2018年05月13日

【今週の風考計】5.13─「加計・森友疑惑」への追撃で進退窮まる!

「加計疑惑」をめぐる国会での柳瀬答弁が、もう出鱈目でズタズタにされた。愛媛県の中村時広知事が、面会した日付のある柳瀬氏の名刺と柳瀬発言をまとめた職員メモを公開し、反論したからたまらない。
柳瀬氏と打ち合わせをし、白々しい芝居を打たせ嘘をつかせているのは、加計孝太郎氏と腹心の友である安倍首相に他ならない。「膿を出し切る」どころか、いかに加計学園が“特別な厚遇”を受けてきたか、さらに浮き彫りとなった。

暴言居士・麻生太郎財務相の進退も窮まった。「セクハラ罪っていう罪はない」の発言、二次被害など眼中にない。「森友文書」改ざんでは「どの組織だって改ざんはありえる話。個人の問題ではないか」と応ずる。
公文書改ざんという国家的犯罪をしでかしたのに、そのトップが堂々と開き直る始末だ。しかもこれに関わった職員が自殺する事件まで出たというのに、責任を「個人」に押しつける。政治家が最低限もち合わせるべき倫理観すらない。

18日には改ざん前の「森友文書」が国会に提出される。改ざんは14件の文書で確認され、改ざん前文書の全文は本省分1件のみ公表されていたが、残る近畿財務局分の13件についての全文が提示される。かつ森友学園側とのやりとりを記した近畿財務局のメールなども数百ページ分、残っていたという。
ともあれ改ざんの動機について、どのように言及するのか。安倍首相への忖度があったのは間違いない。当時の佐川宣寿理財局長に虚偽答弁を強要し、行政だけでなく国会さえも歪めてきた安倍首相の責任は重大だ。このまま逃がすわけにはいかない。(2018/5/13)
posted by JCJ at 11:37 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月10日

≪おすすめ本≫ 樋田 毅『記者襲撃  赤報隊事件30年目の真実』─犯人を追った取材過程を明かす、「反日」攻撃にひるまぬ記者の矜持=藤森 研(元朝日新聞記者)

 1987年、朝日新聞阪神支局を目出し帽の男が襲い、銃で記者1人を殺し、1人に重傷を負わせた。その犯人を、30年間追った朝日新聞記者による書き下ろし。

 「反日朝日は五十年前にかえれ」。そんな犯行声明から、取材対象は主に右翼団体や、朝日と対立していた宗教団体の関係者に絞られた。取材は、さまざまな情報から疑いのある人物を一人ひとり「潰していく」作業だ。
 居場所を割り出し、訪れて対面し、事件との関係の有無を問う。数十人に囲まれ罵声を浴びもするが、正面から取材意図を告げる樋田記者の姿勢に心を開く右翼もいた。
 口の重いある人物とは数十回にわたり取材を重ねる。緊迫した一問一答を含め、ここまで取材過程を明かすのかと驚くほど内容は生々しい。多くの人に、事件とその意味を共有してほしいと願う著者の思いゆえだ。

 本書にも書かれた宗教絡みの「霊感商法」を、朝日ジャーナルで追及していた私にも、事件は衝撃で、阪神支局に駆け付けた。その後、朝日新聞の戦争協力を自己検証する取材を共にし、樋田記者の人柄を知った。
 正義感は強いが、力まず事実だけを追うタイプだ。30年間も特命でこの事件の取材を粘り強く続けられたのは、彼だからだと思う。いまだに犯人は不明。樋田氏は朝日を定年退職した後も、犯人を追い続けると、その覚悟を淡々と記している。

 かつては「反日」という言葉は、テロ犯にしか用いられなかった。今はネットや雑誌などに氾濫する時代となった。排外的で攻撃的な空気に、今こそジャーナリストも市民も怯んではならない。そう考えさせられる書だ。
(岩波書店1900円)
「記者襲撃」.jpg
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2018年05月06日

6月30日 夏のJCJジャーナリスト講座<記者の仕事とは何か>

テーマ「新聞記者の仕事とは何か――現場からの出発」


社会で起きる出来事を追いかけながら、新聞記者は何を見つめているのでしょうか。時の政府から見捨てられてしまった問題、そこで悩む人々。講師の朝日新聞社会部・青木美希記者はそうした声なき人々に目を凝らし、浮かび上がる不正、ごまかしを活字で追及してきました。近著『地図から消される街――3・11後の「言ってはいけない真実」』(講談社現代新書)は原発事故で福島から避難した人たちの苦悩を丹念に書きとめた好著です。記者の仕事を知るうえで、大いに参考になるでしょう。


6月30日(土)午後1時半から5時
会場:日比谷図書文化館・4階小ホール(定員50人)
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅


講師:朝日新聞社会部青木美希記者
参加費:1000円(予約が必要です)
予約:参加希望日と氏名、大学名(卒業生も可)またはご職業、電話番号、メールアドレスを明記し、下記にメールかファクスでお申し込みください。講義内容はメディア志望の学生向けですが、社会人の方の参加も歓迎します。
メール sukabura7@gmail.com
ファクス 03・3291・6478
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話03・3291・6475(月水金の午後)


青木美希記者の略歴
1997年、北海タイムス入社。北海タイムス休刊にともない、98年9月に北海道新聞入社。旭川と札幌で勤務。札幌で警察担当のときに北海道警裏金問題(2003
年11
月から約1年のキャンペーン報道)を手がける。2010年9月、朝日新聞に入社し、東京本社社会部に所属。東日本大震災では翌日から現場で取材した。2011年9月に社会部から特別報道部へ。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」などに参加。2013年、特別報道部の「手抜き除染」報道を手がける。取材班は新聞協会賞を受賞した。
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6月23日・7月15日 夏のジャーナリスト講座のお知らせ=須貝

JCJ夏のジャーナリスト講座(学生向け)

6月23日=テレビ記者疑似体感! 厳しくて、面白い。座学の濃密3h
7月15日=テレビ記者になろう!内定者・若手・ベテラン座談会

―――この職業は、本当に厳しくて、本当に面白い。志すなら、思いきりワクワクして、しっかり覚悟して、臨もう。それにはまず、現場を知ろう。「筑紫哲也NEWS23」「みのもんたのサタデーずばッと」などで、自ら取材・リポートしてきた元TBSの下村健一さんが「テレビ記者」を目指す若い世代と熱く語り、何を準備すべきか、どう向き合うべきか指導します。

6月23日(土)午後1時半〜5時=希望者には6時まで延長あり
会場:日比谷図書文化館・4階セミナールームA(定員20人)
東京都千代田区日比谷公園1−4
最寄りは地下鉄内幸町駅か霞ヶ関駅

7月15日(日)午後1時半〜5時
会場:日比谷図書文化館・4階小ホール(定員50人)

講師:ジャーナリスト・下村健一さん(白鴎大学客員教授・元TBSキャスター)
参加費:いずれも1000円(予約が必要です)


予約:参加希望日と氏名、大学名(卒業生も可)、連絡先電話番号、メールアドレスを明記して、下記にメールかファクスでお申し込みください。6月23日と7月15日の連続受講をお勧めします。
メール sukabura7@gmail.com ファクス 03・3291・6478
★7月15日に受講される方々へ・自由提出課題のお知らせ=7月7日までに、30〜90秒の自己紹介映像をつくり、無料の大容量データ転送サービス(ギガファイル便など)で上記アドレスまで提出してください。(義務ではありません。希望者のみです)映像は、スマホの横撮りで結構です。講師が批評・助言します。
主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)
電話03・3291・6475(月水金の午後1時から6時)
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【今週の風考計】5.6─北東アジアの平和と安倍政権の視野狭窄

西武新宿駅沿い職安通りの手前に、ジャージャー麺の美味しい店がある。料理人も給仕も中国人、狭い店内は若い中国人客で溢れる。
そこへ珍しく中年の在日韓国人・女性二人が訪れ、小生と円卓で隣り合わせになった。日本語も理解し喋れるので、おすすめメニューなどを教える。

さらに話が弾んで、南北首脳会談の「板門店宣言、おめでとう」と声をかけると、「ありがとう、日本人からお祝いの言葉をかけられたのは、あなたが初めて」と、握手された。このやり取りや会話が理解できたのか、向かいの中国人も頷いている。心和む出会いとなった。

9日、日中韓首脳会談が東京で開かれる。中国・韓国がそろって、北朝鮮の非核化に向けて対話を重視しているのに対し、日本は圧力政策の維持を訴えるばかり。
安倍政権は「非核化が検証可能かつ不可逆的な方法で実現するまで圧力を維持すべきだ」と、この1年叫び続けてきた経済制裁の路線を変えようとしない。これでは建設的な提言や仲介の役割など、できるはずがない。

中韓両国は「朝鮮戦争の終戦宣言や休戦協定の平和協定への転換」を目指し、朝鮮半島の平和的枠組みの構築、ひいては北東アジアの安全保障まで視野に入れ、米朝会談に備える。いまや米国のトランプ大統領すら、2万3500人に及ぶ在韓米軍の縮小を念頭に、大胆な発言をしている。
日本は米国との「異様な隷属関係」に准じているうち、国際的な激動の舞台から蚊帳の外に置かれ、今や肝心の拉致問題でも、米国・韓国にすがって、北朝鮮に取り次いでもらう体たらく。

「キャンドル革命」で誕生した韓国の文在寅大統領は、ノーベル平和賞の候補にもなり、10日には就任1周年を迎える。翻って安倍首相は、この1年、改ざん・隠蔽・セクハラのウミまみれ。哀しくないか!(2018/5/6)
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2018年05月01日

《編集長EYE》 日本は「ギャンブル依存症大国」へまっしぐら=橋詰雅博

 安倍晋三首相は日本でのカジノ解禁に前のめりだ。カジノを「経済成長戦略」と言い放ち、2016年末にカジノ解禁推進法を成立させた。そして与党の公明党を抱き抱き込んでカジノ実施法案を4月末に国会に提出し、強行成立を目論む。同法案のポイントは日本人及び国内在住外国人を対象とした入場料は6000円、日本人の入場回数は週3回、月10回まで、設置は最大3カ所だ。

 パチンコ店があちこちにある日本は、ギャンブル依存症の割合は成人の3・6%と推定されている。欧米諸国の1%台に比べて突出して高い。そこにカジノが出現したら、入場回数制限などの規制があっても、ギャンブル依存症がさらに増えると懸念されるのは当然だ。

 カジノで思い出すのは大王製紙前会長の井川意高さん。マカオやシンガポールのカジノで丁半バクチと同じようなルールのトランプゲーム・バカラの虜になった彼は、なんと106億8000円もスッてしまった。借金を返済するため子会社から金を借り入れ、特別背任容疑で11年11月に東京地検特捜部に逮捕される。最高裁で懲役4年の実刑判決が確定し、16年12月に仮出所。昨年10月に刑期が満了した。著書「熔ける」(幻冬舎文庫)によると、数百万円から20億円まで勝つなど〈億単位の勝利を収めた成功体験は忘れがい快哉をもたらした〉ことが破滅まで突き進んだ原因と書いている。

 先月取材した鶴見大学名誉教授でカジノ誘致反対横浜連絡会共同代表の後藤仁敏さん(歯学博士=解剖学)は「バクチでの勝利の味は頭から消えない」と前置きした上で、理由をこう述べた。

 「バクチで勝つと脳から快楽物質≠ェどんどんと出ます。世の中で自分ほど幸せな人間はいないという陶酔感にひたる。負けた記憶は消えるが、陶酔感はいつまでも残る。だからバクチにのめり込んで、ギャンブル依存症に陥る」

 カジノ解禁で日本はギャンブル依存症大国≠ヨまっしぐらだ。

橋詰雅博(JCJ事務局長兼機関紙編集長)


JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年4月25日号



 
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2018年04月29日

【今週の風考計】4.29─いま、若き2人の民権家の足跡を辿る

●先週、夏を思わせる一日だが、めげずに武蔵五日市へ遠出をした。新井勝紘『五日市憲法』(岩波新書)に触発されて、その源郷を見ておきたかったからだ。

●JR五日市線の終点を下車して北西に向かい、三内川を遡るようにして約50分、大内橋の手前を右に行くと、黒い板塀と白漆喰の壁がある屋敷に辿りつく。むせるような新緑に覆われ、静かな佇まいを見せていた。
●そこが深沢家の屋敷跡地である。なんと50年前の8月27日、その土蔵から千葉卓三郎が起草した、いわゆる「五日市憲法草案」が見つかったのだ。約135年前、明治15年頃にまとめた草案は、和紙24枚に細かな文字で清書され、5篇204条から構成されていた。

●なんで深沢家にあったのか? 深沢家は江戸時代の中頃に名主を務め山林地主として財をなした旧家。その長兄・権八も、村民を集め学芸懇談会を組織するなど、自由民権の普及活動に専心。さらに地元の勧能学校を通して千葉卓三郎と出会い、彼の学識を深く敬愛し憲法研究におしげもなく資金をつぎ込んだという。
●千葉卓三郎とはどんな人物なのか。その生涯がユニークだ。仙台藩の下級武士として、16歳で戊辰戦争に従軍したが敗退し、明治維新後に上京し、ロシア宣教師ニコライから洗礼を受けたり、安井息軒に入門したり、精神的遍歴を重ねた。明治13年には五日市町の小学校である勧能学校に赴任し、その後、校長になった。

●土地の平民など多くの人が憲法論議に加わることによって、「国民の権利、人権の尊重、教育権の保障、地方自治権の確立」など、今の憲法に匹敵するか、それ以上に明確な考え方を、憲法草案に盛り込むことが可能となった。
●千葉卓三郎は明治16年(1883)11月12日に31歳で、深沢権八も明治23年(1890)12月24日に29歳で夭折している。若き民権家の魂に黙祷。(2018/4/29)
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2018年04月28日

≪リレー時評≫ 読解力の劣化、民主主義の危機=吉原 功

 2月に刊行された『AI vs 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)という本の売れ行きが好調で20万部に迫る勢いだという。著者は国立情報学研究所の新井紀子教授。「ロボットは東大に入れるか」(東ロボくん)プロジェクトを率いた数学者だ。出版不況社会でこの「専門書」が多くの読者を獲得している背景はなんだろうか。毎日新聞4月17日夕刊「特集ワイド」がこの問に答えようとしている。
 「東ロボくん」が首都圏・関西圏の有名私大に合格できるレベルになったとの結果を得た新井教授は、「物事の意味を理解すること」ができないはずのAIがなぜ?と中高校生の基礎的な読解力を調査するためのテストを開発、実施する。その結果が「教科書を読めない子どもたち」の比率の圧倒的高さだった。

 テストの一例が紙面に紹介されている。「メジャーリーグの選手のうち28%は米合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国をみるとドミニカ共和国がもっとも多くおよそ35%である。」という文章を読み、示された4つの円グラフからこの文章に適合的なものを一つ選ぶというかなり易しい問題だ。ところが正答率は中学生で12%、高校生で28%だった。同じ問題をTVバラエティ番組で今年度の東大入学者に資したところ正解率は52%だったという。新井教授ならずとも衝撃を受ける数字だ。
 誤答の原因は、問題文の「以外の」「のうち」などの語句を読み飛ばしているか語法が分かってないことにあるという。そしてこうした読み方はAIと共通しているというのだ。「日本の教育は、記憶力や計算力などAIによって代替えされてしまうような能力を伸ばす方向ばかり注力していた、ということなのか」と慨嘆する記者。読解力がないのは子どもたちだけではなく大人もということである。それはSNSや日常会話での誤解や曲解に、さらにはフェイクニュースが拡散していくことにもつながる。
 新井教授が民主主義の危機と捉えるのはそのためである。「民主主義は社会を構成する市民が<論理>を土台にして議論できる」ことを前提にしている。「読解力のない」人びとが多ければ多いほど「論理」は後退していく。国会でのディスコミュニケーションはそのことを典型的に示していよう。

 働き方改革のデタラメ資料、森友・加計学園・自衛隊日報問題など今国会での「論理のないがしろ」はひどく、倫理的にも許されるものではない。新井教授は、「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域」という小泉純一郎元首相のトートロジーにはまだ冗談という空気があったが、今国会では「何がトートロジーか分からず言って」おり、「聞く方もトートロジーかどうか理解できない人が半分位になってしまったのでは」と懸念する。
 AI武器の開発も進んでいる。時代を読む力をもっと付けねばなるまい。

posted by JCJ at 10:03 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月22日

【今週の風考計】4.22─「核廃棄」はチェルノブイリから板門店へ

4月26日午前1時23分44秒、原子炉が爆発。放射性物質を大量に吹き上げる。32年前のチェルノブイリだ。今は巨大な「石棺」で覆われ、周辺地域はゴーストタウンと化したまま。
ウラジーミル・グーバレフ『石棺─チェルノブイリの黙示録』(リベルタ出版1987年)が、史上最大の悲劇と事故の真相に迫る。避難者32万6千人、被曝後4〜5年目から子どもの甲状腺がんが急増する。

そして7年前の3・11福島原発事故、その当時、誕生した子どもは小学校に入学する。子どもの甲状腺検査は約38万人を対象に行なわれ、甲状腺がんが発見された子どもは197人に上る。しかし、政府は稼働40年の老朽原発・東海第二原発の再稼働を始め、「原発ゼロ」の世論に背を向け続ける。

こうした「核」の悲劇は世界に拡がる。27日、板門店で11年ぶりの南北首脳会談が行われる。まさに朝鮮半島の“非核化”がテーマとなる。北朝鮮・金正恩委員長の「核実験・ミサイル試射の中止」宣言を踏まえ、韓国は1992年の南北非核化宣言の実効と朝鮮戦争の終結から平和協定へと、会談を進展させたいと願っている。
それには粘り強い対話によって、「約束対約束・行動対行動」の積み上げを図り、6カ国も共同して努力するのが要だ。性急な「核放棄」のロードマップ作りに突っ走って、これまで繰り返された愚に陥ってはならない。

果たして今の安倍政権は、その責務が担えるのか。こうまでウミがたまっている総身の立場では、世界から信用されまい。(2018/4/22)
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2018年04月20日

〈沖縄リポート〉名護新市長、答弁を職員にまる投げ=浦島悦子

 2月8日に就任した名護市の渡具知武豊新市長は早速13日に上京し、公約実現のために「財政面をはじめ政府からのご支援を賜るよう特別のご高配」をお願いする「要請書」を菅義偉官房長官に手渡した。要請は、学校給食費の無料化から下水道整備に至るまで十数項目にわたる。自助努力で築き上げてきた稲嶺市政から180度の方向転換だが、その極めつけが「国から優秀な人材を複数名確保(総務省、経済産業省、国土交通省等)」の要請だ。

 3月5日から定例の名護市3月議会が始まった。渡具知市長が冒頭の所信表明演説で何を語るのか、「官邸の名護出張所」にしないために「監視」しようと傍聴席を埋めた市民らは、それを聞いてあっけに取られた。基地問題については「県と国の裁判の行方を見守る」という以外、施政方針のほとんどが稲嶺進前市長のコピーだったからだ。選挙で公約した(そして、それで多くの票を集めた)はずの学校給食費や子ども医療費、保育料の無料化については一言も触れていない。
 
 12日から始まった一般質問では、稲嶺市政を支えてきた野党議員たちの鋭い質問に市長は答えきれず、丸投げされた各部長らが四苦八苦する姿が目立った。
 
 3月13日、沖縄県が政府による辺野古・大浦湾の岩礁破砕の差し止めを求めた訴訟で、那覇地裁は実質審理に入らず県の訴えを却下した。「三権一体」と言われる現状では予想内の判決だが、「行方を見守る」としていた渡具知市長がいつ「容認」を打ち出すのか、政府は待っているのだろう。しかし彼自身、議会答弁では「(市長選の結果は)基地を容認したものではない」と言わざるをえなかった。

 辺野古の現場では1日に300台以上のダンプや生コン車がゲートに入り、加えて海上輸送による石材搬入も加速している。政府は工程を無視して浅場の護岸工事を先行させ、いちばん埋め立てやすい工区を5月中に囲い込み、6月には埋立土砂を投入すると発表した。
 土砂投入すれば県民はあきらめるとの目論見だろう。その前に翁長知事が埋立承認撤回に踏み切ってほしい。私たちはそれを全力で支える。――それが、辺野古の現場で頑張っている県民の切実な声だ。

JCJ月刊機関紙月刊「ジャーナリスト」2018年3月25日号
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2018年04月15日

【今週の風考計】4.15─海賊版「漫画村」サイトの遮断に潜む危険

漫画が無料で読める海賊版サイトが横行している。著作権を無視し勝手にアップロードし配信する海賊版サイトによる漫画家・出版社の被害は、3千億円を超えるという。
こうした経済的利益の侵害を防ぐため、一般の人がアクセスできないようにする「ブロッキング」対策が急浮上している。政府は、早ければ秋の臨時国会にも関連法案を提出するという。

その法整備に至る間の緊急措置として、3海賊版サイト「漫画村」「Anitube」「MioMio」および類似サイトに対し、「ブロッキングを認める」方針を打ち出した。この3サイトは、削除や検挙など従来の対策では、著作権などの権利保護ができない以上、政府は刑法37条の「緊急避難」を適用すれば、憲法違反にはならないと判断している。

政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できること自体が大問題だ。憲法第21条2項には「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあり、電気通信事業法でも事業者に対して、上記2つの厳守を義務づけている。
政府が憲法違反になりかねないブロッキングを、民間のプロバイダーに直接要請する措置は、きわめて深刻な問題をはらんでいる。7年前から始まった児童ポルノサイトのブロッキングは、重大な人格権侵害や名誉棄損などを基本に、民間業者団体の自主的な判断で行っている。
しかし、今回の政府主導による「海賊版サイト」のブロッキングは、経済的利益の侵害を優先するあまり、司法面からの検討も仰がず、関係する現場の意見や議論を抜きにした拙速な措置だ。

ひいては政府にとって都合の悪い情報サイトは、閣議決定のみで自由に遮断できる道を拓く。それこそ中国やエジプトのようになりかねない。民主主義の危機だ。(2018/4/15)
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2018年04月12日

≪お知らせ≫ 神奈川支部例会「国民投票法とメディア」

 自民党の憲法草案策定が大詰めです。2020年までの改憲を企図する安倍政権は、来年2019年の天皇の代替わり(4月〜5月)、参院選(7月)の前に、国民投票を終えようとすると予想されます。
 現在の国民投票法では、投票日の前14日間を除いて無制限に宣伝ができることから、潤沢な資金を投入できる改憲派に有利。最低投票率の規定がなく、投票総数の過半数では国民多数の意見が反映されるとは言えないなどの点が危惧されています。
 国民投票法の問題点とマスメディアの関りを考えます。
日時 4月14日(土)午後2時〜午後4時30分
会場 横浜市開港記念会館7号室
    横浜市中区本町1−6 TEL045−201−0708
講師 渡辺登代美氏 (川崎合同法律事務所)
   岩崎貞明氏  (放送レポート編集長)
参加費  500円
 
主催 JCJ神奈川支部
問い合わせ 保坂 080−8024−2417

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2018年04月10日

2018年度(第61回)日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)応募と推薦のお願い

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、年間のすぐれたジャーナリズム活動を顕彰するため、1958年以来「JCJ賞」を設け、贈賞してきました。今年は61回となりました。
 今年度も優れた労作の多数応募を願っています。自薦または他薦によって応募といたします。入賞作には賞状と記念品が贈呈されます。

■日本ジャーナリスト会議賞(JCJ賞)募集規定
〈募集ジャンルと応募資格〉
 新聞、放送、出版、写真作品のほか、市民運動や地域活動なども含み、個人・グループを問いません。
提出期限までの1年以内に発表された作品 (連載の場合は同期間に発表) を対象とします。

〈提出条件〉
郵送または宅配便で下記、提出先にお送りください。
◆書籍の場合はその現物1冊。放送作品はビデオ、DVDを1本。
◆雑誌、新聞の場合は、その掲載部分をコピー(カラー写真を含む場合はカラー複写)1セット。
※1作品に1枚、エントリーシートを必ず同封してください。特に連絡先担当者、電話、メールアドレスは必ず明記してください。FAX、メールによる送稿は受け付けません。
エントリーシートはJCJ事務所に常備します。

〈提出期限〉
 ◇新聞、出版作品は5月25日(金) 
 ◇放送・その他の作品は6月1日(金)です。
〈提出先〉
  〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-18-1 千石屋ビル 402号
  日本ジャーナリスト会議 「JCJ賞」 応募作品係 (赤で目立つように表記)
※ 応募作品は返却しません。選考経過、選考理由などについてのお問い合わせには応じません。
※ 選考結果は7月中旬に主要新聞に発表するほか、JCJホームページに掲載します。
※ 入選者への贈賞式は8月18日(土)、日本プレスセンターホールにて行います。

選考委員(50音順・敬称略)
諌山 修(ジャーナリスト) 石川 旺(上智大学名誉教授) 伊藤洋子(元東海大学教授) 清田義昭(出版ニュース社代表)  酒井憲太郎(フォトジャーナリスト)  柴田鉄治(ジャーナリスト)  

〈問い合わせ先〉 JCJ事務所:電話 03-3291-6475 (月、水、金曜日の13時より18時まで)
         Eメール:office@jcj.sakura.ne.jp

                      
2018年4月6日
                日本ジャーナリスト会議
JCJ事務局長  橋詰雅博
JCJ賞推薦委員会統括責任者  大場幸夫 
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2018年04月08日

【今週の風考計】4.8─たいへん!殺人ロボットがやってくる?

◆9日から「殺人ロボット兵器」規制について話し合う国連公式専門家会議が、スイス・ジュネーブで13日まで開催される。「殺人ロボット兵器」の定義や、人間の関与、技術的な問題、規制の必要性などを協議する。
◆しかし、武器輸出大国の米国やロシアは規制に後ろ向きだ。米国のトランプ政権は、あれだけ若い高校生らが通常の銃使用規制を訴えても、イエスと言わない。「殺人ロボット兵器」まで、NOと言わなくなったらもうおしまいだ。

◆この事態を理解するうえで、まず1冊の本を紹介したい。川崎哲+畠山澄子『マンガ入門 殺人ロボットがやってくる?!』(合同出版)。恐ろしい現実を、マンガを使って平明に解説した好著である。
◆いまやドローンが軍事目的で、戦略攻撃の一環として戦場で使われているのは、まぎれもない事実だ。さらにロボット技術や人工知能を駆使した「殺人ロボット兵器」の実現が近づいている。これらの自律型致死兵器は、目標をピンポイントで攻撃し「被害を最小化する」兵器と喧伝されている。

◆だが本当に“スマート”で“ピンポイント”なのか。実態に基づけば基づくほど、疑問は拡大する。ひとたび自動的に敵を分別し殺傷する兵器が開発されたら、とんでもない厄災が世界に広がるのは明らかだ。
◆独裁者やテロリストたちが、「自爆ドローン」や自動運転車やロボット技術を応用した自律型致死兵器を開発し、罪のない人たちに使ったらどうなるか。加えてこれらの技術がハッキングされ密売されていったらどうなるか。今や世界に普及したカラシニコフと同様、誰もが扱える兵器になりかねない。(2018/4/8)
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2018年04月05日

≪おすすめ本≫小川幸造・藤井 匡・前田 朗 編『語られる佐藤忠良 彫刻・デザイン・美術教育』─JCJ賞大賞のブロンズ像、その制作者の足跡をたどる=奥田史郎

 生涯職人≠自認した彫刻家=佐藤忠良さんの多彩な業績を各方面から探ろうと、企画実施された講座の記録である。

 第1部では、佐藤忠良の生涯をたどり、彼の彫刻の作品群を日本近代彫刻や西洋美術の造形史にどう位置づけるか試みられる。政策の姿勢は変わらぬと自称する忠良さんの作品も、時期により三つに分けられる。が、ロダンや朝倉文夫から連なる近代日本の新しいリアリズム潮流の中枢としての評価が提起される。
 日本ジャーナリスト会議(JCJ )が主宰するJCJ 賞の発足以来、大賞受賞者には、忠良さん制作のブロンズ像<柏>が贈られてきた。
 忠良さんは、また実に多くの絵本、表紙画、新聞小説の挿画美術の教科書などを残した。古くは戦中(1942年)に詩人の吉田一穂が編集者で、農村や港や船をテーマとした絵本を数冊描いている。戦後も「全農文化」「全蚕文化」など、働く人の雑誌の表紙絵を描き、船山馨の小説にはよく付き合っている。船山は札幌二中の後輩で、同じ絵画クラブのメンバーだった。
 70〜80年代にも、児童文学や絵本・装幀などの仕事は多い。そのうち最も有名なのが、『おおきなかぶ』で、50年以上も読まれているロングセラーだ。構図とデッサン力がしっかりしているからだろう。

 第2部は、忠良さんの弟子や東京造形大学で学んだ彫刻家たちによる、忠良さんの教え方・忠良語録がまとめられている。「普通の生活を大切にする」「自然をよく観察する」「制作活動は自分の歩速で休まず歩き続ける」など、一見、造形や美術と無関係に見えるが、教え子や後輩たちは「それを守ってきたから、今日の私がある」と述懐する。何より忠良さん自身が実践者だから、教育者として効果を発揮したのだ。
(桑沢学園3000円)

「語られる佐藤忠良」.jpg
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2018年04月02日

カジノ誘致 横浜市「白紙」に転換 ドン≠ェ反対の急先鋒 市民団体共同代表に聞く=橋詰雅博

 2016年12月に成立のカジノ解禁推進法に続き安倍晋三内閣は、カジノ実施法案を4月にも国会に提出する構え。日本人と国内在住外国人を対象とした入場料は2000円とか入場回数を1週間のうち3回まで、設置を5カ所に拡大などの案が提示されている。
 しかし、ギャンブル依存症への対策が心もとないなど批判の声は相変わらず強い。各種世論調査でもカジノ反対が圧倒的に多い。それでも安倍内閣はカジノ実現への強行突破を狙う。菅義偉官房長官(神奈川2区選出)のおひざ元の横浜市も誘致に名乗りを上げている。4年前に結成のカジノ誘致反対横浜連絡会共同代表の後藤仁敏さん(鶴見大学名誉教授・歯学博士=71)にいまの状況などを聞いた。

――林文子横浜市長(71)は2014年初頭にカジノ誘致推進を表明したが、方針は変わっていないのか。
 林市長のあの表明にはビックリ仰天しました。だが、3選を目指した昨年7月の市長選では、2人の対抗馬がカジノ誘致反対を訴えたので、彼女は「白紙」に転換。今まで通りカジノ誘致推進を主張したら当選が危ういと思い方針を変えた。なにしろ横浜市民の多くはカジノ反対ですからね。林市長は当選後も「白紙」の姿勢を変えていません。菅官房長官の圧力もあるだろうから、カジノ誘致推進に戻る可能性はありますよ。

――カジノの有力候補地はどこですか。
 市が再開発を目指す山下ふ頭が最有力地。しかし、港湾運送業者でつくる横浜港運協会の藤木幸夫会長(87)は「山下ふ頭にカジノはつくらせない」と宣言した。「横浜市に土地を売るな」と港湾業者にハッパをかけている。赤旗インタビュー(今年1月25日付)でも「山下ふ頭はばくち場ではありません」とキッパリ答えています。14日には同協会主催で「ギャンブル依存症を考える」をテーマにした公開勉強会も開いた。藤木会長は横浜エフエム放送社長や横浜スタジアム会長も務めるいわば横浜のドン=Bそのような人が相当な覚悟でカジノに反対しているので、山下ふ頭へのカジノ誘致は困難な状況です。横浜みなとみらい21(MM21)地区も候補地ですが、藤木会長は真面目に働いた人が報われる社会をつくるという考え方。従って根っからカジノに反対だと思います。

――政府の実施法案をどう見ますか
 入場者がギャンブル依存症やすってんてんになるのを防ぐため賭ける金額に制限を設けるのが一番重要だが、実施法案にはありません。そもそも併設されるホテルや国際会議場、イベント会場などの運営費の80%は、カジノの収益で賄われる。当然、収益アップが必要ですから、入場料はモデルとしたシンガポールより6000円も安く設定し、金額の制限はせず、ATMが設置され金融機関の出先もあってお金が容易に引き出せる。カジノ不要を唱える静岡大の鳥畑与一教授は「毒性の強いカジノ」と指摘しています。私もそう思います。

――反対運動をどう展開しますか。
 連絡会結成以降、不定期ながら市役所前でカジノ誘致に反対するスタンディング宣伝≠行っている。20日にも実施。累計約3万人の誘致反対署名を市役所に提出しています。スタンディング宣伝や署名活動は今後も続けます。林市長がカジノ誘致撤回を表明するまで粘り強く活動します。

聞き手 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号
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2018年04月01日

【今週の風考計】4.1─放送局がネットに乗っ取られる危機の元凶

急に安倍首相が「放送事業の大胆な見直しが必要」と強調しだした。その背景に何があるか。「森友文書改ざん、加計学園問題」を巡る批判報道に、ご本人の積もり積もった不満がある。さらには改憲への道筋を拓く「政権に都合の良いテレビ局を増やしたい」との思惑も透けて見える。
この6月に答申する<放送制度の規制改革>は、放送法4条の「番組編集準則」を撤廃し、インターネットと放送を一本化する内容だ。情報流通の中心にインターネットを置いて、放送の社会的影響力を削ぐ狙いもある。

現に4条で詠う「番組の公序良俗」「政治的公平」「多角的報道」などの倫理規定すら放棄するのだから深刻だ。規制がないネット世界ではフェイクニュースが広がり、過激な性的映像や暴力シーンが横行する。放送番組の質が低下するだけでなく、極端に政治的に偏ったテレビ局が出現する可能性は大きい。米国での実態がはっきり示している。
放送を所管する野田聖子総務相すら、「公序良俗を害する番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が考えられる」と批判的だ。政治的な公平性や公益を守る規制がなくなれば、当然ながら放送は市場原理・利益優先に拍車がかかり、提供番組もセンセーショナリズムに走るのは目に見えている。

参入競争も激化する。雨後のタケノコのように、ネットテレビ事業へ進出しようとする企業に対し、安倍政権は電波の利用権を競争入札にかけ、高値で売買する「電波オークション制」の導入すら構想している。家電メーカーも4Kや8Kテレビの販路拡大に虎視眈々である。
まさに国民共有の電波を、権力の統制願望と私企業の儲けを充たすために法律まで改悪してしまう。エイプリルフールではない。(2018/4/1)

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2018年03月29日

≪リレー時評≫ 「日韓反核平和連帯」の貴重な活動=白垣詔男

 一昨年10月に「日韓(韓日)反核平和連帯」という団体が生まれた。4年以上前に日韓両国の人たちが起こした「原発メーカー訴訟」の原告が中心となってできた組織だ。
 それまで、「原発訴訟」は「3・11東日本大震災」後、日本を中心に多く起こされたが、原発メーカーは賠償請求訴訟の被告にはなっておらず、被告は国と電力会社が中心だった。

 そこで、賠償を逃れている原発メーカーにも責任があるとして、日韓両国の人々が東芝、三菱重工、日立を相手に「原発メーカー賠償請求訴訟」を起こした。その原告らがつくったのが「日韓(韓日)反核平和連帯」で、日本側代表は福岡県在住の牧師・木村公一さん、韓国側は司祭の柳時京(ユシギョン)さん、事務局長は神奈川県在住の在日韓国人の崔勝久(チェスング)さん。
 日本側代表・木村公一さんはイラク戦争時に「人間の盾」としてブッシュ米政権のイラク攻撃に体を張って反対を表明したほか、過去にはキリスト教布教のためインドネシアに17年間滞在、インドネシアの従軍慰安婦問題にも積極的に取り組んだ。
 現在も「慰安婦問題」(日本軍≪性奴隷制≫)の歴史と被害者たちの声をユネスコ世界記憶遺産の登録申請のために国連連帯委員会インドネシア副代表としても活動している。

 「日韓(韓日)反核平和連帯」は、結成間もない一昨年10月27日、木村日本側代表、柳時京韓国側代表らが佐賀県唐津市を訪れ、使用済み核燃料貯蔵施設などを唐津市と玄海町(九州電力玄海原発立地町)への誘致しないように、また、玄海原発の再稼働に反対することを求める緊急要請書を唐津市長と同市議会議長あてに提出した。
 今年2月25日には、会員の金信明さんが昨年夏、韓国での会合後の食事中に病に倒れ、いまだに意識が戻らないことに対して同組織が主催して金信明さんを激励する集会が福岡市のプロテスタント教会であった。
その席には、金信明さんの親友、歌手・趙博さん(通称パギヤン)が駈け付け、会員や支援者ら50人以上が集まった。パギヤンは「アベ・イズ・オーヴァー」を歌った「浪花の歌う巨人」として知られる。

 その席で崔勝久事務局長は「会として、米国の日本原爆投下の賠償責任を問う裁判を米国で起こす準備をしている」と表明して注目された。原告には原爆被害者で現在韓国在住者の数人が名乗りを上げているが日本人はまだ誰も原告になっていいという人がいないので、今後、この運動を広めたいとも述べた。
 日本への原爆投下を裁判で問うことになれば世界的に注目されるとともに、米国民の多くからは強い反発もあると想像できる。「日韓(韓日)反核平和連帯」の今後の活動に親近感を寄せながら見守りたい。

posted by JCJ at 09:31 | <リレー時評> | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

《編集長EYE》 電通が憲法改正国民投票を支配する=橋詰雅博

 2017年に新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどで費やした日本の総広告費は約6兆3900億円で、6年連続プラス。業界最大手の電通は国内売上高が1兆5600億円、海外も含む連結ベースの総売上高は約5兆2000億円だ。電通の総売上高は日本の総広告費の8割ほどに当たる。まさに巨大企業で、単体では世界一の広告代理店。

 だが一方では新入女性社員を過労自殺に追い込んだことで社会から糾弾され、16年末にブラック企業大賞≠ニして名指しされた。社員を酷使することで、ナンバーワンの地位を維持してきたゆがんだ構図が露呈した。

 そんな電通がここにきて注目されている。年内にも実施という憲法改正国民投票を巡り、電通が長年、広報戦略を担う自民党の改憲広告≠仕切るからだ。業界第二位の博報堂で18年間営業をしてきた著述家・本間龍さんは「電通が国民投票を支配する」と断言している。

 2月末に都内で講演した本間さんはこう指摘した。

 「国民投票運動ではテレビCMの影響力が大きい。インターネットとは違い、テレビCMは『ながら視聴』されるので、繰り返し行われると、視聴者への『刷りこみ効果』は絶大です。特に視聴率が高い夕方から夜11時台に流れるスポットCM(局が定めた時間帯に15秒間流れる)が勝負のカギになる。この時間帯にいかに大量にCMを流すかだ。これを実現するには巨額なお金が必要。また、このCMワクを事前に抑えなければならない。 

 改憲勢力の中心である自民党の資金力は護憲勢力のそれを圧倒している。政権党の自民を支える電通は、テレビCMでのシェアは35%とダントツ。加えて戦略立案もCM制作もCMワク購入も1社だけですべてやれる。従って自民党などの改憲勢力が国民投票で勝つ可能性は高い」  

 国民投票では有料テレビCMは投票日前2週間だけ禁止。規制を強化しないと自民党・電通の思うつぼだ。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号


 
posted by JCJ at 18:00 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月25日

【今週の風考計】3.25─東京都・迷惑防止条例の極まりない危険性

「こちらは麹町警察署です。国会周辺をうろつき、コールを挙げる皆さん! 迷惑防止条例に違反しています。もし指示に従わなければ懲役1年以下、または100万円以下の罰金が課されます」─これが7月以降、現実になる。

警視庁が東京都に提案した迷惑防止条例案が、今月末にも成立するからだ。その内容の恐ろしさは極まりない。既存のストーカー規制法の厳罰化を盾に、「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げ、その知り得る状態に置くこと」「電子メール(SNS含む)を送信すること」などなどが、迷惑の範囲とされ処罰の対象となる。
解釈も含め恣意的な運用の危険は大きい。上記のように国会前に三々五々あつまり、「アベ政治を許さない」の声を挙げ、チラシをまくなどの行為が、「名誉を害する」行為として処罰の対象となりうるのだ。

メールで「昭恵夫人は証人喚問に応じよ!」と、官邸や官公庁に要請する内容の電文を、何度も送信すれば引っかかりかねない。しかも名誉棄損であるとの本人告訴がなくとも、警察や司法の判断で逮捕・起訴、そして処罰ができるのだ。

私たちジャーナリストの活動も、「その行動を監視し…、又はその知り得る状態に置く」行為とみなされ、かつ取材も「住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと」と解釈されれば、刑事罰の対象となる。
国会での「森友文書改ざん」、佐川証人喚問の関心事に紛れて、「排除」の言辞を弄した小池都知事の下、言論・報道・表現の自由、知る権利など、憲法上の権利が侵される、危険な迷惑防止条例案が独り歩きする。(2018/3/25)
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2018年03月18日

【今週の風考計】3.18─佐川証人喚問から文書改ざんの根源へ

◆「森友文書」改ざんが安倍政権を直撃し、支持率は39.3%、2月より9.4ポイント急落した。土壇場になっても、官邸は国交省から提出された改ざん前の文書を6日間も放置し、“虚偽答弁”を繰り返す。
◆官邸ぐるみで<改ざん隠蔽工作>を続ける安倍首相への嫌悪感は、いまや燎原の火のように広がる。1年以上、ウソと虚偽の答弁を繰り返してきたツケが、安倍政権を侵す毒のように、全身に回ってきている。

◆文書改ざんは200項目を超える。削除された箇所を見れば、昭恵・首相夫人の称揚や政治家の陳情などを受け、国民の財産を8億円の値引き・10年分割払いにした、前代未聞の特例扱いに至る経緯が如実に辿れる。
◆しかも、この事案が“安倍案件”であるにも関わらず、安倍首相が「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」と言い切った国会答弁がある以上、なんとしても経緯を削除し、「つじつま合わせ」をしなければならない。

◆財務省が組織として意思決定した証拠の決裁文書ですら、改ざんする罪を犯すのだから問題の根は深い。それを理財局の一部の職員や佐川宣寿・元理財局長に責任転嫁してゴマかすなど、許されることではない。国会での佐川証人喚問はもとより、財務省から独立した機関を設けて調査しなければ、問題究明などできるはずがない。司直の手が伸びる前に国政調査権を行使し、与野党問わず政府の責任を徹底追及すべきだ。

◆7年前に制定された公文書管理法は、中央省庁の意思決定に至る「過程」を合理的に跡づけ、検証できるよう文書作成を義務づけ、いつでも政府が説明責任を果たせるようにするのが前提になっている。
◆かつ公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であり、「主権者である国民が主体的に利用し得るものである」とし、かつ「将来の国民にも責任を持つ」法律であると位置づけている。アベさん、熟読玩味せよ!(2018/3/18)
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2018年03月16日

≪お知らせ≫ 出版部会4月例会:出版危機の深層を抉る─「アマゾン膨張」と出版界

出版危機の深層を抉る
─「アマゾン膨張」と出版界─

いま出版界は未曽有の危機に直面しています。
売り上げは13年連続して減少・最大の落ち込み。
<町の本屋さん>はつぶれ、出版流通が深刻な事態です。
「アマゾン商法」が出版界を席捲し、版元との直取引が横行!
出版文化が危うい事態を、どう打開するか。


講演:星野 渉氏 (「文化通信」編集長)
日時:4月7日(土)14:30〜
場所:JCJ事務所 地下鉄「神保町」駅下車 A5出口 千石屋ビル4F
参加費:500円 (JCJ会員・学生300円)

日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
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2018年03月14日

≪月間マスコミ評・新聞≫核軍拡を支持する読売社説に驚き=山田明

 通常国会が始まり、安倍首相の自己中心的な政治姿勢に批判が集まる。安倍首相は「もりかけ疑惑」で追及されると、質問に関係なく、朝日新聞の報道が「ウソ」だと批判ばかりする。
 遅まきながら、森友学園の資料が財務省から次々と公表される。佐川宣寿財務省理財局長、現国税庁長官の「速やかに廃棄した」との国会答弁は明らかに虚偽だ。2月16日から確定申告が始まる中で、納税者の怒りが高まる。
 安倍首相はこんな佐川人事を「適材適所」と自賛する。関与を疑わせる音声データまで公開された安倍昭恵氏、佐川氏の国会証人喚問は欠かせない。
 改憲の動きが加速。 朝日1月23日社説は「際立つ首相の前のめり」と、安倍首相の自己都合の改憲姿勢を批判する。国民の多くは拙速な改憲を望まず、議論も深まっていない。憲法9条改悪は、国民に分断をもたらしかねない。
 沖縄県名護市の市長選で、辺野古移設阻止を訴えた現職が破れた。安倍政権と公明党が全面支援した新人が当選したが、これで辺野古移設が容認されたわけでない。アメとムチにより強引に新基地建設が推進され、米軍の事故が相次いでいる。沖縄県民の怒りは高まるばかりだ。
 米軍機事故では、松本文明内閣府副大臣が議場から「それで何人死んだ」と、ヤジを飛ばす始末。ネット上では、佐賀県の自衛隊機事故の被害者に心ない非難が寄せられている(毎日2月11日)。基地のそばで不安を抱く人たちの気持ちを考えると、心が痛む。「政府や司法 住民より基地重視」という声も(中日8日特報)。
産経は交通事故をめぐり、沖縄2紙が米兵の「救出」を報道しなかったことを非難した。8日に事実確認できなかったと謝罪したが、産経報道のあり方を厳しく問いたい。
安倍政権は沖縄の現実から目をそらす。米トランプ政権に追従する姿勢は、核戦略でも同じだ。核廃絶でなく、核軍拡を進める「核戦略の見直し」を高く評価するとは。唯一の戦争被爆国として、断じて許されない。
 この問題の読売新聞6日社説にも驚いた。「安全保障環境の悪化を踏まえ、米国が核抑止力の強化に乗り出したのはやむを得ない」と。トランプ政権の核戦略、それを評価する安倍政権を支持するものだ。
 揺れ動く政治とメディアの関係が問われている。   
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2018年03月11日

【今週の風考計】3.11─「森友文書」改ざんの陰で妄動する9条改憲

朝日新聞の「森友文書」書き換えスクープ報道から、10日間あがいてみたものの、ついに財務省は改ざんを認めた。決裁文書にあった「契約の特殊性」「特例的な内容」「価格提示を行う」などの記述が削除されていた。
国会を欺き、国民にウソをつく悪質な犯罪行為に他ならない。麻生財務相の進退は極まった。「朝日のフェイク報道」と叩いていた安倍首相の責任も重大だ。麻生派の領袖が政権から離れれば、総裁3選の戦略は危うくなる。そのため9日に辞任した佐川宣寿・国税庁長官に、全責任をおっかぶせる魂胆だというから始末に負えない。

そもそも財務省による改ざんの動機や目的は何だったのか。「不都合な事実」を隠すため、言い逃れ、詭弁、虚偽答弁、さらには文書改ざん、あげくに担当職員が重要な遺書を残しての自殺、そして佐川宣寿・国税庁長官の辞任。このウソの上塗りと痛ましい死へとつながった負の連鎖はどこから来たのか。
その発端となった「森友疑惑」は、安倍首相や昭恵夫人の意向を忖度し、特例的な扱いをしたところから生じた。改ざんは、まさに安倍首相への忖度を、政官癒着して重ねた行為の行き着いた結果だ。南スーダンPKO部隊の日報隠し、厚労省の裁量労働制データねつ造など、「安倍政権の隠蔽・改ざん体質」は底なし。

そのうえ「自衛隊」を明記する9条改憲に加え、「教育の充実」「合区解消」「緊急事態への対処」の3項目で甘いオブラートに包み、9条つぶしの狙いを隠す。かつ4項目を一括して、年末にも国民投票にかけるハラだという。
14日には自民党憲法改正推進本部が、9条改憲案を決める。その日の夕には、「日本会議」のフロント組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、東京・憲政記念館で<憲法改正賛同1000万人達成!中央大会>を開く。(2018/3/11)
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2018年03月09日

≪おすすめ本≫二宮厚美『終活期の安倍政権 ポスト・アベ政治へのプレリュード 』 ─アベノミクスの異常性を解明し、どん詰まり政策へ終止符を打つ道=栩木誠

 とっくに賞味期限切れとなりながら、シールを次々と付け替え、国民を幻惑し続ける「アベノミクスの3本の矢(金融緩和、財政出動、成長戦略)」。その破たんは、多くの経済学者やエコノミストが厳しく指摘している。
 「安倍政権」がすでに「終活期」に入っている実態を理論的に証したのが本書である。2016年秋の総選挙後に第2ラウンドに突入した「終活期の安倍政権」の性格と構造を鋭く抉り、国民的攻防戦の構図を巧みな比喩を駆使して解き明かしている。

 著者は、安倍政権の異常(アブノーマル)を「アベノーマル」と喝破する。安倍政権の、まさにアブノーマル=異常性に迫ると共に、アベノミクスがどのような対策を講じてきたか、また今後いかなる対応策で逃げ切ろうとしているかを解明する。
 浜矩子・同志社大学教授が名づけた「どアホノミクス」など、アベノミクスの形容詞は数多い。著者もまた、安倍政権の政策は、不況の原因とデフレという結果の因果関係を取り違える「アベコべミクス」だと指摘する。

 初めから賞味期限切れであったアベノミクスを、いくらお色直し、再化粧したとしても、出口のない絶望の迷路と悪循環から脱することはできないのははっきりしている。
 本書は、再任が必至とされる黒田東彦総裁率いる日本銀行やアベノミクスの意味不明な「業界用語」の誇大包装を紐解き、金融政策と経済問題の本質、終活期の「アベ政治」の矛盾を明解に分析している。ポスト・アベ政治への「プレリュード(前奏曲)」を奏でる1冊。
(新日本出版社2300円)
「終活期の安倍政権」.jpg
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2018年03月07日

《ワールドウォッチ》危険な核戦略に乗り出すトランプ政権=伊藤力司

 トランプ米政権は2月2日、アメリカの「核態勢の見直し」(NPR Nuclear Posture Review)を発表した。爆発力を抑えた小型核弾頭の開発や非核兵器に対する反撃にも核兵器の使用を排除しないなど、核兵器への依存拡大を鮮明にした。「核なき世界」を目指したオバマ前政権が8年前にまとめたNPRからの大きな方針転換である。
 今回のNPRは、ロシアや中国の核戦力増強や北朝鮮やイランの核開発など「アメリカは過去のいかなる時期より多様で高度な核の脅威に直面している」として、予測不能の脅威に対抗するために米国の保有する核兵器の近代化や新たな核戦力の開発を宣言している。
 例えば、ロシアが局地戦に用いる戦術核に対抗して、爆発力が低くて「使いやすい小型の核兵器」を開発するという。米国がこれを使用した場合、敵国はそれが小型核か破滅的な被害を及ぼす戦略核か判断に迷い、反撃すれば全面的な核戦争に拡大するだろう。
 さらに新NPRは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に用いる小型核や海洋発射型の核巡航ミサイル(SLCM)を開発する方針を表明。爆発力を抑えた小型核は「一般市民を巻き添えにする恐れが減る」と、核兵器使用のハードルを下げる危険を伴う。
 この新方針は、昨年国連加盟国の圧倒的多数で採択された「核兵器の使用と威嚇」を否定した核兵器禁止条約に真っ向から挑戦するものであり、米国が加盟している核兵器不拡散条約(NPT)の核軍縮についての誠実な交渉の誓約にも明らかに違反している。
 ところが河野太郎外相は、直ちにNPRを「高く評価する」との談話を発表した。これは広島と長崎の被爆以来、日本国民が被爆者を先頭に一貫して追求してきた核兵器廃絶を目指す努力を否定するだけでなく、毎年8月に開かれてきた広島、長崎における平和祈念式典や一昨年6月のオバマ前大統領の広島訪問時における安倍晋三首相自身の発言をも矛盾する発言である。われわれ唯一の戦争被爆国の国民として、トランプ政権の新核戦略とこれに恥ずかしげもなく追随する安倍内閣と河野外相に、強く抗議し続けなければならない。
posted by JCJ at 11:24 | 政治・国際情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

【今週の風考計】3.4─反骨の「荒凡夫」俳人・金子兜太さんを悼む

★俳人・金子兜太さんの葬儀・告別式があった2日、あらためて心から哀悼の意を捧げた。「アベ政治を許さない」の紙ボードを掲げ、国会前で抗議の声が響きあう、あの熱気が甦る。いつも金子さんがそばにいた。

★40年以上も前のことだが、金子さんが日本銀行を退職される前年、「種田山頭火」について、その生涯をたどる書き下ろしをお願いしたときの緊張も忘れられない。
★「書きたいと思っていたところだ」と快諾され、退職4カ月後の1974年8月末に『種田山頭火─漂泊の俳人』(講談社現代新書)として刊行することができた。
★この中にも「存在者の生粋の有り態を曝していた山頭火は、<弱者の眼>といおうか、体の奥に潜む眼光は鋭かった」と、泥酔や無頼、放浪と行乞の一生を送った者であれ、その根底にある眼光を、正確に掬いあげている。戦争体験、日銀時代の組合活動や定年近くになれば金庫番、窓際族ならぬ「窓奥族」の日々が下敷きになっているのは間違いない。

★その後、二冊目として「小林一茶」の執筆をお願いした。これも快諾され、東京・新宿住友ビルでの朝日カルチャーセンター主催の俳句講座の先生として、秩父から出てくるたびに1章分ずつ原稿を渡してくださった。兜太名入りの原稿用紙に、あのしっかりした文字がマス目いっぱいに書かれていた。1980年9月中旬、『小林一茶─〈漂鳥〉の俳人』(講談社現代新書)刊行。
★本書で「<荒凡夫>の生命を俳句にぶつけてきた一茶のなかには、<弱きもの>への感応の世界が人一倍色濃く宿っている」と書いた金子さんも、反骨の「荒凡夫」として、98歳の生涯を閉じた。(2018/3/4)
posted by JCJ at 13:51 | 【今週の風考計】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月03日

「私は断固、闘い続ける」 17年働き突然雇い止め 派遣労働者・渡辺照子さんに聞く=橋詰雅博

派遣・契約社員やパート、アルバイトなどといった非正規労働者にとって今年は大きな転換点になる。2013年4月1日施行された改正労働契約法により同じ職場で仕事して通算5年を超えると、有期雇用から無期雇用に切り替えることができるのだ。この5年ルール≠ノ該当する無期雇用の人が4月1日以降、出現する。対象者は約400万人とみられ、雇用の安定が守られる。一方、簡単にクビを切れなくなるので、5年ルールを前に雇い止めに走る企業が多い。16年8カ月同じ職場で事務の仕事をしてきた派遣労働者の渡辺照子さん(58)も昨年10月に雇い止め通告され、昨年末失職した。渡辺さんに改正労働契約法の問題点などを聞いた。      ☆ ☆

――今の心境と、どういう風に生活していますか。

ダメージは大きい

 約17年間、同じ職場で働いてきました。仕事がなくなってしまったので、心身のバランスが崩れてしまった。同居する88歳の母親の面倒を見ていて、介護疲れもあってうつ状態。茫然自失ですね。失職は人生にとってダメージが大きいと言われていますが、まさにその通りです。

 無職ですが、雇い止めの当事者として体験を話してほしいなどの講演依頼が労働組合から、雇用問題をテーマにした原稿依頼もあります。でも講演料も原稿料も食べていける額ではありません。蓄えを取り崩して生活しています。ただ、住んでいる新宿の家は両親の持ち家ですので、家賃がないのが助かります。家賃があったらとても生活できません。

――派遣元(「パーソナルテンプスタッフ」)と派遣先(「地球科学総合研究所」)に対しどういう行動をとっていますか。

22日に社前抗議

 昨年11月に労組「派遣ユニオン」に個人加盟しました。専従で労働争議の経験が豊富な関根(秀一郎)書記長のアドバイスを受け、派遣元と団体交渉を2回行い、派遣先にも団体交渉を2回申し入れた。派遣先が団体交渉を拒否したので、事前に通告した通り22日に社前で関根書記長らと抗議行動をしました。法的手段に踏み出すかどうは企業側の対応しだいです。派遣ユニオンをバックアップする女性弁護士と相談はしています。

――改正労働契約法をどう見ていますか。

 私の場合、3カ月ごとに雇用契約を更新していました。雇い止めにならないか内心、ビクビクしながら働いていた。13年4月の施行後、5年間クビがつながれば、晴れて無期雇用に転換でき、雇用の不安からやっと逃れられると思った。そうしたらこういうひどい目にあわされた。

 そもそも無期雇用とっても、直ちに正社員になれるわけではない。待遇も同じになるとは限らない。改正法は正社員と非正規労働者の待遇格差を埋めるものではない。しかも無期雇用に転換するには労組を通じて実現可能です。私のような派遣労働者が派遣ユニオンに入ったことが企業側に知れたら雇い止めは必至。だから知っていてもユニオンに入れなかった。私は無期雇用後にユニオンに入り、団体交渉で待遇改善を要求して行こうと計画していた。計画倒れになってしまった。

罰則規定を設ける

改正法ではあの手この手で無期雇用に転換させない企業への罰則規定を設けるべきです。また、契約のない期間が6カ月以上ある場合、それより前は通算期間に含まれない(クーリング期間)とする抜け穴があります。無期逃れを許さないよう法律でしばりをかけてほしい。

――企業側の仕打ちをどう思いますか。

 仕事の過程でハラスメントを受け、サービス残業を強要され、ハードワークのため過労で職場に倒れるなど不当な目にあってきた。「次の契約更新はしない」という一言で派遣先から切られ、「ハイ、そうですか」と受け入れることはとうていできない。企業側は、派遣労働者は使い捨てでいい、まるでモノ扱いしている。絶対に許せない。私は闘い続けます。

聞き手 橋詰雅博

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年2月25日号
posted by JCJ at 10:51 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月01日

〈沖縄リポート〉権力むき出しの市長選=浦島悦子

 あまりにも異様な選挙だった。それは、期日前投票数(21.622)が当日投票数(15.522)を6000票以上も上回った前代未聞の事態にも如実に表れている。「国策」である辺野古新基地建設を阻む稲嶺進市長を何としても潰すという国家権力の意思と、その恐ろしさをひしひしと感じさせられた選挙だった。
 安倍自公政権のやり方は巧妙を極めた。選挙前に、市民・県民の大多数が反対する新基地建設に向けた工事を加速することによって「あきらめ感」を誘い、外堀を埋めた。「どうせ造られるのだから、もう苦しむのはやめて楽になろうよ」と甘くささやいた。
 自公推薦の渡具知武豊候補は新基地建設問題に一切触れない「争点隠し」を徹底。公開討論会などの要請もすべて断り、政策論争を避ける一方、稲嶺市政の8年間の実績を打ち消すように 「失われた8年」「停滞」「閉塞感」などのネガティブキャンペーンを繰り広げた。
 自民党幹部や現職大臣が次々と応援のため名護入りしたが、彼らは表には出ず企業回りに徹し、ふんだんなカネを使って水面下でさまざまな工作を行った。菅官房長官は「うちのような小さな会社にまで?」と経営者が驚くほど徹底的に市内各企業に電話を入れた。公明党は広い名護市域の隅々にまで全国動員した運動員を送り込み、甘言、強要、誘導などあらゆる手段を駆使して、人々を期日前投票所へ運んだ。唯一、表の役割を担った小泉進次郎氏は告示以降2回も名護入りし、街頭演説会に集まった若者たちをそのまま期日前投票所へ誘導した。
 警察は、稲嶺陣営を公職選挙法の厳格な適用によって締め付ける一方、渡具知陣営の違反は野放しにした。
その結果、約3500票差で渡具知氏が当選したが、20年以上「国策」に翻弄され、苦しみ続けた名護市民は、今回の選挙でさらに分断され、傷つけられた。渡具知新市長は「勝者」ではなく、翻弄された一人にすぎない。これは選挙に名を借りた国家犯罪だ。味を占めた安倍政権は、11月の沖縄県知事選でも同じ手口を使ってくるだろう。
 今後の各種選挙や国民投票も見据えて、名護市長選とは何だったのか徹底検証が必要だ。その教訓を踏まえ、本来の選挙のあり方を取り戻さなければ、民主主義の明日はない。
posted by JCJ at 15:45 | Editorial&Column | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月28日

〈月間マスコミ評・出版〉格差拡大を放置し今や階級社会に=荒屋敷 宏

 英国在住の保育士・ライター・コラムニストのブレイディみかこ氏の「ブロークン・ブリテンに聞け」という新連載が文芸誌「群像」3月号(講談社)で始まった。ブレイディ氏は「子どもたちの階級闘争」(みすず書房)、「労働者階級の反乱」(光文社新書)などでも脚光を浴びつつある。
 「群像」編集部が作成した目次いわく「階級が分断され、貧困が蔓延(はびこ)る『壊れた英国』で人々はどう生きるのか。『一億総中流社会』が崩壊した日本の未来/現実はここにある――。」
 ブレイディ氏は、生理中に使用するタンポンやナプキンが買えない貧困層の女性たちを意味する「生理貧困」(ピリオド・ポヴァティ)という聞きなれない言葉を切り口に、18歳の女性たちが「スティグマ」(恥の意識)を乗り越えて立ち上がる英国の姿を紹介している。
 「日本でもこの問題はけっして他人事ではないはずである。/生活保護の生活扶助費引き下げという、まるで英国のような緊縮政策が数カ月前に発表されたばかりではなかったか」とブレイディ氏は締めくくる。
 まさしく、他人事ではない。「賃金と社会保障」1月号(旬報社)の特集「さらなる生活保護引下げ」が便利である。同誌編集部によると、「厚労省の今回の(生活扶助費)引下げ案の考え方は、生活保護基準を第1・十分位層(所得階層を10に分けた下位10%の階層)の消費水準と比較し、生活扶助基準が上回っているので引き下げるというもの」という。「一般低所得世帯」の消費支出にあわせて生活扶助基準を変更するという、恐るべき安倍政権の政策である。
 柏木ハルコ氏の漫画「健康で文化的な最低限度の生活」(「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中)が新人ケースワーカーの視点から生活保護を描いて注目されているが、衆院予算委員会でも日本共産党の志位和夫氏が、生活保護は憲法25条(生存権)にもとづく国民の権利であるとして、削減計画の撤回を求め、生活保護法の名称を改めて「生活保障法」とするなどの提案をおこなった。
 橋本健二氏は「新・日本の階級社会」(講談社現代新書)で、1980年前後から始まった「格差拡大」は40年近くも放置され、「一億総中流」はもはや遠い昔と指摘した上で「現代の日本社会は、もはや『格差社会』などという生ぬるい言葉で形容すべきものではない。それは明らかに、『階級社会』なのである」と書いている。大注目の論点であろう。 
posted by JCJ at 11:45 | メディアウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする