2024年02月12日

【沖縄リポート】新たな訴訟、初日の出の日に「不屈」を誓う=浦島悦子

                         
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  なぜ、これほどまでに国は前のめりになるのだろう…?
 昨年12月20日、辺野古代執行訴訟の高裁判決(沖縄県敗訴)。御用納めの28日、判決に従わない県に代わって国が代執行(設計変更承認)。荒れた年末に続く年明け、国は、予定していた1月12日の大浦湾側着工を、強風・波浪注意報の出る悪天候の中、2日も前倒しして10日正午過ぎ強行。「抗議行動を避ける狙いか」と地元紙は報じた。

 台船に載せた石材(砕石)を海へ投入し「着工」を宣言した「儀式」には既視感があった。2017年4月、建設予定地の波打ち際に数個の土嚢を置いて「辺野古埋め立て着工」を大々的に宣伝した。翌18年12月の土砂投入開始時には、見る見るうちに濁っていく海、埋め殺されるサンゴの映像が繰り返し流された。
 県との協議にさえ応じず強行着工したことに対し、玉城デニー知事は「(国の言う)『丁寧な説明』とは真逆の、極めて乱暴で粗雑な対応」「あきらめを醸し出そうという考え」と怒りを込めて批判、「沖縄の苦難の歴史にさらに苦難を加える」新基地建設の中止と対話による解決を強く求めた。

 これでもか、これでもか、と言わんばかりの鞭を沖縄に打ち据えながら「沖縄の負担軽減」、国の試算でも今後最低12年かかるという工事を「1日も早い普天間基地の返還」と平然と語る岸田首相の言葉の白々しさ…。
「前のめり」が県民をあきらめさせるためなら、それは逆効果だ。2024年元旦、ヘリ基地反対協はコロナ禍で中止していた辺野古の浜の初興し(ハチウクシ)を4年ぶりに開催。250人が、東の海を染めて昇る初日に「不屈」を誓った=写真=。
 私たち地元住民は、不当極まりない高裁判決と代執行に対し、新たな訴訟を起こすことを決意、近く記者会見する。現在、埋め立て承認撤回及び設計変更不承認という県の判断を支持する2つの訴訟も係争中。
 沖縄県は代執行訴訟の敗訴を不服として最高裁に上告したが、新基地建設を巡る新たな訴訟は起こせない。一方、住民は提起できる。最後まで「あきらめない」姿勢を示すことで県と県知事を支えていきたい。
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月11日

【月刊マスコミ評・新聞】災害多発時代に発想の転換を=山田明

 年初から能登半島で巨大地震が発生し、甚大な被害をもたらした。災害列島日本で、災害多発時代を実感させる。震源に近い志賀原発にも危険が迫った。巨大地震災害の全容はいまだ不明だが、厳冬の地で災害関連死が危惧される。官民一体の迅速な支援が求められる。
 巨大地震の翌日には、羽田空港滑走路で衝突炎上事故が起こった。原因の徹底究明が必要だ。羽田空港の混雑は世界3位で、超過密のなかの大事故である。この事故からも学ぶことは多い。

 今年の元日社説は毎日「二つの戦争と世界」、日経「分断回避に対話の努力を続けよう」のように、戦争と平和に焦点が当たる。日本の現実はどうか。政治を揺さぶるのが、自民党派閥の政治資金パーティをめぐる裏金疑惑である。安倍派だけでなく、自民党全体の「構造汚職」と言える。岸田首相の年頭記者会見からは、「政治とカネ」の問題に正面から取り組む覚悟に見えなかった(毎日5日)。

 岸田政権は超低支持率ながら、大軍拡と強権政治を進めている。昨年末、沖縄県知事の権限を奪う前例のない代執行を強行。「苦難の歴史を歩み、過重な基地負担を押し付けられてきた沖縄で、この国の民主主義が揺らいでいる」(朝日12月29日)。一方、読売は「沖縄県知事は司法の判断に背いて、手続きを拒んでいる以上、国が前例のない法的手段に踏み切るのはやむを得ない」(12月27日)と主張。読売は日本学術会議についても「これ以上、結論の先延ばしを図ろうとするなら、国のリ―ダ―シップで改革を実行すべきだ」(同23日)と。強権政治にお墨付きを与える読売論調を注視。

 「第2自民党」を公言している日本維新の会にも注意が必要だ。災害に便乗して、緊急事態条項など改憲の旗振り役として危険な役割を演じている。維新が推進してきた大阪万博についても批判が高まる。万博より震災対応を優先せよ、万博中止・延期の声がいちだんと高まるが、維新はあくまで推進の立場だ。
 軟弱地盤の夢洲で開催予定の万博は、底なしの負担増と災害リスクが懸念される。何より万博への関心は低調のままだ。気候危機下の災害多発時代にあって、今こそ発想の転換が求められている。 
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
    
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2024年02月10日

【おすすめ本】金平茂紀 大矢英代『「新しい戦前」のなかでどう正気を保つか』日米のメディア状況を分析 近未来を見通すために=鈴木耕(編集者)

 今年は穏やかな年でありますように…と年賀状に書いた。でも元旦の夕刻におきた能登半島大地震、翌日の日航機火災、厳しい2024年の幕開けである。天変地異や事故だけではなく日本(いや、世界中)の政治そのものが崩壊寸前であるようにさえ見える。政治社会の混乱の世を「新しい戦前」とみなし、その中でどう正気を保つかを論じたのが、金平茂紀氏と大矢英代氏の対談集である。新しい戦前の進行に私たちはどう立ち向かい抗えばいいのか、まことに示唆に富む。

 第1部では日米のメディア状況を分析する。大矢氏は現在、米カリフォルニア州立大学フレズノ校でジャーナリズム論を教える准教授。金平氏は著名なジャーナリスト。だから話は当然、日米のメディア状況に及ぶ。その上で「2022年が新しい戦前の分岐点」になったのではないかと結論づける。なるほど、安倍元首相暗殺事件が、その銃爪を引いたのか。

 もともとアルジャジーラに就職希望だったという大矢氏が、なぜ沖縄に拠点を置いたか。沖縄で見つけた大切なものとは何か。渡米の経緯。そして沖縄の現状をアメリカの学生たちはどう感じているか。前線基地化する沖縄・南西諸島の現状を憂え、日米政府のやり方を強く批判することは、おふたりに共通する。それは評者の私も、強く共感できるのだ。

 変容する日本、自治や分権の不在は、昨年末の辺野古訴訟における福岡高裁那覇支部の判決に如実に示されている。本書の指摘がそのまま現実になるという、この国の不幸。そのような危機感を共有することで成立したのが本書だ。近未来≠見通す上でも、ぜひ読んでほしい1冊である。(かもがわ出版、1600円)
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2024年02月09日

【ジャーナリスト講座】後半1回分の内容=須貝道雄

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原発避難者の今を追う
 12月2日は『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書)の著者でジャーナリストの青木美希さんを講師に、東京の会場で開いた。札幌市の出身で、1997年に北海タイムスに入り、これまで新聞3社で働いてきた。経済格差の原因を調べたいから記者をめざしたという。

 札幌から上京して驚いたのはホームレスに対する冷たさだった。東京スカイツリーの建設中に、近くの川べりで野宿していた男性は行政から立ち退きを求められた。生活保護も打ち切られ、やがて水死体で見つかった。「泳げないし、酒も飲まない人だったのに」と青木さん。

 福島原発事故避難者の取材も続けている。福島県いわき市から家族で東京に避難した18歳男性。教師になるのが夢で、学費半額の減額制度を利用し大学に入った。喫茶店のバイト、塾教師など三つの仕事を掛け持ち、年41万円の学費と家族の生活費を稼いだ。だが16年2月に大学が制度の廃止を通告。彼は夢をあきらめ中退した。住宅提供の打ち切りで、父親が離れて働くことになり、中学生の息子が自殺者するケースもあった。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月08日

【ジャーナリスト講座】後半2回分の内容=須貝道雄

 記者をめざす学生向け23年JCJジャーナリスト講座を10月から6回シリーズで開いた。後半2回を報告する。
                        
「想定外」が糧になる
 11月19日は共同通信科学部の寺田佳代記者が災害・事故報道などについてオンラインで講演した。
 2018年春の入社で岡山支局に赴任。7月に西日本豪雨に遭遇した。犠牲者が305人に及ぶ「平成最悪の水害」だった。避難所で話を聞いてよいか迷いながらも、倉敷市真備町の老人ホームから避難してきた高齢者を取材し、記事にした。
3カ月後、偶然ホームの関係者と会った。「あの共同通信の記事を書いたのはあなただったんだ。おかげで全国から支援が届いた」と感謝された。全国発信したかいがあった。
               
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 事故などの遺族取材では9割超の人が応じてくれない印象だ。だが「心のドア」をノックしないとわからないことがある。「残る1割の人の話を聞きたい」と寺田さん。中国自動車道で起きたスペアタイヤの落下事故で娘と妻を亡くした男性は、事故から2年たった19年に「今でも覚えてくれているとは思わなかった」と言って話をしてくれた。現在も花を贈ったり、電話をもらったりと交流は続いている。
子育て世代にネット配信
 東京新聞にはネットで発信する子育て世代向けサイト「東京すくすく」がある。2018年秋に発足し、5年間で5000本の記事を出してきた。同サイト編集長の今川綾音記者が11月27日、オンラインでその狙いを話した。
 母親が第1子を出産すると生活は激変する。自由時間が消え、乳児の世話で疲弊し、新聞も読めない。この子育て世代にこそニュースを届けるべきだと今川さんは考えた。自身の育児体験から、スマホで手元に送れば、子をおんぶしながらも記事が読めるはず。それが「東京すくすく」に結実した。
              
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 手ごたえはあった。記事を読んでのコメントが1日で500件を超えることも。この5年で最も反響のあった記事は「ぐずる子どもに手を上げて自己嫌悪……そんなあなたに『たたかない子育て』3つのヒント」。コメント数は623件になった。読み手との双方向性を大事にし、親の不安や心配に応える内容をつくってきた。子どもと一緒に映画をみる会、子が泣いても、騒いでもいいコンサートなどイベントも開くようになった。
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月07日

【寄稿】NHKと旧ジャニーズ事の関係 第三者委員会を設置して調査・検証せよ=ジャーナリスト 元NHKチーフ・プロデューサー長井 暁さん

 旧ジャニーズ事務所は昨年8月29日、外部専門家による特別チームの『調査報告書』を受け、ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.の少年達への性加害の事実を認め謝罪した。『調査報告書』によれば少年たちはオーディションでジャニーズJr.のメンバーとなり、「合宿所」と呼ばれる施設などで性被害に遭っていた。NHKは「ザ少年倶楽部」などの番組制作のためとして、放送センターの西館7階にあるリハーサル室を、通常の番組制作では考えられないほど頻繁に、長時間にわたって旧ジャニーズ事務所に使用させ、まともに管理していなかった。そのため、リハーサル室では民放の番組のリハーサルや、事務所のコンサートのリハーサルまで行なわれていた。さらに、ジャニーズJr.のオーディションも頻繁に行なわれ、それにNHKの関係者はまったく関与していなかった。
 
                 長年放置の責任は
 昨年の10月9日のNHKニュース7は、NHK内のトイレで性被害を受けたという人物の証言を放送した。この報道を受けてNHKは「ザ少年倶楽部」の歴代のチーフ・プロデューサーに聞き取りをしたが、その事実を知っている人はいなかったと発表した。
 しかし、「ザ少年倶楽部」の番組スタッフたちの多くは、西館7階奥のトイレで性加害が行なわれていたことに気が付いていた。ジャニー喜多川氏は「ザ少年倶楽部」への出演という「エサ」で少年たちを誘き寄せ、709リハーサル室で「狩り」を行い、トイレで「捕食」までしていたのである。まさに、公共放送が子どもへの性加害に加担してしまったという深刻な事態である。NHKは公共のリソースであるリハーサル室を、なぜ旧ジャニーズ事務所に自由に使わせていたのか、性加害に気が付いている職員がいたのに、なぜそれが長年放置されたのか、調査・検証して公表する責任がある。

                 賃貸期間説明を
 NHKと旧ジャニーズ事務所の間には、その他にも、事務所による職員への接待、コンサート等への招待、NHKによるファンクラブへの便宜供与などなど、様々な問題が存在するが、特に深刻だと思われるのが不動産賃貸借の問題だ。NHKに近い公園通り沿いに、旧ジャニーズ事務所グループが所有するパークウエイスクエア3というビルがあり、その3階〜7階にあるオフィス部分(約750坪)をNHKが借りている。現在はその4階〜7階には「PS3ポスプロセンター」というポストプロダクションの施設(MAルーム、編集室、ECSなど)が設置され、NHKの番組制作担当者に重宝がられているが、この施設の運用が始まったのは2021年10月であり、賃貸借契約が結ばれたとされる2019年7月前後から2年以上にわたって、NHKはこのオフィスを不定期にしか使用していなかった。記者会見で記者がこのビルについて質問してもNHKの担当者は、「個別の契約にあたることはお答えしていません」として一切説明しようとしない。NHKが説明しないので正確なことは分らないが、仮に募集価格の坪単価約4万円で借りているとすれば、年間の賃料は約3億6千万円にもなる。10年間の定期借家契約だとすれば、保証金を含めて総額は40億円を超える賃貸借契約である可能性がある。NHKは契約内容の詳細と契約が結ばれた経緯を公表するとともに、放送センターの建て替えのためのポスプロ施設を、なぜ繁華街のど真ん中にある旧ジャニーズ事務所グループ所有の(賃料が高額な)ビルに設置する必要があったのかについて、合理的な説明をする責任がある。

                 なぜ頑なに拒む?
 NHKの稲葉延雄会長は、記者会見で記者からの第三者委員会を設置しての調査・検証の必要性を指摘されても、「報道機関として自主自律を堅持する立場から、番組やニュースで取り上げていく」という意味不明な理由で、第三者委員会による調査・検証を頑なに拒み続けている。しかし、旧ジャニーズ事務所が第三者委員会による『調査報告書』を公表し、TBSが外部委員を含んだ独立性の高い特別調査委員会による旧ジャニーズ事務所問題に関する『報告書』(昨年11月26日)を公表した今日、公共放送が子どもへの性暴力に加担してしまったという深刻な問題について、NHKが第三者委員会を設置しての調査・検証・再発防止策の策定をせずに済ますなどということは、絶対に許されない。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号

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2024年02月06日

【焦点】春名氏、内外情報機関をえぐる 金大中拉致とつながる「別班」 ハマス、穏健化を偽装 「KGB」消滅で露侵攻=橋詰雅博

                     
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 昨年12月17日のJCJオンライン講演会は、「国の内外で蠢くスパイ組織を抉り出す」をテーマに元共同通信記者のインテリジェンスに詳しいジャーナリスト・春名幹男氏=写真=が解説した。

 TBSドラマ「VIVAVT(ヴィヴァン)」(昨年7月から9月放送)の題材になった陸上自衛隊の秘密情報組織「別班」。ドラマが大ヒットしたことで注目された別班出身の元陸自三佐、坪山晃三(故人)に春名氏は、1973年8月8日、日本のホテルから拉致された金大中事件真相の追及で取材した。 
 この年の6月に自衛隊を退職し、都内で調査会社を立ち上げた彼は、在日韓国大使館の金東雲一等書記官(主犯格)から「(滞日の)金大中の居所を調べてほしい」と依頼された。坪山は陸自現役のころから、金は韓国中央情報部(KCIA)所属のころから二人は付き合いがあり北朝鮮情報などを交換していた。この関係から推測すると、別班は少なくとも韓国情報機関とつながりあった。
春名氏は「情報機関は情報収集と秘密工作が任務。日本は情報収集が基本ですが、政府が存在を否定する別班は秘密裏の組織ですので任務はあいまいです」と語った。

 世界で耳目を集めるガザ戦争。対外情報機関「モサド」、国内治安機関「シンベト」、軍情報機関「アマン」などからなる鉄壁な情報網を築くイスラエルは、なぜハマス奇襲を許したのか。イスラエルから21年に攻撃を受けたハマスは、それ以降、突然「イスラエル消滅」を言わなくなり、「穏健化」に変貌。イスラエルは警戒を怠り油断したという春名氏はこう続けた。
 「パレスチナはヨルダン川西岸を統治するファタハ(パレスチナ民族解放運動)とガザ地区を支配するハマスの二つの勢力が競い合っている。イスラエルのネタニヤフ首相は、9月にカタールに派遣したモサドの長官を通じハマスへの資金援助継続を依頼した。穏健に転じたハマスが勢力拡大すればパレスチナの分断が深まってパレスチナ建国を阻止できるとネタニヤフは考えた」「防諜機関『8200部隊』は一年前からハマス軍事部門が使う無線通信の盗聴を止めた」
 政府も情報機関もハマスの偽装に騙されてしまった。
死んだふり作戦≠成功させたハマスはガザ戦争でイスラエルの非道ぶりが広く伝わりパレスチナ建国の国際世論が高まることを期待している。

 ロシアとウクライナの戦争ではウクライナ情報機関が一変したのがロシア侵攻の引き金になった。
「実はソ連崩壊後も旧ソ連構成国を結ぶ秘密情報機関KGB(国家保安委員会)ネットワークは健在でした。ところが米国の介入で親露政権が倒れた14年のウクライナ『マイダン革命』以降、米CIAは巨額な資金を投入してウクライナ軍などを強化した。米国の差し金で保安局や国防省情報総局の親露派幹部ら数十人は暗殺され『KGBウクライナ支局』は消滅。KGB出身のプーチンは復讐のため侵攻を決断した」。意外な事実を春名氏は明らかにした。
 ニュースの裏側を垣間見た春名講演だった。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月05日

【おすすめ本】武田 砂鉄『なんかいやな感じ』―近過去を斜めに活写 蘇る橋本治の匂い=鈴木耕(編集者)

 紙面が匂い立つことがある。私はこの著者のファンでほとんどの著作は読んでいるけれど、それは彼の文章の匂いに惹かれるからだと言ってもいい。でも、本書の匂いにはどこかで接したことがあるなあ…と読みながら思っていた。「あとがき」に辿り着いてその謎が解けた。あ、この匂いは橋本治さんなんだな。文体が似ているというわけではない。けれど橋本さんの『ああでもなくこうでもなく』(全5巻マドラ出版)が私の頭に浮かんだ。「あとがき」によれば、本書はいわゆる純文芸誌「群像」に<その死によって中断した橋本さんの連載の続き>というような意味合いで編集部から依頼されたのがきっかけだったという。うむ、橋本治さんの<続き>として著者に目をつけた編集者はなかなかの慧眼だったと私は思う。

 前出の橋本さんの本が時評集であったことを受けて、本書も一応はその体裁をとる。だが著者は<近過去としての平成>を入り口にして、様々な現在をまるで魔法のように写し出す。その手つきに私は頷きながら驚かされる。しかも「なんかいやな感じ」という感覚を私も共有しているのだから、読みだしたら止まらない。著者が小学生から中学高校生、そして大学生から社会人になる過程で体験した事柄をどう消化し、同じ事柄が社会の中でどう消費されていったかを、ややアクロバティックな回り道をしながら描いていく。歌謡曲を口ずさみ、社会現象を斜めに見ながら、政治家を俎上にあげる。それらを包むキイワードが「なんかいやな感じ」である。
 ちなみに私は編集者として橋本さんとは長い間お付き合いさせてもらった。だから本書を読むのはとても楽しかった。
(講談社1600円)
             
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2024年02月04日

【リレー時評】安倍派の瓦解と政治家の「話す力」=山口昭男(JCJ代表委員)

 能登半島地震に見舞われた年明けの日本列島、岸田政権はますますレームダック化している。
 いま改めて岸田文雄首相の「話す力」の乏しさを思う。ひるがえってみれば、菅義偉の言葉は迫力がなかったし、安倍晋三は饒舌だったが、中身がなかった。というより安倍の場合は、その場限りの無責任な言葉だった。

 私は一度だけある書籍の出版記念会で、安倍の挨拶を間近に聴いたことがある。5分余り、何のメモも見ず、800頁を超える大部な学術書のあらすじを簡潔に説明した後、自分はどこに感銘を受けたかを語っていた。誰かがメモを渡していたとしても、付箋の付いた本を掲げながら列席者に語りかける姿は見事なものだった。しかし、明日にはもうこのことは忘れているのではないかと思ってしまった。安倍の語りは、その日、そのとき聞いている人の耳にどう響くかだけに関心があるようだった。それは計算された上でのことというより、その場に最も合うパフォーマンスは何かというところから作られている。だから今日言ったことと明日言うことが違っていても気にならないのである。「桜を見る会」前日に開かれた夕食会の費用補填問題について、首相在任中118回の虚偽答弁があったというが、さもありなんである。安倍本人がいなくなれば、派閥自体が立ち行かなくなってしまうのも必然だろう。

 なぜ最近はこうも政治家の言葉が軽くなってしまったのか。
 武田泰淳の『政治家の文章』(岩波新書)を披くと、保守革新を問わず、政治家の真の言葉がいくつも出てくる。
 浜口雄幸の『随感録』には「政治が趣味道楽であつてたまるものか、凡そ政治ほど真剣なものはない、命がけでやるべきものである」とあるし、重光薫の回顧録『昭和の動乱』には、「いかに手際よく、その日の舞台劇をやつて見せるかに腐心するのが、また政治家であつて、国家永遠のことを考ふるの余裕を有つものが少い」などとある。

 近年では、福田赳夫の『回顧九十年』(岩波書店)を読むと、なるほどと思うような言葉も多い。また鯨岡兵輔には「核兵器で殺されるよりも核兵器に反対して殺される方を私は選ぶ」というような有名な言葉がある。こちらが年を重ねたせいだけでもあるまい。
 引退した後の回顧録は皆いいことばかり書くのではないですか、と言われそうだが、回顧録でも取るに足らないものもあるし、それだけではない。

 二二六事件直後に粛軍演説で陸軍を批判した斎藤隆夫のようにとは言わないまでも、最近与野党の政治家で研究会が発足したという石橋湛山に学ぶことも必要だろう。例えば1921年7月『東洋経済新報』の社説欄に掲げられた「一切を棄つるの覚悟」「大日本主義の幻想」などを読むならば、「話す力」は復権すると思うが、果たしていまの日本にそれらをきちんと受け止められる政治家はどのくらいいるのだろうか。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月03日

【焦点】ガザ戦争 即時人質解放と停戦 「戦場記者」須賀川氏訴える=橋詰雅博

                     
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 「国境なき医師団」(MSF)日本事務局は、パレスチナ自治区ガザから帰還した日本人スタッフ2人とTBSテレビ前中東支局長の須賀川拓氏=写真=らを交えガザで深刻化する人道危機などをテーマにしたトークイベントを昨年12月11日都内で行った。2019年から中東を始め世界の紛争地を駆け回った須賀川氏は、それまでの映像記録をベースに自ら監督したドキュメンタリー映画『戦場記者』を22年末に公開した。
 ガザに何回も取材で入った須賀川氏は「ガザは天井のない監獄と言われているが、監獄はすなわちプリズンじゃないですか。確かにイスラエルにテロ行為を繰り返すハマス戦闘員はいるが、罪を犯した、悪いことをした人はほとんどいない。天井のない収容所という方が適切だと強く思っている」と人口約223万のガザをこう表現した。

 ガザを実効支配するイスラム組織ハマス(イスラム抵抗運動のアラビア語略)がイスラエルに奇襲攻撃した10月7日の2日後の9日にイスラエルに入った須賀川氏は、ガザに入ることは叶わなかったがイスラエルで3週間滞在し取材。
  須賀川氏が言う
「牙をむいたイスラエルはガザの全員を抹殺するかのような行動です。恐怖を覚える人は多いと思う。一方ハマスもロケット弾などで無差別攻撃している。イスラエルからのしっぺ返しで多くの住民が死ぬことを考えられなくなっているのだろうか」「(国際赤十字委員会が1971年提唱した民間人保護など戦争のルールを定めた)国際人道法に基づき双方は平等に裁かれるべきです」
 ただし容赦しない攻撃をガザに浴びせるイスラエルの方が罪は相当に重いのは明白だ。

 イスラエルもハマスもSNSなどでフェイク情報を平気で発信を続けているので、騙されてはいけないという須賀川氏は「特に過激な情報は拡散する、信じ込む前にちょっと一拍置く。MSFのような信頼できる発信元か確認が必要」とアドバイスした。
 日本人ができることは何かについて須賀川氏は「(原油の9割以上を中東に依存している)日本は中東安定のためパレスチナに経済自立支援を行い、イスラエルとも経済交流など関係は深い。両方につながりがある稀有な国」と日本の立場を指摘したうえで「対立は終わらないだろうから、関心を長く持ち続けることが大きなタスク」と語った。

 そして須賀川氏は「人命を救うため即時の人質解放と停戦」を訴えた。第三国の仲介によるイスラエルとパレスチアの和平交渉はそれが済んだ後だという。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月02日

【オピニオン】政治資金の闇あらわ 「裏金づくり」政権揺るがす「政治とカネ」に切り込め=丸山重威

  23年暮れ、政界を揺るがす「政治資金パーティ」裏金疑惑は当初、カネの流れを記帳しない杜撰な会計処理による「記載漏れ」の政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)と思われていたが、「パーティ」を隠れ蓑にカネ集めをし、権力をカネで支配する「裏金つくりの宴」だったことが明らかとなり、当初の「安倍派の政治資金パーティ」問題から、自民党の各派閥にまたがる「政治とカネ」の大問題となって国民の信を失い支持率低下にあえぐ岸田政権を直撃。「政治とカネ」に加え、自民党内に「選挙のカオ」を巡る政局まで生じる事態となった。一方、本来なら疑惑「解明の主役」であるべきメディアは、検察にその座を奪われ後追い取材に終始。政界とは別の大きな課題を抱え込むこととなった。
                     □
 問題を告発したのは、政治資金問題を追及し続ける神戸学院大・上脇博之教授。赤旗日曜版22年11月6日号が報じたことから調べを進めた。

告発に特捜動く 
 11月2日、共同通信などが「自民党5派閥の政治団体が政治資金パーティ収入を2018〜21年分政治資金収支報告書に過少記載している、と政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)で、東京地検特捜部に告発状が出されていた」と報道。
 問題がクローズアップされ、過小申告額は、清和政策研究会(安倍派)が約1900万円、志帥会(二階派)約950万円、平成研究会(茂木派)約600万円、志公会(麻生派)約400万円、宏池会(岸田派)が約200万円。総額は4000万円などと報じられた。
 地検が動いてその後、安倍派の不記載額は「1億円超」から「5億円」へと膨れ上がった。

裏金のカラクリ
派閥の政治資金パーティは、大量のパーティ券を政治家に割り当て、ノルマを超えた代金を派閥が政治家にキックバックする。そのカネを政治家が自分の政治資金団体に入れ、報告書に記載すれば問題はない。だが、派閥が「政治資金団体の報告には載せるな」と指示していたことで、特捜部は「組織ぐるみの裏金つくり」と見たようだ。
 安倍派は、安倍晋三氏の下、塩谷立会長、下村博文元文科相、世耕弘成参院幹事長、萩生田光一政調会長らが実権を握り、会計の事務総長を松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、高木毅国対委員長(22年から)らが務めてきた。

4閣僚を解任
 地検特捜の捜査が報道される中で、安倍派の閣僚4人、副大臣、政務官合わせて15人や自民党役員(萩生田、世耕、高木氏)も辞任を余儀なくされる状況になった。
結局、閣僚と副大臣は交代、若手の政務官については、大半が留任する形になり、12月14日、4閣僚が辞任、後任の官房長官に林芳正前外相、経産大臣に齋藤健前法相、総務大臣に松本剛明前総務相、農水大臣に坂本哲志元地方創生相が就任、副大臣5人と政務官1人も交代した。

メディアの役割は
 今回問題にされているのは、自民党の派閥による、党と同じ形の資金集めパーティでの裏金作りだが、政党には巨額の政党助成金が支出され、馳・石川県知事の口から明かされた内閣機密費もすべて国民の税金だ。
 カネで政治が歪められている事実は、この一件でいまや隠しようもなくなっている。
 今回の報道を「自主取材」と言っても結局、内実は検察のリークと示唆に引きずられ、政界の「観測」に乗った性格が強いとの印象は避けられない。
 捜査の行方は予断を許さないが、「報告書」やそれ以外の客観的事実の分析から核心をあぶり出すことが中心にならなければならないとすれば、検察が動くまで報じなかった多くのメディアは、またも赤旗に敗け、上脇教授に負けたことになる。
 問題の核心は、当然、政党助成金をどうするか、企業・団体献金をどうするか、内閣機密費をどうするかにある。
 メディアの課題は山積しているが、「政治とカネ」の問題は見過ごしてはならない問題だ。
メデイア本来の役割である権力監視の力を見せてほしいものだ。

                退陣もあり得る政局に

 疑惑の影響か岸田内閣の支持率は、時事通信調査(12月8日〜11日)で17・1%、不支持58・2%、毎日新聞(18〜19日)では、16%、不支持79%、とうとう10%台に転落した。「パー券裏金疑惑」が発展した結果だ。果たして、これで政権は持つのか? 検察の捜査にもよるが、政局は新年早々の岸田退陣もあり得る情勢になっている。
 一日も長く政権の座に居たいという岸田首相にとって、自民党総裁としての再選を確実にするためにも、いつ解散・総選挙が打てるかは大きな課題だった。ところが、ここで勃発した政治資金パーティ問題は、「清和会」にとどまらず、官房長官と3閣僚、副大臣5人、政務官6人にも直接関わる問題とわかり、支持率も低下、政権の存亡にも関わる事態になった。

党のカオ交代も?
 岸田政権は、安倍政権の安保法制に続く「安保3文書」で、敵基地攻撃を可能にし、防衛費の増額、NATOへの接近、中国包囲網―と米国の意向に沿った政策を次々と打ち出した。まさに安保政策の転換で、「安倍政治」を完成させた。
 これまでも、自民党は適当に「顔」を変え「目先」を変えながら、一貫して、対米追随・軍事強化・憲法無視の路線を続けてきたが、24年11月の米大統領選も控え、「首相交代期」に来た、との見方もある。年明け早々からの政局からも目が離せない。 
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号 


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2024年02月01日

【JCJ神奈川支部】防衛大学校いじめ裁判「連鎖する暴力と蔓延する人権侵害」原告代理人弁護士が講演 2月23日(祝・金)午後2時から4時

 2019年9月に横浜地裁に提訴された防衛大学校いじめと人権侵害裁判が、2023年12月12日に結審しました。今年5月には判決を迎えます。

防衛大学校在学中に執拗にいじめを受けた末、声が出せなくなるなど肉体的・精神的なダメージを受けたAさんは、なにも聞き入れられず、かえって退校処分となり、自衛官への道を絶たれました。そのためAさんは、執拗にいじめを加えた上級生と、防衛大学校(国)を相手取って、損害賠償請求の裁判を起こしました。

防衛大学校は全寮制で、閉鎖的な生活環境の中で、上級生のいじめや暴力により退学する学生が後を絶ちません。上級生が下級生を指導する「学生間指導」についても、ガイドラインはあるものの暴力やいじ めの原因となっています。

折から自衛隊では、繰り返されるセクハラなどが問題となっており、 防衛大学校における人権侵害は、最近あいついで明るみに出た自衛隊内のパワハラ・セクハラの温床となっています。

元自衛官の五ノ井里奈さんの事件に判決が出たこともあり、今この問題を考えます。裁判の原告側代理人である田渕大輔弁護士(横浜合同法律事務所)に、詳しいお話をうかがいます。

会場 :かながわ県民センター 305会議室(横浜駅西口徒歩5分、ヨドバシカメラ裏)
参加費 :500円
問い合わせ :保坂  080−8024−2417fdhosaca@theia.ocn.ne.jp 主催 :日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部
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2024年01月30日

【おすすめ本】猫塚義夫・清末愛沙『平和に生きる権利は国境を超える パレスチナとアフガニスタンにかかわって』─人道支援を続けてきた医師と法学者が鋭く問う=香山リカ(精神科医)

 アフガニスタンやパレスチナで起きている人道危機。ニュースでは知っていても、それが世界地図のどのあたりで起きているのか分からない、という若者もいる。彼らに関心を持ってもらうのに必要なのは、「具体的な話」だ。
 本書は、北海道パレスチナ医療奉仕団の団員として、アフガニスタンやパレスチナで、人道支援を続けてきた法学者と医師による対話集である。
 両人とも学術的バックグラウンドを持つ“行動の人”だ。過去の支援活動においてガザ地区の病院で手術をしていたら停電になり、看護師たちがスマホの灯りをかざして手元を照らしてくれた、といった猫塚医師の話にリアリティを感じない人はいないだろう。

 こういった生々しい話が続いたあと、ふたりは日本国憲法が持つ先駆性について語る。とくにその前文に、日本国民のみならず全世界の国民が、「平和のうちに生存する権利を有する」と謳われていることの意義だ。
 清末教授は言う。「私たちの活動は国境を越えた活動に見えるでしょう。それは間違いではありませんが、同じレベルで足元の日本の社会での平和的生存権の実現をめざすことが肝要です。足元を見ずに、国境を越えて活動はできません。」

 さらにふたりは、先住民族アイヌが住む土地を収奪して成り立った歴史を持つ北海道の団体が、イスラエルに植民地化されたパレスチナにかかわる意義にも触れる。実は私も北海道パレスチナ医療奉仕団のメンバーである。まだ現地を訪れたことはないのだが、事態が少しでも落ち着いたら必ず医療支援に出かけたい。(あけび書房1600円)
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2024年01月29日

【焦点】万博総額14兆円、これで打ち止めではない、維新崖っぷち=橋詰雅博

 2025年4月に開催するという大阪・関西万博への批判が高まる一方だ。
その原因は膨れ上がるばかりの費用にある。政府が昨年末に公表した試算では、運営費1160億、会場設営費2350億、万博にかかわるインフラ整備費8390億だ。17年の誘致立候補申請時と比べると、運営費1・4倍、会場設営費1・8倍、インフラ整備費10倍にもハネ上がっている。このため合計1兆1900億に増えた。

 この要因は@会場の夢洲(ゆめしま)への電気、上下水道、交通などの整備が必要A廃棄物、建設残土、浚渫土砂などで埋め立てた夢洲は軟弱地盤、土壌汚染の対策が必須、B資材や人件費の高騰などだ。

 費用はさらにかさむ。万博に向けた行動計画事業「空飛ぶクルマ」実証実験など約3兆4000億、万博に便乗した大型開発と指摘されている中国・四国地方の道路整備や河川改修などインフラ整備費用約9兆が試算されている。なんと総額約14兆という金額になる。当然ながらこれには多くの血税が使われる。

 しかもこれで打ち止めではない。この先まだまだ増えると予測されている。万博と密接につながるIR(カジノを含む総合リゾート施設)開設も目指しているからだ。だからどの世論調査でも万博開催は、反対が多数を占める。運営費の多くを賄うのは入場料収入だが、「万博チケットを購入したいと思わない」は79%(23年12月17付毎日新聞)にものぼる。

 関西学院大学法学部の冨田宏治教授は「大阪・関西万博をめぐる総額14兆円という法外な関連費用が問題になっています。『税金の無駄遣いを許さない』という日本維新の会の旗印がブーメランのように維新を襲い始めています。万博問題は維新のアキレス腱≠ノなろうとしています。維新支持層の中でも『万博不要』の声は高まっている(12月17日付毎日世論調査では7割強)」と述べている(1月27日付新婦人しんぶん)。

 岸田政権は即刻、万博を中止し、能登半島地震の被災地支援と復興のためにカネ、ヒト、モノを最大限投じるべきだ。これが今やるべき最優先の政策ではないか。

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