葉を一度も使わなかった」ことを小笠原さんは不自然だと語った。ちょうど国会では共謀罪法案(テロ等準備罪法案)が審議中だった。実際の犯罪行為が無くても「会話のレベル」で犯罪を成立させる共謀罪にとって、すべての人の会話の傍受は捜査の上で必須となる。スノーデン文書では、NSAは日本に監視システム「エックスキースコア」を提供とあった。共謀罪と密接にかかわる問題だ。
 沖縄のアンテナ施設「象のオリ」を移設し、ネット監視用の高性能施設をキャンプ・ハンセン内に設けることに日本政府が600億円支払ったことも文書にあった。このことをNHKは伝えなかった批判した。一方で小笠原さんは「NHKにはもっと頑張ってほしい」というエールも送った。
 米国メディアには、政府の秘密などを報道する際に影響を小さくするための「暗黙のルール」がある。その一つが「中道語」の使用だ。記事のインパクトを弱める言葉で、例えばサーベイランス(監視)をバルクコレクション(一括収集)と言い換える。興味深い話だった。

 最後に小笠原さんは共謀罪ができた今、言論の自由は意識的に努力しないと、自然消滅する危機にあると指摘した。日常生活で政治批判ができるよう「批判のボトムラインを上げていくこと」が、情報操作を広げないためにも重要と結んだ。
posted by JCJ at 00:38 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

≪リレー時評≫NHK「クロ現+」にみる権力代弁=白垣詔男

 NHK会長が籾井勝人さんから上田良一さんに代わって半年、7月29日に福岡市で「NHKを考える福岡の会」主催の「NHK これでいいのか? 言いたか放題」と名付けた集会があった。「言いたか」は博多弁で「言いたい」の意味だ。大牟田市や福智町などの遠隔地からも含め50人が参加して発言が途絶えることなく盛況だった。
 初めに「最近のNHK」について事務局の私から2点を報告した。@6月19日午後10時からの「クローズアップ現代+」<波紋広がる特区選定=`独占入手 加計学園新文書=рノついて、文書を入手した社会部が政府の疑惑姿勢≠ノ言及したのに対し政治部・原聖樹記者(首相官邸記者クラブキャップ)が国家戦略特区諮問会議有識者議員の言い分を代弁する解説をしたAテレビを持たなくてもパソコンやスマートフォンを持っている人から受信料を徴取しようという動き―。

 このうち、@の加計学園新文書≠ノついては、「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表で東大名誉教授の醍醐聡さんが中心になって7月24日に要旨次のような質問を原記者に送った。
 「原記者が『すべての決定の過程が議事録に残っている』と解説したが、重要な意思決定の過程が議事録に残されておらず、事実に反する。原解説は事実に反する関係者の主張を主体的に検証することなく紹介した」「原解説の中に、諮問会議有識者議員の真実でない発言を冷静に見極めることなく、そのままなぞる内容だったのは『NHK放送ガイドライン2015』(正確な取材に基づいて真実や問題の本質に迫ることが大切である。虚構や真実でない事柄が含まれていないか冷静な視線で見極めようとする姿勢が求められる―など)に反する」「原解説は、特区選定の手続きは適正で違法性はないと諮問会議有識者議員の主張をなぞった」―など。
(→続きを読む)
posted by JCJ at 10:24 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月27日

【今週の風考計】8.27─東芝の「泥沼」に続く、もっと重大な危機

WH買収からWDへ売却─東芝の哀れな結末である。11年前、6200億という破格の値段で、米国原子炉メーカー・ウエスチングハウス(WH)を買収した。それが「躓きの石」となって、経営危機に陥ったあげく、ついに米国の半導体大手ウエスタンデジタル(WD)連合に、大切な「東芝メモリ」を2兆円で売却する。

いま<東芝問題>で問われなければならないのは何か。「原子力立国」を謳い、原発の国内増設・海外への輸出拡大プランを、国策として推進した安倍政権の責任である。とりわけ<3・11フクシマ>後も、経産省がとり続けた原発政策の罪は重い。

「国策」の泥沼による悲劇は、なにも東芝だけではない。「アベノミクス」そのものも「泥沼」じゃないか。安倍政権の言いなりになる日銀<黒田バズーカ>は、異次元緩和政策をブッパなして4年以上が経つ。物価上昇2%は幻と消え、発行国債の4割も使って日銀が購入する、上場株の異常な「爆買い」は拡大する一方だ。保有額は時価ベースで16兆円に上る。

日銀が日本企業の独占株主となり、経営を支配しかねない異常事態だ。これを見越してコバンザメのように、ついて離れない投資家や便乗する銀行も出てきている。現に不動産取引のJリート市場は、日銀が年920億円も買い増しをしている結果、地方銀行は低金利のあおりを回収しようと、販路を求めてJリート市場へのノメリコミが進む。いまや新バブル状況となり、コケた時の経済不安が言われている。まさに「アベノミクス」が始まって10年、10年周期の経済大変動が近い。(2017/8/27)
posted by JCJ at 11:42 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月25日

《編集長EYE》 築地ブランドはよみがえれない

 東京都の小池百合子知事は、豊洲に市場を移転させた後、築地跡地を売却せず、5年後をメドに再開発し、「食のテーマパーク」にする方針だ。これは「築地ブランド」を守るためだと説明するが、築地ブランドとは何を指すのか。市場関係者は、それは「築地の魚」を指すという。築地の魚というだけで値段は高めだが、消費者は納得する。だから築地の魚というブランドを残したいため2つの市場の併存を小池知事は思いついたのだろう。

 築地の魚が世間から高く評価されるようになったのは、品質を見抜き、それに応じた値段を設定する目利き≠ノ優れた仲卸業者いたからだ。仲卸は卸業者から鮮魚などを買い、それを小売店や飲食店など「買い出し人」に売るのが仕事。

 築地で30年、鮮魚を扱う仲卸として働く東京中央卸売市場組合長の中澤誠さんは、こう言う。

 「かつて沖縄のマグロが高額でセリ落とされたことがある。ブロンド力のない生産者でも築地に持ち込めば、仲卸業者がちゃんとした値段をつけて買ってくれるという信頼性が広まった。従って漁師は『いい魚をとろう』とする。出荷する際もぞんざいに扱わない。目利きができる仲卸業者が取引する値段に信頼を置くから築地にいい魚が集まる。これが『築地の魚』というブランドが生まれた背景です」

 市場と言えば、威勢のいい掛け声が場内に響きわたるセリをイメージするが、築地では現在その割合は1割程度。卸業者と仲卸業者が話し合って値段や量を決める相対取引がメインだ。

 「仲卸はこの鮮魚ならこの値段であの小売店が買ってくれると頭で思い描きながら取引する。セリが少なくなっても、目利きの重要性は変わらない。しかし、土壌汚染の無害化ができない豊洲に市場が移転すると、豊洲を嫌う仲卸業者や小売店の廃業は続出します。移転した時点で、築地ブランドは消えます」(中澤さん)

 小池知事が守るといった築地ブランドは甦れない。

 橋詰雅博(JCJ事務局長も兼ねる)



※JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年8月25日号
posted by JCJ at 13:07 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

《出版界の動き》ちっぽけな出版の世界にも露骨に現われてきた「一強支配」は、この国の「文化の危機」でもある=田悟恒雄

 「書店ゼロの自治体、2割強に」という、24日付の朝日新聞記事には、商売柄、さすがに驚きを隠せません。
 「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増え、北海道58、長野41、福島28… いやいや、もう結構。なかでも、従来から読書人口が多いと見られてきた信州の「41自治体」は、ショッキングでした。
 書店調査会社アルメディアの調べでは、この5月現在、全国の書店数は1万2526軒で、2000年の2万1654軒から「4割強も」減っているとのこと。
 お題目のように唱えられてきた「活字離れ」はもとより、「読書人口」どころか、そもそもの「人口」が減っている。そして何より、雑誌はインターネットに食われ、書籍も、アマゾンなどネット書店の鼻息の荒さを前に為す術を失ってしまった。

 そして、最盛期(1986年)の半分ほどに落ち込んでしまったパイをめぐり、大手書店チェーンによる「仁義なき出店競争」が展開され、「街の書店」は次々弾き出されるばかり。
 その結末が、「書店ゼロ自治体」となるわけです。
 そんなこともあり、最近になってようやく、わが出版界のあちこちから、アマゾンの芳しからぬ風評が頻繁に聞こえてくるようになりました。
 つい最近の出来事でも、公取に目を付けられて「見直し」を余儀なくされた「電子書籍契約の最安値条項」や、「日販への突然のバックオーダー発注終了通告」(Cf.「前門のアマゾン、後門の取次」)など、「一強の横暴」は枚挙にいとまがありません。

 「一強支配の弊害」は、べつに政治の世界の専売特許ではありません。このちっぽけな出版の世界にも、同じ弊害(独占)が露骨に現われてきた、ということなのでしょう。
 では、この国の「文化の危機」ともいえる状況を前に、読者は何をなしうるのでしょう?
 まずは、「リアル書店」で本の実物を確かめる習慣を取り戻したいこと。そして「ネット通販」を利用するにせよ、他の「ネット書店」にも広く目配りするなど、アマゾンへの一極集中を避ける試みも考慮されるべきかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」08/24より http://www.liberta-s.com/
posted by JCJ at 10:05 | 出版 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

【今週の風考計】8.20─共謀罪の導入と「エックスキースコア」

19日に行われたJCJ賞贈賞式の記念講演で、小笠原みどり氏は「監視社会とメディア」と題し、衝撃的な報告をされた。その内容を多くの人と共有したい。米空軍横田基地で09年から2年間勤務していたエドワード・スノーデンが暴いた文書の中身である。アメリカ国家安全保障局(NSA)は、60年以上にわたり違法な監視システムを、日本にも秘密裏に導入し、私たちの日常生活に関わる全ての情報や通信を盗聴し収集してきた事実である。

しかも日本政府は、これら米国の施設や運用を財政的に支援するため、膨大な金額を負担してきた。その見返りにNSAは、ネット上の電子情報を幅広く収集・検索できる「エックスキースコア」、別名<スパイのグーグル>といわれるシステムを、防衛省情報本部電波部に提供している。東京の米軍横田基地に諜報活動の通信機器を修理・製造する施設を造る際、7億円の建設費を日本側が負担したという。ここで製造されたアンテナなどの機器は「アフガニスタンでのアルカイダ攻撃を支えた」と記載されている。

また沖縄にある米軍の諜報・通信施設「象のオリ」を、キャンプ・ハンセンに移設する600億円の費用も、日本は全額負担している。しかもスノーデンは「秘密保護法は実はアメリカがデザインした」と証言しているように、共謀罪法を始め、安倍政権の異常ともいえる数々の監視法制の強行は、日米両政府の共通目標なのだ。不都合な真実を消そうとする権力、それに抗う声をつぶすための監視─メディアに携わる私たちは、秘密を暴露し真実を知らせる作業を強めねばならない。(2017/8/20)
posted by JCJ at 11:08 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月17日

08・19 JCJ賞贈賞式・記念講演のお知らせ

2017年のJCJ賞受賞者・作品は以下の通りです。贈賞式の前に、恒例の記念講演を行います。元CIAのエドワード・スノーデン氏に単独インタビューした小笠原みどり(元朝日新聞記者)さんに、「日本や世界に広がる監視社会の恐怖」(仮題)を語っていただきます。

講演および贈賞式
日時:8月19日(土)13:00〜
会場:日本プレスセンター・ホール(東京・内幸町)
アクセス http://www.presscenter.co.jp/access.html

<2017年度JCJ大賞、JCJ賞>
◇JCJ大賞 朝日新聞取材班
 「森友学園」への国有地売却と「加計学園」獣医学部新設をめぐるスクープと一連の報道
◇JCJ賞 吉田敏浩(よしだとしひろ)
 著書『「日米合同委員会」の研究─謎の権力構造の正体に迫る』創元社に結実した研究成果
◇JCJ賞 「沖縄タイムス」高江・辺野古取材班
 高江・辺野古の基地建設強行を問う一連の報道
◇JCJ賞 北日本新聞
 政務活動費不正のスクープと地方議会改革の一連のキャンペーン
◇JCJ賞 チューリップテレビ
 富山市議会における政務活動費の不正を明らかにした調査報道



posted by JCJ at 09:08 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月13日

【今週の風考計】8.13─「ノーザン・ヴァイパー」が狙う危険な企み

◆今日13日は、普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落してから13年。普天間基地の返還が実現されるどころか、ちょうど8カ月前の13日には、同基地所属のオスプレイが名護市の海岸に墜落。◆その後もオスプレイは低空・夜間飛行訓練、物資つり下げ訓練を繰り返し、ますます傍若無人に沖縄の空を飛び回る。県民の怒りは限界を超え、基地撤去の決意は高まっている。

◆目を北に向ければ、北海道では「ノーザン・ヴァイパー」が展開中だ。10日から始まったアメリカ海兵隊2000人と陸上自衛隊1300人が参加する日米共同の実動訓練である。ここにもオスプレイが参加する。◆5日、オーストラリア沖で沖縄・普天間基地所属のオスプレイが墜落事故を起こしたにもかかわらず、わずか6日後にはオスプレイ4機が普天間基地を出発、青森・米軍三沢基地に着陸した。「ノーザン・ヴァイパー」に参加するのは明白だ。

◆かつ怖いのは、陸上自衛隊の海兵隊化を図り、離島奪還のみならず世界のあらゆるところへ殴り込み・侵略に向けて、オスプレイと一緒に即応機動する陸上自衛隊づくりを、大目的にしていることだ。◆72回目の終戦記念日が来る。だが日本の上空は昼夜・所かまわず、いまだにオスプレイを始め米軍機が我が物顔に飛び交っている。日本の主権を主張するどころか、米軍の横暴を追認して恥じない安倍首相、どこの国の総理か。(2017/8/13)
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2017年08月12日

《焦点》 新聞社の「押し紙」問題を追及して20年に及ぶJCJ会員の黒薮哲哉さん=橋詰雅博

 JCJ会員でフリージャーナリストの黒薮哲哉さん(59)は、販売店が注文した部数を大きく超えて新聞社が搬入する、読まれることのない新聞紙、いわゆる「押し紙」問題を追及して20年に及ぶ。この押し紙を含む新聞経営の諸問題を扱った7冊目の著書「新聞の凋落と『押し紙』」(花伝社)を5月末に出版した。新聞社を取材対象とした週刊業界紙の記者時代に押し紙の実態を知ったのが取材のきっかけ。近著では日本新聞協会が押し紙を隠すため姑息(こそく)な手段を使ったことを問題にしている。

 「日本新聞協会の販売委員会とも言える『地区新聞公正取引協議会』は、配達中に新聞が雨などで破損したときに使われる予備紙の割合を搬入部数の2%と定めていた。公正取引委員会も販売店の注文部数は、予備紙を加えたものと定義しています。それをオーバーした部数は押し紙になります。公取委は2009年に新聞特殊指定改訂に際し、予備紙を含む注文部数以外で新聞を買い取らせることはできないとしました。目的は押し紙の取り締まりでした。ところが改訂版施行前に、新聞協会は予備紙2%ルールを廃止した。ルールがあると、2%を超える予備紙は押し紙になるが、これがなければ、残紙はすべて予備紙であり、押し紙ではないという詭弁(きべん)が成り立つ。改訂版施行後、残紙を予備紙と呼んでいる新聞社もある。販売店では予備紙が搬入部数の20%から30%にもなっている」

 3月末に国会で35年ぶりに押し紙問題が取り上げられたが、「安倍晋三内閣はメディアをコントロールする材料に使うため問題を放置している」と批判する。

橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)
posted by JCJ at 15:20 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする