2024年05月19日

【JCJ広島支部スタディー&セッション(学習・交流会)】日鉄呉跡地 止めよう軍事拠点計画 5月25日(土)午後2時30分から5時 広島市まちづくり市民交流プラザ研修室

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■開催趣旨
 ここまで来たのか、戦争準備は! 海上自衛隊呉基地に近接する広大な日鉄跡地を防衛省が丸ごと買い上げ、多機能な複合防衛拠点として整備する計画が持ち上がりました。呉基地には来年3月、自衛隊の基地・装備の増強が急ピッチで進む沖縄・南西諸島へ要員や武器、弾薬などを運ぶために創設
する「海上輸送群」の司令部が設置されます。基地機能を格段に強靭化し、それをバックアップする「兵站」も備えた一大軍事拠点が呉に築かれようとしているのです。
 一方、海路で繋がる米軍岩国基地も先行して拡張・機能強化が図られ、米軍主導の対中国戦略に日本の自衛隊を組み込み、一体となって作戦を展開する態勢が着々と整えられています。
 翻って「国際平和文化都市」を名乗る広島に目を向けると戦後80年・被爆80年を前に平和行政の変質が露わとなり、いま世界で起きている戦争、紛争、とりわけイスラエルによるジェノサイドが続くガザの惨状にさえ沈黙し、核兵器使用が現実化しかねない状況にもはっきり「ノー」と言えないま
まです。
 こうした現下の情勢をどうとらえ、戦争への流れを止めるために私たちはどうすればよいのでしょうか。沖縄・岩国・呉・広島を結び、抗議や反対の声を上げ続ける人たちと報道する人たちが一般市民も交えて考えるスタディー&セッション(学習・交流会)に、みなさんの参加を呼びかけます。
■登壇者:
 ・〈呉〉日鉄跡地問題を考える会-----森芳郎さん 
 ・〈岩国〉瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク----久米慶典さん 
 ・〈広島〉広島パレスチナ-ともしび連帯共同体----湯浅正恵さん
 ・〈沖縄〉うるま市「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める市民の会」-----伊波洋正さん 
      沖縄タイムス記者-----又吉浅香さん  ※沖縄はオンライン参加

※会場とオンラインのハイブリッド開催となります

■会  場 :広島市まちづくり市民交流プラザ研修室
       広島市中区袋町6番36号
■資料代 :500円

■オンライン参加申し込みURL: https://forms.gle/qeG6pVTfQSPjGdZF9
  (上記URLでアクセスできない方はこちらにメール:fujigen@abelia.ocn.ne.jp)
■主  催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)広島支部
■問い合わせ: E-mail:nrh39508@nifty.com 、090 9416 4055(井上)


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2024年05月18日

【おすすめ本】西村 章『スポーツウォッシング なぜ勇気と感動は利用されるのか』―スポーツの政治利用の裏側は 関係者の談話で綴る力作=鈴木耕(編集者)

 何か感じてはいるのだが、その正体がよく分からずモヤモヤすることがある。だがそれに名前が与えられて、ああ、そういうことだったのかと理解できた経験が、誰にでもあるだろう。まさに本書がそれである。

 本書のサブタイトルには「なぜ<勇気と感動>は利用されるのか」とある。権力や経済の黒い部分をスポーツの美や感動によって、うまく洗い落す。つまりウォッシング(洗濯)することで本質を覆い隠す。もっと端的に言えば、政治とスポーツの歪な関係を、著者はスポーツ・イベントの歴史を紐解きながら見直していくのだ。

 ナチス・ヒトラーによる1936年の「ベルリン五輪」、74年ボクシング「世紀の一戦」と呼ばれたモハメド・アリ対ジョージ・フォアマンのキンシャサの闘いの裏の、独裁者モブツ大統領の思惑。東西冷戦の政治に翻弄された80年のモスクワ五輪と84年ロサンゼルス五輪。更にはカタールでの22年のサッカーW杯の移民<奴隷労働>問題。裏金と人事とコロナで揺れた東京五輪は記憶に新しい。巨大なスポーツ・イベントの闇の深さに慄然とする。

 また著者は様々なアスリートやメダリスト、評論家や研究者たちにインタビューを繰り返す。これが実に面白い。元ラグビー日本代表の平尾剛さん(神戸親和大学教授)や女子柔道の山口香さん(筑波大学教授)らの提言には頷くことばかりだし、テレビと巨大イベントに歪んだ関係については本間龍さんの解説が腑に落ちる。ともあれ、本書は口を噤むアスリートたちへの熱いエールに満ちた新書なのである。
(集英社新書1040円)
           
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2024年05月17日

【月刊マスコミ評・新聞】大軍拡へ平和国家を揺るがす動き続く= 山田 明

  自民党派閥の裏金事件は、疑惑解明が進まず、国民の怒りは高まるばかりだ。裏金づくりは、党ぐるみの組織的犯罪だが、岸田首相は「党内処分」で幕引きを図るが、自民党の混乱は激しさを増している。
 岸田政権は3月26日、次期戦闘機の日本から第三国への輸出解禁を閣議決定した。朝日27日社説は「専守防衛を空洞化させた安保3文書に続く、国民的議論なき安保政策の大転換にほかならない」と批判する。同日の毎日社説も「平和国家の姿が問われる」と。読売社説が、この問題を報じていないのは、なぜなのか。

 このほかにも大軍拡、平和国家を揺るがす動きが続く。事故の究明なき欠陥機オスプレイの飛行再開、防衛省の防衛力の抜本的強化に関する有識者会議の軍拡増税推進、米軍との一体化を進める自衛体統合司令部創設、そして経済安保情報保護法案などだ。沖縄のさらなる基地強化、うるまに陸上自衛隊訓練場計画には、県民の怒りが頂点に達し、島ぐるみで反発のうねりが広がる(東京3月27日)。
 日銀は11年にわたる「異次元緩和」見直しを決めた。アベノミクスを修正するものだ。株価上昇の一方で、円安による物価高騰が国民生活を圧迫。小林製薬の紅こうじ健康被害も、アベノミクス成長戦略による規制緩和の「負の遺産」でないか(毎日3月31日)。

 日本維新の会は、軍拡や憲法改正の「旗振り役」だが、昨年夏頃から失速気味だ。きっかけは維新が主導してきた大阪・関西万博。開幕まで1年を切ったのに準備は遅れ、能登半島地震以降、国民の批判がさらに高まる。建築界のノーベル賞と言われるプリツカ―賞を受賞した建築家の山本理顕氏は、「地元・横浜のカジノ計画に反対して対案をつくり、大阪・関西万博も現在の計画に疑問を呈する」(朝日3月10日)。  

 山本氏が「IRのための万博」というように、大阪湾の人工島・夢洲の万博会場隣でIRカジノ工事が始まっている。夢洲でのインフラ整備は、万博だけでなく、IRカジノのためでもある。
 維新は大阪の「成長戦略」として、万博とカジノを推進してきた。軟弱地盤の夢洲で、底なしの財政負担が危惧されており、維新の政治責任が厳しく問われている。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
 

      
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2024年05月16日

【裁判】名和前総長の敗訴確定 北大 解任手続きは闇=山田寿彦

 国立大学法人北海道大学の前総長、名和豊春氏(70)が「職員への過度な叱責」など28件の「非違行為」を理由に文科大臣に任期途中で解任されたことを不当とし、国と北大に解任処分の取り消しと経済的損失1466万円の支払いを求めた訴訟で、札幌地裁の右田晃一裁判長は3月13日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。名和氏は控訴せず、解任手続きの闇は解明されないまま1審判決が確定した。

 ありもしない「パワハラの公益通報」を材料に北大の顧問弁護士から辞職を迫られた脅迫≠ノ始まり、名和氏の弁明も聞かずに調査報告書が一方的にまとめられた不可解な解任劇。名和氏を辞めさせる謀議に関与した疑いのある元副学長らの証人申請を裁判長は却下した。「控訴審では審理不尽と判断され、地裁に差し戻される可能性がある」との見立てから弁護団は控訴に意欲を示していたが、名和氏から控訴断念の意向が伝えられた。

 判決は、被告北大の総長選考会議が文部科学大臣に対して行った解任申し出の手続きに瑕疵は認められず、非違行為の事実認定と評価は正当とした上で、「解任申し出に裁量権の逸脱・濫用は認められない」と結論付けた。
 
 裁判では解任手続きの違法性と非違行為の事実認定と評価が主要な争点となった。証人尋問では北大側の申請証人15人が非違行為について証言。名和氏は自身の尋問で逐一反論したが、判決は北大側証人の証言を全面的に採用した。手続きの違法性をめぐる審理には事実上踏み込まなかった。

 名和氏の弁護団は判決について、「証拠に基づかない不合理、非常識な事実認定が顕著なずさんな判決。法人化後の大学の自治の内容、総長解任手続きの適正(弁明権の保障)、総長解任シナリオの作成者は誰かなどが問われた重要事件だったが、裁判所には問題意識、追求姿勢が見られなかった」と厳しく批判した。

 名和氏は「大学の自治の内容や解任手続きの過ちを追及することなく、北大の主張を丸ごと追認する不当な判決だ。控訴も考えたが、解任がなくとも私の任期は終わっており、一研究者・教育者に立ち戻り、裁判については区切りをつけることにした」とのコメントを発表した。
       
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
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2024年05月15日

【出版トピックス】海外に目を向け進出する日本の出版界=出版部会

 ◆ペンクラブが声明「国会の空洞化に抗議」
 日本ペンクラブ(桐野夏生会長)は9日、「国会の空洞化に抗議します」と題する声明を発表した。その内容はペンクラブ内にある4つの委員会が、政府が進める法案や緊急テーマについて、危惧される課題や審議の不足などを指摘し警鐘を鳴らしている。

 政策言論表現委員会は、「経済安保秘密保護法の廃案を求める」意見書をまとめ、秘密の範囲があいまいで、民間人の人権を侵害し、報道の自由に制約をかける恐れがあると指摘した。

 獄中作家・人権委員会は、6月10日に全面施行される「改定入管難民法」の問題点を詳細に指摘し、外国人排斥・外国人嫌悪があることを深く憂慮すると表明した。

 女性作家委員会は、「共同親権法」について、DV被害者を追い詰め、子どもの意思や権利が損なわれる法案であるとし、廃案を含め慎重かつ十分な国会審議を求める意見書をまとめた。

 環境委員会は、原発の廃炉のめどさえ立っていないのに、再稼働を急ぐ政府や、気候変動、食糧自給、地域経済の疲弊、森林や海の異変など、重要な政治課題について、国民の合意を得るような議論が進んでいない。国会をはじめ、政治の活性化を訴えると表明した。

 桐野会長は会見で、国境なき記者団が3日に発表した「報道の自由度ランキング」で、日本は70位だったことを挙げ、「日本の言論表現の自由が危機的な状況にある中で…いちばん議論しなくてはいけない国会の場で、最も言葉が軽くなり中身のある議論がされていないのではと危惧している」と訴えた。

◆日本の漫画5万点をAI翻訳で輸出へ
 AI(人工知能)翻訳を使って日本の漫画輸出を5年間で3倍以上に増やす、官民共同の取り組みが始まる。小学館や経産省が所管する産業革新投資機構(JIC)系など10社は、AIで漫画を翻訳する新興企業に29.2億円を出資。翻訳速度を最大10倍に高めて漫画の輸出作品数を増やし、日本のコンテンツ産業の成長を促す。
 AI翻訳を担う新興企業のオレンジ(東京・港区)が、7日に小学館などからの出資の詳細や漫画の輸出計画の概要を発表した(日経新聞5/6)。
 漫画の吹き出しに特化して翻訳するAI翻訳には、これまで東京大学発ベンチャーで大日本印刷も絡んでいる「Mantra」が、1.5億円の資金を調達して発足している。主に集英社の漫画作品を多言語サイマル配信している。
 今回の新興企業のオレンジが調達する資金額は「Mantra」の20倍。翻訳だけでなく、自ら海外向け電子書店の運営をするという(HON.jp News Blog 鷹野)。

◆「ツタヤブックストア」カンボジアに進出
 日本の出版社・書店が海外進出を加速させている。CCCと双日の合弁会社「ツタヤブックス マレーシア」は、2034年までにカンボジアで「ツタヤブックストア」を6店舗出店する。その第一歩として、2025年にカンボジアの首都プノンペンで1号店をオープンする。
 カンボジアは安定した経済成長を続け、今後も人口増加が予測されている。しかも通貨に日本国旗が印刷されるほど、親日国家であることを踏まえ、契約締結と「ツタヤブックストア」の進出が決定した。
 これまでにCCCは台湾に計11店舗、中国本土に計12店舗、マレーシアに計2店舗出店している。今後はアジア太平洋地域におけるビジネスの強化を図る計画という。

◆「無書店」の自治体が全国で28%
 この3月の調査によると日本全体で書店が一つもない「無書店」の自治体は、全国で27.7%(482自治体)を占める。1書店以下の自治体は47.4%(825自治体)に上る。書店や取次、出版業者らで作る出版文化産業振興財団(JPIC)の調査で判明した。
 また日本書店商業組合連合会(日書連)の加盟書店数は2536店(4月1日現在)、前年比129店減、12店の新規加入があったが141店が脱退。加盟書店数は1986年の1万2935店をピークに37年連続で減少。組織の規模はピーク時の2割弱まで縮小している。

◆紙の出荷量ピーク時の半分 に
 ペーパーレス化が進み、紙の需要は減少が続く。昨年度の国内出荷量は948万トン。初めて1000万トンを下回り、2007年度のピークからおよそ半分に落ち込んだ。
 背景にあるのは、ペーパーレス化やデジタル化の拡大で、製紙業界やオフィス向けの複合機業界では、原材料の調達や生産面での技術協力などで提携する動きが進む。事業再編や業界再編の動きが加速するのは避けられない。
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2024年05月14日

【フォトアングル】最高裁の不受理に抗議 代執行許さず=2日、最高裁西口で、酒井憲太郎撮影

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 辺野古基地の工事設計変更で、国が県に代わり執行するとの決定に反対する沖縄県の訴えを、最高裁が上告を受理しないと決定したことに抗議する最高裁前行動が行われた。「埋め立て許さない」の横断幕を掲げ、「代執行訴訟の最高裁による上告不受理を許さないぞ」「沖縄の民意を踏みにじる代執行を許さない」などとシュプレヒコールに80名が参加した。主催は戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会など三団体。
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
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2024年05月13日

 【おすすめ本】松岡かすみ『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』─表面からは窺い知れない実態と権利擁護の難しさ=坂爪真吾(NPO法人「風テラス」理事長)

 本書は海外で出稼ぎを行う日本人風俗嬢たちの仕事内容、出稼ぎに至る経緯、海外での暮らしぶりなどを詳細に綴ったルポルタージュである。
 「出稼ぎ」という言葉にはカジュアルな響きがあるが、その実態は完全な不法就労である。売春を合法化している国もあるが、不法就労の外国人女性が働くことまで許している国は存在しない。

 本書には、海外で出稼ぎ売春経験のある女性たちが登場する。それぞれの女性の語りの中には、確かに頷ける部分や共感できる部分もある。しかし、少なくとも海外での不法就労による売春行為を、社会的に擁護・正当化できるようなエピソードやロジックは、まったく出てこない。
 女性たちが海外での売春に駆り立てられる理由を、きちんと言語化しないと、「不法就労だから摘発しろ」で終わってしまう。仮に言語化できたとしても、「とはいえ不法就労だから摘発しろ」の声は消えず、同じ結果になる可能性は高い。

 売春が法律で禁止されている国での性労働従者の権利擁護が、難しい理由はこうした点にあるのだろう。当事者を支援すること自体が、不法就労に加担することになり、違法な仕事を黙認・斡旋していると見なされてしまう。
 そう考えると「風俗」という合法的なカテゴリーがある日本は、海外に比べて性産業従事者の権利を、守りやすい国なのではないだろうか。
 日本の「風俗」を嫌って海外に飛び出した女性たちのルポルタージュから見えてくるものが、むしろ日本の「風俗」という枠組みこそが、女性たちを法的・社会的に守ることができるという現実は、なんとも皮肉なことである。(朝日新書870円)
   
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2024年05月12日

【オピニオン】新NISAで[経済格差]が加速 貧困層に無縁な投資話=木下寿国

 絶対にやったほうがいいよ」−−。先日7年ぶりに開かれた田舎の同窓会に出席した折、小中学校時代を通じて常に成績の一番良かった友人が新NISAを推奨していた。

 人には、それぞれ人生のステージに応じて興味を持ちやすい話題があるようで、その日は、それが投資話だったということだ。どこそこの株式を買えば得だといった話に加え、件の友人が入れ込んでいたのが、今年からスタートした新NISAだった。
 たしかに大金持ちでもないわれわれが、苦しくなるばかりの世の中で、手持ちの虎の子を少しでも増やしたいという気持ちは、とりわけこの歳になってみればよくわかる。口を極めて非難するのもどうかと思われるが、投資で得られる利得というのはしょせん不労所得、褒められたものではないとも思う。ただ、そんな紋切り型の批判を口にしたところで、夢中になっている彼らを説得することはできないだろう。

「貯蓄から投資へ」を標ぼうする政府は、1月から新NISAを始めた。『文芸春秋』5月号の「伝説のサラリーマン投資家が明かす個人資産800億円の投資術」は、新NISAを「投資の利益に対する課税がゼロですから『やらなきゃ絶対に損』という夢のような制度」だと持ち上げている。
ところが同記事を読み込んでいくと、結局、その場その場であらゆる状況に注意を払わねばならず、いわゆるこれだという単純な「投資術」なるものはないことがわかる。

 経済評論家の荻原博子氏は、プレジデントオンラインの記事で、新NISAについて「おやめなさい」と警告している(「金融庁の右肩上がりの新NISAグラフは無責任」)。株は上がるばかりではなく下がることもある、「落ちてもまた戻るなんて誰にも保証できない」「銀行や証券会社も、値下がりしても責任をとってはくれません」などと、反対の理由をいろいろと述べている。
 筆者も、その通りだと思う。ただ、この制度の本当の問題は、そうした技術的な課題よりも、もっと別のところにあるような気がする。それは、新NISAも含め投資という仕組み自体がきわめて不公平なカラクリの上に成り立っているものだということだ。

 新NISAは投資利益に課税されない。そこだけを見れば、政府は極めて気前が良いように見える。本来課税すべき分を負けてやっているのだから。しかし全体を見回してみれば、政府は決して誰に対しても気前よくしているわけではない。対象は、投資をしてくれる人や投資ができる裕福な人たちだけなのである。では、彼らに負けてやった税金はどうするのか。言うまでもない。貧困層も含めた一般国民から徴収した税金で賄っているのである。 

 これは、明らかな所得移転といえる。少々極端な言い方をすれば、貧乏人の苦労の上に成り立っているのが、新NISAという不公平かつ不公正な仕組みなのではないか。こうしたことを推し進めていけば、待っているのは国民経済の一層の二極化だろう。それは、亡国の道でもある。
岸田首相は登場してきたとき、「新しい資本主義」とか「成長と分配の好循環」などのスローガンを掲げていた。まるで小泉政権以来の行き過ぎた新自由主義路線を是正しようとするかのように。ところが、いまやっていることは、まさに強欲資本主義の王道そのもののように見えてならない。
木下寿国
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2024年05月11日

【オピニオン】軍拡路線を訪米で総仕上げ 指揮権「統合」で日米共同で戦争へ=編集部

  岸田首相は4月8日から首相として9年ぶりの国賓待遇で訪米し、バイデン大統領との日米首脳会談に臨んだ。議会の上下両院合同会議での演説、米国が招いたフィリピンのマルコス大統領を交え、初の日米比三国首脳会談を開くなど「日米グローバル・パートナーシップ」を「宣言」した。

米と連携し軍拡
 岸田首相は就任とともに、安倍路線を継承を表明し、その政治手法まで故安倍氏にならい、「閣議決定」を多用。立法府である国会での多数をテコに「審議」の空洞化を進めながら米の対中包囲網戦略と連動する大軍拡路線へと走り出した。
 具体的には22年暮れの「安保3文書」を契機に5年間で47兆円に達する防衛費を増強したほか軍需産業への助成や兵器輸出解禁など実現。23、24年度予算で推し進めてきた。
 ロシアのウクライナ侵攻から2年。「岸田首相は数十年の平和主義を捨て、日本を軍事国家にしようとしている」と書いた米紙「タイム」(23年5月22日号)の記事は現実化している。

 米議会で演説した岸田首相は「日本は第2次大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から、外に目を向け、強くコミットした同盟国へと変革してきた」と表明。「自由の存続を確かなものにするため、日本は米国と肩を組んで立ち上がっている」「米国は一人ではない。日本は米国とともにある」(You are not alone. We are with you. )などと強調した。

指揮統制の連携
 岸田首相は「敵基地攻撃能力」の保有や、防衛費増強についてバイデン大統領に「報告」したが、重要で無視できないのは、自衛隊の「統合司令部」常設を決めた日本が、平時、有事に関わらず、作戦計画・運用や武器調達などでの自衛隊と在日米軍の「統合」を確認し、自衛隊と米軍の「指揮統制」の「連携」でも合意したこと。米国がアジア太平洋でことを起こすとき,半ば自動的に自衛隊も動く可能性が含まれる危険極まりない「約束」だ。
  また、日米会談では、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリーンエネルギー、宇宙などの科学技術分野での「日米協力」も確認された。問題はこれら技術の「軍事利用」で、会談は日本政府が現行「特定秘密保護法」の拡大を狙う「経済安保秘密保護法案」の衆院通過を見据えてのものと言えよう。

各紙評価は二分
 今回の岸田訪米と日米会談に各紙社説は、肯定的な「世界に広がった多面的な『協働』」(読売)、「抑止力向上の合意実践を首相の積極姿勢を評価する」(産経)、「世界の安定へ重責増す日米同盟」(日経)の3社と、「日米の軍事協力 衆議なき一体化の促進」(東京)、「日米首脳会談 説明なき一体化の加速」(朝日)など国会の議論がほとんどないままの方針転換に懸念を示す社とに2分。日米「同盟変容」、「外交戦略」が問われていると各社社説の多くが疑問を呈していた。

 新自由主義路線を徹底し、日本の平和主義と日本社会全体を問題にしてきた米からは、2000年ころから日本の防衛政策への注文がアーミテージ(元国防副長官)報告などで伝えられてきた。今回も4日に第6次報告が出されており、日米会談はその注文をなぞったものと言えよう。いずれにせよ、日本が国際社会でどう生きていくのか、憲法9条をどう生かしていくのか、まさに国民的な議論が求められている。
      JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
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2024年05月10日

【支部リポート】関西 全米の新聞3分の1廃刊 VFPメンバー講演=阿部裕一

 関西支部は、3月23 日の総会に併せ「“情報 戦”といわれる現代の戦 争の武器は“メディア”」 と題した講演会を開いた。 ゲストスピーカーは、米 国在住のベテランズ・フ ォー・ピース(VFP: 平和を求める元軍人の 会)終身会員で通訳・コ ーディネーターのレイチ ェル・クラーク氏=写真。

 VFPは、2016年 から日本で講演活動を行 っており、去年、近畿唯 一の米軍基地、京都府経 ケ岬のXバンドレーダー の視察及び地元住民との 交流会をJCJ関西と共 催した。

 講演では、米国のメデ ィア事情が紹介された。 過去20年で、全米の新聞 約9000紙のうち約3 000紙が廃刊に追い込 まれ、ジャーナリストの 3分の2の約4300人 が解雇された結果、地方 で新聞空白地帯が多数生 まれ、議会に張り付いて いた記者がいなくなって、 チェック機能が働かなく なったことや、予算、人 員削減で調査報道が減り、 特ダネのチャンスをもら おうと政府機関に取り入 り、プロパガンダの片棒 を担がされる悪循環が生 まれていることなどが報 告された。

 一方、インターネット やSNSに関しても、I Tメディアを支える出資 機関に軍や政府の予算が 使われ、特に9・11以降 の検閲強化で、国がメデ ィアをコントロールする 危険性が指摘された。

 日本では誤情報を修 正すると肯定的に捉えら れているファクトチェッ クも、組織の大口寄付者 に政府機関が名を連ね、 第三者機関としての公平 性を保つものばかりでは ないとも指摘された。

 日本人が注視すべき 事例としてウエブサイト のコンテンツ言語の使用 統計があった。実に50% 以上が英語で日本語はわ ずか4・5%。日本語で 検索できる情報は、この 4・5%内のもので、そ の殆どが国内情報。私た ちがウエブサイト上で得 る世界の情報がいかに脆 弱かを考えさせられた。

 アメリカは、戦争とと もに経済基盤を築いた国 で、国家予算のおよそ半 分を国防総省が握る。つ まり何らかの形で軍や政 府、諜報機関の目が張り 巡らされており、メディ アも例外ではない。

 日本はどうか?防衛 費が膨らみ、武器輸出も 解禁される。メディアの 果たす役割を改めて考え させられる講演だった。
    JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号

  
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2024年05月09日

【お知らせ】JCJ24年度総会開く 古川事務局長を再任 オンラインで熱く討議=編集部

 JCJは3月31日、オンライン で総会を開催し古川英一事務局長 を再任、24年度の活動のスタート を切った。役員体制では長く代表 委員を務めた清水正文さんが退任 を表明。代表委員は6人となった。
◆24年度の役員体制◆

【代表委員】

白垣詔雄▽隅井孝雄▽中村悟郎 ▽藤森研▽山口昭雄▽吉原功

【事務局長】古川英一

【同次長】鈴木賀津彦

【機関紙編集長】廣瀬功

【運営委員】伊東良平▽大場幸 夫▽川田マリ子▽川村高子▽河野 慎二▽須貝道雄▽杉山正隆▽鈴木 賀津彦▽谷岡理香▽橋詰雅博▽廣 瀬功▽古川英一▽保坂義久▽丸山 重威▽水上人江▽矢野昌弘▽山中 賢司ほか

【JCJ賞選考委員会】

上西充子▽斎藤貴男▽酒井憲太 郎▽鈴木耕▽永田浩三▽藤森研
     JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
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2024年05月08日

【おすすめ本】宮田 律『アメリカのイスラーム観 変わるイスラエル支持路線』―バイデン政権政策に若者が「ノー」 求められる日本の対応は=栩木 誠(元日本経済新聞編集委員)

 半年以上にわたるイスラエルによるガザ侵攻・ジェノサイド(大量虐殺)による、無辜の市民の犠牲者は、3万3千人を超える。蛮行に対する国際的批判が高まる中で、イスラエルの「絶対的支援国」であった米国の社会にも、大きな亀裂が生じている。特に、ミレニアル世代とZ世代の若者の間では、イスラエルの侵略の不当性に対する糾弾・パレスチナ支援の動きが拡大。バイデン政権の政策に「ノー」を突き付ける声が、4分の3にも達するほどだ。

 こうした米国社会の中東問題への意識、イスラム観の歴史的展開、変容しつつある米国人のイスラムに対するイメージなど、世界史的視野から精緻に解明したのが、手練れの中東研究者による本書である。
 「イスラームは何よりもアメリカの差別社会の中で反逆の手段だった」という、ジャズドラマー、アート・ブレーキ―の言葉を引用するなど、ポピュラー音楽や建築など各分野で、多様性に富む米国社会の形成に、イスラム文化やムスリムが果たしてきた役割を、明示しているのが、本書の独自性でもある。こうしたイスラムとの多様な接点がマグマとなり、若者をはじめ市民の対イスラム意識の変容を招来していることも、伺い知ることができる。

 こうした米国の新たな潮流に、日本や日本人は、どのように対応すべきか。「イスラームの歴史や文化を知り、理解しようとする姿勢」、「アメリカに振り回されることなく、独自の視点や考察を持つことだ」。著者の指摘は、簡潔明瞭である。(平凡社新書 1000円)
            
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2024年05月06日

【追悼】元事務局長 林 豊さんを悼む 部会・研究会立ち上げに貢献=吉原功

 TBSのOBで元JCJ事務局長の林豊さんが3月17日、逝去された。享年78才。
 御子息によれば死因は心臓と肝臓ということだが、そうした疾患で苦しんでおられたことを知っていたJCJの仲間はいないのではなかろうか。もの静かで我慢強い人であった。

 TBSにはアルバイターとして入社したそうで、民放労連の「二重身分反対闘争」の成果で正社員になれたという苦労人。その闘争を指導した組合執行部にたいする感謝の念と組合活動の重要性を強く心に刻んでいる人でもあった。JCJへの加入も自然の成り行きだったと思われる。
 JCJでは前後2回にわたって事務局長を務め、「JCJの見える化」に努めると同時に、事務所移転問題にも精力的に取り組まれ、会議や研究会が比較的ゆったりとできる地下鉄神保町近くのへの移転を可能にされた。またJCJ活動を活発に展開するための部会や研究会の立ち上げにも多大な貢献を果たした。送部会の立ち上げにも加わり、放送をめぐる問題を討議しJCJ賞推候補作品を選考するための活動を粘り強く続けられた。またJCJデジタル写真教室も立ち上げ写真に対する会員の理解と技術向上に貢献した。

 さらに忘れられないのは「ジャーナリズム研究会」の組織化と活動に対する貢献だ。1970年代初頭、JCJは、マスコミの問題点を鋭く抽出した『マスコミ黒書』を出版した。このような研究が再び必要なのではという声がJCJ内でしばしば出るなかで、「やりましょう」と積極的に動いたのが林さんだ。10名前後のメンバーが集まり、ほぼ定期的に研究会を開くことができ、その成果を2冊の本としてまとめることができたのは事務的な仕事を一手に引き受けてくれた林さんのおかげだ。

 現役時代から行きつけという銀座のバーに連れて行ってくれた事がある。「ここは男が一人で静かに飲むところなんだ」と言って。ダンディな紳士でもあった。御冥福を!
   JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
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2024年05月05日

【映画の鏡】地方ローカル局が「グローバル」に番組配信『#つぶやき市長と議会のオキテ(劇場版)』地方政治の現実を丹念に記録=鈴木賀津彦

 
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        広島ホームテレビ 
 地方政治の実態に密着して取材すると、こんなにも面白いドキュメンタリー番組ができることを広島のローカルTV局が示してくれた。
 広島県安芸高田市の石丸伸二市長といえば、X(旧ツイッター)で30万近いフォロワーがあり、今や全国的な有名人だ。

 河井克行・案里夫妻による大規模買収事件で市長らが辞職し、2020年8月に行われた選挙で初当選した37歳の石丸市長。政治経験ゼロの元銀行員が初議会では「議員の居眠り」をXでつぶやいたことに、議会側が猛反発。その後も新しい政策を次々と打ち出す市長に、議員たちは「従来の手順」を踏まない市長提案を否決し続け、対立は深まるばかり。そのドタバタぶりを市長が日々のXで「つぶやく」ので、いわゆる根回しを拒否し政治を見える化している姿として全国から共感が集まる。

 地元ローカル局の広島ホームテレビが密着取材して制作した30分番組が21年11月にテレビ朝日系列の「テレメンタリー」で放送されると、安芸高田市だけのローカルではなく、どこの地域でも抱えている問題として大きな反響があった。22年3月には50分版を放送、その後のアーカイブ配信の再生回数は900万回以上を記録したという。

 そんな全国の反響に押され今回の「劇場版」も誕生したが、日本や世界の動きをローカルからの視点で発信することが、こうした形でできるのだと典型的に示してくれた。身近なローカルから全国的な課題をどう発信するのか、今後ますますローカル局の重要な役割として高まるだろう。5月25日から東京・ポレポレ東中野など全国順次公開。
         JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2024年4月25日号
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