2021年03月22日

【お知らせ】Zoomオンライン講演会<スクープの秘訣―「週刊文春」「赤旗」のリーダーに聞くー「切れば血の出るような報道を」> 4月10日(土)午後2時から4時

講師:「週刊文春」編集局長・新谷学さん+「しんぶん赤旗日曜版」編集長・山本豊彦さん 進行:JCJ代表委員・藤森研(元朝日新聞論説委員)
スクープはジャーナリズムの華だ。大手メディアに元気がない今、政財界や芸能界の権威を「文春砲」で果敢に撃破し続ける「週刊文春」。特ダネは枚挙にいとまがないが、総務省接待現場の録音報道は記憶に新しい。また、桜を見る会の私物化問題を追い詰め、学術会議の任命拒否を特報した「赤旗」の活躍も近年目立つ。いま、ジャーナリズムの先頭に立つ両誌紙のリーダーの2人に、スクープのネタは一体どう探すのか、どんな手段でウラを取っていくのか、続報の準備は必須かなど、スクープ連発の秘訣とノウハウを遠慮なく聞く。

★参加ご希望の方はPeatixにて下記の方法で申し込み、参加費500円をお支払いください。
(1)http://ptix.at/xtcALd をクリック(2)チケットを申し込むをクリック。参加券の枚数を選ぶ(3)支払いに進む。初めてPeatixを利用する方はアカウントを作成。名前、メルアド、自分独自のパスワードを入力し、ログインする(4)カードかコンビニかなど、支払い手段の選択。支払いを終える(5)Zoomの配信URLは前日4月9日までにメールでご連絡(6)講演会当日、パソコンでURLをクリックして参加


★新谷学(しんたに・まなぶ)さん=「週刊文春」編集局長(写真下
 1964年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、89年に文藝春秋に就職。「Number」「マルコポーロ」編集部、「週刊文春」記者・デスク、月刊「文藝春秋」編集部、ノンフィクション局第一部長などを経て、2012年に「週刊文春」編集長、18年から「週刊文春」編集局長。著書に『「週刊文春」編集長の仕事術』がある。
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★山本豊彦(やまもと・とよひこ)さん=「しんぶん赤旗日曜版」編集長(写真下
 1962年福岡県生まれ。早稲田大学卒業後、88年に日本共産党東京都委員会に就職。90年しんぶん赤旗に入局し、東海北陸総局、日曜版編集部、経済部、社会部などを経て、2014年から日曜版編集長。日曜版は「桜を見る会」報道で昨年JCJ大賞を受賞、取材経緯は『赤旗スクープは、こうして生まれた!』に詳しい。
🌸『しんぶん赤旗』の山本豊彦さん.jpg
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2021年03月21日

【今週の風考計】3.21─「直美」と「なおみ」の深い気持ちに心を寄せて

タレントの渡辺直美さんを「ブタ」に見立て、東京五輪の開会イベントに「オリンピッグ」なるキャラクターとして、登場させようというのだから呆れる。人の容姿を侮辱し嘲るルッキズムは「差別」そのもの。
 それを平気で舞台化する案をLINEに流したディレクターが辞任した。当然だ。
当の渡辺直美さんは、「私がブタになる必然性ってありますか?」と、目に涙を浮かべて語っている。
 「デブとか言ってくる人に屈したくないの。私のことは私が決める。人の見た目で、ものを決める時代じゃない」と言い切り、「同じようにコンプレックスに悩む人、乗り越えた人に…自分に自信を持って、自分のことを愛して欲しいし、自分のことを誇って欲しいと思う」と訴えている。
彼女は米国の歌姫ビヨンセのモノマネでブレイクしたが、その後、ファッションリーダーとしても支持を集め、SNSのフォロワー数は930万人を超える。3月いっぱいで日本のレギュラー番組を卒業し、4月から米国に活動拠点を移す。しかも契約した米国のエージェントは、ビヨンセも所属する会社だ。

ビヨンセといえば、大坂なおみ選手を挙げねばならぬ。昨年10月16日に、23歳の誕生日を迎えた彼女は、かねてから大ファンを公言していた歌姫ビヨンセから、バースデイメッセージをもらい大感激! あの強さの原動力にもなっている。
白人警官による黒人男性フロイドさん死亡事件を機に、人種差別や警察暴力に対する抗議の声を上げ、事件現場のミネアポリスにも出向いて抗議に参加した。
 その理由を語り、こう訴えた。「『人種差別主義者ではない』だけでは不十分だ。反人種差別主義者でなくてはならない」と。全米オープンでは、警察の手で亡くなった黒人の名前が書かれたマスクを着用して試合を続けた。
まさに「ブラック・ライブズ・マター」運動を牽引するスポーツプレイヤーであり、かつ「社会正義の活動家」とも呼ばれ、昨年の米国タイム誌<世界で最も影響力のある100人>の1人に選ばれている。
 意見すべき時は声をあげる芯の強さ、自信を持って自分らしく振る舞う姿、まさに「イケてる」とでも表現する格好良さ、素晴らしい。

今週は、人種差別と闘う人々との連帯週間である。1960年3月21日、南アフリカでアパルトヘイト反対を訴える平和的デモ行進に警官隊が発砲。69人が死亡したことから、21日を「国際人種差別撤廃デー」とし、それから1週間、世界中で人種差別の撤廃を求める運動が展開される。
 二人の「ナオミ」が提起した問いかけを、わが身に置き換え深く考え続けたい。(2021/3/21)
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2021年03月20日

【おすすめ本】秋山信一『菅義偉とメディア』─菅の<番記者>が赤裸々に暴く政治取材現場の実態=藤森 研(JCJ代表委員)

 「権力は快感」―菅義偉が口にした言葉を副題並みに扱うオビはどぎついが、内容は客観性を重 視した冷静な報告だ。菅の官房長官最後の一年を「番記者」として見てきた毎日新聞記者の著。
 政治取材の現場ルポの面白さが満杯だ。会見前 の当局による記者への「問取り」(もんとり)、曖昧な回答に記者が質問を重ねる「更問い」(さらとい)、会議室の「壁耳」、長官番のみが許される「ぶら下がり」。こうした“番記者文化”は 癒着に映るものの、著者 は「『オフレコ懇談』だから本音が何でも聞けるというような甘い世界ではない」とも書く。
 もちろん、「少しでも菅と関係を築きたい」と、更問いを控える記者が多いことも遠慮なく書く。 政治家と継続的な関係をつくらなければならない政治部記者が、批判的な姿勢を失っていく危険性を強く警告するのは、著者の“本籍”が外信部で政治部記者を観察する立場に立てたからだろう。

 さて菅とはどんな人物か。著者が挙げる第一の 特徴は「説明能力不足」だ。本心を明かさない面もあるが「そもそも性格がシャイだ」と著者は見ている。メディアとの関係では、安倍前首相とは違って、懇意なメディアを 優遇したり批判的な記者に怒って当たったりするようなことはないという。
 では首相にふさわしいか?「そうは思わない」というのが著者の結論。 リーダー性や語りかける力、未来社会を描く力はいずれも「感じなかった」という。菅は「権力は快感」という言葉を漏らした。著者は「重圧の中で政策を進める快感」だと解釈したが、その当否は、読んでみた上でのそれぞれの判断であろう。(毎日新聞出版1200円)
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2021年03月19日

【月刊マスコミ評・出版】女性蔑視暴言とメディアの態度=荒屋敷 宏

 ジャーナリストとして女性蔑視にどう向き合うかが問われている。「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」との森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長の暴言は、女性を蔑視がはびこる日本社会の問題を改めて浮き彫りにした。
 朝日新聞編集委員の秋山訓子氏は、森氏の暴言について、「AERA」2月15日号で、自らの取材経験をもとに、男社会で傷をなめ合うような日本社会の問題として批判している。「私は政治の世界を20年以上取材してきた。かつては政治家も官僚も、取材するジャーナリストも完全な『男社会』。少しずつ空気は変わってきたが、今回、嫌な思い出がよみがえった」と書き、「わきまえない女」でいきましょうと呼びかけた。女性記者だけでなく、男性記者も声を上げるべき問題だ。

 「週刊朝日」2月19日号も「拝啓 森喜朗さま」と見出しを立てた記事を掲載した。批判を内外から浴びても辞任せず、逆ギレする森氏の「退場」の時期はとうに過ぎているのではないだろうかと批判している。東京五輪中止の論陣を張っていた「サンデー毎日」は、2月21日号までの間に森氏の暴言を真正面から取り上げた見出しと記事がない。どうしたのか。

 「週刊文春」2月18日号と「週刊新潮」同は、それぞれ森氏の周辺を洗っている。「週刊文春」は、問題発言を繰り返してきた森氏が自民党の最大派閥「清和会」出身で、総裁選で支援を受けた菅義偉首相も森氏退任を言えない、等々。「週刊新潮」は、森氏が暴言するに至ったのは日本オリンピック委員会(JOC)の山口香理事と日本ラグビーフットボール協会の谷口真由美理事の存在があったからだと、うんぬん。「週刊文春」と「週刊新潮」は、日本社会における「女性蔑視」ではなく、問題を森氏個人の範囲にとどめようとしている。
 女性の裸写真があふれる「週刊ポスト」2月19日号は、「放言王・森喜朗会長が天皇陛下に『五輪開会宣言』を再上奏!?宮内庁の困惑」との記事を掲載したが、暴言を真正面から取り上げてはいない。

 女性蔑視について欧米メディアの目が厳しいのは当然のことだ。世界中から選手たちだけでなくメディアも集まる東京五輪の責任者として森氏は、ふさわしい人物だったのか。「いかなる種類の差別」も認めない五輪憲章の趣旨にふさわしい人物だったのか。森氏だけでなく、日本のメディア、記者も問われている。 
荒屋敷 宏
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年2月25日号

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2021年03月18日

【スポーツ】 被災地逆なでの聖火リレー=大野晃

 東京五輪の聖火リレーが3月25日に関係者だけの静かな出発式で、密やかに福島県のJヴィレッジをスタート。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策で無観客というが、まるで東日本大震災の被災地を刺激しないように、沿道の大きな歓声が制限される中を聖火が運ばれるようだ。
  大震災から10年たっても復興道半ばで、苦闘が続く被災地には、逆なでする「復興五輪」の宣伝に映りかねない。 被災地支援に動いてきた競技者たちを悩ませる。
 組織委員会によれば、121日間かけて全国859市区町村を巡る予定で、緊急事態宣言などが発令中の地域では、公道でのリレーを見送り、無観客の点火式だけ実施するという。
 しかし、東京周辺で開幕直前に公道以外を走る芸能人ランナーの走行場所確保など、調整は難航しているらしい。
 聖火リレーは、1936年ベルリン五輪へ向けてナチス・ドイツが始めたもので、五輪の政治利用の典型だった。しかし1964年東京五輪へ向け日本が盛大に催し、五輪の重要行事になった。
  筆者も高校生で参加した経験を持つが、五輪の理念や意義を学校で学び、平和の使者を気取って、誇り高く走ったものだ。
 半世紀がすぎて、辞退者が続出する歓迎されない行事に転じてしまった。
 学校や地域で子どもたちに、理念や意義がしっかり教えられることがなく、世界中から多くの人々が集まって交流する機会のない五輪では当然かもしれない。
 強引に政府などが強行する政治的行事が、国民の五輪開催機運に逆効果なのは間違いない。五輪そのものが歓迎されなくなる恐れもあり、競技者は追いつめられる。
 マスメディアは、政治利用を厳しく監視しながら、五輪の意義と競技者、応援する国民の関係を改めて問い直す必要があるだろう。 開催の相乗利益を狙って煽るだけでは、国民の不信を増幅させるばかりだ。
大野晃(スポーツジャーナリスト)
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2021年03月16日

【追悼】一言一句に厳しく 筋通した 戸崎賢二氏を悼む=小滝一志

  放送メディアの論評を「週刊金曜日」「赤旗」などに数多く寄稿し、このJCJ機関紙にも何度か登場したことがある元NHKディレクター戸崎賢二氏が1月11日亡くなった。81歳だった。NHK中期経営計画を批判した「視聴者不在のNHK縮小計画」(週刊金曜日2020.10.30号)が最後の寄稿になった。
 戸崎氏は「放送を語る会」創立当時からのメンバーで、会の大黒柱・理論的支柱であり、無くてはならぬ中心メンバーだった。「放送を語る会」が発表する見解や申し入れ文書の作成も多くは戸崎氏が原案を作成した。
 「放送を語る会」の主な活動として「テレビ報道のモニター」がある。2003年イラク戦争報道に始まり2020年新型コロナ報道まで23回実施、その都度報告を公表しているが、その大半のまとめ作業を戸崎氏が担当した。一言一句おろそかにしなかった戸崎氏と各番組モニター担当者の間で、報告書の最終の推敲をめぐって毎回交わされるメール上での丁々発止の厳しいやりとりを、語る会メンバーはいつもハラハラしながら見守っていた。
 新聞・雑誌への寄稿でも、戸崎氏の厳密さは変わらなかったようで、最後の寄稿を掲載した週刊金曜日編集部の方が「最後はお互い了解しましたが、途中ではケンカしそうになりました」と苦笑していた。
 亡くなる直前、1月8日にあけび書房から「魂に蒔かれた種子は」が出版された。内容は、ディレクター時代の試行錯誤、NHK定年退職後教壇に立ち若い学生に向き合って感じたこと、家族のこと、幼少期の思い出など、普段のテレビメディアへの辛口の論評と違い人間味溢れた心温まるエッセイで、私たちに向けた戸崎氏の遺言とも読める1冊だ。NHKディレクターとして手掛けた番組「大岡昇平・時代への発言」(1984年終戦記念日特集)、「授業巡礼〜哲学者林竹二が残したもの〜」(1988年年「ETV8」)などの思い出が綴られている。
 告別式では、遠方で参列の叶わぬお姉さまからの弔辞をご子息が読まれた。「筋を通して生きたあなたは立派でした。生ある限り忘れません」「さようならは言いません。今までありがとう」。戸崎さんを知る人たちの共通の気持ちでもあろう。
  ご冥福を祈る。
 小滝一志
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2021年2月25日号
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2021年03月15日

【おすすめ本】俵 義文『戦後教科書運動史』─憲法改悪と教科書攻撃は一体となって襲ってくる!=鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21代表委員・事務局長)

 昨年の中学校教科書採択で、育鵬社など「新しい歴史教科書をつくる会」系の社会科教科書が激減したのは、著者が名づけた「第三次教科書『偏向』攻撃」での、市民・教職員などの運動の歴史的な勝利であり、今後の教育と 教科書を巡る現代の「教科書運動史」に新しいページを開いた。
 本書は、長年この運動 の最先端で活動してきた教科書全国ネット21の前事務局長・俵義文氏が、大学の教職課程での講義を軸に、これまでの著作も生かして、戦後の教科 書運動史として執筆・構成したものである。
 なお書名が「戦後教科書運動史」となっているが、戦後の運動の理解のため、戦前までの教科書制度と教科書の歴史について、全15章の最初の第1章を宛てている。

 著者は「教育や教科書 の改善とそれに対する反動=教科書攻撃と国家統制の強まりが繰り返されてきた」なかで、杉本判決を引き出した家永教科書裁判の運動は、教科書改 善にとどまらず、教育を子どもの学習権にそって改善させる大きな成果だと指摘している。
 特に教科書出版関係の労働者や組合の活動が大きな役割を果たし、労働組合運動を「鍛えた」との記述があるのも、出版出身である著者ならではの叙述だ。
 「教科書攻撃は日本の 再軍備問題と憲法改悪の動きが強まったときであり、軍国主義路線、憲法改悪と教科書攻撃はいつも一体のものとして出てくる」と著者は述べる。 昨今の状況をみると運動を担い、リードしてきた著者のこの言葉は重い。
 子どもの教育や教科書問題に関心のある人々だけでなく、国が教育統制に奔る危機を感ずる多くの人々が読んでほしい。(平凡社新書1600円)
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2021年03月14日

【今週の風考計】3.14─コロナ禍のなか東京都は14病院を切り捨てるな!

コロナ禍が深刻を極め、感染力の強い変異株ウイルスまで広がっている。PCR検査や保健所への支援、病床の確保など地域医療の拡充は喫緊の課題だ。にもかかわらず都道府県が運営する病院を再編し、削減する動きが加速している。
厚労省は再編・統合する440病院のリストを公表し、病床削減に協力する病院には、全額国庫負担で補助金を出すという計画だ。
 さらに、この病床削減に対する支援給付金は、病床の稼働率が高いほど、すなわち地域に貢献している病院ほど補助単価が高くなり、高額の給付金がもらえるという内容には呆れる。公立病院ツブシじゃないか。

とりわけ東京都は、コロナ感染者が11万5千人と全国トップ、日本全体の25%を占めるのに、厚労省のプランを小池都知事自ら受け入れ、東京都が直接運営する14の病院を全て採算重視に切り替える。
 そのため地方独立行政法人に一括して譲渡する計画を発表した。今年度予算案には39億円もの準備経費を計上し、実行に移そうとしている。
まず人口1千4百万人の東京に、都立病院は8つ・公社病院は6つ、計14病院しかないのも驚きだ。大学病院を含め民間病院は650近くあるというのに、コロナ感染者の受け入れに積極的に応じたのは、この都が直営する14病院だ。なんと都が確保した病床4900の35%を占める。
 それも無理ないか。民間病院は採算重視で、コロナ感染者を下手に受け入れれば、経営が成り立たない。敬遠するのは目に見えている。

だからこそ民間病院では採算が取れない災害・感染症医療や救急医療、離島医療など、自治体の責任で行う「行政医療」は、都立・公社病院の重要な役割だ。だが都は予算の0.5%約400億円しか支出していない。
 都立病院は1879年(明治12年)に設立された長い歴史がある。赤痢・コレラなどの感染症、精神疾患、生活困窮者への医療機関として、「社会的弱者のために、その時代の最高の医療を提供する病院」として、地域の人々から大切にされ愛されてきた。

その病院を「独立行政法人化」すると、どうなるか。病院は「効率性」と「独立採算」が求められるため、あらゆる面で経費削減や医療の見直しが始まる。
 まずは病床の大幅削減、有料の個室病床へ切り替えたうえ使用料や差額ベッド代の引き上げ、入院保証金10万円の納入など、患者・利用者に負担を強いるのは明らかだ。
 さらに議会の監督機能・チェック機能が限りなく縮小されるので、特別室料・分娩料・診断書料など、都議会の審議なしに変更も可能となる。
病院は全て儲かればいいのか。神奈川県は早々と10年前に県立5病院を「独立行政法人化」した。ところがどうか。2018年度には25億1200万円の経常赤字を出し、繰越欠損金は94億6700万円に及んでいる。
 成功例とされた大阪でも、いま「独立行政法人化」病院の現場は、コロナ禍への対応で人員不足・医療体制のひっ迫、マスクや手袋、防護服の不足に悩む。
 <急いては事を仕損じる>の典型ではないか。小池都知事よ、これを教訓とし、コロナ感染対策に専念し、東京五輪の中止を決断するのが先ではありませんか。(2021/3/14)
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2021年03月13日

【JCJ声明】原発事故を風化させてはならない 東日本大震災から10年

 2月13日、福島県を中心に広く関東を覆うM7・3の地震が起きました。東京でも深度4を記録、気象庁は「大震災の余震とみられる」と発表、多くの人々がかつての東日本大震災の記憶を蘇らせました。メディアは「福島第一、第二原発に異常はない」と東電の発表を伝えましたが、実は10年前の震災で壊れ、水が漏れ続けている第1原発1、2号機で水位に変化がありました。メルトダウンした格納容器底部のデブリを冷却するため毎時3dの水を注入し、1号機では底部から1・9b、3号機では6・3bに保たれていた水位が、1号機では40〜70a、3号機では30a低下していることがわかったのです。

 水位低下は1日数センチ程度で続いており、以前からの配管などに損傷個所が拡大した可能性もあります。また、設置してある地震計が2つとも壊れていて、揺れの程度はわからなかった、ともいいます。この緊張感の無さはなんなのでしょうか。

 福島原発はこの10年間、事故収束のために廃炉作業が続けられていますが、2021年に開始し31年に完了する予定のデブリの取り出しすらめどが立っていませんし、増え続ける汚染水の海洋放出さえ計画しています。

10年前の3月11日、大震災が東日本を襲って以来、原発をなくすことは、多くの国民の一致した要求になったはずでした。ドイツがいち早く22年までに国内17基の原発を全て停止することを決め、イタリアでも原発再開計画が凍結、スイスでも34年までに原発全廃の方針が決まるなど、脱原発の傾向は世界中に広がっています。

 日本政府も12年9月、野田佳彦政権が「2030年代に原発稼働ゼロ」を盛り込んだ「エネルギー・環境戦略」を閣議決定しようとしましたが、果たせなかった経緯があります。代わった安倍政権は「世界一の安全基準」を掲げ、原発輸出に血道を上げましたが、ベトナム、台湾、リトアニア、トルコ、英国などでことごとく失敗していることも、こうした世界の流れに背を向けた結果です。
財界はこうした中で、「原発のリプレース(建て替え)・新増設が必須だ」(中西宏明経団連会長)とし、今年2月には40年を超える関西電力・高浜原発1、2号機の再稼働 について、町に同意させるなど、原発推進を続けようとしています。

一方、福島の現場では、原発事故による政府の避難指示は、昨年3月までに全11市町村で解除されましたが、除染も不十分、インフラ整備も進まない状況で帰還率は上がっていません。17年に避難指示が一部解除された浪江町の居住率は現在9・1%、富岡町は12・6%にとどまるなど低く、人口も減少しています。放射能や医療体制への不安に加え、仕事がなかったり、生活用品の購入が不便だったりで「帰りたくても帰れない」状況が続いています。

 汚染水の状況など、現状は放置されたままなのに「アンダー・コントロール」とウソを言って誘致した東京五輪は、昨年1年間延期しましたが、依然コロナ渦は解消しないなかで、3月25日には南相馬市から聖火リレーが始まります。「本当にできるのか」と不安視する人が多い中で、菅義偉・自公政権は「コロナに勝った証拠にしたい」と意気込んでいます。しかし世論調査では、1月のNHK、共同通信の調査では「中止すべき」と「さらに延期すべき」をあわせると約80%、2月の読売調査でも計61%で、大きく延期か中止に傾いています。五輪、パラリンピックとともに、不十分な「復興」を、自らの政権高揚に利用しようという意図は許すわけにいきません。

 原発事故で避難した人たちなどが国に賠償を求めた千葉の集団訴訟で、2月19日東京高裁は、東電だけでなく国の責任を認める判決を言い渡しました。被害者による訴訟は全国で約30件争われていますが、高裁判決は3件目で、国の責任を認める判決も去年9月の仙台高裁に次いで2件目です。

判決は「元の居住地へ帰るために暫定的な生活を続けるか、帰るのを断念するかといった、意思決定をしなければいけない状況に置かれること自体が精神的な損害だ」とし、避難生活に対する慰謝料とともに、生活の基盤が大きく変わったことについても賠償すべきだという判断を示しています。国はこの際、その訴えをまともに受け止め、十分な生活補償をするべきです。(→続きを読む)


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posted by JCJ at 02:00 | 福島第一原発事故 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする