2018年11月02日

【JCJ賞資金800万めざす運動】 個人で10万も 9月末で100万超えた=大場幸夫

 8月集会でスタートしたJCJ賞資金強化運動では、まず会員・機関紙読者、JCJ賞への作品応募を要請している出版社・新聞社・放送局とJCJ賞受賞団体にカンパ依頼文及び要請リーフレットを発送しました。さまざまな反応がありました。  

 ある新聞社には発送後電話。社長室長対応。依頼封筒着確認。寄付をするかどうかは別ですとのこと。また、ある出版社と面談し懇談しました。先方は社として協賛、後援は遠慮すると決めているので取り組めないが、個人的カンパならと言っていただきました。
 さらに別の新聞社の窓口担当者からはメールの返事が早々に届き、JCJから3名で訪問しました。JCJ賞の社会的役割について強く訴えました。非常に好意的で、返事が近いうちに来ることになっています。
 別の新聞社にも、普段懇意にしている人を通じて、窓口を紹介していただきました。「新聞社は寄付するのは経験がない。広告を出すというのはどうか」と提案されました。
 いくつかの支部からは、相談してカンパ額を決めると連絡があります。ある新聞支部からは「組織としては難しいが、支部員に呼び掛けて年内にまとめる。支部総会も開く」との情報がありました。総会には事務局長が出向きカンパを訴えます。

 始まって1か月が過ぎました、もっと活動を広げなければなりません。どれだけ多くの人が動くかが成功のカギです。会員の皆さんが自分の目標を持ってください。また、要請する対象者を受け持ってください。読者の方、JCJ賞を受けた団体・個人の方、OB会の方、一緒にいろいろな活動をされている方など対象者は多いのではないでしょうか。
 各支部は具体的運動計画を立てるようにしてください。強化委員会では労組へのカンパ依頼も進めます。リーフレットや振込用紙は事務所にあります。お知らせください。 

 カンパの額は、9月末時点100万円を超えました。支部では5万円が4件ありました。個人で10万円が1件ありました。目標に向かって頑張りましょう。
 目標は800万円、個人1口2000円、団体10000円、複数口のご協力を!

大場幸夫(JCJ賞資金強化委員会事務長)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年11月01日

【リアル北朝鮮】 朝中露が接近 制裁緩和へ 非核化の速度と幅に応じて=文聖姫

 北朝鮮と中国、ロシアの接近が注目を浴びている。

 11日、北朝鮮の朝鮮中央通信はモスクワで9日に開かれた朝中露外務次官級協議について伝え、おおむね次のように指摘した。

・3者(朝中露)協議では、朝鮮半島の平和と安定のために傾けている北朝鮮の努力を評価。

・朝鮮半島情勢の肯定的な流れが持続するよう、相応の措置を取ることが重要だという点で見解が一致。

・朝鮮半島に恒久的で強固な平和体制を構築し、相互の関心事となるすべての問題を合理的に解決するための意思疎通と協力を引き続き強化することで合意。

 そして、3者協議では共同報道文が発表されたと報じた。

 朝鮮中央通信では、共同報道文の詳細な内容は伝えられていないが、ロシア外務省によれば、北朝鮮が実施した核実験の廃棄などの動きを踏まえ、「北朝鮮への国連制裁は適時、見直す必要がある」と指摘。「一方的な制裁に反対する共通の立場を確認した」とされる(朝日新聞2018年10月11日付)。

 6月12日に史上初の米朝首脳会談がシンガポールで開かれた後も、国連の対北朝鮮制裁措置は解除されていない。アメリカは、北朝鮮の非核化が実現しない限り、制裁を解除させない方針だ。しかし、中露は北朝鮮の対話路線を支持し制裁の緩和を求めてきた。

 今回の共同報道文でも、「3者は朝鮮民主主義人民共和国が意義ある実践的な非核化措置を取ったことに注目し、適期に対朝鮮制裁措置の調節過程を稼働させるべき必要性があるという見解で一致した」(聯合ニュース18年10月11日)との文言がある。10月11日発の聯合ニュースは「調節過程」という言葉に注目。専門家の言葉を借りて、北朝鮮の非核化の速度と幅に応じて制裁緩和の速度と幅も調節すべきだという3カ国の協力的立場を反映させたものだと分析した。

文聖姫(ジャーナリスト、博士)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年10月30日

【編集長EYE】 教育充実にも国家主義思想入り込む=橋詰雅博

 自民党は、衆参両院の憲法審査会で党の4項目改憲条文案を説明する。4項目は9条に自衛隊を明記、緊急事態条項の創設、参院選挙区の合区解消に加えて教育の充実だ。この中で教育の充実の中身は一般にあまり知られていない。その条文案では、第26条の第1項(教育を受ける権利)と第2項(教育の義務)は現行のままだが、第3項を加えている。加憲された文章は次の通りだ。

<国は、教育が国民一人ひとりの人格の完成を目指し、その幸福の追求にかくことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的な理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない>

 9月初旬に都内で講演した前川喜平・元文部科学省事務次官(63)は、この第3項をこう批判した。

 「『教育は国の未来を切り拓く上で重要だから環境を整備する』としている部分が問題です。逆に言えば、国の未来を切り拓けそうもない人間は対象外と解釈できます。ここに安倍晋三首賞の国家優先思想が混じり込んでいます。今春から小学校で教科として取り入れられた道徳もその一環です。

 戦後は個人重視と国家主義がずっとせめぎ合ってきたが、第2次安倍内閣以降は、国家の力が強くなっている。全体主義と言い換えてもいい考えが台頭し、その勢いを増しています」

  前川さんは79年4月当時の文部省に入省し、2017年1月退官した。40年近く行政官を務めてきた。

 「長年の行政官生活で痛感したのは『こんな程度の政治家をなぜ国民は選ぶのか』でした。そんな有権者が日本におびただしくいます。やはり民主主義を勝ち取っていないことが淵源です」

 そして今の世の中をこれほどまでに悪くしているのは「忖度だ」と指弾した。

 本紙インタビューに応じた1年ほど前よりも、前川さんは舌鋒鋭く安倍首相を攻撃している。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年10月28日

【今週の風考計】10.28─ 牛丼380円と消費税10%の方程式

消費税10%への進軍ラッパが吹き鳴らされた。2%アップで年間5兆円を、来年10月以降、毎年ずっと国民から奪いとる“徴税作戦”である。
しかし、その作戦の必然性が、ちっとも明らかにされていない。これまで消費税率引上げ分は、「社会保障の充実にあて、財政再建に使う」としていたが、いつの間にか「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保などにも充当させる」と、国民の切実な願いを“人質”にとって、消費税増税の理由付けと使い道の見直しまでする始末だ。

いまだに社会保障はよくなるどころか、負担増・給付減の改悪ばかりが進む。現に、社会保障費の自然増分を5年間で1.5兆円も削り、文教予算も3年連続で削減している。アベノミクスの破たんが現実となり、消費不況が続き、景気回復どころか株の下落から日本経済の失速までが言われだしている。消費税10%の導入は、これに拍車をかける壊滅的打撃となりかねない。

そこへ軽減税率の導入とくる。飲食料品・新聞は8%据え置きの案だ。まずわかりやすい例を挙げよう。スーパーに買い物にいって、総菜売り場に並ぶ牛丼を買って家に持ち帰れば、据え置き8%の消費税だが、レジ脇にあるイートインコーナーで食べれば10%の消費税がとられる。「吉野家」で牛丼を買い持ち帰れば8%の消費税、店内で食べれば10%の消費税がとられる。おかしくない?
蕎麦やピザの出前は8%据え置き、だが弁当の配達は会議室に並べると、配膳・ケータリングとなり10%! こんなバカみたいなマニュアルが国税庁で作られている。さらには中小小売店でクレジットを使った消費者に対しては「ポイント還元」だとか、あの評判の悪い「プレミアム商品券」の配布まで言われだしている。

かつ住宅や自動車などの耐久消費財についても、軽減措置を検討することになっている。もう何のための消費税だ。社会保障を支える財源は、能力に応じて負担する「応能負担の原則」に基くべきだ。(2018/10/28)
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2018年10月27日

【政治情勢】 保革超え玉城知事生む 県民のアイデンティティー結集 辺野古ノー=次呂久勲

 「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー!」その瞬間、この言葉が頭の中でこだました。

当確こんなに早く
 9月30日午後8時過ぎ、県知事選の投票を締め切った瞬間、玉城デニー氏の当確が速報された。当初、接戦が予想され、当落判明も午前0時ぐらいかと言われていた。
 当日、豊見城市の開票所で、票読みを担当していた私のもとへ、妹からの一通のメール「デニーさん当確出たね」。現場では当然ながら、まだ開票作業すら始まっていない。はたして、本当だろうか?こんなに早く当確出して大丈夫なのか?そうした心配も沸き上がったが、一人の県民として、素直に喜んだのと同時に、冒頭のあの言葉がよみがえったのだった。

 4年前の沖縄県知事選挙において、公明党沖縄県本部は、党本部との見解と異なり、辺野古新基地建設反対を表明し、自主投票の判断を下していた。しかしながら、今回は自民党とともに、佐喜眞淳氏に推薦を出し、全力を挙げて選挙活動を展開した。さらには、その知事選挙に出馬し、7万票近くも獲得した日本維新の会の下地幹郎衆院議員も支援に加わり、維新の会としても、佐喜眞氏を推薦していた。このことからみても、いくら4年前の選挙では、10万票もの大差で、翁長雄志氏が勝利したとはいえ、今回の選挙戦スタート時点で、すでに数万票の差がついていたことは想像に難くない。

 さらに8カ月前の名護市長選において、圧倒的有利とされ、事前の世論調査でもリードしていた稲嶺進氏が、3千票余りもの大差で、渡久地武豊氏に敗れたというトラウマも潜んでいた。
 それが故に、今回の8万票もの大差がつくとは予想だにせず、8時過ぎの当確に至っては驚きを隠せなかった。

肌感覚でわかるよ
 後日、真っ先に当確を出した放送局の記者に話を聞くと、「もう、デニーさんでしょ。取材していると肌感覚でわかるよ」と。さらに、投票日3日前に期日前投票を済ませた友人に話を聞くと、「(期日前投票所となった商業施設で)並んでる人みんな、デニーさんに投票したはずよ」と言うので、その理由を聞くと「並んでる人たちの表情が、あの(翁長さんを偲ぶ)県民大会に参加していたひとたちと同じだった。あの時の雰囲気そのままだった」と答えたのだ。
 政権与党は、2月の名護市長選の勝利以降、主要首長選で勝利を重ね、この県知事選を最大の決戦と位置付けていた。だからこそ、真っ先に立候補を表明した安里繁信氏との候補者一本化に成功し、自公維の推薦も取り付け、それこそ、名護市長選時と同じ枠組みを構築したのだった。
 そうした状況の中での、翁長前知事の死去。これは両陣営にとって、大きな誤算となったと言えよう。佐喜眞陣営にしてみれば、県内に漂う翁長氏への弔いムード、それは、8月11日に開催された県民大会(主催者発表7万人が参加)を見ても明らかだった。逆に、オール沖縄陣営に至っては、今回も翁長氏を擁立する意向だっただけに、後任の候補者を選定しなければいけない。超短期決戦の中で、お互いの陣営共に、頭を抱える中で、急遽浮上したのが、玉城デニー氏の名前だった。

イデオロギーより
 振り返ってみると、故翁長前知事は、以前からこの状況を頭に描いていたのではないだろうか。「イデオロギーよりもアイデンティティー」四年前の県知事選において、翁長氏が提唱した。それを強く感じさせるきっかけとなったのは、2013年11月25日、辺野古移設反対を掲げて当選した自民党国会議員が、公約を撤回し辺野古容認を表明した、その瞬間ではないだろうか。我々県民にとって深く刻まれている、あの、石破氏の後方で無表情のまま座っている5人の県選出の自民党国会議員の姿。沖縄県民の民意を、それこそアイデンティティーを踏みにじられた出来事であった。その後年末には、当時の仲井真弘多前県知事も辺野古埋め立てを承認、県民の怒りは沸点に達した。そして誕生したのが、翁長県知事なのである。
 沖縄県民は、ぶれずに、そのアイデンティティーを大事に、選挙において、ことごとく民意を示してきた。今回の県知事選においても、様々なデマや誹謗中傷、圧力等がはびこる中で、沖縄県民としてのアイデンティティーを老若男女問わず、決して見失わなかった結果が、この8万票もの圧勝ではないだろうか。
 「オール沖縄」は、野党共闘や革新統一といった言葉では括ることはできない。それこそ、保革を越えた、沖縄県民のアイデンティティー誇り、民意の結集なのだ。
 名護市長選後、菅義偉官房長官はこう述べた。「選挙は結果が全てです」と。沖縄県民は、結果を出した、いや、出し続けてきた。今度は、政府がこの民意を尊重し応えるべきだ。

「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー!」

次呂久勲(JCJ沖縄世話人)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号
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2018年10月26日

【お知らせ】〈橋本進さんを偲ぶ会〉のご案内

JCJ元代表委員の橋本進さんが、8月5日、逝去されました。享年91。下記のとおり偲ぶ会を開催します。

日時:11月26日(月) 15時〜17時30分
第1部:式辞 第2部:着席での会食・懇談
場所:主婦会館プラザエフ9階(JR四ツ谷駅・麹町口から徒歩1分)☎03-3266-8111
会費:5000円 平服にてのご来場を!

★出席される方は、11月9日(金)までにJCJ本部・FAX03-3291-6478にてお知らせください。

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2018年10月21日

【今週の風考計】10.21─海洋プラゴミ1億5千万トンが漂流!

21日からラムサール条約会議(COP13)が、アラブ首長国連邦のドバイで開催される。干潟や湿地を守るにしても、海辺や河岸に広がるプラゴミの山には辟易する。この70年ほどの間に、世界で製造されたプラ製品は85億トン、そのうち65億トンがゴミとして捨てられた。
毎年800万トンが、世界の海に流出し汚染を拡大している。現在、1億5千万トンの海洋プラゴミが浮遊している。プラゴミによる海洋汚染が深刻だ!

プラゴミの中でも、とりわけ問題なのが、破片5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれるゴミ。その2割が「人口芝」だというデータもある。これらの破片を、魚や鳥、イルカやクジラが飲み込み、体内に蓄積され摂食障害を起こして、餓死している例が世界中で報告されている。
いったん海に流れ出たプラゴミは回収が困難で、分解されずに200年以上も残存する。このままでいくと、2050年には世界の海洋プラゴミ重量が、魚の総重量を上回るといわれている。

プラゴミの総排出量のトップは中国だが、1人当たりに換算すると、その排出量は米国が1位、2位が日本となる。日本の2016年の排出量は320万トン。しかし日本には、未だに使い捨てプラスチックを国として規制する仕組みがない。
あまつさえ今年6月にカナダのG7サミットで採択された「海洋プラスチック憲章」に、日本とアメリカだけが署名を拒む体たらくだ。この憲章は、2030年までに全プラスチックをリサイクルするか代替可能なものに切り替えることを目指すという内容。拒むとは恥ずかしい限り。
EU 諸国は2020年に使い捨てプラスチックを禁止、世界の60カ国を超える国が規制を導入する。やっと日本も環境省が「2年後にレジ袋を有料化、30年までに使い捨てプラの25%削減」というガイドラインを提示したが、業界からの反発にさらされている。(2018/10/21)
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2018年10月16日

【映画の鏡】 息子の戦死は誤報だった 『延命は踊る』 イスラエル家族が巻き込まれた悲劇=今井潤

冒頭で軍の役人が玄関で「ご子息が昨夜戦死されました」と告げると気を失って倒れる母。父は黙って平静を装うが、役人の対応にいら立ちを覚える。軍の関係者が葬儀の打ち合わせに来るが、父は「遺体はあるんだろうな」と怒りを抑えることが出来ない。

 再び玄関の呼び鈴が鳴る。「大変な間違いでした。亡くなったのは息子さんではなく、同姓同名の別人でした。息子さんは無事です」軍人たちに怒りを爆発させる父。それを必死にたしなめる母。

 イスラエル北部国境付近の軍の検問所。息子が勤務する検問所のシーンは、緊張感に欠けた気だるい雰囲気が漂う。ゆっくりと上がる遮断機。ラクダ一頭がのったりと通り過ぎる。ある兵士が仲間に疑問をもらす。「なぜ戦っているんだろう。何のために?」「戦ってますよ、心理戦を。知らない相手と」銃を持ちながら、マンボを踊る兵士。

 若い男女を乗せた車がやってくる。身分証を調べる兵士。女がドアーを開けた瞬間、何かが兵士の足元にころがり落ちる。「手りゅう弾だ」考える間もなく銃を撃つ息子。そこには空き缶がひとつ。車内から白煙と血が静かに流れ出てくる。

 大型レッカー車が現場に来て、車ごとすべてを土の中に葬りさる。上官はいう「われわれは紛れもなく、ここで戦争をしている。起きたことは仕方ない。この一件は最初からなかったことにする」

 息子は帰宅への道を車で走っている。ラクダを避けるため、左にハンドルを切った車はがけ下に転落していく。この静かなロングショットがエンドとなる。(公開は9月29日ヒューマントラスト有楽町他で)今井 潤

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月15日

【香川支部リポート】 戦争体験を語り継ぐ集い 「死の商人」への対応も論議=刎田鉱造

JCJ香川支部が参加する実行委員会の取り組み今年で39回目を迎えた「8・15戦争体験を語りつぐ集い」を8月15日に高松市で開きました。

武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司さんを迎え「平和のために今、何ができるか」、「武器輸出大国ニッポン」でいいのかをテーマにした講演を軸にフロアからも熱心な論議が相次ぎました。

 講演で杉原さんは、2014年安倍晋三政権が閣議決定だけで武器輸出を解禁したもののすんなりと成約ができているわけではない実情を報告した。さらに軍学共同をめぐるせめぎ合いや歯止めないアメリカからの武器輸入など戦争依存症が進行する安倍政権の「先取り壊憲だ」と訴えました。

 軍学共同について、会場から「どこからお金がきてもテーマによっては軍事か民生かの境界はあいまいだ。やり方次第ではないか」という意見が出されました。「軍事研究をおいしくする側が盛んにいってくるのがその理屈だが、狙いははっきりしている」「お金の出所をチェックすることが大事だ」「本来、文部科学省からちゃんとした研究費を出させることが大事だ」と盛り上がりました。

 また、武器輸出をしようとする大企業に「どう対応するのか」も論議になりました。ハガキ一枚でも抗議の意志を伝える。消費者の声は企業にとって抑止力になる。大企業メーカーにもメーカーに融資する銀行にも消費者がアクションを起こすことが大事と話しが進みました。

 大量に武器をつくって、売って、戦争して儲ける―戦争中毒≠フアメリカは手強いと話が展開しました。こんな意見も出されました。「日本がもつ憲法9条、守ろうという運動だけでは内向きでないか」「日本が戦争しなければいいという話ではない。アメリカに対して戦争はやめろいうのが先だ」「それをやる政府をつくろう」「展望はあると思う」。そのために今やるべきことは……。「集い」は8・15にふさわしい話し合いの場となりました。

刎田鉱造

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月14日

【今週の風考計】10.14─異常気象と「羊のゲップ」とパリ協定

★今年の夏は異常だった。6〜7月にかけて北半球を熱波が襲い、世界各地で最高気温が塗り替えられた。日本では7月に観測史上41.1℃の最高を記録し、熱中症が続出した。カリフォルニアやポルトガル、そして北極圏までもが森林火災に襲われた。こうした世界に広がる異常気象は、地球温暖化に起因しているのは間違いない。

★「温暖化もたらす数千万頭のゲップ」と見出しのついた記事に驚かされた。何もとりあえず調べてみると、羊や牛のゲップには、二酸化炭素の25倍にあたる温室効果を高めるメタンガスが含まれ、一頭あたり1日500リットル吐き出すという。
★世界には牛・羊・ヤギなどの反芻動物が31億頭いるので、吐き出すメタンガスの総量は一日1兆5,500億リットル、東京ドーム1250個分に相当する。地球上の温室効果ガスの5%に当たる─こうした事実を学んだ。
★さらに糞尿が発する亜酸化窒素は、二酸化炭素の300倍もの温室効果を発揮し、オゾン層を破壊する原因になっている。オーストラリアやフランスでは、羊や牛のゲップを抑制する研究や対策に懸命である。栄養価の高い飼育肥料が、ゲップの頻発、メタンガスの発生を増進させているとの研究から、配合を変えるなどの対策が取られている。

★のんびり野山を歩き、牛や羊の反芻に見とれていたが、牛のゲップと地球温暖化の不思議なサイクルに、思いを新たにした。年末には「パリ協定」COP24が、ポーランドで開かれる。21世紀末までに温室効果ガスを実質ゼロにする画期的な協定だが、米国トランプ大統領の<脱退放言>は論外としても、他の国でもいかに実施していくか、その詳細な国際ルールが定まらない。
★ようやく日本も「パリ協定」COP24に提出する長期戦略「2050年温室効果ガス80%削減」に向けて議論が始まった。しかし世界に比べ、排出量取引や炭素税の導入など国内の実効力ある政策が、周回遅れである事実は歴然としている。(2018/10/14)

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【若い目が見た沖縄】 派遣第1号・専修大生 高江で初めて知った抗議理由=天野公太

 JCJでは今年度から「若い目が見た沖縄」をテーマに各支部などから推薦された若者を沖縄に派遣する企画を始めました。派遣に当たってはJCJが経費の一部を負担します。派遣第1号が専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科3年生の天野公太さん(20歳)。神奈川支部から選出されました。天野さんに寄稿してもらいました。

 沖縄へ行くと話すと、「プロ市民とか、いるんだろ」とバイトの先輩が言った。政府と沖縄が対立して以後、かなりの若者の沖縄のイメージがそんな風に変化してきたように感じる。沖縄をたたく人々がかなり存在する。他方に基地撤去を願い続ける沖縄の人々がいる。とにかく自分で、現状を知りたいと強く思った。

 8月8日に訪れた時、高江のヘリパッドはすでに造成され、使われていた。それなのに抗議活動を続けている理由を、住民の方たちに聞いた。まず、米軍のヘリコプターやオスプレイの連日の騒音を挙げた。ブルドーザーが通る時のような90デシベルの場合もあるという。また、昨年10月には、住民の牧草地に米軍ヘリが不時着・炎上している。いつ落ちてくるのかわからない恐怖。私にも分かる気がした。
 しかしそれだけではなかった。ヘリパッドを含む高江の一帯は、絶滅危惧TA類のノグチゲラなど、貴重な動物が生息している森だと私は初めて知った。ノグチゲラの巣の上で米軍機が毎日爆音を立てていることを、どれだけの人が知っているだろう。ヘリパッドの近くで抗議活動をしていた那覇市在住だと言う女性は、「ただ高江の貴重な自然を守りたい」と話した。高江に住む男性は「なぜ抗議をしているのか。理由を知ってもらいたい」と肩を震わせて語った。
 沖縄を批判する人は、沖縄の人の話を聞かずに批判してはいないかと、考えさせられた。 

 名護市辺野古。8月12日、キャンプシュワブ前では、新基地建設の土砂投入を止めようと、多くの人が集まって声を上げていた。数十人。新聞やテレビで見るよりは少ないと感じた。近づくと高齢の方々が目立ち、若者の姿はほとんどない。いわゆる「プロ市民」と呼ばれるような団体は見受けられなかった。抗議はゲート前で行われていた。座り込んで動かない人もいた。
 海岸へ回ってみる。目の前に広がる辺野古の海は、青々として、息をのむほどに美しい。しかしその海の一角は、すでにオレンジ色のブイで囲まれてしまっていた。

 8月15日、再び高江を訪れた時、住民の男性に、抗議活動に若者が少ない理由を聞いてみた。「表現の仕方が違うのでは」というのが、答えだった。沖縄の若者は基地問題に関心がないのではなく、SNSなど、違うやり方で抗議をしようと考えているのだろうか。

 那覇市・奥武山陸上競技場で8月11日に開かれた、辺野古土砂投入に反対する県民大会にも行った。台風が接近して雨が降りしきる中、7万人(主催者発表)が集まった。その3日前に急逝した翁長雄志知事の追悼ということもあったのかもしれないが、一つの場所にこれほど人が集まることに私は驚かされた。他の県でこんなに住民が集まることはあるだろうか。沖縄の人々の基地問題に対する意識の強さを感じる。ここでは、集まっている中にたくさんの若者がいた。

 本土と沖縄に意識の差は確かにある。しかし、私はまだ沖縄に寄り添うことができると思う。それは、高江や辺野古で会った人たちが、私のような若者に対しても、真剣に「本土に現状を伝えてほしい」と語ったからだ。
 バイトの先輩や友人にも「一度、沖縄に行ってほしい」と言いたい思いを、強く感じている。

天野公太(専修大3年生)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月13日

【JCJ賞資金強化】 800万カンパ獲得、運動スタート 存続が危うい、1年間実施=大場幸夫

 JCJ賞資金強化大運動がスタートしました。8月18日にJCJ賞贈賞式の会場でカンパを訴えるリーフレットを参加者に配布し、運動は来年8月の贈賞式まで1年間、実施します。すでにリーフレットは読者の皆さんにも届いているはずです。
 改めて皆さんにこの運動へのご協力をお願いいたします。

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、年間の優れたジャーナリズム活動を顕彰するため、1958年以来、JCJ賞を設け贈賞してきました。今年61回目を迎えました。
 新聞・放送・出版ジャンルのほか市民運動や地域活動の記録なども含み、個人・グループを問わず応募作を募り、推薦委員会が作品を絞り込んでJCJ賞選考委員会に推薦し、そこで選考・討議により受賞作品を決定してきました。いま国内外を問わず、「排外主義」や「フェイクニュース」が拡大され、情報開示どころか「真実」が隠蔽される憂慮すべき事態が進行しています。事実を追及し、真実を極め、権力の専制支配や横暴をチェックして広く市民に知らせるジャーナリズムの役割はますます重要になっています。
 こうした活動を担うジャーナリストや市民の奮闘を励ますJCJ賞は、これまで以上に期待されていると思います。私たちはこの責任を強く認識し、JCJ賞活動に多くの方々が参加してほしいと考えています。

 しかし、JCJ賞活動を支える資金は、2012年にカンパを訴え皆さまのご協力を得ましたが、それ以降も毎年の選考過程に80〜100万円の経費がかかり、この先10年維持できない状態になっています。JCJ賞の今後の活動を支えていただくために是非とも皆さんにご協力を求める次第です。

◆目標は800万円 、 個人1口2000円、 団体1口10000円、複数口のご協力を。
振込先:郵便振込は口座番号 00170-3-457209 日本ジャーナリスト会議JCJ賞資金
銀行は三井住友銀行神保町支店(001)普通預金 口座番号 2122916 日本ジャーナリスト会議JCJ賞資金

◆期間は18年8月から19年8月までの1年間。  

◆運動はJCJ賞資金強化実行委員会が進めます。 

大場幸夫

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月12日

【沖縄リポート】 翁長氏 死してなお県民動かす=浦島悦子

 沖縄県知事選(9月30日)の前哨戦とも言われた名護市議選(9月9日投開票)は、熾烈な選挙戦を経て与野党同数(定数26)の結果となった。14人の立候補者全員の当選をめざした野党(稲嶺前市政を支えてきた議員及びその後継者)は1議席減らしたものの、2月の市長選敗北の逆風の中でよく健闘したと思う(野党側当選者のうち1人は、告示直前に「中立」に立場を変えるなど複雑な様相もあるが)。  
 
 とりわけ私の住む東海岸では、辺野古新基地反対運動の中から生まれた現職議員(3期)に対し、渡具知現市長派の新人が立候補(地域住民は「刺客」と呼んだ)。地域の企業(いずれも零細だが、過疎の地域では大きな存在だ)を総動員して選挙活動を展開した。当新人は、名護市長選の直前に官邸主導で作られた「住民団体」の代表だ。
 これまでと違う選挙の様相に危機感を持った住民・市民の奮闘で現職議員は当選し、新人は次点で落選。ほっと胸をなでおろした。辺野古新基地建設の地元である名護市東海岸のうち久辺3区(久志・豊原・辺野古)をすでに抑え込んだ安倍政権が、残る二見以北10区を抑え込み、「地元はみな基地に賛成している」というお墨付きを得ようとした、その目論見を跳ね返した意義は大きい。

 息つく間もなく9月13日には県知事選が告示された。混迷していた「オール沖縄」の知事候補者選定は、翁長知事の残した遺言により急転直下、玉城デニー氏に決定。死してなお県民を動かす翁長氏の力を示した。
 翁長知事の遺志に従い沖縄県は8月31日、辺野古埋め立て承認を撤回し、海・陸ともに基地建設工事は止まっている。告示日の出発式をルーツ(母親の出身地)である伊江島で行った玉城デニー候補は、名護市街地で第一声を上げた後、辺野古の座り込みゲート前で多くの市民・県民の歓呼の声に迎えられ、翁長知事の遺志を継いで辺野古新基地建設を断固阻止する決意を述べた。

 沖縄女性と米軍人の間に生まれ、翁長知事が「戦後沖縄の歴史を背負った政治家」と称した玉城氏と、日本政府の意を受けた自公・維新が推す佐喜眞淳候補との厳しい超短期決戦が始まった。「マキテーナイビランドー」という翁長氏の声が聞こえてくるようだ。

浦島悦子

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月11日

【JCJ賞贈賞式記念講演】 日本メディアと国際報道 「ワシントン情報」に偏りすぎ=猿田佐世

 国際弁護士・猿田佐世さんによる「日本のメディアと国際報道」と題した記念講演の要旨は次の通り。

 首都ワシントンの人口は70万人。アメリカの権力の中枢だが日本の政治に関心のある人はごくわずかだ。そこにいる日本人は日本政府、大企業、大メディアの人がほとんどで、彼らがアーミテージやマイケル・グリーンなど一部の「知日派」の発言を取り上げることで、「アメリカの声」を作ってきた。

独自取材を増やせ
 ワシントンにいる日本の記者は60人ほどで、韓国と並んで非常に多い。しかし大量の英語情報の対応に忙殺され、調査報道や町の声を拾うことはほとんどない。
 もっと通信社を利用して時間を作り、その分独自取材を増やすべきだ。
 記者の英語力が不十分という問題もある。ある記者によると本当に英語で取材ができるのは、60人のうち10人ぐらいではないかとのことだ。

 疑問に思った例をいくつか挙げる。この7月、トランプ大統領が独断で米韓軍事演習を中止したことに対し、大統領予備選挙で旋風を起こしたバニー・サンダース事務所に聞いたところ、「大統領が韓国政府や国防長官に相談しなかったのは問題だが、演習の一時中止や縮小は好ましい方向」と言っていた。リベラルな大手紙の記者に取材しないかと持ち掛けたところ、サンダースの発言では東京で使ってもらえないかもしれないのでやめておくとの返事だった。マイケル・グリーンの名を知っているアメリカ人はほとんどいないが、サンダースの名前を知らない人はいない。

 国務省の核不拡散担当の高官の任命を承認するかどうかの審議で、上院議員が「日米原子力協定の改定をすべきでは」と候補者に質問した。日本人の記者に情報提供したが、候補者の回答に新味がないとして、ほとんど取り上げられなかった。上院議員が日米原子力協定について質問すること自体が相当なニュース価値があるのだが……。
 2009年に民主党政権ができた時、日本のテレビ局が民主党政権になって日米関係はどうなると思うか、を聞くシール投票を行った。だがその投票を行ったのは保守系シンクタンクの日本関連シンポジウムの会場の近くで、参加者には日本人も多く、回答者の半分は日本人だった。
 そのころ留学生だった私もシールを貼るよう勧められた。テレビ局の人はメディア関係者でなければ誰でもいいと会社に言われているといっていた。
 おそらく、日本でシール投票の結果は、アメリカ人に日本の選挙結果を聞きましたとだけ伝えられただろう。保守系シンクタンクの会場で調査すれば、日米関係が懸念されるという答えが多数になるのは当然だ。

一辺倒記事ばかり
 トランプが大統領選で勝った時、日本の報道は「これからどうなる」「日米関係は大変だ」一辺倒だった。これを機会に日米関係を見直してみようという論調は、リベラル紙にもなかった。「いまの日米関係はおかしい」と言いながら、オルタナティブ(代替手段)を考えられない日本のメディアには失望させられる。
 18年4月の朝日新聞の「日米安保はいま」という特集でも、取り上げたのは相変わらずアーミテージやマイケル・グリーンたち、トランプ政権で何の影響力もなくなった知日派だ。いくら大統領が代ろうと、その下で既存の体制を固めてきた層が、日本のメディアを利用して政権の影響力を及ぼそうとしている。

米国の言い分優先
 ドイツの政党はワシントンに事務所を置いている。かつて日本が原発ゼロにしようとして、アメリカに反対され断念したことを話したところ、保守の党から左派まですべての党の人が「なんで国内の政策決定にアメリカの言うことを聞くのか」と不審がった。部外者の目から見て、メディアが米国報道を改善するには、様々な経歴の記者を派遣する、もっと通信社を利用する、英語のできる記者を送る、ワシントン勤務を出世コースとして位置づけないことが重要だ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月09日

【JCJ賞講評】 受賞逸した8作品に敬意 リアルなドキュメントぞろい=伊藤洋子 

 今年度JCJ賞選考委員会は13作品中5作品をJCJ賞に決定した。経過と受賞作品に関しては本紙7月25日号で既報の通り。本稿ではその他8作品を紹介する。

 樋田毅『記者襲撃―赤報隊事件30年目の真実』―朝日新聞阪神支局へのテロ事件を当初から時効後も30年間追い続け、真相解明に挑戦し続けてきたジャーナリストの苦渋と魂が伝わる力作。事件の真相は闇の中だが…

末浪靖司『「日米指揮権密約」の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか』―膨大な米公文書を収集分析し、数多の日米密約の中でも日本の独立と文民統制を捻じ曲げる本質は自衛隊の指揮権密約にあると突き詰めた努力と熱意の成果が生み出した渾身の作。

布施祐仁・三浦英之『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』―自衛隊の南スーダンへのPKO派遣をめぐり、大手紙の特派員は現場からルポを敢行。フリーの記者は情報公開請求で日報の隠蔽を暴く…二人三脚で隠蔽の実態をリアルに伝えるドキュメント。

毎日新聞「『旧優生保護法を問う』キャンペーン報道」―障害者たちに強制不妊手術が許された旧優生保護法はナチスの「断種法」をモデルに戦後50年余も施行されていた!事実。沈黙せざるを得ない人々への粘り強い取材で国の人道に背く犯罪を明らかにした。

中国新聞「企画『核なき世界への鍵』を中心とした核兵器禁止条約に関する一連の報道」―広島の地元紙として被爆者や市民に寄り添い、核兵器や日本政府の問題点など多角的に取り組んできた報道はヒロシマからの視点を世界のものとする。

毎日放送『愛国と教育〜教科書でいま何が起きているのか』―ナショナリズムと歴史修正、政治が教育を蹂躙する実態を次々と描きだす。教育基本法を改悪した安倍政治の狙い、日本の教育現場に起きている凄まじい状況を告発した力作。

北日本放送『イタイイタイ病 記者たちが見た50年』―富山県で発生したイ病が公害認定されて50年。この間関わった記者たちを通して描かれる県の隠蔽体質と権力に飲み込まれるメディアの実態は今日的状況への問題提起であり、イ病も過去でないと教えてくれる。

NHK『スクープドキュメント 沖縄と核』―米の統治下、世界最大級の核の島・沖縄の実態を機密文書や未公開映像、元米兵への取材で迫る力作。 

戦慄すべきミサイル事故は日本政府に認識されていたのか否か。新たな疑問も湧いてくる。 (順不同)

伊藤洋子(JCJ選考委員)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月08日

【リアル北朝鮮】 中露との友好をアピール 非核化への決意 本物か=文聖姫

 9月9日、北朝鮮は建国70周年を迎えた。軍事パレードには大陸間弾道ミサイル(ICBM)の姿はなく、5年ぶりに行われたマスゲームの演出も融和ムード漂うものだった。6月の米朝首脳会談での合意にもかかわらず、非核化交渉が進まないことを意識してか、米政権を刺激することは避けたようだ。それは、軍事パレードを実況中継しなかったことにも表れていた。

 そうしたなか、金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領に書簡を送り、2度目の米朝首脳会談を要請していたことが明らかになった。米ホワイトハウスのサンダース報道官は10日、この事実を表明したうえで、米側がすでに調整に入っていると述べた。2回目の米朝首脳会談が遠からず開催されるかもしれない。

 一方で、金正恩委員長は、建国70周年に際して訪朝した中国の栗戦書・全国人民代表大会常務委員長、ロシアのマトヴィエンコ連邦評議会議長らと相次ぎ会談。中国とロシアが後ろ盾にあることをアピールした。どちらもナンバー3の大物。トップが直接来ることはなかったものの、中露ともに北朝鮮に配慮した形だ。軍事パレード終了後、金委員長は栗常務委員長とともにひな壇のバルコニーを歩きながら観衆に手を振り、マスゲームでは中国を意識した演出も見られるなど、北朝鮮は特に中国との良好な関係を大々的にアピールしたかったようだ。

 ところで、2度目の首脳会談では、パフォーマンスにとどまらず、実質的な進展が米朝双方に求められよう。北朝鮮の非核化への決意は本物なのか。

 金委員長は5日、訪朝した文在寅・韓国大統領の特使代表団と会見した際、次のように語ったと6日発の朝鮮中央通信は伝えた。

「朝鮮半島で武力衝突の危険と戦争の恐怖を完全に追い出し、この地を核兵器も核の脅威もない平和の拠り所にしようというのが我々の確固たる立場であり自身の意志だ」

文聖姫(ジャーナリスト・博士)

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月07日

【今週の風考計】10.7─呆れる安倍政権の「性暴力」への鈍感さ

「性暴力を戦争の武器として使うこと」は、10年前に戦争犯罪として禁じられている。だが、いまだに世界の紛争地では、レイプや性被害が後を絶たない。これが、もっともコストの安い「戦争の武器」だからである。

今年のノーベル平和賞が、戦時下の性暴力撲滅に取り組む、コンゴの婦人科医ムクウェゲさんとイラクのナディアさんに贈られた。ムクウェゲさんは、コンゴにパンジー病院を設立し、20年前の第2次コンゴ内戦以来続く、現地での戦乱によりレイプ被害にあった3万人の女性を治療し、その精神的ケアにも当たっている。
同時授賞が決まったイラクの少数派・ヤジド教徒である女性のムラドさんは、「イスラム国」ISに誘拐され性暴力を受けた。ムクウェゲさんと同じように、傷ついた被害女性のため、支援を続けている。また世界中に広がった性被害の告発運動「#MeToo」も、側面から貢献している。

こうしたグローバルな潮流に逆らうような言動が、安倍政権やそのチルドレン・応援組織から噴き出している。「新潮45」を実質的に廃刊に追い込んだ杉田水脈衆院議員も、“「#MeToo」運動はもう辞めよう” “セクハラと騒ぐのは魔女狩り”などと主張していた。この深刻な現実を直視しなければならない。
いま世界から称賛されているムクウェゲさん本人が、2年前に来日しているのを知った。そのさい彼は、「旧日本軍が行った従軍慰安婦問題を<戦時下の性暴力>として言及し、謝罪も含め国家の責任が問われる」と述べている。しかし、安倍首相は「慰安婦問題は朝日の誤報のせい」と開き直る始末だ。

かように性暴力や性被害を矮小化し、さらにはLGBTなど性的少数者への侮蔑、ヘイトスピーチ規制にも鈍感な態度など切りがない。都道府県では初めての東京都・人権尊重条例が、5日に採択された。これにも自民党は反対している。(2018/10/7)

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2018年10月06日

【リレー時評】 道徳教科書に真珠湾での安倍演説が載る!=清水正文

 今年の春から小学校で教科としての「道徳」が導入され、授業が行われている。続いて中学校が来年度から導入される。現在、全国で中学道徳教科書の採択が行われており、結果が判明した。
 中学では8社が検定申請し合格した。その一つに今年度から新規参入した教科書会社「日本教科書」がある。安倍首相のブレーンの一人である八木秀次・麗澤大学教授(日本教育再生機構理事長)らが、2016年4月に中学の道徳教科書を出すために設立した会社だ。
 八木氏は同年9月に代表取締役を退任したが、その後任に『マンガ嫌韓流』などのヘイト本を出版する「晋遊舎」の武田義輝氏が就任。かつ日本教科書の所在地は、この出版社内にある。

 「道徳」の教科化そのものに大きな問題があることが指摘されてきた。国家が定めた徳目・価値観の押し付け、特に愛国心や伝統・文化を子どもたちに押し付ける内容が各社ともに目立っている。さらに、道徳の教科化にあたって文科省は数値による評価はしないとしてきたが、8社中5社が生徒に5段階で自己評価させる欄を設けている。生徒の内心を数値で評価させるものであり、愛国心などの価値観の押し付けが憂慮されている。

 とりわけ日本教科書の道徳教科書には突出した復古主義・国家主義的内容が含まれている。例えば、吉田松陰を登場させるために、中学生が陸上競技の走り込みで松下村塾の前を通る話を作ってみたり、新潟県長岡市がハワイと姉妹都市提携をして真珠湾で花火を打ち上げる「白菊」という教材の最後に、突然、安倍首相が行った真珠湾での演説を1ページにわたって載せている。
 自己評価についても日本教科書が最も露骨である。「礼儀を大切にし、時と場に応じた言動を判断できる心」「国を愛し、伝統や文化を受け継ぎ、国を発展させようとする心」「日本人としての自覚をもち、世界の平和や人類の幸福に貢献しようとする心」などを、4段階で評価させている。

 教科書の採択についても日本教科書は政治介入ともいえる策動を行っている。今年1月の教育再生首長会議の会合で、顧問の八木氏と代表取締役の武田氏の連名で「会社案内」とともに、市長宛に「御案内」なる文書を配布したことが明らかになった。
 「御案内」は「弊社に関する資料を同封したのでぜひご覧ください」と、市長が積極的に教科書採択に関与することを求め、「市長、教育長、教育委員の皆様に、直接ご説明の機会をおつくり頂きたく、ご検討賜りたい」と述べている。
 9月11日現在、全国各地での教科書採択について、現場の声を反映する公明正大な討議や採択を求める取り組みもあり、日本教科書の道徳教科書は、栃木県大田原市と石川県小松市のみ採択されたが、他では採択されていない。

posted by JCJ at 00:51 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月05日

【8月集会】 第61回JCJ賞贈賞式に200人超 米各社のトランプ批判見習うべき

8月18日、東京・内幸町のプレスセンターホールでJCJ8月集会を開いた。参加者は200人を超えた。

 最初に中村梧郎JCJ賞代表委員が開会挨拶した。中村氏は、森友・加計疑惑や官僚の文書改ざんに対する日本のメディアの追及が弱い点を批判。トランプ米大統領のメディア非難に対し、全米の300以上の報道機関が報道の自由を守るキャンペーンを展開したことと対比した。

その後、新外交イニシアチブ代表の国際弁護士・猿田佐世氏が「日本メディアと国際報道」と題して記念講演した。

猿田氏は日本へ伝わる米国情報が一部の「知日派」に偏っていること、米国情報が大きく扱われることで日本の読者の関心が増幅し、ますますメディアがアメリカの情報を取り上げ、その結果、アメリカの影響力が増すというスパイラルになっていると指摘した(要旨は左面に掲載)。

休憩の後、贈賞式が行われた。まず伊藤洋子JCJ賞選考委員が講評。伊藤氏は最終選考に残った作品すべてにふれ、その評価を語った。

 続いて、「日本ナショナリズムの歴史」を執筆したジャーナリストで歴史研究者の梅田正己氏、財務省による公文書改ざんをスクープした朝日新聞大阪社会部次長の羽根和人氏、アメリカの核削減に日本政府が反対していた事実を明らかにしたしんぶん赤旗の竹下岳・編集局政治部副部長、小木曽陽司編集局長、沖縄へのデマ・ヘイトに対峙した報道を展開した沖縄タイムス社会部中部報道部の勝浦大輔記者、NNNドキュメントで「南京事件U」を制作した清水潔・日本テレビ報道局チーフディレクターにJCJ賞選考委員からJCJ賞の賞状と賞牌が渡された。

 贈賞したJCJ賞選考委員は柴田鉄治、諌山修、酒井憲太郎、石川旺、清田義昭の各氏。

 贈賞につづいて恒例の受賞者スピーチ。閉会挨拶で橋詰雅博JCJ事務局長がJCJ賞資金のカンパを訴えた。

なおすべての写真は武馬怜子が撮影。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号
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2018年10月03日

《月間マスコミ評・新聞》自民総裁選にみる「国民不在」=白垣詔男


 「党首選はるかに遠く民の声」―これは西日本9月5日の朝刊に載った読者による「ニュース川柳」だ。正に今回の自民党総裁選は「国民不在」だった。総裁選びがそのまま「首相選び」に直結するので、国民、読者に視点を定めた報道が必要だったが、その視点は極めて少なかった。
 
 この点を指摘した社説は9月4日の朝日「国民は視野にないのか」と11日の西日本「国民に開かれた論戦こそ」の2紙だけだった。
朝日は「(その原因は安倍)首相側が、一貫して論戦に後ろ向きな姿勢を示している」と分析、西日本は「内向きの『集票合戦』では意味がない」と訴えた。

 総裁選は9月7日に告示されたものの、北海道地震のため告示から3日間「休戦」、しかも「休戦明け」の10日は両候補が所信表明しただけで、首相はその日の午後、ロシアに出掛けた。首相帰国の14日まで論戦はなく事実上の「休戦」となった。首相は「論戦に後ろ向き」というより論戦から逃げたとしか思えなかった。首相が不在で総裁選も盛り上がらなかった。
 
 少ない「選挙論戦」を補うように毎日は告示前の4日から「論点/争点」と題して総裁選に向けて4回の連載を展開。「アベノミクスに功罪」「米中との溝 どう対処」「9条改憲 内輪の論理」「政治主導 揺らぐ理想」と、「丁寧に説明する」と言いながらほとんど話さない安倍首相に代わって「遠い民の声」を意識して、読者に問題点を掘り下げた。「安倍政治」をどう読むか、積み残した多くの懸案に対して安倍首相が、どう立ち向かうのか立ち向かわないのか、その指摘とも言えた。
 
 毎日は先の通常国会閉会後にも「棚上げの問題群 点検 通常国会」と題して6回連載した。「森友文書改ざん問題」「加計学園問題」「日報放置・議員罵倒」「働き方改革法」「カジノ・参院6増」「相次ぐ失言・失態」と、いまだに解明されていない「問題群」を取り上げ、事実上の「安倍政治批判」を繰り広げた姿勢は評価される。
 
 一方、読売は「総裁選 問われるもの」と題して8月28日から9月6日まで自民党幹部、元幹部を登場させて6回連載したが、いずれも視点は国民側にはなく正に「自民党の内向きの姿勢」の印象が強かった。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号


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2018年10月01日

《編集長EYE》 国民投票テレビCMで民放連どう動く=橋詰雅博

 衆参国会議員による超党派の新しい議員連盟が8月末に発足した。「国民投票運動としてのテレビCM」に関して公平なルールを求める議連がそれ。学者やジャーナリストなどからなる市民団体「国民投票のルール改善を考え求める会」の議連結成の要請に応じたもので、会長に自民党の船田元・憲法改正推進本部長代行が就任した。立憲民主党の山尾志桜里衆院議員と国民民主党の桜井充参院議員が副会長に、立憲民主の杉尾秀哉と無所属の真山勇一両参院議員が事務局を担当する。

 市民団体は、資金潤沢な改憲勢力が賛成を勧誘するテレビCMを大量に流すと、資金に乏しい護憲勢力は対抗できず、不公平が生じるとしてテレビCMに一定のルールを設けるべきだと主張してきた。数回の会合を経て作成した国民投票運動期間中のルールは2案ある。一つは賛成派と反対派が同じ日の同じ時間に、同じ分数の放送を行う案だ。もうひとつは英国の実施事例をモデルにしたもので、異なる放送日で同じ回数・分数の放送を行い、最終的に視聴率が同じ程度になるように調整する案である。この2案は議連に提示していて、議連はこれをたたき台にしてルールづくりを行う。

 安倍晋三首相は来年夏の参院選挙前までに国民投票を実施すると言っており、国民投票法を改正してルールを導入するのは時間的に困難だ。このため議連は自らつくった案を民放各社が集まる日本民間放送連盟(民放連)やNHKに提示し、自主的にルールを策定するよう求めていく。

 記者会見で船田会長は、賛否分れるテレビCMについてこう述べた。

 「同じ時間帯に同一分量を流すのがふさわしい。国民投票法が法制化した11年前、民放連はテレビCMで公平が保たれるよう自主的に制度設計すると発表した。だが、実現しておらず、肩すかしをくらった。9月中にも民放連やNHKと意見交換したい」

 巨額な国民投票特需≠当て込む民放連の対応に注目だ。

橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年9月25日号

 

なお民放連は、9月20日にテレビCMを量的規制しない方針と決めました。

 
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2018年09月30日

【今週の風考計】9.30─廃刊に追い込んだ2人の男の経歴と感覚

「新潮45」の実質的な廃刊には、大きな疑問がはらんでいる。まずは問題の引き金となった特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という企画の成立過程である。

提案は誰がしたのか、6人の編集部員はどんな議論をし、執筆者7人の選定をどう決めたのか、また編集長は企画を決定した後、執筆者の依頼や担当をどう編集者に振り分けたのか。
さらに担当重役には報告したのか、原稿を入手し一読したのちの対応はどうだったのか、執筆者への問いかけや原稿の手直しはお願いしなかったのか、校閲担当者はどう感じたのか、などなど常識上から見ても、湧く疑問や解明すべきテーマは数多い。

執筆者の一人、小川栄太郎氏の経歴や著作は、つとに知られている。右派だからと言って、ここに文字にするのもはばかれる内容の原稿を一読して、これはダメとは思わなかったのか。
「LGBTも私のような伝統保守主義者から言わせれば充分ふざけた概念だからである。満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう、そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深かろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だという事を意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか」─痴漢という犯罪を容認しているのも同じだ。

この御仁、安倍首相<親衛隊>の一人。自著『徹底検証「森友・加計事件」―朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社刊)は、昨年末、自民党本部が約750万円使って5000部ほど“爆買い”してもらい、自民党所属の国会議員へ1冊、自民党・各都道府県連支部へ100冊ずつ送本された。挨拶状には《ご一読いただき、『森友・加計問題』が安倍総理と無関係であるという真相の普及、安倍総理への疑惑払拭にご尽力賜りたい》とある。
これだけではない。2012年発売の自著『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)は、安倍首相の資金管理団体・晋和会によって、総額700万円以上も購入されていた。

さて最後は学研「ムー」の編集部を経て、「新潮45」編集長となった、若杉良作氏の見解だ。新潮社の公式サイトに掲載された一文を、再掲載しておこう。
<編集長から LGBTを利用する野党
 今月号は、特集「『野党』百害」と特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」を柱に据えた。前者は主要野党議員の採点表みたいなものだが、当然ながら後者と絡み合ってくる。間もなく秋の臨時国会が始まる。「反安倍」なら道理の通らぬことでも持ち出す野党は、この騒動を奇貨として、杉田氏本人の追及や「LGBT差別解消法案」提出に意気込んでいる。
 杉田論文がいかに誤読され、どのように騒動が作られていったかは、この特別企画の七本の論考でよくわかる。うち二本はLGBT当事者からの寄稿だ。ひとりは元民主党参議院議員でゲイであることをカミングアウトした松浦大悟氏。その記事には、バッシングが一部の当事者とそれを利用しようとする者たちが煽ったものであることや、当事者が切実に欲しているものは何か、などが冷静に綴られている。そして野党のLGBT法案には重大な問題があるとも指摘するのだ。野党は決して当事者を代表しているわけではない。>(「波」2018年10月号より)(2018/9/30)

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2018年09月29日

【訃報】 元JCJ代表委員・橋本 進さんを偲んで=奥田史郎

 橋本進さんが8月5日、91歳で亡くなられた。私が大宅文庫から中央公論社へ移ったのは1959年の秋だった。当時すでに橋本さんは、中央公論社の編集者のみならず、出版労協(出版労連の前身)やJCJでも活躍していて、いつも大きな風呂敷包みを抱えて出入りしていた。
 私の職場は資料室で、そこには新刊の諸雑誌や出版・印刷の業界紙誌があるので、橋本さんは何か面白い資料はないかと立ち寄り、それがきっかけで親しくなった。
 彼は飛び級で進学した秀才で、しかも早生まれだから皆より若く入社した。大人っぽく見せたくてソフト帽を被って出社していたと、古い社員から聞いた。
 労組で意見が紛糾すると、橋本さんが「要求の原点」を根拠に、ていねいに説得する姿を何度も見た。嶋中事件や雑誌「思想の科学」をめぐる<言論の自由>擁護闘争では、理論的中枢として活躍された。
 職場独自の要求作りでは、女性ばかりの交換台や受付の環境改善に尽力し、お人柄もあり女性社員の信頼も厚かった。学生時代に柔道をしたと聞いたが、社交ダンスも好きで社員旅行の時、ホールがあると橋本さんのお相手は退きも切らず現れて、彼は休む間もないほどであった。
 橋本さんの口調をまねれば「ことほど左様に」女性社員に人気があったからか、71年に月刊誌「時代」の編集を目的に、中央公論社を去る際は、出席者は女性ばかりの送別会まで開かれた。
(→続きを読む)
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2018年09月28日

《神奈川支部例会》 若者は今の沖縄をどう見たか

日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部10月例会

若者は今の沖縄をどう見たか
       
 2017年9月、集団自決の悲劇で知られる沖縄・読谷村のチビチリガマが、沖縄の少年たちにより荒らされるという事件が起こった。平和教育に取り組む沖縄でさえ歴史の継承がされないのかと大きな衝撃を与えた。
 東海大学文化社会学部広報メディア学科の羽生浩一教授のゼミでは、17年の12月6日から9日に沖縄を訪れ、平和ガイドや現地の学生などを取材し、その思いを聞いた。また琉球新報の政治部長にもインタビュー、沖縄に向けられたヘイトスピーチの深刻さを学んだ。
 また学生たちは新基地建設工事が強行されている辺野古を訪れ、反対運動に参加する市民の声を取材した。
 羽生ゼミでは、この沖縄取材を映像にまとめて「歴史記憶を伝え続ける難しさ」というDVDを制作した。

 神奈川支部の10月例会は、このDVDを視聴し、取材した大学生や、沖縄の新聞社にインターンシップ(体験入社)した大学生たちに取材や体験を通して感じた“沖縄の今”について語ってもらう。

日時 10月6日(土)午後5時〜7時30分
会場 かながわ県民センター 301会議室
  (横浜駅西口徒歩5分、ヨドバシカメラ裏)
テーマ 「若者は今の沖縄をどう見たか」 
お話と報告 東海大学文化社会学部・羽生浩一教授と羽生ゼミ学生とOB
      沖縄の新聞社にインターンシップ参加の東海大学・専修大学の学生
参加費  500円(学生は無料)

主催  日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部
連絡先 保坂 080−8024−2417
posted by JCJ at 15:30 | お知らせ&行動要請 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月27日

《ワールドウォッチ》アフリカが米中覇権争いの草刈り場=伊藤力司

 去る9月3、4の両日、北京の人民大会堂に53か国のアフリカ首脳を集めて第7回「中国アフリカ協力フォーラム」が開かれた。習近平中国国家主席は開会スピーチで、中国がアフリカ向けに600憶ドル(6兆6千億円)の資金援助を行うと発表して喝さいを浴びた。
 このフォーラムは江沢民時代の2000年に発足、以後3年ごとに北京とアフリカで交互に開かれ、猛スピードで経済大国化した中国のアフリカ進出に大きな役割を果たしてきた。今回は台湾と国交のある旧スワジランドを除く、アフリカ全53か国の首脳が出席した。
 言うまでもなく、国連加盟国193カ国中54か国を占めるアフリカは、地域としては最大グループであり、「アフリカの年」と言われた1960年にブラック・アフリカ諸国が独立して一大グループとなった。

 1960年と言えば日本では安保闘争の年。日米安保に反対する日本の労学市民による巨大な安保反対闘争で日米新安保改約は批准されたものの岸首内閣は退陣。後継の池田内閣の高度経済成長戦略に国民は騙され、日本の対米従属関係は今も続いている。
 そうした1960年、アフリカでは旧宗主国のくびきを外れた国々が様々な困難の中で新しい国造りに励む一方、国連など国際社会の場で反植民地主義の新興グループとして発言力を高めた。米国などもアフリカ勢を無視することはできなくなった。

 米ソ冷戦時代が続く中で、アフリカ諸国は米ソ両陣営から強い働きかけを受けながら、基本的に非同盟路線を貫いた。結果として、そのことが冷戦後21世紀の世界でアフリカ勢がひときわ注目される存在となるに至った要因であろう。
 毛沢東も習近平も「中国は覇権を求めない」と宣言している。しかしアメリカに次ぐ世界第2の経済大国になった中国は、アジアからアフリカ・ヨーロッパに「一帯一路」の通商路を開くことを宣言。そのために南アジアから中東・アフリカに膨大な投資を進めている。
 第2次大戦後世界の覇権を握ってきたアメリカだが、実はその覇権を放棄したいトランプ大統領と事実上アメリカの覇権に挑戦しつつある習近平主席の草刈り場になっているのが、今日のアフリカである。
posted by JCJ at 17:46 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月23日

【今週の風考計】9.23─日本列島に「鷹が舞い降りる」!この現実

◆ジャック・ヒギンズ『鷲は舞い降りた』ではないが、日本列島に<鷹(ミサゴ)が舞い降りる>。まず10月1日、米軍の特殊作戦機CV22オスプレイ(日本名:ミサゴ)5機が、東京・横田基地に舞い降りる。
◆この空軍仕様のCV22オスプレイは、敵地に潜入し人質を奪還するなど特殊作戦に従事する要員の運搬に使われる。日本への配備は初めてだ。沖縄・普天間基地には、米軍海兵隊仕様のMV22オスプレイ24機が配備されているが、このオスプレイと違って、CV22オスプレイは、夜間飛行や地形に沿って低く飛ぶ能力が強化されている。

◆横田基地での低空飛行訓練や小銃・重機関銃の射撃訓練が、繰り返されるのは必至だ。墜落の危険や騒音など、周辺の住民にはたまったものではない。すでに宮城県・王城寺原演習場まで、人口密集地帯の上空を飛ぶオスプレイが目撃されている。しかも横田基地には、6年後までに計10機・要員450人の増強配備が企てられている。

◆日本の自衛隊も負けていない。まず米国からオスプレイ17機をセットにして、総額3600億円で購入。1機あたり約220億円だ。これを佐賀空港へ配備する。かつオスプレイの着陸料として年5億円、20年間で計100億円を支払うというのだから呆れる。まずは購入した5機を、11月には木更津駐屯地に暫定配備する。
◆訓練は米軍と一体で、三沢対地射爆撃場(青森県)や陸上自衛隊東富士演習場(静岡県)・北富士演習場(山梨県)へと、日本列島上空を飛びまわる。

◆昨年9月末の米軍海兵隊オスプレイMV22の重大事故率は、10万飛行時間あたり3.24という、過去最悪の数字である。米軍海兵隊が使う軍用機全体が起こした重大事故率2.72よりも高いのだ。この実態に目を背けて、どうして住民の安全・安心が守れるのだ。3選後の安倍政権、改憲より先にやることがあるだろう。(2018/9/23)

posted by JCJ at 12:00 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月20日

【映像】8・18 JCJ賞 贈賞式(ノーカット版)

2018年8月18日、東京千代田区・プレスセンタービルにて行われた第61回JCJ賞贈与式。
贈与式の前に、猿田佐世さん(国際弁護士)による記念講演、テーマ「日本メディアと国際報道」があります。

表彰後、受賞者が取材の裏話、苦労話、感動などを話します。

posted by JCJ at 18:56 | 映像(コメント&ニュース) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【映像】7・14集会:安倍政権の末路

7月14日、パリ革命を記念してマスコミ9条の会。日本ジャーナリスト会議共催による集会をFmATVchから独占録画配信。

お話は青木理さん(ジャーナリスト)、杉尾秀哉さん(参議院議員)、司会は砂川浩慶さん(立教大学教授)です。
トーク形式でマスメディア、政治の現状を語っていただきました。

会場は満席、200名を超える聴衆から共感の拍手が沸き起こりました。

posted by JCJ at 18:49 | 映像(コメント&ニュース) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月16日

【今週の風考計】9.16─「鶴彬を二度殺させてはならぬ」に共感!

<手と足をもいだ丸太にしてかへし>(鶴彬)─プロレタリア川柳の代表句である。そう田辺聖子さんは『川柳でんでん太鼓』(講談社文庫)で書いている。
鶴彬は治安維持法に問われて東京・野方署に拘留、そこで罹患した赤痢で1938年9月14日に29歳で死去。今年が没後80年となる。

さて1930年代の日本は、軍靴の音けたたましく、1931年9月18日、日本軍は中国の柳条湖で南満鉄線路を爆破。この柳条湖事件は自作自演というのが真相である。そうまでして満州事変の発端を作った。
そして、つい3年前の9月19日、自衛隊の海外での武力行使につながる「戦争法案」を国会で強行可決。この法案は多くの人びとが「違憲」とし、かつ一人ひとりが自分の「意見」を持ち、「異見」を聞くことも大切にするため、<9・19いけんの日>が、平和への思いを忘れない日として誕生した。大切な日である。

20日は自民党総裁選の投票日だ。国民の声には耳を傾けず、コップの中で9条改憲をわめいている。9条3項に自衛隊明記か、2項(戦力を持たない)削除か、どちらにせよ自衛隊を戦争に参加させたい本音は同じ。またまた「安倍一強」政権による改憲策動に拍車がかかる。
明けて21日は国際平和デーだ。世界で起きている戦争や敵対行為を停止する日である。その日はニューヨーク国連本部ビルの平和の鐘が鳴り響く。なんとこの平和の鐘、日本政府が国連に寄贈したものだ。鐘には「世界絶対平和万歳」と鋳込まれている。

おっとっと9条改憲! 真っ向から違反するじゃないか。核兵器完全禁止条約にも背をむけ、「日本を戦争する国」へもっていく。<鶴彬を二度殺させてはならぬ>(高鶴礼子)。(2018/9/16)
posted by JCJ at 12:13 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月15日

《おすすめ本》ジョン・ミッチェル著 阿部小涼訳『追跡 日米地位協定と基地公害 「太平洋のゴミ捨て場」と呼ばれて』─いま現実に沖縄では野放し! 米軍・化学兵器汚染の実態 =島袋夏子(「琉球朝日放送」報道制作部)

 沖縄の返還軍用地が抱える土壌汚染問題を調べていると、「わからないことは惨めだ」と実感する。辺野古や高江を始め、米軍絡みの事件、事故に振り回される沖縄。長く埋もれていた軍用地汚染を表に引きずり出したのは、無名の外国人ジャーナリストだった。本書の著者、ジョン・ミッチェルだ。
 ミッチェルは2012年、沖縄に駐留していた退役米軍人たちが、米国政府を相手に、枯れ葉剤被害を訴えている事実をスクープした。それはフェンス一枚隔てた所で暮らす人々の命と健康も脅かされているという告発だった。

 本書は、米国情報自由法(FOIA)を駆使して入手した1万2千ページもの公文書に基づいている。米軍占領下、演習場近くの中学校で異臭がし、生徒たちが体調不良を訴えた。また本島北部では、牛が突然死した。
 しかし当時は原因が判明せずうやむやに。そんな県民の記憶の片隅に残る奇妙な事件が、実は米軍の化学兵器などに由来していた事実を、本書は指摘する。だが重大なのは、危険が過去のことではない、いま現実にあるということだ。
 日米地位協定4条で、日本は米国に対して、返還軍用地の原状回復義務を免除している。島は今も米軍が汚したい放題の土地なのだ。

 ミッチェルは今、沖縄県民から最も信頼されるジャーナリストの一人となった。彼が突き付けるのは、日米両政府に都合よく使われ、切捨てられる沖縄だ。しかし県民は知っている。本当に惨めで怖いのは、知らないことである。本書を手に取る人たちには、考えてほしい。沖縄に誰が何を押し付けているのかを。
(岩波書店1900円)
「日米地位協定と基地公害」.jpg
posted by JCJ at 14:41 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする