2024年02月03日

【焦点】ガザ戦争 即時人質解放と停戦 「戦場記者」須賀川氏訴える=橋詰雅博

                     
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 「国境なき医師団」(MSF)日本事務局は、パレスチナ自治区ガザから帰還した日本人スタッフ2人とTBSテレビ前中東支局長の須賀川拓氏=写真=らを交えガザで深刻化する人道危機などをテーマにしたトークイベントを昨年12月11日都内で行った。2019年から中東を始め世界の紛争地を駆け回った須賀川氏は、それまでの映像記録をベースに自ら監督したドキュメンタリー映画『戦場記者』を22年末に公開した。
 ガザに何回も取材で入った須賀川氏は「ガザは天井のない監獄と言われているが、監獄はすなわちプリズンじゃないですか。確かにイスラエルにテロ行為を繰り返すハマス戦闘員はいるが、罪を犯した、悪いことをした人はほとんどいない。天井のない収容所という方が適切だと強く思っている」と人口約223万のガザをこう表現した。

 ガザを実効支配するイスラム組織ハマス(イスラム抵抗運動のアラビア語略)がイスラエルに奇襲攻撃した10月7日の2日後の9日にイスラエルに入った須賀川氏は、ガザに入ることは叶わなかったがイスラエルで3週間滞在し取材。
  須賀川氏が言う
「牙をむいたイスラエルはガザの全員を抹殺するかのような行動です。恐怖を覚える人は多いと思う。一方ハマスもロケット弾などで無差別攻撃している。イスラエルからのしっぺ返しで多くの住民が死ぬことを考えられなくなっているのだろうか」「(国際赤十字委員会が1971年提唱した民間人保護など戦争のルールを定めた)国際人道法に基づき双方は平等に裁かれるべきです」
 ただし容赦しない攻撃をガザに浴びせるイスラエルの方が罪は相当に重いのは明白だ。

 イスラエルもハマスもSNSなどでフェイク情報を平気で発信を続けているので、騙されてはいけないという須賀川氏は「特に過激な情報は拡散する、信じ込む前にちょっと一拍置く。MSFのような信頼できる発信元か確認が必要」とアドバイスした。
 日本人ができることは何かについて須賀川氏は「(原油の9割以上を中東に依存している)日本は中東安定のためパレスチナに経済自立支援を行い、イスラエルとも経済交流など関係は深い。両方につながりがある稀有な国」と日本の立場を指摘したうえで「対立は終わらないだろうから、関心を長く持ち続けることが大きなタスク」と語った。

 そして須賀川氏は「人命を救うため即時の人質解放と停戦」を訴えた。第三国の仲介によるイスラエルとパレスチアの和平交渉はそれが済んだ後だという。
  JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年1月25日号
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2024年02月02日

【オピニオン】政治資金の闇あらわ 「裏金づくり」政権揺るがす「政治とカネ」に切り込め=丸山重威

  23年暮れ、政界を揺るがす「政治資金パーティ」裏金疑惑は当初、カネの流れを記帳しない杜撰な会計処理による「記載漏れ」の政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)と思われていたが、「パーティ」を隠れ蓑にカネ集めをし、権力をカネで支配する「裏金つくりの宴」だったことが明らかとなり、当初の「安倍派の政治資金パーティ」問題から、自民党の各派閥にまたがる「政治とカネ」の大問題となって国民の信を失い支持率低下にあえぐ岸田政権を直撃。「政治とカネ」に加え、自民党内に「選挙のカオ」を巡る政局まで生じる事態となった。一方、本来なら疑惑「解明の主役」であるべきメディアは、検察にその座を奪われ後追い取材に終始。政界とは別の大きな課題を抱え込むこととなった。
                     □
 問題を告発したのは、政治資金問題を追及し続ける神戸学院大・上脇博之教授。赤旗日曜版22年11月6日号が報じたことから調べを進めた。

告発に特捜動く 
 11月2日、共同通信などが「自民党5派閥の政治団体が政治資金パーティ収入を2018〜21年分政治資金収支報告書に過少記載している、と政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)で、東京地検特捜部に告発状が出されていた」と報道。
 問題がクローズアップされ、過小申告額は、清和政策研究会(安倍派)が約1900万円、志帥会(二階派)約950万円、平成研究会(茂木派)約600万円、志公会(麻生派)約400万円、宏池会(岸田派)が約200万円。総額は4000万円などと報じられた。
 地検が動いてその後、安倍派の不記載額は「1億円超」から「5億円」へと膨れ上がった。

裏金のカラクリ
派閥の政治資金パーティは、大量のパーティ券を政治家に割り当て、ノルマを超えた代金を派閥が政治家にキックバックする。そのカネを政治家が自分の政治資金団体に入れ、報告書に記載すれば問題はない。だが、派閥が「政治資金団体の報告には載せるな」と指示していたことで、特捜部は「組織ぐるみの裏金つくり」と見たようだ。
 安倍派は、安倍晋三氏の下、塩谷立会長、下村博文元文科相、世耕弘成参院幹事長、萩生田光一政調会長らが実権を握り、会計の事務総長を松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、高木毅国対委員長(22年から)らが務めてきた。

4閣僚を解任
 地検特捜の捜査が報道される中で、安倍派の閣僚4人、副大臣、政務官合わせて15人や自民党役員(萩生田、世耕、高木氏)も辞任を余儀なくされる状況になった。
結局、閣僚と副大臣は交代、若手の政務官については、大半が留任する形になり、12月14日、4閣僚が辞任、後任の官房長官に林芳正前外相、経産大臣に齋藤健前法相、総務大臣に松本剛明前総務相、農水大臣に坂本哲志元地方創生相が就任、副大臣5人と政務官1人も交代した。

メディアの役割は
 今回問題にされているのは、自民党の派閥による、党と同じ形の資金集めパーティでの裏金作りだが、政党には巨額の政党助成金が支出され、馳・石川県知事の口から明かされた内閣機密費もすべて国民の税金だ。
 カネで政治が歪められている事実は、この一件でいまや隠しようもなくなっている。
 今回の報道を「自主取材」と言っても結局、内実は検察のリークと示唆に引きずられ、政界の「観測」に乗った性格が強いとの印象は避けられない。
 捜査の行方は予断を許さないが、「報告書」やそれ以外の客観的事実の分析から核心をあぶり出すことが中心にならなければならないとすれば、検察が動くまで報じなかった多くのメディアは、またも赤旗に敗け、上脇教授に負けたことになる。
 問題の核心は、当然、政党助成金をどうするか、企業・団体献金をどうするか、内閣機密費をどうするかにある。
 メディアの課題は山積しているが、「政治とカネ」の問題は見過ごしてはならない問題だ。
メデイア本来の役割である権力監視の力を見せてほしいものだ。

                退陣もあり得る政局に

 疑惑の影響か岸田内閣の支持率は、時事通信調査(12月8日〜11日)で17・1%、不支持58・2%、毎日新聞(18〜19日)では、16%、不支持79%、とうとう10%台に転落した。「パー券裏金疑惑」が発展した結果だ。果たして、これで政権は持つのか? 検察の捜査にもよるが、政局は新年早々の岸田退陣もあり得る情勢になっている。
 一日も長く政権の座に居たいという岸田首相にとって、自民党総裁としての再選を確実にするためにも、いつ解散・総選挙が打てるかは大きな課題だった。ところが、ここで勃発した政治資金パーティ問題は、「清和会」にとどまらず、官房長官と3閣僚、副大臣5人、政務官6人にも直接関わる問題とわかり、支持率も低下、政権の存亡にも関わる事態になった。

党のカオ交代も?
 岸田政権は、安倍政権の安保法制に続く「安保3文書」で、敵基地攻撃を可能にし、防衛費の増額、NATOへの接近、中国包囲網―と米国の意向に沿った政策を次々と打ち出した。まさに安保政策の転換で、「安倍政治」を完成させた。
 これまでも、自民党は適当に「顔」を変え「目先」を変えながら、一貫して、対米追随・軍事強化・憲法無視の路線を続けてきたが、24年11月の米大統領選も控え、「首相交代期」に来た、との見方もある。年明け早々からの政局からも目が離せない。 
       JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号 


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2024年02月01日

【JCJ神奈川支部】防衛大学校いじめ裁判「連鎖する暴力と蔓延する人権侵害」原告代理人弁護士が講演 2月23日(祝・金)午後2時から4時

 2019年9月に横浜地裁に提訴された防衛大学校いじめと人権侵害裁判が、2023年12月12日に結審しました。今年5月には判決を迎えます。

防衛大学校在学中に執拗にいじめを受けた末、声が出せなくなるなど肉体的・精神的なダメージを受けたAさんは、なにも聞き入れられず、かえって退校処分となり、自衛官への道を絶たれました。そのためAさんは、執拗にいじめを加えた上級生と、防衛大学校(国)を相手取って、損害賠償請求の裁判を起こしました。

防衛大学校は全寮制で、閉鎖的な生活環境の中で、上級生のいじめや暴力により退学する学生が後を絶ちません。上級生が下級生を指導する「学生間指導」についても、ガイドラインはあるものの暴力やいじ めの原因となっています。

折から自衛隊では、繰り返されるセクハラなどが問題となっており、 防衛大学校における人権侵害は、最近あいついで明るみに出た自衛隊内のパワハラ・セクハラの温床となっています。

元自衛官の五ノ井里奈さんの事件に判決が出たこともあり、今この問題を考えます。裁判の原告側代理人である田渕大輔弁護士(横浜合同法律事務所)に、詳しいお話をうかがいます。

会場 :かながわ県民センター 305会議室(横浜駅西口徒歩5分、ヨドバシカメラ裏)
参加費 :500円
問い合わせ :保坂  080−8024−2417fdhosaca@theia.ocn.ne.jp 主催 :日本ジャーナリスト会議(JCJ)神奈川支部
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2024年01月30日

【おすすめ本】猫塚義夫・清末愛沙『平和に生きる権利は国境を超える パレスチナとアフガニスタンにかかわって』─人道支援を続けてきた医師と法学者が鋭く問う=香山リカ(精神科医)

 アフガニスタンやパレスチナで起きている人道危機。ニュースでは知っていても、それが世界地図のどのあたりで起きているのか分からない、という若者もいる。彼らに関心を持ってもらうのに必要なのは、「具体的な話」だ。
 本書は、北海道パレスチナ医療奉仕団の団員として、アフガニスタンやパレスチナで、人道支援を続けてきた法学者と医師による対話集である。
 両人とも学術的バックグラウンドを持つ“行動の人”だ。過去の支援活動においてガザ地区の病院で手術をしていたら停電になり、看護師たちがスマホの灯りをかざして手元を照らしてくれた、といった猫塚医師の話にリアリティを感じない人はいないだろう。

 こういった生々しい話が続いたあと、ふたりは日本国憲法が持つ先駆性について語る。とくにその前文に、日本国民のみならず全世界の国民が、「平和のうちに生存する権利を有する」と謳われていることの意義だ。
 清末教授は言う。「私たちの活動は国境を越えた活動に見えるでしょう。それは間違いではありませんが、同じレベルで足元の日本の社会での平和的生存権の実現をめざすことが肝要です。足元を見ずに、国境を越えて活動はできません。」

 さらにふたりは、先住民族アイヌが住む土地を収奪して成り立った歴史を持つ北海道の団体が、イスラエルに植民地化されたパレスチナにかかわる意義にも触れる。実は私も北海道パレスチナ医療奉仕団のメンバーである。まだ現地を訪れたことはないのだが、事態が少しでも落ち着いたら必ず医療支援に出かけたい。(あけび書房1600円)
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2024年01月29日

【焦点】万博総額14兆円、これで打ち止めではない、維新崖っぷち=橋詰雅博

 2025年4月に開催するという大阪・関西万博への批判が高まる一方だ。
その原因は膨れ上がるばかりの費用にある。政府が昨年末に公表した試算では、運営費1160億、会場設営費2350億、万博にかかわるインフラ整備費8390億だ。17年の誘致立候補申請時と比べると、運営費1・4倍、会場設営費1・8倍、インフラ整備費10倍にもハネ上がっている。このため合計1兆1900億に増えた。

 この要因は@会場の夢洲(ゆめしま)への電気、上下水道、交通などの整備が必要A廃棄物、建設残土、浚渫土砂などで埋め立てた夢洲は軟弱地盤、土壌汚染の対策が必須、B資材や人件費の高騰などだ。

 費用はさらにかさむ。万博に向けた行動計画事業「空飛ぶクルマ」実証実験など約3兆4000億、万博に便乗した大型開発と指摘されている中国・四国地方の道路整備や河川改修などインフラ整備費用約9兆が試算されている。なんと総額約14兆という金額になる。当然ながらこれには多くの血税が使われる。

 しかもこれで打ち止めではない。この先まだまだ増えると予測されている。万博と密接につながるIR(カジノを含む総合リゾート施設)開設も目指しているからだ。だからどの世論調査でも万博開催は、反対が多数を占める。運営費の多くを賄うのは入場料収入だが、「万博チケットを購入したいと思わない」は79%(23年12月17付毎日新聞)にものぼる。

 関西学院大学法学部の冨田宏治教授は「大阪・関西万博をめぐる総額14兆円という法外な関連費用が問題になっています。『税金の無駄遣いを許さない』という日本維新の会の旗印がブーメランのように維新を襲い始めています。万博問題は維新のアキレス腱≠ノなろうとしています。維新支持層の中でも『万博不要』の声は高まっている(12月17日付毎日世論調査では7割強)」と述べている(1月27日付新婦人しんぶん)。

 岸田政権は即刻、万博を中止し、能登半島地震の被災地支援と復興のためにカネ、ヒト、モノを最大限投じるべきだ。これが今やるべき最優先の政策ではないか。

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2024年01月28日

【おすすめ本】春増翔太『ルポ歌舞伎町の路上売春 それでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち』―摘発リスク高いのになぜ「売る]? 彼女たちの再生のヒントを提供=坂爪真吾(NPO法人風テラス理事長)

 繁華街での路上売春は、極めて摘発リスクの高い行為である。普通に考えれば「なぜわざわざそんな危ない真似をするのか」「風俗店やアプリで相手を見つければいいのでは」と思うだろう。
 売買春に関わる男女にとって、路上のメリットは「相手の顔が見える」ことにある。風俗店ではサービスの直前まで相手の顔が見えない。アプリを介した出会いでも同様だ。売り手と買い手の双方にとって「事前に顔が見える」ことによる安心感は大きい。

「今すぐ現金が得られる」という点もメリットだ。風俗店で働くためにも、面接や身分証の提示などが必要になる。路上であれば、そうした手続きを踏まずに、その場で稼げる。
 本書は、こうした「都合の良い果て」で生きる女性たち、その背後にある社会課題について、丹念な取材を通して明らかにした力作である。
路上売春の背景には虐待歴や精神疾患などの福祉的な課題があるが、彼女たちにとって福祉は「都合の良くない」世界である。シェルターに入ればスマホは使えないし、夜職で稼ぐこともできなくなる。しかし、「都合の良い果て」にもずっといられるわけではない。

 取締や啓発と並行して、彼女たちが「都合の良くない世界」でも生きられる耐性やスキルを身に着ける機会を提供すること。そのために必要な他者との関係性を再構築し、社会への信頼を取り戻すこと。困難な茨の道だが、本書の中には、それらを実現するためのヒントがたくさん詰まっている。(ちくま新書900円)
              
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2024年01月27日

【焦点】一編の詩がガザの希望と絶望を引き起こす=橋詰雅博

  パレスチナ自治区ガザの住民に希望を与えた詩がある。詩人でジャーナリストのアハマドが2018年ネットにあげたもので、こんな詩だ。

 私は空を飛ぶ鳥を見上げた/鳥たちは有刺鉄線の塀を隔てた両側の木々の間を自由に飛び回っていた/なぜ私たちは単純なことを複雑に考えるのか/行きたいところへ鳥のように自由に行くことは人間の権利ではないだろうか/これ以上に単純なことはないではないか/鳥は飛びたいと思うから飛ぶのだ

 日本AALA(アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)連帯委員会の昨年末のオンライン学習会で講演した中東問題研究家の平井文子氏は、そして彼は平和的な手段による抵抗運動を提案したという。平井氏が続けた。
 「もしも、何千何万のパレスチナ人が平和裏に行進し、1948年(イスラエル建国宣言、大量のパレスチナ人が難民に)以来排除されてきた土地から切り離すフェンスを越えたら何が起きるだろうか。非暴力的な民衆行動がパレスチナ人の権利を取り戻し、世界最大の天井のない監獄から彼らを解放すると信じた」

 実際、この年の3月からガザの大帰還行進が実現した。厳重に武装化されたフェンスに向けて行進が毎日のように続いた。それに呼応して、イスラエルの反シオニストグループ(パレスチナの地にイスラエル国家をつくることに反対する組織)が彼らを歓迎するためにフェンス近くまで行った。お互いに手を振り、携帯電話で話した。こうした平和的な抗議活動は1年以上続いたが、イスラエルは強権的な弾圧により抗議活動を鎮圧した。

 「フェンスに常駐するイスラエル軍のスナイパーが参加者をテロリストと決めつけ標的にした。合計214人が射殺され、3万6100人が負傷した。こうしたガザの人たちの平和的な反占領闘争に対するイスラエルの暴力的な仕打ちをマスメディアはほとんど伝えなかったのです」(平井文子氏)
 一編の詩がガザの希望と絶望を引き起こした。悲しくてやりきれない話ではないか。

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2024年01月26日

【出版トピックス】能登半島地震が招いた2つの出来事、そして本屋「書楽」再開=出版部会

■「インプ稼ぎ」
 能登半島地震が発生した直後から、12年前の東日本大地震で起きた大津波の動画を、自分の動画に貼り付け、あたかも能登地震に関係するかのように装い、Xに投稿するユーザーが急増した。
 これはフェイク動画を付けて「アッと驚かせ」、アクセス回数を増やし、広告収入を見込む金儲けを目的にした「インプレッション(表示回数)稼ぎ」が指摘されている。
 2023年夏にX社のイーロン・マスクが導入し展開している「広告収益分配プログラム」が悪用され、フェイク拡散を助長させている。
 この「広告収益分配プログラム」とは、有料サービスの「Xプレミアム」に登録したアカウントを使い、特定の条件を満たしたユーザーの投稿に「返信」の形で広告が掲載されると、広告収益の一部がユーザーに分配されるプログラムだ。こうしたフェイクを助長しかねない「インプ稼ぎ」には、何らかの規制が必要ではないか。

■本送らないで
 能登半島地震の被災地へ送られる「迷惑な支援物資」が問題となっている。賞味期限が切れている食品類、すでに使ったと思われる衣類や消耗品の残り、たとえ善意からの支援だとしても、現地では扱いに困っているのが実情だ。
 そんな中、「日本図書館協会」は、被災地以外に住む一般の人々に向け「被災地や避難所に直接、本は送らないでください」と呼びかけている。阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験から、「被災地に本を送っても、読書ニーズよりも被災の片づけ作業にてんてこ舞いの上、置き場所がなく廃棄せざるをえないケースが出た」という。
 それでは、どう支援すべきか。日本図書館協会は、被災地の県立図書館と連絡を取り合い、設備を復旧した後に本を補充する援助に傾注したいとする。本を直接送るのではなく資金援助により、各図書館が現地のニーズや要望に合わせた本を選書し揃えていく手助けだ。「図書館災害対策のための指定寄付金」も募集している。

■営業を継続
 東京のJR中央線阿佐ヶ谷駅前南口のロータリーにある書店「書楽」は、ビル1階の110坪を擁し43年間営業してきたが、今年1月に閉店を表明していた。その後、閉店を惜しむ声が大きくなり、八重洲ブックセンターが店舗を引き継ぎ、2月中旬には再オープンすることになった。
 この営業継続に多くの人々が慶び、応援しているという。とりわけ東京都内でも区市町村62自治体のうち7自治体が書店ゼロ、書店1軒の自治体と合わせれば2割に近い。書店が減ることへの危機感が広がり、「町の本屋さん」存続への取り組みが、業界内外で共有されるようになってきた成果である。
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2024年01月25日

【ジャーナリスト講座】前篇1回分=須貝道雄

 記者をめざす学生向けにジャーナリスト講座を10月から6回シリーズで開いた。その内容を報告する。
                 
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時系列で書かない工夫
★作文講座・報道の文章をどう書くか 朝日新聞・教育コーディネータ―の岡田力さんがオンラインで担当。文章論を述べた後、受講生の作文「声」を一つ一つ批評した。冒頭、「作文の秘訣」について作家・井上ひさしさんの言葉を紹介し、「自分にしか書けないこと」を書くのが肝要で、それは自分の経験を字にすることだと指摘した。
             
 学生の作文で多いのは、ことの順番通りに時系列でものを書いてしまうこと。最初は現在から始まり、次の段落で過去にさかのぼるなど変化をつけ、時系列で書かない工夫を心掛けた方がよいと提案した。
 また文章を構成する四つの要素@場面・シーンAかぎ括弧でくくる会話B地の文・説明文Cエピソード・経験――を意識し、これらをうまく組み合わせると、文が生き生きすると語った。

 作文のテーマである「声」を辞書でひくと、動物の声や虫の声、鐘の声、風の声、世論を示す人々の声と意味は多様だ。与えられた題から連想することが大事で、他の人が使わないだろう「声」を書いた方が目にとまりやすくなると助言した。
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号
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2024年01月23日

【ジャーナリスト講座】前篇2回分の内容=須貝道雄

 記者をめざす学生向けにジャーナリスト講座を10月から6回シリーズで開いた。その内容を報告する。
自分で企画する面白さ
◆記者の仕事と昨今のメディア就活事情 初回は10月9日、東京の会場で開いた。講師を務めた共同通信・新崎盛吾さんの記者歴は30年超。「この仕事に人生をかけて良かったと今でも思える」と記者職の魅力を語った。
 いま、新聞記者は「花形の職業」ではない。働き方がブラックだ、新聞の影響力が落ちた、ネットでたたかれる、といった負のイメージがある。しかし、取材して情報を発信する専門職としての仕事はなくならない。新聞も規模縮小はあっても「あと40〜50年はあるだろう」と予測した。

 新人で赴任した山形支局で新崎さんは「週に1本暇ネタ(急ぎではない話題)を書く」を目標にした。成田支局時代は空港反対派農民と酒の付き合いを深め「自分の興味にはまった」。これを機に北朝鮮や日本赤軍に関心を持ち、よど号ハイジャック事件やテルアビブ空港乱射事件の犯人のインタビューを手掛けた。「海外の日本人の取材を自分の企画でできた。これが記者の面白さ」と裁量の幅の広さを強調した。
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遅い防衛省の情報開示
◆若手記者が取り組む沖縄報道 10月15日にオンラインで開催した。講師のNHK沖縄放送局・宮原啓輔記者は1993年生まれ。2019年、新人で那覇に赴任し、今年から沖縄中部支局(沖縄市)に移り、名護市辺野古の米軍基地建設現場も取材している。
 支局から嘉手納基地までは車で10分。平日は朝から上空を旋回する米軍機の騒音に悩まされ、大音量の米国国歌を出勤時に聞く。基地の島を実感している。最近の特徴は「南西諸島防衛強化」に伴い、自衛隊のニュースが増えたことだ。防衛省の関係者は「今まで5年間でやった仕事を、ここ1年でやっている」と話した。

 問題は防衛省の情報開示が遅いことだという。前日や前々日になって「しれっと急にプレスリリース(発表文書)を出す」。10月に陸上自衛隊のオスプレイが沖縄に飛来し、初めて石垣島の民間空港に着陸した際も、事前には明示せず、メディアが飛来計画を報じた後に公表した。安全保障は大事というが、ツケを払うのは地元の人たち。そこに目を向けてほしいと思いながら取材していると語った。
    
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    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号
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2024年01月22日

【支部リポート】北九州 大型弾薬庫 抗議の声 民間空港も「強靭化」=杉山正隆

  陸上自衛隊大分分屯地(大分市鴛野、通称=敷戸弾薬庫)周辺の住民らが今年8月11日、集会を開き、「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」を発足させた。分屯地に隣接する団地住民、分屯地近くに立地する大分大学の元教員ら200人が参加して「大分に大型弾薬庫はいらない」と声を上げた。
 住民らは分屯地前で着工に抗議する声を上げ続けているが、国は11月29日、同分屯地などに45億円を投入して敵基地を攻撃する「スタンド・オフ・ミサイル」を保管する大型弾薬庫2棟の着工を開始した。分屯地内の山に約60メートルと約50メートルのトンネルを掘り、地中に弾薬庫を設置する。1棟目は2025年12月、2棟目は26年度中の完成を予定。来年度に湯布院駐屯地(大分県由布市)に配備される新たなミサイル連隊と一体化した運用が見込まれる。

 共同代表の1人、賀来進・県保険医協会副会長は「近隣には多くの住民が暮らしている。外国を直接攻撃できる長距離ミサイルを保管する弾薬庫は『標的』となる。抑止力を強化しても戦争は防げない。平和と生活を守るため、国は努力を惜しむべきで無い」と話す。
 九州最大規模ともされる富野分屯地(北九州市小倉北区)が住宅地にあり、北九州空港の滑走路3000m化や航空自衛隊築城基地(福岡県築上町)での日米合同訓練などが行われており、北九州支部は軍拡の動きを監視することを決めた。

 昨年12月に策定した「国家防衛戦略」で、政府は組織的な戦いを継続する能力を確保するため、5年かけて弾薬庫を増設する方針を打ち出した。青森県むつ市の海上自衛隊大湊地方総監部にも大型弾薬庫を2棟、また全国の自衛隊施設に大型弾薬庫を6棟新設する。鹿児島県瀬戸内町の陸上自衛隊瀬戸内分屯地や、沖縄県宮古島市の陸上自衛隊保良訓練場、海上自衛隊の横須賀地方総監部や舞鶴地方総監部に通常の弾薬庫を整備する計画だ。
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号

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2024年01月21日

【フォトアングル】安保法制成立以来、96回目の19日行動=東京・衆議院第2議員会館前、酒井憲太郎撮影 

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2015年9月19日安保法制強行成立以来、廃止を求めて96回目の19日行動。主催は戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会と、9条改憲NO!全国市民アクションで「パレスチナに平和を!軍拡増税反対!辺野古新基地建設反対!改憲発議反対!」をテーマに千百名が集まった。「11月19日は沖縄で1968年にB52が墜落した日」だと、参院会派、沖縄の風の高良鉄美参議院議員が報告した。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年12月25日号 
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2024年01月20日

【23図書回顧―私のいちおし】100年先の農、食を巡るシステムとは=鈴木久美子(東京新聞編集委員)

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 平らな土地に木を植えて、落ち葉を堆肥にして土を肥やす。埼玉県西部で300年以上続いている武蔵野の落ち葉堆肥農法が今年、国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定された。自然に即した伝統的な農法が今も農業として成り立っていることが条件で、生物多様性を高め、地域の文化を培うといった点も審査される。2002年開始のこの制度では、環境、経済、文化など現代の課題を評価していることに、取材した折、感心した。

 評価の基準が変われば価値観も変わる。真田純子著「風景をつくるごはん 都市と農村の真に幸せな関係とは」(農山漁村文化協会)は、100年先に向けて農業や農村、食を巡る社会のシステムを変える一歩を探る。
 景観工学が専門の大学教授である著者は、徳島に赴任したのを機に農村の風景を研究した。石積みという伝統的な技術を身に付け、伝える活動もしている。農村の風景は農業という営みの結果であり、農家がどのような農業を行うかは、消費者の購買行動や農業政策に左右される―そうした関係性を「風景をつくるごはん」と名付けた。

 高度成長以降、生産性や効率を軸に農政、流通、消費が展開した結果、中山間地で過疎化が進んだのが現状だ。これからは環境を軸に据えた農業が経済的に成り立ち、農村の暮らしの豊かさにつながる風景ができないかと著者は考える。そこに関わりのない人はいない。近年いち早く環境保全の視点を組み入れたEUの農業政策も詳細に紹介し、参考になる。

 地方の過疎化はイタリアでも同様だ。島村菜津著「世界中から人が押し寄せる小さな村 新時代の観光の哲学」(光文社)は、世界的に注目される同国の「分散型の宿」と訳される取り組みを紹介している。山村で増える空き家を宿泊施設にして、自然や地元の暮らしそのものを楽しむ「本物を求める」旅の提案だ。地方と都市の豊かな関わりの模索でもある。
                   
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posted by JCJ at 01:00 | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする