タレントのトラブルに端を発したフジテレビ問題は、メディア企業の人権意識、男性中心の負の側面をあぶり出し、経営にまで深刻な影響を与える事態を生んだ。3月末に公表された第三者委員会報告書での 指摘を踏まえ、この問題がなぜ起きたのか、なぜ危機対応を誤ったのか、これからどうすべきかを議論し、 テレビが生き残るためには何が必要なのかを考える。 第1部ではテレビ東京出身の田淵俊彦・桜美林大学芸術学群教授がこの問題に関して講演する。第2 部では、砂川浩慶・立教大学社会学部教授を司会に、田淵氏、フジテレビ出身の大島新・東京工芸大 学芸術学部教授、元テレビ番組ディレクターの村井明日香・昭和女子大学人間社会学部准教授をパネ リストに議論を深め、テレビの未来を考える。
なお今回、同時配信はできませんが後日、録画配信の予定です。確定したらURLをお知らせします。
講演者プロフィール
●田淵俊彦・桜美林大学芸術文化学群ビジュアル・アーツ専修教授 1964 年兵庫県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京に入社。世界各地の秘境を訪ねるドキュメンタリー、「連合赤軍」「高齢初犯」「ストーカー加害者」をテー マにした社会派ドキュメンタリーのほか、ドラマのプロデュースも手掛ける。著書に『混沌時代の新・テレビ論』(ポプラ新書)、『弱者の勝利学 不利な
条件を強みに変える “テレ東流” 逆転発想の秘密』 (方丈社)など。
パネリストプロフィール
●大島 新・東京工芸大学芸術学部映像学科教授 1995 年 早稲田大学卒業後、フジテレビに勤務。1999 年フリーとな り、MBS「情熱大陸」、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」など数多くの番組を演出・プロデュース。2009 年映像製 作会社ネツゲンを設立。映画監督作品に『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』『国葬の日』など。著書に『ドキュメンタリーの舞台裏』(文藝春秋)。
●村井明日香・昭和女子大学人間社会学部准教授。博士(情報科学)。テレビ番組のディレクターを経て2023年より現職。専門は、メディア論、メディア・リテラシー教育。主な演出番組に、「ザ・ノンフィクション〜青春YELL! 花の中学生 応援団 3000 日」(フジテレビ)、「テレメンタリー 2013 もう一つの学校『はじめ塾』」(テレビ朝日)など。
●砂川浩・慶立教大学社会学部長・メディア社会学科教授。研究テーマは、放送を中心とするメディア産業、メディ ア政策・法制度、ジャーナリズム論、コンテンツ流通など。著書に『安倍官邸とテレビ』『放送法を読みとく』など。
〈主催〉立教大学社会学部メディア社会学科・砂川ゼミ/市民とともに歩み自立した NHK 会長を求める会 (問い合わせ先)小滝一志 090-8056-4161 /長井暁 090-4050-5019 〈共催〉日本ジャーナリスト会議(JCJ)
2025年04月29日
2025年04月28日
【焦点・反ユダヤ規制2】1・0トランプ政権ではパレスチナを切り捨てた=橋詰雅博
それでは2017年〜21年の第1次トランプ政権の時はどうだったのか。やはり福音派の意向に沿い政策を実行した。つまりパレスチナ切り捨てだった。
安保理決議を覆す
そもそもイスラエルのパレスチナ国家占領に対し、米政府は基本的に1967年の安保理決議242号(占領地からの撤退勧告)支持する姿勢を維持していてきたが、トランプ政権はこれを覆した。占領承認と難民保護政策からの撤退へと舵を切り替えた。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を脱退し、難民支援から手を引いてしまった。
矢継早の政策転換
中東研究者の平井文子氏は4年間に行われたトランプによる矢継ぎ早の政策転換を以下のようにまとめた。
・2017/12/6 イスラエルによるエルサレム首都宣言支持
・2018/1/16 UNRWAへの拠出金凍結。それまで米はUNRWAの予算の3割支援。2017年総額12億4000万ドルのうち、3億6000万を。他の支援国は、EU、サウジ、独、英、日(4000万ドル第7位)。UNRWA支援下に、パレスチナには700の学校、140の診療所がある。UNRWAは難民にとって命綱だった
・2018/5/14 米大使館テルアビブからエルサレムに移転
7/19 イスラエル国会、「ユダヤ人国家法」採択
8/31 米、UNRWA脱退
9/10 ワシントンのパレスチナ自治政府代表部閉鎖
・2019/3シリア領であるゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認
・2019/11/18 マイク・ポンペオ国務長官が、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は国際法に違反していないとの見解を示した
・2020/1/28 中東和平案(「世紀のディール」)発表:イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正当な領土であると認める。
・2020/8/13アブラハム合意発表(アメリカを仲介としたイスラエルとアラブ首長国連邦との和平合意、続いてバーレーンを皮切りとして,その後スーダンやモロッコがこれに倣って陸続としてイスラエルとの関係正常化に踏み出した)
聖書の予言実現か
平井氏は「米キリスト教福音派は現代イスラエル国家の創設と数百万のユダヤ人のイスラエル集住を、イエスの復活が間近であるという聖書の預言の実現とみている。アメリカにおけるキリスト教シオニズム(ユダヤ人が祖先の地とみなすパレスチナをユダヤ国家として建設しようという運動)は今や白人福音派の間では『多数派神学』となっている。キリスト教シオニストの票は数千万にものぼり、大統領選挙にとって大きな票田となっている」と分析する。
2期目のトランプは、1期目以上に福音派の考えを受け入れ政策に取り入れている。
安保理決議を覆す
そもそもイスラエルのパレスチナ国家占領に対し、米政府は基本的に1967年の安保理決議242号(占領地からの撤退勧告)支持する姿勢を維持していてきたが、トランプ政権はこれを覆した。占領承認と難民保護政策からの撤退へと舵を切り替えた。さらに国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を脱退し、難民支援から手を引いてしまった。
矢継早の政策転換
中東研究者の平井文子氏は4年間に行われたトランプによる矢継ぎ早の政策転換を以下のようにまとめた。
・2017/12/6 イスラエルによるエルサレム首都宣言支持
・2018/1/16 UNRWAへの拠出金凍結。それまで米はUNRWAの予算の3割支援。2017年総額12億4000万ドルのうち、3億6000万を。他の支援国は、EU、サウジ、独、英、日(4000万ドル第7位)。UNRWA支援下に、パレスチナには700の学校、140の診療所がある。UNRWAは難民にとって命綱だった
・2018/5/14 米大使館テルアビブからエルサレムに移転
7/19 イスラエル国会、「ユダヤ人国家法」採択
8/31 米、UNRWA脱退
9/10 ワシントンのパレスチナ自治政府代表部閉鎖
・2019/3シリア領であるゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認
・2019/11/18 マイク・ポンペオ国務長官が、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地は国際法に違反していないとの見解を示した
・2020/1/28 中東和平案(「世紀のディール」)発表:イスラエルがヨルダン川西岸の占領地に建設した入植地の大部分をイスラエルの正当な領土であると認める。
・2020/8/13アブラハム合意発表(アメリカを仲介としたイスラエルとアラブ首長国連邦との和平合意、続いてバーレーンを皮切りとして,その後スーダンやモロッコがこれに倣って陸続としてイスラエルとの関係正常化に踏み出した)
聖書の予言実現か
平井氏は「米キリスト教福音派は現代イスラエル国家の創設と数百万のユダヤ人のイスラエル集住を、イエスの復活が間近であるという聖書の預言の実現とみている。アメリカにおけるキリスト教シオニズム(ユダヤ人が祖先の地とみなすパレスチナをユダヤ国家として建設しようという運動)は今や白人福音派の間では『多数派神学』となっている。キリスト教シオニストの票は数千万にものぼり、大統領選挙にとって大きな票田となっている」と分析する。
2期目のトランプは、1期目以上に福音派の考えを受け入れ政策に取り入れている。
2025年04月27日
【焦点・反ユダヤ規制1】トランプ政権の政策に強い影響力キリスト教福音派はどんな組織なのか、なぜ意向を反映できるのか=橋詰雅博
トランプ米政権は、リベラル系の大学への締め付けを強化し、それに抗うなら助成金の取り消しなどの措置で圧力をかけている。
著名なエリートを輩出している名門ハーバード大への介入はその代表例だ。反ユダヤ主義的な活動やDEI(多様性、公平性、包摂性)の見直しを拒否した同大への助成金22億ドル(約3100億円)と6000万ドル(約56億円)相当の契約金の支払いを凍結した。さらにトランプはハーバード大が今後も「テロリストを支援するような『病的』な行動を押し進めるなら、免税資格措置を剥奪し政治団体として課税すべきかもしれない」と4月15日自身のSNSに書き込んだ。
圧力屈する大学も
教育機関や宗教団体などが対象になっている連邦所得税の不払いを停止させるとブラフ≠かけた。これに対してハーバード大はトランプ政権による助成金凍結の見直しを求める訴えをマサチューセッツ州連邦地方裁判所に21日起こした。
トランプ大統領の方針を受けた米教育省は、反ユダヤ的活動に対するユダヤ系学生の保護義務違反として約60の大学をリストアップした。ハーバード始めコロンビア、エール、プリンストンなど名門校が並ぶ。コロンビア大は助成金4億ドルを差し止められた。。プリンストンも数十件の研究助成金の凍結・打ち切りをされた。
反DEIについても「違反調査」対象校としてマサチューセッツ工科大(MIT)など有名校など約50校を米教育省は公表。全米大学・カレッジ協会(AAC&U)は「真実の追求や表現の自由など、大学の存在意義の根幹を脅しかねない」と表明した。
しかし助成金を打ち切られたら研究プロジェクトの中止や停止に追い込まれるので、トランプ圧力に屈する大学もある。パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの無差別攻撃に対する抗議デモを起こし全米に広がる起点となったコロンビア大は政権の要求を受け入れ新ガイドラインを作成した。
SNS投稿を審査
外国人の教員や留学生などを対象にSNS上での反ユダヤ主義的な言動取り締まり強化に乗り出した。発見したら永住権申請の外国人教員や学生ビザ(査証)の申請を却下すると移民局は発表。ノーム国土安全保障長官は「(表現の自由を定めた)憲法修正第1条に守られていると思う外国人は考え直せ」と表明した。
カリフォルニア州立大学助教授の大矢英代(はなよ)氏は4月14日付東京新聞コラムで「近い将来、(イスラエルによる)ガザへの大規模攻撃と接収が始まるのではないか、一連の政策はそれに向けたSNS上の自己規制、萎縮効果を狙った事前対策なのではないかと不安でならない」と述べている。
信者1億人に急増
この背景には、トランプら共和党の岩盤支持層でイスラエルを強く支持するキリスト教保守の福音派の意向が反映しているという見方が多い。
米国の政治・外交に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏も「日本で見落とされがちなのが、キリスト教福音派の強い影響だ。気候変動対策の否定や性的マイノリティーの否定、イスラエルの徹底支援など一連の『常識の革命』政策はみな、この教派の主張に沿っている。ここに注目すれば、(トランプ)大統領の行動意味がよくわかる」(日本経済新聞3月19日)とインタビューに答えている。
大注目のキリスト教福音派はどんな組織なのか。簡単に言えば、聖書の一字一句をそのまま信じキリストの教えに基づく信仰生活をしている人たちだ。一般的に宗教保守≠ニ呼ばれ、妊娠中絶や同性婚、教育現場への進化論導入などに強く反対してきた。パレスチナ人を追い出したユダヤ人が創設したイスラエル国家の支援者でもある。米国で約1億人が福音派とみられる。米人口の約3分の1を占める福音派は大統領選挙で共和党支持の積極的な活動をする。レーガンを当選させたのが原点になっている。
著名なエリートを輩出している名門ハーバード大への介入はその代表例だ。反ユダヤ主義的な活動やDEI(多様性、公平性、包摂性)の見直しを拒否した同大への助成金22億ドル(約3100億円)と6000万ドル(約56億円)相当の契約金の支払いを凍結した。さらにトランプはハーバード大が今後も「テロリストを支援するような『病的』な行動を押し進めるなら、免税資格措置を剥奪し政治団体として課税すべきかもしれない」と4月15日自身のSNSに書き込んだ。
圧力屈する大学も
教育機関や宗教団体などが対象になっている連邦所得税の不払いを停止させるとブラフ≠かけた。これに対してハーバード大はトランプ政権による助成金凍結の見直しを求める訴えをマサチューセッツ州連邦地方裁判所に21日起こした。
トランプ大統領の方針を受けた米教育省は、反ユダヤ的活動に対するユダヤ系学生の保護義務違反として約60の大学をリストアップした。ハーバード始めコロンビア、エール、プリンストンなど名門校が並ぶ。コロンビア大は助成金4億ドルを差し止められた。。プリンストンも数十件の研究助成金の凍結・打ち切りをされた。
反DEIについても「違反調査」対象校としてマサチューセッツ工科大(MIT)など有名校など約50校を米教育省は公表。全米大学・カレッジ協会(AAC&U)は「真実の追求や表現の自由など、大学の存在意義の根幹を脅しかねない」と表明した。
しかし助成金を打ち切られたら研究プロジェクトの中止や停止に追い込まれるので、トランプ圧力に屈する大学もある。パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの無差別攻撃に対する抗議デモを起こし全米に広がる起点となったコロンビア大は政権の要求を受け入れ新ガイドラインを作成した。
SNS投稿を審査
外国人の教員や留学生などを対象にSNS上での反ユダヤ主義的な言動取り締まり強化に乗り出した。発見したら永住権申請の外国人教員や学生ビザ(査証)の申請を却下すると移民局は発表。ノーム国土安全保障長官は「(表現の自由を定めた)憲法修正第1条に守られていると思う外国人は考え直せ」と表明した。
カリフォルニア州立大学助教授の大矢英代(はなよ)氏は4月14日付東京新聞コラムで「近い将来、(イスラエルによる)ガザへの大規模攻撃と接収が始まるのではないか、一連の政策はそれに向けたSNS上の自己規制、萎縮効果を狙った事前対策なのではないかと不安でならない」と述べている。
信者1億人に急増
この背景には、トランプら共和党の岩盤支持層でイスラエルを強く支持するキリスト教保守の福音派の意向が反映しているという見方が多い。
米国の政治・外交に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏も「日本で見落とされがちなのが、キリスト教福音派の強い影響だ。気候変動対策の否定や性的マイノリティーの否定、イスラエルの徹底支援など一連の『常識の革命』政策はみな、この教派の主張に沿っている。ここに注目すれば、(トランプ)大統領の行動意味がよくわかる」(日本経済新聞3月19日)とインタビューに答えている。
大注目のキリスト教福音派はどんな組織なのか。簡単に言えば、聖書の一字一句をそのまま信じキリストの教えに基づく信仰生活をしている人たちだ。一般的に宗教保守≠ニ呼ばれ、妊娠中絶や同性婚、教育現場への進化論導入などに強く反対してきた。パレスチナ人を追い出したユダヤ人が創設したイスラエル国家の支援者でもある。米国で約1億人が福音派とみられる。米人口の約3分の1を占める福音派は大統領選挙で共和党支持の積極的な活動をする。レーガンを当選させたのが原点になっている。
2025年04月26日
【好書耕読】 地獄から6万人を救った男=鈴木伸幸(東京新聞編集委員)
ちょうど80年前、太平洋戦争終結の1945年8月15日、日本の降伏で無法地帯となった朝鮮半島に思いをはせてみる。米軍が入った北緯38度線の南は早期に落ち着き、在留邦人は帰還の途につけた。問題は北だ。
日ソ中立条約を破棄してソ連軍が侵攻し、南北間を封鎖。残された約25万人の在留邦人を待ち受けたのは、国際法無視のソ連兵による暴力、略奪、そして陵辱だった。食料はない。故郷に帰れる見込みもない。何万人もが飢えと疫病コレラに倒れた。
この生き地獄に手を差し伸べた男がいた。進駐したソ連軍司令部の嘱託職員・松村義士男だ。終戦3カ月前に33歳で日本軍に召集され、一時はソ連軍の捕虜となるも脱走。朝鮮での建設会社勤務が長く朝鮮語と中国語を使えたことから、混乱に紛れてソ連軍に潜りこんだ。
その松村が「日本人が死に絶える」とソ連軍や朝鮮側と粘り強く交渉し、南へ集団脱出させようとした。自らの命を危険にさらしながらルートを切り開き、多額の借金までして約6万人を送り出した。
城内康伸『奪還─日本人難民6万人を救った男』(新潮社)は、後に「引き揚げの神様」と呼ばれるようになった松村の評伝である。北朝鮮報道で世界的スクープを連発した元東京新聞記者の著者が、元避難民や文献を捜し出し、埋もれていた事実を明らかにした力作である。
単純な比較はできないが、避難民といえば約6千人のユダヤ人に「命のビザ」を発給した外交官・杉原千畝が知られる。松村は、その十倍もの命を救いながら、あまりにも無名だ。「義士討ち入り」の12月14日に生まれ、義士男と名付けられた松村は戦前、労働運動に参加したことで弾圧され「アカ」と白眼視された。
帰国後は集団脱出で使った借金返済に苦しみ、失踪して55歳で病死。戦後80年、日韓国交正常化60年の今年、本書は「究極の利他」を実践した松村への供養にもなる。
日ソ中立条約を破棄してソ連軍が侵攻し、南北間を封鎖。残された約25万人の在留邦人を待ち受けたのは、国際法無視のソ連兵による暴力、略奪、そして陵辱だった。食料はない。故郷に帰れる見込みもない。何万人もが飢えと疫病コレラに倒れた。
この生き地獄に手を差し伸べた男がいた。進駐したソ連軍司令部の嘱託職員・松村義士男だ。終戦3カ月前に33歳で日本軍に召集され、一時はソ連軍の捕虜となるも脱走。朝鮮での建設会社勤務が長く朝鮮語と中国語を使えたことから、混乱に紛れてソ連軍に潜りこんだ。
その松村が「日本人が死に絶える」とソ連軍や朝鮮側と粘り強く交渉し、南へ集団脱出させようとした。自らの命を危険にさらしながらルートを切り開き、多額の借金までして約6万人を送り出した。
城内康伸『奪還─日本人難民6万人を救った男』(新潮社)は、後に「引き揚げの神様」と呼ばれるようになった松村の評伝である。北朝鮮報道で世界的スクープを連発した元東京新聞記者の著者が、元避難民や文献を捜し出し、埋もれていた事実を明らかにした力作である。
単純な比較はできないが、避難民といえば約6千人のユダヤ人に「命のビザ」を発給した外交官・杉原千畝が知られる。松村は、その十倍もの命を救いながら、あまりにも無名だ。「義士討ち入り」の12月14日に生まれ、義士男と名付けられた松村は戦前、労働運動に参加したことで弾圧され「アカ」と白眼視された。
帰国後は集団脱出で使った借金返済に苦しみ、失踪して55歳で病死。戦後80年、日韓国交正常化60年の今年、本書は「究極の利他」を実践した松村への供養にもなる。
2025年04月25日
2025年04月24日
【お知らせ】12年JCJ賞の OurPlanet-TVへのスラップ訴訟判決前の論点整理シンポ開催 金平茂紀氏らが登壇=MIC共催
社会学者の開沼博氏が23年OurPlanet-TVの報道に対し500万円の損害賠償を求める裁判を起こした。2年間の審理を経て、6月6日(金)14時から東京地裁415号法廷で判決が言い渡される。論点は2つ。1つは、提訴会見の際に、原告側弁護士が口にした言葉を動画で配信したり、記事にしたりしたメディアもまた名誉毀損となるのかという点。もう1つは、裁判で原告が敗訴すると、提訴報道もまた違法となるのかという点だ。
こうしたことが認められれば、大きな萎縮効果を生み、自由で独立した報道は大きく後退する。提訴報道は簡単にできなくなり、第三者の発言の引用にも慎重にならざるを得ない。判決を前に裁判の論点を振り返る。
【ハイブリッド開催】シシンポジウム
OurPlanet-TVと開沼博氏との訴訟で何が争われているのか〜メディアの独立を揺るがすスラップ
■日 時 5月24日(土)14:00〜16:30
■場 所 出版労連会議室およびオンライン
■定 員 会場45人/オンライン200人
■参加費 無料
<登壇者>
白石 草(OurPlanet-TV代表理事)
金平 茂紀(ジャーナリスト)
七沢 潔(ジャーナリスト)
小川 隆太郎(弁護士)
光前 幸一(弁護士) ほか
▼お申込み▼
会場、オンラインいずれの場合もPeatixからのお申込み、
もしくは電話(03-3296-2720)またはメール(info@ourplanet-tv.org)にてお
申込みください。メールでお申込みの際は件名に「0524シンポ申し込み」とご記
入の上、「参加方法(会場orオンライン)」「お名前」「ご所属(任意)」「メー
ルアドレス」をinfo@ourplanet-tv.orgにお送りください。
PeatixのURL(下記にURL)
https://optv0524event.peatix.com/
主催:OurPlanet-TV 共催:日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
お問い合わせ 認定NPO法人OurPlanet-TV TEL:03-3296-2720 Emai:info@ourplanet-tv.org
こうしたことが認められれば、大きな萎縮効果を生み、自由で独立した報道は大きく後退する。提訴報道は簡単にできなくなり、第三者の発言の引用にも慎重にならざるを得ない。判決を前に裁判の論点を振り返る。
【ハイブリッド開催】シシンポジウム
OurPlanet-TVと開沼博氏との訴訟で何が争われているのか〜メディアの独立を揺るがすスラップ
■日 時 5月24日(土)14:00〜16:30
■場 所 出版労連会議室およびオンライン
■定 員 会場45人/オンライン200人
■参加費 無料
<登壇者>
白石 草(OurPlanet-TV代表理事)
金平 茂紀(ジャーナリスト)
七沢 潔(ジャーナリスト)
小川 隆太郎(弁護士)
光前 幸一(弁護士) ほか
▼お申込み▼
会場、オンラインいずれの場合もPeatixからのお申込み、
もしくは電話(03-3296-2720)またはメール(info@ourplanet-tv.org)にてお
申込みください。メールでお申込みの際は件名に「0524シンポ申し込み」とご記
入の上、「参加方法(会場orオンライン)」「お名前」「ご所属(任意)」「メー
ルアドレス」をinfo@ourplanet-tv.orgにお送りください。
PeatixのURL(下記にURL)
https://optv0524event.peatix.com/
主催:OurPlanet-TV 共催:日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
お問い合わせ 認定NPO法人OurPlanet-TV TEL:03-3296-2720 Emai:info@ourplanet-tv.org
2025年04月23日
【焦点】24年死刑執行15カ国で過去最低―アムネスティ発表 国連の廃止に応じない日本は死刑存続の数少ない国=橋詰雅博
国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは、2024年の世界の死刑状況を発表した。24年は15カ国で1,500人以上が処刑され、15年以降、最多の死刑執行数となった。増加は、イラン、イラク、サウジアラビアで急増したことによるもので、この3カ国だけで1,380件に上る。
中東では、死刑判決が人権擁護者、反体制派、抗議者、政敵、少数民族の声を封じる方法として用いられており、特にイランとサウジアラビアではその傾向が顕著。また死刑執行の40%以上は、薬物関連犯罪だ。死刑が麻薬取引の減少につながるかどうか立証されていないにも関わらず、薬物関連の処刑は中国、イラン、サウジアラビア、シンガポールで広く行われている。
死刑執行数が増加した一方で、死刑を執行した国はわずか15カ国。これは2年連続で過去最低だった。現在、113カ国が死刑を全廃しており、法律上または事実上死刑を廃止している国は合わせて145カ国に上る。
24年にはジンバブエで通常の犯罪に対する死刑を廃止する法案が成立。マレーシアでは死刑制度改革により、死刑を宣告されていた1,000人以上が減刑されるなど「世界は死刑廃止に向けて確実に歩みを進めています」とアムネスティは話す。
国連は「死刑の廃止が人間の尊厳の高揚と人権の漸進的な発展に貢献することを信じ」「すべての死刑廃止措置は生命権の享有の上で発展とみなされるべきことを確信」するとして死刑廃止を宣言している。
国連の求めに応じず世界の流れに逆行する死刑存続の日本は、この25年間で100人弱が死刑になった。世論はどう受け止めているのか。
24年の世論調査では8割が死刑制度を支持していると政府は説明する。ただし、調査結果の分析では将来的な死刑廃止を容認している人の割合は全体の45.1%と「将来も死刑を廃止しない」の53.4%に迫る。「国民の8割が死刑制度を支持」が一人歩きし、死刑制度存続の根拠として用いられている。政府は希薄な根拠を盾に制度を継続させている。いつものパターンだ。
日本弁護士連合会は死刑執行の停止を求めたうえで廃止への社会的な論議を呼びかけている。
中東では、死刑判決が人権擁護者、反体制派、抗議者、政敵、少数民族の声を封じる方法として用いられており、特にイランとサウジアラビアではその傾向が顕著。また死刑執行の40%以上は、薬物関連犯罪だ。死刑が麻薬取引の減少につながるかどうか立証されていないにも関わらず、薬物関連の処刑は中国、イラン、サウジアラビア、シンガポールで広く行われている。
死刑執行数が増加した一方で、死刑を執行した国はわずか15カ国。これは2年連続で過去最低だった。現在、113カ国が死刑を全廃しており、法律上または事実上死刑を廃止している国は合わせて145カ国に上る。
24年にはジンバブエで通常の犯罪に対する死刑を廃止する法案が成立。マレーシアでは死刑制度改革により、死刑を宣告されていた1,000人以上が減刑されるなど「世界は死刑廃止に向けて確実に歩みを進めています」とアムネスティは話す。
国連は「死刑の廃止が人間の尊厳の高揚と人権の漸進的な発展に貢献することを信じ」「すべての死刑廃止措置は生命権の享有の上で発展とみなされるべきことを確信」するとして死刑廃止を宣言している。
国連の求めに応じず世界の流れに逆行する死刑存続の日本は、この25年間で100人弱が死刑になった。世論はどう受け止めているのか。
24年の世論調査では8割が死刑制度を支持していると政府は説明する。ただし、調査結果の分析では将来的な死刑廃止を容認している人の割合は全体の45.1%と「将来も死刑を廃止しない」の53.4%に迫る。「国民の8割が死刑制度を支持」が一人歩きし、死刑制度存続の根拠として用いられている。政府は希薄な根拠を盾に制度を継続させている。いつものパターンだ。
日本弁護士連合会は死刑執行の停止を求めたうえで廃止への社会的な論議を呼びかけている。
2025年04月22日
【出版トピックス】4月─障害者への偏見と差別を防ぐには=出版部会
◆出版社倒産1.8倍
2024年度に発生した出版社の倒産は31件、前年度(17件)の約1.8倍となった。15年度以来9年ぶりに30件を上回り、20年度以降20件を下回る低水準が続いていたが、ここにきて増加し始めている。
ペーパレス化や電子書籍の普及、ネット専業メディアの台頭の影響を受け、雑誌の休刊・廃刊が相次ぐなど出版業界の事業環境は悪化の一途を辿っており、小規模事業者を中心に破綻が相次いだ。
紙やインクの価格が高騰し、製造コストが上昇。需要減のなか、わずかな利益で事業を続けている出版社が増えている。実際に出版社23年度の業績をみると、36.2%が「赤字」となり、減益を含めた「業績悪化」は6割を超えた。
◆休刊雑誌は89点
出版科学研究所が発表した24年の休刊雑誌は、ウェブに移行した「GINGER」(幻冬舎)などのファッション誌、さらに「月刊コミックバンチ」(新潮社)などのコミック誌に加え、「OHM」(オーム社)などの老舗専門誌が目立った。総計89点。今年に入っても「鉄道ジャーナル」が4/21発売の6月号で休刊、「じゃらん」(リクルート)が3月号で休刊と続く。
24年の創刊・復刊雑誌は27点。そのうち17点がアシェット・コレクションズ・ジャパンとデアゴスティーニ・ジャパンが刊行する週刊・隔週刊分冊百科が中心。昨年の雑誌総銘柄数は、前年比48点減の2341点。
◆メディアドゥ増収増益
メディアドゥは、25年2月期の連結決算を発表。売上高1019億1400万円(前年比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13億6300万円(前年は3億1900万円の損失)で増収増益。
新5カ年中期経営計画では、事業概念を「MORE CONTENT FOR MORE PEOPLE!(ひとつでも多くのコンテンツをひとりでも多くの人へ)」と英語化、海外へのコンテンツ提供を強化。
◆「magma books」開業
虎ノ門ヒルズ グラスロック(東京・港区)内に丸善ジュンク堂書店が「magma books」を開業。グラスロックは、地上4階、地下3階立ての施設で計7店舗から成る。
「magma books」は2階85坪、3階185坪で営業。書籍在庫数8万冊。「知的興奮と創造性を提供する」というコンセプトでの新業態書店。2階は「知の森」と称し「本と出会う」ための空間。過去・現在・未来のエリアに分かれ、各テーマに沿った本が並ぶ。
3階は一般書、雑誌、コミック、児童書などオールジャンルをそろえる書籍売り場。「ビジネスとコンピュータ」ジャンルに力を入れる。
そして、書籍売り場に隣接する「magma lounge」は有料コワーキングスペース。ニューロミュージックやOLED照明を採用した空間で、読書や作業に没入できるよう設計。集中できる空間で、新たな知や創造性に結びつけてもらうという。
◆本屋大賞・阿部暁子『カフネ』
一次投票には全国の488書店より書店員652人、二次投票では336書店・書店員441人もが投票。二次投票ではノミネート10作品をすべて読んだ上で、ベスト3を推薦理由とともに投票。その結果、阿部暁子『カフネ』(講談社)が受賞。
本書は一回り年の離れた二人の女性が「家事代行」を通して人々の心を救い、やがて互いにかけがえのない存在になっていく過程を描いた物語。タイトルにもある「カフネ」とは、ポルトガル語で「愛しい人の髪を撫でる仕草。頭を撫でて眠りにつかせる穏やかな動作」のこと。
なお同賞2位は早見和真『アルプス席の母』(小学館)、3位は野アまど『小説』(講談社)。
翻訳小説部門1位にはR・ヤロス『フォ−ス・ウィング 第四騎竜団の戦姫』(早川書房)、発掘部門「超発掘本!」にはクラフト・エヴィング商會『ないもの、あります』(筑摩書房)が選ばれた。
◆神田裕子 新刊巡る問題
一般社団法人・日本自閉症協会は、4月18日、市川宏伸・会長名で神田裕子の『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(三笠書房)について、下記のような見解を表明した。全文を紹介しておきたい。
<4月22日発売の新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」(三笠書房)は障害に対する誤解を生み、差別や偏見、分断を助長するものと判断します。このような本を、90年を超える歴史がある三笠書房が発刊されることは誠に残念です。
現在、この本は表紙と帯、および目次をネット上で見ることができますが、それでも差別や偏見を助長すると判断する理由は以下の通りです。
1. ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)の発達障害を一方的に「困った人」として扱っていることは誤解を生みます。
2. 障害名を人のタイプに結び付けているために障害に対する誤解を生むとともに、表現されている特徴を有する人を障害者とする偏見をも生みます。
3. ASDの特徴として「異臭を放ってもおかまいなし」やADHDを「同僚の手柄を平気で横取り」など特異な事例をことさら強調しているため偏見につながります。
4. 結果としてASDやADHDの特性を有する人の尊厳を傷つけます。
大事なことは作者の差別意識の有無ではなく、本が当事者や職場、社会にどう影響するかです。
作者や出版社はそのことをよく考えていただきたい。
精神疾患などデリケートなテーマを扱う際に出版社は監修をいれたり、対象の人たちの受け止めを確かめるなど慎重な姿勢が求められます。
かかる書籍が、自閉スペクトラム症を含む障害のある人たちの人権を侵害するおそれがあることを懸念し、出版社が適切な対応をされることを期待します。
私たちは職場において、ASDやADHDの特性を有する人もそうではない人も分け隔てなく良好な関係ができるよう引き続き努力するものです。
以上>
※なお本書の装画を担当した芦野公平氏が16日、自身のnoteで謝罪した。理由はイラストで人物を「ナマケモノ」「サル」といった動物にたとえて表現したことが、「表象が示す危うさ」を感じつつも制作を進め、結果として「差別を助長する」などの点につき謝罪。
2024年度に発生した出版社の倒産は31件、前年度(17件)の約1.8倍となった。15年度以来9年ぶりに30件を上回り、20年度以降20件を下回る低水準が続いていたが、ここにきて増加し始めている。
ペーパレス化や電子書籍の普及、ネット専業メディアの台頭の影響を受け、雑誌の休刊・廃刊が相次ぐなど出版業界の事業環境は悪化の一途を辿っており、小規模事業者を中心に破綻が相次いだ。
紙やインクの価格が高騰し、製造コストが上昇。需要減のなか、わずかな利益で事業を続けている出版社が増えている。実際に出版社23年度の業績をみると、36.2%が「赤字」となり、減益を含めた「業績悪化」は6割を超えた。
◆休刊雑誌は89点
出版科学研究所が発表した24年の休刊雑誌は、ウェブに移行した「GINGER」(幻冬舎)などのファッション誌、さらに「月刊コミックバンチ」(新潮社)などのコミック誌に加え、「OHM」(オーム社)などの老舗専門誌が目立った。総計89点。今年に入っても「鉄道ジャーナル」が4/21発売の6月号で休刊、「じゃらん」(リクルート)が3月号で休刊と続く。
24年の創刊・復刊雑誌は27点。そのうち17点がアシェット・コレクションズ・ジャパンとデアゴスティーニ・ジャパンが刊行する週刊・隔週刊分冊百科が中心。昨年の雑誌総銘柄数は、前年比48点減の2341点。
◆メディアドゥ増収増益
メディアドゥは、25年2月期の連結決算を発表。売上高1019億1400万円(前年比8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益13億6300万円(前年は3億1900万円の損失)で増収増益。
新5カ年中期経営計画では、事業概念を「MORE CONTENT FOR MORE PEOPLE!(ひとつでも多くのコンテンツをひとりでも多くの人へ)」と英語化、海外へのコンテンツ提供を強化。
◆「magma books」開業
虎ノ門ヒルズ グラスロック(東京・港区)内に丸善ジュンク堂書店が「magma books」を開業。グラスロックは、地上4階、地下3階立ての施設で計7店舗から成る。
「magma books」は2階85坪、3階185坪で営業。書籍在庫数8万冊。「知的興奮と創造性を提供する」というコンセプトでの新業態書店。2階は「知の森」と称し「本と出会う」ための空間。過去・現在・未来のエリアに分かれ、各テーマに沿った本が並ぶ。
3階は一般書、雑誌、コミック、児童書などオールジャンルをそろえる書籍売り場。「ビジネスとコンピュータ」ジャンルに力を入れる。
そして、書籍売り場に隣接する「magma lounge」は有料コワーキングスペース。ニューロミュージックやOLED照明を採用した空間で、読書や作業に没入できるよう設計。集中できる空間で、新たな知や創造性に結びつけてもらうという。
◆本屋大賞・阿部暁子『カフネ』
一次投票には全国の488書店より書店員652人、二次投票では336書店・書店員441人もが投票。二次投票ではノミネート10作品をすべて読んだ上で、ベスト3を推薦理由とともに投票。その結果、阿部暁子『カフネ』(講談社)が受賞。
本書は一回り年の離れた二人の女性が「家事代行」を通して人々の心を救い、やがて互いにかけがえのない存在になっていく過程を描いた物語。タイトルにもある「カフネ」とは、ポルトガル語で「愛しい人の髪を撫でる仕草。頭を撫でて眠りにつかせる穏やかな動作」のこと。
なお同賞2位は早見和真『アルプス席の母』(小学館)、3位は野アまど『小説』(講談社)。
翻訳小説部門1位にはR・ヤロス『フォ−ス・ウィング 第四騎竜団の戦姫』(早川書房)、発掘部門「超発掘本!」にはクラフト・エヴィング商會『ないもの、あります』(筑摩書房)が選ばれた。
◆神田裕子 新刊巡る問題
一般社団法人・日本自閉症協会は、4月18日、市川宏伸・会長名で神田裕子の『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(三笠書房)について、下記のような見解を表明した。全文を紹介しておきたい。
<4月22日発売の新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」(三笠書房)は障害に対する誤解を生み、差別や偏見、分断を助長するものと判断します。このような本を、90年を超える歴史がある三笠書房が発刊されることは誠に残念です。
現在、この本は表紙と帯、および目次をネット上で見ることができますが、それでも差別や偏見を助長すると判断する理由は以下の通りです。
1. ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)の発達障害を一方的に「困った人」として扱っていることは誤解を生みます。
2. 障害名を人のタイプに結び付けているために障害に対する誤解を生むとともに、表現されている特徴を有する人を障害者とする偏見をも生みます。
3. ASDの特徴として「異臭を放ってもおかまいなし」やADHDを「同僚の手柄を平気で横取り」など特異な事例をことさら強調しているため偏見につながります。
4. 結果としてASDやADHDの特性を有する人の尊厳を傷つけます。
大事なことは作者の差別意識の有無ではなく、本が当事者や職場、社会にどう影響するかです。
作者や出版社はそのことをよく考えていただきたい。
精神疾患などデリケートなテーマを扱う際に出版社は監修をいれたり、対象の人たちの受け止めを確かめるなど慎重な姿勢が求められます。
かかる書籍が、自閉スペクトラム症を含む障害のある人たちの人権を侵害するおそれがあることを懸念し、出版社が適切な対応をされることを期待します。
私たちは職場において、ASDやADHDの特性を有する人もそうではない人も分け隔てなく良好な関係ができるよう引き続き努力するものです。
以上>
※なお本書の装画を担当した芦野公平氏が16日、自身のnoteで謝罪した。理由はイラストで人物を「ナマケモノ」「サル」といった動物にたとえて表現したことが、「表象が示す危うさ」を感じつつも制作を進め、結果として「差別を助長する」などの点につき謝罪。
2025年04月21日
【焦点】サイバー法案 米軍と一体化で戦争準備を加速=橋詰雅博
攻撃を未然に防止するという触れ込みの「能動的サイバー防御」法案は今国会で成立する見込み。水道・電気・ガスなどのインフラ施設を始め銀行、病院など国民生活に密接なものへのサイバー攻撃防止のためと政府は説明する。しかし、通信の秘密を保障する憲法21条と武力による威嚇又は武力行使を禁止した憲法9条に違反する恐れがある法律だと指摘されている。
どういう風に危険なのかわかりづらかったが、4月19日付新婦人しんぶんで宇部雄介弁護士が平易に解説していたので紹介する。
このサイバー法案は<政府が誰と誰がメールをやりとりしているのかといったことを監視することができるようになりますし、中身まで見られてしまうかもしれません>
したがって通信の秘密やプライバシーを侵害するものだというのだ。監視対象を外国経由の通信情報に限るとしているが、先行き国内も含めることもあり得る。
さらに警察や自衛隊が国外のコンピューターシステムに侵入し「無害化=プログラムの停止・削除」が可能になる。<これは日本が外国にサイバー攻撃をするということで、相手国との関係では、主権侵害となりかねないものです。のみならず先制的な武力行使と受け止められる可能性があります。憲法9条に反する「サイバー先制攻撃」というべき危険な法案です>
法案の真の狙いは<米軍と一体化した戦争準備>と宇部弁護士はいう。その理由はこうだ。
2022年1月の日米安全保障協議委員会(2+2)でサイバー脅威への共同対処が日米同盟では必須とされた。同年12月に閣議決定された軍拡、敵基地攻撃能力の保有などからなる安保3文書のうち国家安全保障戦略では「能動的サイバー防御を導入する」としている。24年7月の2+2では脅威に対処する防御的サーバー作戦における緊密な協力を促進するとした。こうした積み重ねの結果、日米が一体となった軍事強化を図り戦争に備える
成立するサイバー法案の裏にはこうした重大な「事実」が表に出てきていない。
どういう風に危険なのかわかりづらかったが、4月19日付新婦人しんぶんで宇部雄介弁護士が平易に解説していたので紹介する。
このサイバー法案は<政府が誰と誰がメールをやりとりしているのかといったことを監視することができるようになりますし、中身まで見られてしまうかもしれません>
したがって通信の秘密やプライバシーを侵害するものだというのだ。監視対象を外国経由の通信情報に限るとしているが、先行き国内も含めることもあり得る。
さらに警察や自衛隊が国外のコンピューターシステムに侵入し「無害化=プログラムの停止・削除」が可能になる。<これは日本が外国にサイバー攻撃をするということで、相手国との関係では、主権侵害となりかねないものです。のみならず先制的な武力行使と受け止められる可能性があります。憲法9条に反する「サイバー先制攻撃」というべき危険な法案です>
法案の真の狙いは<米軍と一体化した戦争準備>と宇部弁護士はいう。その理由はこうだ。
2022年1月の日米安全保障協議委員会(2+2)でサイバー脅威への共同対処が日米同盟では必須とされた。同年12月に閣議決定された軍拡、敵基地攻撃能力の保有などからなる安保3文書のうち国家安全保障戦略では「能動的サイバー防御を導入する」としている。24年7月の2+2では脅威に対処する防御的サーバー作戦における緊密な協力を促進するとした。こうした積み重ねの結果、日米が一体となった軍事強化を図り戦争に備える
成立するサイバー法案の裏にはこうした重大な「事実」が表に出てきていない。
2025年04月20日
【行動要請】2025憲法大集会 5月3日(土・祝)11時開演 有明防災公園 戦争ではなく平和なくらしを!=JCJ事務局
■主催:平和といのちと人権を!5・3憲法集会実行委員会
■共催:戦争をさせない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、9条改憲NO!全国市民アクション、戦争をさせない1000人委員会、憲法9条を壊すな!実行委員会、戦争する国づくりストップ!憲法をまもり・いかす共同センター、九条の会
■今年のスローガン
私たちは
・改憲発議を許さず、憲法をいかし、平和・いのち・くらし・人権を守ります。
・パレスチナの恒久的停戦とウクライナからの撤退、憲法9条をいかした平和外交を求めます。
・ミャンマーや韓国市民などの民主化運動に連帯し、東アジアの平和を求めます。
・台湾有事の扇動を許さず、敵基地攻撃能力の保有と日本全土へのミサイル基地配備の撤回を求めます。
・平和主義をつらぬき、核兵器のない世界をめざして、日米軍事一体化と軍拡増税、武器輸出を許しません。
・沖縄の民意を踏みにじる辺野古基地建設に反対し、米兵による性暴力を許さず、日米地位協定の抜本的改定を求めます。
・原発推進政策を撤回し、再生可能エネルギーへの転換を求めます。
・ジェンダー平等を実現し、選択的夫婦別姓の法制化、個人の尊厳を大切にする社会をめざします。
これら実現のため共同の輪をひろげ、参議院選挙でも金権腐敗、憲法破壊の自民党政治に審判をくだし、安心してくらせる社会をめざします。
http://kenpou2020.jp ←5.3憲法集会公式HP
■JCJ集合場所:ゆりかもめ 「有明駅」改札に12時にJCJの旗を立てます。どなたでも参加歓迎です。
2025年04月19日
【オピニオン】立ち位置問われるメディア 「政局」より「政策」国民の指針を 報道の使命と役割とは=丸山 重威
「政局報道より政策報道を」―と言われたのはいつごろからだっただろう? 日本の政治報道が、とかく政治家の動きを追うことに終始して、肝心の「政策」を報じないで、結局、問題を永田町・霞ヶ関・国会‥‥の人間模様に落とし込んでしまっている。マスコミの政治報道へのそんな批判だった。
トランプ大統領が再登場して、改めて「米国第一」を掲げ、自国の覇権のために世界中に無理難題を押しつけている中で、問われているのは「日本国民の生活をどう守るか」に他ならない。深刻に考えている国民に、政治もメディアも国と国民の「指針」を示さなければならない。そんな状況なのに、また「政局」の雲行きだ。私たちはいまメディアに「これでいいのか」と改めて立ち位置を問いかけなければならない。
石破さん、あなたも?
新人8議員に商品券
3月13日、米国がロシアに30日間の停戦を持ちかけ、ウクライナ停戦が実現するかどうかが問われている時期に、朝日、毎日などが「石破首相が今月3日新人議員に対し10万円の商品券を配っていた」と電子版で一斉に報じ大騒ぎになった。ネットによると、朝日は20時24分、毎日は21時03分で、石破首相も23時22分には各社とのインタビューに応じ事実を認めたうえで「違法ではない」と述べたが、一挙に「石破降ろし」がスタートした。
「政治とカネ」は自民党・安倍派の政治資金パーティ裏金問題に始まり、まだ事件も火種も収束していない中で、首相自身が新たな火種を作った形で、メディアに材料を提供した。
昨年秋の総選挙で、過半数割れの敗北を喫した自民党政権は、野党第一党の立憲民主党などとのまともな政策論議を避け、維新や国民民主党が主張する所得税課税の「カベ」や高額医療費問題などで政策修正に応じながら両党を取り込み、通常国会を乗り切るはずだった。ところがこの騒ぎだ。もちろんそれは大問題だが、主食のコメまでも含めた物価高が続き、産業界はトランプ関税への対処で、それどころではない。夏の東京都議選や参院選を控え、不安定な情勢が続いている。
交戦国と共同演習
中国へは「挑発」?
7日の参院予算委で共産党の山添拓議員は、海上自衛隊が紛争当事国のウクライナとの「多国間軍事演習」に参加していた事実と、これを防衛省が公表しなかった問題を追及した。
海上自衛隊は昨年9月、黒海で行われた米国とウクライナが共催した多国間演習「シーブリーズ」に参加。ウクライナ軍などと機雷の水中処分などの訓練をした。自衛隊が紛争当事国ウクライナとの軍事演習に加わること自体、他国から「参戦」と疑われかねない憲法違反行為だが、防衛省はこれを公表せず、中谷防衛相は「艦艇を派遣せず、派遣も少人数にどまったから」と答弁した。
米国が日本に対して、対中国の包囲網へのコミットを求めていることは間違いはないが、3月1日には海自の自衛艦「あきづき」が、2月上旬、単独で台湾海峡を通過していたことも明らかになった。昨年9月、豪州とニュージーランド海軍の艦艇と一緒に通過したのに続く台湾海峡通過で、中国外務省は「日中関係や台湾海峡の平和と安定を乱さないように」と釘を刺した。
日本は「中国への牽制」のつもりだろうが、中国側から見ればこれは「挑発」ということになる。
国会論戦は「軍拡抜き」
高額医療費は基本抜き
今国会の提出の予算案では、防衛費は8兆7000億円。GDPの1・3%余に達している。岸田内閣が「27年度にはGDP2%」を目指し、に、47兆円の防衛費確保を米国に「約束」した路線のもとでの予算編成だが、国会審議ではほとんどこうした論議は行われていなかった。
そんな中で、問題になったのが高額医療費問題だ。この制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が決まった上限額を超えた場合、超えた分の差額を支給する制度 だが、年齢などで制限されている。この上限を切り上げ、支給せずに済まそうとする計画が問題になった。しかし、必要な治療を必要な期間受けて、「健康で文化的な生活」を維持するのは国民の権利だし、これを保障していくのが国の責任であり、それが憲法に定める基本的人権のはずだ。
患者団体の行動などを受けて、石破首相は「見直し」をやめることにしたが、「特殊な一部の人の問題」と思われたのか、大きな論議とはならなかった。だが「生きる権利」は誰でも享受されるべきものだ。必要なのは「制度」を「人権」の面から見直していくことである。
主体性持ち真の国益を
トランプ対応は冷静に
米国大統領に就任したドナルド・トランプの帝国主義的旋風が吹き荒れている。領土・勢力圏拡張、数世紀前の「帝国主義」「植民地主義」を露骨に見せながら、国政を運営、関税を武器に、世界にさまざまな要求を突きつけている。
2月初め訪米した石破首相は、日本企業の巨額な米国投資を首脳会談で表明した。だが「同盟関係」の進展などを約束した日本にも3月12日から、アルミ、鉄鋼などの追加関税が例外なく適用された。
日本は武藤容治経産相が3月10日、ラトニック商務長官らと会談したが、日本を適用外とさせることはできなかった。すでに追加関税では、中国、カナダなどが問題をWTO(世界貿易機関)に提訴したが、4月には自動車についても追加関税を予定しており、「関税を使った国際覇権追求」がどうなっていくかはまだ未知数だが、日本は間違いなく対応を迫られる。
関税を取引のカードとして使いながら、国際世論をも巻き込んでいくトランプの手法に対してやはり重要なのは、日本はあくまで冷静に、そして日本なりに主体的に取り組んでいくことだろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
トランプ大統領が再登場して、改めて「米国第一」を掲げ、自国の覇権のために世界中に無理難題を押しつけている中で、問われているのは「日本国民の生活をどう守るか」に他ならない。深刻に考えている国民に、政治もメディアも国と国民の「指針」を示さなければならない。そんな状況なのに、また「政局」の雲行きだ。私たちはいまメディアに「これでいいのか」と改めて立ち位置を問いかけなければならない。
石破さん、あなたも?
新人8議員に商品券
3月13日、米国がロシアに30日間の停戦を持ちかけ、ウクライナ停戦が実現するかどうかが問われている時期に、朝日、毎日などが「石破首相が今月3日新人議員に対し10万円の商品券を配っていた」と電子版で一斉に報じ大騒ぎになった。ネットによると、朝日は20時24分、毎日は21時03分で、石破首相も23時22分には各社とのインタビューに応じ事実を認めたうえで「違法ではない」と述べたが、一挙に「石破降ろし」がスタートした。
「政治とカネ」は自民党・安倍派の政治資金パーティ裏金問題に始まり、まだ事件も火種も収束していない中で、首相自身が新たな火種を作った形で、メディアに材料を提供した。
昨年秋の総選挙で、過半数割れの敗北を喫した自民党政権は、野党第一党の立憲民主党などとのまともな政策論議を避け、維新や国民民主党が主張する所得税課税の「カベ」や高額医療費問題などで政策修正に応じながら両党を取り込み、通常国会を乗り切るはずだった。ところがこの騒ぎだ。もちろんそれは大問題だが、主食のコメまでも含めた物価高が続き、産業界はトランプ関税への対処で、それどころではない。夏の東京都議選や参院選を控え、不安定な情勢が続いている。
交戦国と共同演習
中国へは「挑発」?
7日の参院予算委で共産党の山添拓議員は、海上自衛隊が紛争当事国のウクライナとの「多国間軍事演習」に参加していた事実と、これを防衛省が公表しなかった問題を追及した。
海上自衛隊は昨年9月、黒海で行われた米国とウクライナが共催した多国間演習「シーブリーズ」に参加。ウクライナ軍などと機雷の水中処分などの訓練をした。自衛隊が紛争当事国ウクライナとの軍事演習に加わること自体、他国から「参戦」と疑われかねない憲法違反行為だが、防衛省はこれを公表せず、中谷防衛相は「艦艇を派遣せず、派遣も少人数にどまったから」と答弁した。
米国が日本に対して、対中国の包囲網へのコミットを求めていることは間違いはないが、3月1日には海自の自衛艦「あきづき」が、2月上旬、単独で台湾海峡を通過していたことも明らかになった。昨年9月、豪州とニュージーランド海軍の艦艇と一緒に通過したのに続く台湾海峡通過で、中国外務省は「日中関係や台湾海峡の平和と安定を乱さないように」と釘を刺した。
日本は「中国への牽制」のつもりだろうが、中国側から見ればこれは「挑発」ということになる。
国会論戦は「軍拡抜き」
高額医療費は基本抜き
今国会の提出の予算案では、防衛費は8兆7000億円。GDPの1・3%余に達している。岸田内閣が「27年度にはGDP2%」を目指し、に、47兆円の防衛費確保を米国に「約束」した路線のもとでの予算編成だが、国会審議ではほとんどこうした論議は行われていなかった。
そんな中で、問題になったのが高額医療費問題だ。この制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が決まった上限額を超えた場合、超えた分の差額を支給する制度 だが、年齢などで制限されている。この上限を切り上げ、支給せずに済まそうとする計画が問題になった。しかし、必要な治療を必要な期間受けて、「健康で文化的な生活」を維持するのは国民の権利だし、これを保障していくのが国の責任であり、それが憲法に定める基本的人権のはずだ。
患者団体の行動などを受けて、石破首相は「見直し」をやめることにしたが、「特殊な一部の人の問題」と思われたのか、大きな論議とはならなかった。だが「生きる権利」は誰でも享受されるべきものだ。必要なのは「制度」を「人権」の面から見直していくことである。
主体性持ち真の国益を
トランプ対応は冷静に
米国大統領に就任したドナルド・トランプの帝国主義的旋風が吹き荒れている。領土・勢力圏拡張、数世紀前の「帝国主義」「植民地主義」を露骨に見せながら、国政を運営、関税を武器に、世界にさまざまな要求を突きつけている。
2月初め訪米した石破首相は、日本企業の巨額な米国投資を首脳会談で表明した。だが「同盟関係」の進展などを約束した日本にも3月12日から、アルミ、鉄鋼などの追加関税が例外なく適用された。
日本は武藤容治経産相が3月10日、ラトニック商務長官らと会談したが、日本を適用外とさせることはできなかった。すでに追加関税では、中国、カナダなどが問題をWTO(世界貿易機関)に提訴したが、4月には自動車についても追加関税を予定しており、「関税を使った国際覇権追求」がどうなっていくかはまだ未知数だが、日本は間違いなく対応を迫られる。
関税を取引のカードとして使いながら、国際世論をも巻き込んでいくトランプの手法に対してやはり重要なのは、日本はあくまで冷静に、そして日本なりに主体的に取り組んでいくことだろう。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年3月25日号
2025年04月18日
【お知らせ】昨年JCJ賞受賞、後藤秀典氏が著書刊行『ルポ司法崩壊』出版記念シンポジウム 5月10日(土)14時から 日本教育会館第二会議室=橋詰雅博
国も東京電力も原発事故の責任なし? 国策に忠実に従い、政府に忖度する「法の番人」最高裁のもと、司法全体の劣化が進む。司法の独立が内側から崩れていく現状を報告。月刊誌『地平』の好評連載を書籍化。
著者の後藤秀典氏の挨拶文です
「4月下旬に、拙著『ルポ司法崩壊』が地平社から出版されることとなりました。この本は、月刊『地平』の創刊号から7回に渡り連載された記事に大幅に加筆したものです。原発関連訴訟を始め、辺野古新基地建設反対訴訟、建設アスベスト訴訟、「いのちのとりで」裁判(生活保護切下げ取消訴訟)など、国策とたたかう訴訟の現状を取り上げた内容です。
出版を記念して、シンポジウムを開催することとなりました。メインは、国策とたたかう最前線にいらっしゃる当事者、弁護士、元裁判官、学者によるリレートークです。これほご多くの方々が一堂に会し、お話しする機会は、きわめてまれなことだと思います。
ひとりでも多くの皆さまにお話を聞いていただければ幸いです。お忙しいこととは存じますが、ぜひ、ご参加ください」
2025年5月10日 13:30会場 14;00開演
日本教育会館第二会議室(アクセスhttps://www.jec.or.jp/access.html)
<発言予定>
岡本早苗 だまっちゃおれん!愛知・岐阜 原告団長
武藤類子 福島原発事故告訴団団長
今野秀則 津島訴訟原告団団長
伊東達也 いわき市民訴訟原告団団長
村田弘 かながわ訴訟原告団長・原発被害者訴訟原告団全国連絡会代表委員
小野寺利孝 福島原発被害弁護団・津島原発訴訟弁護団各共同代表
河合弘之 原発弁護団全国連絡会共同代表
海渡雄一 原発弁護団全国連絡会共同代表
田巻紘子 だまっちゃおれん!愛知・岐阜 弁護団事務局長
白井劍 津島訴訟弁護団事務局長
米倉勉 福島原発被害弁護団幹事長
南雲芳夫 生業訴訟弁護団幹事長
宮腰直子 裁判官弾劾訴追請求団
水口洋介 首都圏建設アスベスト訴訟弁護団共同代表
加藤裕 辺野古沖縄県訴訟沖縄県代理人
尾藤廣喜 いのちのとりで裁判全国アクション共同代表
小久保哲郎 いのちのとりで裁判全国アクション事務局長
竹内浩史 元・津地裁裁判長
大塚正之 元・東京高裁判事・津島原発訴訟弁護団各共同代表
樋口英明 元・福井地裁裁判長
関礼子 ノーモア原発公害市民連絡会代表世話人・立教大学教授
長島光一 帝京大学准教授
熊谷伸一郎 地平社代表
後藤秀典 著者
参加費無料
参加申し込みは x.gd/Jr8ml
問い合わせ先
後藤秀典
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2025年04月17日
【Bookガイド】4月の“推し本”紹介=萩山 拓(ライター)
ノンフィクション・ジャンルからチョイスした気になる本の紹介です(刊行順・販価は税別)
◆木村草太『幸福の憲法学』集英社インターナショナル新書 4/7刊 880円
「幸福の憲法学」.jpg 日本国憲法は国民の「幸福を追求する権利」を保障する。しかし、幸福とは個人が自ら追求するものであり、外部から与えられるものではない。では、憲法は幸福に対して、どのような姿勢をとっているのか。気鋭の憲法学者が、同性婚やプライバシー権、選択的夫婦別姓などに絡む問題を、憲法に書かれた言葉と向き合い解きほぐしていく。
著者は1980年神奈川県生まれ。憲法学者、東京都立大学教授。著書に『憲法という希望』(講談社現代新書)、『憲法』(東京大学出版会)など。
◆藤原帰一『世界の炎上─戦争・独裁・帝国』朝日新書 4/11刊 900円
「世界の炎上」.jpg 第2期トランプ政権に戦々恐々とする各国指導者たち。世界各国に一方的な関税を強いるだけでなく、ガザ「所有」やカナダ、メキシコに経済的脅しをかけるなど、トランプ氏の論理は「強者の支配と弱者の従属」でしかない。同盟国をはじめ、日本を含む国際秩序はどう構築されるのか。不確実さに覆われた世界を国際政治学者が読み解く。『朝日新聞』のコラム「時事小言」に執筆してきた文章を再構成してまとめた時宜にかなう新書。
著者は日本の政治学者。順天堂大学特任教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授。
◆飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか─知られざる戦後書店抗争史』平凡社新書 4/17刊 1200円
「町の本屋は…」.jpg 出版社・取次・書店をめぐる出版流通の基本構造を整理した上で、戦後の書店が歩んだ闘争の歴史をテーマごとにたどる。公正取引委員会との攻防、郊外型複合書店からモール内大型書店への移り変わり、鉄道会社系書店の登場、図書館での新刊書籍の貸出、ネット書店の台頭――。膨大なデータの分析から、書店が直面してきた苦境と、それに抗い続けた闘争の歴史が見えてくる。「書店がつぶれていく」という問題の根幹を明らかにする一冊。
著者は1982年青森県生まれ。中央大学卒。出版社の編集者を経てフリーライターとして独立。著書に『いま、子どもの本が売れる理由』『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)など。
◆大鶴倫宣『ニッポン縦断 ほろ酔い鉄道紀行』イカロス出版 4/22刊 2000円
「ほろ酔い鉄道紀行」.jpg NHK<六角精児の呑み鉄本線・日本旅>が高視聴率を挙げている。そこには鉄道の旅に潜む楽しさ、魅力があふれているからだろう。せっかく遠くへテツ旅するなら、それだけで帰ってくるのはもったいない。行った先にはさまざまな美味しいもの、旨いお酒がたくさんある。それを味わってこそ、撮る絵柄にもその地域の優しさや厳しさがおのずと表れる。撮って楽しめ乗って極楽、食べて美味しく呑んでホロ酔いな、極上の呑み鉄の旅を紹介する一冊。
著者は1974年福岡県生まれ。立命館大学卒業。会社員を経て、2006年よりフリーカメラマン。鉄道と料理を中心にキャリアを重ねる。隔月刊『旅と鉄道』(イカロス出版)で「鉄道美食旅」を連載中。
◆いとうせいこう『「国境なき医師団」をそれでも見に行く─戦争とバングラデシュ編』講談社 4/24刊 1800円
「国境なき医師団」.jpg マルチクリエイターとして幅広く活動する著者が、「国境なき医師団」に同行して、世界各地の活動現場を訪ねる、『「国境なき医師団」を見に行く』シリーズの最新版! 世界で戦争が続く時代、いっそう困難を増す人道支援の最前線を、バングラデシュにあるアジア最大のロヒンギャ難民キャンプからレポート。作家の目がとらえた世界のリアルと、日本へのメッセージ。群像WEBの好評連載を書籍化。改めて著者の目線の鋭さに気づかされる。
◆前川貴行『ボノボ─最後の類人猿』新日本出版社 4/24刊 1900円
「ボノボ」.jpg アフリカ・コンゴ盆地の熱帯雨林だけに棲むボノボ。新種と認められてから100年も満たない。最後の類人猿と呼ばれる理由だ。密林の奥深く、平和でおだやかな暮らしを営んでいるようだ。いまだ謎に満ちたボノボの生態を紹介する日本初の写真絵本。子供さんと一緒に頁をめくって、ボノボの表情など味わってほしい。、
著者は1969年東京都生まれ。動物写真家。97年より動物写真家・田中光常氏の助手をつとめ、2000年からフリーの動物写真家として活動。著書に『オランウータン 森のさとりびと』、『火の山にすむゴリラ』などがある。
◆萩原 健『ガザ、戦下の人道医療援助』ホーム社 4/25刊 2000円
「ガザ、戦下の人道医療援助」.jpg 国境なき医師団(MSF)の緊急対応コーディネーターを務める著者が、戦時下のガザで、人道医療援助活動に携わった6週間の貴重な記録を公開。至近距離での空爆、戦車による砲撃、繰り返される退避要求……。集団的懲罰のような状況の中、必死で医療に携わり、少しでも多くの命を救おうとする人々や、疲弊しながらも希望を失わないガザの住民や子どもたちの姿。活動責任者として、スタッフの安全を確保しつつ、地域住民との交渉などにも奔走する著者が、さまざまな背景も交えながら、戦下のガザの現実を活写する。
◆木村草太『幸福の憲法学』集英社インターナショナル新書 4/7刊 880円
「幸福の憲法学」.jpg 日本国憲法は国民の「幸福を追求する権利」を保障する。しかし、幸福とは個人が自ら追求するものであり、外部から与えられるものではない。では、憲法は幸福に対して、どのような姿勢をとっているのか。気鋭の憲法学者が、同性婚やプライバシー権、選択的夫婦別姓などに絡む問題を、憲法に書かれた言葉と向き合い解きほぐしていく。
著者は1980年神奈川県生まれ。憲法学者、東京都立大学教授。著書に『憲法という希望』(講談社現代新書)、『憲法』(東京大学出版会)など。
◆藤原帰一『世界の炎上─戦争・独裁・帝国』朝日新書 4/11刊 900円
「世界の炎上」.jpg 第2期トランプ政権に戦々恐々とする各国指導者たち。世界各国に一方的な関税を強いるだけでなく、ガザ「所有」やカナダ、メキシコに経済的脅しをかけるなど、トランプ氏の論理は「強者の支配と弱者の従属」でしかない。同盟国をはじめ、日本を含む国際秩序はどう構築されるのか。不確実さに覆われた世界を国際政治学者が読み解く。『朝日新聞』のコラム「時事小言」に執筆してきた文章を再構成してまとめた時宜にかなう新書。
著者は日本の政治学者。順天堂大学特任教授、東京大学未来ビジョン研究センター客員教授。
◆飯田一史『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか─知られざる戦後書店抗争史』平凡社新書 4/17刊 1200円
「町の本屋は…」.jpg 出版社・取次・書店をめぐる出版流通の基本構造を整理した上で、戦後の書店が歩んだ闘争の歴史をテーマごとにたどる。公正取引委員会との攻防、郊外型複合書店からモール内大型書店への移り変わり、鉄道会社系書店の登場、図書館での新刊書籍の貸出、ネット書店の台頭――。膨大なデータの分析から、書店が直面してきた苦境と、それに抗い続けた闘争の歴史が見えてくる。「書店がつぶれていく」という問題の根幹を明らかにする一冊。
著者は1982年青森県生まれ。中央大学卒。出版社の編集者を経てフリーライターとして独立。著書に『いま、子どもの本が売れる理由』『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)など。
◆大鶴倫宣『ニッポン縦断 ほろ酔い鉄道紀行』イカロス出版 4/22刊 2000円
「ほろ酔い鉄道紀行」.jpg NHK<六角精児の呑み鉄本線・日本旅>が高視聴率を挙げている。そこには鉄道の旅に潜む楽しさ、魅力があふれているからだろう。せっかく遠くへテツ旅するなら、それだけで帰ってくるのはもったいない。行った先にはさまざまな美味しいもの、旨いお酒がたくさんある。それを味わってこそ、撮る絵柄にもその地域の優しさや厳しさがおのずと表れる。撮って楽しめ乗って極楽、食べて美味しく呑んでホロ酔いな、極上の呑み鉄の旅を紹介する一冊。
著者は1974年福岡県生まれ。立命館大学卒業。会社員を経て、2006年よりフリーカメラマン。鉄道と料理を中心にキャリアを重ねる。隔月刊『旅と鉄道』(イカロス出版)で「鉄道美食旅」を連載中。
◆いとうせいこう『「国境なき医師団」をそれでも見に行く─戦争とバングラデシュ編』講談社 4/24刊 1800円
「国境なき医師団」.jpg マルチクリエイターとして幅広く活動する著者が、「国境なき医師団」に同行して、世界各地の活動現場を訪ねる、『「国境なき医師団」を見に行く』シリーズの最新版! 世界で戦争が続く時代、いっそう困難を増す人道支援の最前線を、バングラデシュにあるアジア最大のロヒンギャ難民キャンプからレポート。作家の目がとらえた世界のリアルと、日本へのメッセージ。群像WEBの好評連載を書籍化。改めて著者の目線の鋭さに気づかされる。
◆前川貴行『ボノボ─最後の類人猿』新日本出版社 4/24刊 1900円
「ボノボ」.jpg アフリカ・コンゴ盆地の熱帯雨林だけに棲むボノボ。新種と認められてから100年も満たない。最後の類人猿と呼ばれる理由だ。密林の奥深く、平和でおだやかな暮らしを営んでいるようだ。いまだ謎に満ちたボノボの生態を紹介する日本初の写真絵本。子供さんと一緒に頁をめくって、ボノボの表情など味わってほしい。、
著者は1969年東京都生まれ。動物写真家。97年より動物写真家・田中光常氏の助手をつとめ、2000年からフリーの動物写真家として活動。著書に『オランウータン 森のさとりびと』、『火の山にすむゴリラ』などがある。
◆萩原 健『ガザ、戦下の人道医療援助』ホーム社 4/25刊 2000円
「ガザ、戦下の人道医療援助」.jpg 国境なき医師団(MSF)の緊急対応コーディネーターを務める著者が、戦時下のガザで、人道医療援助活動に携わった6週間の貴重な記録を公開。至近距離での空爆、戦車による砲撃、繰り返される退避要求……。集団的懲罰のような状況の中、必死で医療に携わり、少しでも多くの命を救おうとする人々や、疲弊しながらも希望を失わないガザの住民や子どもたちの姿。活動責任者として、スタッフの安全を確保しつつ、地域住民との交渉などにも奔走する著者が、さまざまな背景も交えながら、戦下のガザの現実を活写する。
2025年04月16日
【焦点】インボイス実態調査に1万500人超が協力、目標1万を突破 5月下旬に結果公表=橋詰雅博
インボイス制度を考えるフルーランスの会が3月下旬から約2週間行っていたインボイス大規模実態調査は、1万500人超が協力し、目標の1万を突破した。
同会によると「やっと見付けた生きがいを奪わないでほしい」という切実な声が寄せられたのが印象的だったという。「暮らしや仕事、将来の夢を潰すようなインボイス税制は、個人の尊厳を踏みにじるものではないでしょうか。7月の参院選の前に、政治家、国にこの実態を知ってもらわなければなりません」と同会はコメントした。
結果は5月下旬に発表する予定。全国のフリーランスに活用を呼び掛けている。
インボイス制度に反対している政党は立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民の各野党だ。各党の国会議員は2022年11月16日には「インボイス問題検討・超党派議員連盟」設立。同連盟では、インボイス制度の中止を強く訴えた。各党の活動は以下の通り。
立憲民主
インボイス制度を導入しなくても適切な課税ができる政策はあるとして、22年3月30日インボイス制度廃止法案を衆議院に提出。
国民民主
地域支部では意見交換会を実施し、インボイス制度に関する議論を交わしてきた。意見交換会に招いた各種連合会や組合からは、周知不足への指摘や導入後の混乱に対する懸念が寄せられた。インボイス制度は廃業を促す存在との意見もあり、同意する立場を見せた。
共産
22年11月7日に「STOP! インボイス対策チーム」を立ち上げ、インボイス制度の中止を呼びかけている。インボイス制度は個人で活動する、さまざまな業界や人に影響を与えると声を上げてきた。同制度の問題点を訴え、反対の声を取り上げ、中止に向けた世論を高める働きかけをしている。
れいわ新選組
消費税とインボイスの廃止を政策に掲げて活動。また各地で「STOP!インボイス街宣!」を実施し、街頭に設置されたステージで個人が意見を述べ、世論へ訴えかけている。
社会民主
22年10月26日、インボイス制度の反対を訴える集会に党首みずからが参加し、制度導入への反対意見を述べた。また社民党地方議員は22年9月、インボイス制度の中止を求める請願書を作成し、提出している。
同会によると「やっと見付けた生きがいを奪わないでほしい」という切実な声が寄せられたのが印象的だったという。「暮らしや仕事、将来の夢を潰すようなインボイス税制は、個人の尊厳を踏みにじるものではないでしょうか。7月の参院選の前に、政治家、国にこの実態を知ってもらわなければなりません」と同会はコメントした。
結果は5月下旬に発表する予定。全国のフリーランスに活用を呼び掛けている。
インボイス制度に反対している政党は立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組、社民の各野党だ。各党の国会議員は2022年11月16日には「インボイス問題検討・超党派議員連盟」設立。同連盟では、インボイス制度の中止を強く訴えた。各党の活動は以下の通り。
立憲民主
インボイス制度を導入しなくても適切な課税ができる政策はあるとして、22年3月30日インボイス制度廃止法案を衆議院に提出。
国民民主
地域支部では意見交換会を実施し、インボイス制度に関する議論を交わしてきた。意見交換会に招いた各種連合会や組合からは、周知不足への指摘や導入後の混乱に対する懸念が寄せられた。インボイス制度は廃業を促す存在との意見もあり、同意する立場を見せた。
共産
22年11月7日に「STOP! インボイス対策チーム」を立ち上げ、インボイス制度の中止を呼びかけている。インボイス制度は個人で活動する、さまざまな業界や人に影響を与えると声を上げてきた。同制度の問題点を訴え、反対の声を取り上げ、中止に向けた世論を高める働きかけをしている。
れいわ新選組
消費税とインボイスの廃止を政策に掲げて活動。また各地で「STOP!インボイス街宣!」を実施し、街頭に設置されたステージで個人が意見を述べ、世論へ訴えかけている。
社会民主
22年10月26日、インボイス制度の反対を訴える集会に党首みずからが参加し、制度導入への反対意見を述べた。また社民党地方議員は22年9月、インボイス制度の中止を求める請願書を作成し、提出している。
2025年04月15日
【JCJ声明】イスラエルによるガザ記者殺害に抗議する=日本ジャーナリスト会議
戦場で取材するジャーナリストが、かつてない数で殺されている。
3月24日、朝日新聞の記者ムハンマド・マンスール氏がガザ地区でイスラエルのミサイルによって殺害された。同じ日にアルジャジーラの記者ホッサム・シャバット氏も殺害された。ニューヨークを拠点とする国際非営利団体「ジャーナリスト保護委員会(CPJ; Committee to Protect Journalists)」は、「二人のジャーナリストが意図的に殺害された可能性」を調査するための国際的な調査を求めた。イスラエルは直ちにこれに応じなくてはならない。
2023年10月から始まったイスラエルによるガザ攻撃で、5万人を超える市民が殺害され、その7割が子供と女性である。イスラエルによって国外のジャーナリストがガザ入りを阻まれる中、ガザのパレスチナ人ジャーナリストがイスラエルのジェノサイドを現場から報じてきた。マンスール記者らはその一員である。
ガザ地区当局によると今年4月1日現在、ガザで死亡したジャーナリストは209人にものぼる。「胸にPRESSと書かれたベストを着用していると、むしろ標的にされやすくなる」という警告もあり、明白な国際法違反である。
どの戦場であっても侵略・加害の側は残虐行為が報じられるのを妨げようとする。
マンスール通信員は殺される直前、傷ついた人々が運びこまれる病院で、医師からこう言われている「イスラエル軍はガザの人たちに安全なところはないと脅かしている。病院も、君ら記者も…」。
侵略者は抵抗する市民を常に「テロリスト」と呼ぶ。記者殺害でも、「彼はハマスの一員だった」と主張する。
それでも世界のジャーナリストは戦場の惨劇から目をそらさない。彼らは、命がけで現場の苦悶を伝えるのは彼らの使命だと信じているからだ。
我々はジャーナリストに対する意図的虐殺行為を決して許さない。
ここにイスラエル政府と軍の記者殺害に抗議し、国際刑事裁判所(ICC)にイスラエル軍の責任の検証を求める。
2025年4月14日 日本ジャーナリスト会議(JCJ)
3月24日、朝日新聞の記者ムハンマド・マンスール氏がガザ地区でイスラエルのミサイルによって殺害された。同じ日にアルジャジーラの記者ホッサム・シャバット氏も殺害された。ニューヨークを拠点とする国際非営利団体「ジャーナリスト保護委員会(CPJ; Committee to Protect Journalists)」は、「二人のジャーナリストが意図的に殺害された可能性」を調査するための国際的な調査を求めた。イスラエルは直ちにこれに応じなくてはならない。
2023年10月から始まったイスラエルによるガザ攻撃で、5万人を超える市民が殺害され、その7割が子供と女性である。イスラエルによって国外のジャーナリストがガザ入りを阻まれる中、ガザのパレスチナ人ジャーナリストがイスラエルのジェノサイドを現場から報じてきた。マンスール記者らはその一員である。
ガザ地区当局によると今年4月1日現在、ガザで死亡したジャーナリストは209人にものぼる。「胸にPRESSと書かれたベストを着用していると、むしろ標的にされやすくなる」という警告もあり、明白な国際法違反である。
どの戦場であっても侵略・加害の側は残虐行為が報じられるのを妨げようとする。
マンスール通信員は殺される直前、傷ついた人々が運びこまれる病院で、医師からこう言われている「イスラエル軍はガザの人たちに安全なところはないと脅かしている。病院も、君ら記者も…」。
侵略者は抵抗する市民を常に「テロリスト」と呼ぶ。記者殺害でも、「彼はハマスの一員だった」と主張する。
それでも世界のジャーナリストは戦場の惨劇から目をそらさない。彼らは、命がけで現場の苦悶を伝えるのは彼らの使命だと信じているからだ。
我々はジャーナリストに対する意図的虐殺行為を決して許さない。
ここにイスラエル政府と軍の記者殺害に抗議し、国際刑事裁判所(ICC)にイスラエル軍の責任の検証を求める。
2025年4月14日 日本ジャーナリスト会議(JCJ)