2026年02月13日
2026年02月12日
【出版ネッツ声明】生成AIにおけるクリエイター保護へ適切な法規制を求める
生成AI開発や利活用が急速に進展しています。生成AIはイラストや動画、文章などを手軽に出力できる一方で、著作権の侵害やディープフェイクの拡大など大きな問題をはらんでいます。2025年5月、AI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)が成立し、同年12月、政府はAI基本計画を閣議決定しました。AI法や基本計画には、「イノベーション促進とリスク対応の両立」がうたわれていますが、リスク対応は後回しにされ、バランスが崩れているのが現状です。
このような状況下、多くのクリエイターが無断で自身の創作物を生成AIに利用され傷つき苦しんでいます。作家狙い撃ちの生成AIによる嫌がらせにあっているという声も寄せられています。さらに多くのクリエイターが著作者としての権利と生計(仕事の継続)への脅威と不安を抱いています。他者の権利を侵害して生成される画像や動画、テキストが野放しになってしまってはコンテンツ産業に未来はありません。
私たちはイラスト、マンガなどコンテンツ産業に携わるフリーランスのユニオンとして、生成AIについての法規制を求めます。AI規制法(仮)の基本方針として、基本的人権と著作者としての権利の保護を明示し、透明性、公正性、さらに説明と合意を担保することが求められます。また、実効性確保のために、違反行為を申告できる窓口、申し出があった場合の是正措置や罰則を定めることも必要です。すでにヨーロッパや韓国などではAI規制法が施行されています。
クリエイターの権利保護は、喫緊の課題です。
上記基本方針に基づき、具体的に策定するルールとして、以下の4点を求めます。
1学習データの開示義務化
生成AIは著名なコンテンツを含む多くの表現を無断で取り込んでいます。どの著作物を学習させてつくられたのか、その権利関係情報を含む透明性の確保が必要不可欠です。学習データの開示がされないと、自分の作品が学習されているかどうかを確認することができず、権利侵害の有無の確認やオプトアウト(事後の不同意)したり公正な収益還元のためのアクションを起こすこともできません。
2生成AIの利用有無のラベリング義務化
生成AIを利用した制作物であるにもかかわらず、それを伏せて公表するケースがこれまで多く見られました。たとえば、生成AI利用を伏せた制作物がコンペに応募されれば公正な審査ができなくなります。また写真の場合は、実際にあるものなのか、生成AIでつくられたものなのかが一目でわからないと混乱をきたします。
生成AI事業者や利用者には、 生成AIを利用してつくられた制作物なのかどうかを明示する義務を課す必要があります。同時に、SNSのプラットフォーム企業にもラベリングが適切に行われているか管理・監督を行う責任を課すことを求めます。
3オプトイン、オプトアウトの義務に関するルールの策定
クリエイターにとって著作権は非常に大事な権利です。無断で自分の著作物が短時間に大量に模倣されてしまうことは、数多のクリエイターによって支えられているコンテンツ産業の裾野を確実に衰退させます。生成AI事業者からクリエイターへのオプトイン(事前の同意)の義務化、クリエイターからのオプトアウト(事後の不同意)方法策定の義務化は、今後のコンテンツ産業の健全な発展のために必要不可欠です。
とりわけ著作物の利用にあたって、著作権者に許諾を得ること(=オプトイン)は、著作権法の原則です。現行の著作権法では、著作物を生成AIの学習データとする場合のような情報解析を目的とする利用であって、著作物に表現された思想や感情を享受することを目的としない場合には、原則として許諾不要とされています(第30条の4)。しかし、その後の生成AI技術の急速な進展により、状況が大きく変化しています。今一度この条項の見直しを含め、著作権侵害を容認しないという原則の確認が必要です。
4ディープフェイク画像・動画・テキスト生成への罰則規定の導入
生成AIには著作権以外にも問題点があります。それはディープフェイクの問題です。災害時や選挙期間などにおける政治的ディープフェイクの拡散は、人権侵害を引き起こすだけでなく、民主主義の基盤を危うくし、人々の「知る権利」を阻害します。とりわけ性的ディープフェイクの被害は深刻です。しかし、現在これを規制する法律はありません。早急な対応が求められています。
現状では、生成AI画像の「類似性」が認められたとしても、フリーランスのクリエイターやディープフェイクの被害者が個人で裁判などを起こすことは非常に困難です。権利侵害を予防するためにも、法的な規制と相談・申告できる窓口が必要です。 著作権法上の権利と対価(報酬)は、クリエイターであるフリーランスの創作の源泉であり、ひいては文化的価値を生み出す源泉です。クリエイターの権利保護と創作環境の整備・維持のために、AI規制法の制定を強く求めるものです。
2026年2月1日
ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)
このような状況下、多くのクリエイターが無断で自身の創作物を生成AIに利用され傷つき苦しんでいます。作家狙い撃ちの生成AIによる嫌がらせにあっているという声も寄せられています。さらに多くのクリエイターが著作者としての権利と生計(仕事の継続)への脅威と不安を抱いています。他者の権利を侵害して生成される画像や動画、テキストが野放しになってしまってはコンテンツ産業に未来はありません。
私たちはイラスト、マンガなどコンテンツ産業に携わるフリーランスのユニオンとして、生成AIについての法規制を求めます。AI規制法(仮)の基本方針として、基本的人権と著作者としての権利の保護を明示し、透明性、公正性、さらに説明と合意を担保することが求められます。また、実効性確保のために、違反行為を申告できる窓口、申し出があった場合の是正措置や罰則を定めることも必要です。すでにヨーロッパや韓国などではAI規制法が施行されています。
クリエイターの権利保護は、喫緊の課題です。
上記基本方針に基づき、具体的に策定するルールとして、以下の4点を求めます。
1学習データの開示義務化
生成AIは著名なコンテンツを含む多くの表現を無断で取り込んでいます。どの著作物を学習させてつくられたのか、その権利関係情報を含む透明性の確保が必要不可欠です。学習データの開示がされないと、自分の作品が学習されているかどうかを確認することができず、権利侵害の有無の確認やオプトアウト(事後の不同意)したり公正な収益還元のためのアクションを起こすこともできません。
2生成AIの利用有無のラベリング義務化
生成AIを利用した制作物であるにもかかわらず、それを伏せて公表するケースがこれまで多く見られました。たとえば、生成AI利用を伏せた制作物がコンペに応募されれば公正な審査ができなくなります。また写真の場合は、実際にあるものなのか、生成AIでつくられたものなのかが一目でわからないと混乱をきたします。
生成AI事業者や利用者には、 生成AIを利用してつくられた制作物なのかどうかを明示する義務を課す必要があります。同時に、SNSのプラットフォーム企業にもラベリングが適切に行われているか管理・監督を行う責任を課すことを求めます。
3オプトイン、オプトアウトの義務に関するルールの策定
クリエイターにとって著作権は非常に大事な権利です。無断で自分の著作物が短時間に大量に模倣されてしまうことは、数多のクリエイターによって支えられているコンテンツ産業の裾野を確実に衰退させます。生成AI事業者からクリエイターへのオプトイン(事前の同意)の義務化、クリエイターからのオプトアウト(事後の不同意)方法策定の義務化は、今後のコンテンツ産業の健全な発展のために必要不可欠です。
とりわけ著作物の利用にあたって、著作権者に許諾を得ること(=オプトイン)は、著作権法の原則です。現行の著作権法では、著作物を生成AIの学習データとする場合のような情報解析を目的とする利用であって、著作物に表現された思想や感情を享受することを目的としない場合には、原則として許諾不要とされています(第30条の4)。しかし、その後の生成AI技術の急速な進展により、状況が大きく変化しています。今一度この条項の見直しを含め、著作権侵害を容認しないという原則の確認が必要です。
4ディープフェイク画像・動画・テキスト生成への罰則規定の導入
生成AIには著作権以外にも問題点があります。それはディープフェイクの問題です。災害時や選挙期間などにおける政治的ディープフェイクの拡散は、人権侵害を引き起こすだけでなく、民主主義の基盤を危うくし、人々の「知る権利」を阻害します。とりわけ性的ディープフェイクの被害は深刻です。しかし、現在これを規制する法律はありません。早急な対応が求められています。
現状では、生成AI画像の「類似性」が認められたとしても、フリーランスのクリエイターやディープフェイクの被害者が個人で裁判などを起こすことは非常に困難です。権利侵害を予防するためにも、法的な規制と相談・申告できる窓口が必要です。 著作権法上の権利と対価(報酬)は、クリエイターであるフリーランスの創作の源泉であり、ひいては文化的価値を生み出す源泉です。クリエイターの権利保護と創作環境の整備・維持のために、AI規制法の制定を強く求めるものです。
2026年2月1日
ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)
2026年02月11日
【おすすめ本】雨宮処凛 『25年、フリーランスで食べてます──隙間産業で生きていく』―仕事をこなす秘策・鉄則を大公開!=鈴木 耕(編集者)
めっちゃ(ちょっと若者風に)面白い「労働問題解説書」である。どう すれば25年間もフリーランスで食べてこられたのか、その仔細な道筋。 その解説が見事に腑に落ちる。
でもこれは著者の華麗なトリック。第1章「フ リーランスのノウハウ、すべて晒します」。小見 出しを追っていくだけで読者をその気にさせる。
でもよく読むと、かなりヘヴィな内容だ。確かにこれを実践できれば、あなたもフリーランスとして、1本立ちできるかもしれない。その気にさせる筆力は、さすがに25年の蓄積が生きている。 文章中のゴシック活字を拾い読みしていくだけで、内容がきちんと理解できる仕組み。
フリーランスの鉄則の数々、そんじょそこらの人間にできる技じゃないよな、秘策の公開だ。
隙間を狙え、締め切りに遅れるな、好きなことは無償でもやれ、いつでも辞められる態勢を作っておけ、自分しかできないことをしろ、岐路に立ったら危ない方へ、SNSから身を守る方法、絶対にドタキャンしないなどなど。
これは仕事上のアドバイスだが、極めて真っ当な生き抜く術でもある。つまらぬ「自己啓発本」 など足元にも及ばぬ具体的な道筋が懇切丁寧に示されている。
働くことの意味、つまり労働問題解説書としても超一流なのだ。そんな生き方をしている人たちへのインタビューや、弁護士に訊くフリーランスの自衛法も。そして圧巻は雨宮処凛の半生を綴った第4章だ。疾風怒濤の25年がまるで映画のよう…。めっちゃ面白かったよ! (河出新書 1,100円)
でもこれは著者の華麗なトリック。第1章「フ リーランスのノウハウ、すべて晒します」。小見 出しを追っていくだけで読者をその気にさせる。
でもよく読むと、かなりヘヴィな内容だ。確かにこれを実践できれば、あなたもフリーランスとして、1本立ちできるかもしれない。その気にさせる筆力は、さすがに25年の蓄積が生きている。 文章中のゴシック活字を拾い読みしていくだけで、内容がきちんと理解できる仕組み。
フリーランスの鉄則の数々、そんじょそこらの人間にできる技じゃないよな、秘策の公開だ。
隙間を狙え、締め切りに遅れるな、好きなことは無償でもやれ、いつでも辞められる態勢を作っておけ、自分しかできないことをしろ、岐路に立ったら危ない方へ、SNSから身を守る方法、絶対にドタキャンしないなどなど。
これは仕事上のアドバイスだが、極めて真っ当な生き抜く術でもある。つまらぬ「自己啓発本」 など足元にも及ばぬ具体的な道筋が懇切丁寧に示されている。
働くことの意味、つまり労働問題解説書としても超一流なのだ。そんな生き方をしている人たちへのインタビューや、弁護士に訊くフリーランスの自衛法も。そして圧巻は雨宮処凛の半生を綴った第4章だ。疾風怒濤の25年がまるで映画のよう…。めっちゃ面白かったよ! (河出新書 1,100円)
2026年02月10日
【神奈川支部リポート】 知ってますか? 軍転法 横須賀の平和運動家に聞く=藤森 研
クイズです。横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4市に共通するのは何?
戦前、海軍の「鎮守府」があった。正解です。
では戦後は?
海上自衛隊の地方総監部がある。正解です。
それから、この4市にだけ旧軍港市転換法(軍転法)が適用されている、というのも正解です。
この法律を、筆者は全く知りませんでした。昨年10月の神奈川支部の例会に、非核市民宣言運動・ヨコスカの中心メンバー、新倉裕史さんを招いて講演してもらい、その後も横須賀市の事務所を訪れて話を聞きました。
「軍転法」は第1条で「この法律は、旧軍港市を平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とする」と謳っています。横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4市の旧軍用地を無償や廉価で市に譲ることなどを定めた法律で、国会承認と4市の住民投票での圧倒的賛成を経て、1950年に成立・施行されました。
しかし前後して勃発した朝鮮戦争と日本の再軍備で、各港には米軍基地や海上自衛隊地方総監部が置かれることになり、理想はついえたかに見えます。
確かに軍港回帰の現実は覆うべくもありませんが、戦後平和主義の「種火」は残りました。軍転法は現在も生きており、横須賀では旧軍用地跡に横須賀芸術劇場、追浜工業団地などが生まれています。
けれども最近、この4市に共通の新しい問題が起きています。政府は敵基地攻撃能力(反撃能力)保有のため、陸上では熊本の健軍駐屯地などに12式地対艦誘導弾能力向上型を、海上では佐世保、横須賀など各港のイージス艦8隻に、米国製巡航ミサイル・トマホークを配備する計画を打ち出しました。それぞれ関係支部は情報をお持ちかと思います。
トマホークは射程約1600キロ。北朝鮮や中国が射程に入ります。「戦争の加害国になりたくないし、他国に攻撃されたくもない」という人々の願いに反して、新たな軍拡の動きが進みつつあります。
新倉さんたちはトマホーク配備撤回を求める署名・請願を横須賀市議会に出し、呉、佐世保、舞鶴の平和団体との連携も強めています。「実定法である軍転法という足場を生かせたら、と考えています」と新倉さん。
ちなみに、新倉さんたちが反戦を訴え半世紀にわたり続けてきた横須賀市内の月例デモ=写真=は今月(26年1月)で600回を数えます。基地の街の平和運動の粘り強さに、感嘆します。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月09日
【JCJ オンライン講演会】新日程決定 スパイ防止法は国家の情報管理を目指す 講師:足立 昌勝さん(関東学院大学名誉教授)2月21日(土)午後2時から4時
■開催趣旨:
日本の軍事化へのアクセルを加速させている高市政権。スパイ防止法や国家情報局の設置などにも前のめりの姿勢を示していて、今年は法案の国会提出などが予想されます。日本を戦前へ引き戻し、民主主義と平和を脅かすような動きを、私たち市民は阻止していかなければなりません。JCJではこうした危機感から、今後スパイ防止法などの問題に関わっている方々の話を聞き、共に考えていくオンライン講演会を連続して開催します。
第1回は、これまでも秘密保護法や共謀罪などに反対する活動を続けてきた関東学院大学名誉教授の足立昌勝さんにスパイ防止法と、その先にある国家情報局をめぐる動きについてお話をうかがいます。
足立さんはスパイ防止法が市民を萎縮させ、表現の自由が脅かされると指摘します。スパイ防止法・国家情報局へと向かう高市政権の狙いは何なのか、ジャーナリズムや市民はどう対抗していけばよいのかなどについて解説していただきます。
■講演者プロフィール:足立昌勝さん
1943年生まれ、中央大学法学部大学院法学研究科博士課程単位取得退学。静岡大学法経短期大学部教授を経て、1992年関東学院大学法学部教授、2014年同大学名誉教授。現在、救援連絡センター代表、日弁連刑事法制委員会助言者。
■参加費:500円(JCJ会員は無料)
参加希望の方は下記のURL(Peatix)をクリックして、参加費をお支払いください。
https://jcjonline0117.peatix.com/view
■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
■オンライン参加に関するお問い合わせは
電話03-6272-9781(月水金の13時から17時まで)またはメールで office@jcj.gr.jp
日本の軍事化へのアクセルを加速させている高市政権。スパイ防止法や国家情報局の設置などにも前のめりの姿勢を示していて、今年は法案の国会提出などが予想されます。日本を戦前へ引き戻し、民主主義と平和を脅かすような動きを、私たち市民は阻止していかなければなりません。JCJではこうした危機感から、今後スパイ防止法などの問題に関わっている方々の話を聞き、共に考えていくオンライン講演会を連続して開催します。
第1回は、これまでも秘密保護法や共謀罪などに反対する活動を続けてきた関東学院大学名誉教授の足立昌勝さんにスパイ防止法と、その先にある国家情報局をめぐる動きについてお話をうかがいます。
足立さんはスパイ防止法が市民を萎縮させ、表現の自由が脅かされると指摘します。スパイ防止法・国家情報局へと向かう高市政権の狙いは何なのか、ジャーナリズムや市民はどう対抗していけばよいのかなどについて解説していただきます。
■講演者プロフィール:足立昌勝さん
1943年生まれ、中央大学法学部大学院法学研究科博士課程単位取得退学。静岡大学法経短期大学部教授を経て、1992年関東学院大学法学部教授、2014年同大学名誉教授。現在、救援連絡センター代表、日弁連刑事法制委員会助言者。
■参加費:500円(JCJ会員は無料)
参加希望の方は下記のURL(Peatix)をクリックして、参加費をお支払いください。
https://jcjonline0117.peatix.com/view
■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
■オンライン参加に関するお問い合わせは
電話03-6272-9781(月水金の13時から17時まで)またはメールで office@jcj.gr.jp
2026年02月08日
【フォトアングル】厚木基地のオスプレイに怒りの声あげる=1月4日、神奈川県大和市、伊東良平撮影
「新春厚木基地ウオッチング」が1月4日に米軍厚木基地前で開催された。神奈川県平和委員会が毎年この時期の新春恒例行動で、地元、大和市平和委員会の佐野昭広事務局長が厚木基地を利用した2025年の日米共同訓練の実態やオスプレイの飛行状況、厚木基地への抗議行動などを報告。オスプレイは最近も頻繁に飛来し、先月には大型輸送ヘリからヘルメット1個が落下して住民の安全を脅かした。リレートークを行った24人の参加者は次々と怒りの声をあげた。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月07日
【おすすめ本】荻野 富士夫『治安維持法と「国体」』―いま日本で急速に進む 「新しい戦中」前夜の危機=藤田 廣登(治安 維持法犠牲者国家賠償要求同盟顧問)
昨年は治安維持法成立100年を迎え、治安維持法暴圧を告発する人々の運動が盛り上がりをみせた。同時に同法の研究も顕著な進展があった。
その一つが、荻野氏の『検証・治安維持法―なぜ「法の暴力」が蔓延し たのか』(平凡社)であ り、さらに本書である。
前著の末尾で、荻野氏は「戦前を席巻した『国 体』はまだ出現していないが国際緊張の暴発、排外主義の沸騰は『新しい戦中・新しい国体』を発 現」すると警告していた。
治安維持法は第一条で「国体を変革するために結社を組織・加入」を犯 罪とした。その「国体」 とは「大日本帝国憲法」 に規定される天皇絶対の専制支配権力である。
本書の第一部は、どのようにして「国体」が治 安維持法の根幹に据えられ、拡張されて行ったのかを、三つの論考で解明し、社会変革を進める運動を抑え込むだけではなく、思想・学問を統制し 戦争遂行体制構築に結びついた、と結論する。
第二部では、日本共産党が「君主制」・「天皇 制」をどう捉え、闘かっ たか、に焦点を当てる。
荻野氏は、「新しい戦 前」という表現を、タモ リ氏発言(2022年) より4年も早く使って,わが国の軍事大国化とそれに並行する現代版治安維持法体制の構築に警鐘を乱打し、本書では「新しい戦中」前夜と表現している。
いま進む高市極右政権の危険性と参院選で躍進した参政党が、大日本帝国憲法と教育勅語をベースに、「国体」を盛りこ んだ「新日本憲法」(構想案)を掲げているだけに、本書は広く読まれてほしい。(大月書店 2,800円)
その一つが、荻野氏の『検証・治安維持法―なぜ「法の暴力」が蔓延し たのか』(平凡社)であ り、さらに本書である。
前著の末尾で、荻野氏は「戦前を席巻した『国 体』はまだ出現していないが国際緊張の暴発、排外主義の沸騰は『新しい戦中・新しい国体』を発 現」すると警告していた。
治安維持法は第一条で「国体を変革するために結社を組織・加入」を犯 罪とした。その「国体」 とは「大日本帝国憲法」 に規定される天皇絶対の専制支配権力である。
本書の第一部は、どのようにして「国体」が治 安維持法の根幹に据えられ、拡張されて行ったのかを、三つの論考で解明し、社会変革を進める運動を抑え込むだけではなく、思想・学問を統制し 戦争遂行体制構築に結びついた、と結論する。
第二部では、日本共産党が「君主制」・「天皇 制」をどう捉え、闘かっ たか、に焦点を当てる。
荻野氏は、「新しい戦 前」という表現を、タモ リ氏発言(2022年) より4年も早く使って,わが国の軍事大国化とそれに並行する現代版治安維持法体制の構築に警鐘を乱打し、本書では「新しい戦中」前夜と表現している。
いま進む高市極右政権の危険性と参院選で躍進した参政党が、大日本帝国憲法と教育勅語をベースに、「国体」を盛りこ んだ「新日本憲法」(構想案)を掲げているだけに、本書は広く読まれてほしい。(大月書店 2,800円)
2026年02月06日
【リレー時評】「戦後民主主義」を日常に取り戻す=山口昭男(JCJ代表委員)
「戦後80年」が過ぎて、改めて「戦後」について考えている。昨年8月9日のJCJシンポジウム「戦後80年――私たちは今どこにいるのか」で、私は「戦後」はもはや「同時代史」から「歴史」になったとお話した。
「戦争の記憶」は生々しくなくなり、加藤周一の言う「戦争による死者への『負い目』」はなかなか共有されにくくなっている。日々の生活に追われているうちに国が大きく動いている。
日高六郎は1970年代半ばに「かつての日本軍国主義の指導は『無責任の体系』と呼ばれた。いまは平和の時代のなかでの「無責任の体系」が進行している」と記した(『戦後思想を考える』岩波新書)が、いま三たび「無責任の体系」がまん延してきているのではないだろうか。
「戦後」が冷戦終結の1989年で終わり、2020年代に入って世界中が浮足立ち、「戦後」後が、いま終わろうとしている。それでは「戦後後」の次は、どのような時代になるのか。「戦前回帰」なのか。考えるヒントの一つとして、「戦後民主主義」に着目したい。
この言葉は、おさらいをすると「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、戦争の反省から生まれた新しい社会秩序の在り方を示す」言葉と言ってよい。その象徴が日本国憲法である。代表者として、丸山真男、加藤周一の名前がまず挙がるように、その根底には近代民主主義の思想、価値への信頼がある。
しかし「戦後民主主義」をただ唱えているだけでは、回顧するだけでは意味がない。憲法にしてもそうだ。当たり前のことだが、護憲とは憲法の逐条をただ護るということではなく、その価値観を尊重することにある。80年前、私たちがたどり着いた「戦後民主主義」とはそういうものだったはずである。
赤川次郎は「戦後生まれの私にとって、『戦後民主主義』はスローガンではなく、日常生活の一部として、そこにあった――はずである」と書き、また原一男は「私の生きてきた軌跡全てが、戦後民主主義的なる価値観によって突き動されてきたという感じがある」と書いている(『私の「戦後民主主義」』)。
だがいま、「戦後民主主義」はとても「日常」とは言えなくなっている。10年前「戦後レジームからの脱却」を掲げていた安倍晋三政権によって、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案が成立した。そのときにはSEALDs(「自由と民主主義のための学生緊急行動」)など、若い世代が抗議の声を挙げたが、今回そうした声は残念ながら大きくなっていない。
いまでは逆に若者の高市内閣支持率は高く、「スパイ防止法案」を推進しようとする政党が力を強めている。国際法を無視したトランプ大統領の横暴、プーチン大統領の独善が続くなか、日本は大きな役割を果たせるはずなのに、現政権の行き方は歴史に逆行しているとしか思えない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
「戦争の記憶」は生々しくなくなり、加藤周一の言う「戦争による死者への『負い目』」はなかなか共有されにくくなっている。日々の生活に追われているうちに国が大きく動いている。
日高六郎は1970年代半ばに「かつての日本軍国主義の指導は『無責任の体系』と呼ばれた。いまは平和の時代のなかでの「無責任の体系」が進行している」と記した(『戦後思想を考える』岩波新書)が、いま三たび「無責任の体系」がまん延してきているのではないだろうか。
「戦後」が冷戦終結の1989年で終わり、2020年代に入って世界中が浮足立ち、「戦後」後が、いま終わろうとしている。それでは「戦後後」の次は、どのような時代になるのか。「戦前回帰」なのか。考えるヒントの一つとして、「戦後民主主義」に着目したい。
この言葉は、おさらいをすると「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など、戦争の反省から生まれた新しい社会秩序の在り方を示す」言葉と言ってよい。その象徴が日本国憲法である。代表者として、丸山真男、加藤周一の名前がまず挙がるように、その根底には近代民主主義の思想、価値への信頼がある。
しかし「戦後民主主義」をただ唱えているだけでは、回顧するだけでは意味がない。憲法にしてもそうだ。当たり前のことだが、護憲とは憲法の逐条をただ護るということではなく、その価値観を尊重することにある。80年前、私たちがたどり着いた「戦後民主主義」とはそういうものだったはずである。
赤川次郎は「戦後生まれの私にとって、『戦後民主主義』はスローガンではなく、日常生活の一部として、そこにあった――はずである」と書き、また原一男は「私の生きてきた軌跡全てが、戦後民主主義的なる価値観によって突き動されてきたという感じがある」と書いている(『私の「戦後民主主義」』)。
だがいま、「戦後民主主義」はとても「日常」とは言えなくなっている。10年前「戦後レジームからの脱却」を掲げていた安倍晋三政権によって、集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案が成立した。そのときにはSEALDs(「自由と民主主義のための学生緊急行動」)など、若い世代が抗議の声を挙げたが、今回そうした声は残念ながら大きくなっていない。
いまでは逆に若者の高市内閣支持率は高く、「スパイ防止法案」を推進しようとする政党が力を強めている。国際法を無視したトランプ大統領の横暴、プーチン大統領の独善が続くなか、日本は大きな役割を果たせるはずなのに、現政権の行き方は歴史に逆行しているとしか思えない。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2026年1月25日号
2026年02月05日
【敵基地の現場から】戦火の種許さず 声響く=丹原美穂(「沖縄西日本ネットワーク」事務局・JCJ東海)
全国各地の自衛隊基地で進む長射程ミサイル配備や弾薬庫増設。20年8月、第4次安倍政権下の自民政務調査会「敵基地攻撃能力」提言は22年、岸田政権の「安保3文書」明記で現実化した。「戦争準備」に抗い「戦争させない、平和を守れ」と立ち上がった沖縄、九州、西日本の市民の取り組みを11月号に続き報告する。
【大分】ミサイル配備NO
他国を攻撃する長射程ミサイル配備が予定される陸上自衛隊大分分屯地で、9棟の大型弾薬庫新設工事が始まる11月29日を前に大分市では同月22日、市民が「ミサイル搬入反対!大分総決起集会」に立ち上がった。
会場の大分市コンパルホールに集まった市民は「弾薬庫は軍事施設であり、戦争の火種だ。抑止力というが、弾薬・ミサイルを蓄え、訓練をすることは戦争の準備だ。80年前もう二度と戦争をしないと誓ったはず。戦争は嫌だ!ミサイルも弾薬庫もいらない!戦争を止める」と、参加者一同で集会決議を採択した。
集会後は参加者有志50人が大分駅前に向かい、「やめろ!危険なミサイル弾薬庫」などの横断幕やメッセージボードを手に、街頭行動を展開して通行の市民に訴えた。
市民らは1棟目の第1弾薬庫完工日の12月15日に合わせ集会を開催、デモ行進もした。
【熊本】加害も被害も嫌だ
熊本では11月24日、「戦争だけはしちゃならん!熊本行動」が展開された。県平和委員会など市民団体と「沖縄西日本ネット」が共催した「12式地対艦ミサイル配備絶対反対」集会には約400人が結集した。
沖縄から駆けつけた具志堅隆松さんの講演に続いて、地元や各地からの参加団体の現状報告が行われた。参加者らからは「今や全国に敵基地攻撃能力のあるミサイルが配備されようとしているが、かえって狙われて市民に危険が及ぶ」「加害者にも被害者にもなりたくない。戦争は嫌だ」との声が次々とあがった。
熊本では12月1日、1人の僧侶が「命をかけて戦争に反対する」とハンガーストライキ入り、「戦争やめて」と訴え続けている。また、年明け後の2月には、建軍駐屯地を2000人のヒューマンチェーンで囲む準備を進めている。
【宮城島】不法に土砂運ぶな
辺野古基地建設工事の埋め立て土砂確保で、防衛省は沖縄各地で山を崩し土砂採取を続けている。
現場のひとつ沖縄県うるま市の宮城島では「宮城島の土で戦争基地を造るな」と24年11月、島民が立ち上がった。
島民は現場で「自然を壊すな」と訴え、土砂を満載して出てくる大型ダンプに牛歩で抵抗しわずかな時間とはいえ足止め。反対の意思表示を続けている。また大型ダンプの通行台数も毎日チェックしている。12月2日に、その現場に参加した。
宮城島はうるま市東側の金武湾に浮かぶ周囲12・24qの小さな島だ。両側を挟む平安座島、伊計島とも行き来でき、沖縄本島側との行き来も勝連半島から延びる「海中道路」(平安座島経由)で可能という島は、小山がほとんどで島民(2012年813人)もそこに暮らす。
その島で19年1月から突然、土砂採取が始まった。大型ダンプが島を行き来し、「このままでは山がなくなる」と島民は不安を募らせた。
山から採取した土砂を積んだ大型ダンプが行き来するのは農道だ。その舗装基準で想定された大型車の通行台数は1日15台程度、最大40台未満だ。それがいきなり、とんでもない台数が行き来する場と化した。
工事期間は29年1月10日まで(工事表示)。
「今は1日、200台が普通だ」。「道路が傷み2度も修理した」。「違法が当たり前のこととして通っている」。島民の怒りは収まらない。
【沖縄】遺骨突き上がる思い
沖縄戦遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんにご案内頂き、沖縄最南部・ひめゆりの塔のさらに南に位置する糸満市美和村束辺名(つかへな)で、全身が発掘された戦没者のご遺骨と対面させていただいた。
写真とは違い、実物に向かうと言葉にできない思いが胸を突き上げた。わずか5〜6歩離れた場所にも80年間の野ざらしで散らばる別の人のご遺骨があった。この付近は発掘すればまだご遺骨が出るかもしれないとのことだ。
「死者への供養は戦争をしないこと」
手を合わせる。
戦争をさせてはいけないと強く思った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
【大分】ミサイル配備NO
他国を攻撃する長射程ミサイル配備が予定される陸上自衛隊大分分屯地で、9棟の大型弾薬庫新設工事が始まる11月29日を前に大分市では同月22日、市民が「ミサイル搬入反対!大分総決起集会」に立ち上がった。
会場の大分市コンパルホールに集まった市民は「弾薬庫は軍事施設であり、戦争の火種だ。抑止力というが、弾薬・ミサイルを蓄え、訓練をすることは戦争の準備だ。80年前もう二度と戦争をしないと誓ったはず。戦争は嫌だ!ミサイルも弾薬庫もいらない!戦争を止める」と、参加者一同で集会決議を採択した。
集会後は参加者有志50人が大分駅前に向かい、「やめろ!危険なミサイル弾薬庫」などの横断幕やメッセージボードを手に、街頭行動を展開して通行の市民に訴えた。
市民らは1棟目の第1弾薬庫完工日の12月15日に合わせ集会を開催、デモ行進もした。
【熊本】加害も被害も嫌だ
熊本では11月24日、「戦争だけはしちゃならん!熊本行動」が展開された。県平和委員会など市民団体と「沖縄西日本ネット」が共催した「12式地対艦ミサイル配備絶対反対」集会には約400人が結集した。
沖縄から駆けつけた具志堅隆松さんの講演に続いて、地元や各地からの参加団体の現状報告が行われた。参加者らからは「今や全国に敵基地攻撃能力のあるミサイルが配備されようとしているが、かえって狙われて市民に危険が及ぶ」「加害者にも被害者にもなりたくない。戦争は嫌だ」との声が次々とあがった。
熊本では12月1日、1人の僧侶が「命をかけて戦争に反対する」とハンガーストライキ入り、「戦争やめて」と訴え続けている。また、年明け後の2月には、建軍駐屯地を2000人のヒューマンチェーンで囲む準備を進めている。
【宮城島】不法に土砂運ぶな
辺野古基地建設工事の埋め立て土砂確保で、防衛省は沖縄各地で山を崩し土砂採取を続けている。
現場のひとつ沖縄県うるま市の宮城島では「宮城島の土で戦争基地を造るな」と24年11月、島民が立ち上がった。
島民は現場で「自然を壊すな」と訴え、土砂を満載して出てくる大型ダンプに牛歩で抵抗しわずかな時間とはいえ足止め。反対の意思表示を続けている。また大型ダンプの通行台数も毎日チェックしている。12月2日に、その現場に参加した。
宮城島はうるま市東側の金武湾に浮かぶ周囲12・24qの小さな島だ。両側を挟む平安座島、伊計島とも行き来でき、沖縄本島側との行き来も勝連半島から延びる「海中道路」(平安座島経由)で可能という島は、小山がほとんどで島民(2012年813人)もそこに暮らす。
その島で19年1月から突然、土砂採取が始まった。大型ダンプが島を行き来し、「このままでは山がなくなる」と島民は不安を募らせた。
山から採取した土砂を積んだ大型ダンプが行き来するのは農道だ。その舗装基準で想定された大型車の通行台数は1日15台程度、最大40台未満だ。それがいきなり、とんでもない台数が行き来する場と化した。
工事期間は29年1月10日まで(工事表示)。
「今は1日、200台が普通だ」。「道路が傷み2度も修理した」。「違法が当たり前のこととして通っている」。島民の怒りは収まらない。
【沖縄】遺骨突き上がる思い
沖縄戦遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんにご案内頂き、沖縄最南部・ひめゆりの塔のさらに南に位置する糸満市美和村束辺名(つかへな)で、全身が発掘された戦没者のご遺骨と対面させていただいた。
写真とは違い、実物に向かうと言葉にできない思いが胸を突き上げた。わずか5〜6歩離れた場所にも80年間の野ざらしで散らばる別の人のご遺骨があった。この付近は発掘すればまだご遺骨が出るかもしれないとのことだ。
「死者への供養は戦争をしないこと」
手を合わせる。
戦争をさせてはいけないと強く思った。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年02月04日
【2月出版界の動き】25年出版市場は4年連続マイナス
◆書籍・雑誌は1兆円割る
2025年度の紙と電子を合算した出版市場規模は1兆5462億円(前年比1.6%減)となった。出版科学研究所が発表した。4年連続のマイナス。市場規模はコロナ禍前の19年とほぼ同規模となった。
紙の出版物は9647億円(同4.1%減)となり、ピークの1996年に2兆6千億円に達した市場も、ついに1兆円を割り込んだ。その内訳は、書籍が5939億円(前年と同率)、雑誌が3708億円(前年比10.0%減)。雑誌は月刊誌(ムック・コミックス含む)が3195億円(同8.6%減)、週刊誌が513億円(同17.9%減)。月刊誌の内訳は定期誌が約5%減、ムックが約4%減、コミックス(単行本)が約15%減。
電子出版物は5815億円(同2.7%増)。内訳は電子コミックが5273億円(同2.9%増)、電子書籍が459億円(同1.5%増)、電子雑誌が83億円(同3.5%減)。
これまで市場をけん引してきた電子コミックの伸び率が鈍化。各ストアでの割引やポイント還元、期間限定の全話無料施策が活発に行われた影響と推察されている。また電子雑誌は24年にサブスクの値上げでプラスとなったが、25年は会員減により再びマイナスに転じた。
◆「独立書店」支援200店
トーハンは24年10月から独立書店向けに本を卸すサービス「HONYAL(ホンヤル)」を手がける。本の流通フローを簡略化することで、従来は口座開設に至らなかった少額の取引先とも持続的に取引が可能なスキームだ。すでにホンヤルを利用し50店が開業している。
小さな店舗で営む「独立書店」が増えるなか、異業種からの参入でも経営ができるように支援するインフラが整ってきた。書籍販売への新規参入を促し、人と本とのタッチポイントを増やすことで、無書店自治体の増加などの課題解決に寄与することを目指す。
この「HONYAL(ホンヤル)」を発展させるため、28年3月期末までに200店まで増やす目標を公表した。仕入れが月に5万円でもOK とのこと。
◆「ハルメク」書店販売
定期購読者向けの生活雑誌「ハルメク」は、1月1日〜2月20日の期間限定で、全国の「TSUTAYA」200店舗で、雑誌「ハルメク」の過去号を販売する取り組みを実施。定期購読を中心に展開してきた同社が、全国規模で雑誌を書店販売するのは初めて。新たな読者との接点創出を図る。
<「ハルメク」バックナンバーフェア>では、25年4月号〜11月号を販売する。通常、送料込みで販売価格880円(税込)のところ、フェアでは送料を除いた720円(同)で販売する。
「ハルメク」は、「50代からの女性の心豊かな生き方・暮らし方を応援する」をコンセプトにした女性誌。自宅直送による定期購読のみで展開している。販売部数は46万2000部を誇り、50代以上の女性を中心に高い支持を集めている。
◆角川歴彦氏が控訴
東京地裁は1月22日、東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定をめぐる汚職事件で、角川歴彦氏(82)の判決公判を行い、中尾佳久裁判長が同氏に対して「懲役2年半、執行猶予4年」の有罪判決を言い渡した。角川氏はその後、弁護団と会見に臨み、「大変残念です。私の闘いは続きます」と話した。
弁護士の弘中惇一郎氏は「客観的な裏付け証拠もなく、都合のいい証言を繋ぎ合わせた判決」とし、明日23日に控訴すると伝えた。村山浩昭弁護士は「人質司法、保釈してもらうための表面的な弱い供述をもとに判断されている」とし、元裁判官の立場から「嘆かわしい、必ず正す」と応答した。
◆深沢潮さん提訴
「週刊新潮」が掲載した高山正之氏のコラムで、作家の深沢潮さんらが名指しで差別を受けた問題をめぐり、このコラムを収録した書籍を刊行するなどした出版社ワックと筆者の高山正之氏を相手取り、深沢さんが660万円の慰謝料を求める訴えを22日、東京地裁に起こした。
コラムは昨年「週刊新潮」7月31日号に掲載された。1940年、日本が朝鮮人に日本式の姓名に改名するよう強いた政策を引いて<創氏改名2・0>と題し、深沢さんをはじめ俳優や大学教授らの実名を挙げて「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」と記した。
会見した深沢さんは「自分の尊厳が傷つくこと、差別されることを、そのままにしておくつもりはない。放置し続ければ、差別は果てしなく広がっていってしまう」と話している。
2025年度の紙と電子を合算した出版市場規模は1兆5462億円(前年比1.6%減)となった。出版科学研究所が発表した。4年連続のマイナス。市場規模はコロナ禍前の19年とほぼ同規模となった。
紙の出版物は9647億円(同4.1%減)となり、ピークの1996年に2兆6千億円に達した市場も、ついに1兆円を割り込んだ。その内訳は、書籍が5939億円(前年と同率)、雑誌が3708億円(前年比10.0%減)。雑誌は月刊誌(ムック・コミックス含む)が3195億円(同8.6%減)、週刊誌が513億円(同17.9%減)。月刊誌の内訳は定期誌が約5%減、ムックが約4%減、コミックス(単行本)が約15%減。
電子出版物は5815億円(同2.7%増)。内訳は電子コミックが5273億円(同2.9%増)、電子書籍が459億円(同1.5%増)、電子雑誌が83億円(同3.5%減)。
これまで市場をけん引してきた電子コミックの伸び率が鈍化。各ストアでの割引やポイント還元、期間限定の全話無料施策が活発に行われた影響と推察されている。また電子雑誌は24年にサブスクの値上げでプラスとなったが、25年は会員減により再びマイナスに転じた。
◆「独立書店」支援200店
トーハンは24年10月から独立書店向けに本を卸すサービス「HONYAL(ホンヤル)」を手がける。本の流通フローを簡略化することで、従来は口座開設に至らなかった少額の取引先とも持続的に取引が可能なスキームだ。すでにホンヤルを利用し50店が開業している。
小さな店舗で営む「独立書店」が増えるなか、異業種からの参入でも経営ができるように支援するインフラが整ってきた。書籍販売への新規参入を促し、人と本とのタッチポイントを増やすことで、無書店自治体の増加などの課題解決に寄与することを目指す。
この「HONYAL(ホンヤル)」を発展させるため、28年3月期末までに200店まで増やす目標を公表した。仕入れが月に5万円でもOK とのこと。
◆「ハルメク」書店販売
定期購読者向けの生活雑誌「ハルメク」は、1月1日〜2月20日の期間限定で、全国の「TSUTAYA」200店舗で、雑誌「ハルメク」の過去号を販売する取り組みを実施。定期購読を中心に展開してきた同社が、全国規模で雑誌を書店販売するのは初めて。新たな読者との接点創出を図る。
<「ハルメク」バックナンバーフェア>では、25年4月号〜11月号を販売する。通常、送料込みで販売価格880円(税込)のところ、フェアでは送料を除いた720円(同)で販売する。
「ハルメク」は、「50代からの女性の心豊かな生き方・暮らし方を応援する」をコンセプトにした女性誌。自宅直送による定期購読のみで展開している。販売部数は46万2000部を誇り、50代以上の女性を中心に高い支持を集めている。
◆角川歴彦氏が控訴
東京地裁は1月22日、東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定をめぐる汚職事件で、角川歴彦氏(82)の判決公判を行い、中尾佳久裁判長が同氏に対して「懲役2年半、執行猶予4年」の有罪判決を言い渡した。角川氏はその後、弁護団と会見に臨み、「大変残念です。私の闘いは続きます」と話した。
弁護士の弘中惇一郎氏は「客観的な裏付け証拠もなく、都合のいい証言を繋ぎ合わせた判決」とし、明日23日に控訴すると伝えた。村山浩昭弁護士は「人質司法、保釈してもらうための表面的な弱い供述をもとに判断されている」とし、元裁判官の立場から「嘆かわしい、必ず正す」と応答した。
◆深沢潮さん提訴
「週刊新潮」が掲載した高山正之氏のコラムで、作家の深沢潮さんらが名指しで差別を受けた問題をめぐり、このコラムを収録した書籍を刊行するなどした出版社ワックと筆者の高山正之氏を相手取り、深沢さんが660万円の慰謝料を求める訴えを22日、東京地裁に起こした。
コラムは昨年「週刊新潮」7月31日号に掲載された。1940年、日本が朝鮮人に日本式の姓名に改名するよう強いた政策を引いて<創氏改名2・0>と題し、深沢さんをはじめ俳優や大学教授らの実名を挙げて「日本も嫌い、日本人も嫌いは勝手だが、ならばせめて日本名を使うな」と記した。
会見した深沢さんは「自分の尊厳が傷つくこと、差別されることを、そのままにしておくつもりはない。放置し続ければ、差別は果てしなく広がっていってしまう」と話している。
2026年02月03日
【お知らせ】映画上映『壁の外側と内側/パレスチナ・イスラエル取材記』+トークby監督:川上泰徳(中東ジャーナリスト)と第2部:「ガザの虐殺は終わっていない、西岸も悪化」情勢分析+質疑応答・意見交換会 2月7日(土)午後13時30分
映画上映『壁の外側と内側/パレスチナ・イスラエル取材記』+トークby監督:川上泰徳(中東ジャーナリスト)と第2部:「ガザの虐殺は終わっていない、西岸も悪化」情勢分析+質疑応答・意見交換会――のご案内
【日時】2月7日(土)午後13:30より
■第1部:13:30 ※開場:13:15
『壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記』上映会(104分)+トーク(30分)
▽参加費:一般1500円、学生1000円
■第2部:16:20 ※開場16:00
「ガザと西岸のいま」情勢分析(40分)+意見交換(40分)
▽参加費:一般・学生500円(会場費負担のみ)※第2部だけの参加も歓迎。
【場所】西荻シネマ準備室 (ことカフェ2階)
※東京・杉並区西荻南3-6-2-2F
※JR西荻窪駅南口徒歩3分
【定員】第1部、2部ともに30人(要予約)
※会場の制約があり、定員になり次第、締め切ります。
◇予約受付のメールアドレス:
gazanomirai@gmail.com
※「第1部または第2部」を明記し、氏名、メールアドレス、「一般または学生」の別を記入。
※予約された方には確認のメールを返信します。
――――――――――――
なお、私のX(ツイッター)で、最新のガザ情勢や、ガザについて、140字の制限を外して、情報を発信しています。
https://x.com/kawakami_yasu
なお、私の個人アカウントとは別に、「ガザの人々の日々の情報」というガザ情報に特化したXアカウントを開き、発信もしています。
https://x.com/kawakami_yasu2
2026年02月02日
【パグウォッシュ会議】世界大会が広島宣言 人間性を心にとどめているか 9条に言及 対話を強調=金崎由美(中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター長)
核兵器廃絶を目指す科学者たちの国際組織「パグウォッシュ会議」の世界大会が11月1〜5日、広島市内であった。39カ国・地域の科学者や医師、人文・社会科学の研究者と元政府高官ら約190人が被爆地に集い、「対立の激化、外交の弱体化、核兵器使用を抑制してきた規範の崩壊」に警鐘を鳴らすとともに「対立を超えた対話」を求める「広島宣言」を最終日に採択した。
パグウォッシュ会議は、米ソに核軍縮交渉などへの貢献が評価され1995年にノーベル平和賞を受けた。今大会では日本被団協、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、の受賞計4団体の代表がそろい、核兵器廃絶への緊急的な取り組みを訴えた。
中東からの参加が目立ち、特にパレスチナ自治区ガザの惨状への怒りが色濃く表れた。イラク・フセイン政権下で核開発協力に反対し、アブグレイブ刑務所で10年余の投獄に耐えた核化学者アルシャハリスタニ氏が会長に就任したこともあるのだろう。
5日間の公式、非公式討論を経ての広島宣言は、核抑止依存で真の平和を築くことはできないと強調。「広島と長崎への原爆投下は…未来に続く人類の良心と道徳の破壊を象徴する」と訴えた。憲法9条を「良心の不滅の灯台」としたのは、パグウォッシュ会議の鈴木達治郎執行委員長ら日本側関係者の一致した思いである。
一方、議論の的となった非人道状況の明記や加害国の名指しはなかった。原爆資料館の見学や被爆者との出会いを通じて参加者が何を得たのかも記してほしかった。
とはいえ、「対立を超えた対話」への努力は正当に評価すべきだ。イスラエルのオルメルト元首相とパレスチナ自治政府のアルキドワ元外相、ウクライナ元外相とロシアからの研究者がそれぞれ壇上で席を並べた。パレスチナ人参加者がオルメルト氏を糾弾する場面でも、発言が遮られることはなかった。開幕前日、中国新聞の取材にアルシャハリスタニ会長は、イスラエルによるジェノサイドとオルメルト氏の大会参加に抗議する市民団体からの質問状に自ら言及し「真摯に受け止めている」と語っていた。
パグウォッシュ会議設立の精神は、55年のラッセル・アインシュタイン宣言にある「人間性を心にとどめよ、そして他のすべてを忘れよ」だ。被爆地で非戦・非核を誓った参加者の行動を願うだけでなく、私たちもあらゆる非人道的な状況について人間性を心にとどめているかを自問する機会としたい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
パグウォッシュ会議は、米ソに核軍縮交渉などへの貢献が評価され1995年にノーベル平和賞を受けた。今大会では日本被団協、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)、の受賞計4団体の代表がそろい、核兵器廃絶への緊急的な取り組みを訴えた。
中東からの参加が目立ち、特にパレスチナ自治区ガザの惨状への怒りが色濃く表れた。イラク・フセイン政権下で核開発協力に反対し、アブグレイブ刑務所で10年余の投獄に耐えた核化学者アルシャハリスタニ氏が会長に就任したこともあるのだろう。
5日間の公式、非公式討論を経ての広島宣言は、核抑止依存で真の平和を築くことはできないと強調。「広島と長崎への原爆投下は…未来に続く人類の良心と道徳の破壊を象徴する」と訴えた。憲法9条を「良心の不滅の灯台」としたのは、パグウォッシュ会議の鈴木達治郎執行委員長ら日本側関係者の一致した思いである。
一方、議論の的となった非人道状況の明記や加害国の名指しはなかった。原爆資料館の見学や被爆者との出会いを通じて参加者が何を得たのかも記してほしかった。
とはいえ、「対立を超えた対話」への努力は正当に評価すべきだ。イスラエルのオルメルト元首相とパレスチナ自治政府のアルキドワ元外相、ウクライナ元外相とロシアからの研究者がそれぞれ壇上で席を並べた。パレスチナ人参加者がオルメルト氏を糾弾する場面でも、発言が遮られることはなかった。開幕前日、中国新聞の取材にアルシャハリスタニ会長は、イスラエルによるジェノサイドとオルメルト氏の大会参加に抗議する市民団体からの質問状に自ら言及し「真摯に受け止めている」と語っていた。
パグウォッシュ会議設立の精神は、55年のラッセル・アインシュタイン宣言にある「人間性を心にとどめよ、そして他のすべてを忘れよ」だ。被爆地で非戦・非核を誓った参加者の行動を願うだけでなく、私たちもあらゆる非人道的な状況について人間性を心にとどめているかを自問する機会としたい。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年02月01日
【25読書回顧―私のいちおし】日本を蝕み続ける「国策」事業=高世 仁(ジャーナリスト)
石破首相は戦後80年所感で「歴史に正面から向き合う」必要を強調したが、その思索のタネ本≠フ一つが猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(中公文庫)である。
太平洋戦争開戦直前、軍民から若手優秀を集めた内閣直属の「総力戦研究所」が、対米戦は必敗との合理的な予測を東條首相に提出した。しかしそれは握り潰され、日本は立ち止まることなく破滅に突き進んでいった─その経緯を描くノンフィクションだ。高市新政権が独善的な危機扇動に傾くいまこそ読まれるべき一冊である。
なお、この作品をドラマ化した8月のNスペ「シミュレーション」は史実の歪曲と批判され、NHKの劣化≠ェ世間の話題となった。
引き返せずに奈落へと向かう「慣性」の病理は戦後も日本を蝕み続けている。辺野古しかり、原発しかり、リニア計画もまたその典型だ。
樫田秀樹『混迷のリニア中央新幹線』(旬報社)が鋭く迫っている。彼はいち早く警鐘を鳴らし、2015年度のJCJ賞を受賞している。リニア計画は、トンネル掘削による環境破壊や住民への工事被害をもたらす上、傾国の大赤字事業となるのは必定。だが国策≠ナあり、JR東海が巨大広告主である事情もあって、マスコミは批判を自粛する。受賞から10年、樫田はすでに表面化した深刻な問題を自分の足で丹念に追い、これでもなお敗戦≠ヨ突き進むのかと我々に問う。
25年度の開高健ノンフィクション賞は、小松由佳『シリアの家族』(集英社)が受賞した。シリア難民と結婚し二児をもうけた彼女が、「家族」を軸に、24年12月のアサド政権崩壊を挟む激動のシリア情勢を、まさに自分事≠ニして描き切った圧巻の一冊である。
私は2017年のNNNドキュメントで彼女の番組を制作して以来のご縁だが、ヘイトが横行する今日、家族の中にもある異文化を理解し尊重する姿から、多くの示唆を与えられている。 高世 仁(ジャーナリスト) (中公新書 980円)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
太平洋戦争開戦直前、軍民から若手優秀を集めた内閣直属の「総力戦研究所」が、対米戦は必敗との合理的な予測を東條首相に提出した。しかしそれは握り潰され、日本は立ち止まることなく破滅に突き進んでいった─その経緯を描くノンフィクションだ。高市新政権が独善的な危機扇動に傾くいまこそ読まれるべき一冊である。
なお、この作品をドラマ化した8月のNスペ「シミュレーション」は史実の歪曲と批判され、NHKの劣化≠ェ世間の話題となった。
引き返せずに奈落へと向かう「慣性」の病理は戦後も日本を蝕み続けている。辺野古しかり、原発しかり、リニア計画もまたその典型だ。
樫田秀樹『混迷のリニア中央新幹線』(旬報社)が鋭く迫っている。彼はいち早く警鐘を鳴らし、2015年度のJCJ賞を受賞している。リニア計画は、トンネル掘削による環境破壊や住民への工事被害をもたらす上、傾国の大赤字事業となるのは必定。だが国策≠ナあり、JR東海が巨大広告主である事情もあって、マスコミは批判を自粛する。受賞から10年、樫田はすでに表面化した深刻な問題を自分の足で丹念に追い、これでもなお敗戦≠ヨ突き進むのかと我々に問う。
25年度の開高健ノンフィクション賞は、小松由佳『シリアの家族』(集英社)が受賞した。シリア難民と結婚し二児をもうけた彼女が、「家族」を軸に、24年12月のアサド政権崩壊を挟む激動のシリア情勢を、まさに自分事≠ニして描き切った圧巻の一冊である。
私は2017年のNNNドキュメントで彼女の番組を制作して以来のご縁だが、ヘイトが横行する今日、家族の中にもある異文化を理解し尊重する姿から、多くの示唆を与えられている。 高世 仁(ジャーナリスト) (中公新書 980円)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年01月31日
【オピニオン】「対話」で新たな運動の構築を=難波健治(広島支部)
被爆80年・戦後80年の今年、社会のあり方をめぐり各地でさまざまな活動が展開された。その節目の年がまもなく終わろうとしている。被爆地広島支部のこの1年間の取り組みを振り返りながら、今、ジャーナリズムと市民の運動に何が求められているのかを考えた。
□
私たちは今、大きな不安の中にいる。ジャーナリズムや平和、文化などの分野で、これまで通りの取り組みを続けていけば、日本が戦争の当事国になることを避けられるのだろうか。
日本被団協へのノーベル平和賞授賞が決まり核兵器廃絶への期待が膨らんだ1年前、今のような世界のありようを想像できた人はどれくらいいただろうか。
国際秩序は音を立てて崩れつつある。日本の政治は混迷を極め、米国が求める戦争準備を加速させるばかりだ。国会に目を転じれば、本来あるべき与野党の対決軸がどこにあるのかも定かでないありさまだ。
そんな中、私たちは毎年開いてきたJCJ広島「不戦のつどい」を、今年は9月から12月13日に変更し、共同通信の石井暁編集委員=写真=を講師に迎えた。
今年の8・6を前に、防衛省担当30年を超すベテラン記者が暴いた事実はこうだ。
日米両政府が有事を想定した机上演習をこれまで複数回実施し、そこで米軍が核兵器を使用するシナリオが議論された。昨年の机上演習で自衛隊は米軍に「台湾有事」に際し、中国に「核の脅し」をかけるよう再三求め、米軍も最終的に同意した――。この特ダネは私たちの記憶に新しい。
石井さんは「つどい」で、「今、目の前で進む対中戦争の現実」と題し、取材で得た事実を丁寧につないだ特ダネの裏側を公開した。
100人を超す市民が集まり、ジャーナリストも少なからずいた会場からは「報道で次々と知らされる事柄が一つにつながった。『台湾有事』とは何か、政府が何をしようとしているのか理解できた」との声をはじめ、35人から質問や意見が文書で寄せられた。その中には、現場の記者からの「『本当のことを書く記者』になるため、組織の内部に協力者をつくるやり方を教えてほしい」という要望もあった。
広島支部は今年の「不戦のつどい」を、戦後80年の「12・8」を見据えて企画した。日本が真珠湾とマレー半島で米英を奇襲攻撃し、侵略戦争をアジア・太平洋に拡大した「12・8」は突然起きたのではない。
それは明治以降、日清、日露、日中の戦争で日本が積み上げた領土拡張、権益拡大が行きついた先にほかならない。だが、高市早苗内閣は、この歴史の事実と真摯に向き合おうとしない。
昨今の大軍拡や首相の台湾発言、さらには与野党挙げての「スパイ防止法」制定の動きなど、戦争に向けてひたすら走り続ける現実とその危険性を、メディアはどれほど伝えているか。私たちはそんな思いを込めて「不戦のつどい」を準備し、今後の課題を得ることができた。
それは「対話」することの大切さだ。対話するには、相手の思いにしっかり耳を傾けなければならない。21世紀のこの時代が持つ、さまざまなファクト(事実)を共有し、自らの思想をかたちづくる決意を新たにした。
私たちは、高市政権や同調勢力の国家観に基づく社会とは異なる社会のあり方を、主権者として示す必要に迫られている。それは市民一人ひとりが自らの希望を語りあい、その希望の中にこそ生きるための根拠があることを示すということだ。
私たちには、そのためにお互いの要求を確かめ合い、対話を通して一致点を見つけ、共に動く運動のあり方を構築することが求められている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
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私たちは今、大きな不安の中にいる。ジャーナリズムや平和、文化などの分野で、これまで通りの取り組みを続けていけば、日本が戦争の当事国になることを避けられるのだろうか。
日本被団協へのノーベル平和賞授賞が決まり核兵器廃絶への期待が膨らんだ1年前、今のような世界のありようを想像できた人はどれくらいいただろうか。
国際秩序は音を立てて崩れつつある。日本の政治は混迷を極め、米国が求める戦争準備を加速させるばかりだ。国会に目を転じれば、本来あるべき与野党の対決軸がどこにあるのかも定かでないありさまだ。
そんな中、私たちは毎年開いてきたJCJ広島「不戦のつどい」を、今年は9月から12月13日に変更し、共同通信の石井暁編集委員=写真=を講師に迎えた。
今年の8・6を前に、防衛省担当30年を超すベテラン記者が暴いた事実はこうだ。
日米両政府が有事を想定した机上演習をこれまで複数回実施し、そこで米軍が核兵器を使用するシナリオが議論された。昨年の机上演習で自衛隊は米軍に「台湾有事」に際し、中国に「核の脅し」をかけるよう再三求め、米軍も最終的に同意した――。この特ダネは私たちの記憶に新しい。
石井さんは「つどい」で、「今、目の前で進む対中戦争の現実」と題し、取材で得た事実を丁寧につないだ特ダネの裏側を公開した。
100人を超す市民が集まり、ジャーナリストも少なからずいた会場からは「報道で次々と知らされる事柄が一つにつながった。『台湾有事』とは何か、政府が何をしようとしているのか理解できた」との声をはじめ、35人から質問や意見が文書で寄せられた。その中には、現場の記者からの「『本当のことを書く記者』になるため、組織の内部に協力者をつくるやり方を教えてほしい」という要望もあった。
広島支部は今年の「不戦のつどい」を、戦後80年の「12・8」を見据えて企画した。日本が真珠湾とマレー半島で米英を奇襲攻撃し、侵略戦争をアジア・太平洋に拡大した「12・8」は突然起きたのではない。
それは明治以降、日清、日露、日中の戦争で日本が積み上げた領土拡張、権益拡大が行きついた先にほかならない。だが、高市早苗内閣は、この歴史の事実と真摯に向き合おうとしない。
昨今の大軍拡や首相の台湾発言、さらには与野党挙げての「スパイ防止法」制定の動きなど、戦争に向けてひたすら走り続ける現実とその危険性を、メディアはどれほど伝えているか。私たちはそんな思いを込めて「不戦のつどい」を準備し、今後の課題を得ることができた。
それは「対話」することの大切さだ。対話するには、相手の思いにしっかり耳を傾けなければならない。21世紀のこの時代が持つ、さまざまなファクト(事実)を共有し、自らの思想をかたちづくる決意を新たにした。
私たちは、高市政権や同調勢力の国家観に基づく社会とは異なる社会のあり方を、主権者として示す必要に迫られている。それは市民一人ひとりが自らの希望を語りあい、その希望の中にこそ生きるための根拠があることを示すということだ。
私たちには、そのためにお互いの要求を確かめ合い、対話を通して一致点を見つけ、共に動く運動のあり方を構築することが求められている。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2025年12月25日号
2026年01月30日
【NHK】井上新会長に公開質問状を1月26日に提出=市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会
2026年1月26日
日本放送協会会長 井上樹彦殿
【公開質問状】
井上樹彦NHK新会長体制発足にあたり、健全な民主主義の発展に貢献する公共放送・公共メディアにするよう強く要望し、次に記す6点について、誠実かつ具体的な回答をお願いします。
市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会
共同代表 河野 慎二(日本ジャーナリスト会議運営委員)
丹原 美穂(NHKとメディアの今を考える会共同代表)
永田 浩三 ( 武蔵大学名誉教授 )
私たち「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は、公共放送・公共メディアNHKは、日本社会になくてはならない重要な報道機関であると認識しております。そこで、昨日NHK会長に就任された貴殿には、NHKの自主自律を堅持し、職員・スタッフ・出演者などの人権を守る取り組みを積極的に推進し、情報公開を徹底して経営の透明化を図り、正確で質の高い番組を放送・配信することで、NHKが真に日本の民主主義の発展に貢献できるよう経営に取り組んでいただきたいと強く願っております。
つきましては次の6点の質問にお答えいただきたく存じます。
(1)貴殿は昨年12月9日に記者会見で、政治圧力に屈したり忖度することは、「(報道機関の)一番根幹の大事な生命線を傷つけることになる」と述べました。一方、昨年11月30日付の「朝日新聞」は元政権幹部の証言をもとに、3年前の稲葉延雄会長就任の際の人事は、岸田文雄首相・麻生太郎副総裁・茂木敏充幹事長が「ナンバー2、ナンバー3も含めたパッケージで決めた」とする記事を掲載し、井上副会長の就任は政府・与党の指名であったことを明らかにしました。このように政権からナンバー2として選出された関係にある井上新会長が、政治圧力に抗ってNHKの放送の自主自律を堅持することができるのでしょうか。
(2)NHKの記者は日々血のにじむような取材を積み重ね出稿しても、放送に流れることはそのごく一部にすぎないことが繰り返されています。その結果、優秀で有能な記者の中には、失望してNHKを去っていく者がいます。こうした蛇口が詰まった不健全な事態を、政治部記者としての豊富な経験を持つ貴殿はどのように改善しようと考えておられるでしょうか。
(3)公共放送NHKはいま、ネット展開も本来業務とするという大きな転換期にあります。その中で視聴者にとっては、NHKが新しい時代にどのようなメディアであろうとしているのか、将来ビジョンが共有されているとは到底言えません。公共放送・公共メディアのリーダーとして、NHKで働くひとたち、そして視聴者にたいしてどのような建設的な対話や議論の場をつくろうとされるのか、ぜひお聞かせください。
(4)中居正広氏の女性アナウンサーへの性加害を発端としたフジテレビ問題をきっかけとして、民放各局は人権方針の実施体制の整備や被害救済窓口の設置などに取り組みましたが、NHKは新たな取り組みは何も行っていません。NHKとして今後、職員だけではなく、番組制作会社の社員・スタッフ、出演者などの被害者救済窓口の設置や救済制度の確立などについて、どのような体制整備を行う予定でしょうか。
(5)ジャニー喜多川氏による性加害問題について、TBSは外部の弁護士も含めた特別調査委員会を設立して調査を行い「調査報告書」を公表しましたが、NHKは何の調査も行っていません。NHKの709リハーサル室で頻繁にジャニーズ・ジュニアのオーディションが開催され、そこで選ばれた少年たちが性被害に遭っていました。ジャニー氏は「ザ少年倶楽部」への出演を餌に少年たちを誘き寄せ、709リハーサル室で狩をしていたのであり、これは公共放送NHKが子どもへの性加害に加担してしまった深刻な問題です。NHKは第三者委員会を設置して調査・検証を行い、再発防止策を策定すべきだと考えます。実施するつもりはないのでしょうか。
また、実施するのであれば、どのような構成員で第三者委員会を設置していくのでしょうか。
(6)NHKの職員の懲戒処分の公表には不可解なものが多く、隠蔽が疑われています。例えば、2024年12月25日にNHKは経営企画局と人事局の専任局長を兼務する人物(50代)を「降格と停職3か月」の懲戒処分にしたと発表しました。その理由は「人事などの機密情報」を他部署の副部長と多数共有したというものでしたが、このような理由で「降格と停職3か月」という処分はあまりにも重く不自然です。処分を受けた職員は経営計画の策定や総務省対策などを担っていた人物であり、懲戒処分の真の理由はコンサル企業がらみの不正だったという情報があります。情報公開の徹底を図るためにも事実を公表すべきです。公表するか否かのお考えをお聞かせ下さい。
具体的で誠意ある実質的な回答を求めます(回答期限は2026年2月末日)。
【本件の連絡先】市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会
事務局長 長井暁:E-mail:akatuki62@nifty.com
日本放送協会会長 井上樹彦殿
【公開質問状】
井上樹彦NHK新会長体制発足にあたり、健全な民主主義の発展に貢献する公共放送・公共メディアにするよう強く要望し、次に記す6点について、誠実かつ具体的な回答をお願いします。
市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会
共同代表 河野 慎二(日本ジャーナリスト会議運営委員)
丹原 美穂(NHKとメディアの今を考える会共同代表)
永田 浩三 ( 武蔵大学名誉教授 )
私たち「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は、公共放送・公共メディアNHKは、日本社会になくてはならない重要な報道機関であると認識しております。そこで、昨日NHK会長に就任された貴殿には、NHKの自主自律を堅持し、職員・スタッフ・出演者などの人権を守る取り組みを積極的に推進し、情報公開を徹底して経営の透明化を図り、正確で質の高い番組を放送・配信することで、NHKが真に日本の民主主義の発展に貢献できるよう経営に取り組んでいただきたいと強く願っております。
つきましては次の6点の質問にお答えいただきたく存じます。
(1)貴殿は昨年12月9日に記者会見で、政治圧力に屈したり忖度することは、「(報道機関の)一番根幹の大事な生命線を傷つけることになる」と述べました。一方、昨年11月30日付の「朝日新聞」は元政権幹部の証言をもとに、3年前の稲葉延雄会長就任の際の人事は、岸田文雄首相・麻生太郎副総裁・茂木敏充幹事長が「ナンバー2、ナンバー3も含めたパッケージで決めた」とする記事を掲載し、井上副会長の就任は政府・与党の指名であったことを明らかにしました。このように政権からナンバー2として選出された関係にある井上新会長が、政治圧力に抗ってNHKの放送の自主自律を堅持することができるのでしょうか。
(2)NHKの記者は日々血のにじむような取材を積み重ね出稿しても、放送に流れることはそのごく一部にすぎないことが繰り返されています。その結果、優秀で有能な記者の中には、失望してNHKを去っていく者がいます。こうした蛇口が詰まった不健全な事態を、政治部記者としての豊富な経験を持つ貴殿はどのように改善しようと考えておられるでしょうか。
(3)公共放送NHKはいま、ネット展開も本来業務とするという大きな転換期にあります。その中で視聴者にとっては、NHKが新しい時代にどのようなメディアであろうとしているのか、将来ビジョンが共有されているとは到底言えません。公共放送・公共メディアのリーダーとして、NHKで働くひとたち、そして視聴者にたいしてどのような建設的な対話や議論の場をつくろうとされるのか、ぜひお聞かせください。
(4)中居正広氏の女性アナウンサーへの性加害を発端としたフジテレビ問題をきっかけとして、民放各局は人権方針の実施体制の整備や被害救済窓口の設置などに取り組みましたが、NHKは新たな取り組みは何も行っていません。NHKとして今後、職員だけではなく、番組制作会社の社員・スタッフ、出演者などの被害者救済窓口の設置や救済制度の確立などについて、どのような体制整備を行う予定でしょうか。
(5)ジャニー喜多川氏による性加害問題について、TBSは外部の弁護士も含めた特別調査委員会を設立して調査を行い「調査報告書」を公表しましたが、NHKは何の調査も行っていません。NHKの709リハーサル室で頻繁にジャニーズ・ジュニアのオーディションが開催され、そこで選ばれた少年たちが性被害に遭っていました。ジャニー氏は「ザ少年倶楽部」への出演を餌に少年たちを誘き寄せ、709リハーサル室で狩をしていたのであり、これは公共放送NHKが子どもへの性加害に加担してしまった深刻な問題です。NHKは第三者委員会を設置して調査・検証を行い、再発防止策を策定すべきだと考えます。実施するつもりはないのでしょうか。
また、実施するのであれば、どのような構成員で第三者委員会を設置していくのでしょうか。
(6)NHKの職員の懲戒処分の公表には不可解なものが多く、隠蔽が疑われています。例えば、2024年12月25日にNHKは経営企画局と人事局の専任局長を兼務する人物(50代)を「降格と停職3か月」の懲戒処分にしたと発表しました。その理由は「人事などの機密情報」を他部署の副部長と多数共有したというものでしたが、このような理由で「降格と停職3か月」という処分はあまりにも重く不自然です。処分を受けた職員は経営計画の策定や総務省対策などを担っていた人物であり、懲戒処分の真の理由はコンサル企業がらみの不正だったという情報があります。情報公開の徹底を図るためにも事実を公表すべきです。公表するか否かのお考えをお聞かせ下さい。
具体的で誠意ある実質的な回答を求めます(回答期限は2026年2月末日)。
【本件の連絡先】市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会
事務局長 長井暁:E-mail:akatuki62@nifty.com


