袴田厳さんに真の自由を
■この10日、87歳の誕生日を迎えた袴田巌さん、その胸中は如何ばかりだろうか。明日13日、「再審決定」か否か、東京高裁の判決が下る。おそらく今晩は、不安と期待がないまぜになって、眠れないのではないか。
浜松生まれの巌さんは6人きょうだいの末っ子。甘えん坊だったが中学卒業後、23歳でプロボクサーに。フェザー級6位までランクされ海外遠征もした。引退後、静岡県清水市の味噌会社に住み込みで働くようになった。
■1966年6月30日、その務め先で、一家4人が殺害される事件が起きた。袴田さんは肩や手の傷とパジャマにある血痕を理由に、事件から49日目、30歳で逮捕。過酷な取り調べもあり「自白」へと追い込まれた。
一審・二審と裁判は続いたが、1980年、最高裁の判決で死刑が確定。48年にわたる獄中生活を強いられてきた。その間、3歳上の姉の秀子さんを始め、弁護士や支援する会は、無罪を証拠づける実験や新資料を広範に集め裁判所に提出し、袴田さんの無実と再審開始を訴え続けてきた。
「再審」開始を求めて
■2014年3月、再審請求33年目にして、静岡地裁は再審開始の決定を下した。あわせて死刑と拘置も執行停止とされ、袴田さんは47年7カ月ぶりに浜松の自宅に帰ってきた。
だが4年後、東京高裁は静岡地裁の再審を取り消す判決を下す。その後も最高裁で審理が続けられ、東京高裁の再審取り消しを却下、東京高裁に審理差し戻しを命ず。そして事件から57年目、遂に明日13日、東京高裁が再審を巡る判決を下す。
■「再審決定」の判決を確信しているが、それを不服として、さらに東京高検が「特別抗告」するとしたら、その暴挙は許されない。いまだに袴田さんは死刑囚のまま。選挙権もなければ生活保護も受けられない。もうこれ以上、引き延ばしは止めるべきだ。
「日野町事件」─特別抗告する検察
■というのも、この6日、大阪高検は「日野町事件」の再審決定を不服とし「特別抗告」をしたばかりである。それだけに要注意だ。
「日野町事件」とは、今から39年前の1984年、滋賀県日野町で酒屋の女性が殺害され金庫が盗まれた強盗殺人事件である。容疑者として逮捕された阪原弘さんは、大津地裁、大阪高裁の両判決で無期懲役が言い渡され、2000年の最高裁で刑が確定した。
■その後、阪原さんは「警察官に暴行され自白を強要された事実」を告白し、再審請求裁判を起こすが、2011年75歳で獄内病死。翌年、遺族が第2次再審請求を申し立てた。
その裁判の審理過程で、大阪高裁は新たに開示された証拠を吟味。遺体発見現場の写真などは、自白の根幹部分の信用性を揺るがす内容だと判断。「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たる」と指摘し、2月27日、再審を認める決定を出した。
■ところが大阪高検が「特別抗告」をしたため、最高裁は、受刑者本人が死亡している重大事件を、審理しなければならなくなった。最高裁が大阪高検の「特別抗告」を却下し「再審支持」となっても、大津地裁に差し戻し、またまた裁判がやり直されることには変わりはない。こうも長期化させていいのか。
検察側に不服があるのなら、再審公判で主張すればよい。なのに「抗告」の手法を使って審理の引き延ばしを図ることは許されない。禁止すべきだ。
再審無罪を勝ち取った免田事件
■忘れてならない冤罪事件は数多い。その一つに「免田事件」がある。敗戦後の1948年12月29日深夜、熊本県人吉市の祈祷師宅で4人が殺傷された事件。
強盗殺人などの罪に問われた免田栄さんは、1952年1月に死刑が確定したが、その後、再審裁判が開かれ、1983年7月28日、死刑囚では初めての再審無罪を勝ち取った。
■詳細な記録が刊行されている。高峰武『生き直す─免田栄という軌跡』(弦書房)である。本書は獄中34年を生き抜き、無罪釈放後37年という稀有な時間を生き直した、免田栄の95年の生涯をたどった評伝である。ぜひ読んでほしい。
なぜ冤罪事件が起きるか
■被疑者が、いくら事件に関係していないと言っても、警察は脅迫じみた尋問を重ね、かつ逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとして、長期にわたる勾留へと追い込む。
この身体的拘束という心理的不安をあおり、被疑者に「自白」を強要する「人質司法」が、冤罪を生む一つの原因だ。被疑者が不本意でも「自白」に追い込まれれば、捜査機関は「自白」に添った証拠集めに奔走し、客観的な証拠集めが疎かになる。
■裁判官は「疑わしきは被告人の利益に」という立場で、証拠を吟味し審議すべきなのに、被告人の「自白」があると、犯人ではとの判断が生まれやすく、かつ検察の言い分を過信しやすくなる。「自白偏重」の弊害は明らかだ。
それを防ぐためにも「取り調べの可視化」および「証拠の全面開示」を加速し、裁判での審理を迅速・改善していくことが不可欠だ。(2023/3/12)
2023年03月12日
2023年03月11日
【JCJ神奈川支部 オンライン講演会】ヘイト批判報道――スラップ訴訟を闘って 講師・石橋 学さん(神奈川新聞 川崎総局編集委員)19日(日)14:00〜16:00
在日コリアの人たちへのヘイト問題を果敢に報じている神奈川新聞の石橋学記者。その石橋記者の記事で名誉を棄損されたとして、石橋記者に損害賠償を求めた裁判が、横浜地裁川崎支部で続いていた。訴えたのは日本第一党とのつながりが強い、いわゆるネトウヨの人物。
その判決が1月31日にあり、記事についての名誉棄損の請求は棄却されたが、一部、石橋記者の発言について15万円の賠償を命じる不当判決となった。
JCJ本部はこの裁判に2021年3月、「スラップ訴訟と闘う神奈川新聞・石橋記者を全面的に支援する」との声明を出している。
JCJ神奈川支部では裁判の結果を受け、石橋記者にヘイトについて、この裁判で感じたことや明らかになったことを語ってもらう。
【講師の略歴】
石橋 学(いしばし・まなぶ)
1971年東京生まれ。94年に神奈川新聞社に入社。報道部、運動部などを経て2018年から川崎総局編集委員。連載「時代の正体」で2016年度JCJ賞、2020年度新聞労連ジャーナリズム大賞を受賞。
★参加費:500円
当オンライン講演会に参加希望の方はPeatix(https://jcjonline0319.peatix.com/)で参加費500円をお支払いください。(JCJ会員は参加費無料。jcj_online@jcj.gr.jp に参加希望と書いて、メールをお願い致します)
主催: 日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部
お問い合わせ: 080‐8024‐2417(保坂)
2023年03月10日
【出版界の動き】昨年1年間のコミック販売金額は過去最大6770億円=出版部会
●23年1月の出版物販売金額797億円(前年比6.5%減)、書籍474億円(同7.0%減)、雑誌323億円(同5.8%減)。月刊誌266億円(同3.3%減)、週刊誌56億円(同16.0%減)。返品率は書籍32.8%、雑誌41.8%、月刊誌41.3%、週刊誌44.3%。
●22年1年間のコミック販売金額は、紙+電子を合わせ6770億円(前年比0.2%増)、5年連続の成長で過去最大を更新した。
紙のコミックス(単行本)1754億円(同16.0%減)、コミック誌537億円(同3.8%減)、合計2291億円(同13.4%減)。コロナ禍による巣ごもり需要が終息、メガヒット作品も少なかったが、コロナ禍前の2019年比ではプラス。
電子コミックは4479億円(同8.9%増)、コミック市場全体に占める率は66.2%。電子コミックの市場推計は定額読み放題を含む「読者が支払った金額の推計」で、広告収入や電子図書館向けは含まれない。
●図書館流通センター(TRC)の電子図書館サービスが318の自治体で導入。利用可能人口6千万人を超えた。3月までに日本の総人口の過半数が利用できる。3月には神奈川・川崎市、茨木県・つくば市や土浦市でも導入。
●講談社、減収減益の決算─22年度の売上高1695億(前年比0.8%減)。当期純利益は150億(同3.8%減)。デジタル・版権関連の事業収入102億(同10.0%増)、広告収入74億(同5.0%増)が好調に推移し、前年比減を抑えられた。
●『オール讀物』3・4月合併号が創刊92年の歴史で初の電子雑誌版配信の試み。直木賞発表の小川哲さん『地図と拳』と千早茜さん『しろがねの葉』を収載。
●朝日新聞出版の月刊誌「Journalism」が3月で休刊。2008年の創刊で、メディアに関連するテーマやジャーナリズムに関する論考を掲載し、新聞販売店を経由して販売していた。
あわせて、みすず書房の月刊誌「みすず」が8月号で休刊。出版社のPR雑誌も休刊する危機が迫っているのではないか。
日販の広報誌「日販通信」も3月号(3/3発売)で休刊。1950年の創刊以来、73年で終止符。WEBサイト「ほんのひきだし」に移行する
●22年1年間のコミック販売金額は、紙+電子を合わせ6770億円(前年比0.2%増)、5年連続の成長で過去最大を更新した。
紙のコミックス(単行本)1754億円(同16.0%減)、コミック誌537億円(同3.8%減)、合計2291億円(同13.4%減)。コロナ禍による巣ごもり需要が終息、メガヒット作品も少なかったが、コロナ禍前の2019年比ではプラス。
電子コミックは4479億円(同8.9%増)、コミック市場全体に占める率は66.2%。電子コミックの市場推計は定額読み放題を含む「読者が支払った金額の推計」で、広告収入や電子図書館向けは含まれない。
●図書館流通センター(TRC)の電子図書館サービスが318の自治体で導入。利用可能人口6千万人を超えた。3月までに日本の総人口の過半数が利用できる。3月には神奈川・川崎市、茨木県・つくば市や土浦市でも導入。
●講談社、減収減益の決算─22年度の売上高1695億(前年比0.8%減)。当期純利益は150億(同3.8%減)。デジタル・版権関連の事業収入102億(同10.0%増)、広告収入74億(同5.0%増)が好調に推移し、前年比減を抑えられた。
●『オール讀物』3・4月合併号が創刊92年の歴史で初の電子雑誌版配信の試み。直木賞発表の小川哲さん『地図と拳』と千早茜さん『しろがねの葉』を収載。
●朝日新聞出版の月刊誌「Journalism」が3月で休刊。2008年の創刊で、メディアに関連するテーマやジャーナリズムに関する論考を掲載し、新聞販売店を経由して販売していた。
あわせて、みすず書房の月刊誌「みすず」が8月号で休刊。出版社のPR雑誌も休刊する危機が迫っているのではないか。
日販の広報誌「日販通信」も3月号(3/3発売)で休刊。1950年の創刊以来、73年で終止符。WEBサイト「ほんのひきだし」に移行する
2023年03月09日
【おすすめ本】森永康平『国の借金は問題ないって本当ですか?』―レベルが「高い」経済書 中央銀行の役割を的確に示す=藤井 聡(京大大学院教授)
本書は新進気鋭の経済アナリスト、森永康平氏による、一般の国民に向けて書かれた経済書だ。
この本が特に着目しているのは「国の借金は問題ないのか」という点なのだが、実を言うとこの一点こそ、今、政府が何をなすべきなのかを占う上で最も¥d要な論点なのだ。そして本書はそんな重大な問題について、一般のサラリーマンは言うに及ばず、中高生でも苦も無く最後まで読み通す事ができる極めて秀逸な一冊だ。
しかしだからといって、論じられている内容のレベルが低いというわけではない。
世間には経済書が山ほど出回っているが、それらよりも本書の方が圧倒的に内容のレベルが「高い」。だから経済学部の学生は言うに及ばず、学者や評論家、そして何より経済政策に関わる政治家・官僚こそが、精読すべき一書でもある。なぜなら、多くの『専門家』達が信じて疑わない一般的な経済政策論は、銀行≠ニりわけ中央銀行≠ェどの様な役割を担っているのかを(驚くべき事に)『完全に無視』した上で作られたものである一方で、その点を明らかにした上で的確に論ずるものこそ、本書だからだ。
ちなみに本書は、現代貨幣理論(MMT)を様々に活用しながら、最新かつ豊富なデータと実例を紹介しつつ論じたものである。その意味において本書はMMT入門書としても極めて秀逸なものとなっている。
ついては是非、立場や思想信条の別を超え、あらゆる国民に読んでもらいたい。本書がベストセラーになれば日本人の経済政策についての認識が一変し、日本の歴史は確実に変わる――そう確信できる一書なのだ。(技術評論社1600円)
この本が特に着目しているのは「国の借金は問題ないのか」という点なのだが、実を言うとこの一点こそ、今、政府が何をなすべきなのかを占う上で最も¥d要な論点なのだ。そして本書はそんな重大な問題について、一般のサラリーマンは言うに及ばず、中高生でも苦も無く最後まで読み通す事ができる極めて秀逸な一冊だ。
しかしだからといって、論じられている内容のレベルが低いというわけではない。
世間には経済書が山ほど出回っているが、それらよりも本書の方が圧倒的に内容のレベルが「高い」。だから経済学部の学生は言うに及ばず、学者や評論家、そして何より経済政策に関わる政治家・官僚こそが、精読すべき一書でもある。なぜなら、多くの『専門家』達が信じて疑わない一般的な経済政策論は、銀行≠ニりわけ中央銀行≠ェどの様な役割を担っているのかを(驚くべき事に)『完全に無視』した上で作られたものである一方で、その点を明らかにした上で的確に論ずるものこそ、本書だからだ。
ちなみに本書は、現代貨幣理論(MMT)を様々に活用しながら、最新かつ豊富なデータと実例を紹介しつつ論じたものである。その意味において本書はMMT入門書としても極めて秀逸なものとなっている。
ついては是非、立場や思想信条の別を超え、あらゆる国民に読んでもらいたい。本書がベストセラーになれば日本人の経済政策についての認識が一変し、日本の歴史は確実に変わる――そう確信できる一書なのだ。(技術評論社1600円)
2023年03月08日
2023年03月07日
【JCJオンライン講演会】政府のメディア戦略の現状とマスメディアの機能不全─映画『妖怪の孫』公開直前、内山雄人監督が語─12日(日)午後2時から4時
「彼がもたらしたのは美しい国か、妖怪が棲む国か?」、こんな問いかけで故安倍晋三元首相の政治に切り込んだ政治ドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が3月17日から公開されます。菅義偉前首相を捉えた前作『パンケーキを毒見する』を手掛けた監督の内山雄人さんは、安倍元首相やその背景を改めて検証することで、今の自民党や政権が果たしてどこに向かおうとしているのかを見極めようとしたと話しています。安倍政権が選挙に強かった背景にあったメディア戦略やマスメディアの機能不全、そして作品に込めた思いなども含めて、公開を目前に、内山監督に語ってもらいます。
■内山雄人監督談:
この映画を見ることによって、今の自民党のやろうとしていることの背景や大きな狙いが見えて来るのではないか。直截な批評をする気はありません。岸田政権にどれほど安倍さんが影響を与えているか、与え続けているか? 昨年末から今年にかけて、「丁寧な説明」とはかけ離れた強硬な政策決定ばかりが続き、安倍さんすら決断しなかったことが次々と実現されようとしている。まさに歴史の転換点と言ってもいいでしょう。マスコミもこの異常な事態に客観的な視点で大きく伝えているとは言えません。私は今、本当に危機感を感じています。ルールの破り方、物事の進め方など安倍さんを見ることで今の自民党政権のやり方が見えると思います。背景にあるものは何か。この映画を見て知って欲しい。
■内山監督プロフィール:
1966 年 8 月 24 日生まれ、千葉県出身。早稲田大卒業後、90年テレビマンユニオンに参加。93年「世界ふしぎ発見!」でディレクターデビュー。情報エンターテインメントやドラマ、ドキュメンタリー等、特番やレギュラー立ち上げの担当が多く、総合演出を多数行う。インタビュー取材、イベント、舞台演出、コンセプトワークも得意とする。主な作品に、2001 年 12 月〜日本テレビ「歴史ドラマ・時空警察」Part1〜5 監督&総合演出、2006 年〜09 年日本テレビ「未来創造堂」総合演出、2010〜15 年日本テレビ「心ゆさぶれ!先輩 ROCK YOU」総合演出、2015〜20 年 NHK プレミアム アナザーストーリーズ「あさま山荘事件」、「よど号ハイジャック事件」、「マリリン・モンロー」、「ドリフターズの秘密」、「立花隆 vs 田中角栄」などがある。『パンケーキを毒見する』(21)で映画初監督を果たす。
■『妖怪の孫』3月17日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開。
3月17日公開!『妖怪の孫』公式サイト (youkai-mago.com) ※予告編をご覧いただけます
企画:河村光庸 監督:内山雄人 企画プロデューサー:古賀茂明
ナレーター:古舘寛治 音楽:岩代太郎 アニメーション:べんぴねこ
2023年/日本映画/カラー/ビスタ/ステレオ
製作:「妖怪の孫」製作委員会
制作:テレビマンユニオン
配給:スターサンズ
c2023「妖怪の孫」製作委員会
■参加費:500円
講演会参加希望の方はPeatix(https://peatix.com/event/3523199)で参加費をお支払いください。
(JCJ会員は参加費無料。jcj_online@jcj.gr.jp に別途メールで申し込んでください)
■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
03-6272-9781(月水金の13時から18時まで)
https://jcj.gr.jp/
2023年03月06日
【月刊マスコミ評・新聞】社論にこだわらず、民意を謙虚に伝えよ=六光寺 弦
民主主義社会では世論が政治の流れを変えることがある。新聞が世論調査で何を問い、どう報じるかは極めて重要だ。
新聞各紙は1月の世論調査で、岸田文雄政権が閣議決定した安保3文書の改定をそろって取り上げた。今後5年間の軍事費を従来の計画の1.5倍、43兆円に増やすことについて、財源を増税で賄うことへの賛否を問う質問が目立った。結果はいずれも反対が圧倒。朝日新聞調査では反対71%、賛成24%、読売新聞の調査も反対63%、賛成28%といった具合だ。
ただし、財源は二次的なこと。こんな軍拡=軍事費増を認めていいのか、その賛否を直接問うた調査は多くはなく、目にした範囲では朝日、読売、産経新聞=FNN合同の3件だった。
朝日の調査結果は賛成44%、反対49%。読売もほぼ同じで賛成43%、反対49%。これに対して産経・FNN合同調査では賛成50.7%、反対42.8%と、賛成が反対を上回った。
産経は1月24日付1面準トップ記事に、「防衛費増額、賛成50.7%」の見出しを立てた。軍拡推進を社是とする産経としては、「過半数が軍拡支持」は最大限に強調したかったのだろう。
だが昨年10月の調査では、「防衛費の増額」への賛成は62.5%に上っていた。軍拡への支持は昨年秋より減っているのだ。産経の記事はそのことには触れない。
読売の調査でも、昨年12月には軍事費の大幅増に賛成は51%、反対42%だった。その前月、11月の調査では、「日本が防衛力を強化すること」への賛成は68%に達していた。賛否は逆転だが、読売も報道ではそのことを明記しない。読売も社論は軍拡支持だ。
ウクライナ情勢、北朝鮮のミサイル発射、中国脅威論の喧伝といった中で、岸田政権の軍拡路線は当初、世論の6割から7割近くの支持を得た。しかし世論は変わってきている。主な要因が増税への拒否感だとしても、国民の生活の犠牲の上にしか軍拡は成り立たないことや、敵基地攻撃能力を保有することの危うさなどへの理解が進めば、さらに世論は変わる。
新聞は恣意的な報道を慎み、社論にこだわらず、民意を謙虚に伝えるべきだ。さもないと、戦争遂行に加担した愚を繰り返すことになりかねない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
新聞各紙は1月の世論調査で、岸田文雄政権が閣議決定した安保3文書の改定をそろって取り上げた。今後5年間の軍事費を従来の計画の1.5倍、43兆円に増やすことについて、財源を増税で賄うことへの賛否を問う質問が目立った。結果はいずれも反対が圧倒。朝日新聞調査では反対71%、賛成24%、読売新聞の調査も反対63%、賛成28%といった具合だ。
ただし、財源は二次的なこと。こんな軍拡=軍事費増を認めていいのか、その賛否を直接問うた調査は多くはなく、目にした範囲では朝日、読売、産経新聞=FNN合同の3件だった。
朝日の調査結果は賛成44%、反対49%。読売もほぼ同じで賛成43%、反対49%。これに対して産経・FNN合同調査では賛成50.7%、反対42.8%と、賛成が反対を上回った。
産経は1月24日付1面準トップ記事に、「防衛費増額、賛成50.7%」の見出しを立てた。軍拡推進を社是とする産経としては、「過半数が軍拡支持」は最大限に強調したかったのだろう。
だが昨年10月の調査では、「防衛費の増額」への賛成は62.5%に上っていた。軍拡への支持は昨年秋より減っているのだ。産経の記事はそのことには触れない。
読売の調査でも、昨年12月には軍事費の大幅増に賛成は51%、反対42%だった。その前月、11月の調査では、「日本が防衛力を強化すること」への賛成は68%に達していた。賛否は逆転だが、読売も報道ではそのことを明記しない。読売も社論は軍拡支持だ。
ウクライナ情勢、北朝鮮のミサイル発射、中国脅威論の喧伝といった中で、岸田政権の軍拡路線は当初、世論の6割から7割近くの支持を得た。しかし世論は変わってきている。主な要因が増税への拒否感だとしても、国民の生活の犠牲の上にしか軍拡は成り立たないことや、敵基地攻撃能力を保有することの危うさなどへの理解が進めば、さらに世論は変わる。
新聞は恣意的な報道を慎み、社論にこだわらず、民意を謙虚に伝えるべきだ。さもないと、戦争遂行に加担した愚を繰り返すことになりかねない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
2023年03月05日
【今週の風考計】3.5─「マスク」を巡って、日ごろの想いをつぶやくとき
マスクへの同調圧力
■「マスクを付けるか取るか、それが問題だ」─シェイクスピアも頭を抱えるほどの混乱が広がっている。学校での卒業・入学式のみならず、各種イベントや集会で、どう対応すべきか侃々諤々の議論が続く。
<一億総マスク時代>のなか、マスクを外して歩いていると、街で目線の合った人から受ける叱責の雰囲気に、慌てて口に手を当て、ポケットからマスクを取り出す。そんな<マスクへの恨み>を抱くのは筆者だけだろうか。
■これまでにマスクを巡り、何度、注意されたことか。「鼻マスクはだめ」「飲食時以外はマスク着用!」「図書館でもマスクを」などなど、直接・間接を問わずプレッシャーを感じた経験は数多い。「マスク! マスク!」と迫る、この同調圧力の怖さ、身に染みる。、
<アベノマスク>裁判の判決
■今から4年前、あの3億枚も用意した<アベノマスク>、どうなったか。まず安全・有効性に疑問がつき、ほぼ3分の1を廃棄することとなった。
さらに先月28日、大阪地裁はマスク単価の開示を求めるアベノマスク訴訟に対し、黒塗りにして開示を拒否してきた国へ「税金の使途に関する行政の説明責任を認定し、単価の開示命令」を下す判決を出した。
■この判決が確定すれば、随意契約による<アベノマスク>の単価を、国は公表せざるを得なくなる。それだけではない。配布も含めた総経費543億円を始め、安倍政権が続けてきた税金無駄遣いの<桜・森友・加計>などに、疑惑追及のメスを再び入れる絶好の機会が与えられることになる。まさに「マスク恐るべし」。
花粉と黄砂とマスクと
■そのマスクを再び「役に立つマスク」にする時季がやってきた。スギやヒノキから飛散する花粉である。マスクをすれば花粉の吸引量は30%減らせる。
すでに関東から九州を中心に広がり、花粉量が「非常に多い」日が4月中旬まで続く。しかも今年の花粉の飛散量は関東・甲信地方で例年の2倍と予想され、ピークの時期も長くなるという。
■また黄砂も襲ってくる。東アジアのゴビ砂漠・タクラマカン砂漠や中国の黄土地帯から、強風で吹き上げられた多量の砂塵が、ジェット気流に運ばれ、浮遊しつつ降下する。
今年も本格的な黄砂飛来シーズンを迎え、気象庁は「黄砂情報」を発信し警戒を呼びかける。防ぐには「マスク」が一番だ。
マスク不要か コロナ5類へ
■いま官邸や永田町ではコロナ規制・マスク着用の緩和に急ピッチだ。4月23日の統一地方選が終われば、5月8日からコロナ感染症の分類を季節性インフルエンザ扱いの5類に格下げし、患者に新たな負担を強いることになった。
これまで初診料を除けば無料だったのが、自己負担額:最大4170円に引き上げる。10月以降では治療薬ラゲブリオが併用されれば最大3万円を超える。
■これでは花粉症や黄砂被害の上に、さらにコロナの傷口に塩を塗る対応としか言いようがない。岸田首相は「さまざまな」との言葉を使いまわし、子育て、同性婚、敵基地攻撃などへの質問にはまともに答えず、肝心の中身はあいまいにし、かつ前言をトーンダウンさせ、「マスク」でフタをする。
その一方で、軍備拡張・敵基地攻撃・原発再稼働・コロナ5類への格下げなどは、「マスク」を外して即実行の決断だ。どこに顔を向けているのか。国会答弁で踏襲する「マスク」を外したり内ポケットに入れたり、まるで都合よく出し入れするみたいな対応は止めにせよ。(2023/3/5)
■「マスクを付けるか取るか、それが問題だ」─シェイクスピアも頭を抱えるほどの混乱が広がっている。学校での卒業・入学式のみならず、各種イベントや集会で、どう対応すべきか侃々諤々の議論が続く。
<一億総マスク時代>のなか、マスクを外して歩いていると、街で目線の合った人から受ける叱責の雰囲気に、慌てて口に手を当て、ポケットからマスクを取り出す。そんな<マスクへの恨み>を抱くのは筆者だけだろうか。
■これまでにマスクを巡り、何度、注意されたことか。「鼻マスクはだめ」「飲食時以外はマスク着用!」「図書館でもマスクを」などなど、直接・間接を問わずプレッシャーを感じた経験は数多い。「マスク! マスク!」と迫る、この同調圧力の怖さ、身に染みる。、
<アベノマスク>裁判の判決
■今から4年前、あの3億枚も用意した<アベノマスク>、どうなったか。まず安全・有効性に疑問がつき、ほぼ3分の1を廃棄することとなった。
さらに先月28日、大阪地裁はマスク単価の開示を求めるアベノマスク訴訟に対し、黒塗りにして開示を拒否してきた国へ「税金の使途に関する行政の説明責任を認定し、単価の開示命令」を下す判決を出した。
■この判決が確定すれば、随意契約による<アベノマスク>の単価を、国は公表せざるを得なくなる。それだけではない。配布も含めた総経費543億円を始め、安倍政権が続けてきた税金無駄遣いの<桜・森友・加計>などに、疑惑追及のメスを再び入れる絶好の機会が与えられることになる。まさに「マスク恐るべし」。
花粉と黄砂とマスクと
■そのマスクを再び「役に立つマスク」にする時季がやってきた。スギやヒノキから飛散する花粉である。マスクをすれば花粉の吸引量は30%減らせる。
すでに関東から九州を中心に広がり、花粉量が「非常に多い」日が4月中旬まで続く。しかも今年の花粉の飛散量は関東・甲信地方で例年の2倍と予想され、ピークの時期も長くなるという。
■また黄砂も襲ってくる。東アジアのゴビ砂漠・タクラマカン砂漠や中国の黄土地帯から、強風で吹き上げられた多量の砂塵が、ジェット気流に運ばれ、浮遊しつつ降下する。
今年も本格的な黄砂飛来シーズンを迎え、気象庁は「黄砂情報」を発信し警戒を呼びかける。防ぐには「マスク」が一番だ。
マスク不要か コロナ5類へ
■いま官邸や永田町ではコロナ規制・マスク着用の緩和に急ピッチだ。4月23日の統一地方選が終われば、5月8日からコロナ感染症の分類を季節性インフルエンザ扱いの5類に格下げし、患者に新たな負担を強いることになった。
これまで初診料を除けば無料だったのが、自己負担額:最大4170円に引き上げる。10月以降では治療薬ラゲブリオが併用されれば最大3万円を超える。
■これでは花粉症や黄砂被害の上に、さらにコロナの傷口に塩を塗る対応としか言いようがない。岸田首相は「さまざまな」との言葉を使いまわし、子育て、同性婚、敵基地攻撃などへの質問にはまともに答えず、肝心の中身はあいまいにし、かつ前言をトーンダウンさせ、「マスク」でフタをする。
その一方で、軍備拡張・敵基地攻撃・原発再稼働・コロナ5類への格下げなどは、「マスク」を外して即実行の決断だ。どこに顔を向けているのか。国会答弁で踏襲する「マスク」を外したり内ポケットに入れたり、まるで都合よく出し入れするみたいな対応は止めにせよ。(2023/3/5)
2023年03月04日
【焦点】「対中戦争準備国」への恐怖 台湾有事を煽る米国に追従 大軍拡で経済衰退は急加速 岡田充氏オンライン講演=橋詰雅博
米中両国を中心に政治をウオッチする元共同通信論説委員でジャーナリストの岡田充(たかし)氏(=写真=)は日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)連帯委員会が1月26日開いたオンライン学習会で「台湾有事はどう作られたか―日本衰退が加速する大軍拡」をテーマに講演した。
一極覇権への回帰
中国が武力で台湾を統一する―。中国の軍事的脅威論を米国が意図的に演出し、煽っていると岡田氏は指摘する。中国の台頭を阻み、日本を筆頭とした同盟国を巻き込んで米国がアジア太平洋地域に君臨し、ひいては「米国による一極覇権の回帰が狙いだ」という。その先鞭がバイデン政権発足直後の2021年3月の前米インド太平洋軍司令官のデビットソン海軍大将の上院軍事委員会での証言だ。「中国軍が27年までに台湾に進行する可能性がある」と述べたことについて岡田氏は「日米首脳会談に向け台湾問題で日本を主体的に関与させるための地ならし≠ニ、中国の軍事的な脅威を煽る対日世論工作だ」と分析した。
米国の思惑に沿い日本は対米追従をさらに強めた。4月のワシントンで開かれた菅義偉とバイデンとの首脳会談で@半世紀ぶりに台湾問題を共同声明に明記、A台湾有事に備えた日米共同軍事作戦の策定―などに合意した。続く22年5月の東京での岸田文雄・バイデン会談の共同声明では@日米同盟の抑止力、対処力の早急な強化、A日本の防衛力を抜本的に強化、防衛費増額を確保、B米側は日本防衛への関与と、核を含む拡大抑止の再確認をうたった。
トマホーク5百発
こうしたことを踏まえて岸田政権は「国家安全保障戦略」の改訂など安保3文書を昨年12月に閣議決定する。敵基地攻撃能力の保有(米国製巡行ミサイル・トマホーク500発を購入予定など)、防衛費を27年にGDP(国内総生産)比2%に倍増などの決定は、日本の防衛戦略の基本姿勢である専守防衛政策を骨抜きにし、戦争する国家に移行させる安保政策の大転換に舵を切った。
「21年春からメディアを通じて台湾有事と中国脅威論を煽った米国の狙い通りに日本は防衛力を大強化した。わずか2年で対中国戦争準備国≠ノ移行した日本の変質は、驚きを通り越し恐怖すら感じる」(岡田氏)
それでは中国は台湾の武力統一に動くのだろうか。習近平総書記長は昨年10月の中国共産党第20回党大会の演説で「完全な統一は必ず実現できる」と台湾統一を強調した。この演説についてNHKを始め多くの日本のメディアは、武力行使も辞さずと報じた。中国が台湾に武力行使を強行する条件は「3つ」と岡田氏は語る。その3条件は台湾独立宣言など中国から離れる事実がつくられたとき、外国干渉を含む分離をもたらしかねない重大事変が発生、平和統一の可能性が完全に失われたときだ。
メディアは台湾有事を煽っているが、これらの条件に当てはまる危ない事態は起きていない。
そもそも武力統一は「最悪の選択」だという。岡田氏はその理由をいつくか挙げた。
「米中の軍事衝突が起きる可能性があり、核戦争まで発展しかねない。キシンジャーは21年4月、『(米中衝突は)世界の終末の脅威が倍増』と警告している。
統一支持が少ない台湾の民意に逆らって武力制圧しても、新たな分裂勢力を抱えるだけで統一の果実がない。武力行使への国際的な反発と経済制裁は、一帯一路計画にもブレーキがかかり経済発展の足を引っ張る。結局、武力行使は共産党の一党支配を揺るがす悪手中の悪手です」
軍事「金食い虫」
大軍拡は日本経済の衰退を加速させる。一口に防衛費といっても、兵器開発・購入費や購入ローンの返済、訓練費、人件費、弾薬や燃料の備蓄費など多岐にわたる。生み出すものが少なく生産性が低いのに莫大な金だけが費やされる金食い虫≠ェ防衛費。すでに日本の一人当たりのGDPはピークの1997年世界4位から21年に27位まで落ちた。米大手金融グループのゴールドマン・サックスは75年の日本のGDPを世界12位に転落と予測したが、防衛費膨張によりさらにダウンするかもしれない。となるともはや先進国とはいえないだろう。
対米追従の大軍拡が行き着き先は日本の国力の著しい低下だ。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
2023年03月03日
【沖縄リポート】有事起こさせぬ民間外交を=浦島悦子
2月1〜7日、沖縄平和紀行韓国参加団(女性6名、男性5名)が来沖した。参加団を構成するのは、韓国・群山で駐韓米軍の問題に取り組む「ピョンファパラム(平和の風)」と地域メディアプロジェクト「ナルリポプソク(日本語で「喧々諤々」)」。米軍基地問題を共有し、長年、韓国市民との交流を続けている「沖韓民衆連帯」が受け皿となり、沖縄のさまざまな現場で市民・住民との交流を深めた(=写真=)。
ナルリポプソクは、映像やメディアを通じて、群山はじめ駐韓米軍の問題を発信している韓国各地の若者たちで構成されている。今回、海外の事例についても学び、交流とともに撮影やインタビューを行いたいと、沖縄戦の戦跡や伊江島、辺野古や普天間、浦添、嘉手納、読谷、PFOS等の環境問題、うるま市や石垣島のミサイル基地の現場などを廻った。
4日には、オール沖縄会議主催の辺野古ゲート前県民集会(毎月第1土曜日開催)にも全員で参加・登壇し、韓国から持参した「沖縄から米軍は去れ!」と書かれた横断幕を沖縄に贈呈。630人余の集会参加者の熱い拍手を浴びた。
私事だが、集会の後、私も彼らから、かなり長時間のインタビューを受けた。通訳を通じてのもどかしさはありつつも、若者たちの真摯な問いかけ、向きあい方に感動を覚えた。
沖縄も含め日本の学校教育の中で、日中・日韓関係、朝鮮戦争など東アジアを含む戦後史がほとんど教えられないまま、「中国の脅威」「北朝鮮の脅威」が喧伝され、国民の「嫌中」「嫌韓」を増幅しつつ戦争への準備が急激に進んでいる。日本政府が米国の要求のままに軍備だけを増強し、外交を放棄している中で、小さくはあっても、このような「民間外交」の積み重ねが、いま極めて重要だと思う。
12日に那覇市で開催される「第一回沖縄・台湾対話シンポジウム」もその一つだ。台湾と沖縄の人々が顔を合わせ、「『台湾有事』を起こさせないために何ができるか」を対話する。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年2月25日号
2023年03月02日
2023年03月01日
【おすすめ本】吉原 康和『歴史を拓いた明治のドレス』―日本近代化の陰の力 皇后洋装化に映る明治=新堀浩朗(共同通信編集委員)
本書は、日本で初めてドレスを着た皇族である明治天皇の后「昭憲皇太后」が、女性の洋装を通じて日本近代化の陰の推進力となったことを、華やかなドレスの写真と共に浮かび上がらせる。
東京新聞で宮内庁を長く担当している筆者が、同紙で連載した特集に大幅に加筆した。
初の洋服着用は1886(明治19)年7月。2日後には洋装で外出している。背景には、維新の元勲伊藤博文の宮中方針があった。日本が西洋諸国と対等であると示すため「衣装問題は日本では政治問題」と語ったという伊藤が、皇后の洋装化を周到に進めた様子が解き明かされる。
殖産興業の観点を持っていた皇太后は洋装と併せて国産服地の使用を奨励する一方、活動的な洋服で文化、福祉施設を訪問。その姿が国民に伝わり、近代の皇后像が確立された経緯もわかる。
皇太后着用の「マント・ド・クール(大礼服)をはじめ、皇族、華族が着用した数々のドレスを鮮やかなカラー写真で掲載しているのも魅力。
各ドレスについて関係者への丹念なインタビューを重ね、史料や文献を渉猟、新たにわかった事実も盛り込んでいる。当時の国内事情や国際情勢との関係も考察され、逸話を読み進めると、華麗なドレスが宮中で精細を放った明治という時代の空気が伝わってくる。
皇太后の大礼服の修復・研究プロジェクトと上皇后美智子さまとの関係も紹介され興味深い。
明治のお雇い外国人は女性の和装を好む傾向があったという。日本のこれからの装いはどうなるのだろうと、考えさせられもする。(GB1980円)
東京新聞で宮内庁を長く担当している筆者が、同紙で連載した特集に大幅に加筆した。
初の洋服着用は1886(明治19)年7月。2日後には洋装で外出している。背景には、維新の元勲伊藤博文の宮中方針があった。日本が西洋諸国と対等であると示すため「衣装問題は日本では政治問題」と語ったという伊藤が、皇后の洋装化を周到に進めた様子が解き明かされる。
殖産興業の観点を持っていた皇太后は洋装と併せて国産服地の使用を奨励する一方、活動的な洋服で文化、福祉施設を訪問。その姿が国民に伝わり、近代の皇后像が確立された経緯もわかる。
皇太后着用の「マント・ド・クール(大礼服)をはじめ、皇族、華族が着用した数々のドレスを鮮やかなカラー写真で掲載しているのも魅力。
各ドレスについて関係者への丹念なインタビューを重ね、史料や文献を渉猟、新たにわかった事実も盛り込んでいる。当時の国内事情や国際情勢との関係も考察され、逸話を読み進めると、華麗なドレスが宮中で精細を放った明治という時代の空気が伝わってくる。
皇太后の大礼服の修復・研究プロジェクトと上皇后美智子さまとの関係も紹介され興味深い。
明治のお雇い外国人は女性の和装を好む傾向があったという。日本のこれからの装いはどうなるのだろうと、考えさせられもする。(GB1980円)
2023年02月28日
【寄稿】軍拡の大前提=「脅威」は本当に存在するのか いまメディアが真っ先に問うべきことは=梅田正己
日本の防衛費をGDP2%へ一挙倍増すべきだという安倍元首相の遺言≠ェいつの間にか既成事実化されて、いまや自民党内では増税を含む財源問題が中心議題となっている。
マスメディアの報道や論調も、防衛力の強化を前提としたものとなっている。たとえば安保政策を大転換した閣議決定翌日の12月17日の朝日新聞の社説はこう書き出されていた。
「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているのは事実で、着実な防衛力の整備が必要なことは理解できる。」
この認識は今回の政府の「国家安全保障戦略」の大前提となる情勢認識と共通している。同「戦略」にもこう書かれていた。
「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。」
しかし、本当にそうなのだろうか。いまこの国は、安保政策を大転換し、防衛費を一挙に倍増し、防衛力を飛躍的に増強しなければならないような危機的状況に直面しているのだろうか。
事実に即して状況を観察・点検し、この国がはたして「戦後最大の軍事的危機」に直面しているのかどうか、政府の主張を検証してみる必要がある。
政府の「国家安全保障戦略」で具体的に示されている「脅威」とは、次の3つである。
1)中国の動向――「我が国と国際社会の深刻な懸念事項で、これまでにない最大の戦略的な挑戦」
2)北朝鮮の動向――「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」
3)ロシアの動向――「ウクライナ侵略によって国際秩序の根幹を揺るがし、中国との戦略的な連携と相まって、安全保障上の強い懸念」
こうした脅威・懸念にたいする対抗措置として、政府は敵基地攻撃能力をふくむ戦後最大の防衛戦略の大転換、軍備の大増強を実行するというのである。
しかし本当にこうした脅威が実在するのだろうか。
ロシアは本当に
「脅威」なのか
まずウクライナ侵攻によって、戦争の悲惨さを私たちに伝え、震撼させたプーチンのロシアから考えてみよう。ロシアが実際に日本にも侵攻してくるような脅威となる存在なのか――。
現代世界においては、どんな国であっても、何の理由もなしに他国に侵攻するということはあり得ない。
今回のウクライナ侵攻も、基本的にはプーチンの大スラブ主義(大ロシア主義)の野望が生み出したものであり、ロシア語を話す人々がロシアと国境を接するウクライナ東南部に住んでいることを口実として実行された。
またロシアによる過去の侵略行為も、フィンランドをはじめバルト3国、ポーランドなどすべて国境線を踏み破って行われた。
それに対し、日本は海によってロシアと隔てられている。またロシアが日本と敵対する理由も事情もない。
過去の冷戦時代には、宗谷海峡を渡ってソ連が攻めてくるという話が喧伝され、そのため自衛隊は持てる戦車の半数を北海道に配備したが、やがて冷戦が終わり、軍事的な見地からもそんな作戦行動はあり得ないことが暴露され、日米合作のフィクションだったとして抹消された。
いかにプーチンといえども、ロシアが日本に侵攻する理由も口実もないのである。「ロシアによる軍事侵攻の脅威」は現実にはまったく成りたたない。
北朝鮮は本当に
「脅威」なのか
次に北朝鮮による「脅威」についてはどうか。
その根拠とされるのは、北朝鮮による相次ぐミサイル発射である。とくに日本列島を飛び越す長射程のミサイルが、四半世紀前のテポドン以来、日本に対する脅威として喧伝されてきた。
たとえば今年10月4日朝、日本列島を越え、太平洋はるか沖の東方海上に落下したミサイルは、「Jアラート」によりテレビ放送を1時間近く中断させて国民を不安がらせた。
しかし、「火星17号」と推測されるそのミサイルは、人工衛星よりもなお高い宇宙空間を平均マッハ4の速さで飛び去ったのであり、「Jアラート」などとはおよそ次元を異にする飛行物体だった。
ではなぜ、北朝鮮はミサイル発射実験に固執するのか。理由は、米大陸に到達するICBM(大陸間弾道ミサイル)を完成させたいからである。
北朝鮮は、米国とはいまなお潜在的交戦状態にある。なぜなら70年前に金日成と米軍の司令官とが調印したのは休戦条約であって、平和条約ではないからである。潜在的交戦状態にあるからこそ、米国は韓国に広大な空軍と陸軍の基地を配置し、毎年、北朝鮮の目の前で、北側海岸への上陸作戦を含む韓国軍との合同演習を威嚇的に実施している。
北朝鮮は米国との敵対関係を解消し、国際的な経済制裁を解除させて、経済復興にとりくみたい。そのためには、何としても米国と直接交渉をする必要がある。
そこで06年の米中ロ韓日との6カ国会議の場でも必死に米国と交渉したし、トランプ前大統領とも3度にわたって会談した。しかし、いずれも寸前のところで米国は身をかわし、交渉は不発に終わっている。
かくなる上は、米国を、身をかわせなくなる状況にまで追い込むしか方法はない。すなわち、核弾頭を装備したICBMを振りかざすことによって、米国にたいし休戦条約にかわる平和条約の締結を迫るしかない。
これがいわば、北朝鮮に残された、彼らが考える最後の生き残り策なのである。したがって、ミサイル発射実験も核実験も、相手国はただ一つ、米国なのである。日本などは眼中にない。
北朝鮮が日本に対して求めているのは、35年間にわたる植民地支配に対する謙虚な反省と代償であり、かつて日本政府が韓国に対して行なったのと同種の経済協力なのである。
そしてそのことは、02年の「日朝平壌宣言」で金正日と小泉純一郎、当時の両国首脳が約束し合っている。日朝国交回復ができれば、それは実現に向かう。その日本に対して、北朝鮮がミサイルを撃ち込んでくることなどあろうわけがない。それは人が自家に火を放つようなものだからである。
それなのに、自公政権は北朝鮮の現状を「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」と決めつけ、大軍拡に向かって突進のスタートを切ろうとしている。「Jアラート」によって国民の危機感をあおったのと同様、これもフェイクである。(→続きを読む)
(→続きを読む)
2023年02月27日
【おすすめ本】豊田恭子『闘う図書館 アメリカのライブアリランショップ』―地域社会を楽しむ新たな図書館像=西村 央(ジャーナリスト)
ワシントン駐在記者として米国で仕事をしていた頃、連邦議会図書館や大学の図書館整が利用しやすいと感じた。本書で紹介されているのは、公共図書館の姿だ。
そこは、本の貸し出しや情報提供にとどまらず、地域の人々が気軽に参加できる無料セミナー、音楽会、映画会などが開催される場である。格差社会、米国にあって、文化、知識の共有を、という視点を貫く実践がある。
専門家からは、次のような提言もある。「利用者のニーズをくみ取り、適切なサービスをきめ細かく提供する」ことにより、すべての人が地域社会を楽しむことができるようになる。「その実現を目指すのが図書館の仕事」であると、新たな図書館像が示されている。
米国の公共図書館は、公的資金のバックアップや図書館協会などによる研修があり、これらが発展の土台となっている。著者は、日本の公共図書館をこれと対比し、業際的な議論の不足とともに、「良いサービス事例が生じても、それを持続していくための体制が整えられていない」と指摘する。
米国の公共図書館が政治に翻弄されることもある。トランプ政権下、国防や国境警備予算が増額される一方で、「図書館サービス機構」(IMLS)や博物館を含む18の連邦組織を閉鎖する予算案方針が示された。これに対し、図書館を支援する議員、全米の図書館利用者による運動が繰り広げられ、共和党議員のなかにもIMLSの存続と予算増への賛同者を広げていったことを本書は紹介している。文化的公共財を守り、発展させることは、闘いなのである。
(筑摩書房1600円)
そこは、本の貸し出しや情報提供にとどまらず、地域の人々が気軽に参加できる無料セミナー、音楽会、映画会などが開催される場である。格差社会、米国にあって、文化、知識の共有を、という視点を貫く実践がある。
専門家からは、次のような提言もある。「利用者のニーズをくみ取り、適切なサービスをきめ細かく提供する」ことにより、すべての人が地域社会を楽しむことができるようになる。「その実現を目指すのが図書館の仕事」であると、新たな図書館像が示されている。
米国の公共図書館は、公的資金のバックアップや図書館協会などによる研修があり、これらが発展の土台となっている。著者は、日本の公共図書館をこれと対比し、業際的な議論の不足とともに、「良いサービス事例が生じても、それを持続していくための体制が整えられていない」と指摘する。
米国の公共図書館が政治に翻弄されることもある。トランプ政権下、国防や国境警備予算が増額される一方で、「図書館サービス機構」(IMLS)や博物館を含む18の連邦組織を閉鎖する予算案方針が示された。これに対し、図書館を支援する議員、全米の図書館利用者による運動が繰り広げられ、共和党議員のなかにもIMLSの存続と予算増への賛同者を広げていったことを本書は紹介している。文化的公共財を守り、発展させることは、闘いなのである。
(筑摩書房1600円)
2023年02月26日
【今週の風考計】2.26─「Colabo」への異常なバッシングを許すな!
歌舞伎町の「バスカフェ」
★「Colabo」に対するバッシングや妨害が激しくなっている。「Colabo」は、東京都からの委託を受けて、性搾取や虐待の被害に遭う若年女性や少女に寄り添い、支援事業をする一般社団法人である。
★2013年に立ち上げ、これまで続けてきた地道な活動に対し、ハンドルネーム<暇空茜>(ひまそらあかね)なる人物が、ネット上で「Colabo」に関するデマや中傷攻撃を始め、その後フォローワーの一部には過激な書き込みだけでなく、直接の妨害行動に及ぶなどエスカレートしている。
★居酒屋や風俗店が並ぶ東京・新宿区歌舞伎町。その中の新宿区役所前に「Colabo」が運営するピンクの改装バスを駐車し、無料で利用できる10代向けの夜カフェ「Tsubomi Café」をオープン。周囲にテントやイスなどを置き空腹の女性たちへの食料提供や家に帰りたくない少女らを受け入れる居場所&シェルターとなっている。
★現場を取材した安田浩一さんは、「家出してスーツケースを引っ張る10代女性や薬物の影響らしくもうろうとして倒れ込んでいる若年女性を目の前で見ました。…そいう女性を救済するColaboの役割は、絶対に重要です」と述べている。
「Colabo」に対するヘイトクライム
★ところが大事な役割を果たしている「バスカフェ」近くに、複数の男性が無言で立ち、利用者や関係者を撮影、その映像をネットに投稿し中傷するなど、深刻な事態が生まれている。女性を食い物にする性産業従事者の影も見え隠れする。
★こうした行動を誘引するきっかけとなったのが、ハンドルネーム<暇空茜>なる人物のネット上の書き込みである。この人物は東京在住・40代の男性と分かっているが、彼は「Colabo」の委託料の精算内容に不正があるとして、東京都に住民監査請求を起こした。だが監査結果は、「不法・違法・不正は認められない」となった。
★なのに、いまだに「Colabo」への攻撃をやめず、またフォローワーも「Colabo」を面白おかしく揶揄し中傷する動画や投稿を大量に流している。1月22日、弁護団は「若年女性の居場所事業への深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)」だとして、抗議声明を発表している。
異常な国会での「Colabo」攻撃
★にもかかわらず、あろうことか「日本維新の会」浅田均・参議院会長が、1月27日の参院本会議で東京都の「Colabo」支援に関連し、「無駄な行政支出」であり、「利益誘導」があるなどと攻撃する異常な事態が起きている。
★再度、歌舞伎町の「バスカフェ」現場の映像を見て驚いた。1月18日夜8時ごろ、NHK 党の新宿区議候補が黄色いコートに名前入りのタスキをかけ、「NHK撃退」と書かれたノボリの傍でカセットから音声を流し、「バスカフェ」に出入りする女性の数をカウントするなど、信じがたい迷惑行動を繰り広げていた。なぜなのか。
★2月22日の参院本会議である。NHK党の浜田聡・政調会長の発言を聞いて頷いた。なんとガーシー議員への懲罰に対する、同党の弁明発言の中で「Colabo」問題を持ち出したのだ。
ガーシー議員が最近立て続けに「Colabo」の不正や利権につき、数多くの質問主意書を提出している。その現状を踏まえれば、「ガーシー議員を除名に追い込み、質問主意書を提出できなくすることで、このColabo問題 に注目が集まることを防ごうとしている可能性をここで指摘させていただきます」と、懲罰の不当性を主張したのだ。
かつ日本維新の会や都議会・自民党が「Colabo問題」の追究に奮闘していることに敬意を表し感謝するとまで持ち上げた。呆れて開いた口がふさがらない。
★ジェンダー平等・女性差別の禁止など、大きな流れに挑戦するかのような日本維新の会やNHK党の動きは、ますます「Colabo」に対するネット上のデマや中傷をあおり、バッシングに手を貸すのは目に見えている。その責任は重大で見逃すわけにはいかない。(2023/2/26)
★「Colabo」に対するバッシングや妨害が激しくなっている。「Colabo」は、東京都からの委託を受けて、性搾取や虐待の被害に遭う若年女性や少女に寄り添い、支援事業をする一般社団法人である。
★2013年に立ち上げ、これまで続けてきた地道な活動に対し、ハンドルネーム<暇空茜>(ひまそらあかね)なる人物が、ネット上で「Colabo」に関するデマや中傷攻撃を始め、その後フォローワーの一部には過激な書き込みだけでなく、直接の妨害行動に及ぶなどエスカレートしている。
★居酒屋や風俗店が並ぶ東京・新宿区歌舞伎町。その中の新宿区役所前に「Colabo」が運営するピンクの改装バスを駐車し、無料で利用できる10代向けの夜カフェ「Tsubomi Café」をオープン。周囲にテントやイスなどを置き空腹の女性たちへの食料提供や家に帰りたくない少女らを受け入れる居場所&シェルターとなっている。
★現場を取材した安田浩一さんは、「家出してスーツケースを引っ張る10代女性や薬物の影響らしくもうろうとして倒れ込んでいる若年女性を目の前で見ました。…そいう女性を救済するColaboの役割は、絶対に重要です」と述べている。
「Colabo」に対するヘイトクライム
★ところが大事な役割を果たしている「バスカフェ」近くに、複数の男性が無言で立ち、利用者や関係者を撮影、その映像をネットに投稿し中傷するなど、深刻な事態が生まれている。女性を食い物にする性産業従事者の影も見え隠れする。
★こうした行動を誘引するきっかけとなったのが、ハンドルネーム<暇空茜>なる人物のネット上の書き込みである。この人物は東京在住・40代の男性と分かっているが、彼は「Colabo」の委託料の精算内容に不正があるとして、東京都に住民監査請求を起こした。だが監査結果は、「不法・違法・不正は認められない」となった。
★なのに、いまだに「Colabo」への攻撃をやめず、またフォローワーも「Colabo」を面白おかしく揶揄し中傷する動画や投稿を大量に流している。1月22日、弁護団は「若年女性の居場所事業への深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)」だとして、抗議声明を発表している。
異常な国会での「Colabo」攻撃
★にもかかわらず、あろうことか「日本維新の会」浅田均・参議院会長が、1月27日の参院本会議で東京都の「Colabo」支援に関連し、「無駄な行政支出」であり、「利益誘導」があるなどと攻撃する異常な事態が起きている。
★再度、歌舞伎町の「バスカフェ」現場の映像を見て驚いた。1月18日夜8時ごろ、NHK 党の新宿区議候補が黄色いコートに名前入りのタスキをかけ、「NHK撃退」と書かれたノボリの傍でカセットから音声を流し、「バスカフェ」に出入りする女性の数をカウントするなど、信じがたい迷惑行動を繰り広げていた。なぜなのか。
★2月22日の参院本会議である。NHK党の浜田聡・政調会長の発言を聞いて頷いた。なんとガーシー議員への懲罰に対する、同党の弁明発言の中で「Colabo」問題を持ち出したのだ。
ガーシー議員が最近立て続けに「Colabo」の不正や利権につき、数多くの質問主意書を提出している。その現状を踏まえれば、「ガーシー議員を除名に追い込み、質問主意書を提出できなくすることで、このColabo問題 に注目が集まることを防ごうとしている可能性をここで指摘させていただきます」と、懲罰の不当性を主張したのだ。
かつ日本維新の会や都議会・自民党が「Colabo問題」の追究に奮闘していることに敬意を表し感謝するとまで持ち上げた。呆れて開いた口がふさがらない。
★ジェンダー平等・女性差別の禁止など、大きな流れに挑戦するかのような日本維新の会やNHK党の動きは、ますます「Colabo」に対するネット上のデマや中傷をあおり、バッシングに手を貸すのは目に見えている。その責任は重大で見逃すわけにはいかない。(2023/2/26)